文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループは、「①複雑なことはしない。正しい取引を貫き、シンプルに生きる。」「②明るく公平な職場で、一生懸命働き、お客さまから信用を得る。」「③仕事を通して社会の発展に貢献し、健康で幸せな人生を目指す。」を経営理念に掲げ、総合設備企業として社会的使命を果たすとともに、安全と高い技術力で地域に貢献していく。
また、当社グループは、「北陸電工グループ中期経営方針」に基づき、中期経営計画「アクションプラン2027」を策定している。この「アクションプラン2027」は、『一段高い成長路線を進み、変化に強い企業集団へ』をテーマに、SDGs最終年となる2030年度及び当社が創立100周年を迎える2044年度に向けて描いた「目指すべき姿」を実現するためにバックキャストした計画であり、当計画の着実な実行を通して企業価値向上、持続的成長、SDGs達成などに取り組んでいく。
当計画において設定した事業戦略・財務戦略・財務目標及び当計画以降の「目指すべき姿」は次のとおりである。

<中期経営計画以降の「目指すべき姿」>

(注)上記数値目標の各数値については有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではない。
今後のわが国経済の見通しについては、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されるものの、物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、アメリカの通商政策による影響などが、景気を下押しするリスクとなっている。また、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
当社グループの主たる事業である建設業界においては、旺盛な建設投資が継続すると予想され、設備工事においても適正な工期及び価格での受注ができる環境が続いており、事業の拡大が期待できる状況である。他方、労務費・資材価格について上昇傾向が続いていること、建設業就業者数について減少傾向(担い手不足)であることが、業界全体の課題である。
さらに、当社グループの地盤である北陸地域に目を向けると、大都市圏に比べ少子高齢化や人口減少のペースが速く、経済規模縮小と労働力減少が加速度的に進展していくと考えられるため、令和6年能登半島地震・豪雨に係る復旧・復興や、引き続き見込まれる北陸新幹線延伸による波及効果などのニーズに積極的に対応し、地域の発展・活性化に寄与する必要がある。
このような状況の中、当社グループは安定した工事量と利益を確保するため、更なる北陸地域シェアの底上げや大都市圏における受注・施工体制強化、海外も含めた広い視野での事業領域の拡大と新規開拓などの施策を確実に遂行していく。また、これまで進めてきたDXの更なる活用・深化を進め、業務の省力化・効率化・高度化を図るとともに、生産性の向上と働き方改革を強力に後押しし、競争力の強化につなげていく。
そのうえで、引き続き社会やお客さまから信頼されるよう、建設業の原点である安全と品質の確保を徹底し、環境負荷軽減など企業の社会的責任の遂行と価値向上を目指すとともに、法令・社会規範を遵守し、当社グループの持てる力を存分に発揮し地域に貢献していく。そして、ライフラインを守る企業集団として防災・減災に向けた強化などの社会的優先度の高い需要にしっかり対応していく。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものである。
当社グループにとっての「サステナビリティ」の方針は、経営理念に基づき、「電気の安定供給」「安心・安全な設備の提供」等といった社会的使命を果たし、お客さまや地域社会の皆さまとともに発展し続ける企業集団となることである。
また、当社グループは中期経営計画「アクションプラン」において重要な経営課題を洗い出し、事業活動を通して解決できるSDGsとの関連付けを下記のとおり行い、SDGsの推進及び達成に努めている。



こうしたサステナビリティを巡る課題を全般的に取り扱う「ガバナンス」「リスク管理」の体制は敷いていないものの、気候変動への対応については、設備工事業を主として展開する当社グループにとって、脱炭素社会実現のためカーボンニュートラル関連工事などへ積極的に取り組む必要があるとともに、SDGsの達成にも寄与することができるため、重要なサステナビリティ項目と位置付けている。
気候変動
当該項目への取り組みを効果的に進めるため、気候変動のリスク及び機会を自ら評価し、企業経営に及ぼす財務インパクトを分析する「TCFD」提言に基づく情報開示を実施している。なお、有価証券報告書提出日現在の状況として記載している。
①ガバナンス
当社は、気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題と位置づけ、2024年12月1日付で、新たに環境対策推進委員会を設置している。当委員会は、代表取締役社長の諮問機関として設けられ、持続可能な経営を支える戦略的な取り組みを行うことで、環境課題への対策を強化している。さらに、取締役が委員長を務め、委員には総務担当部長をはじめ、その他の関連部門の部長が参加し、事務局は総務担当部及び企画担当部が共同で担当している。
当委員会は原則として必要の都度開催し、当社の気候変動リスク及び機会の分析・評価を行い、気候変動を含む環境課題に対する基本方針や施策を審議している。委員会開催後、審議した内容は総務担当部長より、代表取締役社長、専務取締役、常務取締役及び常務執行役員から構成される常務会に報告・協議を経て取締役会に報告される。取締役会は、気候変動をはじめとする環境課題に関する報告を受け、承認及び監督を行う。

②戦略
当社は、気候変動対応を持続的成長に不可欠な重要経営課題と位置付け、企業価値向上に直結する戦略策定に取り組んでいる。その一環として、気候変動による事業活動及び中長期的成長への影響を把握するため、シナリオ分析を用いてリスクと機会の特定を継続実施している。
<シナリオの設定>
国際エネルギー機関(IEA)及び、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などを参照し、今世紀末までに産業革命以前と比較して世界の平均気温上昇が「1.5℃」又は「4℃」となる場合を想定した2つのシナリオを選定している。
●「1.5℃シナリオ」 …気候変動に対し厳しい対策が取られ、2100年時点において、
産業革命時期比の気温上昇が1.5℃程度に抑制されるシナリオ
●「4℃シナリオ」 …気候変動への厳格な対策が取られず、2100年時点において、
産業革命時期比で4℃程度気温が上昇するシナリオ
これらのシナリオを踏まえ、移行リスク及び機会の評価には1.5℃シナリオを、物理リスクの評価には4℃シナリオを主に適用し、事業への影響を網羅的に分析・評価することで、引き続き気候変動に対する事業のレジリエンス強化に努めている。
シナリオの分析結果
■時間軸の定義
気候変動リスク及び機会の顕在化が想定される時間軸を「短期・中期・長期」に分類し、それぞれの定義を以下のとおり明確に定めている。
■影響度の定義
気候変動リスク及び機会の影響度を「大・中・小」の3段階に分類し、それぞれの定義を以下のとおり明確に定めている。
③リスク管理
■気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセス
当社は、気候変動に伴うリスクについて、環境対策推進委員会で短期から中長期にわたる影響を識別・評価、管理している。重大なリスクは、当委員会での協議を経て常務会に報告し、協議を経て取締役会に報告される。識別・評価された重大な気候変動リスクに関しては、取締役会の意思決定をもとに環境対策推進委員会にてリスク軽減のための方針と具体的な実行策を検討し、各関連部署が実行に移している。また、リスクレベルについては「影響度」と「時間軸」の2軸をそれぞれ3段階で評価し、リスクの重要性と対応優先度の決定を行う。
これらのプロセスを通して、当社は一貫した気候変動リスクへの対応を行い、事業の持続可能性を確保している。
■全社のリスク管理への統合プロセス
当社は、取締役会の監督のもと、代表取締役社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」を中心に、気候変動リスクを含む全社リスクの一元的な管理を行っている。特に気候変動に起因する重大なリスクについては、環境対策推進委員会がリスク・コンプライアンス委員会へ報告する事で、全社のリスク管理の一要素として組み込まれている。
これらのプロセスを通して、両委員会が相互に連携することで、統合的かつ実効性の高いリスク管理体制を構築している。
④指標と目標
当社は、中期経営方針において「信頼される会社づくり」を経営計画策定方針の一つとしている。温室効果ガスの排出量削減に取り組むことで、お客さまや地域社会の皆さまからの信頼の獲得に努めている。

当社は、GHGプロトコルに基づきScope1及びScope2の排出量を算定しており、これらの合計排出量から算出される原単位について、2030年度までに2013年度比で温室効果ガス排出量を50%削減することを目標に掲げている。Scope3についても、今後の算定の必要性を評価した上で、対応を検討している。
当社の温室効果ガス排出量実績と削減目標は下表のとおりである。
温室効果ガス排出量実績と目標
単位:t-CO2
■ 対象となる排出源
・Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(車両燃料)
・Scope2:他社から供給された電気、熱の使用に伴う間接排出
(現場の仮設事務所などの電気使用量は除いている)
■ 原単位は以下の計算方法で算出している。
(Scope1+2[t-CO2])/(売上高[億円])
①戦略
当社グループは、女性、外国人、中途採用等の多様な人材の確保に向け積極的に取り組んでいる。管理職への登用については、女性管理職の比率を向上することを目標としている。外国人の採用については海外への進出の観点から、また、中途採用については手薄な年齢層を中心に採用を進めており、優秀な人材については勤続年数に関わらず管理職へ登用することとしている。
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりである。
・人材育成
高度化する施工技術、多様化するお客さまのニーズに対応できる人材の育成を目的に、教育施設である能力開発センター(富山県認定の職業能力開発校)において、新入社員教育をはじめ、階層別・専門分野別技術教育・公的資格取得研修やマネジメント研修など、さまざまな教育を実施し社員のスキルアップを支援している。
・社内環境整備
柔軟な働き方の推進と休暇取得促進等によりワーク・ライフ・バランスの充実に努め、多様化する人材や職場に向けて社内環境整備を継続的に実施している。具体的には、育児休業取得について男女とも積極的な取得を図るべく、法律で義務付けられる内容をより拡充した育児・介護休業等の制度を整備している。そのほか、ライフプランに応じた働き方を選択できるよう、スーパーフレックスタイム、在宅勤務制度等及び出産、育児、介護等を理由に退職した場合に職場復帰ができる「ジョブリターン制度」を導入している。これらの取組を経て、2023年7月に「くるみん」の認定を取得した。
当社は、女性の活躍促進に取り組んでおり、2024年7月に「えるぼし」の2段階目の認定を取得した。さらに、従業員一人ひとりが明るく、楽しく、元気よく働ける会社を目指して健康経営に取り組んできたことにより、前年に引き続き、2025年3月に「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」の認定を取得した。
また、労働意欲の高い高齢者が、年齢に関係なく働くことができるようにグループ会社での継続雇用制度も導入しており、今後も「多様性の確保」に向けた取組を一層推進していく。
②指標及び目標
当社グループでは、上記「①戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難である。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載している。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりである。
当社グループはこれらの起こりうるリスクの可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存である。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
官公庁の公共投資の動向は政府や地方自治体の政策によって大きく左右されるため、官公庁から受注する工事量が今後とも安定的に推移するとは限らないものと認識している。
また、当社グループの売上高において、当社の親会社である北陸電力㈱を中心とする北陸電力グループからの受注工事量は大きな割合を占めている。
したがって、北陸地域シェアの底上げや大都市圏における受注・施工体制強化など、その他の得意先からの受注工事量の確保・拡大に努めているが、公共投資や電力設備投資が予想を上回って削減された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
建設業界では、一契約における請負金額が大きく、また、工事完了後に工事代金を受け渡す条件で契約を締結することが多く、このため、当社グループが工事代金を受領する前に、当該取引先の資金繰りの悪化、或いは経営破綻により工事代金が回収できなくなる可能性がある。当社グループでは取引先に対する情報収集や与信管理を強化しているが、今後、回収不能債権額が多大となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループは材料調達において、調達先の分散化や代替材料を選定しているが、工事材料の価格が高騰し、請負金額に反映することが困難な場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当社グループが行う事業は、建設業法、建築基準法、独占禁止法、会社法等により法的な規制を受けている。そのため、上記法律の改廃や新たな法的規制の導入、適用基準の変更等によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
しかしながら、「全てのお客さまに安心・安全な設備を提供すること」は当社グループの不変の使命であり、お客さまや地域社会から満足と信頼を獲得するため、持てる力を存分に発揮し不断の努力で取り組んでいく。
地震、台風等の大規模な自然災害や感染症の蔓延などにより、工事の中断や大幅な遅延、事業所・設備等の損傷など事業活動が停滞した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度末の総資産額は、607億7百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億42百万円の減少となった。これは受取手形・完成工事未収入金等の減少(72億89百万円)及び投資その他の資産の増加(22億22百万円)などによるものである。
負債総額は、168億14百万円となり、前連結会計年度末と比べ40億69百万円の減少となった。これは支払手形・工事未払金等の減少(37億91百万円)などによるものである。
純資産総額は、438億93百万円となり、前連結会計年度末と比べ20億27百万円の増加となった。これは、利益剰余金の増加(20億10百万円)などによるものである。
売上高は近年の積極的なM&Aの効果に加え、繰越工事高の進捗が順調に進んだこと及び好調な受注高に支えられたことなどにより、前連結会計年度と比べ22億9百万円増加し、556億7百万円となった。
利益面は売上高の増収に加え、工程管理・原価管理をより一層徹底したこと及び全般にわたる継続的なコスト削減による工事採算性の向上に努めたほか、退職給付債務の割引率の見直しにより退職給付債務が減少したことなどにより、経常利益は前連結会計年度と比べ9億66百万円増加し、46億11百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ9億78百万円増加し、31億87百万円となった。
また、セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
当社グループの主たる事業である設備工事業の受注高は528億19百万円(前連結会計年度比6.5%増)、完成工事高は533億77百万円(前連結会計年度比3.8%増)、完成工事総利益は99億54百万円(前連結会計年度比19.0%増)となった。
保守業務等で、売上高は22億30百万円(前連結会計年度比13.9%増)、売上総利益は4億13百万円(前連結会計年度比18.2%減)となった。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ27億90百万円増加し、222億61百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少などがあったものの、売上債権の減少及び税金等調整前当期純利益の計上などにより、76億3百万円の資金増加(前連結会計年度比53億48百万円増)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の増加などにより、34億18百万円の資金減少(前連結会計年度比19億74百万円減)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いなどにより、13億93百万円の資金減少(前連結会計年度比1億4百万円減)となった。
当社グループが営んでいる事業においては生産実績を定義することが困難であり、事業の大部分を占める設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐわない。
よって、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」においてセグメントごとの経営成績に関連付けて記載している。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりである。
(注) 1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
3.当社は組織再編に伴い、工事区分について、当事業年度より、「その他工事」に含まれていた一部の工事を「内線・空調管工事」に変更している。なお、これに伴い、前事業年度の工事区分についても、変更後の区分により作成している。
工事受注方法は、特命、競争及び北陸電力送配電㈱との工事委託契約に大別される。
(注) 1.百分比は請負金額比である。
2.当社は組織再編に伴い、工事区分について、当事業年度より、「その他工事」に含まれていた一部の工事を「内線・空調管工事」に変更している。なお、これに伴い、前事業年度の工事区分についても、変更後の区分により作成している。
(注) 1.完成工事のうち主なものは次のとおりである。
2.当社は組織再編に伴い、工事区分について、当事業年度より、「その他工事」に含まれていた一部の工事を「内線・空調管工事」に変更している。なお、これに伴い、前事業年度の工事区分についても、変更後の区分により作成している。
前事業年度 請負金額1億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額1億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
前事業年度
北陸電力送配電㈱ 13,898百万円 29.3%
当事業年度
北陸電力送配電㈱ 15,279百万円 33.5%
d.次期繰越工事高(2025年3月31日現在)
(注) 1.次期繰越工事のうち請負金額1億円以上の主なものは次のとおりである。
2.当社は組織再編に伴い、工事区分について、当事業年度より、「その他工事」に含まれていた一部の工事を「内線・空調管工事」に変更している。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っている。ただし、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
当期におけるわが国経済は、GDP及び設備投資がともに高水準となり、賃金も33年ぶりの高い賃上げ率が実現するなど、前向きな動きが見られるものの、企業収益が堅調さを維持する一方で、個人消費の面では賃金・所得の伸びが物価上昇を安定的に上回る状況には至っておらず力強さを欠いた状態が続いている。こうした課題を克服し経済の持続的な成長につなげるため、賃上げによる所得の増加、価格転嫁の更なる円滑化、省力化・デジタル化投資の促進による生産性の向上、事業承継やM&A等を通じた経営基盤強化等の取り組みが企業に対して求められている。
このような状況の中、当社グループの経営成績等は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりとなった。
翌連結会計年度の業績の見通しについては、2024年度からの繰越工事高が過去最高となったこと、また、今後も旺盛な建設投資が見込まれることに加え、当社業界においては、適正な工期及び価格での受注ができる環境が続いているため、過去最高となった2024年度をさらに上回る売上高を見込んでいる。
また、成長への一手として、「収益力の向上」「高度な専門性・技術力をもつ人材の育成と組織力の向上」を基本方針として、当社グループが経営指標として掲げる「アクションプラン2027」の達成を目指している。
セグメントごとの見解としては、「設備工事業」においては、受注の確保を最優先課題に、既存のお客さまとの関係を強化し、確かな技術力により新規のお客さまの獲得を図り、北陸地域でのシェア拡大と大都市圏での営業基盤の強化に努めていく所存であり、「その他」においては、更なる設備投資をし、売上高と利益の確保に努めていく所存である。
また、資金需要については、設備工事業における土地、建物、機械装置等の設備投資資金であり、すべて自己資金によりまかなっている。資金の流動性については、営業債権の回収、営業債務の支払ともに概ね4ヶ月以内に滞りなく処理されており、営業活動に伴う資金収入を安定的に確保している。
該当事項はない。
当社グループは、北陸トップクラスの総合設備企業として多彩なフィールドで実績を出すことを目指し、企業価値向上、持続的成長、SDGs達成に取り組んでいる。これらの事業推進に不可欠となる安全・品質・能率向上に資するシステム、工法、工具等の技術開発を行い、当社グループの企業価値向上を後押ししている。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりである。
「高精度GPSを使用した弛度観測装置システム」
これまで送電線の弛度(張り具合)測定は、作業員が鉄塔に昇り測量機器を使っていたが、悪天候で見通しが確保できない場合や、樹木などの支障物がある場合には、準備作業に多くの時間と手間がかかるなど課題があった。
この課題を解決するために、高精度GPSを使用した弛度観測装置システムを開発した。これにより、地上からスマートフォンで弛度データを確認できるようになり鉄塔に昇る必要がなくなることで作業の安全、効率の向上が図れる。当連結会計年度における研究開発費の金額は
「インドネシア共和国 国立ウダヤナ大学との共同研究活動」
インドネシア国立ウダヤナ大学と「フレキシブル太陽光発電パネルを用いたバッテリー交換型オフグリッドEVステーションの可能性調査」をテーマにした共同研究を実施中である。
2024年3月に共同研究施設が完成し、データ取得を開始した。3年程度データ収集・解析を行い事業化の検討を行うこととしている。
データ取得開始以降、発電量などのデータを基にその特徴や傾向を両者で議論を重ねてきており、今後はこれに加え、バッテリー交換時間・交換本数の調整を行い、多様なデータ収集を行う予定である。
本研究の特徴は電力系統に接続されていないオフグリッド型であり、電力供給の脆弱な島々、都市部の過密地帯への導入を企図し、ジャカルタの大気汚染の解消、同国のCO2削減に貢献できるものと展望している。当連結会計年度における研究開発費の金額は