第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 経営基本方針

当社は、「限りある大地の最有効利用を広範囲に創造し、実践して社会に貢献する」を経営理念として掲げています。この経営理念を具現化していくため、賃貸住宅分野において土地所有者と入居者双方のニーズを最大限に活かし、良質な賃貸住宅の供給に努めるとともにその周辺分野へも事業拡大していきます。

また、事業活動における具体的な指針とするため、当社では以下の5項目を経営基本方針として定めています。

① 顧客第一主義に徹する(CS重視の経営)

② 重点主義に徹する(経営資源の重点的な投入)

③ 顧客の要望に合わせ、当社を創造(造り変え)する(市場環境への適応)

④ 現金取引主義を貫徹する(キャッシュ・フロー重視)

⑤ 高い生産性を背景とした高賃金主義に徹する(成果主義の人事処遇)

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、「売上高営業利益率7%以上」「ROE(自己資本当期純利益率)20%」を確保することを重要な経営指標目標として定めています。当期においては、売上高営業利益率5.8%、ROE20.9%となっています。

 

(3) 経営環境と対処すべき課題

我が国の人口、世帯数全体は共に減少すると予測されていますが、賃貸市場の中心と考えられる「単独世帯+二人世帯」数は、今後2030年まで増加すると予測されています。加えて老朽化物件の建替需要増加により、賃貸住宅は年間約30万戸程度の供給が必要と判断しています。また、高齢化の進む土地所有者の皆様にとって資産承継や税務対策を背景とした土地活用ニーズは依然として底堅く、今後もそのニーズは堅調に推移するものと予測されます。当社グループとしては、土地所有者の皆様が、“次世代への円満・円滑な資産承継”を実現するため、資産承継に関するトータルサービスの提供を強化する必要があります。

一方、少子・高齢化、晩婚化等の進行による一人住まい世帯数の増加やライフスタイルの多様化により、住まいに対する価値観が変化しています。そのため、入居者の皆様のニーズは多様化し、住まいを選ぶ目は一層厳しくなっています。当社グループとしては、入居者の皆様にとって魅力ある建物・住まいの提供はもとより、入居者の皆様の暮らしをより安心で快適・豊かにするサービスの充実にも注力する必要があります。

このような状況の中、中期経営計画「新5ヵ年計画」(2019年度~2023年度)の3年目として、基本方針「夢や将来を託され、継続した成長ができる企業へ」の下、「ウィズコロナ」を踏まえた営業スタイルの確立や120万戸超の管理戸数を活かしたストックビジネス等、賃貸住宅事業および周辺事業の更なる強化を図っていくとともに、賃貸住宅事業以外の新しい取り組みを着実に促進し、賃貸住宅専業から総合賃貸業を核とした生活総合支援企業を目指していきます。

 

新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発出されていますが、コロナ禍での営業活動は従前から大きな変化はありません。建築営業においては、テレコールやDMなどインサイドセールスを併用しつつ、「3密」や滞在時間等に配慮したダイレクトセールスを継続しています。また施工現場では、現場内での新型コロナウイルス感染対策措置を規定し、徹底した現場管理について協力業者へ事前説明、同意を得た上で施工を継続しています。入居斡旋活動では、店舗内の人数を最小限に抑え、お客様のご来店の事前予約やIT重説等のリモートツールを積極的に活用し、営業活動を継続しています。さらに、緊急事態宣言発出エリアにおいては、在宅勤務やフレックス勤務を推奨し、出社率を30%以下に抑制するなど、事業所内での感染拡大防止に努めています。引き続き、新型コロナウイルス感染拡大に最大限の配慮をしつつ、可能な範囲で営業活動を継続していきます。

一方で、当社グループが提供する商品・サービスは生活に根差した“衣食住”の“住”に携わるものであり、新型コロナウイルス感染症の収束後にはそのニーズは一定程度まで回復するものと考えられます。加えて、この苦境を通じて人々の価値観は少なからず変化し、お客様が商品・サービスを見る目はより一層厳しくなることも想定されます。当社グループとしましては、人々の価値観の変化を敏感に察知し、商品・サービス、営業手法に至るまで、従来の手法にとらわれることなく変化していくことが必要と考えています。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、「夢や将来を託され、継続した成長ができる企業」に向けて、コア事業(賃貸住宅分野)である建設事業・不動産事業の強化に加え、商業施設・レンタルオフィス等の住宅以外の賃貸事業へ事業領域を広げ、さらにエネルギー等のサービス事業へ事業領域を拡大することで、総合賃貸業を核とした「生活総合支援企業」を目指します。

数値目標としては、2024年3月期に、売上高2兆2,000億円、営業利益1,800億円、連結営業利益率7%以上、ROE(自己資本当期純利益率)20%以上の実現を目指すとともに、貸家着工戸数においては、シェア20%以上(賃貸市場規模を390千戸と想定)を獲得することを設定しています。

 

セグメント別の中長期的な経営戦略は以下のとおりです。

① 建設事業

建設事業では、土地活用・資産承継をお考えの土地オーナー様へ、立地条件や周辺環境を詳細に調査・分析した賃貸事業の提案や高品質な建物の提供を継続するとともに、他社施工物件の建て替え需要の取り込みや首都圏の営業力強化、デジタルマーケティングを活用した反響の拡大等に取り組みます。また、今後の国内建設需要の高まりや労働者需給の逼迫を踏まえ、工事原価の抑制、労働力の確保及び施工体制の強化のため、協力会社様との連携強化に引き続き取り組んでいきます。

さらに、新規分野への参入として、リフォーム事業や事業提携等の取り組みも積極的に検討し、事業の拡大に努めていきます。

これらの施策により、2024年3月期には、建設事業売上高8,800億円、営業利益1,100億円を目指します。

 

② 不動産事業

不動産事業では、多様なメディア・チャネルを活用した入居者募集や独自の入居者サービスの提供による高い入居率を背景に、安定した建物賃貸事業の提供を継続するとともに、入居者のライフスタイルに合わせた良質な住空間と暮らしのサービスを引き続き提供します。また、IT技術の活用やターゲットを絞った施策による広告費の抑制等により、コストの削減と利益率の向上を図ります。

さらに、新規分野への参入として、海外現地法人の設立や不動産売買の仲介等の取り組みも積極的に検討し、事業の拡大に努めていきます。

これらの施策により、2024年3月期には、不動産事業売上高1兆1,600億円、営業利益480億円を目指します。

 

③ その他の事業(金融事業及びその他事業)

その他の事業では、保険・金融事業や海外事業を推進するとともに、レンタルオフィス事業、商業施設や物流施設、ホテル、寮等の建設・管理へ進出することで、「総合賃貸業」として事業領域の拡大を図ります。

さらに、LPガス、太陽光発電等のエネルギー事業や介護・保育事業、サブスクリプション(手数料)事業等、生活に関連する様々なサービスを提供することで、「生活総合支援企業」への成長を目指します。

これらにより、2024年3月期には、その他の事業売上高1,600億円、営業利益220億円を目指します。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1) 原材料費等の高騰による原価の上昇、利益率の低下

当社は、賃貸建物の建設において、当社が元請けとなり、当社の現場監督(施工技術者)が直接施工業者に分離分割発注を行い、完成工事原価の抑制を実施しています。しかしながら、各種建設資材の価格上昇や労務費の上昇などにより、売上総利益率が低下する可能性があります。

 

(2) 税制改正による業績への影響

当社は、土地所有者に土地有効活用として賃貸マンション・アパートの建設を提案するコンサルティング営業を行い、建設受注を獲得しています。現在において土地活用の有効な手段は、建物賃貸事業経営とされていますが、税制改正により建物賃貸事業に関連する税負担等に変更があった場合、受注高が変動し業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 金利の急上昇による受注キャンセル

土地所有者が建物賃貸事業を行う際、建物の建築代金は金融機関からの借入れにて調達することが一般的です。現在、長期金利は、依然、低金利状況が続いており、土地所有者が建物賃貸事業に踏み切る一つの要因となっています。金利が急激に上昇した場合、採算悪化を懸念した土地所有者が発注キャンセルを申し出るケースや建築プランの見直しが必要となるケースが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 法施行・法改正等に伴う経費増

当社グループは、建設業許可、建築士事務所登録及び宅地建物取引業免許等の許認可を受けて事業を展開し、またこれらの関連法令をはじめその他各種の法令等に基づいた企業活動を行っています。これらの法令等を遵守するためにコーポレートガバナンス及びコンプライアンス推進体制を強化していますが、新たな法令等が施行された場合、当該法令等に対応するための経費が追加的に発生し、業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 個人情報の漏洩等のリスク

当社グループは、土地所有者や入居者等、様々なお客様の個人情報をお預りしています。個人情報保護には特に配慮し対策を進め事業活動を行っていますが、万一、個人情報の漏洩等があれば、信用を大きく毀損することとなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 自然災害によるリスク

大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、被災した当社グループの建築現場・事業所・情報設備等の修復やお客様の建物の点検、被災したお客様への支援活動等により、多額の費用が発生する可能性があります。また、被災地域において、社会インフラが大規模に損壊し、相当期間に亘り生産・流通活動が停止することで建築資材・部材の供給が一時的に途絶えたり、多数の社員が被災し勤務できなくなることにより、契約締結・工事着工・工事進捗や入居者斡旋活動が滞り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7) 品質管理等に関するリスク

当社グループでは、施工基準書に定めた品質の確保に対して、施工業者、工事監督、設計者(工事監理者)による確認を行い品質確保に努めています。検査時には特に各工程の隠蔽部の確認を行い、完成時には施工状況を施工品質記録にまとめ「自主検査報告書」を施主に提出しています。しかしながら、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(8) 建設技能労働者減少に関するリスク

建設技能労働者数は年々減少しており、2025年には286万人まで減少(2015年対比16%減)すると予測されています。建設技能労働者数減少を見据えた対策として、現場作業の省力化、建設用ロボットを活用した現場作業の自動化、および外国人技能実習制度を通した協力業者に対して技能実習生の受入れの支援などを行っています。しかしながら、想定を超える建設技能労働者の減少によって業務の生産性低下や工期の長期化等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

(9) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関するリスク

① 現在の状況について

当社グループでは、独自の事業継続計画書(パンデミック編)を軸に、新型コロナウイルス対策本部を設置し、感染予防、および感染拡大防止に努めています。現在は、テレワークや時差出勤など感染リスクの軽減策を講じたうえで、事業活動を実施しています。今後、新型コロナウイルス感染症の収束期間が更に長期化した場合、事業活動の制約が続き、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 財務への影響について

当社において現状、現預金等運転資金は十分にあり、当面は事業活動に大きな影響はないと考えていますが、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響が長期に及ぶ場合に備え、シンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しています。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における国内経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響等により経済活動の停滞を余儀なくされ、一時的にやや回復の兆しがみられたものの、足元の感染再拡大により、依然として先行きの不透明な状況が続いています。

住宅業界においては、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、引き続き感染拡大防止策を踏まえた営業活動等、柔軟な対応が求められる状況は続いています。

このような環境の中、新設住宅着工戸数は2020年4月~2021年3月累計で前期比8.1%の減少となりました。当社グループが主力とする賃貸住宅分野においても、金融機関の融資厳格化や新型コロナウイルス感染症等の影響により、貸家着工戸数が2020年4月~2021年3月累計で前期比9.4%の減少となりました。

一方で、利便性の高い、安心・快適な賃貸建物の需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれます。賃貸住宅分野は、入居需要に基づく健全な賃貸建物経営のノウハウに加え、入居者の多様化するニーズに応え、災害に強い防災賃貸住宅、環境に配慮した賃貸住宅、ライフスタイルに合わせたスマート賃貸住宅など、サステナブルな付加価値を生み出していく必要があります。

以上の結果、当社グループの連結業績は、売上高1兆4,889億15百万円(前期比6.1%減)、利益面では、営業利益867億38百万円(前期比32.2%減)、経常利益906億7百万円(前期比31.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益622億85百万円(前期比31.1%減)となりました。

 

売上高は、前連結会計年度に比べ973億78百万円(6.1%)減少し、1兆4,889億15百万円となりました。これは主に、2020年4月の緊急事態宣言下での施工現場休止の影響等により完成工事高が1,493億94百万円(27.1%)減少した一方、一括借上物件の増加等に伴い不動産事業売上高が405億67百万円(4.2%)増加したことによるものです。

売上総利益は、前連結会計年度に比べ435億98百万円(15.4%)減少し、2,388億65百万円となりました。これは主に、完成工事高の減少により、完成工事総利益が546億40百万円(34.3%)減少した一方、一括借上物件の増加及び入居者斡旋件数の増加等により不動産事業総利益が103億47百万円(10.5%)増加したことによるものです。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ23億80百万円(1.5%)減少し、1,521億26百万円となりました。これは主に、広告宣伝費が10億7百万円減少及び会議・研修費が9億37百万円減少したことによるものです。

この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ412億18百万円(32.2%)減少し、867億38百万円、経常利益は、前連結会計年度に比べ424億21百万円(31.9%)減少し、906億7百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

①建設事業

建設事業は、完成工事高が4,017億9百万円(前期比27.1%減)となりました。完成工事総利益率は、完成工事高減少による固定費率の相対的な上昇等により、26.0%(前期比2.9ポイント低下)となりました。完成工事高の減少及び完成工事利益率の低下により、完成工事売上総利益は1,044億70百万円(前期比34.3%減)、営業利益は326億31百万円(前期比57.8%減)となりました。

建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりです。

建物種別

完成工事高

次期繰越工事高

前連結会計年度

(自  2019年4月1日
  至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日
  至  2021年3月31日)

当連結会計年度末

2021年3月31日

金額(百万円)

構成比
(%)

金額(百万円)

構成比
(%)

金額(百万円)

構成比
(%)

 建設事業

 

 

 

 

 

 

居住用

536,551

97.4

383,554

95.5

716,893

96.5

  賃貸住宅

534,334

97.0

381,219

94.9

712,568

95.9

  戸建住宅

2,216

0.4

2,335

0.6

4,324

0.6

事業用

5,175

0.9

6,316

1.6

17,193

2.3

その他

9,377

1.7

11,838

2.9

9,169

1.2

小計

551,103

100.0

401,709

100.0

743,257

100.0

 不動産事業

 

 

 

 

 

 

営繕工事

32,023

30,222

13,561

合計

583,127

431,932

756,818

 

(注)前事業年度及び当事業年度において完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。

 

受注工事高は、3,588億1百万円(前期比30.9%減)となり、2021年3月末の受注工事残高は、7,568億18百万円(前期比8.8%減)となりました。

受注実績は、次のとおりです。

建物種別

前連結会計年度

(自  2019年4月1日
    至  2020年3月31日

(百万円)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日
    至  2021年3月31日

(百万円)

前期比
(%)

建設事業

 

 

 

居住用

470,248

303,902

△35.4

  賃貸住宅

467,574

301,362

△35.5

  戸建住宅

2,674

2,540

△5.0

事業用

7,125

11,781

65.3

その他

11,968

10,456

△12.6

小計

489,343

326,140

△33.4

不動産事業

 

 

 

営繕工事

29,928

32,660

9.1

合計

519,271

358,801

△30.9

 

(注)当社グループでは、建設事業及び不動産事業の一部以外は受注生産を行っていません。

 

また、参考のため提出会社の受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高は、次のとおりです。

項目

工事別

前期繰越工事高
(百万円)

当期受注工事高
(百万円)


(百万円)

当期完成工事高
(百万円)

次期繰越工事高
(百万円)

前事業年度
2019年4月1日
2020年3月31日

建築

879,898

491,701

1,371,599

551,382

820,216

当事業年度
2020年4月1日
2021年3月31日

建築

820,216

326,407

1,146,623

401,712

744,911

 

(注) 1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでいます。従って、当期完成工事高にも係る増減額が含まれています。

2.次期繰越工事高は、(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。

 

本項目における各事項の記載については、消費税等を除いた金額で表示しています。なお、生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載していません。

 

②不動産事業

不動産事業は、「賃貸経営受託システム」による一括借上物件の増加や新型コロナ禍でも好調な入居率を背景に、借上会社である大東建託パートナーズ株式会社の家賃収入が増加したことや「連帯保証人不要サービス」を提供しているハウスリーブ株式会社の収入拡大等により、不動産事業売上高が1兆142億62百万円(前期比4.2%増)となりました。不動産事業総利益率は、家賃ベース入居率の上昇等により10.8%(前期比0.7ポイント上昇)となりました。この結果、不動産事業総利益は1,090億78百万円(前期比10.5%増)、営業利益は632億73百万円(前期比12.0%増)となりました。

不動産事業の売上実績の内訳は、次のとおりです。

区分

前連結会計年度

(自  2019年4月1日
  至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日
  至  2021年3月31日)

前期比

金額(百万円)

構成比
(%)

金額(百万円)

構成比
(%)

金額(百万円)

増減率
(%)

一括借上

884,186

90.8

922,570

91.0

38,384

4.3

営繕工事

32,023

3.3

30,222

3.0

△1,800

△5.6

不動産仲介

20,302

2.1

20,324

2.0

22

0.1

家賃保証事業

14,256

1.5

16,740

1.6

2,483

17.4

電力事業

7,241

0.7

7,526

0.7

284

3.9

賃貸事業

6,628

0.7

6,744

0.7

115

1.7

その他

9,056

0.9

10,133

1.0

1,077

11.9

973,694

100.0

1,014,262

100.0

40,567

4.2

 

管理戸数は、前期比3.3%増の1,204,599戸となりました。

入居者斡旋件数(注1)は、2020年4月の緊急事態宣言下で店舗閉鎖の影響を一時的に受けたものの、337,366件(前期比0.8%増)となりました。また、2021年3月の家賃ベース入居率(注2)は、居住用で97.8%(前年同月比0.6ポイント上昇)、事業用で98.8%(前年同月比0.1ポイント上昇)となりました。

(注) 1.大東建託リーシング㈱、大東建託パートナーズ㈱の合計件数(他社管理物件含む)
       2.家賃ベース入居率=1-(空室物件の借上家賃支払額/家賃総額)

 

③金融事業

金融事業は、土地オーナー様、入居者様へ家賃や家財を補償する少額短期保険ハウスガード株式会社の契約数の増加等により、売上高が前連結会計年度比8.4%増の100億17百万円、営業利益は前連結会計年度比52.2%増の55億68百万円となりました。

 

④その他

その他事業は、新型コロナウイルス感染症の影響によりマレーシアホテルの稼働率低下が継続している一方で、新型コロナ禍における「巣ごもり需要」を背景としたガス使用量の増加や投資マンション事業を主力とする株式会社インヴァランスの連結子会社化により、売上高が前連結会計年度比20.4%増の629億25百万円、営業利益は前連結会計年度比14.0%減の77億93百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は、前期末比391億65百万円増加の9,194億54百万円となりました。これは主に、現金預金390億62百万円、のれん111億81百万円及び繰延税金資産100億88百万円が増加した一方、完成工事未収入金等245億76百万円が減少したことによるものです。

 

セグメントごとの資産は、次のとおりです。

①建設事業

建設事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ309億79百万円減少し、1,005億7百万円となりました。これは主に、完成工事未収入金の減少によるものです。

 

②不動産事業

不動産事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ116億9百万円増加し、3,395億88百万円となりました。これは主に、一括借上修繕引当金の増加に伴う繰延税金資産の増加及び一括借上物件の増加に伴う前払家賃の増加によるものです。

 

③金融事業

金融事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ30億33百万円減少し、1,368億20百万円となりました。これは主に、大東ファイナンス株式会社による営業貸付金の減少によるものです。

 

④その他

その他事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ245億94百万円増加し、1,412億89百万円となりました。これは主に、株式会社インヴァランス取得に伴うのれんの増加、流動資産及び固定資産の増加によるものです。

 

当連結会計年度末の負債は、前期末比171億19百万円増加の6,112億47百万円となりました。これは主に、長期借入金222億34百万円、一括借上修繕引当金179億16百万円、賞与引当金62億40百万円及び前受金52億95百万円が増加した一方、工事未払金271億79百万円及び1年内返済予定の長期借入金91億95百万円が減少したことによるものです。

 

当連結会計年度末の純資産は、前期末比220億45百万円減少の3,082億6百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により622億85百万円増加した一方、配当金の支払いにより377億23百万円減少したことによるものです。

 

この結果、自己資本比率は前期末比1.2ポイント上昇して33.7%となりました。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度において現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比388億57百万円増加し、当連結会計年度末の残高は1,987億60百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、984億61百万円の獲得(前連結会計年度は1,021億29百万円の獲得)となりました。主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益の計上907億70百万円、売上債権の減少245億69百万円、一括借上修繕引当金の増加179億16百万円及び減価償却費158億1百万円です。一方、主な使用要因は、法人税等の支払額515億53百万円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、247億40百万円の使用(前連結会計年度は183億1百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、有価証券の売却及び償還による収入40億30百万円です。一方、主な使用要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出138億95百万円、有形固定資産の取得による支出75億63百万円及び無形固定資産の取得による支出58億85百万円です。

財務活動によるキャッシュ・フローは、343億15百万円の使用(前連結会計年度は1,114億10百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、長期借入れによる収入958億85百万円です。一方、主な使用要因は、長期借入金の返済による支出850億94百万円、配当金の支払377億23百万円及び自己株式の取得による支出113億78百万円です。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金及び金融機関からの借入れにより調達した資金を運転資金、投資資金並びに配当金の支払等に投入しています。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

 

2017年3月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

自己資本比率(%)

35.3

35.6

35.3

32.5

33.7

時価ベースの自己資本比率(%)

148.8

163.4

130.1

78.2

95.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.4

1.7

1.3

0.8

1.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

309.2

194.6

315.0

482.3

339.8

 

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

  キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

  インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

2.いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。

3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。

4.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。

5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。また利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況  1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な開示上の見積り)」に記載しています。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社は、土地所有者の皆様に建物賃貸経営を総合的にお任せいただき、その価値を高めていくために、事業効率の高い賃貸建物を提案しています。そして、多様化する入居者様ニーズに対応するため、商品開発部・技術開発部を主幹担当部門として、新工法・資材の開発を含め、商品ラインナップの充実に積極的に取り組んでいます。

当連結会計年度の研究開発活動に係る投資総額は1,699百万円(主に建設事業セグメントで発生)であり、その主なものは以下のとおりです。

 

商品開発部においては、上半期7商品、下半期10商品の計17商品を新たに開発しました。社会が目まぐるしく変化するなか、住まいで過ごす時間も増え、ライフスタイルの多様化と相まって、変化する住まいへのニーズに対応した商品の開発を行っています。

DK SELECTに新たにラインナップした『ルタンNK』は、アートパネルを移動することで変化する暮らしに対応できる快適な可変空間を実現した間取り自由度の高い商品です。

集合住宅に比べて長期入居を見込める、平屋の戸建賃貸に可変間取りとテレワークスペース等のマルチスペースを取り入れた、『ココダテワンズ』を開発しました。

都市部の防火地域で、三階建て2×4造(木造)耐火建築物として建築可能で、狭小敷地にも対応したシングルやカップル向け賃貸住宅『リベルテフロー』を開発しました。

高級感を演出した、変化に富む外壁面を織り交ぜたリズミカルなデザインで、エントランスは風除室付オートロック自動ドア、コンパクト宅配ボックスなど「高セキュリティ設備」を標準で装備、シングル向け間取りながら、ファミリー並みの快適な住宅設備を装備した『リグノアール』は高さ制限(日陰制限等)10m内で4階建てを実現する商品です。

『リヴァーサ』は洗礼された外観と充実した室内空間、機能的な住宅設備が確かな価値と満足を新たに作り出す、スタンダードなフラットタイプの集合住宅です。

 

技術開発部においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による“新しい生活様式”に対応するために2021年3月から当社が建築する賃貸物件にSIAA(抗菌製品技術協議会)により抗菌加工の認証を受けた壁・天井クロスとフローリングを採用しました。また、仕様関連としては上下間の遮音性能を向上させる仕様の開発を行い、2021年3月から弊社オリジナル鉄骨造のシステムブレース造に『重量衝撃音LH50、軽量衝撃音LL35』性能となる仕様をオプションでの運用を開始しました。2×4造及びRC造についても遮音性能を向上させる仕様の開発を行い、2021年4月から『重量衝撃音LH50、軽量衝撃音LL35』性能となる仕様の運用を開始しました。さらに、2×4造の隣戸間遮音性能を向上できる仕様の開発にも取り組み、住宅性能評価で最高等級4となるRr55仕様の開発を完了させ、2021年4月からオプションでの運用を開始しました。

環境配慮への取り組みとしては、従来現場加工で発生していた断熱材のサイズを2×4工法に最適なサイズにプレカットされた仕様の開発を行うことで、産業廃棄物の削減に寄与しました。また、昨年度から運用を開始した屋外宅配ボックスによる入居者様サービス向上として、雨天時にも荷物の受け渡しができるよう専用屋根材の開発を行い、運用を開始しました。

脱炭素に向けた取り組みとして、国内初のLCCM賃貸住宅(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)の建設に着手しました。LCCMはZEHの上位水準として、省エネの最高峰に位置しますが、これまでは戸建て住宅にしか水準がありませんでした。当社は集合住宅でも戸建て水準を満たすだけでなく、県立広島大学の小林淳教授とタイアップすることによりLCA評価上でも水準を満たすことを確認し、商品化に成功しました。ZEHが戸建てから集合住宅に波及してZEH-Mができたように、LCCMも集合住宅でもできるという事実を元に、LCCM集合住宅の基準の策定と普及につなげ、建設業界の脱炭素への取り組みに寄与します。