文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営基本方針
当社は、「限りある大地の最有効利用を広範囲に創造し、実践して社会に貢献する」を経営理念として掲げています。この経営理念を具現化していくため、賃貸住宅分野において土地所有者と入居者双方のニーズを最大限に活かし、良質な賃貸住宅の供給に努めるとともにその周辺分野へも事業拡大していきます。
また、事業活動における具体的な指針とするため、当社では以下の5項目を経営基本方針として定めています。
① 顧客第一主義に徹する(CS重視の経営)
② 重点主義に徹する(経営資源の重点的な投入)
③ 顧客の要望に合わせ、当社を創造(造り変え)する(市場環境への適応)
④ 現金取引主義を貫徹する(キャッシュ・フロー重視)
⑤ 高い生産性を背景とした高賃金主義に徹する(成果主義の人事処遇)
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、「売上高営業利益率7%以上」「ROE(自己資本当期純利益率)20%」を確保することを重要な経営指標目標として定めています。当期においては、売上高営業利益率6.0%、ROE18.2%となっています。
(3) 経営環境と対処すべき課題
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による行動制限等の緩和に伴い、社会活動の正常化が進み、緩やかな景気回復の兆しが見られました、しかしながら、住宅業界においては、資材やエネルギー価格の高騰、円安の進行等の影響から、依然として先行き不透明な状況が続いており、世界的なインフレ継続に伴うサプライチェーンへの影響について、引き続き注視していく必要があります。
新設住宅着工戸数は、2022年4月~2023年3月累計で前年同期比0.6%の減少と、ほぼ横ばいとなりました。一方、当社グループが主力とする賃貸住宅分野においては、貸家着工戸数が前年同月比25ヵ月連続して増加し、2022年4月~2023年3月累計では前年同期比5.0%の増加となりました。
こうした状況の中、賃貸住宅分野においては、今後も利便性の高い、安心・快適な賃貸建物の需要は引き続き底堅く推移するものと見込まれます。入居需要に基づく健全な賃貸建物経営のノウハウに加え、入居者様の多様化するニーズに応え、環境に配慮した賃貸住宅、災害に強い防災賃貸住宅、ライフスタイルに合わせた賃貸住宅など、サステナブルな付加価値を生み出していく必要があります。
今後も、120万戸を超える管理戸数を活かしたストックビジネスなど、賃貸住宅事業及び周辺事業の更なる強化を図っていくとともに、賃貸住宅事業以外の新しい取り組みも着実に促進させ、収益の最大化を図ってまいります。
(4) 中長期的な会社の経営戦略
セグメント別の中長期的な経営戦略は以下のとおりです。
① 建設事業
建設事業では、営業チャネルの多角化や営業要員の拡充により受注拡大を図るとともに、「不動産流通開発本部」を新設し、自社開発事業などの新たな取り組みを推進してまいります。また、物流施設等の事業用建物への取り組みを強化し、領域拡大を図るとともに、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの環境配慮型賃貸住宅への取り組みを積極的に行い、社会的課題の解決に寄与していきます。
② 不動産事業
不動産事業では、蓄積されたデータに基づくマーケティング力と高い入居斡旋力を背景に、高水準の入居率の維持しつつ、入居者様のライフスタイルに合わせた良質な住空間と暮らしのサービスを引き続き提供していきます。また、ITを活用したサービスや、「いい部屋ネット」のフランチャイズ展開、不動産売買仲介事業への参入により、更なる収益の拡大を図っていきます。
③ その他の事業(金融事業+その他事業)
その他の事業では、既存の介護・保育事業やエネルギー事業に加え、投資マンション事業やサービスオフィス事業など、グループ間のシナジーを追求しつつ、当社グループの事業領域拡大に向けた新規事業の育成・強化等にも引き続き取り組んでまいります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) サステナビリティ全般に関する取り組み
① サステナビリティ基本方針
当社グループは「サステナビリティ基本方針」を定め、特に重点的に取り組むべき課題を「7つのマテリアリティ(重要課題)(1.環境、2.社会、3.人材・組織、4.企業統治、5.土地・資産、6.賃貸住宅、7.暮らし・生活)」として特定しています。この重要課題を解決することで、「夢や将来を託すことができ、社会に、暮らしに、なくてはならない企業」を目指します。
⇒サステナビリティに関する主な取り組みは、下記WEBサイトをご覧ください。
② サステナビリティ推進体制(ガバナンス)
サステナビリティ経営を推進する体制は、サステナビリティ経営方針の決定と監督を行う「取締役会」と、事業を通じたマテリアリティ対応を推進する「サステナビリティ推進会議」、そして経営と執行の橋渡しを行う「サステナビリティ推進課」の3組織によって構成されています。また、マテリアリティ達成に向けて、当社グループ全従業員が主体となって、さまざまな施策に取り組んでいくことで、企業価値向上と社会課題解決の両立を目指しています。
③ サステナビリティ推進に向けた取り組み(戦略)
サステナビリティを経営の主軸として捉え、2021年に当社グループがまず取り組むべき課題として「7つのマテリアリティ(重要課題)」を特定しました。
「7つのマテリアリティ」は、企業活動によって提供する社会的価値を高めるための「経営マテリアリティ」と、当社グループの事業のさらなる拡大を促すための「事業マテリアリティ」から成っており、その双方に取り組むことで、サステナビリティ経営を通した社会課題の解決と企業価値の向上の両立を目指します。
④ サステナビリティに関するリスク管理体制(リスク管理)
サステナビリティに関するリスクは、取締役会の諮問機関であるリスクマネジメント委員会で評価しています。リスクマネジメント委員会は、当社グループの重大な財務上または戦略的な影響を及ぼすリスクと機会の特定・評価を行っています。リスクマネジメント委員会では、当社グループ事業に影響を与える「あらゆるリスク項目」を各事業部門にて洗い出し、リスクマネジメント委員会にて集約し、短・中・長期における発生可能性と当社事業への影響度等を踏まえスコアリングを行い、「重要リスク項目」の評価・特定を行っています。その項目を踏まえ、取締役会にて、特に重大な財務上または戦略的な影響を及ぼす「重点管理リスク項目」のモニタリングを実施しています。
⑤ マテリアリティKPIと長期目標(指標と目標)
特定した「7つのマテリアリティ」に対し、KPIを設定し進捗を管理しています。同時に、2030年に向けた中期目標を定め、目標達成に向けて取り組みを推進しています。

(2) 気候変動への取り組みとTCFDへの対応
① 基本方針
当社グループは、気候変動を中心とした環境への取り組みを、企業価値を高めるための取り組みとして捉え、2020年に環境経営戦略「DAITO 環境ビジョン2050」を策定し、「建築」「暮らし」「ごみ」「企業」「自然」「人」の6つの領域における環境配慮の取り組みの方向性を示しました。さらに、当社グループが特に重点的に取り組むべき課題として2021年に特定しました「7つのマテリアリティ(重要課題)」には、「事業活動による気候危機への対応」を掲げました。今後、当社グループの持続的な成長のためには、環境経営と成長戦略の一体化は不可欠であると考えています。経営資源や蓄積したノウハウなど、グループ全体の強みを活かしながら、環境課題の解決と利益創出の両立を目指します。
また、当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、気候変動が事業に与える「リスク」と「機会」の把握に努めるとともに、統合報告書やサステナビリティレポートなどにおいて透明性の高い情報開示を行っています。
⇒気候変動に関する主な取り組みは、下記サステナビリティレポートをご覧ください。
② 気候変動対応に関する推進体制
当社グループでは、(1) サステナビリティ全般に関する取り組みでも記載のとおり、特に重点的に取り組むべき課題「7つのマテリアリティ」の推進に向け、代表取締役社長執行役員を議長とする「サステナビリティ推進会議」を設置し、課題解決に向けた具体的な取り組みの協議、推進を行っています。ここで協議した内容は、定期的に取締役会へ報告を行い、方針や取り組みへの助言と進捗管理をしています。また、環境経営プロジェクト委員会を設置し、グループ会社も含めた環境経営体制の構築を強化しています。定期的な全体会議を通して、現状の把握と課題解決に向けた議論を行い、グループ全体の環境に関する気候変動への対応を中心とした取り組みを推進しています。
③ 事業リスク・機会の認識と事業戦略
当社グループは「7つのマテリアリティ」にも設定している「気候危機(気候変動)」を特に重要な環境課題として認識しています。気候危機は当社グループの事業活動に対して、さまざまな「リスク」と「機会」をもたらす可能性があり、企業としてそれらに対応していくことが重要であると考えています。今後、当社グループが長期的に存続・成長していくために、これらの「リスク」と「機会」を見極め、企業としての強み(経営資源・専門性など)を活かしながら経営戦略への反映が必要であると考えています。
<事業リスク・機会の認識>
a.気候変動におけるリスクと機会
気候変動におけるリスクと機会を評価するため、気候変動シナリオ(1.5℃シナリオ、2℃未満シナリオ、4℃シナリオ)に基づき、短期・中期・長期の事業への影響を評価・分析しています。
●移行リスク
●物理的リスク
●機会
b.財務的影響の分析・算定
気候変動におけるリスクと機会を評価するため、財務的影響についても算定しています。
[前提要件]
・実施時期:2023年1月~3月(1.5℃シナリオを新たに採用)
・対象期間:2023年~2050年(短期:2025年、中期:2030年、長期:2050年)
・対象範囲:大東建託グループにおける建築・不動産事業
・算定要件:気候変動シナリオ(STEPS、NZE、RCP等)に基づき分析項目別に対象期間内に想定される利益影響額を算定リスクは事象が発生した際の影響額で算定
●移行リスク
炭素税導入による営業活動、施工現場管理、物流などに対する課税や、材料コストの増加が想定されます。コスト増加に伴う販売価格高騰により、オーナー様の賃貸事業へのマインド低下につながり、売り上げ減少になることを政策・法規制リスクとして想定しています。また、電動車両(EV)の普及及び再生可能エネルギーへの移行に伴うコスト増加を技術リスクとして想定しています。

●物理的リスク
気温によって、突発的な風水害が多発し、太陽光パネルの破損等による修繕費の発生することを急性リスクとして認識しています。また、気温上昇により、工事現場の環境が悪化し、現場労働効率の低下や、事務所の空調費用の増加などを、慢性リスクと認識しています。

●機会
当社グループが、先行してZEH賃貸住宅の標準化、LCCM賃貸住宅の開発・販売している現状は、将来に向けた準備と捉えることができ、市場シェア拡大などに有利となる機会になると認識しています。

④ 気候変動対応に関するリスク管理体制
気候変動に関するリスクについても、サステナビリティ関連のリスクと同様に、「リスクマネジメント委員会」にて評価を実施しています。気候変動を起因とする異常気象・自然災害については、「重点管理リスク項目」として特定しており、大規模な自然災害により、顧客・従業員・管理建物・建築建物・事業所が被災し、復旧に多大な時間とコストを要することで、個々の事業継続に支障をきたすと考え、具体的対策を協議・実施しています。
⑤ 気候変動関連の中長期目標
<温室効果ガス削減目標>
温室効果ガスの削減に向けて、SBTの認定を取得した温室効果ガス削減目標を設定しています。
●事業活動に消費するエネルギー由来のCO2排出量(スコープ1・2)
2030年までに(2017年度比)55%削減
*SBT 1.5℃水準として認定取得済、SBTネットゼロ水準として認定申請中
●当社グループの賃貸集合住宅の使用時に排出されるCO2排出量(スコープ3)
2030年までに(2017年度比)55%削減
*SBTネットゼロ水準として認定申請中
(旧目標「2030年まで16%削減」はSBT 2℃水準として認定取得済)
<再生可能エネルギー目標>
事業活動に必要なエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄うことを目指して「RE100」に加盟し、目標を設定しています。
●2040年までに、当社グループの事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーに
●賃貸住宅での太陽光発電設備拡大による再生可能エネルギー普及促進に貢献
<エネルギー効率目標>
エネルギー消費量の削減などを目指して「EP100」に加盟し、目標を設定しています。
●2030年までに当社グループのエネルギー効率を2倍(2017年度比)にする。
※エネルギー効率=売上高/エネルギー消費量
(3) 人的資本に関する取り組み
[人材育成の方針]
① 人材育成方針
当社の持続的成長の前提となる人材の育成を推し進め、学び続ける企業風土を醸成するため、2016年4月より役員・従業員の全階層を対象とする人材育成プログラムを導入しました。従来の教育理念を継承、発展させるとともに、ポータビリティスキル(業種や職種が変わっても「持ち運び可能な能力」)や事業特性に応じた職種別のスキルの習得を軸に研修を体系化し、展開しています。今後も更なる事業環境の変化に対して、経営理念・経営基本方針・行動規範を具現化できる柔軟で自立自律的な人材を持続的に輩出できるよう、仕事のやりがいや成長意欲を導き出すキャリア自律の支援やリスキリングなどの視点を加えて、更なる人材育成の強化に取り組んでいきます。
<人材育成>
a.当社の人材育成プログラム

※2023年3月時点
職種別研修は、各職種における専門の教育部門にて全階層へ実施
b.建託士 試験制度
当社では、社業や建物賃貸事業に関する知識習得を目的として、オリジナルの社内資格として認定する「建託士」試験制度を導入しています。当社グループの「賃貸経営受託システム」を中心に、市場関連知識、商品知識、税務知識、専門用語など、土地の有効活用を提案する上で必要な幅広い知識習得を支援しています。
c.資格取得者数
通信教育や事業との関連性が高い資格(1級建築士・一級建築施工管理技士など)の取得に向けた各種支援を実施しています。また、資格取得者には一定要件のもと、資格技能手当を支給しています。
〔主な資格取得者数〕
(注)1.大東建託・大東建託パートナーズ・大東建託リーシングの合計数となります。
2.取得者数には資格試験合格者も含みます。
d.社内ベンチャー制度「ミライノベーター」
当社グループでは、2020年4月より新規事業の創出によるグループ売上利益の拡大と、それに必要な社内起業家支援、それを支える当社グループ従業員が能動的に企画立案できる企業風土の創出を目指した、社内ベンチャー制度「ミライノベーター」を開始いたしました。従業員には自らのアイデアを提案できる場、そして自らの成長を会社の成長とともに実感できるチャレンジングな環境づくりを提供し続けたいと考えています。本制度は、段階に応じたワークショップや個別相談会とインセンティブに加え、事業化に向けて社内外のメンターや執行役員クラスが提案者のサポートを行うことで、事業の蓋然性を高めるとともに、提案者の経営目線も養っています。また、ミライノベーターを経験した社員がメンターとして提案者のサポートを行うことで、人的資源の好循環が生まれています。その結果、過去4回の選考で、目標提案数延べ780件に対し、延べ942件の応募があり、そのうち最終審査を通過したアイデア15件※が事業化に向けて実証実験を行ってきました。
※撤退も含めた2023年3月末時点の定時応募及び随時応募件数
<人材の確保>
当社は新卒採用及び中途採用により事業に必要な人材を確保しており、優秀な人材の採用に向けて、市場環境に対応した採用手法の改善や訴求方法の見直し(SNS活用・新卒ご家族様向け会社説明会・新たな募集層や募集ルートの拡大など)を行っています。また、当社は特定分野において、市場価値の高い公的資格や高度な知識・技能を有した従業員を認定する「専門職制度」(エキスパート・スペシャリスト職)を導入しており、新技術や新製品の開発、新規事業の開拓、大規模プロジェクトの遂行といった事業優位性の向上に大きく寄与する領域で多数の専門職が活躍しています。
<評価・報酬>
当社は経営基本方針に「高い生産性を背景とした高賃金主義に徹する(成果主義の人事処遇)」を掲げており、従来より成果主義を導入し、属性に関係なく、役割・貢献・成果に応じた適正な処遇の配分を実施しています。また、職種毎の事業特性に応じた諸手当の充実化にも柔軟に対応しています。評価制度においては、経営計画と各組織及び従業員の個人目標との連動性を高めるため、目標管理制度を導入しています。今後も社会情勢を踏まえながら、採用競争力や人材定着力を高める適正な報酬水準の実現と従業員の目標達成意欲につながる評価制度の運用を強化していきます。
[社内環境整備の方針]
① 多様性に関する取り組み
当社グループは、サステナビリティ経営を推進していく上で、企業として持続的な成長をし続けるためには、個を尊重し、認め合い活かしていく、ダイバーシティが必要不可欠だと考えています。社員の成長が会社の成長であり、優秀な人材の確保(採用・就業継続)、育成が経営上の最重要課題と考え、当社では「みんなの個性を、会社の力に。」をテーマに「多様性が強みとなる」組織づくりを目指しています。
<ダイバーシティ推進体制>
当社では2015年にダイバーシティ推進専門組織として人事部内にダイバーシティ推進課を新設し、更なる推進強化のため、2022年度より人事部から独立させ、部として取り組みを進めています。多種多様なバックグラウンドを持つ人材が、お互いに尊重し合い、いきいきと活躍できる組織作りの実現には、トップダウンだけではなくボトムアップも必要不可欠であると考えています。そのため、当社グループは従業員からの声を収集しやすい風土や体制づくりに注力し、集められた声をもとに制度の見直しや職場環境の改善に取り組んでいます。
<ダイバーシティ推進に向けた取り組み>
当社における具体的取り組みとしては「ジェンダー平等」「多様な人材の活躍」「働き方改革」「ワークライフバランス」を主軸とし、「ジェンダー平等」では、女性管理職比率の向上のため、優秀な女性を登用するだけでなく、資質のある女性を見つけ出し計画的に育成して引き上げるという考え方へ変えるために、2021年10月から「女性育成プログラム」を導入しました。クオータ制を導入し、設定した女性管理職数の登用に向けて、各職種の執行責任者(役員)が候補者を選定し、それぞれにあった育成計画を立て、女性に特化した研修の参加、上司とのレビュー、役員との交流(上級管理職候補者対象)などにより候補者本人たちの不安の解消や自信、意欲につなげています。クオータ制を職種毎ではなく全社的に推進するために、執行責任者で構成された女性活躍推進委員会を定期的に開催し、経営層主導で推進しています。
<ダイバーシティ関連の指標・目標>
② 健康経営に関する取り組み
当社では健康経営の取り組みを通じ、企業価値を高め、地域社会の健康づくりに貢献しています。2018年に制定した「大東建託グループ健康宣言」に基づき、従業員一人ひとりが健康でいきいきと働けるよう、健康経営を重要な経営課題として位置づけ推進しています。
<健康経営の推進体制>
当社の健康経営は、統括産業医、保健師、健康保険組合や大学などが協働しています。安全衛生委員会は、情報連携や審議を行うためだけでなく、従業員の意見のボトムアップにも役立っています。また、全国の全ての支店に約1,000名の衛生管理者を健康経営推進担当者として配置することで、分散型事業場において健康経営を速やかに垂直・水平展開できる体制を構築しています。
<健康経営に関する取り組み>
「大東建託グループ健康宣言」に基づき、健康運動指導士や管理栄養士などの専門知識を活用し、専門職の力を使いつつ、従業員全員が楽しみながら自身の健康を考えていけるような健康施策を推進しています。その他には、健康保険組合と連携し、ヘルスケアアプリを活用導入した情報提供、インフルエンザの予防接種、ウォーキングキャンペーンなどを実施しています。
<健康経営関連の指標・目標>
③ 従業員エンゲージメント・職場環境向上に関する取り組み
<従業員エンゲージメント・職場環境向上に向けた取り組み>
a.従業員エンゲージメント調査
当社グループは2021年度より「従業員エンゲージメント調査」を実施しています。全社及び各部署における組織の強み・弱みといった組織状態を明確にし、全社組織課題の解決に対しては本社が主導し、各部署に応じた組織課題には各管理職が主導するという両輪で、各種施策の検証や職場改善活動に取り組んでいます。今後も、従業員一人ひとりが「自立自律」「働きがい」「誇り」を実感できるエンゲージメントの高い企業を目指し、「夢や将来を託すことができる企業、誇れる企業」の実現に向けて取り組んでいきます。
●調査結果を踏まえた組織風土改革への取り組み
b.社内評価指標(健全経営ランキング)
当社では、組織活性施策として、従業員エンゲージメントのほか、2018年8月より営業成績や収益という短期的な業績結果だけではなく、「生産性」「人材育成」「働きやすい職場環境づくり」など、プロセスや就労環境といった支店・部門の中長期的な健全経営に欠かせない要素にも着目した独自の評価指標「健全経営ランキング」を導入・展開しています。評価項目毎に共通の基準・計算式に従って評価ポイントを算出した上で各支店・部門のランキングを決定・開示し、従業員主導の就労環境改善につなげています。また、優良支店の従業員とそのご家族様が一緒に使える褒章制度を導入するなど、組織の一体感向上につながる工夫なども行っています。
●主な評価項目
<従業員エンゲージメント・職場環境向上関連の指標・目標>
※調査は株式会社リンクアンドモチベーション「エンゲージメントサーベイ」において実施し、同社の算定基準による評価及び偏差値
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 原材料費等の高騰による原価の上昇、利益率の低下
当社は、賃貸建物の建設において、当社が元請けとなり、当社の現場監督(施工技術者)が直接施工業者に分離分割発注を行い、完成工事原価の抑制を実施しています。しかしながら、各種建設資材の価格上昇や労務費の上昇などにより、売上総利益率が低下する可能性があります。
(2) 税制改正による業績への影響
当社は、土地所有者に土地有効活用として賃貸マンション・アパートの建設を提案するコンサルティング営業を行い、建設受注を獲得しています。現在において土地活用の有効な手段は、建物賃貸事業経営とされていますが、税制改正により建物賃貸事業に関連する税負担等に変更があった場合、受注高が変動し業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 金利の急上昇による受注キャンセル
土地所有者が建物賃貸事業を行う際、建物の建築代金は金融機関からの借入れにて調達することが一般的です。現在、長期金利は、依然、低金利状況が続いており、土地所有者が建物賃貸事業に踏み切る一つの要因となっています。金利が急激に上昇した場合、採算悪化を懸念した土地所有者が発注キャンセルを申し出るケースや建築プランの見直しが必要となるケースが発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法施行・法改正等に伴う経費増
当社グループは、建設業許可、建築士事務所登録及び宅地建物取引業免許等の許認可を受けて事業を展開し、またこれらの関連法令をはじめその他各種の法令等に基づいた企業活動を行っています。これらの法令等を遵守するためにコーポレートガバナンス及びコンプライアンス推進体制を強化していますが、新たな法令等が施行された場合、当該法令等に対応するための経費が追加的に発生し、業績に影響を与える可能性があります。
(5) 個人情報の漏洩等のリスク
当社グループは、土地所有者や入居者等、様々なお客様の個人情報をお預りしています。個人情報保護には特に配慮し対策を進め事業活動を行っていますが、万一、個人情報の漏洩等があれば、信用を大きく毀損することとなり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 自然災害によるリスク
大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、被災した当社グループの建築現場・事業所・情報設備等の修復やお客様の建物の点検、被災したお客様への支援活動等により、多額の費用が発生する可能性があります。また、被災地域において、社会インフラが大規模に損壊し、相当期間に亘り生産・流通活動が停止することで建築資材・部材の供給が一時的に途絶えたり、多数の社員が被災し勤務できなくなることにより、契約締結・工事着工・工事進捗や入居者斡旋活動が滞り、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(7) 品質管理等に関するリスク
当社グループでは、施工基準書に定めた品質の確保に対して、施工業者、工事監督、設計者(工事監理者)による確認を行い品質確保に努めています。検査時には特に各工程の隠蔽部の確認を行い、完成時には施工状況を施工品質記録にまとめ「自主検査報告書」を施主に提出しています。しかしながら、予期せぬ事情により重大な品質問題が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
(8) 建設技能労働者減少に関するリスク
建設技能労働者数は年々減少しており、2025年には286万人まで減少(2015年対比16%減)すると予測されています。建設技能労働者数減少を見据えた対策として、現場作業の省力化、建設用ロボットを活用した現場作業の自動化、および外国人技能実習制度を通した協力業者に対して技能実習生の受入れの支援などを行っています。しかしながら、想定を超える建設技能労働者の減少によって業務の生産性低下や工期の長期化等が発生した場合、業績に影響を与える可能性があります。
(9) 気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動が事業活動に与える「リスク」へ適切に対応し、気候変動による「機会」を成長の機会として捉え、事業活動に取り組んでいくことが重要課題の一つと認識しています。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方と取り組み (2)気候変動への取り組みとTCFDへの対応」に記載しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響による行動制限等の緩和に
伴い、社会活動の正常化が進み、緩やかな景気回復の兆しが見られました。しかしながら、住宅業界においては、
資材やエネルギー価格の高騰、円安の進行等の影響から、依然として先行き不透明な状況が続いており、世界的な
インフレ継続に伴うサプライチェーンへの影響について引き続き注視していく必要があります。
新設住宅着工戸数は、2022年4月~2023年3月累計で前年同期比0.5%の減少と、ほぼ横ばいとなりました。当社
グループが主力とする賃貸住宅分野においては、貸家着工戸数が前年同月比25ヶ月連続して増加し、2022年4月~
2023年3月累計では前年同期比5.0%の増加となりました。
こうした状況の中、今後も利便性の高い、安心・快適な賃貸建物の需要は引き続き底堅く推移するものと見込ま
れます。賃貸住宅分野は、入居需要に基づく健全な賃貸建物経営のノウハウに加え、入居者様の多様化するニーズ
に応え、環境に配慮した賃貸住宅、災害に強い防災賃貸住宅、ライフスタイルに合わせた賃貸住宅など、サステナ
ブルな付加価値を生み出していく必要があります。
今後も、120万戸超の管理戸数を活かしたストックビジネス等、賃貸住宅事業及び周辺事業の更なる強化を図って
いくとともに、賃貸住宅事業以外の新しい取り組みも着実に促進させ、賃貸住宅事業を基盤とした生活総合支援企
業を目指し、収益の最大化を図ってまいります。
以上の結果、当社グループの連結業績は、売上高1兆6,576億26百万円(前期比4.7%増)、利益面では、営業利益1,000億円(前期比0.4%増)、経常利益1,038億98百万円(前期比0.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益703億61百万円(前期比1.1%増)となりました。
売上高は、前連結会計年度に比べ746億23百万円(4.7%)増加し、1兆6,576億26百万円となりました。これは主に、工事が順調に進捗したこと等により完成工事高が267億41百万円(6.2%)増加し、一括借上物件の増加等に伴い不動産事業売上高が387億71百万円(3.6%)増加したことによるものです。売上総利益は、前連結会計年度に比べ16億94百万円(0.7%)減少し、2,584億48百万円となりました。これは主に、一括借上物件の増加及び入居者斡旋件数の増加等により不動産事業総利益が44億62百万円(3.6%)増加した一方で、完成工事原価の増加等により、工事総利益が89億41百万円(8.4%)減少したことによるものです。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ21億1百万円(1.3%)減少し、1,584億47百万円となりました。これは主に人件費が37億3百万円減少したこと等によるものです。
この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ4億6百万円(0.4%)増加し、1,000億円となり、経常利益は、前連結会計年度に比べ2億27百万円(0.2%)増加し、1,038億98百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
建設事業は、工事が順調に進捗したこと等により、完成工事高が4,595億72百万円(前期比6.2%増)となりました。また、完成工事総利益率は、輸入木材をはじめとする資材価格の高騰等の影響により、前期比3.4ポイント減少の21.3%となりました。その結果、営業利益は、213億23百万円(前期比39.6%減)となりました。
建物種別の完成工事高及び次期繰越工事高は、次のとおりです。
(注)前事業年度及び当事業年度において完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
受注工事高は、新型コロナの収束に伴う営業活動の制限緩和等により、5,037億70百万円(前期比19.7%増)となり、2023年3月末の受注工事残高は、7,218億71百万円(前期比1.5%増)となりました。
受注実績は、次のとおりです。
(注)当社グループでは、建設事業及び不動産事業の一部以外は受注生産を行っていません。
生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載していません。
②不動産事業
不動産事業は、「賃貸経営受託システム」による一括借上物件の増加や過去最高水準の入居率を背景に、借上会社である大東建託パートナーズ株式会社の家賃収入が増加したことや「連帯保証人不要サービス」を提供しているハウスリーブ株式会社の収入拡大等により、不動産事業売上高が1兆1,030億2百万円(前期比3.6%増)となり、営業利益は815億65百万円(前期比4.6%増)となりました。
不動産事業の売上実績の内訳は、次のとおりです。
管理戸数は、前期比2.2%増の1,259,468戸となりました。
入居者斡旋件数(注1)は、前期比同水準の341,304件となりました。2023年3月の家賃ベース入居率(注2)は、居住用で前年同月比0.1ポイント低下の98.0%、事業用で前年同月比0.2ポイント上昇の99.5%となりました。
(注) 1.大東建託リーシング㈱、大東建託パートナーズ㈱の合計件数(他社管理物件含む)
2.家賃ベース入居率=1-(空室物件の借上家賃支払額/家賃総額)
③金融事業
金融事業は、土地オーナー様、入居者様へ家賃や家財を補償する少額短期保険ハウスガード株式会社の契約数の増加、大東ファイナンス株式会社の利息収入の増加等により、売上高が前期比7.3%増の107億77百万円、営業利益は前期比2.9%減の44億45百万円となりました。
④その他
その他の事業は、新型コロナの収束に伴うマレーシアホテルの稼働率の改善及びガス供給事業における延べ稼働メーター数が増加したこと等により、その他の事業売上高は842億74百万円(前期比11.0%増)、営業利益は106億43百万円(前期比7.8%増)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前期末比560億30百万円増加の1兆619億9百万円となりました。これは主に、販売用不動産206億59百万円、有形固定資産137億54百万円、現金預金79億99百万円及び投資その他の資産のその他68億35百万円が増加したことによるものです。
セグメントごとの資産は、次のとおりです。
①建設事業
建設事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ60億95百万円増加し、1,250億14百万円となりました。これは主に、販売用不動産の増加によるものです。
②不動産事業
不動産事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ251億93百万円増加し、3,800億30百万円となりました。これは主に、一括借上修繕引当金の増加に伴う繰延税金資産の増加、太陽光発電設備の新規設置による増加及び一括借上物件の増加に伴う前払家賃の増加によるものです。
③金融事業
金融事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ21億71百万円減少し、1,332億3百万円となりました。これは主に、大東ファイナンス株式会社による営業貸付金の減少によるものです。
④その他
その他事業の総資産は、前連結会計年度末に比べ185億76百万円増加し、1,806億38百万円となりました。これは主に、ガス供給事業におけるLPガス設備の増加、大東建託株式会社及び株式会社インヴァランスの販売用不動産の増加によるものです。
当連結会計年度末の負債は、前期末比168億85百万円増加の6,569億76百万円となりました。これは主に、一括借上修繕引当金197億16百万円及び工事未払金136億61百万円が増加した一方、賞与引当金が93億12百万円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産は、前期末比391億45百万円増加の4,049億33百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により703億61百万円及び為替換算調整勘定60億36百万円増加した一方、配当金の支払いにより366億38百万円減少したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比1.7ポイント増加して38.2%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度において現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比125億12百万円減少し、当連結会計年度末の残高は2,463億12百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、821億2百万円の獲得(前連結会計年度は1,124億83百万円の獲得)となりました。主な獲得要因は、税金等調整前当期純利益の計上1,018億36百万円、一括借上修繕引当金の増加額197億16百万円、減価償却費166億49百万円及び仕入債務の増加額136億48百万円です。一方、主な使用要因は、法人税等の支払額437億96百万円及び販売用不動産の増加額204億26百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、570億93百万円の使用(前連結会計年度は195億11百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、定期預金の払戻による収入153億7百万円及び有価証券の売却及び償還による収入31億円です。一方、主な使用要因は、定期預金の預入による支出357億76百万円、有形固定資産の取得による支出227億16百万円、投資有価証券の取得による支出71億61百万円及び無形固定資産の取得による支出52億3百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、400億63百万円の使用(前連結会計年度は340億89百万円の使用)となりました。主な獲得要因は、長期借入による収入93億16百万円です。一方、主な使用要因は、配当金の支払額366億38百万円及び長期借入金の返済による支出145億84百万円です。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した資金及び金融機関からの借入れ及び社債発行により調達した資金を運転資金、投資資金並びに配当金の支払等に投入しています。
(キャッシュ・フロー関連指標の推移)
(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2.いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
4.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
5.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としています。また利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。
当社は、2022年9月22日開催の取締役会において、当社を承継会社、当社完全子会社である大東建託リーシング株式会社(以下「大東建託リーシング」という。)を分割会社とする会社分割(簡易吸収分割)を行い、大東建託リーシングのビル賃貸事業の一部を、当社に承継することを決議し、同日付で吸収分割契約を締結しました。その後、2022年11月1日付で、当社は本件事業を承継しました。
詳細は「第5経理の状況 2財務諸表等 財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載しています。
当社は、土地所有者の皆様に建物賃貸経営を総合的にお任せいただき、その価値を高めていくために、事業効率の高い賃貸建物を提案しています。そして、多様化する入居者様ニーズに対応するため、商品開発部・技術開発部を主幹担当部門として、新工法・資材の開発を含め、商品ラインナップの充実に積極的に取り組んでいます。
当連結会計年度の研究開発活動に係る投資総額は
商品開発部においては、「環境」「防災」「ライフスタイル」の3つを軸にした「新しい価値」を創造する賃貸住宅のラインナップを充実させるため、上半期8商品、下半期6商品の計14商品を新たに開発しており、一部をご紹介します。
「環境」に配慮した商品『ニューライズ』は、標準でZEHオリエンテッド基準に対応しています。加えて、太陽光パネルや建物の高断熱化、省エネ性能の高い設備のオプション設置により、ZEHからLCCM基準まで対応し、企業活動を通じて脱炭素社会の実現に貢献ができる商品です。
「防災」に配慮した『ぼ・く・ラボ賃貸』第2弾となる『エール』は、災害時に求められる「自助・共助」の必要性と、「在宅避難」へのシフトを社会課題として捉え、地域防災を後押しする商品として「備蓄」と「コミュニティ形成」をコンセプトに開発しました。災害時には非常用電源にもなる「蓄電池」を設置できる防災オプションもとりいれています。
多様化する「ライフスタイル」で自分らしい暮らしを楽しめる『シエルパティオ』は、1階はカップル向け間取りとしプライバシーに配慮したプライベートテラスを設定。2階のファミリー向け間取りには生活空間をきれいに広く快適に生活できる約4帖の「小屋裏収納」を設置しています。また、2022年10月改正された長期優良住宅の新基準に適合する高性能・高耐久の商品です。
多摩美術大学との産学共同研究により、Z世代の視点を通して次世代の「ライフスタイル」を反映した『ヴィジョン マイタグ』を開発しました。住人同士が相互のコミュニケーションを暮らしの価値と感じ、その価値観が街とつながることで賃貸住宅が地域活性の場として貢献します。
その他にも、都市部における自宅の建築や建て替え時に、自宅を収益化する賃貸併用住宅『シエルオーナー』や、北海道向け『ルタンウィル(北海道)』、沖縄向け木造3階建て『ルタンⅢ(沖縄)』など全国の各地域環境にあわせた商品ラインナップを取りそろえ、社会環境変化や多様な市場・入居者様ニーズに対応できるように取り組みました。
商品の開発以外にも将来の活用に向けた研究開発の取り組みとして、主力2×4構造の新たな工法「ミッドプライウォールシステム(MPW)改良型」をカナダ林産業協議会と共同で開発しました。合板を2×4材で挟み込み、従来の2倍の強さを発揮する強靭な高耐力壁で「木造建築新工法性能認証」を取得しました。
「賃貸×野遊び×防災」をテーマとした地域コミュニティをプロデュースする「野遊び賃貸プロジェクト」を発足しました。「防災に強い賃貸住宅」を目指す大東建託と、キャンプの分野で培った強みを活かし住宅や広場に「野遊び」の要素を取り入れた空間作りを進めるスノーピークが、それぞれの理念や取り組みに共感し、野遊び賃貸の拠点『nonoka(野の家)シェアフィールド』の開発に取り組んでいます。
デジタル技術を活用したDX戦略の1つとしてBIMの研究開発にも着手しています。BIMによる商品開発により営業・工事・管理までコア事業で活用し、総合賃貸業の強化を図っていきます。
技術開発部門においては、脱炭素社会の実現に向けた取り組みとして賃貸集合住宅の省エネルギー化を推進しており、今年度はこれまで一般地域(省エネ基準地域区分での4~6地域)でしか提案できなかったZEH基準(ZEH Oriented)を満たす賃貸集合住宅(以下ZEH賃貸集合住宅)について、寒冷地仕様(北海道含む省エネ基準地域区分1~3地域)の開発を完了し、運用開始しました。
太陽光発電設備を搭載したZEH賃貸集合住宅においても、再生可能エネルギー(以下再エネ)の利用促進が進む一方、再エネ電力の固定価格買取制度(以下FIT)に伴う、再エネ賦課(ふか)金の電気料金への上乗せによる電力利用者の負担増加という社会的課題の解決のために、京セラ株式会社と電力買取契約を締結し、FITによらない電力需給スキーム(非FIT)を構築するとともに、販売エリアを拡大しました。
さらに、LCCM(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)基準を満たす賃貸集合住宅(以下LCCM賃貸集合住宅)の開発も行い、2022年10月5日には日本初の規格型LCCM賃貸集合住宅の販売を開始するとともに、国土交通省所管の補助金事業(サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM低層共同住宅部門)にて採択を受けました。また戸建賃貸住宅においても、国内初となるLCCM住宅認定を取得したCLTパネル工法のLCCM戸建賃貸住宅が2023年1月に都内に完成いたしました。
入居者様への付加価値向上となる内装建材・住宅設備の開発として室内の眺望および意匠性と耐久性を向上する防火サッシ仕様の新規導入を行いました。建物の外装には深堀サイディングと、職人不足への対策を兼ね備えた木目柄プレカット軒天材を一部デザインに設定し、意匠性と現場省力化建材を開発いたしました。
2021年度、埋もれていた環境価値を顕在化させる技術として当社初の取り組み、「省エネルギー住宅のCO2排出量削減量」をクレジット化する方法論が、日本で初めてJ-クレジット制度認証委員会から承認・登録され、2022年度に初めてクレジットを創出しました。創出したクレジットは「いい部屋ネットレディス」でのカーボンオフセットに充当し、カーボンゼロのゴルフ大会として開催いたしました。
また、上述の「省エネ」Jクレジットの他に、ZEH賃貸住宅に設置した太陽光による創エネの自家消費分を「再エネ」Jクレジットとして創出する方法論を2023年1月13日に登録完了しました。この方法論によって創出されるJクレジットは非化石証書のように、通常電源に充てることにより再エネとみなすことが可能となります。再エネに切り替えられない、他社ビルのテナントとして入居している弊社グループの支店・営業所・店舗などの電力や、現場の仮設電気に充てることにより、RE100の推進に使用する予定です。
新型コロナウイルス感染症の流行を発端としたウッドショックや、気候変動抑止に向けた森林保全、国内の林業・木材産業保護などの観点から、国産材の利活用は建設業界全体の重要課題です。木造の賃貸集合住宅を主力商品に据える当社グループにおいても、「大東建託グループ 7つのマテリアリティ」で「持続可能な木材の調達と活用」を重要課題に掲げており、2009年に当社の建設する賃貸集合住宅に初めて国産スギ材を採用したことを皮切りに、国産材利活用や森林保全の取り組みを進めてきました。今回、更なる国産材の利活用を目指して、アカマツの研究に取り組んでいます。アカマツは床を支える床根太、屋根面を構成する垂木などの横架材に必要な強度が高いと評価されていますが、2×4工法材としての材料強度試験データが少なく、2×4工法建築における構造材としての利用が進んでいませんでした。そこで、今回、けせんプレカット事業協同組合、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所、岩手県林業技術センターの協力を得て、岩手県を中心に伐採期を迎えたアカマツを使用し、強度試験を実施しました。今回得られた試験結果をもとにアカマツを2×4工法材として利活用を進めることで、国産材100%の2×4工法建築物の実現を目指していきます。また、更なる国産材利用促進に向け、アカマツ以外の樹種についても研究を進め、建設業界の技術革新と国産材利用を国内の森林・林業保全に貢献していきます。