文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、設立50周年を迎えた2019年を、来たる次世代の50年間に向けた「飛躍の年」と位置付け、未来における企業価値の永続的向上に向けて、新たな企業理念である「使命」と「価値観」を再定義しております。本理念は当社グループ社員全員の価値観の共有化を図ると共に、判断・行動の拠りどころとなるものです。本企業理念の下、未来に向けた「あるべき姿」を目指し、グループ一同で一体感を持って、企業価値の向上に努めてまいります。
企業理念
「使命」
Fill your tomorrow
社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たす。
人や社会、環境の調和を尊重し、また、つながりを大切にしながら、空調を核とする事業を通して、お客様や社会からの期待に応える企業として、これからも社会に貢献します。
「価値観」
調和
社会と自然に敬意を払い、つながりを大切にします。
「社会へ向けて」
全ての人・社会・自然とのつながりと多様性を尊重します。
探究
豊かな発想力と熱意を持って、新たな価値の創造に挑みます。
「仕事の姿勢」
未来に対して大胆に挑戦し、創造力を発揮する専門性と人間力を磨きます。
真摯
何事にも強くしなやかに向き合い、期待に応えます。
「個人の資質」
アクティブで且つスピーディーでありながらも誠実さを大切にし、良い品質をお客様に提供します。
絆
仲間と共に、わくわくしながら、成し遂げる喜びを分かち合います。
「仲間へ」
職場の仲間・協力会社の皆さんと、創造し提供する喜びを分かち合い、
また、家族との大切な時間を共有することを大切にします。
会社の方針
新日本空調グループは、『会社の方針』として、次のように事業環境を整えることをお約束します。また、万一、本方針に反する事態が発生した場合、経営トップ自ら率先して問題解決にあたり、原因究明、再発防止に努めます。
「コンプライアンス」
役員・従業員は、法律・社会規範・社内ルールを守ります。違法や違反する行為の動機が、「会社のため」、「お客様のため」という職務上のことや、上司の指示であっても例外ではありません。違法行為、社内ルール違反には厳正な姿勢で臨みます。また、そのような行為を出来る限り未然に防ぐために、社内外通報制度を整備、公開し、その通報者を守ります。
「公正な事業慣行」
役員・従業員は、関係法令および社内ルールを含む腐敗防止や公正な競争、利益相反行為の禁止、贈収賄防止、反社会的勢力との接触禁止、インサイダー取引の防止(以下、腐敗防止等という)に取り組み、公正さ、誠実さおよび透明性を以て事業活動を推進します。また、腐敗防止等に対する取組が不十分と認められる取引先等についても、当社との取引停止を含めた厳しい対応で臨みます。公正さ、誠実さおよび透明性のある事業活動の遂行により、社会、顧客、ビジネスパートナー等のステークホルダーから得られる信用・信頼こそが、かけがえのない財産であることを認識し、活動します。
「リスクマネジメント」
事業運営上のあらゆるリスクに的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することがコーポレートガバナンスの重要な基盤であると認識し、連絡体制を強化し、訓練等を通して迅速な対応に努めます。
「情報セキュリティ管理」
顧客情報や特許権、商標権、著作権等の知的財産の情報と情報システム等の資産を適切に保護・管理し、積極的に活用します。また、従業員に対しては、情報セキュリティに関する意識向上を図ると共に、知的財産や情報管理に関する教育・訓練を実施し、紛失、盗難、不正使用等を防ぎます。
「情報開示と社内外コミュニケーション活動」
社会から信頼される企業集団であることを目指し、正確かつタイムリーな情報に基づき、積極的な広報活動を通じて、ステークホルダーとのオープンで公正なコミュニケーションに努め、経営の透明性の向上を図ります。また、ステークホルダーの皆様からの要望を受け止めると共に、建設的な対話を行い、企業価値の向上に役立てます。
「環境」
持続可能な地球環境の実現のために、気候変動の緩和と適応や環境への負の影響の最小化に向け、環境問題を経営の重要課題と位置づけ、事業活動のみならず、職場環境に至るまで、全ての業務プロセスにおいて、環境に配慮した活動を推進します。また、調達先や協力会社に対しても、環境に配慮した業務遂行を求め、地球環境の改善に努めます。
「労働安全衛生」
働く人々の安全確保が企業にとって最重要基盤であると考え、事業活動において、派遣社員、協力会社を含めた働く人々の安全衛生を最優先し、安全で働きやすい環境を確保します。従業員の心身の健康維持・増進を積極的に支援して、健康経営に関する従業員と会社との円滑なコミュニケーションを図ります。また、従業員の声に耳を傾け、一人ひとりが積極的に仕事に取り組み、自由で闊達な発想力を活かす、平等で差別のない明るい職場環境を提供します。更に、ワークライフバランスの充実、労働時間以外の時間帯の適切な確保をサポートし、働きがいを持ち続けられる会社作りを目指します。
「ダイバーシティ」
社会に向けて新たな価値を創造し続けるためには、多様性がもたらすイノベーションが不可欠であると考えています。あらゆる属性の人が平等な雇用と活躍の機会を確保され、多様な個性や能力を十分に発揮できるよう、ダイバーシティ経営を推進します。また、多様性を持った人材の広がりを大切にし尊重すると共に、全ての従業員の公正な処遇を重視します。
「人権」
あらゆる事業活動において、全てのステークホルダーの皆様の基本的人権および個人の尊厳を尊重し、人権侵害に加担しません。万一、事業活動や商品・サービスが、人権への悪影響を及ぼしていることが判明した場合は、適切かつ速やかに対処します。また、不適切な言動によるハラスメント行為を許しません。ハラスメントとなる行為には厳正な姿勢で臨みます。
「労使関係」
「労使相互信頼と相互責任」を基本に、従業員がそれぞれの立場において、プロフェッショナルとして活き活きと活躍できるよう、均等な雇用機会と公正な労働条件を提供します。
「人材育成」
従業員は企業にとって大切な経営資源であり、企業の持続的成長のために人材育成が最も重要であると認識しています。このため、人的資源の高度化を図ることや、従業員一人ひとりがプロフェッショナルとして高い専門性を持って仕事に取り組むことができるよう、それぞれの資質・能力を伸ばすプログラムを提供します。また、過去の経験や先輩から引き継いだ「ナレッジ」の有効活用を図るために、技術に関わる情報の開示に努め、エンジニアの一人ひとりが自信を持って、仕事に取り組むことが出来るように当社技術情報を整備更新します。
「地域コミュニティ」
持続可能な地域づくりのためには、コミュニティの機能不全や活力低下、都市生活の基盤の脆弱化は、重要な社会問題であると認識しています。このような認識のもと、行政や地域コミュニティと協働し、コミュニティの育成と活性化を支援します。また、自然災害やパンデミック等、地域コミュニティが機能不全になるような事態には、関係者の安全確保をした上で、被災地域の復旧・復興支援およびお客様事業の早期再開の支援を行うことに努めます。
「公平、公正な調達」
規模・実績の有無を問わず、開かれた公平でかつ公正な参入機会を提供し、品質、技術、数量、納期の確実性に加え、経営の安定性、技術開発力、環境や社会への取組等も総合的に勘案して、調達先を選定します。
「品質」
顧客が期待する価値を的確に捉え、全ての業務プロセスにおいて、“品質へのこだわり”を持ってSNK品質の提供を行い、信頼され、満足していただける技術とサービスを提供します。そのために各部署、プロジェクトにおいて品質目標を設定し、品質マネジメントシステムを実施し維持すると共に、マネジメントレビュー等を通じて継続的改善を図ります。
「技術革新への取組」
技術開発や異業種とのコラボレーションによるイノベーションにも積極的に取り組み、将来に向けて一歩先の先鋭的技術(テクノロジー)の取得と活用に努めます。
行動指針(従業員の日常行動の心構え)
「夢を持とう」
自分の夢を持ち、それに向かって仕事に取り組むことで、次への扉が開きます。
「誠実に生きよう」
約束や規範を守り、自分に誇れる言動が、他者や社会からの信頼を厚くします。
「当事者意識を持とう」
当事者としての意識を持ってチームの課題に取り組むことで、自信と謙虚さが生まれます。
「学び続けよう」
日々の仕事を通じて専門性や人間性を磨くことが、自己の成長とやりがいにつながります。
「やってみよう、そしてやり遂げよう」
失敗を恐れず挑戦し、その経験を活かすことで、課題を乗り越えることができます。
「支え合おう」
他者への敬意を忘れず、お互いの成功をともに喜び合い、励まし合うことで、強いチームワークが生まれます。
「感謝を伝えよう」
明るい笑顔で心から感謝の気持ちを伝えることで、強く温かい信頼の輪が広がります。
当社グループは、サステナビリティに取り組む基本的な考え方として「サステナビリティ方針」を下記の通り策定し、サステナビリティ委員会を設置し、サステナビリティ活動を推進してまいります。
[サステナビリティ方針]
新日本空調グループは、「社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たす。~Fill your tomorrow~」を企業理念に掲げています。この理念の下、本方針においてサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、この理念を支える「会社の方針」と「行動指針」に従いESG経営を推進し、社会と環境との調和、つながりを大切にしながら、空調を核とする事業を通して、お客様や社会からの期待に応える企業として成長し続けるとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
[サステナビリティ委員会設置(サステナビリティ推進体制のガバナンス強化)]
当社グループは、取締役会がサステナビリティを巡る課題に対応するために、中長期的な企業価値向上の観点から、「サステナビリティ委員会」を設置し、これらの課題に積極的・能動的に取り組んでまいります。
具体的には、サステナビリティを巡る課題への対応を取締役会として検討し、方針を決定し、決定した方針に沿って目的が達成されているかをモニタリングしてまいります。「サステナビリティ委員会」で策定した方針に基づき、「サステナビリティ推進委員会(元CSR・ESG戦略委員会)」が、サステナビリティを巡る課題に対応する戦略を策定・推進する役割を担ってまいります。
[当社が取り組むマテリアリティ(重要課題)]
サステナビリティ活動に取り組むべき課題として、企業理念である「使命」と「価値観」に加え、15項目の「会社の方針」並びに「SNK Vision 2030」等に沿って整理された社会課題に鑑み、「マテリアリティ(重要課題)」を特定し、ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションに努め、サステナビリティ活動の推進に繋げております。
2022年度に特に優先して取り組む「マテリアリティ(重要課題)」は、「人権」「ダイバーシティ」「環境」の三つと定め、それぞれを推進する社内体制を構築し、サステナビリティ活動に取り組んでまいります。

(3) 経営環境
当連結会計年度における経済状況は、新型コロナウイルスの全世界的まん延が依然衰えず、人々の暮らしや企業活動に大きな影響を与え続け、加えてロシアのウクライナ侵攻により、景気の先行き不透明感が高まりました。日本経済においては、新型コロナウイルスのまん延防止等重点措置が解除され、企業の景況感にはバラつきがあるものの、ようやく回復の兆しが見えだしました。
建設業界におきましては、都心を中心とした再開発案件や製造業の設備投資は引き続き堅調でしたが、資機材・労務費・運搬費の上昇傾向や技術者・技能労働者不足は継続しております。また、AIやIoTを活用した技術革新と、カーボンゼロへの対応、デジタルトランスフォーメーション、働き方改革による生産性向上への取組みは不可欠となり、更に、気候変動などの地球環境問題への配慮、従業員の健康・労働環境への配慮など、サステナビリティを巡る課題への対応は、今後の事業の継続・成長には欠かすことのできない経営課題となりました。
このような環境下、当社グループは、10年ビジョン「SNK Vision 2030」を、「新日本空調グループは、持続可能な地球環境の実現とお客様資産の価値向上に向け、ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指します。」と定め、達成に向けた第1フェーズとして中期経営計画[SNK Vision 2030 PhaseⅠ](2020年度~2022年度)を策定し、5つの基本戦略である①事業基盤増強戦略、②収益力向上戦略、③人的資本戦略、④デジタル変革戦略、⑤企業統治戦略 を掲げ、計画2年目の事業運営を進めてまいりました。
国内建設市場では、持続可能な社会の実現に必要な低炭素化社会への移行、技術革新などに対する投資は堅調に推移すると見込んでおり、社会からの課題に的確に応えられる技術開発、技能労働者減少を見据えた施工体制の構築および生産性の向上などが一層求められると考えています。
当社グループは、将来起こりうる変化やその先の見通しに対して、柔軟且つ機敏に対応できる組織であるために、2030年を節目とした10年ビジョン「SNK Vision 2030」を定めております。
[ SNK Vision 2030 ] の基本方針
新日本空調グループは、
持続可能な地球環境の実現と、お客様資産の価値向上に向け、
ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指します。
当社グループが提供する建築設備システムは、お客様の重要な資産となり、事業活動の源泉となるものです。従い、当社グループは建築設備システムを構築、提供し、維持更新する活動を通じ、お客様のみならず、多くのエンドユーザーの生活や環境を当社のナレッジとテクノロジーで支え続けていきます。
そして、2030年における当社グループのあり姿を以下の通り想定し策定しております。
ビジネス環境の基盤は、情報通信技術の急速な進歩に伴い、「モノ(所有価値)」から「コト(利用価値)」といった価値定義の変化の中で、高効率・大量生産による消費社会から、変化対応型の発想重視の社会へ変化してきており、知的資本の創造やその活用が今後の企業競争力に影響を与えることが考えられることから、知的資本を構成する、人的資本、組織資本、関係資本にサステナビリティ資本を加え、これらを価値創造の根幹として、その堅固な根幹に支えられたビジネスモデルが当社グループの将来価値を創造することになります。従い、自然資本の持続的成長を約束しつつ、知的資本の変革と研鑽による持続的成長が当社グループの企業価値を向上させると考えております。

4つの知的資本を活かし続ける変革、研鑽と将来への跳躍をスローガンとして、2030年における経営計画目標に対する5つの基本戦略を掲げ企業価値の向上に取り組みます。
(5) 中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseI」(2020~2022年度)の経営課題と対処すべき施策
SNK Vision 2030の第1フェーズとなる2020年から2022年の3ヵ年は、人的資本、関係資本、組織資本にサステナビリティ資本を加えた4つの知的資本を活かし続ける変革の期間ととらえ、SNK Vision 2030で掲げる5つの基本戦略に基づく対処すべき課題を以下の通り定めます。
事業基盤増強戦略
資本コストを意識した事業ポートフォリオの実現と新たな事業領域の展開による収益基盤の拡大を目指す。
①資本コストを意識した収益性評価による事業ポートフォリオの実現に向けた当社グループの成長戦略の実行
②新たな関係価値創造による事業領域の拡大と新分野への事業展開
③社会や顧客の要請に応えるための積極投資によるSNKブランドの差別化
④海外事業領域の将来性を見据えた事業基盤拡大
収益力向上戦略
事業収益力の向上と施工遂行力の持続的成長を実現する現場機動力の増強に資する安全品質管理体制の強化と生産性向上を目指す。
①事業収益力の源泉である現場収益性を見据えた原価構成の最適化追求
②新工事管理システムの運用による安全品質管理の徹底とIoT、AI技術を駆使した設備資産管理手法の確立
③現場機動力の増強に資する協力会社を含めたサプライチェーンの関係性強化と施工遂行力の持続的成長を見据えた現場人材確保
人的資本戦略
多種多様、多才な人材を有し、様々な専門領域にて、自己のキャリアプランと会社のキャリアパスが有機的に結びつく人的資本の育成と、働き方改革を実現する現場や事業基盤増強戦略に基づく事業分野への人材を傾斜配分する。
①多種多様、多才な人材の発掘、育成、活用に資する人事制度改革の推進
②ゆとりのある労働環境の実現に向けたワークスタイルの変革と現場人材の増強
デジタル変革戦略
デジタル変革社会に則した高度情報活用の推進と業務機動性の更なる向上を目指すために、デジタルによる情報活用を推進し、情報通信技術の高度化による当社独自のICTプラットフォームを構築し、存在価値を高める。
①ナレッジを最大限に活用するマネジメントシステムの構築と運用
②デジタル変革の進化に追従するデジタル化戦略の実行と情報解析技術の研鑽
企業統治戦略
持続的地球環境の実現とステークホルダーの長期的価値向上を見据えたCSR・ESG経営の浸透展開と、それを支えるコーポレートガバナンス体制の強化を推進する。
①心豊かな社会そして地球環境の維持を組織の命題ととらえ、SDGsの目標達成に資するCSR活動の推進
②持続的成長を確実にするコーポレートガバナンス変革への挑戦
③エンゲージメント経営の実践によるインフラ型組織への変革
(6)目標とする経営指標
「SNK Vision 2030 PhaseI」における最終年度(2023年3月期)の連結経営数値目標を次の通り定めます。なお、当社グループはこの新3ヵ年中期経営計画の実施に対し、中長期的視野での経営体質強化および新事業展開等を図るための研究開発や設備投資等を勘案するとともに、今まで以上に収益性や効率性向上に努め、結果としてROEを高める中長期的な成長を重視し、2030年への持続的成長と新たな企業価値の創造を目指します。
(7)新型コロナウイルス感染症に伴う事業への影響
新型コロナウイルスの全世界的まん延が依然衰えない中で、オミクロン変異株の感染が急拡大し、社会経済や消費に様々な影響を及ぼすものと予測しております。しかしながら現時点では、当社グループの業績に及ぼす影響を見通す事は困難な状況にあります。今後の同感染症の動向を見極め、当社の事業活動や経営成績に影響を及ぼすおそれが生じた場合は、速やかに開示いたします。
また、当社グループでは、感染拡大防止の観点から、三密の回避、テレワークや時差出勤の推奨、施工現場における監督官庁の予防対策ガイドラインの遵守・実行を継続し、グループ職員並びに関係者の安全確保に取り組んでまいります。そして、これまで培った保有技術を通して社会的課題を解決し、社会に貢献する事でグループ全体の企業価値向上に努めてまいります。
(8)気候変動への取り組み(TCFD提言に基づく気候関連の情報開示)
当社グループは、2021年8月に、カーボンゼロ達成のために、企業が気候変動に関する情報開示を行い、投資家が適切な投資判断を行うことを目的としたTCFD「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」提言に賛同表明しました。賛同表明と並行して、TCFDが推奨する気候関連のリスクおよび機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目の検討を行いました。
[ガバナンス]
新日本空調グループは、気候変動対策など環境問題を始めとした社会課題の解決への取り組みを推進するため、取締役会の委員会として位置付けられる「サステナビリティ委員会」を設置しました。委員会は、代表取締役会長を委員長とし、[当社が取り組むべきマテリアリティ]の推進はもとより、気候変動対策を含む環境推進活動におけるサステナビリティ基本方針に基づく理念整理および方針策定、各部門における環境推進活動の目的・目標・計画の調整、進捗状況のモニタリング・評価の機能を担っています。取り組みの推進にあたっては、所管事業部門毎の年度活動目標とKPIを設定し、進捗管理等を行っています。また、気候変動リスクについては、サステナビリティ推進委員会が、国や地方公共団体をはじめとし、様々な業界団体から国内外の動向・要請等の情報の収集を行い、リスクの特定を行い、影響を評価しています。取締役会では、気候変動を始めとした環境問題について、経営会議に報告された目標及び活動の進捗状況の評価はもとより、活動方針の実効性を監視しています。

[戦略]
新日本空調グループは、持続可能な地球環境の実現のために、気候変動に対する緩和と適応の対策や環境への負の影響の最小化に向け、環境問題を経営の重要事項と位置づけ、全ての業務プロセスにおいて、脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。
そのような中、気候変動に対する対応を加速するために、気候関連リスク・機会に対応していくガバナンス体制を構築し、シナリオ分析を全社横断的に行う専門の作業部会であるTCFDワーキンググループを立ち上げ、目標や指標の特定・設定等を進めてきました。
TCFDワーキンググループにおいては、新日本空調グループを取り巻く気候変動に関連するリスクと機会の洗い出しを行い、想定される時期や事業活動への影響度を分析したうえで重要なテーマを選定しました。影響度の分析にあたっては以下の二つのシナリオ(※1)を用いて、選定したテーマごとに事業活動に与える財務的影響を算出し、新日本空調グループの対応を検討しました。なお、事業活動に与える財務的影響については、「大」「中」「小」の3段階で表現しています。また、想定される時期は、「中期」を3年(2024年)、「長期」は10年程度(2030年前後)と想定しています。
2021年度は、影響度が「大」になるテーマとして、移行リスクでは「テクノロジー」、物理的リスクでは「慢性的」「急性的」、機会では「市場」を選定しました。取締役会では、これらに対する新日本空調グループの対応を経営上の重要事項と捉え、審議・決定しました。
(※1)リスクと機会の検討にあたって用いたシナリオ
移行シナリオ:国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇1.5℃以下に抑えるシナリオ(SDS)
物理的シナリオ:国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(RCP8.5)
①想定される気候関連のリスク
②想定される気候関連の機会
※2 ジャバッShut:津波や洪水によるダクトからの水の浸入防止。電源不要で確実に作動し、原子力施設への導入実績のあるBCP対策技術
※3 水断羽:浸水防止対策用ダンパでダクトからの水の浸入を防止。電源不要で確実に作動し、ジャバッShutの一般建物向け商品
※4 OT-9:吊り機器の落下防止工法で、機器吊りボルトに金具とワイヤを取付けるだけの新工法
[リスク管理]
当社グループでは、気候変動リスクを含む事業運営上のあらゆるリスクを的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することが重要であるとの認識のもと、リスクの防止および会社が被る損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項を「リスク管理規程」に定めています。
リスク管理に関する会議体としては、代表取締役社長を委員長とし、社外有識者を含む委員による「リスク管理委員会」を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。特に気候変動関連リスクについては、2021年度にTCFDワーキンググループを立ち上げ、本社部門・事業部門を含む幅広いメンバーで気候変動による当社グループ事業に将来的に与えるリスクと機会について全社横断的に検討を重ねています。ここで検討したリスクは、当社グループの事業運営上のリスクとして捉えられ、リスク管理委員会でリスクの回避、提言及び管理の強化を図り、経営会議または取締役会へ報告されます。
新日本空調グループはこれらのリスク管理を通じて、今後も継続的に気候変動に関するリスクや機会に対応してまいります。

[指標と目標]
新日本空調グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス(CO2)を指標とし、今後のSBT認定を見据え、SBTに基づいた削減目標を設定しました。
2030年そして2050年の目標を達成するよう、省エネ設計・施工提案、および、積極的な再生可能エネルギー導入を実施し、今後も引き続き環境負荷低減に取り組んでまいります。
(※5) SBT(Science Based Targets)
世界の平均気温の上昇を「2℃(1.5℃)未満」に抑えるための、企業の科学的な知見と整合した温室効果ガスの排出削減目標
温室効果ガス(CO2)削減目標と実績 (単位:t-CO2)
※2020年度実績は個別のみの排出量、2021年度以降はグループ全体の排出量として算出、及び目標設定
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社が財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループはこのようなリスクの認識にもとづき、リスクの防止および会社損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項をリスク管理規程に定めております。また、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。
なお、文中における、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況・建設市場状況の変動リスク
当社グループがサービスを提供している市場は、その大部分を日本国内が占めており、日本国内における景気の後退、およびそれに伴う建設投資状況に影響を及ぼすような不測の事態の発生は、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(2) 安全・品質管理リスク
当社グループは、労働災害および多発する交通事故撲滅のため、安全教育や作業現場への安全点検パトロール等を実施しております。事故原因の解明や周知、類似事故防止策の策定等、安全管理を徹底し、安全な作業環境を整え施工を行っておりますが、重大な労働災害および交通事故が発生した場合は、工事の進捗に多大な影響を与えると共に、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、工事の施工における品質の維持・向上のため、入念な施工計画の立案や確かな技術力のある専門業者の選定、安全な作業環境の整備等により、施工管理を行っておりますが、重大な品質事故や苦情事故が発生した場合は、工事の進捗に多大な影響を与えると共に、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(3) 工事に関するリスク(採算と遅延)
当社グループは、経済環境による資機材の価格および労務費の急激な高騰や工事の施工における想定外の原価追加により不採算工事が発生した場合は、工事損失引当金の計上等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、工事の施工において、重大な品質事故や労働災害が発生した場合、また、工期延長、当社グループの技術者不足等により大幅な工期遅延が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(4) 人材確保・流出に関するリスク
当社グループは、新たな人事制度の導入等により、定年年齢の引き上げや人材の育成・確保に努めておりますが、若年層・専門性を有する人材の慢性的な不足および流出により事業活動に重要な影響を与える可能性があります。
(5) 建設業の担い手不足に関するリスク
当社グループは、協力会社の技能労働者の確保に努めておりますが、建設業における技能労働者の高齢化が進む一方で、若年層の技能労働者の入職が低迷しつつある中、世代交代が進まず、施工生産体制の確保が困難になることにより、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(6) 海外事業リスク
当社グループは、アジアを中心とした海外においても事業を手掛けており、全世界を対象とした諸外国において、テロ、暴動等が発生した場合に、現地情報の把握に努め、適切に対応しておりますが、予期し得ない法的規制・租税制度の変更、政情不安および経済状況や為替レートの急激な変動等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(7) 人権に関するリスク
当社グループは、サプライチェーンを包含する「人権」に関するリスクに対処するため、「人権」を確実に尊重するための仕組みを整備し、取り組み状況の積極的な開示に努めておりますが、「人権」に関する負の影響の原因となったり、助長したことが判明したりした場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(8) 環境リスク
当社グループは、取引先に対し温暖化ガス排出量削減提案を実施する等、環境負荷低減に向けた事業活動を行っております。また、フロン等の取扱いにおいて、法令を順守し適正な処置を実施しておりますが、廃棄物の排出や多大なフロン漏洩等の環境破壊を引き起こす事象を発生させた場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しておりますが、脱炭素社会への「移行」に向けたリスクとして、カーボンプライス(炭素税やキャップ&トレード)の導入によるコストの増大等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、気候変動による「物理的」変化のリスクとして、台風や洪水による機器や資材の入荷遅延、原価高騰、高温による熱中症や昼間工事の中断、交通インフラの不測的な影響による労働力不足等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(9) 法的規制リスク
当社グループの事業活動は、建設業法、労働安全衛生法、独占禁止法等、各種法規類による規制を受けており、これら法規類の改廃や新たな規制が制定された場合には、新たな義務の発生や費用負担の増加、権利の制約等が発生する可能性があります。また、当社グループは、各種法令等が順守されるよう役職員に対しコンプライアンスの徹底を図っておりますが、これらに違反する事象が発生した場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、事業の停止等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(10) 保有資産の変動リスク
当社グループが保有している有価証券等の価値が大幅に下落した場合は、評価損の発生により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(11) 取引先の信用不安リスク
当社グループの主要な事業である建設業における請負契約は、一つの取引における契約金額が大きく、工事完了時に多額の工事代金が支払われる傾向にあります。そのため、工事代金の受領前に取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収が困難になり、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(12) 情報管理リスク
当社グループは、経営情報や技術情報等の重要な機密情報や、取引先およびその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や役職員への周知徹底、セキュリティシステムの強化等対策を講じておりますが、社外からの不正侵入、社内における不正使用等、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(13) 新型コロナウイルス等の感染症感染拡大リスク
当社グループは、新型コロナウイルス等の感染症感染拡大に対する対策を取っておりますが、感染症感染拡大により、受注活動の停滞、手持工事の延期や中止、工事現場の閉所による工期の延長等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
(14) イノベーションに関するリスク
当社グループは、脱炭素社会の実現や様々な社会課題の解決に向けた新たな技術開発や、長期経営方針である10年ビジョン「SNK Vision 2030」の達成に不可欠なデジタルトランスフォーメーションをはじめとするイノベーションを進めておりますが、先行的な投資が必要不可欠となっており、目標とする成果に到達しない場合は、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は、前連結会計年度末に比べ13億3千1百万円増加し、999億6千6百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ17億7千7百万円減少し、461億5千3百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ31億8百万円増加し、538億1千3百万円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、受注工事高は、前連結会計年度に比べ129億4千2百万円増加し、1,161億9千7百万円となりました。完成工事高は、前連結会計年度に比べ5億3千5百万円減少し、1,067億1千8百万円となりました。営業利益は、68億8千1百万円(前連結会計年度 63億8千6百万円)、経常利益は、73億6千6百万円(前連結会計年度 66億7千6百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、54億3百万円(前連結会計年度 46億3千7百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、154億3千5百万円となり、前連結会計年度末の120億9千5百万円と比較すると33億3千9百万円の増加(前期比27.6%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益78億9千8百万円、売上債権の減少による収入14億3千1百万円、法人税等の支払額20億2百万円等により70億4百万円となり、前連結会計年度の19億1千7百万円と比較すると、50億8千6百万円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
固定資産の売却による収入2億2千5百万円、投資有価証券の売却による収入8億2百万円、有形固定資産の取得による支出1億9千3百万円、無形固定資産の取得による支出2億6千7百万円等により4億1千4百万円となり、前連結会計年度の3億9百万円と比較すると、1億5百万円の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
短期借入金の純減少額25億5千万円、配当金の支払額16億2千9百万円等によりマイナス44億1千3百万円となり、前連結会計年度のマイナス25億4百万円と比較すると、19億8百万円の減少となりました。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる設備工事事業では、生産実績を定義することが困難であり、請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態に即しておりません。
よって受注及び販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。
(a) 受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高
(注)1 前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事の受注方法は特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比で示しております。
(c) 完成工事高
(注)1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第52期
第53期
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先及びその割合は次のとおりであります。
なお、第52期は100分の10以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
第53期
キオクシア㈱ 15,603百万円 17.0%
(d) 次期繰越工事高(2022年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、一定の会計基準の範囲内で、見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じて見直しを行っておりますが、不確実性が伴うため、実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(当社グループの当連結会計年度の経営成績等)
(a) 財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は733億3千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ32億1千1百万円増加しております。主な要因は、現金預金の増加33億9千3百万円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は266億2千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億7千9百万円減少しております。主な要因は、投資有価証券の減少17億2千7百万円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は439億3千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億3千8百万円減少しております。主な要因は、電子記録債務の増加20億4千8百万円、支払手形・工事未払金の減少9億1千5百万円および短期借入金の減少25億2千6百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は22億1千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億3千8百万円減少しております。主な要因は、長期借入金の減少2億円および繰延税金負債の減少3億9千1百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は538億1千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ31億8百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金の増加37億7千4百万円であります。
(b) 経営成績の分析
(受注工事高及び完成工事高)
当連結会計年度は、受注工事高は前期比12.5%増の1,161億9千7百万円、完成工事高は前期比0.5%減の1,067億1千8百万円となりました。
(完成工事総利益)
当連結会計年度における完成工事総利益は前期比4.5%増の145億4千6百万円となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は、前期比7.8%増の68億8千1百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は、前期比10.3%増の73億6千6百万円となりました。営業外損益の主な内容は、受取配当金3億3千万円であります。
(特別損益)
当連結会計年度の特別損益の主な内容は、固定資産売却益7千5百万円、投資有価証券売却益4億8千9百万円であります。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純利益は前期比22.0%増の78億9千8百万円となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は24億9千4百万円となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は前期比16.5%増の54億3百万円となりました。
(c) キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)
「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの資金の源泉は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「金融機関からの借入」であります。
一方、当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、借入金の返済、法人税等の支払、配当金の支払等であります。
それらの資金需要に対しては、内部資金、営業キャッシュ・フローで充当することを基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。
特記事項はありません。
当社の方針のひとつに「技術開発や異業種とのコラボレーションによるイノベーションにも積極的に取り組み、将来に向けて一歩先の先鋭的技術(テクノロジー)の取得と活用に努めます。」と掲げています。
これらの研究開発を具現化するにあたっては、技術開発研究所をはじめとする各事業部門などの全社組織に加え、有力な技術を持つ企業や大学等の社外パートナーと連携を図り、技術融合させながら展開しています。
当連結会計年度における研究開発費の総額は、
なお、これらの研究開発成果や当社の保有技術を「見える化」させるショールーム『e-Labo®』(当社本社、工学センター、技術開発研究所の3施設に開設)にて展示しています。
(主な研究開発活動)
1) 微粒子可視化技術を核とした「ソリューション事業」の深耕
浜松ホトニクス㈱との協業体制のもと、微粒子可視化技術の適用範囲の拡大と技術の深耕に向けた活動を継続しています。この微粒子可視化技術と飛沫計測を用い、新型コロナウイルス飛沫感染リスクの低減効果の検証など、様々な感染対策の検証に貢献しています。
2) 自立型パーソナル温熱快適性デバイスの開発に着手
ZEB化要素のタスク&アンビエント空調に属するパーソナル空調方式に着目し、働く環境におけるウェルネスの評価や認定に貢献する自立型パーソナル温熱快適性デバイスの開発に着手しました。ロボットアームのような仕組みを採用することにより、空調空気を吹き出す高さ、距離、風向を人の好みに応じて自由自在に調整でき、体感を調節しながら人を囲うタスク域の温熱環境を整えることができます。これにより、テレワークが推奨される中での少数の在室者におけるパーソナル空間、またはコワーキングスペースで多用される個室や集中ブースなどの、温熱環境の改善と覚醒度の維持および作業効率の向上に役立ちます。
3) 継手レス加工技術による次世代配管システムを実用化
自動車用排気系部品メーカーである株式会社三五と共同で、配管システムの長寿命化、低炭素化、及び施工作業の省力化を実現する、フェライト系ステンレス鋼材の継手レス加工技術による次世代配管システム FP35(エフピーサンゴ)を開発、実用化しました。耐腐食性、耐熱性、耐酸化性、熱疲労特性などに優れるSUS436を、建築設備用配管材料に採用し、工場で製作した継手レス加工部材を、施工現場においてプレス式管継手とハウジング式管継手により接続するシステムで、従来の配管用炭素鋼鋼管(SGP)と比較して、継手数の削減により配管施工時間を最大70%低減することができます。
4) 改良型可搬式抗菌フィルターユニット(ウイルスキャプチャー・プラス)を開発
新型コロナウイルス飛沫感染防止対策を目的に、従来のダクト接続型可搬式抗菌フィルターユニットを改良し、単独の空気清浄機として機能する「ウイルスキャプチャー・プラス」を日進技研株式会社と共同開発し、販売を開始しました。なお、可搬式抗菌フィルターユニットは、(一社)減災サステナブル技術協会主催の「防災・減災×サステナブル大賞」のソリューション部門において最高位となるグローバル賞を、(一社)レジリエンスジャパン推進協議会主催の第7回「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2021」の「第1回STOP感染症大賞」で優秀賞を、(一社)建築設備綜合協会主催の「第20回環境・設備デザイン賞」で入賞しました。
5) 環境測定用無線センシングシステム「Wi Musu (ワイムス)Ⓡ」に風速測定機能を拡充
空調設備の品質確保と現場測定作業の省力化を実現する当社独自技術である環境測定用無線センシングシステム「Wi-Musu(ワイムス)」に、新しくLED発光機能付き風速センサを追加し、風速測定機能を拡充しました。これにより従来の「温湿度・CO2濃度・照度・浮遊粉塵濃度・騒音値」に加え、風速を同時に無線でリアルタイムに遠隔監視しながら計測できるようになりました。
6) AIを活用した空調制御最適化技術を開発
省人化と省エネに寄与する、AI(人工知能)を活用した空調制御技術を公立諏訪東京理科大学と共同開発しました。本技術は、セントラル空調システムの試運転調整をAIにより自動化し、人の手を加えることなく運転状況に応じて高精度な空調制御が可能となります。また、試運転時の省力化に加え、運転パラメータの最適化と自動チューニングによって省エネ化にも寄与し、CO₂の排出量削減と運転コスト削減が実現でき、サステナビリティ向上につながります。
7) オゾン清浄装置『Ex-ViC™』(エクスヴィック)を開発
空調機内やフィルタなどに付着する病原性微生物対策および臭気対策を目的に、空調機内に設置可能なオゾン清浄装置『Ex-ViC』を開発しました。本装置は株式会社オーク製作所が有する独自の「pureO(ピュアオー)」技術によりNOxフリーなオゾンを発生し、これに当社の空調制御技術を組み合わせることで低濃度オゾンの安定供給を実現し空調機内やフィルタなどの表面に付着したウイルスなどの感染源を99.9%不活化・低減することが期待できます。
8) 小型空調機用ダクト接続型空気清浄装置『L-ViC™』(エルヴィック)を開発
新型コロナウイルス感染症対策を目的に、ホテル客室や病院などに設置される天井埋込型のファンコイルユニットやエアコンを主な対象とした、空調ダクトに接続可能な空気清浄装置『L-ViC™』を、(株)SML-Technology、(株)フォレストウェル、(株)荻野製作所、ウエタックス(株)と共同開発しました。本装置は、電気集塵機などの原理として広く普及している放電技術(コロナ放電)を利用した放電ユニットを搭載し、ダクトに接続する構造となっており、(一財)北里環境科学センターで実施した本装置の性能評価試験では、25立方メートルの空間内に噴霧したウイルスの残存率を、9分で84%低減できることを確認しました。