第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、設立50周年を迎えた2019年を、来たる次世代の50年間に向けた「飛躍の年」と位置付け、未来における企業価値の永続的向上に向けて、新たな企業理念である「使命」と「価値観」を再定義しております。本理念は当社グループ社員全員の価値観の共有化を図ると共に、判断・行動の拠りどころとなるものです。本企業理念の下、未来に向けた「あるべき姿」を目指し、グループ一同で一体感を持って、企業価値の向上に努めてまいります。

 

企業理念

「使命」

Fill your tomorrow

社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たす。

 

人や社会、環境の調和を尊重し、また、つながりを大切にしながら、空調を核とする事業を通して、お客様や社会からの期待に応える企業として、これからも社会に貢献します。

 

「価値観」

調和

社会と自然に敬意を払い、つながりを大切にします。
「社会へ向けて」
全ての人・社会・自然とのつながりと多様性を尊重します。

探究

豊かな発想力と熱意を持って、新たな価値の創造に挑みます。
「仕事の姿勢」
未来に対して大胆に挑戦し、創造力を発揮する専門性と人間力を磨きます。

真摯

何事にも強くしなやかに向き合い、期待に応えます。
「個人の資質」
アクティブで且つスピーディーでありながらも誠実さを大切にし、良い品質をお客様に提供します。

仲間と共に、わくわくしながら、成し遂げる喜びを分かち合います。
「仲間へ」
職場の仲間・協力会社の皆さんと、創造し提供する喜びを分かち合い、
また、家族との大切な時間を共有することを大切にします。

 

会社の方針

新日本空調グループは、『会社の方針』として、次のように事業環境を整えることをお約束します。また、万一、本方針に反する事態が発生した場合、経営トップ自ら率先して問題解決にあたり、原因究明、再発防止に努めます。

 

「コンプライアンス」

役員・従業員は、法律・社会規範・社内ルールを守ります。違法や違反する行為の動機が、「会社のため」、「お客様のため」という職務上のことや、上司の指示であっても例外ではありません。違法行為、社内ルール違反には厳正な姿勢で臨みます。また、そのような行為を出来る限り未然に防ぐために、社内外通報制度を整備、公開し、その通報者を守ります。

 

「公正な事業慣行」

役員・従業員は、関係法令および社内ルールを含む腐敗防止や公正な競争、利益相反行為の禁止、贈収賄防止、反社会的勢力との接触禁止、インサイダー取引の防止(以下、腐敗防止等という)に取り組み、公正さ、誠実さおよび透明性を以て事業活動を推進します。また、腐敗防止等に対する取組が不十分と認められる取引先等についても、当社との取引停止を含めた厳しい対応で臨みます。公正さ、誠実さおよび透明性のある事業活動の遂行により、社会、顧客、ビジネスパートナー等のステークホルダーから得られる信用・信頼こそが、かけがえのない財産であることを認識し、活動します。

 

「リスクマネジメント」

事業運営上のあらゆるリスクに的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することがコーポレートガバナンスの重要な基盤であると認識し、連絡体制を強化し、訓練等を通して迅速な対応に努めます。

 

「情報セキュリティ管理」

顧客情報や特許権、商標権、著作権等の知的財産の情報と情報システム等の資産を適切に保護・管理し、積極的に活用します。また、従業員に対しては、情報セキュリティに関する意識向上を図ると共に、知的財産や情報管理に関する教育・訓練を実施し、紛失、盗難、不正使用等を防ぎます。

 

「情報開示と社内外コミュニケーション活動」

社会から信頼される企業集団であることを目指し、正確かつタイムリーな情報に基づき、積極的な広報活動を通じて、ステークホルダーとのオープンで公正なコミュニケーションに努め、経営の透明性の向上を図ります。また、ステークホルダーの皆様からの要望を受け止めると共に、建設的な対話を行い、企業価値の向上に役立てます。

 

「環境」

持続可能な地球環境の実現のために、気候変動の緩和と適応や環境への負の影響の最小化に向け、環境問題を経営の重要課題と位置づけ、事業活動のみならず、職場環境に至るまで、全ての業務プロセスにおいて、環境に配慮した活動を推進します。また、調達先や協力会社に対しても、環境に配慮した業務遂行を求め、地球環境の改善に努めます。

 

「労働安全衛生」

働く人々の安全確保が企業にとって最重要基盤であると考え、事業活動において、派遣社員、協力会社を含めた働く人々の安全衛生を最優先し、安全で働きやすい環境を確保します。従業員の心身の健康維持・増進を積極的に支援して、健康経営に関する従業員と会社との円滑なコミュニケーションを図ります。また、従業員の声に耳を傾け、一人ひとりが積極的に仕事に取り組み、自由で闊達な発想力を活かす、平等で差別のない明るい職場環境を提供します。更に、ワークライフバランスの充実、労働時間以外の時間帯の適切な確保をサポートし、働きがいを持ち続けられる会社作りを目指します。

 

「ダイバーシティ」

社会に向けて新たな価値を創造し続けるためには、多様性がもたらすイノベーションが不可欠であると考えています。あらゆる属性の人が平等な雇用と活躍の機会を確保され、多様な個性や能力を十分に発揮できるよう、ダイバーシティ経営を推進します。また、多様性を持った人材の広がりを大切にし尊重すると共に、全ての従業員の公正な処遇を重視します。

 

「人権」

あらゆる事業活動において、全てのステークホルダーの皆様の基本的人権および個人の尊厳を尊重し、人権侵害に加担しません。万一、事業活動や商品・サービスが、人権への悪影響を及ぼしていることが判明した場合は、適切かつ速やかに対処します。また、不適切な言動によるハラスメント行為を許しません。ハラスメントとなる行為には厳正な姿勢で臨みます。

 

「労使関係」

「労使相互信頼と相互責任」を基本に、従業員がそれぞれの立場において、プロフェッショナルとして活き活きと活躍できるよう、均等な雇用機会と公正な労働条件を提供します。

 

「人材育成」

従業員は企業にとって大切な経営資源であり、企業の持続的成長のために人材育成が最も重要であると認識しています。このため、人的資源の高度化を図ることや、従業員一人ひとりがプロフェッショナルとして高い専門性を持って仕事に取り組むことができるよう、それぞれの資質・能力を伸ばすプログラムを提供します。また、過去の経験や先輩から引き継いだ「ナレッジ」の有効活用を図るために、技術に関わる情報の開示に努め、エンジニアの一人ひとりが自信を持って、仕事に取り組むことが出来るように当社技術情報を整備更新します。

 

「地域コミュニティ」

持続可能な地域づくりのためには、コミュニティの機能不全や活力低下、都市生活の基盤の脆弱化は、重要な社会問題であると認識しています。このような認識のもと、行政や地域コミュニティと協働し、コミュニティの育成と活性化を支援します。また、自然災害やパンデミック等、地域コミュニティが機能不全になるような事態には、関係者の安全確保をした上で、被災地域の復旧・復興支援およびお客様事業の早期再開の支援を行うことに努めます。

 

「公平、公正な調達」

規模・実績の有無を問わず、開かれた公平でかつ公正な参入機会を提供し、品質、技術、数量、納期の確実性に加え、経営の安定性、技術開発力、環境や社会への取組等も総合的に勘案して、調達先を選定します。

 

「品質」

顧客が期待する価値を的確に捉え、全ての業務プロセスにおいて、“品質へのこだわり”を持ってSNK品質の提供を行い、信頼され、満足していただける技術とサービスを提供します。そのために各部署、プロジェクトにおいて品質目標を設定し、品質マネジメントシステムを実施し維持すると共に、マネジメントレビュー等を通じて継続的改善を図ります。

 

「技術革新への取組」

技術開発や異業種とのコラボレーションによるイノベーションにも積極的に取り組み、将来に向けて一歩先の先鋭的技術(テクノロジー)の取得と活用に努めます。

 

行動指針(従業員の日常行動の心構え)

「夢を持とう」

自分の夢を持ち、それに向かって仕事に取り組むことで、次への扉が開きます。

 

「誠実に生きよう」

約束や規範を守り、自分に誇れる言動が、他者や社会からの信頼を厚くします。

 

「当事者意識を持とう」

当事者としての意識を持ってチームの課題に取り組むことで、自信と謙虚さが生まれます。

 

「学び続けよう」

日々の仕事を通じて専門性や人間性を磨くことが、自己の成長とやりがいにつながります。

 

「やってみよう、そしてやり遂げよう」

失敗を恐れず挑戦し、その経験を活かすことで、課題を乗り越えることができます。

 

「支え合おう」

他者への敬意を忘れず、お互いの成功をともに喜び合い、励まし合うことで、強いチームワークが生まれます。

 

「感謝を伝えよう」

明るい笑顔で心から感謝の気持ちを伝えることで、強く温かい信頼の輪が広がります。

 

(2) 経営環境

当連結会計年度における世界経済は、ウィズコロナ社会への転換により、緩やかな回復が期待されましたが、世界的な物価高や金融引き締めに加え、ウクライナ情勢の長期化や中国経済の一時的な失速などによって回復ペースは鈍化しました。

日本経済においては、経済活動の正常化により内需は持ち直し傾向となり、製造業の設備投資は堅調に推移しました。一方でエネルギー価格の高騰や円安による物価上昇など、景気の下振れリスクも懸念されました。

建設業界におきましては、都心を中心とした再開発案件や製造業の設備投資は堅調を維持しましたが、資機材・労務費・運搬費の上昇傾向や技術者・技能労働者不足は継続しております。また、AIやIoTを活用した技術革新と、カーボンゼロへの対応、デジタルトランスフォーメーション、働き方改革による生産性向上への取組みは不可欠となり、さらに、気候変動などの地球環境問題への配慮、従業員の健康・労働環境への配慮など、サステナビリティを巡る課題への対応は、今後の事業の継続・成長には欠かすことのできない経営課題となりました。

 

(3) 経営計画

当社グループは、将来起こりうる変化やその先の見通しに対して、柔軟且つ機敏に対応できる組織であるために、2030年を節目とした10年ビジョン「SNK Vision 2030」を定めております。

 

 [ SNK Vision 2030 ] の基本方針

 

新日本空調グループは、

持続可能な地球環境の実現と、お客様資産の価値向上に向け、

ナレッジとテクノロジーを活用するエンジニア集団を目指します。

 

当社グループが提供する建築設備システムは、お客様の重要な資産となり、事業活動の源泉となるものです。従い、当社グループは建築設備システムを構築、提供し、維持更新する活動を通じ、お客様のみならず、多くのエンドユーザーの生活や環境を当社のナレッジとテクノロジーで支え続けていきます。

 

そして、2030年における当社グループのあり姿を以下の通り想定し策定しております。

 

ビジネス環境の基盤は、情報通信技術の急速な進歩に伴い、「モノ(所有価値)」から「コト(利用価値)」といった価値定義の変化の中で、高効率・大量生産による消費社会から、変化対応型の発想重視の社会へ変化してきており、知的資本の創造やその活用が今後の企業競争力に影響を与えることが考えられることから、知的資本を構成する、人的資本、組織資本、関係資本にサステナビリティ資本を加え、これらを価値創造の根幹として、その堅固な根幹に支えられたビジネスモデルが当社グループの将来価値を創造することになります。従い、自然資本の持続的成長を約束しつつ、知的資本の変革と研鑽による持続的成長が当社グループの企業価値を向上させると考えております。

 

 


4つの知的資本を活かし続ける変革、研鑽と将来への跳躍をスローガンとして、2030年における経営計画目標に対する5つの基本戦略を掲げ企業価値の向上に取り組みます。

 

 

 

 

 

 

1. 事業基盤増強戦略

 

 

2. 収益力向上戦略

 

 

3. デジタル変革戦略

 

 

4. 企業統治戦略

 

 

5. 人的資本戦略

 

 

 


 

(4) 中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅡ」(2023~2025年度)における2030年にありたい姿および、基本戦略と対処すべき基本課題

2023年度は、第2ステップとなる新たな中期経営計画のスタートとなります。

第1ステップの2020年から2022年度に現れた社会情勢の変化を踏まえ、「SNK Vision 2030」の基本方針とその基本戦略を踏襲し、「社会の持続性」と「企業の持続性」を両立・融合させ、「社会との対話」を通じてこれらを実現してまいります。

そこで、PhaseⅠからの継続課題についても整理を行い、あらためて2030年のありたい姿を具体的にイメージし、それらを実現するために、中期経営計画「SNK Vision 2030 PhaseⅡ」を策定いたしました。

 

 

2030年にありたい姿

・空調工事を核に、社会のニーズに応える技術力を持ち、地球環境維持へ貢献し続け、事業に活かされ、持続的に成長し続けている

・No.1、Only One の技術が社内外に広く認知されている

・ナレッジやテクノロジーが持続的に蓄積、継承され、スマートに活用され、新たな価値やサービスが社会に提供されている

・個人の実績やスキルが把握され、人的資本経営に活用されている

・すべての社員の時間外労働が、「月45 時間・年360 時間」以下になっている

・ダイバーシティが実現され、多様な価値観のもとに事業が運営されている

・社会課題を解決する新たな基盤づくりに挑戦し続け、魅力や夢があり、人が集まる事業・技術が推進される企業風土となっている

・社員は、社会課題解決やお客様資産の価値向上に結びつく役割に専念している

・社員の夢が、会社の使命やビジョンの達成に結びついており、ありたい姿の実現に向かって成長をつづけている

 

基本戦略と対処すべき基本課題

事業基盤増強戦略

当社の持続性を高める事業ポートフォリオの実現と新たな事業領域の展開による収益基盤の拡大を目指す。

①当社の強みの深化、差別化に資する技術開発とブランディングの推進

②ワンストップ施工体制の拡大と持続的なサービスの提供

③建物ライフサイクルを通じた収益性評価によるストックビジネスの推進

④社会の持続性に資するソリューションサービスの展開強化

⑤社会の持続性を支える成長分野・新エネルギー分野への事業領域拡大

⑥海外事業の安定化を目指した人員の拡充と機動的な事業地域の選択

⑦社会の持続性に資する将来技術や新たな事業を創出するイノベーション意識の醸成と推進体制の整備・運用

 

収益力向上戦略

現場機動力の増強と安全品質管理体制の強化および生産性向上により、事業収益力の向上を目指す。

①業務プロセスの効率的な見直しと、プロジェクトの最適な業務仕分け

②サプライチェーンの持続性と現場プロセスの効率化を目指した構造変革の推進

③SNK品質の提供と安全の確保による客先資産価値の維持向上

 

デジタル変革戦略

デジタル変革社会に即した高度情報活用の推進と業務機動性の更なる向上のために、デジタル情報の活用を推進し、デジタルトランスフォーメーション(DX)による新たな価値提供を目指す。

①業務すべてのプロセスのデジタル化の推進と、ナレッジを最大限に活用するマネジメントシステムの構築と運用

②現場生産性、品質の向上を目指す徹底した現場ICTの推進

 

企業統治戦略

持続可能な社会の実現とステークホルダーへの価値提供のために、ESG経営の推進とそれを支えるコーポレート・ガバナンス体制の強化を目指す。

①サプライチェーン全体を通じた人権等、サステナビリティを巡る課題への注力、事業を通じたグリーントランスフォーメーション(GX)の推進

②グローバルな情報開示枠組みへの対応と、積極的な社会との対話の促進

③持続的成長を可能とするコーポレート・ガバナンス変革

 

 

人的資本戦略

多種多様、多才な人材を有し、自己のキャリアプランと会社のキャリアパスを結びつけ、働き方改革を実現させる人的資本経営を推進する。

①時間と場所にとらわれない多様な働き方の一層の推進

②経営戦略に連動した人材ポートフォリオの確立と運用

③経営戦略に連動した教育・研修やリスキリング等を通じた人材育成

④ダイバーシティ&インクルージョンによる新たな価値観の創出

⑤社員エンゲージメントの向上とそれらを醸成する企業風土つくりの推進

 

(5) 経営指標目標

「SNK Vision 2030 PhaseⅡ」における最終年度(2026年3月期)の連結経営数値目標を次の通り定めます。なお、当社グループはこの新中期経営計画の実施に対し、中長期的視野での経営体質強化および新事業展開等を図るための研究開発や設備投資等を勘案するとともに、今まで以上に収益性や効率性向上に努め、結果としてROEを高める中長期的な成長を重視し、2030年への持続的成長と新たな企業価値の創造を目指します。

 

科目

2025年度

受注工事高(百万円)

135,000

完成工事高(百万円)

130,000

営業利益(百万円)

9,000

経常利益(百万円)

9,400

親会社株主に帰属する

当期純利益(百万円)

6,600

ROE(%)

10.0 以上

 

 

(6) 投資計画

将来の成長に向けて、R&Dや成長事業への投資と設備投資、環境投資に加え、人的資本投資やデジタル変革への投資として、3年間合計で、概ね150億円から200億円規模を想定しております。

 

項 目

金 額(億円)

R&D、成長事業、設備、環境

150~200

人的資本

デジタル変革

 

 

(7) 資本政策

[資本政策の基本方針]

当社グループの資本政策としては、利益・資本・リスクのバランスを考慮しつつ、財務健全性を維持しながら、株主資本コストを上回るROEを見込めるよう、資本効率の向上を図るとともに、R&Dや成長事業、設備、環境、人的資本、デジタル変革などへの投資を行いながら、利益や資本の水準に見合った株主還元を実現していくことにあり、この政策を通じて企業価値の向上を図ってまいります。

 

[政策保有株式に関する方針]

当社は、良好な取引関係の維持・連携強化を図るうえにおいて、当社の企業価値の向上を実現する観点から、必要と判断する企業の株式を保有することがあります。こうした株式の保有については、取締役会で個別銘柄ごとに保有目的、取引状況、保有リスクを勘案しつつ、便益性と資本コストを総合的に検証し、保有または売却の要否を判断しておりますが、今後2025年度末までには、2022年度末比で、20%の縮減を目指してまいります。

 

 

[株主還元]

当社グループは、株主の皆様に対する利益の還元を重要な経営課題の一つと位置付けており、安定的に株主の皆様に還元するため、株主還元に関する基本方針として、DOE(株主資本配当率)3%を下限とし、連結配当性向30%以上として還元してまいります。更なる株主還元については、今後の投資等を考慮しつつ、機動的に実施することとします。

 

(8) コンプライアンスに関する取り組み

2023年2月に公表しました当社職員の不正行為につきましては、内部管理体制の強化を図るなどの再発防止策を策定し、当社グループを挙げて再発防止に取り組むとともに、役職員一丸となってコンプライアンス意識の向上を図り、ステークホルダーの皆様の信頼回復に努めてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

1.サステナビリティ共通の事項

当社グループは、サステナビリティに取り組む基本的な考え方として「サステナビリティ方針」を以下のとおり策定し、サステナビリティ活動を推進しております。

 

(1) サステナビリティ方針

当社グループは、「社会と自然の調和を育み、未来へ向けた思いを満たす。~Fill your tomorrow~」を企業理念に掲げています。この理念の下、本方針においてサステナビリティへの取り組みを重要な経営課題と位置付け、この理念を支える「会社の方針」と「行動指針」に従いESG経営を推進し、社会と環境との調和、つながりを大切にしながら、空調を核とする事業を通して、お客様や社会からの期待に応える企業として成長し続けるとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

(2) ガバナンス

当社グループは、取締役会がサステナビリティを巡る課題に対応するために、中長期的な企業価値向上の観点から、「サステナビリティ委員会」を設置し、これらの課題に積極的・能動的に取り組んでおります。

具体的には、サステナビリティを巡る課題への対応を取締役会として検討し、方針を決定し、決定した方針に沿って目的が達成されているかをモニタリングしております。

「サステナビリティ委員会」で策定した方針に基づき、「サステナビリティ推進委員会」が、サステナビリティを巡る課題に対応する戦略を策定・推進する役割を担っております。

 

(3) 戦略(重要な経営課題:マテリアリティの特定と取組内容)

①経営課題に取り込むべきマテリアリティは、「社会からの注目度が非常に大きく、当社グループの取り組み度が非常に高い社会課題」を抽出し、「E:環境」「S:社会」「G:ガバナンス」に分類し、「サステナビリティ推進委員会」にて討議を繰り返し、「サステナビリティ委員会」に答申し、最終的に取締役会で承認された。

②マテリアリティは5つのカテゴリに分類しており、1~3のカテゴリは、社会課題の解決を図り、社会の持続性に貢献することができるマテリアリティであり、4~5のカテゴリは、事業活動の推進や、経営の持続性強化につながるマテリアリティである。

これらのマテリアリティに対する取り組みは、長期ビジョン「SNK Vision 2030」、中期経営計画「 SNK Vision 2030 PhaseⅡ」の戦略と連動しており、中期経営計画の推進により、企業価値の向上と社会課題の解決を目指しております。

 

 

 

マテリアリティとSNK Vision 2030 PhaseⅡ

 

 


 

 


 

 

 

(4) リスク管理

当社グループでは、サステナビリティを巡る課題を含む事業運営上のあらゆるリスクを的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することが重要であるとの認識の下、リスクの防止および会社が被る損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項を「リスク管理規程」に定めています。

リスク管理に関する会議体としては、代表取締役社長を委員長とし、社外有識者を含む委員による「リスク管理委員会」を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。

当社グループはこれらのリスク管理を通じて、今後も継続的にサステナビリティや事業運営上のあらゆるリスクに対応してまいります。

 

(5) 指標および目標

当社グループでは、経営会議で承認された経営に取り込むマテリアリティに応じた、活動目標と指針を定め、活動の結果を評価し、次年度以降の活動に反映させる体制を構築しております。各取り組みの進捗状況がモニタリングされ、課題と問題点がサステナビリティ体制に則って認識され、サステナビリティのガバンスが有効に機能しています。

 

 

サステナビリティ関連の指標および目標

マテリアリティ

指標

目標

1.カーボンゼロへ向けた積極的な地球環境への貢献(E:環境)

・GHG排出量削減による地球温暖化防止

温室効果ガス(GHG)漏洩量の低減

フロン回収量の把握100%
フロン漏洩量ゼロ

お客様設備からのGHG排出削減に貢献する設計提案の推進

設計提案件数 CO₂削減提案量の目標管理

オフィス・拠点・現場事務所でのCO₂排出削減

オフィス・現場事務所のCO₂発生量2021年比 4.0%以上削減

再生可能エネルギー導入

再生可能エネルギー率2023年度:65.0% 以降前年度比5㌽UP
※2022年:59.9%

目標達成に向けた活動の継続

2030年、2050年GHG排出量削減目標の達成
目標排出量
2030年度:3,791,055t-CO2
2050年度:0t-CO2

・自然環境(水・大気の汚染)保護と共生

現場産業廃棄物のリサイクルの推進

現場産廃のリサイクル率90.0%以上

現場産廃マニュフェスト電子化推進

現場産廃マニュフェスト電子化率100%

ヘルメットのリサイクル推進

リサイクル率100%
リサイクル量の把握

ユニフォームのリサイクル推進

リサイクル率100%
リサイクル量の把握

2.技術革新の推進(S:社会)

・優れた施工品質と空気品質の提供

品質管理強化活動の推進

苦情事故件数
前年比10.0%以上削減

・産学官、地域連携等による技術提供・共同開発の推進

オープンイノベーション推進

共同開発、共同研究、共同出願数の開示

3.現場力(安全品質確保、サプライチェーンとの関係、技術力)の強化(S:社会)

・労働災害の撲滅

労働災害撲滅に向けた重点管理項目の徹底

労災度数率、強度率 前年以下

車両事故の撲滅推進

車両事故 前年比10.0%減

・サプライチェーンの強化

CCUSの活動推進

EDI(電子購買システム)の普及

CCUSの運用状況の開示

EDI利用率100%

CSR調達方針の浸透、グリーン調達の推進

CSR調達方針の協力会社通達100%と浸透


























4.従業員エンゲージメントの向上と人権の尊重(S:社会)

・健康経営、WLBの推進

健康経営方針、情報の社内外公開

時間外労働の上限規制による月45時間・年360時間以内の労働時間とする

特定した健康課題に対する健康増進活動の推進

運動不足率(運動不足と感じている人)79.9%→75.0%以下

就寝前食事率53.0%→40.0%以下

メンタルヘルスフォロー

高ストレス率7.0%以下
(厚労省基準の一般平均)以下の維持

従業員の健康管理を経営戦略に取り組む

健康優良法人認定

・ダイバーシティとインクルージョン
(従業員の多様性(ダイバーシティ)を追求するだけではなく、理解し、認め、活かし合う環境創りやマネジメントを推進)

女性活躍・次世代育成に向け取組推進

えるぼし・くるみん認定取得

管理職登用の推進

女性管理職者比率2030年5.0%以上

男性の育児休暇取得の推進

男性の育児休暇取得率50.0%以上

障がい者の雇用推進

障がい者雇用率の法定雇用率以上

・人権の尊重

人権に関する取組みの推進

人権デューデリジェンスの実施

・ステークホルダーとの対話促進

企業理念、ESG活動の社内浸透

部門説明会参加率80.0%以上
環境データ(Scope-1および2)の月次公開

5.企業倫理の徹底(G:ガバナンス)

・コンプライアンス

知財に関する理解の推進
(コンプライアンス推進活動の一環)

コンプライアンス研修として

・従業員(含グループ会社)年1回以上実施 受講率100%

腐敗防止等に関する周知の推進
(コンプライアンス推進活動の一環)

コンプライアンス研修として

・従業員(含グループ会社)年1回以上実施 受講率100%

・協力会社 各事業部門 年1回以上実施

・情報セキュリティ

役職員対象教育の実施

全役職員対象 年4回以上、受講率100%

・公正な事業慣行

独占禁止法遵守の為の専門教育を継続実施

全社営業系職員を対象とした独占禁止法教育の継続実施(1回/年)受講率100%

 

 

 

2.気候変動への取り組み(TCFD提言に基づく気候関連の情報開示)

当社グループは、2021年8月に、カーボンゼロ達成のために、企業が気候変動に関する情報開示を行い、投資家が適切な投資判断を行うことを目的としたTCFD「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」提言に賛同表明しました。賛同表明と並行して、TCFDが推奨する気候関連のリスクおよび機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目の検討を行いました。

 

(1) ガバナンス

当社グループは、気候変動対策など環境問題を始めとした社会課題の解決への取り組みを推進するため、取締役会の委員会として位置付けられる「サステナビリティ委員会」を設置しております。委員会は、代表取締役会長を委員長とし、[当社が取り組むべきマテリアリティ]の推進はもとより、気候変動対策を含む環境推進活動におけるサステナビリティ基本方針に基づく理念整理および方針策定、各部門における環境推進活動の目的・目標・計画の調整、進捗状況のモニタリング・評価の機能を担っています。取り組みの推進にあたっては、所管事業部門毎の年度活動目標とKPIを設定し、進捗管理等を行っています。また、気候変動リスクについては、サステナビリティ推進委員会が、国や地方公共団体をはじめとし、様々な業界団体から国内外の動向・要請等の情報の収集を行い、リスクの特定を行い、影響を評価しています。取締役会では、気候変動を始めとした環境問題について、経営会議に報告された目標および活動の進捗状況の評価はもとより、活動方針の実効性を監視しております。

 

気候変動に関するガバナンス

 

 

機関

役 割

取締役会

・経営上の重要事項の審議・決定

・職務執行監督

・気候変動に関する重要事項の審議・決定

・気候変動課題の指示・監督

サステナビリティ委員会

・社会課題解決に向けた取り組み推進

・気候変動関連課題への対応方針の決定とモニタリング

・委員長は代表取締役会長

経営会議

・業務執行方針・業務案件の審議・決定

・サステナビリティ活動内容の検討

サステナビリティ推進委員会

・社会課題解決に向けた活動の遂行

・気候変動関連課題への具体的施策の実行

 

 

(2) 戦略

当社グループは、持続可能な地球環境の実現のために、気候変動に対する緩和と適応の対策や環境への負の影響の最小化に向け、環境問題を経営の重要事項と位置づけ、全ての業務プロセスにおいて、脱炭素社会の実現に向けた活動を推進しています。

そのような中、気候変動に対する対応を加速するために、気候関連リスク・機会に対応していくガバナンス体制を構築し、シナリオ分析を全社横断的に行う専門の作業部会であるTCFDワーキンググループを立ち上げ、目標や指標の特定・設定等を進めてきました。

TCFDワーキンググループにおいては、当社グループを取り巻く気候変動に関連するリスクと機会の洗い出しを行い、想定される時期や事業活動への影響度を分析したうえで重要なテーマを選定しました。影響度の分析にあたっては以下の二つのシナリオ(※1)を用いて、選定したテーマごとに事業活動に与える財務的影響を算出し、新日本空調グループの対応を検討しました。なお、事業活動に与える財務的影響については、「大」「中」「小」の3段階で表現しています。また、想定される時期は、「中期」を3年(2024年)、「長期」は10年程度(2030年前後)と想定しています。

 

2022年度は、影響度が「大」になるテーマとして、移行リスクでは「テクノロジー」、物理的リスクでは「慢性的」「急性的」、機会では「市場」を選定しました。取締役会では、これらに対する当社グループの対応を経営上の重要事項と捉え、審議・決定しました。

 

(※1)リスクと機会の検討にあたって用いたシナリオ

移行シナリオ:国際エネルギー機関(IEA)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇1.5℃以下に抑えるシナリオ(SDS)

物理的シナリオ:国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が策定したシナリオのうち、産業革命前と比べて今世紀末の気温上昇が4℃を越えるシナリオ(RCP8.5)

 

①想定される気候関連のリスク

リスクの分類

事業への影響

想定
される
時期

影響の
大きさ
1.5℃

影響の
大きさ
4℃

当社の対応

移行
リスク

政策・法規制

・建築物の省エネルギー基準が見直され、ZEBの推進や省エネルギー性能の高い建築物の要求が高まる。
・高効率機器やシステムの導入が必須となり、建設コストの上昇に繋がるため、顧客が満足するコストパフォーマンスを提供できない場合は受注機会が減少する。

長期

・省エネルギー関連の新技術開発の積極的な推進や、熱源最適制御システム「EnergyQuest」をはじめとした当社が保有するエネルギー関連技術の機能向上を図り、コストパフォーマンスを高める。

テクノロジー

・顧客の要求する技術水準が高まると同時に、競争条件が厳しくなり、受注機会が減少する。
・独自技術の開発費用が増加する。

長期

・省エネルギー、施工省力化技術やCO2回収技術開発のために、計画的な開発投資を行う。

市場

・多くの顧客が、より効果的なGHG削減や環境対策を求めるようになる。
・建設時のGHG削減技術や、建物運用時の省エネルギー等の環境対策技術の保有が発注先の選定要件として重視されるようになる。

長期

・社会ニーズと顧客動向の適時把握に努め、あらゆる機会を通じパートナーとの連携を図り、環境対策技術の開発を加速する。

評判

・気候関連情報の開示に消極的な上場企業に対して、株主からの開示要求が高まる。
・カーボンゼロに向けて、企業間での優秀な人材の獲得競争が加速する。

中期

・カーボンゼロに向けた設備投資を増加し、研究開発を活発化させると共に、積極的な開示を行う。
・研究開発に必要な専門領域において能力が高いスペシャリスト採用を強化する。

物理的
リスク

慢性的

・夏期の平均気温上昇により建設現場での労働環境が悪化し、労働者の熱中症発症リスクの増加や、集中力・注意力低下による不安全行動リスクの増加や作業効率の悪化につながる。

長期

・施工現場における日中労働時間の短縮、夜間工事への変更を実施するなど、労働環境改善に向けた対策の構築や安全対策の強化を行う。

急性的

・急激な気象変化(台風・豪雨等)により、サプライチェーン等の被災による工事遅延が発生する。また、納入した設備に不具合が発生し、その対応が求められる。

中期

・サプライチェーン全体で取り組む緊急時対応策を強化することで、事業継続性の向上を図る。
・気候変動を考慮した設計を顧客と共に検討し採用可能なビジネスモデルを整える。

生物的リスク

・気温上昇による熱帯性の細菌・ウイルスの増加により、日本の気候では発生し得ない感染症がまん延し、現場休業要請が多発化・長期化する。その結果、サプライチェーン全体にも影響が及ぶことで、調達遅延や工期延長が起こりやすくなる。

長期

・感染症に関する情報を把握する共に、発生が予測される段階で施工現場における予防対策を徹底し、サプライチェーン全体のBCPを拡充する。

 

 

 

②想定される気候関連の機会

機会の分類

事業への影響

想定
される
時期

影響の
大きさ
1.5℃

影響の
大きさ
4℃

当社の対応

資源効率

・社会における脱炭素化の動きの進展につれ、製品・サービスの調達・物流段階におけるCO2排出削減の必要性がより高まり、重要視されるようになる。

中期

・効率的な資機材管理となる物流システムの開発を強化し、資機材の集中調達や建設現場へのジャスイトインタイム配送を通じて輸送の効率化と物流段階でのCO2排出削減を図る。
・この新物流システムにより、現場生産性向上を図り、受注機会拡大を目指す。

エネルギー源

・再生可能エネルギー源として太陽光、風力はもちろんのこと、地中熱利用が脚光を浴びるようになる。

中期

・従来工法より低コストで採放熱効果の高い保有技術の地中熱利用技術「地熱トルネード工法」の積極的導入を通じた受注機会拡大を目指す。

製品とサービス

・建築物の省エネルギー基準の見直しにより、ZEBの推進や省エネルギー性能の高いシステム、高効率機器の導入が必須となる。
・建設コストの大幅な上昇に伴い、コストパフォーマンスを考慮した高い環境性能設備が求められるようになる。

長期

・機器メーカーや他業種とのアライアンスを通じた省エネルギー性能の高い新技術の開発強化、ならびに保有技術の熱源最適制御システム「EnergyQuest」の性能向上を図ることにより、受注機会の拡大を目指す。

・ゲリラ豪雨などの異常気象の増加を受け、BCPの観点から、建築物に対する水害対策設備の導入要望が高まる。
・強風や水没等による災害の早期復旧需要が高まる。

長期

洪水・ゲリラ豪雨などでの浸水被害を防止する保有技術の「ジャバッShut」(※2)、「水断羽」(※3)等の積極的な提案を通じて顧客のBCP対策への要求に応える。
水没などで被災した顧客に対するBCPルーチンを策定し、迅速に対応できる体制を整える。

市場

・気候変動に伴い新たな感染症がまん延する。
・自然災害(堤防決壊等)による土壌や水資源の汚染が発生する。

中期

・微粒子可視化技術等の技術革新・開発、ソリューションの提供を通じて、感染症対策に貢献し、受注機会を拡大する。
・他業種との協働によるCO2施肥制御技術やポリエステル培地を用いた営農支援等、新たな事業領域への拡大を図る。

・社会の電源構成における再生可能エネルギーの比率が高まることで、エネルギーの安定供給確保に向けた再生可能エネルギーとLNG等との併用が注目されるようになる。

長期

・国や自治体が進める脱炭素政策に基づき、省エネルギーやカーボンゼロ、レジリエンス技術を組み合わせ、新たな事業領域の拡大を目指す。
・再生可能エネルギー分野ではPPA事業への参入を目指す。

レジリエンス

・気候変動の激化に伴い、様々なレジリエンス技術に対する需要や要望が拡大する。

中期

・新たなレジリエンス技術の開発や、保有技術「ジャバッShut」、「OT-9」(※4)等の積極的な提案を通じて受注機会の拡大と新規事業への展開を目指す。

 

※2 ジャバッShut:津波や洪水によるダクトからの水の浸入防止。電源不要で確実に作動し、原子力施設への導入実績のあるBCP対策技術

※3 水断羽:浸水防止対策用ダンパでダクトからの水の浸入を防止。電源不要で確実に作動し、ジャバッShutの一般建物向け商品

※4 OT-9:吊り機器の落下防止工法で、機器吊りボルトに金具とワイヤを取付けるだけの新工法

 

(3) リスク管理

当社グループでは、気候変動リスクを含む事業運営上のあらゆるリスクを的確に把握・対応し、経営の健全性を確保することが重要であるとの認識の下、リスクの防止および会社が被る損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項を「リスク管理規程」に定めています。

リスク管理に関する会議体としては、代表取締役社長を委員長とし、社外有識者を含む委員による「リスク管理委員会」を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。特に気候変動関連リスクについては、2021年度にTCFDワーキンググループを立ち上げ、本社部門・事業部門を含む幅広いメンバーで気候変動による当社グループ事業に将来的に与えるリスクと機会について全社横断的に検討を重ねています。ここで検討したリスクは、当社グループの事業運営上のリスクとして捉えられ、リスク管理委員会でリスクの回避、提言および管理の強化を図り、経営会議または取締役会へ報告されます。

当社グループはこれらのリスク管理を通じて、今後も継続的に気候変動に関するリスクや機会に対応してまいります。

 

(4) 指標および目標

当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、温室効果ガス(CO2)を指標とし、今後のSBT認定を見据え、SBTに基づいた削減目標を設定しました。

2030年そして2050年の目標を達成するよう、省エネ設計・施工提案および、積極的な再生可能エネルギー導入を実施し、今後も引き続き環境負荷低減に取り組んでまいります。

(※5) SBT(Science Based Targets)

世界の平均気温の上昇を「2℃(1.5℃)未満」に抑えるための、企業の科学的な知見と整合した温室効果ガスの排出削減目標

 

温室効果ガス(CO2)削減目標と実績                         (単位:t-CO2)

対象Scope

区分

基準年排出量

排出量実績

(基準年比)

目標年排出量

(基準年比)

2021年度

2022年度

2026年度

2030年度

2050年度

Scope1

個別

1,120

関係会社

450

グループ全体

1,570

Scope2

個別

751

関係会社

232

グループ全体

983

Scope1+Scope2

個別

1,871

1,781

(▲30.2%)

1,354

(▲47.0%)

1,055

(▲58.7%)

0

(▲100%)

関係会社

682

グループ全体

2,553

Scope3

個別

4,171,295

5,188,915

(6.1%)

3,790,000

(▲22.5%)

0

(▲100%)

関係会社

719,272

グループ全体

4,890,567

 

※2021年度以降はグループ全体の排出量を算出し、それに対する目標を設定

 

3.人的資本に関する事項

(1) 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は次のとおりです。

当社グループは、「多才な能力の融合による人材価値の最大化」を人的資本戦略における基本姿勢としており、従業員の確保と育成、維持は当社グループの持続的成長のために最も重要であると認識しています。性別や新卒・中途にかかわらず積極的な採用を行い、入社後は一人ひとりの資質・能力を伸ばす研修プログラムを提供します。また、過去の経験や先輩から引き継いだ「ナレッジ」を整備更新し共有することで、お客様から信頼され、自信を持って仕事に取り組むことができる人材を育成しています。

変化し続ける社会や多様化する需要、お客様に向けて新たな価値を提供し続け、強固な事業基盤を築き持続的な発展に繋げていくためには、多様性がもたらすイノベーションが不可欠であると考えています。当社グループでは従業員一人ひとりがその多様な個性や能力を十分に発揮し、生き生きと働ける環境を提供し全ての従業員の公正な処遇を実施していきます。働く組織・場所・時間や個人の年齢・国籍・性別などに縛られず、自律的かつ多彩な人材が精彩を放つエンジニア集団となることを目指してまいります。

この方針の下、当社グループでは全ての従業員の活躍を推進するための各種制度を構築し社内環境を整備しています。2019年に一般職制度を廃止し、全ての女性従業員を総合職に転換し、適用される給与体系を一本化しました。教育・研修の機会も平等に設け、意欲と能力に応じた公平な管理職登用や活躍の支援、処遇を実施しています。2021年には人事制度改定を行い、管理職としての昇進だけでなく高度な専門領域でパフォーマンスを発揮して活躍する人材を高いポジションで処遇する職務型人事制度の運用を開始しました。

また、従業員のワークライフバランス向上に向けた取り組みとして、テレワークや時差出勤、時間単位有給休暇制度の導入による時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の推進、失効有給休暇の積立制度、育児休業の早期申請化により職場全体で育児休業取得の準備を支援する意識の醸成など、諸制度の拡充を図っています。

健康経営宣言を社内外に行い、従業員が心身ともに健康で安全に仕事ができる環境の整備も進めています。保健師の社内常駐化と施工現場への衛生パトロール、受動喫煙防止に向けた取り組みなど、健康増進への取り組み状況が評価され2022年度から2年連続で健康経営優良法人の認定を受けています。

 

このように、多種多様な全ての従業員が生き生きと安心して働くことができる職場環境を基盤として、個々の能力を発揮し役割を果たす人材を育成してまいります。従業員の成長を支え当社グループがお客様や求職者から選ばれる会社への成長へとつながっていくことで、当社グループの企業価値向上とステークホルダーへの還元の最大化を目指してまいります。

 

[女性活躍支援]

女性従業員がそれぞれの強みを活かして活躍できる職環環境づくりやそれを支援する制度づくりを推進するため、女性活躍推進法に基づく自主行動計画を実行しています。目標達成に向けた各種施策の展開と同時に、小グループによる意見交換会(みんなでバタフライ)を実施しアンコンシャスバイアスを自覚することから始めて当社グループに適した環境整備につなげる取り組みを開始しています。多様性がもたらすイノベーションには女性従業員の活躍をさらに推進していくことが必要であると考えております。

一方、多様性の確保に向けて、管理職の総数に占める女性従業員の比率を2021年4月の1.82%から2026年4月には3.63%に倍増させることを女性活躍推進法に基づく行動計画として定めていましたが、2022年4月に計画を前倒しに達成しております。引き続き、女性従業員の採用強化やキャリアプラン支援策を実施し、継続的に管理職への登用と活躍が可能な環境を整えていきます。

 

女性活躍推進法に基づく行動計画

目  的

女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため

計画期間

2021年4月1日~2026年3月31

目標(1)

管理職に占める女性従業員数を6名(管理職者全数の3.63%)に増やす。

目標(2)

従業員の時間外労働を45時間/月、360時間/年以内とする。

 

 

実施策

男女格差の解消

・男性育児休業制度の充実化と取得の推進

働き方改革の推進

・現場支援組織の活用推進による現場業務のシェア

 

・連続5日休暇制度の取得推進

 

・テレワーク、時差出勤、時間有休の導入と推進

人事制度整備

・性別や年齢に関わらず役割や仕事内容で処遇する制度の運用

その他

・社長と女性従業員の意見交換会、技術系女子会の開催

 

 

[多様な人材の活躍支援]

当社グループでは、一人ひとりの従業員が生き生きと安心して働くことで意欲や能力を最大限発揮できるよう様々な取り組みを実施しています。退職した従業員を再雇用する「ジョブリターン制度」や障がい者雇用の推進など、多種多様な人材の活躍と柔軟な働き方を実現する各種制度を運用し働きやすい職場環境づくりを推進しています。

 

(2) 指標および目標

当社グループは、上記(1) 戦略において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境の整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する当社(単体)の実績および目標は、次のとおりです。

 

①女性管理職者数・比率の推移および目標

指 標

2021年4月1日

2022年4月1日

2023年4月1日

目標(2030年度)

女性管理職者数(名)

3

6

7

管理職比率(%)

1.8

3.3

4.1

5.0 以上

 

 

 

②男性の育児休業取得者数・取得率の推移および目標

指 標

2021年度

2022年度

標(2025年度)

男性の育児休業取得者数(名)

6

15

取得率(%)

20.7

46.9

50.0 以上

 

 

③障がい者雇用率の推移および目標

指 標

2020年度

2021年度

2022年度

目標

障がい者雇用率(%)

1.67

1.99

1.97

法定雇用率以上

 

(注)雇用率は、障害者雇用状況報告書に記載の各年6月1日現在の数値であります。なお、2022年8月1日付3名の障がい者を雇用し、雇用率は2.39%となっております。また、2022年度の法定雇用率は2.30%であります。

 

④従業員の時間外労働の推移および目標

指 標

全従業員の平均時間外労働

目標(2025年度)

各従業員の法定時間外労働

2021年度

2022年度

従業員の時間外労働

33時間26分/月

32時間30分/月

45時間/月、360時間/年以内

 

(注)平均時間外労働は、法定時間外労働に休日労働および所定時間外労働を含んでおります。

 

⑤その他

指 標

目標

健康増進

2022年度認定

健康優良法人認定の維持

 

 

サステナビリティ・気候変動に関するガバナンスおよびリスク管理の体制図は次のとおりであります。

 


 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社が財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社グループはこのようなリスクの認識にもとづき、リスクの防止および会社損失の最小化を図ることを目的とし、グループ全体のリスク管理に関する必要な事項をリスク管理規程に定めております。また、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置し、リスクの回避、低減および管理の強化を図っております。

なお、文中における、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況・建設市場状況の変動リスク

当社グループがサービスを提供している市場は、その大部分を日本国内が占めており、日本国内における景気の後退、およびそれに伴う建設投資状況に影響を及ぼすような不測の事態の発生は、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(2) 安全・品質管理リスク

当社グループは、労働災害および多発する交通事故撲滅のため、安全教育や作業現場への安全点検パトロール等を実施しております。事故原因の解明や周知、類似事故防止策の策定等、安全管理を徹底し、安全な作業環境を整え施工を行っておりますが、重大な労働災害および交通事故が発生した場合は、工事の進捗に多大な影響を与えると共に、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループは、工事の施工における品質の維持・向上のため、入念な施工計画の立案や確かな技術力のある専門業者の選定、安全な作業環境の整備等により、施工管理を行っておりますが、重大な品質事故や苦情事故が発生した場合は、工事の進捗に多大な影響を与えると共に、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(3) 工事に関するリスク(採算と遅延)

当社グループは、経済環境による資機材の価格および労務費の急激な高騰や工事の施工における想定外の原価追加により不採算工事が発生した場合は、工事損失引当金の計上等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループは、工事の施工において、重大な品質事故や労働災害が発生した場合、また、工期延長、当社グループの技術者不足等により大幅な工期遅延が発生した場合、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(4) 人材確保・流出に関するリスク

当社グループは、新たな人事制度の導入等により、定年年齢の引き上げや人材の育成・確保に努めておりますが、若年層・専門性を有する人材の慢性的な不足および流出により事業活動に重要な影響を与える可能性があります。

 

(5) 建設業の担い手不足に関するリスク

当社グループは、協力会社の技能労働者の確保に努めておりますが、建設業における技能労働者の高齢化が進む一方で、若年層の技能労働者の入職が低迷しつつある中、世代交代が進まず、施工生産体制の確保が困難になることにより、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外事業リスク

当社グループは、アジアを中心とした海外においても事業を手掛けており、全世界を対象とした諸外国において、テロ、暴動等が発生した場合に、現地情報の把握に努め、適切に対応しておりますが、予期し得ない法的規制・租税制度の変更、政情不安および経済状況や為替レートの急激な変動等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(7) 人権に関するリスク

当社グループは、サプライチェーンを包含する「人権」に関するリスクに対処するため、「人権」を確実に尊重するための仕組みを整備し、取り組み状況の積極的な開示に努めておりますが、「人権」に関する負の影響の原因となったり、助長したことが判明したりした場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(8) 環境リスク

当社グループは、取引先に対し温暖化ガス排出量削減提案を実施する等、環境負荷低減に向けた事業活動を行っております。また、フロン等の取扱いにおいて、法令を順守し適正な処置を実施しておりますが、廃棄物の排出や多大なフロン漏洩等の環境破壊を引き起こす事象を発生させた場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

当社グループは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進しておりますが、脱炭素社会への「移行」に向けたリスクとして、カーボンプライス(炭素税やキャップ&トレード)の導入によるコストの増大等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。また、気候変動による「物理的」変化のリスクとして、台風や洪水による機器や資材の入荷遅延、原価高騰、高温による熱中症や昼間工事の中断、交通インフラの不測的な影響による労働力不足等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(9) 法的規制リスク

当社グループの事業活動は、建設業法、労働安全衛生法、独占禁止法等、各種法規類による規制を受けており、これら法規類の改廃や新たな規制が制定された場合には、新たな義務の発生や費用負担の増加、権利の制約等が発生する可能性があります。また、当社グループは、各種法令等が順守されるよう役職員に対しコンプライアンスの徹底を図っておりますが、これらに違反する事象が発生した場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、事業の停止等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(10) 保有資産の変動リスク

当社グループが保有している有価証券等の価値が大幅に下落した場合は、評価損の発生により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(11) 取引先の信用不安リスク

当社グループの主要な事業である建設業における請負契約は、一つの取引における契約金額が大きく、工事完了時に多額の工事代金が支払われる傾向にあります。そのため、工事代金の受領前に取引先が信用不安に陥った場合には、工事代金の回収が困難になり、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(12) 情報管理リスク

当社グループは、経営情報や技術情報等の重要な機密情報や、取引先およびその他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や役職員への周知徹底、セキュリティシステムの強化等対策を講じておりますが、社外からの不正侵入、社内における不正使用等、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合は、企業価値の毀損、社会的信用の失墜、関係者への補償等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

(13) 新型コロナウイルス等の感染症感染拡大リスク

当社グループは、新型コロナウイルス等の感染症感染拡大に対する対策を取っておりますが、感染症感染拡大により、受注活動の停滞、手持工事の延期や中止、工事現場の閉所による工期の延長等により、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

(14) イノベーションに関するリスク

当社グループは、脱炭素社会の実現や様々な社会課題の解決に向けた新たな技術開発や、長期経営方針である10年ビジョン「SNK Vision 2030」の達成に不可欠なデジタルトランスフォーメーションをはじめとするイノベーションを進めておりますが、先行的な投資が必要不可欠となっており、目標とする成果に到達しない場合は、当社グループの財政状態および経営成績等に重要な影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度末の財政状態は、総資産は、前連結会計年度末に比べ91億8千万円増加し、1,091億4千6百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ47億8千万円増加し、509億3千3百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ43億9千9百万円増加し、582億1千2百万円となりました。

当連結会計年度の経営成績は、受注工事高は、前連結会計年度に比べ146億7千2百万円増加し、1,308億6千9百万円となりました。完成工事高は、前連結会計年度に比べ55億1千6百万円増加し、1,122億3千4百万円となりました。営業利益は、71億2千4百万円(前連結会計年度 68億8千1百万円)、経常利益は、79億1千4百万円(前連結会計年度 73億6千6百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は、55億9千7百万円(前連結会計年度 54億3百万円)となりました。

 

 

受注工事高(百万円)

完成工事高(百万円)

2022年3月

2023年3月

前期比

2022年3月

2023年3月

前期比

設備工事事業

116,197

130,869

12.6

106,718

112,234

5.2

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、249億2千7百万円となり、前連結会計年度末の154億3千5百万円と比較すると94億9千1百万円の増加前期比61.5%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益78億9千2百万円、売上債権の減少による収入10億1千7百万円、仕入債務の増加額12億2千2百万円等により128億2千万円となり、前連結会計年度の70億4百万円と比較すると、58億1千5百万円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出2億1千7百万円、無形固定資産の取得による支出4億9千1百万円等によりマイナス11億6千8百万円となり、前連結会計年度の4億1千4百万円と比較すると、15億8千3百万円の減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

短期借入金の純減少額7億円、配当金の支払額17億4千9百万円等によりマイナス22億6千6百万円となり、前連結会計年度のマイナス44億1千3百万円と比較すると、21億4千6百万円の増加となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループが営んでいる設備工事事業では、生産実績を定義することが困難であり、請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態に即しておりません。

よって受注及び販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。

 

 

(a) 受注工事高、完成工事高、次期繰越工事高

 

期別

前期繰越

工事高

当期受注

工事高

当期完成

工事高

次期繰越

工事高

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

(百万円)

第53期
2021年4月1日
2022年3月31日

57,900

99,111

157,011

92,049

64,962

第54期
2022年4月1日
2023年3月31日

64,962

108,723

173,685

95,179

78,505

 

(注)1  前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。

2  次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。

 

(b) 受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は特命と競争に大別されます。

 

期別

特命(%)

競争(%)

計(%)

第53期
2021年4月1日
2022年3月31日

46.4

53.6

100.0

第54期
2022年4月1日
2023年3月31日

44.8

55.2

100.0

 

(注)  百分比は請負金額比で示しております。

 

(c) 完成工事高

 

期別

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

合計

(百万円)

第53期
2021年4月1日
2022年3月31日

10,184

81,865

92,049

第54期
2022年4月1日
2023年3月31日

8,267

86,912

95,179

 

(注)1  完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。

第53期

キオクシア㈱

キオクシア岩手510棟(CR棟)第3期機械設備工事

東京空港冷暖房㈱

東京空港冷暖房㈱ボイラー更新等工事

清水建設㈱

日比谷FORT TOWER

鹿島建設㈱

大宮駅東口大門町2丁目中地区市街地再開発ビル

防衛省

市ヶ谷(30)庁舎(A)設備更新工事

 

第54期

キオクシア㈱

キオクシア四日市工場270棟第1期機械設備工事

㈱竹中工務店

八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業(A-1街区)新築工事

キオクシア㈱

キオクシア四日市工場270棟第2期機械設備工事

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

相鉄・東急直通線、新横浜駅空調設備他

㈱竹中工務店

トヨタ記念病院 再構築(空調設備工事)

 

 

2  完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先及びその割合は次のとおりであります。

第53期

キオクシア㈱         15,603百万円      17.0%

第54期

キオクシア㈱         16,368百万円      17.2%

 

 

(d) 次期繰越工事高(2023年3月31日現在)

 

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

合計

(百万円)

10,212

68,293

78,505

 

(注)  手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。

キオクシア㈱

キオクシア岩手520棟(CR棟)第1期CR動力設備・動力配管工事

2023年11月完成予定

ヤフー㈱

ヤフー白河データセンター6号棟・7号棟 増築工事

2024年8月完成予定

大成建設㈱

虎ノ門二丁目地区(再)特定業務代行施設建築物建設工事

2025年2月完成予定

清水建設㈱

芝浦一丁目計画 第Ⅰ期(S棟)新築工事

2025年2月完成予定

横浜熱供給㈱

横浜熱供給株式会社 第1エネルギーステーション熱源機器更新工事その3(本工事)

2023年6月完成予定

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、一定の会計基準の範囲内で、見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じて見直しを行っておりますが、不確実性が伴うため、実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(当社グループの当連結会計年度の経営成績等)

(a) 財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は815億3千万円となり、前連結会計年度末に比べ81億9千1百万円増加しております。主な要因は、現金預金の増加94億3千7百万円であります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は276億1千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ9億8千8百万円増加しております。主な要因は、投資有価証券の増加7億1千万円であります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は486億1千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ46億8千3百万円増加しております。主な要因は、支払手形・工事未払金の増加5億9千7百万円、電子記録債務の増加6億9千1百万円、工事損失引当金の増加4億7千7百万円およびその他に含まれております未払消費税等の増加24億9千7百万円であります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は23億1千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ9千6百万円増加しております。主な要因は、長期借入金の増加2億4千9百万円および繰延税金負債の減少1億8千3百万円であります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は582億1千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億9千9百万円増加しております。主な要因は、利益剰余金の増加38億4千7百万円であります。

 

 

(b) 経営成績の分析

(受注工事高及び完成工事高)

当連結会計年度は、受注工事高は前期比12.6%増1,308億6千9百万円、完成工事高は前期比5.2%増1,122億3千4百万円となりました。

(完成工事総利益)

当連結会計年度における完成工事総利益は前期比7.8%増156億7千6百万円となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、前期比3.5%増71億2千4百万円となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における経常利益は、前期比7.4%増79億1千4百万円となりました。営業外損益の主な内容は、受取配当金4億2千7百万円であります。

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益の主な内容は、固定資産売却益7百万円、投資有価証券評価損2千1百万円であります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は前期比0.1%減78億9千2百万円となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は22億9千4百万円となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は前期比3.6%増55億9千7百万円となりました。

 

(c) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)

「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの資金の源泉は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」と「金融機関からの借入」であります。
一方、当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、設備投資、借入金の返済、法人税等の支払、配当金の支払等であります。

それらの資金需要に対しては、内部資金、営業キャッシュ・フローで充当することを基本とし、必要に応じて資金調達を実施しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社の方針のひとつに「技術開発や異業種とのコラボレーションによるイノベーションにも積極的に取り組み、将来に向けて一歩先の先鋭的技術(テクノロジー)の取得と活用に努めます。」と掲げています。

これらの技術開発やイノベーションを具現化するにあたっては、技術開発研究所をはじめとする各事業部門などの全社組織に加え、有力な技術を持つ企業や大学などの社外パートナーと連携を図り、技術融合させながら展開しています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は、469百万円であります。

なお、これらの研究開発成果や当社の保有技術をSNK「e-Labo®」として技術開発研究所にショールームを開設し展示しています。

 

(主な研究開発活動)

1) 微粒子可視化技術を核とした「ソリューション事業」の深耕

微粒子可視化技術の適用範囲の拡大と技術の深耕に向けた活動を継続しています。リアルタイム画像解析によって得られる粒子の粒径や個数を高い信頼性で検証できる装置を独自開発すると共に、当社が開発した微粒子発生量評価装置「P-Wind™」の定量計測性能を大幅に改善させ、その適用範囲を拡大させました。

 

2) 天井裏調査ロボット「VoOE」(ボーイ)を開発

既存建物などの天井内に設置されている空調設備機器、ダクト、配管、ならびに配線類の調査・点検作業に活用する天井裏調査ロボット「VoOE」を開発しました。本ロボットの活用により、これまで人が天井内に入り行っていた設備などの調査・点検作業の省力化と高品質化を実現し生産性向上に寄与させます。

 

3) オゾン清浄装置「Ex-ViC」(エクスヴィック)を市場投入

空調機内やフィルタなどに付着する病原性微生物の不活化・低減対策と臭気対策を目的に開発したオゾン清浄装置「Ex-ViC」の販売を開始しました。本装置は株式会社オーク製作所が有する、有害なNOxを含まないピュアなオゾンを生成する「pureO(ピュアオー)」技術に、当社の空調制御技術を組み合わせることでNOxフリーな低濃度オゾンの安定供給を実現するものです。当社はフィルタを用いた従来の空気清浄化技術に加え、本装置を含む様々なソリューションの提供により、空気質および環境衛生に関する改善・解決に貢献してまいります。

 

4) 微生物燃料電池を用いた「次世代大気中CO2固定化技術」の研究開発の推進

2021年より国立大学法人東北大学大学院工学研究科の佐野大輔教授とともに微生物燃料電池(MFC:Microbial Fuel Cells)を利用した二酸化炭素ガス回収・固定化技術の実用化研究を進めています。本研究は、下水由来有機物(下水汚泥)をMFC に供給し、空気から二酸化炭素ガス分離回収(DAC:Direct Air Capture)を行う世界に類を見ない取り組みです。下水汚泥消化とMFC活用によるDACを組み合わせることで下水処理におけるLCCO₂ニュートラル(下水処理における全ての段階でのCO2発生量から吸収量を差し引いた合計をゼロにする)の実現に繋がることが期待されています。

 

5) 温熱指標計算アプリ「THERble(サーブル)」の開発と一般公開

室内環境や工場環境などで用いられる汎用的な温熱指標をiPhone・iPad上で計算できる温熱指標計算アプリ「THERble」を開発し一般公開しました。各種測定データを入力することにより、室内温熱環境評価の主要指標であるPMVやSET*、夏季の屋外環境の主要指標であるWBGT、重労働環境での熱ストレス評価指標であるHIS、冬季屋外での体感指標である風冷指数WCI、一般的な体感温度としてNETなどの温熱指標を計算できます。本アプリは、建築設備技術者だけでなく、一般の方々にも熱中症対策ツールとして、無料でダウンロードしてご使用いただけます。

 

 

6) エアカーテンを活用したゾーン空調システム「AC Zone(エーシーゾーン)」の開発

当社は中部電力株式会社、中部電力ミライズ株式会社と共同で、大・中規模の工場のお客さま向けに、快適な作業空間の提供と省エネを実現するゾーン空調システム「AC Zone」を開発しました。本システムは、作業空間をエアカーテンで仕切り、空調設備を運転させることにより、柱や壁を設置することなく空間内を快適な温度に保つことができるゾーン空調システムです。建物構造の制約を受けることが少なく、新築・既築を問わず、様々な工場に設置可能で、さらに、エアカーテンにより、空調からの冷暖気を作業空間に閉じ込めることができるため、エネルギー消費量の約40%削減を実現しました。

 

7) データセンター向け「シミュレーション技術」の高度化

近年高負荷化、高密度化、ハイパースケール化するデータセンターの空調システムにおいて、新たなシステムシミュレーション技術を確立しました。当社は物理モデリング言語Modelica(モデリカ)で記述したシステムモデルを用いたシミュレーションによって、変動する外気条件やサーバの運用状況に対して、空調機器類の運転・制御状況を正確に把握し、消費エネルギーを解析することにより、様々な空調方式や条件に対して精密に解析を行う手法を確立し、高効率・省エネとなるシステム構築の実現を可能としました。

 

8) 小型空調機用ダクト接続型空気清浄装置「L-ViC」(エルヴィック)を市場投入

室内空間における安全・安心な空気環境の提供と感染症対策を目的として開発した、空調ダクトに接続可能な空気清浄装置「L-ViC」の販売を開始しました。本装置は、電気集塵機などの原理として広く普及している放電技術(コロナ放電)を利用したユニットで、感染源が通過する際、電位差による吸着除去、生成された微量オゾンによる殺菌、不活化させます。天井などの狭い空間に設置することが可能であり、ホテル客室や病院などの天井埋込型のファンコイルユニットやエアコン用に利用可能です。

 

9) 熱負荷予測AI機能を搭載した「EnergyQuest® Cloud」(エナジークエストクラウド)を開発

空調設備の省エネ・省CO2に貢献する当社独自技術である熱源最適制御システム EnergyQuestを改良した「EnergyQuest Cloud」を開発し、2023年5月初旬から市場投入しました。空調設備の熱負荷を高精度に予測するAIを搭載し、省エネ効果を高めた精細な運転制御を可能にすると共に、熱源機器の運転状態を把握するための遠隔監視機能や、制御演算の高速化など様々な改良を加えました。更に、クラウド化によりサーバのメンテナンスや設置スペースが不要となると共に、イニシャルコストの低減を実現しました。