第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループの事業目的は、土木・建築構造物の基礎工事を担当することにあり、上部構造物を利用されている全ての方々に「安全」「安心」をお届けすることにあります。基礎工事分野におけるリーディングカンパニーとして、常に新しい技術・工法の開発・普及に努めることで、企業価値の増大を図ることにより、株主・取引先・社会の期待に応える企業を目指します。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、収益性の向上と資本効率を高めることを目標として、自己資本当期純利益率(以下、「ROE」という。)を経営上重視すべき経営指標としており、8%以上を目標としております。

 

(3) 経営環境

 わが国経済の先行きにつきましては、米中間の貿易摩擦等により世界経済の減速懸念が残るものの、企業収益が良好に推移することが予想されることや消費税増税に伴う個人消費への影響を軽減するための経済対策が実施されることなどから、緩やかながらも回復が続くことが期待されます。

 建設業界におきましては、民間の設備投資は緩やかな増加にとどまるものの、公共投資は東京オリンピック・パラリンピック関連需要や自然災害対策の補正予算の執行等により引き続き高水準で推移するものと思われます。このような中、長時間労働の是正や週休二日制の導入等「働き方改革」の推進による施工現場の担い手の確保と育成に早急に取り組む必要があります。

 当社グループにおきましては、このような状況のもと中期経営計画の確実な実行に加え「施工品質の向上」と

「安全管理の強化」並びに、人材の育成と適正な人員配置による施工体制の強化を引き続き実施してまいります。

 

(4) 中長期的な会社の経営戦略と会社の対処すべき課題

 当社グループを取り巻く情勢は、災害対策としての防災・減災、インフラの老朽化などへの対策が急がれるなかで、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けての官民による建設投資は高水準を維持するものと予想されます。一方で、東京オリンピック・パラリンピック後の受注環境の動向は不透明であり、技能労働者の高齢化、若年層の入職者の減少などによる建設現場の担い手不足や「働き方改革」に併せて生産性を改善することが経営上の大きな課題となっております。

 このような状況のもと、当社グループが持続的に成長を続けていくためには、以下を経営の中心に据え事業を進めてまいります。

① 時代のニーズを先取りした新技術や新サービスを提供

② 品質と安全の可視化で信頼性を高め社会に安心を提供

③ 無駄を省いた経営資源の活用で最大の付加価値を創出

④ 豊かさと働きがいを実感できる労働環境を構築

⑤ 成長に向けた強固な経営基盤を確立

 併せて、コンプライアンスを徹底し、リスク管理を強化することにより、当社グループの事業を通じて「安全」「安心」をお届けすることで社会に貢献できる企業体制を構築してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 当社グループが事業展開を図る上でリスク要因となる可能性のある事項や投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について下記に記載しております。当社グループといたしましては、このようなリスク要因の存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存であります。

 なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 また、当連結会計年度より、従来「パイル工事」として表示しておりました工事別区分の名称を「杭工事」に変更しております。これは、表示のみの変更であり、工事の種類別区分の内容に変更はありません。

 

(1) 価格競争

 当社グループの杭工事では主として既製杭を、地盤改良工事ではセメント系固化材を使用しております。これらの主要材料が何らかの外的要因により高騰し、それを製品価格へ十分転嫁できないような価格競争に巻き込まれた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(2) 技術開発力

 当社グループは、他社との差別化を図るため永年にわたり基礎工事に関する技術とノウハウを蓄積してまいりました。また技術志向を標榜する経営理念からも優秀な技術者の養成とともに多くの特許権を取得してまいりました。新工法の開発には多くの時間とコストが必要とされますが、これらの投資が常に回収される保証はありません。また他社の開発に係る新しい技術が当社の技術を陳腐化させるなど、技術開発に内在する様々なリスクが顕在化した場合は当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(3) 施工物件の瑕疵

 当社グループは、建築基準法をはじめとする各種法令に準拠した品質管理基準に基づいて施工しております。当社グループが手がける杭工事と地盤改良工事では、施工する際に十分な事前調査を行っておりますが、地盤は様々な土質で構成されており、予見できない事象により施工の欠陥を生じる可能性を皆無とすることはできません。万一瑕疵に伴う損害賠償請求という事態が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(4) 貸倒れリスク

 当社グループの取引先の予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる事態が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(5) 労働事故災害

 建設現場作業は、大型重機に囲まれた屋外活動が中心となっており、他の産業に比べ重大な労働事故災害が発生する危険性が高いものと考えております。当社グループといたしましては、整理・整頓から始まる現場の安全・衛生教育を徹底し、事故の発生防止に全力を挙げております。

 また、万一の場合の金銭的な損失に備え各種保険に加入しておりますが、仮に死亡事故などの重大災害が発生したことによる人的損失もさることながら、それに伴って生じる社会的信用の失墜、補償などを含む災害対策費用の発生や工事の遅れによる収益の悪化などが生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(6) 海外事業

 当社グループは、海外での事業展開を行っておりますが、当該地域における予期し得ない法制度の変更、政治状況や経済情勢に変化が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 また、為替相場の急激な変動により為替差損が発生した場合も、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模災害

 当社グループは、事業展開を図る上での主要な拠点を都心近郊に有しており、これらの地域において、想定した水準をはるかに超えた大規模な地震等の自然災害や事故などが発生した場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 また、大規模災害の発生による物流機能の停止等、副次的な影響により工事の遅れによる収益の悪化などが生じた場合、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、相次いだ自然災害により一時的な景気の停滞があったものの、企業収益は良好な水準を維持しており、加えて、雇用・所得環境の改善から個人消費に持ち直しの動きが見られるなど総じて緩やかな回復基調にありました。しかしながら、成長を続けてきた世界経済は、米中間の貿易摩擦や英国のEU離脱問題等の影響を受け、先行きに影を落とす状況にありました。

 建設業界におきましては、良好な企業収益を背景とした民間の設備投資や公共投資が高水準を維持するなど建設投資は総じて底堅く推移しております。一方で、建設資材の高騰や技能労働者不足等から建設費用の上昇が続くなど経営環境は不安が残る環境下にありました。

 このような状況のもと、当社グループにおきましては、「施工品質の向上」と「安全管理の強化」を最重要施策に掲げ人材の育成と適正な人員配置による施工体制の強化を進めてまいりました。

 売上高につきましては、建築の杭工事が減少したものの、鉄道や震災復興関連等の杭工事や、地盤改良工事では物流施設や工場が完成したことなどで、増収となりました。また、利益につきましては、売上高が増加したことに加えて、複数の大型工事を施工したことにより、施工機の稼動が高まり固定費を吸収したことなどで前連結会計年度を上回りました。

 以上の結果、当連結会計年度の売上高は207億74百万円(前連結会計年度比1.6%増)、営業利益は9億53百万円(前連結会計年度比27.2%増)、経常利益は10億10百万円(前連結会計年度比28.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億40百万円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。

 

 資産は、前連結会計年度末に比べ12億26百万円減少し、167億66百万円となりました。

 負債は、前連結会計年度末に比べ14億69百万円減少し、51億29百万円となりました。また、純資産は、前連結会計年度末に比べ2億43百万円増加し、116億36百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

建設事業

 当事業におきましては、売上高については、前年施工した物流施設等の杭工事が減少したものの、北陸新幹線や東日本大震災の復興に係わる水門等の杭工事や地盤改良工事では物流施設や工場が完成したことなどで、増収となりました。また、利益につきましては、売上高が増加したことに加えて、複数の大型工事を施工したことにより、施工機の稼動が高まり固定費を吸収したことや一般管理費の抑制を進めたことなどで、前連結会計年度を上回りました。

 この結果、売上高は202億85百万円(前連結会計年度比2.4%増)、セグメント利益は8億67百万円(前連結会計年度比21.2%増)となりました。

土木建築コンサルティング全般等事業

 当事業におきましては、主に実験・試験業務に関する収入が減少したことにより、売上高は4億89百万円(前連結会計年度比21.1%減)となりました。一方で、セグメント利益は98百万円(前連結会計年度比213.3%増)となりました。これは、前連結会計年度は売上高が急激に伸びたことで外注費等が増加しましたが、当連結会計年度では、その負担額が減少したことなどによるものであります。

その他の事業

 当事業の売上高は、前連結会計年度に賃貸マンションを売却したことに伴い売上高は0百万円(前連結会計年度比99.6%減)、セグメント損失は12百万円(前連結会計年度は2百万円の利益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて11億73百万円減少し、当連結会計年度末には74億26百万円(前連結会計年度比13.6%減)となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得た資金は、2億17百万円(前連結会計年度は20億59百万円の収入)となりました。これは主に工事損失引当金の減少8億30百万円や法人税等の支払5億79百万円により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益10億15百万円及び減価償却費5億16百万円により資金が増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、9億60百万円(前連結会計年度は4億7百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出8億66百万円や投資有価証券の取得による支出1億50百万円により資金が減少したためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は、4億30百万円(前連結会計年度は2億5百万円の支出)となりました。これは主に自己株式の取得による支出2億17百万円や配当金の支払2億11百万円により資金が減少したためであります。

 

③ 受注及び販売の実績

a.受注実績

 受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

受注残高(千円)

当連結会計年度

(自 2018年4月 1日

至 2019年3月31日)

前年同期比

(%)

当連結会計年度

(自 2018年4月 1日

至 2019年3月31日)

前年同期比

(%)

建設事業

19,199,013

△4.9

5,648,660

△16.1

土木建築コンサルティング全般等事業

その他の事業

合計

19,199,013

△4.9

5,648,660

△16.1

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当社グループでは土木建築コンサルティング全般等事業及びその他の事業は受注生産を行っておりません。

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.売上実績

 売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月 1日

至 2019年3月31日)

前年同期比(%)

金額(千円)

建設事業

20,285,480

2.4

土木建築コンサルティング全般等事業

489,138

△21.1

その他の事業

34

△99.6

合計

20,774,653

1.6

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.売上実績総額に対する割合が100分の10以上の相手先の売上実績及びその割合は、次のとおりであります。

前連結会計年度

該当する相手先はありません。

当連結会計年度

該当する相手先はありません。

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

 

 なお、参考のため提出会社単独の事業の状況を示せば、次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び施工高

① 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

前事業年度(自 2017年4月1日 至 2018年3月31日)

工事別

前期繰越

工事高

(千円)

当期受注

工事高

(千円)

(千円)

当期完成

工事高

(千円)

次期繰越工事高

当期施工高

(千円)

手持工事高

(千円)

うち施工高(千円)

杭工事

5,763,385

9,862,208

15,625,593

10,272,159

5,353,433

2.8%

149,083

10,066,236

地盤改良工事

572,084

6,833,649

7,405,733

6,404,165

1,001,568

29.1%

291,154

6,463,903

合計

6,335,469

16,695,857

23,031,326

16,676,325

6,355,001

6.9%

440,237

16,530,139

 

当事業年度(自 2018年4月1日 至 2019年3月31日)

工事別

前期繰越

工事高

(千円)

当期受注

工事高

(千円)

(千円)

当期完成

工事高

(千円)

次期繰越工事高

当期施工高

(千円)

手持工事高

(千円)

うち施工高(千円)

杭工事

5,353,433

10,243,888

15,597,322

11,266,099

4,331,222

13.8%

596,513

11,713,529

地盤改良工事

1,001,568

7,213,871

8,215,439

7,064,677

1,150,762

29.1%

334,877

7,108,401

合計

6,355,001

17,457,760

23,812,761

18,330,776

5,481,984

17.0%

931,391

18,821,930

 (注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にもこの増減額が含まれております。

2.次期繰越工事高の施工高は、未成工事支出金により手持工事高の工事進捗部分を推定したものであります。

3.当期施工高は、(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。

4.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

② 完成工事高

期別

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

計(千円)

前事業年度

(自 2017年4月 1日

至 2018年3月31日)

杭工事

6,587,546

3,684,613

10,272,159

地盤改良工事

1,641,109

4,763,055

6,404,165

8,228,656

8,447,668

16,676,325

当事業年度

(自 2018年4月 1日

至 2019年3月31日)

杭工事

8,843,246

2,422,852

11,266,099

地盤改良工事

1,157,294

5,907,382

7,064,677

10,000,541

8,330,235

18,330,776

 (注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。

2.前事業年度完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

(発注者)

(工事名)

東京都財務局

東京国際展示場(28)増築工事に伴う基礎工事

アイリスオーヤマ㈱

アイリスオーヤマ株式会社つくば工場新築工事に伴う地盤改良工事

日本GLP㈱

GLP枚方Ⅲプロジェクトに伴う基礎工事

日本自動車ターミナル㈱

京浜トラックターミナルA棟(仮称)新築工事に伴う基礎工事

東日本高速道路㈱

東京外環自動車道国分工事区横断歩道橋(下部工)工事に伴う基礎工事

 

当事業年度完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

(発注者)

(工事名)

独立行政法人鉄道建設・

運輸施設整備支援機構

北陸新幹線福井橋りょう他工事に伴う鋼管ソイルセメント杭工事

独立行政法人鉄道建設・

運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、福井大町高架橋に伴う基礎工事

岩手県

二級河川鵜住居川筋鵜住居地区河川災害復旧(23災647号)水門土木工事に伴う基礎工事

独立行政法人鉄道建設・

運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、福井下莇生田高架橋に伴う基礎工事

野村不動産㈱

(仮称)Landport厚木愛川町新築工事に伴う地盤改良工事

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

該当する相手先はありません。

当事業年度

該当する相手先はありません。

4.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 手持工事高(2019年3月31日現在)

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

計(千円)

杭工事

3,843,085

488,137

4,331,222

地盤改良工事

358,562

792,200

1,150,762

4,201,647

1,280,337

5,481,984

 (注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。

2.手持工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

(発注者)

(工事名)

(完成予定年月)

西日本高速道路㈱

 

新名神高速道路城陽第二高架橋東(下部工)工事に伴う基礎工事

2020年3月

西日本高速道路㈱

新名神高速道路城陽第三高架橋東他2橋(下部工)工事に伴う基礎工事

2019年7月

独立行政法人鉄道建設・

運輸施設整備支援機構

北陸新幹線、足羽川橋りょう他に伴う基礎工事

2019年8月

独立行政法人鉄道建設・

運輸施設整備支援機構

北陸新幹線福井橋りょう他工事に伴う鋼管ソイルセメント杭工事

2019年6月

西日本旅客鉄道㈱

北陸幹第4南福井高架新設他工事に伴う基礎工事

2019年9月

3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針及び見積り方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 売上高は、主に建設事業において、鋼管杭の販売や民間建築の杭工事で倉庫・物流施設等が減少するものの、官庁の土木の杭工事で鉄道や震災復興工事や民間の地盤改良工事で工場・倉庫等が伸長いたしました。この結果、売上高は207億74百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。

(営業利益)

 売上原価は、売上高の増加に伴う増加があったものの、主に建設事業において複数の大型工事を手掛けたことで施工効率が高まり固定費を吸収できたことで工事原価を抑制することができました。この結果、売上原価は181億21百万円(前連結会計年度比1.4%増)、売上原価率は87.2%(前連結会計年度比0.3ポイント減)となりました。

 また、販売費及び一般管理費は、主に人員の施工部門への異動に伴い人件費が減少したことやその他の一般経費を抑制したことで17億円(前連結会計年度比6.3%減)、売上高販管費率は8.2%(前連結会計年度比0.7ポイント減)となりました。

 以上の結果、営業利益は9億53百万円(前連結会計年度比27.2%増)、営業利益率4.6%(前連結会計年度比0.9ポイント増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 営業外損益は、川崎市に所有している土地に建設した介護施設の竣工遅延に伴う受取補償金(営業外収益)を16百万円計上したことなどで、経常利益は10億10百万円(前連結会計年度比28.5%増)となりました。また、特別損益では、保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益22百万円、非連結子会社の債権に引当てていた貸倒引当金の戻入益12百万円(特別利益)、非連結子会社への投資損失引当金繰入額44百万円(特別損失)を計上いたしました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は6億40百万円(前連結会計年度比22.2%増)、利益率は3.1%(前連結会計年度比0.5ポイント増)となり前連結会計年度を上回りました。

 

(財政状態)

 当連結会計年度末における総資産額は167億66百万円(前連結会計年度比6.8%減)となりました。流動資産につきましては、主に現金預金が減少したことから、前連結会計年度末に比べ11億13百万円減少し、140億26百万円となりました。また、固定資産につきましては、主に建物及び構築物や土地を取得したことで、有形固定資産が1億42百万円増加し23億80百万円となったものの、投資その他の資産では、繰延税金資産が2億80百万円減少したことで3億26百万円となり、固定資産合計は前連結会計年度末に比べ1億13百万円減少し、27億39百万円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は51億29百万円(前連結会計年度比22.3%減)となりました。流動負債につきましては、主に工事損失引当金が減少したことから、前連結会計年度末に比べ14億83百万円減少し、46億円(前連結会計年度比24.4%減)となりました。また、固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ14百万円増加し、5億28百万円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2億43百万円増加し、116億36百万円(前連結会計年度比2.1%増)となりました。これは、利益剰余金が4億28百万円増加したものの、自己株式が1億99百万円増加したことによります。

 以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は67.5%(前連結会計年度比5.8%ポイント増)、ROEは5.7%(前連結会計年度比0.9ポイント増)となりました。当連結会計年度のROEにつきましては、経営目標とする8%以上を達成することはできませんでしたが、引き続き企業価値を高めるべくROEの向上に努めてまいります。

 

 なお、今後の見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「2 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、当社グループといたしましては、このようなリスク要因の存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存であります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など最適な資本構成を追求しながら、将来のために内部留保の充実と株主への利益還元の最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。

 当社が中長期的に安定した成長を遂げるためには、利益の源泉となる建設事業への投資資金を確保することが必要であると認識しております。具体的には、施工機などの新規取得や更新、各工法において施工管理を高めるための管理装置の精度向上や新しい技術開発への研究開発投資であります。しかしながら、今後の建設市場の動向は必ずしも楽観視できる状況にあるとは言えず、会社が持続的に成長を続けるためには建設事業においてシェア拡大を目的とした合併や買収、国内未開拓市場へ参入、海外建設市場へ進出など内部留保を積極的に活用することが必要であると考えております。

 当連結会計年度においては、施工機などへの設備投資総額6億46百万円、研究開発費を17百万円計上しております。なお、これらの投資のための財源は、自己資金で賄っており当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は74億26百万円となっております。また、借入金及びリース債務を含む有利子負債はありませんが、今後、大型の投資案件が発生した場合には、金融機関等からの資金調達を検討してまいります。

 

(セグメント別の状況)

 当社グループでは、報告セグメントを「建設事業」、「土木建築コンサルティング全般等事業」、「その他の事業」に区分しております。セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

(建設事業)

 当連結会計年度は、前期に施工した物流施設の杭工事や文化・流通施設の地盤改良工事等が減少しました。一方で、新たに受注した北陸新幹線関連や、これまでにも手掛けたことのある東日本大震災の復興に係わる水門等の杭工事等を施工したことに加え、地盤改良工事では物流施設をはじめとして工場や店舗の基礎工事を施工したことにより売上高は前連結会計年度を上回ることができました。

 セグメント利益につきましては、売上高が増加したことや複数の大型の土木工事を施工したことなどで施工機の稼動が高まり固定費を吸収しました。また、販売費及び一般管理費においては、人件費が減少したことや支払手数料等の抑制を進めたことで増益に寄与しました

 この結果、売上高は202億85百万円(前連結会計年度比2.4%増)、セグメント利益は8億67百万円(前連結会計年度比21.2%増)となりました。

 当事業のセグメント資産については、主に受取手形・完成工事未収入金等の回収が進んだことで83億66百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。

(土木建築コンサルティング全般等事業)

 実験・試験業務に関する収入が減少したものの、外注費等が減少したことにより、売上高は4億89百万円(前連結会計年度比21.1%減)、セグメント利益は98百万円(前連結会計年度比213.3%増)となりました。

 当事業のセグメント資産については、主に仕掛かり中の設計業務に対する前受金等の増加により7億94百万円(前連結会計年度比14.6%増)となりました。

(その他の事業)

 前連結会計年度に賃貸マンションを売却したことに伴い売上高は0百万円(前連結会計年度比99.6%減)、セグメント損失は12百万円(前連結会計年度は2百万円の利益)となりました。

 当事業のセグメント資産については、川崎市に所有している土地に介護施設を建設したことに伴い3億40百万円(前連結会計年度比74.0%増)となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

 特記すべき事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、社会的要請や顧客のニーズに対応すべく、これまでに地盤改良工法であるテノコラム工法や、杭工法であるATTコラム工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法等の基礎工法を開発してまいりました。近年では、戸建て住宅向けの地盤補強工法であるピュアパイル工法を開発し、商品化いたしました。当連結会計年度は、当社保有工法の差別化を図るため、「信頼性向上」と「環境にやさしい」をキーワードとし、施工管理の高度化、価格競争力、施工能力の向上と適用範囲の拡大に関する研究を重点的に実施してまいりました

現在の研究開発体制は、当社の技術部門を中心に推進しており、グループ全体でのスタッフは12名で構成しております。これは総従業員数の約4.3%に当たります。

当連結会計年度における各セグメント別の主な研究開発は次のとおりであります。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は17,265千円であります。

 

(1) 建設事業

① テノコラム工法

建築基礎分野における地盤改良工法のブランド工法として地位を確立しておりますが、近年は他工法との価格競争が激化しております。

当連結会計年度は、信頼施工向上のため、施工管理システムの高度化を行い、実用化しました。また、さらなる品質向上のための施工法の改善・改良に関する基礎研究を継続して行いました。

② ピュアパイル工法

戸建て住宅や小規模建築物の地盤補強を目的として㈱日本住宅保証検査機構と共同開発したセメントミルク置換柱体による杭状地盤補強工法です。

当連結会計年度は、商品力を向上した次世代ピュアパイル工法の開発に関する一連の試験を実施し、公的認証を取得しました。

③ ATTコラム工法

旭化成建材㈱と共同開発したATTコラム工法は、テノコラム工法と羽根付き鋼管杭を合成した建築物向けの基礎杭です。

当連結会計年度は、さらなる品質及び施工性の向上のための研究を行い、適用範囲を拡大しました。

④ TN-X工法(高支持力杭工法)

日本製鉄㈱と共同開発したTN-X工法は、軟弱地盤が厚く堆積した地域に建設される大規模物流倉庫等に適した高支持力杭工法です。

当連結会計年度は信頼性向上のための研究として、根固め部の施工品質に関する調査及びデータの蓄積、及び水平耐力向上のための施工技術の研究を継続して行いました。また、信頼性向上のための施工管理システムの開発を継続して行いました。

⑤ ガンテツパイル工法

道路橋の基礎杭として豊富な施工実績を有する本工法は、環境負荷低減の観点から建設残土や汚泥問題を解決した信頼性の高い鋼管ソイルセメント杭工法です。

当連結会計年度は、岩盤などの硬質地盤を支持層とする場合の適用性を確認し、実用化しました。

当事業に係る研究開発費は、14,499千円であります。

 

(2) 土木建築コンサルティング全般等事業

① 地盤材料試験の試験装置及び試験法の高度化

「地盤材料試験の試験装置及び試験法の高度化」に関する共同研究を引き続き実施しました。

② プレキャスト格子枠の開発

「プレキャスト格子枠の開発」に関する共同研究を引き続き実施しました。

③ 繊維補強を用いた地盤改良工法の開発

「繊維補強を用いた地盤改良工法の開発」に関する共同研究を実施しました。

④ ため池、河川、道路等の土構造物の地盤災害に関する数値解析技術の高度化ならびに現場適用性に関する研究

「ため池、河川、道路等の土構造物の地盤災害に関する数値解析技術の高度化ならびに現場適用性に関する研究」に関する共同研究を実施しました。

当事業に係る研究開発費は、2,766千円であります。

 

(3) その他の事業

研究開発は特段行われていません。