第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループの事業目的は、土木・建築構造物の基礎工事を担当することにあり、上部構造物を利用されている全ての方々に「安全」「安心」をお届けすることにあります。基礎工事分野におけるリーディングカンパニーとして、常に新しい技術・工法の開発・普及に努めることで、企業価値の増大を図ることにより、株主・取引先・社会の期待に応える企業を目指します。

 

(2) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

① 経営環境

今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大も落ち着きを見せ始め、さらに感染症法上の分類が2023年5月8日に「2類相当」から「5類」に引き下げられたことで、経済活動の正常化が進み、昨年来の個人消費の回復と相俟って、景気は緩やかながら持ち直しをみせるものと期待されております。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化と国内外の金利政策の変化および物価上昇などが懸念材料となっており、先行きへの不透明感は拭えない状況が続くと思われます。

建設業界におきましては、公共投資および倉庫・流通施設や工場建設を中心とした民間設備投資の増加が見込まれ、建設需要全体としては底堅く推移するものと思われます。しかしながら、建設資材価格の高騰、現場従事者の慢性的な不足、脱炭素への対応など多くの取り組むべき課題を抱えております。

このような環境のもと、当社グループにおきましても、新型コロナウイルス感染症が収まりを見せ、経済活動が回復を見せるものの、引き続き受注活動や施工環境の変化には注視する必要があります。

 

② 中長期的な会社の経営戦略

ⅰ 中期経営計画

2021年度からスタートした新たな中期経営計画(2021年~2023年度)は、前中期経営計画で浮かび上がった課題を克服すべくスローガンとして「進取の気性」(ニーズに適応した高付加価値を創出)を掲げました。

その基本戦略では開発戦略として「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」、次に営業・施工戦略として「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」、最後にESG戦略として「サステナビリティ経営の高度化」を実行してまいります。

開発戦略の「環境変化と国土の強靭化に基礎技術で貢献」「社会が安心できる信頼性を確立」では、新技術の創出、基礎地盤の強靭化への貢献、ICT技術の活用・導入、産学連携によるインキュベーションの発信、連結子会社でもある㈱複合技術研究所との戦略企画室の更なる機能化を行い、「変化する社会・ニーズに適応した高付加価値を創造」「既存技術の高度化、品質と安全のクライテリアの可視化」を進めてまいります。

営業・施工戦略の「設計提案から施工まで、サプライチェーンの実現」「開発途上国の社会インフラ整備に貢献」では、国内では鉄道整備プロジェクト、関西のインフラ強靭化プロジェクト、eコマース関連構造物にスマート設計の提案、営業領域の拡張に積極的に取り組み、「リダンダンシープロジェクトへの貢献とワンストップサービスの実現」を行います。また、海外では施工の認証を取得したTCCSの活用による地盤改良事業の加速、コンクリートパイル事業の拡大、東南アジア圏における更なる進出を行い「ベトナム公的技術基準の活用とコンクリートパイル事業の拡大」を行います。

ESG戦略の「サステナビリティ経営の高度化」では、環境・社会・ガバナンスそれぞれへのアクションプランと検討実施項目を掲げ「社会課題解決、企業価値向上への取り組み」へ積極的に関与してまいります。

 

 

ⅱ サステナビリティ経営の高度化

中期経営計画に掲げるESG戦略は当社のサステナビリティ経営の高度化を推進するもので、E:環境、S:社会、G:ガバナンスの分野で6つのマテリアリティ(重要課題)を設定しております。このマテリアリティは当社の中長期的な経営戦略の要諦であり、それぞれのマテリアリティ毎に経営環境の変化に適応したアクションプランを策定し、その遂行を通してサステナビリティ経営の高度化を図ってまいります。

具体的には以下の通り、マテリアリティへの取り組みを進めております。

マテリアリティ

アクションプラン

進捗状況

①環境配慮型社会の

形成

CO2排出量の低減

当社グループのCO2排出量を算定し一部削減実施

業界初、小型杭打機の電動化の開発に着手

日本初、杭打機にGTL燃料を使用、他の軽油代替燃料も含め低減率を検証中

基礎工事において、CO2を地中に固定化する技術開発

建設排出残土の低減

残土排出抑制材の使用を検討中

産業副産物を資材として再利用

杭引抜き後の地盤復旧に産業副産物を配合した施工実績増件中

②激甚災害への備え

国土のリダンダンシー整備への貢献

道路・鉄道事業を着実に実行中

③技術と品質の向上

品質の可視化「VCCS」の標準化

テノコラム工法での普及率80%を目標に取り組み中

④労働安全衛生の充実

安全衛生活動の強化

事故災害再発防止のルール策定・マニュアル作成→協力会に展開へ

⑤人材の確保と育成

働きがいのある職場環境の実現

資格取得支援実施及び有資格者の採用

新人事制度2023年度内完成を目標にプロジェクト進行中

産後パパ育休取得促進

新基幹システム導入プロジェクト進行中

リモートワーク環境整備実施

メンタルヘルス窓口利用促進、社内禁煙

2023年3月「健康経営優良法人2023」取得

DX研修:参加率84%

ダイバーシティの推進

女性取締役の登用:女性取締役人数1名

外国籍社員の採用

⑥経営の健全性

コンプライアンス委員会の活動の充実

委員会を定期的に開催

コンプライアンスマニュアル策定

コンプライアンス研修:参加率100%

情報セキュリティ委員会活動の徹底

委員会を定期的に開催

リスクマネジメント体制整備

リスク管理委員会を設立し定期的に開催

BCPマニュアル策定→訓練実施へ

(注)上表アクションプランは当社においては具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、上表進捗状況の記載数値は提出会社のものを記載しております。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上の課題と経営指標

当社グループにおきましては、このような状況のもと2023年度が最終年度となります中期経営計画に掲げた課題に対して、3つの基本戦略を着実に実行してまいります。開発戦略に関しましては、開発中の新技術・新サービスの実用化を進めます。営業・施工戦略に関しましては、新技術・新サービスの実用化による営業領域の拡張に加え、北海道新幹線や関西土木インフラ等のリダンダンシープロジェクトでの実績を積み上げます。ESG戦略に関しましては、「E環境」ではCO2排出量の少ない燃料使用の拡大やCO2を固定化する基礎工法の開発を進めます。「S社会」では健康経営や産後パパ育休取得を推進します。「Gガバナンス」では策定したBCPの浸透とコンプライアンス研修の充実を図り、当社グループ、協力会社の役職員及び取引先の関係者の皆さまの安全確保と働きがいのある職場環境作りに適切に対応してまいります。

 

その結果として、中期経営計画の最終年度である2023年度では連結売上高220億円、経常利益15億円の達成を掲げております。加えて、収益性の向上と資本効率を高めることを目標として、自己資本当期純利益率(以下、「ROE」という。)を経営上重視すべき経営指標としており、8%以上を目標としております。更には、将来の成長に繋げるために手元資金の有効活用として3年間で35億円の投資枠を設けました。

 

(4) 株主還元政策

株主への還元政策としては、連結配当性向を30%程度と設定するとともに自社株式においても機動的に取得することとしております。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティとは、変化する社会のニーズに適応した技術の革新に積極的に取り組むことで、新たな価値と市場を創出する事業を通し、社会に「安全」「安心」を提供することであります。当社の中期経営計画の位置づけはその実現に向けた戦略であり、サステナビリティを重視した経営を実践しております。その実践に際しては、気候変動対策の一環として環境配慮型社会の形成を目指す開発、事業の核となる人材の確保と育成及び社内環境整備を行っております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社ではESG経営を担当する専門の部署を設置しております。専門部署では気候変動を含むサステナビリティ関連の諸課題への対応について他部門と連携して活動しております。また、リスク管理委員会において、当社及び子会社のサステナビリティに関連するリスクの把握及び適切な対策を講じており、それぞれの活動は取締役会に報告しております。

 

(2)戦略

当社グループの主たる事業である建設業では、人財力・技術力・ネットワーク力等が重要であり、とりわけ人的資本が企業の価値創造の源泉であると考えております。しかしながら、少子化の流れからも慢性的な人材不足は今後も継続すると考られており、このような状況のもとでサステナビリティ経営を行っていくためには人材の確保と育成が重要課題と認識しております。また、当社では気候変動対策の一環として環境配慮型社会の形成を目指し、CO2排出量削減に向けた研究開発を進めております。

なお、具体的な取り組みにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略 ②中長期的な会社の経営戦略 ⅱサステナビリティ経営の高度化」の表中「①環境配慮型社会の形成」及び「⑤人材の確保と育成」に記載のとおりです。

 

(3)リスク管理

当社は、リスクの把握、管理、対応のためリスク管理規程を定め、リスク管理委員会において、当社及び子会社のサステナビリティに関連するリスクの把握及び適切な対策を講じております。リスク管理委員会の活動状況については取締役会に3ヶ月に1度以上報告しており、当社の内部監査部門はリスク管理状況の監査、有効性の評価を行っております。

なお、人的資本及び気候変動に関するリスク等につきましては、「3 事業等のリスク(3)人材の確保と育成について、(7)大規模災害及び(13)気候変動リスク」に記載のとおりです。

 

(4)指標及び目標

当社は、会社設立当初から環境にやさしい工法開発を進めてまいりました。気候変動などの環境問題が高まる現在、その対策は重要課題と認識しており、引き続き環境にやさしい工法開発に取り組んでまいります。また、サステナビリティ経営を推進するためにも、人材の確保と育成及び社内環境整備は重要課題と認識し、人的資本の充実に努めております。

しかしながら、各課題に対する指標及び目標については、現時点において指標を定めていないため、記載しておりません。今後、指標を定めて取り組んでいく予定です。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループといたしましては、このようなリスク要因の存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存であります。

なお、将来に関する事項につきましては、当連結会計年度末において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 建設市場の動向及び価格競争

当社グループは主に基礎工事に特化した建設事業を営んでいるため、景気の変動による建設投資の減少や同業他社との競合が激化した場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、資材価格の高騰や労務費の上昇により、工事採算が悪化した場合は当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(2) 法的規制について

当社グループは、建設業法に基づき、国土交通大臣の特定建設業許可及び一般建設業許可を受け、当該許可要件の維持及び各法令の遵守に努めております。これらの免許取消事由に該当する事実はありませんが、万一法令違反等により当該許可の取消等、不測の事態が発生した場合は、当社グループの事業展開、業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、建設業法のほか、関連法規として下請法、道路交通法、廃棄物処理法をはじめ様々な法規制を受けております。

当社はコンプライアンスの重要性を強く認識し、コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンスマニュアルを通じ既存法規制等の規制はもとより、規制の改廃、新たな法的規制が生じた場合も適切な対応が取れる体制を構築しております。しかしながら、何らかの事由によりこれらの法規制に抵触する等の問題が発生した場合、又はこれらの法規制の改正により不測の事態が発生した場合は、当社グループの事業展開や業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(3) 人材の確保と育成について

建設事業は優秀な資格者と施工実績の良好な評価が、事業継続と拡大のための基礎となっております。また、工事によっては主任技術者の配置が必須であり、業容を拡大させていくためには、技術の伝承や優秀な人材の採用及び育成が重要な経営課題であると認識しております。現在、有資格者の採用や社員が資格を取得できるような教育に注力しておりますが、将来的に必要な人材を継続的に確保できなかった場合、当社グループの事業活動の維持や拡大、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(4) 協力会社の確保と良好な関係構築について

当社は、工事の施工管理を行っており、協力会社の確保や良好な関係構築が不可欠であります。現状、当社の子会社や長年取引を行っている協力会社を中心として受注した工事に対応できる十分な施工能力を有しております。しかしながら、将来協力会社に不測の事態が生じ施工能力が安定的に確保できなくなることで、当社グループの事業活動の維持や拡大、業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(5) 労働事故災害

建設現場作業は、大型重機に囲まれた屋外作業が中心となっており、他の産業に比べ重大な労働事故災害が発生する危険性が高いものと考えております。当社グループといたしましては、整理・整頓から始まる現場の安全・衛生教育を徹底し、事故災害の発生防止に全力を挙げております。

また、万一の場合の金銭的な損失に備え各種保険に加入しておりますが、仮に死亡事故などの重大災害が発生したことによる人的損失、それに伴って生じる社会的信用の失墜、補償などを含む災害対策費用の発生や工事の遅れによる収益の悪化などが生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(6) 施工物件の契約不適合

当社グループは、建築基準法をはじめとする各種法令に準拠した品質管理基準に基づいて施工しております。当社グループが手がける杭工事と地盤改良工事では、施工する際に十分な事前調査を行っておりますが、地盤は様々な土質で構成されており、予見できない事象により施工の欠陥を生じる可能性を皆無とすることはできません。万一契約不適合に伴う損害賠償請求という事態が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(7) 大規模災害

当社グループは、事業展開を図る上で主要な拠点を都心近郊に有しており、これらの地域において、想定した水準をはるかに超えた大規模な地震等の自然災害や事故などが発生した場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(8) 感染症の拡大

当社グループは全国に営業拠点を構え、各地の現場で基礎工事の施工を行っておりますが、今般の新型コロナウイルス感染症や同様の感染症が国内に拡大し、工事の中断や延期、営業拠点が閉鎖する等の事態となった場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(9) 技術開発力

当社グループは、他社との差別化を図るため長年にわたり基礎工事に関する技術とノウハウを蓄積してまいりました。また技術志向を標榜する経営理念からも優秀な技術者を養成するとともに多くの特許権を取得してまいりました。新工法の開発には多くの時間とコストが必要とされますが、これらの投資が常に回収される保証はありません。また他社の開発に係る新しい技術が当社の技術を陳腐化させるなど、技術開発に内在する様々なリスクが顕在化した場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(10) 貸倒れリスク

当社グループの取引先の予期せぬ貸倒れリスクが顕在化し、追加的な損失や引当の計上が必要となる事態が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(11) 海外事業

当社グループは、海外での事業展開を行っておりますが、当該地域における予期し得ない法制度の変更、政治状況や経済情勢に変化が生じた場合は、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

また、為替相場の急激な変動により為替差損が発生した場合も、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(12) 情報セキュリティリスク

当社グループは、グループ内及びグループ外との通信手段に様々な方法を取り入れています。また、グループ内においては様々なシステムを導入しております。リスク対応策として、ウイルス対策ソフトの常時更新やネットワーク接続のセキュリティ対策の強化を行い、情報の外部漏洩等が発生しないよう対策を講じております。しかしながら、ウイルス感染や不正アクセス等により、システム障害や重要な情報の漏洩が発生した場合、業務の一時中断、顧客や取引先からの信用失墜による取引停止、損害賠償等が発生することで当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

(13) 気候変動リスク

気候変動に対応するための脱炭素社会への移行リスクとして、炭素税や排出権取引といったカーボンプライシングの導入により事業コストが増加し業績への影響が考えられます。また、脱炭素への対応が不十分な企業はサプライチェーンから排除される可能性があります。当社は脱炭素への対応として施工機の燃料に軽油よりCO2の排出量が少ない燃料やCO2排出を削減する添加剤を使用しており、その使用拡大を進めるとともに、ディーゼル排気ガスの排出ゼロの電動施工機の開発に取り組んでいます。また、当社の基礎工事において、CO2の地中への固定化や産業副産物を活用した工法の実用化を進めます。

気候変動に伴う物理的リスクとしては、自然災害の激甚化が顕著になってきており、台風や洪水等による人的災害や施工現場の被災、工期遅延等によって、業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社は災害時の事業継続計画(BCP)を策定しており、従業員及び協力会社への周知と訓練を実施し、災害発生時の速やかな復旧を通して顧客、社会へ貢献することを目指しています。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発した資源価格の高騰や不安定な為替相場などの影響を受けつつも、新型コロナウイルス感染症の抑制策や各種の経済政策が好循環に働き、緩やかながら持ち直しを続けております。しかしながら、高止まりを見せる資源価格や海外経済の減速が景気を下押しする懸念もあり、先行きは予断を許さない状況にあります。

建設業界におきましては、公共投資は防災・減災、国土強靭化の加速化対策などにより引き続き底堅さを維持し、加えて高水準にある企業収益を背景としてコロナ禍で先送りされていた民間の設備投資が前向きに動き始めるなど総じて堅調に推移しております。しかしながら、建設資材価格の受注契約への適正な反映や慢性的な現場従事者の不足に加え、来年4月に迫った建設業の時間外労働の上限規制への対応等、乗り越えなければならない課題があり厳しい環境下にあります。

このような状況のもと、当社グループは中期経営計画の2年目となる2022年度は、課題として掲げた「設計提案から施工までの一貫体制の強化」と「顧客のニーズに応える付加価値の創出」への取り組みを着実に進め、更にはESGを意識した経営を推進して持続的な企業価値の向上に努めてまいりました。

売上高につきましては、主に鉄道高架橋を中心としたインフラ関連の杭工事や民間設備投資の盛り上がりに伴う工場関連の地盤改良工事などの大型工事が寄与したことで増収となりました。利益につきましては、大型工事を中心とした売上高の増加に加え、記録的な寒波による影響も軽微であったことなどから増益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は183億17百万円(前連結会計年度比23.6%増)、営業利益は6億53百万円(前連結会計年度比40.0%増)、経常利益は6億94百万円(前連結会計年度比34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億82百万円(前連結会計年度比34.9%増)となりました。

 

資産は、前連結会計年度末に比べ10億89百万円増加し、187億70百万円となりました。

負債は、前連結会計年度末に比べ9億22百万円増加し、63億3百万円となりました。また、純資産は、前連結会計年度末に比べ1億67百万円増加し、124億67百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(建設事業)

当事業におきましては、鉄道や高速道路の杭工事や民間工場の地盤改良工事が売上高に寄与したことなどで増収となりました。利益につきましては、主に売上高の増加や施工機械の稼働が高まったことなどで増益となりました。なお、新型コロナウイルス感染症の受注活動や着工時期への影響は、引き続き注視が必要なものの収まりを見せております。

この結果、売上高は178億64百万円(前連結会計年度比23.8%増)、セグメント利益は6億31百万円(前連結会計年度比28.1%増)となりました。

当事業のセグメント資産については、主に受取手形・完成工事未収入金及び契約資産等が増加したことで84億26百万円(前連結会計年度比15.5%増)となりました。

 

(土木建築コンサルティング全般等事業)

当事業におきましては、主に設計・計算業務が増加したことにより、売上高は4億30百万円(前連結会計年度比17.6%増)、セグメント利益は14百万円(前連結会計年度は33百万円の損失)となりました。

当事業のセグメント資産については、主に売上債権が増加したことで7億66百万円(前連結会計年度比6.2%増)となりました。

 

(その他の事業)

当事業におきましては、神奈川県川崎市に所有している不動産の賃貸により、売上高は23百万円(前連結会計年度比0.1%減)、セグメント利益は6百万円(前連結会計年度比0.0%減)となりました。

当事業のセグメント資産については、主に賃貸不動産の償却により2億82百万円(前連結会計年度比4.9%減)となりました。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて65百万円減少し、当連結会計年度末には95億15百万円(前連結会計年度比0.7%減)となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は、9億55百万円(前連結会計年度は17億95百万円の収入)となりました。これは主に売上債権及び契約資産の増加7億43百万円により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益7億32百万円、減価償却費4億30百万円、仕入債務の増加7億10百万円により資金が増加したためであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、6億22百万円(前連結会計年度は1億7百万円の支出)となりました。これは主に長期預金の預入による支出3億円、有形固定資産の取得による支出3億19百万円により資金が減少したためであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は、4億4百万円(前連結会計年度は5億14百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額1億83百万円、自己株式の取得による支出1億69百万円により資金が減少したためであります。

 

③ 受注及び販売の実績

a.受注実績

受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

受注残高(千円)

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前年同期比

(%)

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前年同期比

(%)

建設事業

18,123,260

19.1

5,789,864

4.7

土木建築コンサルティング

全般等事業

その他の事業

合計

18,123,260

19.1

5,789,864

4.7

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.当社グループでは土木建築コンサルティング全般等事業及びその他の事業は受注生産を行っておりません。

 

 

b.売上実績

売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

金額(千円)

建設事業

17,864,689

23.8

土木建築コンサルティング

全般等事業

430,043

17.6

その他の事業

23,143

△0.1

合計

18,317,876

23.6

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.売上実績総額に対する割合が100分の10以上の相手先の売上実績及びその割合は、次のとおりであります。

前連結会計年度

㈱角藤

 1,800百万円

 12.1%

当連結会計年度

清水建設㈱

 1,863百万円

 10.2%

 

なお、当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載しておりません。

 

なお、参考のため提出会社単独の事業の状況を示せば、次のとおりであります。

建設事業における受注工事高及び施工高

① 受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

前事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)

工事別

前期繰越

工事高

(千円)

当期受注

工事高

(千円)

(千円)

当期完成

工事高

(千円)

次期繰越工事高

当期施工高

(千円)

手持工事高

(千円)

うち施工高

(千円)

杭工事

1,613,559

8,949,930

10,563,489

6,828,060

3,735,428

10.6%

395,337

7,035,238

地盤改良工事

2,757,000

5,507,126

8,264,126

6,648,897

1,615,229

7.5%

120,447

6,405,537

合計

4,370,560

14,457,056

18,827,616

13,476,958

5,350,658

9.6%

515,785

13,440,775

 

当事業年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

工事別

前期繰越

工事高

(千円)

当期受注

工事高

(千円)

(千円)

当期完成

工事高

(千円)

次期繰越工事高

当期施工高

(千円)

手持工事高

(千円)

うち施工高

(千円)

杭工事

3,735,428

9,163,010

12,898,439

9,503,042

3,395,396

4.4%

150,121

9,257,826

地盤改良工事

1,615,229

7,937,678

9,552,908

7,379,098

2,173,810

32.5%

706,476

7,965,127

合計

5,350,658

17,100,689

22,451,347

16,882,141

5,569,206

15.4%

856,598

17,222,954

(注)1.前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更あるものについては、当期受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にもこの増減額が含まれております。

2.次期繰越工事高の施工高は、未成工事支出金により手持工事高の工事進捗部分を推定したものであります。

3.当期施工高は、(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。

 

 

② 完成工事高

期別

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

計(千円)

前事業年度

(自 2021年4月 1日

至 2022年3月31日)

杭工事

4,587,756

2,240,304

6,828,060

地盤改良工事

1,071,271

5,577,625

6,648,897

5,659,027

7,817,930

13,476,958

当事業年度

(自 2022年4月 1日

至 2023年3月31日)

杭工事

7,900,165

1,602,877

9,503,042

地盤改良工事

1,128,884

6,250,213

7,379,098

9,029,049

7,853,091

16,882,141

(注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。

2.前事業年度完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

(発注者)

(工事名)

五井ユナイテッドジェネレーション合同会社

五井火力発電所 発電設備建設工事に伴う地盤改良工事

㈱ベルーナ

株式会社ベルーナ吉見ロジスティクスセンター増築工事に伴う基礎工事

万葉倶楽部㈱

千客万来施設(6街区)新築工事に伴う基礎工事

相模原2ロジスティック特定目的会社

GLP ALFALINK相模原Ⅱプロジェクトに伴う地盤改良工事

日本貨物鉄道㈱

東京レールゲートEAST整備事業に伴う基礎工事

 

当事業年度完成工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

(発注者)

(工事名)

イビデン㈱

イビデン㈱大野事業場セル8建築工事に伴う地盤改良工事

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北海道新幹線、市渡高架橋他に伴う基礎工事

㈱SUBARU

㈱SUBARU(泉)工場移転に伴う建屋建設工事に伴う地盤改良工事

宮城県

令和2年度県債特定河川2-002号 渋井川水門本体工事のうち水門工 杭基礎工事

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 城陽第三高架橋西他1橋(下部工)工事に伴う基礎工事

 

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

㈱角藤

 1,799百万円

 13.4%

当事業年度

清水建設㈱

 1,851百万円

 11.0%

 

③ 手持工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(千円)

民間(千円)

計(千円)

杭工事

3,271,496

123,900

3,395,396

地盤改良工事

409,300

1,764,510

2,173,810

3,680,796

1,888,410

5,569,206

(注)1.官公庁には、当社が建設業者から下請として受注したものを含みます。

2.手持工事高のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

(発注者)

(工事名)

(完成予定年月)

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 城陽工事に伴う基礎工事

2024年5月

イビデン㈱

イビデン㈱大野事業場第1UTY棟建築工事に伴う地盤改良工事

2023年4月

東日本高速道路㈱

首都圏中央連絡自動車道 稲敷工事に伴う基礎工事

2023年7月

信越半導体㈱

信越半導体㈱ 横野平4D館新築工事に伴う地盤改良工事

2023年6月

山梨県

国道140号(新山梨環状道路東部区間2期)渋川第一橋(仮称)下部工事その1(一部債務)に伴う基礎工事

2023年4月

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

ⅰ 売上高及び営業利益

 売上高は、主に鉄道高架橋を中心としたインフラ関連の杭工事や民間の設備投資の盛り上がりに伴う工場関連の地盤改良工事などの大型工事が寄与したことで増収となりました。この結果、売上高は183億17百万円(前連結会計年度比23.6%増)となりました。

 売上原価は、主に売上高の増加に伴い増加いたしました。この結果、売上原価は155億53百万円(前連結会計年度比24.8%増)、売上原価率は84.9%(前連結会計年度比0.8ポイント増)となりました。

 また、販売費及び一般管理費は、主に人件費が増加したことで21億11百万円(前連結会計年度比11.8%増)、売上高販管費率は11.5%(前連結会計年度比1.2ポイント減)となりました。

 以上の結果、営業利益は6億53百万円(前連結会計年度比40.0%増)、営業利益率3.6%(前連結会計年度比0.4ポイント増)となりました。

 なお、セグメントごとの売上高と営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

ⅱ 営業外損益及び経常利益

営業外損益は、主にその他の営業外収益が減少いたしました。しかしながら、営業利益が増加したことで経常利益は6億94百万円(前連結会計年度比34.6%増)となりました。

 

ⅲ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、主に固定資産売却益(特別利益)が増加したことや経常利益が増加したことで、4億82百万円(前連結会計年度比34.9%増)、利益率は2.6%(前連結会計年度比0.2ポイント増)となり前連結会計年度を上回りました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末における総資産額は187億70百万円(前連結会計年度比6.2%増)となりました。流動資産につきましては、主に受取手形・完成工事未収入金及び契約資産等が増加したことから、前連結会計年度末に比べ7億92百万円増加し、156億42百万円(前連結会計年度比5.3%増)となりました。

固定資産につきましては、主に減価償却費を計上したことにより有形固定資産が89百万円減少し、22億18百万円となりました。また、主にソフトウエアの増加により無形固定資産が57百万円となったことや投資有価証券の評価等により投資その他の資産が8億51百万円となったことなどで、固定資産合計は前連結会計年度末に比べ2億96百万円増加し、31億27百万円(前連結会計年度比10.5%増)となりました。

当連結会計年度末における負債合計は63億3百万円(前連結会計年度比17.1%増)となりました。流動負債につきましては、主に支払手形・工事未払金等が増加したことから、前連結会計年度末に比べ9億84百万円増加し、56億79百万円(前連結会計年度比21.0%増)となりました。また、固定負債につきましては、主に割賦払いに伴う長期未払金が減少したことで、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、6億23百万円(前連結会計年度比9.1%減)となりました。

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億67百万円増加し、124億67百万円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。これは、自己株式が73百万円減少したことや利益剰余金が2億1百万円増加したことなどによるものであります。

以上の結果、当連結会計年度末における自己資本比率は64.4%(前連結会計年度比3.0ポイント減)、ROEは4.0%(前連結会計年度比1.0ポイント増)となりました。当連結会計年度のROEにつきましては、経営目標とする8%以上を達成することはできませんでしたが、引き続き企業価値を高めるべくROEの向上に努めてまいります。

なお、今後の見通しにつきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「3 事業等のリスク」に記載のとおりでありますが、当社グループといたしましては、このようなリスク要因の存在を認識した上で、その発生を未然に防ぎ、万一発生した場合でも適切に対処するよう努める所存であります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

ⅱ 資本の財源及び資金の流動性

資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など最適な資本構成を追求しながら、将来のために内部留保の充実と株主への利益還元の最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。

当社が中長期的に安定した成長を遂げるためには、利益の源泉となる建設事業への投資資金を確保することが必要であると認識しております。具体的には、施工機械などの新規取得や更新、各工法において施工管理を高めるための管理装置の精度向上や新しい技術開発への研究開発投資であります。

今後の建設市場の動向は、新型コロナウイルス感染症により抑制されていた民間の設備投資が盛り上がりを見せ回復傾向にあります。その中で会社が持続的に成長を続けるためには建設事業においてシェア拡大を目的とした合併や買収、国内未開拓市場へ参入、海外建設市場へ進出など内部留保を積極的に活用することが必要であると考えております。

当連結会計年度においては、施工機械などへの設備投資3億46百万円、研究開発費63百万円を計上しております。なお、これらの投資のための財源は、主として自己資金で賄っており当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は95億15百万円となっております。また、持続的な成長のための戦略的な大型の投資などで自己資金が逼迫する恐れが見込まれる場合には、金融機関等からの資金調達を検討してまいります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

また、対象となった工事案件ごとに最新の施工状況を把握し最善の見積りに努めておりますが、新型コロナウイルス感染症にみられるような事態により工事の中断や延期等の発生、または何らかの事由により工事収益総額や工事原価総額等を見積る上で誤謬があった場合には、当社グループの業績や財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記すべき事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、社会的要請や顧客のニーズに対応すべく、これまでに地盤改良工法であるテノコラム工法や、杭工法であるATTコラム工法、TN-X工法、ガンテツパイル工法等の基礎工法を開発してまいりました。近年では、戸建て住宅向けの地盤補強工法であるピュアパイル工法を開発し、商品化いたしました。当連結会計年度は、当社保有工法の差別化を図るため、「信頼性確保」と「環境配慮型社会への貢献」をキーワードとし、価格競争力の向上と社会のニーズに適応した高付加価値技術の創出・実用化に関する研究を重点的に実施してまいりました。

現在の研究開発体制は、当社の技術部門を中心に推進しており、グループ全体でのスタッフは13名で構成しております。これは総従業員数の約4.1%に当たります。

当連結会計年度における各セグメント別の主な研究開発は次のとおりであります。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は63,558千円であります。

 

(1) 建設事業

① テノコラム工法

 建築基礎分野における地盤改良工法のブランド工法として地位を確立しておりますが、近年は他工法との差別化・価格競争が激化しております。

 当連結会計年度は、信頼性を向上した施工管理システムの実用化・全国展開とともに、地中での撹拌状況を確認するシステムを開発し、試験運用を開始しました。また、合理的な液状化対策技術の開発に関する共同研究の継続や地盤条件や施工条件に適応した施工方法の改善・改良、産業副産物を用いた材料を積極的に活用し、近年増えつつある既存杭引き抜き後の地盤復旧への本工法の適用の研究を行い、実用化しました。さらに、テノコラム工法との組み合わせによる差別化・競争力向上を目的として、浅層地盤改良工法の開発に着手しました。

② ATTコラム工法

 旭化成建材㈱と共同開発したATTコラム工法は、テノコラム工法と羽根付き鋼管杭を合成した建築物向けの基礎杭であります。

 当連結会計年度は、さらなる品質向上を目指し、施工管理システムの実用化や施工装備の改善・運用を始め、施工データの整理とその蓄積作業を継続して行いました。また、土木構造物(免震構造)への適用に関する共同研究を継続して行いました。

③ TN-X工法(高支持力杭工法)

 日本製鉄㈱と共同開発したTN-X工法は、軟弱地盤が厚く堆積した地域に建設される大規模物流倉庫やデータセンター等に適した高支持力杭工法であります。

 当連結会計年度は、根固め部の施工品質に関する調査及び室内・現場データの蓄積を継続して行いました。さらに、本工法の適用拡大として、コンクリートパイルを用いた支持力評価および施工技術の改善・改良に関する共同研究に着手しました。

④ ガンテツパイル工法

 道路・鉄道高架橋の基礎杭として豊富な施工実績を有する本工法は、環境負荷低減の観点から建設残土や汚泥問題を解決した信頼性の高い鋼管ソイルセメント杭工法であります。

 当連結会計年度は、信頼性向上のための施工管理システムを開発し、実用化しました。また、被圧帯水層が存在する条件下での施工適用性の評価に関する共同研究を継続して行い、模型実験による特殊条件下での本工法の優位性を確認しました。

⑤ ピュアパイル工法

 戸建て住宅や小規模建築物の地盤補強を目的として開発したセメントミルク置換柱体による杭状地盤補強工法であります。

 当連結会計年度は、施工性向上と適用範囲拡大のための試験を実施するとともに、支持力性能を大幅に向上した次世代ピュアパイル工法の研究に着手しました。また、新たな地盤調査法に基づく支持力算出手法を実用化しました。

 当事業に係る研究開発費は、62,542千円であります。

 

(2) 土木建築コンサルティング全般等事業

地盤材料試験の試験装置及び試験法の高度化

「地盤材料試験の試験装置及び試験法の高度化」に関する共同研究を引き続き実施いたしました。

当事業に係る研究開発費は、1,015千円であります。

 

(3) その他の事業

研究開発は特段行われておりません。