第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「企業は社会の公器、企業の社会的責任遂行」という言葉を明確に自覚し、株主を始め、顧客、当社グループ社員、協力会社並びに地域社会からの信頼を得て、社会資本整備を通して「信頼と利益」の調和の取れた企業経営を目指しております。企業である限り競争は必然であり、そのためにより高度で特化した技術が必要であることを認識し、人材教育と技術開発を推進しております。

 

(経営理念)

・福祉国家建設の一翼を担って社会に奉仕する

・技術を究め創意をこらし自己の責任を完遂する

・和信協同し企業の繁栄と共に幸福を創り出す

 

(経営方針)

技術の研鑽と創意に努め、安全と安心の企業ブランドのもと、社会資本整備を通して国家建設に貢献するとともに、企業の繁栄と社会的責任の調和を追及する。

 

(2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループを取り巻く外部環境は、短期では頻発する自然災害に備えるための「3か年緊急対策」が実施されることや、引き続き2020年東京オリンピック・パラリンピック関連事業が進捗しており、中長期では首都圏を中心とした再開発事業や社会インフラの老朽化に伴う維持更新需要が高まる見通しであり、建設投資は堅調に推移するものと思われます。

 当社グループは、2025年度を最終年度とする中期経営計画「VISION2016」に示す目標の達成に向けて、主力事業である土木構造物の新設市場をはじめとして、高速道路の大規模更新事業に代表されるインフラの点検・維持補修・更新市場のシェア拡大を目指します。また、建設現場の省力化・省人化を推進するためにプレキャスト化を積極的に展開するとともに、機械化やICTの活用を推進して生産性の向上に取り組んでまいります。加えて、ミャンマー連邦共和国を中心とした海外事業の展開や、連結子会社である株式会社シーピーケイのマクラギ事業の営業展開を拡大するなど、各施策を着実に実行して安定した収益基盤の構築に努めてまいります。

 重点施策といたしましては、災害発生リスクを限りなくゼロに近づける取り組みとしてICTなどの最新技術を駆使した安全管理システムを構築することや、営業力の強化を見据えた設計力、技術提案力の向上に注力いたします。また、技能労働者不足への対応策としてプレキャスト化のさらなる需要の拡大を見据え、製造能力を強化するための既存工場への新たな設備投資の実施や、次期主力商品となる独自技術の開発を推進してまいります。重要な経営課題である人的資源の確保につきましては、働き方の多様性を考慮した就業環境の改善、整備に取り組むほか、幅広い人材確保のための採用活動の強化と、女性活躍のさらなる推進に向けたハード、ソフト両面での職場環境の整備に努めます。また、研修制度を充実させて総合的な技術力の底上げを図るとともに、培ったPC技術を確実に承継して当社グループの組織力の強化に取り組む方針であります。これらの重要課題への対応を着実に実行し、長期的な市場環境のニーズを捉えたPC技術の応用展開を図り、土木と建築を事業の両輪として持続的な成長を実現してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

)公共事業の市場環境の影響について

 当社グループの事業は公共土木事業への依存度が概ね6割程度であります。国土強靭化策などにより公共事業は増加基調にありますが、我が国の財政事情などから、この増加基調が中長期的に亘るか否かは不透明であります。当社グループは公共事業に偏らない土木・建築を両輪とした安定的な事業構造への転換を進めておりますが、建築事業の拡大が進展しない場合は業績に影響を及ぼす可能性があります。

)現場での労災事故について

 建設業界は高所作業など危険作業が多く、産業界でも重大事故発生率が最も高い産業であります。当社グループは「安全なくして生産なし」をスローガンとして掲げ、グループを挙げてゼロ災害に取り組んでおります。しかしながら、万一、労災事故が発生した場合は、工事成績評点へのマイナス影響や、関係発注機関から指名停止を受けるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

)瑕疵担保責任及び製造物責任について

 「安全と安心」を企業ブランドとして掲げ、品質管理にはグループを挙げて万全を期しておりますが、万一、瑕疵担保責任及び製造物責任による損害賠償や補修工事などが発生した場合は、多額の補修費用の発生や関係発注機関から指名停止を受けるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

)PC建築製品製作のための工場設備について

 当社グループの事業安定化のためには建築事業の拡大が不可欠であり、その主力製品は工場部材であることから、各地域市場に供給する工場設備の保有が必要であります。民間建築投資は景気、物価、賃金、雇用動向等に大きく影響を受けることから、景気の低迷等による需要低下で工場の稼働率が落ちるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

)官公需法の影響について

 官公需法とは、地元企業育成のために地元中小業者に優先的に公共事業を発注する制度を定めた法律であります。公共投資が縮小するなかで、特に地方自治体は地域振興策を強化しており、官公需法の運用が堅持・強化された場合は、当社グループは元請けから下請けになるケースや地元企業との共同企業体となるケースが増加することなどが考えられます。

 元請けや共同企業体構成員となった地元業者が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

)資材価格や外注労務単価変動の影響について

 様々な要因で資材の購入単価や外注労務単価が高騰し、契約条件にある請負金額のスライド条項などが適用されない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)建設技術者や技能労働者の不足について

 少子高齢化の進展や建設産業の構造的な問題により、建設技術者や技能労働者の不足が顕著な問題となっております。労働者不足に関しては国をあげた課題として取り組まれており、この変革に適切に対応できない場合は施工能力が落ちるなど業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)法的規制等について

 当社グループの事業は、建設業法、建築士法、建築基準法等の法的規制を受けております。主要な事業であります土木・建築事業は、建設業法に基づき、特定建設業許可を受けておりますが、不正な手段による許可の取得や経営管理者・専任技術者等の欠格条項違反に該当した場合は、建設業法第29条により許可の取り消しとなります。  当社グループでは、当該許可の諸条件や法令等の遵守に努めており、現時点において、これらの免許の取消事由に該当する事実はないと認識しております。しかしながら、万一、法令違反等によって許可が取り消された場合、当社グループの業績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

  (許認可等の状況)

法令等

許認可等

有効期限

取消事由

建設業法

特定建設業の許可

国土交通大臣許可

(特—29)第2301号

2017年11月26日から

2022年11月25日まで

(5年ごとの更新)

建設業法29条

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における日本経済は、政府の継続した経済政策や日本銀行の金融緩和政策の継続により、企業収益や雇用環境の改善など緩やかな回復基調が続いたものの、米国の保護主義政策と貿易摩擦の長期化、欧州における政情不安など先行き不透明な状況も懸念されます。

当建設業界におきましては、公共インフラ老朽化対策、震災復興関連事業、東京オリンピック・パラリンピック関連事業など公共事業が堅調に推移するとともに、民間建設投資もマンション事業を中心に成長基調が継続しました。一方で、建設業における働き方改革の推進は引き続き重要な課題であり、建設現場における長時間労働の是正及び週休2日完全実施のための生産性向上への取り組みや、技能労働者の待遇改善に向けた建設キャリアアップシステムの導入など、担い手確保のための環境整備への早急な対応が求められています。

このような経営環境のもと、当社グループは、第4次中期経営計画「VISION2016」の3年目を迎え、本計画に掲げる目標の達成に向け安定した経営基盤を維持・拡大するために、設計力・技術提案力・積算力など総合的な営業力の強化、新分野や新工法に関する技術開発の強化、製造・施工の効率化、機械化・ICT活用の推進及び安全・品質管理の高度化など、総力を挙げて取り組んでまいりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ493百万円増加し、21,911百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ117百万円増加し、14,145百万円となりました

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ376百万円増加し、7,766百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の受注高は32,830百万円(前期比41.8%増)、売上高は27,863百万円(前期比1.8%増)となりました。損益につきましては、売上高の増加加え、工事利益率の好転などにより営業利益は917百万円(前期比20.7%増)、経常利益は887百万円(前期比17.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用が増加したことにより594百万円(前期比22.2%減)となりました。

 

セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。

土木事業は、鋼橋用プレキャストPC床版を中心に、工場製品を含む工事の受注活動や製品供給への営業活動を強化した結果、受注高は25,169百万円(前期比54.7%増)となりました。売上高につきましては、国土交通省、高速道路会社(NEXCO)や鉄道・運輸機構発注工事など大型の繰越工事が設計変更も含め計画どおりに進捗しましたが、前期に比べ期首繰越高が5,350百万円減少したことから、20,720百万円(前期比4.1%減)となりました。セグメント利益につきましては、工事利益率の好転などにより3,011百万円(前期比10.5%増)となりました。

建築事業は、主力分野でありますマンション事業や住宅分野での耐震補強事業及びプレキャスト部材の営業活動を強化した結果、受注高は7,324百万円(前期比10.4%増)となりました。また、売上高につきましては、マンション事業の進捗が順調に推移した結果、6,865百万円(前期比25.3%増)となりました。セグメント利益につきましては、売上高の増加などにより734百万円(前期比7.8%増)となりました

不動産賃貸事業は、テナント獲得の競争激化は依然として継続しているものの、安定した入居率の確保を目指して営業活動を展開した結果、受注高及び売上高は242百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益は135百万円(前期比6.0%増)となりました

その他セグメントにつきましては、重要性が乏しいため、記載を省略しております。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は724百万円増加し、期末残高は1,950百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、獲得した資金は2,815百万円(前連結会計年度は111百万円の支出)となりました。収入の主な要因は、税金等調整前当期純利益及び減価償却費の計上、売上債権の減少、未払消費税の計上等によるものであります。支出の主な要因は、仕入債務の減少、法人税等の支払い等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は618百万円(前連結会計年度は268百万円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出が主な要因であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は1,472百万円(前連結会計年度は269百万円の支出)となりました。これは、長期借入金の増加はあったものの、短期借入金の返済及び配当金の支払によるものであります。

③生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

土木事業

25,169

54.7

建築事業

7,324

10.4

不動産賃貸事業

242

1.5

その他

94

575.8

合計

32,830

41.8

 

b.売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

土木事業

20,720

△4.1

建築事業

6,865

25.3

不動産賃貸事業

242

1.5

その他

35

38.4

合計

27,863

1.8

(注)1.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

2.売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。

相手先

 

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

 

 

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

 

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

中日本高速道路

6,412

23.4

5,449

19.6

国土交通省

4,493

16.4

2,184

7.8

 

 なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

 建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績

(1)受注工事高、完成工事高及び繰越工事高

期別

区分

前期繰越
工事高

(百万円)

当期受注
工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成
工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

土木工事

20,836

14,372

35,208

18,882

16,326

建築工事

338

742

1,081

766

314

21,174

15,115

36,290

19,649

16,640

その他

8,467

7,000

15,467

6,681

8,786

合計

29,641

22,115

51,757

26,330

25,427

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

土木工事

16,326

19,781

36,107

16,421

19,686

建築工事

314

1,916

2,231

1,013

1,217

16,640

21,697

38,338

17,434

20,903

その他

8,786

9,859

18,645

9,161

9,484

合計

25,427

31,556

56,984

26,596

30,388

(注) 前事業年度以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

 

(2)受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

土木工事

2.7

97.3

100

建築工事

100

100

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

土木工事

14.5

85.5

100

建築工事

100

100

(注) 百分比は請負金額比であります。

 

(3)完成工事高

期別

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

前事業年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

土木工事

18,471

411

18,882

建築工事

620

146

766

19,091

558

19,649

当事業年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

土木工事

15,991

429

16,421

建築工事

540

472

1,013

16,532

902

17,434

(注)1.前事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 佐保川橋(PC上部工)工事

国土交通省

平成28年度災害復旧立野地区外橋梁補修工事

清水建設㈱

おおさか東線鴫野地区高架橋新設他工事

北九州市

飛行場南線(中曽根工区)橋梁上部工工事(28-1)

黒沢建設㈱

DPL流山C棟新築工事

 

 2.当事業年度の完成工事のうち請負金額2億円以上の主なものは、次のとおりであります。

中日本高速道路㈱

新名神高速道路 菰野第二高架橋他3橋(PC上部工)工事

中日本高速道路㈱

東海北陸自動車道 八百僧橋他3橋(PC上部工)工事

中日本高速道路㈱

東海北陸自動車道 惣則橋他1橋(PC上部工)工事

西日本高速道路㈱

中国自動車道 (特定更新等)本村川橋床版取替工事

国土交通省

東北中央自動車道 今田高架橋今田前地区上部工工事

 

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

中日本高速道路㈱

6,412百万円

32.6%

 

国土交通省

4,493百万円

22.9%

当事業年度

中日本高速道路㈱

5,449百万円

31.3%

 

国土交通省

2,184百万円

12.5%

 

(4)次期繰越工事高(2019年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

18,824

861

19,686

建築工事

730

486

1,217

19,555

1,348

20,903

(注) 次期繰越工事のうち請負金額2億円以上の主なものは次のとおりであります。

中日本高速道路㈱

新名神高速道路 鈴鹿高架橋他1橋(PC上部工)工事

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 楊梅山高架橋(PC上部工)

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構

北陸新幹線 動橋川橋りょう他

西日本高速道路㈱

中国自動車道 (特定更新等)常国橋他2橋床版取替工事

西日本高速道路㈱

中国自動車道 (特定更新等)東ノ迫池橋(下り線)他1橋床版取替工事

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第一部 企業情報 第5 経理の状況」に記載しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、貸倒引当金、完成工事補償引当金、工事損失引当金、株式給付引当金、退職給付に係る資産及び負債、工事進行基準による収益認識などの判断につきましては、過去の実績や合理的な方法により見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、21,911百万円となり、前連結会計年度末に比べ493百万円の増加となりました。

 流動資産は、14,702百万円となり、前連結会計年度末に比べ265百万円の減少となりました。主な要因といたしましては、現金預金が724百万円増加したものの、受取手形・完成工事未収入金等が456百万円減少、未収入金が118百万円減少したこと等によるものであります。

 固定資産は、7,209百万円となり、前連結会計年度末に比べ758百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、機械、運搬具及び工具器具備品が369百万円の増加など、製造・施工の効率化、機械化・ICT活用の推進等に伴い有形固定資産が426百万円増加したこと、及び退職給付に係る資産が357百万円増加したことによるものであります。

 負債合計は、14,145百万円となり、前連結会計年度末に比べ117百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、流動負債については、未成工事受入金が204百万円、預り金が207百万円、それぞれ増加いたしましたが、短期借入金が2,110百万円減少、支払手形・工事未払金等が478百万円減少したことにより940百万円の減少となりました。一方で、長期借入金が799百万円増加したこと等により固定負債は1,057百万円の増加となりました。

 純資産は、7,766百万円となり、前連結会計年度末に比べ376百万円の増加となりました。主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純利益594百万円によるものであります。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して501百万円増加し、27,863百万円となりました。

なお、セグメント別の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 b.経営成績」の項目をご参照ください。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度と比べ148百万円増加し、23,970百万円となりました。売上原価の増加は、売上高の増加によるものであります。売上総利益は、前連結会計年度と比べ353百万円増加し、3,893百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、費用の徹底した削減に努めましたが、労務費の増加等により前連結会計年度に比べ195百万円増加し、2,975百万円となりました。

 

(営業利益)

営業利益は、販売費及び一般管理費は増加しましたが、売上総利益の増加により前連結会計年度と比べ157百万円増加し、917百万円となりました。

 

(営業外損益)

営業外収益は、前連結会計年度と比べ1百万円減少し、41百万円となりました。

営業外費用は、前連結会計年度と比べ22百万円増加し、71百万円となりました。

 

(特別損益)

特別損失は、確定給付制度の一部を確定拠出年金制度へ移行したことに伴い8百万円発生いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益及び経常利益は増加したものの、法人税、住民税及び事業税の増加により169百万円減少し、594百万円となりました。

 

3)キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況につきましては、本報告書「第2 事業の状況 3 経営成績者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題」、及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

c資本の財源及び資金の流動性

1)キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)経営成績等の状況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

2)資金需要

当社グループの資金需要は、運転資金と設備資金に分けられます。

運転資金は、工事の施工及び工場の製品製造のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用や管理費用であります。

設備資金は、工場における製造設備等固定資産の購入によるものであります。

 

3)資金調達

当社グループの資金調達は、当社が実施し、必要な場合には当社より子会社へ貸付けを行っております。

運転資金につきましては、内部資金より充当しておりますが、不足が生じた場合には金融機関からの短期借入金を利用しております。

設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を作成し、内部資金で不足する場合には金融機関からの短期借入金を利用しております。なお、工場建設等の大規模な設備投資の場合には、長期借入金により調達しております。

 

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは長期的な市場環境の変化をとらえ、PC技術の特性を核とした技術開発と事業の多様化で持続的な成長を実現するため2025年に向けて「VISION2016」を作成し、その達成を目指しております。

「VISION2016」においては、当社グループの目指すところとして大きく次の5点を挙げております。

1.維持更新市場においてシェアを拡大

2.土木・建築の双方でプレキャスト化を推進

3.将来の担い手不足に備え、機械化・情報化による生産性の向上

4.多様な人材の獲得と育成を強化

5.上記を実現させるための技術開発を強化

 

具体的な指標として当社が重視する指標は、以下のとおりです。

①基本方針:売上高300億円超、営業利益率3%超を目指す

売上高及び営業利益(率)は、企業経営の基本的な指標であり、会社の本来の業務における収益性の判断材料として、重要な指標としております。

当連結会計年度における営業利益率は3.3%となり、3.0%を上回る成果をあげることができました。

 

②投資方針:年間3億円の継続的な設備投資及び売上高の0.3%の開発費

当社は建設業界に属していることから工事用機材の適切な維持更新は安全な施工を行うために不可欠であり、また、工場においても生産性の向上、省人・省力化等のために継続的な設備投資は不可欠と考えております。したがって、設備投資額を重要な指標としております。

当連結会計年度における当社グループの設備投資の総額は、技術研究センターの構造実験棟の建設や大型架設機材の購入等により870百万円となりました。

また、当社グループは、設立以来、新製品の開発、製造技術の合理化、現場工事における施工方法の開発、施工上の問題解決等の課題に挑戦しながら、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を実施していることから研究開発投資も重要な指標としております。

このような方針のもと、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は124百万円となり、売上高に対する比率は0.4%となりました。

 

③財務方針:ROE7%以上を目指す

ROE(自己資本利益率)は投下した資本に対しどれだけの利益を獲得できたかを示す指標であり、重要な指標としております。

当連結会計年度におけるROEは7.8%であり、7.0%を超える水準となりました。

 

④投資還元方針:配当性向20%超の継続

当社は株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと位置付け、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を図りながら、安定配当を実施することを基本方針としており、配当性向を重要な指標としております。

当期においては、1株当たり9円の普通配当に東京証券取引所市場第一部への指定に係る記念配当1円を加え、1株当たり10円といたしました。その結果、配当金の総額は178百万円、配当性向は30.6%となりました。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

(1)技術提携の契約

契約締結先

提携内容

契約年月日

極東鋼弦コンクリート振興㈱

フレシネー工法の非独占的再実施に関する技術援助の取得

(a)同工法に使用するジャッキは契約先から有償貸与

(b)同工法に使用する定着具は契約先から有償供与

1977年7月23日から

1982年7月22日まで

(以後2年毎に更新)

㈱エスイー

SEEE工法に関する非独占的再実施権の取得

(a)同工法に使用する定着装置付PC鋼材は契約先から有償供与

1986年7月1日から

1988年6月30日まで

(以後2年毎に更新)

住友電気工業㈱

ディビダーク工法に関する非独占的再実施権の取得

(a)同工法に使用するPC鋼材は契約先から有償供与

(b)同工法に使用したPC鋼材に基準を置き所定の再実施料及び技術指導料を支払う

1971年2月20日から

1977年6月30日まで

(以後1年毎に更新)

住友電気工業㈱

クライミング型枠工法(卵形消化槽の施工)に関する非独占的再実施権の取得

(a)同工法に使用するPC鋼材は契約先から有償供与

(b)同工法に使用して施工した構造物の面積に基準を置き所定の再実施料を支払う

1982年11月1日から
1991年12月31日まで
(以後1年毎に更新)

ブイ・エス・エル・ジャパン㈱

VSLポストテンション工法に関する非独占的再実施権の取得

(a)同工法に使用するPC鋼材及び定着装置は契約先から有償供与

(b)同工法に使用したPC鋼材に基準を置き、所定の再実施料を支払う

1987年7月1日から

1994年6月30日まで

(以後5年毎に更新)

アンダーソンテクノロジー㈱

アンダーソンポストテンショニング工法に関する非独占的再実施権の取得

(a)同工法に使用するジャッキは契約先から有償貸与

(b)同工法に使用するPC鋼材及び定着具は契約先から有償供与

1988年12月28日から

1998年12月27日まで

(以後5年毎に更新)

㈱ピーエス三菱

PC舗装に関する通常実施権の取得

(a)同工法を使用する実施許諾料及び施工した工事請負額に基準を置き所定の実施料を支払う

1989年3月20日から

1994年3月19日まで

(以後1年毎に更新)

黒沢建設㈱

KTBアンカー工法に関する非独占的再実施権の取得

(a)同工法に使用するジャッキは契約先から有償貸与

(b)同工法に使用するPC鋼材及び定着具は契約先から有償供与

1990年4月20日から

1993年4月19日まで

(以後1年毎に更新)

オリエンタル白石㈱

高周波熱練㈱

NAPP工法に関する非独占的通常実施権の取得

(a)同工法に使用する機械・治具は高周波熱練㈱から有償貸与

(b)同工法に使用するPC中空鋼棒は高周波熱練㈱から有償供与

1997年4月1日から

1999年3月31日まで

(以後1年毎に更新)

 

 

契約締結先

提携内容

契約年月日

清水建設㈱

P&Z工法(P&Z式移動支保工)に関する非独占的実施権の取得

(a)同工法を使用して施工した上部工相当額に基準を置き、所定の実施料を支払う

1989年6月12日から

1994年6月11日まで

(以後1年毎に更新)

㈱安部日鋼工業

㈱石井鐵工所

内部の空気圧を外部の空気圧より高めにして、その気圧差で支えた膜を利用してコンクリートを施工し、固化させて構造物を建築するエアードーム工法の実施権の取得

1999年8月10日から

2001年3月31日まで

(以後1年毎に更新)

太平洋セメント㈱

無機系複合材料技術であるダクタルのフルプレミックス品に関する非独占的通常実施権の取得

(a)同工法を使用するためのイニシャルフィー及びダクタルフルプレミックスの販売価格に基準を置き、所定のロイヤリティを支払う

2003年3月11日から

本件特許が全て消滅するまで

ドーピー建設工業㈱

アウトプレート工法に関する通常実施権の取得

(a)同工法に使用した緊張材に基準を置き、所定の実施料を支払う

2004年4月1日から

2007年4月1日まで

(以後1年毎に更新)

鹿島建設㈱

鹿島建設㈱と当社が共同開発した既設建築物の耐震補強構法・パラレル構法の実施に係る協定

(a)同工法を使用して施工した工事請負額に基準を置き、所定の実施料を支払う

2004年6月1日から

2007年3月31日まで

(以後1年毎に更新)

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、設立以来より新製品の開発、製造技術の合理化、現場工事における施工方法の開発、施工上の問題解決等の課題を解決するため、社会のニーズに対応できるよう研究開発活動を行ってまいりました。
 当社では、技術研究センターを中心とした研究開発活動を行っており、当連結会計年度においては技術研究センターの施設整備として2,000kNの反力床を有する構造実験棟の建設を行いました。翌連結会計年度は材料実験施設への設備投資を行い、研究開発体制のさらなる整備を行う計画です。
 当連結会計年度における土木事業・建築事業の研究開発総額は124百万円であり、主な内容は次のとおりであります。

 なお、研究開発費はセグメント別に管理しておりませんので、セグメント別の研究開発費の金額の記載は省略しております。

(1)土木事業、建築事業共通

① 高強度・高耐久コンクリートの開発

 当社では、超高層ビルなどの建築構造物や高い遮塩性が求められる土木構造物に対応するため、圧縮強度70N~130N/m㎡の高強度コンクリートの開発を進めております。当連結会計年度は、耐久性に優れた早強形フライアッシュコンクリートを技術研究センターの反力床に適用いたしました。

 

② 省力化製造方法の開発

 近年、我が国では少子高齢化の影響により建設作業員の不足が顕在化し、今後もその傾向は強まるものと予想されています。当社では、かねてより工場における製造方法の自動化・省人化に取り組み、製造効率の向上に努めてまいりました。さらに現場施工における品質の向上と作業環境の改善を目指したコンクリート材料及び施工方法の開発を進めております。

 

(2)土木事業

① 環境保全に対応した製品・工法の開発

 我が国では、温室効果ガスの排出の少ない、環境にやさしいエコエネルギー施設の建設が求められています。当社では、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、浮体式洋上風力発電システムの低コスト化に向けた要素技術開発を進めております。

 

② 各種メンテナンス工法の開発

 我が国では、構造物の老朽化が進む中、その長寿命化のためのメンテナンス工法の開発が求められています。当社では新しい床版補修工法等にかかる高速道路各社等との共同開発など、高速道路リニューアルプロジェクトに対応した工法の開発を進めております。今後増加が見込まれる維持更新市場の中で、社会に求められる技術開発を進めます。

 

(3)建築事業

① 既設建築物の耐震補強工法の開発

 スマイルパラレル工法の中層~高層住宅市場への適用拡大を図るため、制振補強用ダンパーの開発を行い、性能評価を取得するとともに、施工性の改善にも取り組んでおります。

 

② FR・FRS板の製造合理化及び省力化

 現在、FR・FRS板の更なるコスト低減に向けた製造技術の改善による製造合理化及び現場施工作業の改善における省力化を行っております。

 

③ プレキャストプレストレスト・コンクリートの開発

 プレキャスト柱・梁を用いた倉庫や工場、壁式プレキャスト構造の住宅施設や事務所ビル等の各種プレキャスト工法の適用を進めており、今後の市場展開を見据えた技術開発を進めております。

 

(4)不動産賃貸事業、その他の事業

研究開発活動は行っておりません。