(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、英国のEUからの離脱決定や米国の政権交代等による景気の下振れが懸念されましたが、その影響は限定的なものに止まり、円安基調や金融緩和政策の継続、訪日観光客の増加、東京オリンピックへ向けての先行投資等に資源価格や中国等の景気持ち直しなども加わり、設備投資等の大幅な悪化は見られず、企業業績、雇用環境、勤労所得ともに改善傾向を維持したため、景気は引き続き底堅く推移しました。
当社グループが中核事業としている建設業界におきましては、工事利益が改善したこと等により大手建設会社を中心にリーマン危機前を超える業績を確保する企業が増加し、事業環境は当社も含め概ね堅調に推移しました。
今後の建設投資動向につきましては、大都市圏においては東京オリンピック関連事業や大規模再開発などに支えられ、当面大幅な落ち込みは生じないと思われます。しかしながら、地方圏においては人口減少を受けて継続的な大規模投資は見込めず、新規投資も公共土木工事を中心に減少傾向を強めていることなどから、事業を拡大できる見通しは厳しさを増し、既にこれを見越して地方ゼネコンの大都市圏への進出傾向が加速化しつつあり、大都市圏・地方圏を問わず再び採算を無視した価格競争へ転じる兆しが見え始めています。
また、一方では建設技術者・技能者の慢性的な不足と高齢化、若年層の業界離れが一段と深刻化しつつあり、加えて時間外労働の削減を柱とする「働き方改革」への早急な取り組みも求められるため、今後とも安定した事業収益を確保するためには、受注活動からコスト管理まで一段のリスク管理と創意工夫が求められる状況に置かれています。
このような環境下、当社グループは「市況に左右されない事業収益力の強化・確立」を目標に「リスク・コスト管理の徹底」、「首都圏での受注拡大」、「不動産開発事業・環境事業分野の拡充」、「財務基盤の強化」等に取り組み、収益力の強化を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の事業業績は、建築事業、土木事業共に前期からの繰越工事が豊富であったこと、当期の受注及び工事の進捗度が堅調に推移したこと等により、連結売上高は368億8千1百万円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。損益面につきましては、引き続き建設技術者・技能者の逼迫等が続くなか、受注前における施工体制の確認、受注時目標粗利益の確保及び原価管理の徹底に努めた結果、工事採算が改善したこと等により、経常利益は17億1千2百万円(前連結会計年度比42.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、11億7千2百万円(前連結会計年度比9.7%減)を確保することができました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(建築事業)
完成工事高は27,099百万円(前連結会計年度比9.1%増)となり、営業利益は2,549百万円(前連結会計年度比21.6%増)となりました。
(土木事業)
完成工事高は8,229百万円(前連結会計年度比25.4%増)となり、営業利益は491百万円(前連結会計年度比72.1%増)となりました。
(不動産事業)
不動産事業の売上高は1,334百万円(前連結会計年度比36.6%増)となり、営業利益は3百万円(前連結会計年度比95.9%減)となりました。
(その他の事業)
その他の事業(ゴルフ事業)は売上高が217百万円(前連結会計年度比2.3%減)、営業損失は23百万円(前連結会計年度は20百万円の営業損失)となりました。
(注)「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額を表示しています。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ480百万円減少し、当連結会計年度末は2,794百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、使用した資金は46百万円(前連結会計年度は1,107百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は322百万円(前連結会計年度は879百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得及び投資不動産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は112百万円(前連結会計年度は131百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
(1)受注実績
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%)
|
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建築事業(千円) |
29,421,913 |
11.4 |
|
土木事業(千円) |
6,839,550 |
8.7 |
|
不動産事業(千円) |
1,322,584 |
33.8 |
|
その他の事業(千円) |
217,623 |
△2.3 |
|
合計(千円) |
37,801,670 |
11.5 |
(2)売上実績
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比(%)
|
|
建築事業(千円) |
27,099,678 |
9.1 |
|
土木事業(千円) |
8,229,999 |
25.4 |
|
不動産事業(千円) |
1,334,544 |
36.6 |
|
その他の事業(千円) |
217,623 |
△2.3 |
|
合計(千円) |
36,881,844 |
13.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
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ホクト株式会社 |
435,928 |
1.3 |
3,905,840 |
10.6 |
3.当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 社是、経営方針
<社 是> すべてのことに誠実に よりよい仕事をしよう
<経営方針> グッドカンパニーを目指す
1.基本方針 (1)企業力の向上
(2)地域社会への貢献
(3)社員の幸福度向上
2.注力施策 (1)社員一人ひとりの力量の向上
(2)営業力の向上
(3)首都圏を含む大都市圏の事業の拡充
(4)開発事業の拡充
(5)地中熱事業の収益化
(2) 当社グループの経営環境について
当社グループが中核事業としている建設業界における経営環境は、工事利益が改善したこと等により大手建設会社を中心にリーマン危機前を超える業績を確保する企業が増加し、事業環境は当社も含め概ね堅調に推移しました。
今後の建設投資動向は、大都市圏においては東京オリンピック関連事業や大規模再開発などを中心に当面大幅な落ち込みは生じないと思われます。しかしながら、地方圏においては人口減少を受けて継続的な大規模投資は見込めず、新規投資も公共土木工事を中心に減少傾向を強めていることなどから事業を拡大できる見通しは厳しさを増し、既にこれを見越して地方ゼネコンの大都市圏への進出傾向が加速化しつつあり、大都市圏・地方圏を問わず再び採算を無視した価格競争へ転じる兆しが見え始めています。
また、一方では建設技術者・技能者の慢性的な不足と高齢化、若年層の業界離れが一段と深刻化しつつあり、加えて時間外労働の削減を核とする「働き方改革」への早急な取り組みも求められるため、今後とも安定した事業収益を確保するためには、受注活動からコスト管理まで一段のリスク管理と創意工夫が求められる状況に置かれています。
(3) 当面の対処すべき課題の内容
当社グループは、経営計画の基本方針となる「強靭な経営体質の確立を目指して」、「生き残る為の収益至上主義への変革」を実現するために、目標とする経営指標を連結営業利益率向上と位置づけ、従来から重視してまいりました工事粗利益率の向上と固定費の削減に注力し、安定した利益を確保する体制を構築するとともに、資産及び資本効率を高め、企業価値の向上に注力してまいります。
(4) 対処方針
当社グループは、引き続きコンプライアンス体制の強化を図ると共に、「市況に左右されない事業収益力の強化・確立」を目標に以下の施策を実行し、強靭かつ安定した利益体質への更なる転換を進め、確実に事業収益を確保できる体制を構築する所存です。
(5) 具体的な取組み状況等
① 案件毎の与信時・契約時・施工時リスクのより徹底した管理
② 受注時目標粗利益の確保と厳格な工事収支管理の実行
③ 販管費・営業外収支を含めたトータルコストの徹底した削減
④ 首都圏における受注拡大へ向けての体制強化
⑤ 不動産開発事業・環境事業分野への積極的な取り組みと拡充
⑥ 子会社の業績向上による連結財務体質の改善・強化
こうした施策の実行により、確実に利益を確保する体制の整備を進めてまいります。
(6) コンプライアンスの徹底及び体制の整備
① 部署長間の情報共有、協議の活性化とコンプライアンスを踏まえた業務遂行の徹底
② 損失リスクの未然防止対策の強化と規程の整備
③ 組織の整備及び監理室の充実による業務処理の強化
④ 弁護士等の専門家との一層の連携強化
⑤ 営業段階から工事(現業)部門が参加する協議体制の整備
⑥ 取締役を含めた役職員に対する部署別(業務別)研修会の実施
⑦ 内部通報制度の利用の活性化
こうした施策及び体制の整備により、コンプライアンスの強化・徹底を図ってまいります。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループ経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、建設市場は受注価格競争の熾烈化や労務費、建設資材の急激な上昇及び建設技術者・技能者の人員不足がますます深刻化するなど、取り巻く経営環境は引続き厳しい状況が続くものと予想されます。
このような環境下、当社グループでは継続的な発展を遂げていくため、「受注戦略の見直し」と収益構造・人員構造・組織構造の再構築を図り、「経営資源の選択と集中による恒常的収益構造の確立」を目指し、企業力の強化に取り組んでまいります。
当社グループの業績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成29年6月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済の状況及び公共投資の状況について
当社グループの中核事業である建設事業は、営業活動を行っている地域の経済状況が悪化したり公共投資が減少した場合は受注面において影響を受けるため、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)工事受注方法について
民間工事における発注方法の多くは、工事業者に見積を依頼して、その中から発注先を決定する方法が採られています。また、公共工事においては、入札により工事業者を決定する方法が採られています。官・民いずれにおいても、受注するための主な決定要素は見積価格です。したがって、当社グループが他の参加者に比して価格優位性がない場合は受注できないことになります。競争激化により受注価格が著しく低下したりすると、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)資材及び労務の調達について
当社グループの中核事業である建設事業においては、多くの資材調達と外注労務費が必要となります。鋼材、セメント等の建設資材の価格高騰や建設作業員の労務費単価が上昇した場合は、見積価格が上昇し受注競争時の価格優位性を弱めるほか、工事中に発生した場合は、工期や原価に影響を及ぼし、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)工事代金回収について
工事代金の回収リスクを回避するため、受注審査規程等を整備し、受注活動のなかで発注者の経営内容等の与信情報を収集して与信管理を行い、法務コンプライアンス室を中心として回収不能事故の未然防止対策を講じていますが、請負事業に特有な事情として、工事の受注から完成までに相当期間を要することから、引渡しまでの間に発注者側の経営状態が変化したり、金融環境や経済情勢等の急変から資金調達、事業遂行等に支障が生じたり、また発注者と個別要因によりトラブルが発生した場合に工事代金の回収に遅延や貸倒れが発生するリスクを常に有しています。このためリスクの顕在化により当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5)瑕疵責任について
当社グループが行う施工工事・サービス等には、瑕疵が生じるリスクがあります。
当社グループの中核事業である建設事業は、社会生活の基盤を造る事業であり、公共性・安全性が求められており、責任期間も長期にわたります。そのため、様々な規制・法令の適用があり、また、高い技術力の伴った施工能力を求められているので、瑕疵が生じた場合は直接的損害のみならず間接的損害の責任も問われる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財務状況にも悪影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制について
当社グループの建設事業における取引については、「建設業法」「建築基準法」「宅地建物取引業法」「会社法」「金融商品取引法」等の法的規制があります。現時点の規制に従って業務を遂行していますが、将来において規制等の変更がなされた場合、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)人材の確保について
当社グループの中核事業である建設事業は、優秀な資格者と高度な技術による施工実績の良好な評価が、事業を継続拡大するためのベースとなっており、それゆえに優秀な人材を獲得し維持する必要があります。
当社グループの人事部門は、優秀な人材を確保するため注力していますが、当社グループが必要とする人材が計画どおり確保できなかった場合は、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)安全管理について
工事は、市街地、地中、山間地等の多様な周辺環境の中で行われ、現場内では多数の作業員が多種の作業を同時に行うほか高所等での危険作業も多いため、工事部外者に対する加害事故や作業員の労働災害等が発生し易い危険性を有しています。このため大規模な事故や災害が発生した場合は、一時的に復旧費用、補償金等の負担が生じ、当社グループの業績及び財政状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)保有資産について
当社グループは、営業活動を行うにあたって、不動産等の資産を保有していますが、市場価格の変動等により時価が著しく下落した場合に減損損失が生じ、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
特記事項はありません。
(建築事業及び土木事業)
石油等の化石燃料に依存しない低炭素社会に向け、再生可能エネルギーへの期待が市場で高まる状況にあって、地域のリーディングカンパニーとしての責務を自覚し、市場要求の負託に応えるなかで、技術研究室を中心に高度技術の確立を目指し日々研鑽を積んでおります。当連結会計年度における研究開発費は31百万円となっております。また、当連結会計年度の重点的な活動は以下のとおりです。
地中熱エネルギーの活用に関する研究
比較的浅い地盤中において使われていない地中熱の有効利用に関する基礎的研究を実施し、地中熱ヒートポンプにおける地中熱採熱装置の性能向上等を目指した技術開発を進めています。
平成26年9月にはこの技術の実用化にあたり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した平成26年度 再生可能エネルギー熱利用技術開発事業に採択され、現在NEDOとの共同研究を実施中です。共同研究による開発期間は平成30年までの5年間で、実証プラントを構築・稼働させ諸性能の検証を行った後、実用化を図る予定です。なお、本研究開発は特許第5963790号「地下水循環型地中熱採熱システム及び地中熱利用冷暖房又は給湯システム」として、平成28年7月8日に特許を取得しています。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていません。
(不動産事業及びその他の事業)
研究開発活動は特段行われていません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する以下の分析が行われています。この連結財務諸表作成に当たる重要な会計方針につきましては、第5「経理の状況」に記載しています。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度おいては、売上高は、建築事業、土木事業共に前期からの繰越工事が豊富であったこと、当期の受注及び工事の進捗度が堅調に推移したこと等により、前連結会計年度比13.1%増の36,881百万円となりました。
利益面では、引き続き建設技術者・技能者の逼迫等が続くなか、受注前における施工体制の確認、受注時目標粗利益の確保及び原価管理の徹底に努めた結果、工事採算が改善したこと等により営業利益1,587百万円(前連結会計年度比32.6%増)の計上となりました。
営業外収益(費用)の差引純額は124百万円の利益となり、経常利益は1,712百万円(前連結会計年度比42.0%増)となりました。
特別利益(損失)の差引純額は41百万円の損失となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,172百万円(前連結会計年度比9.7%減)となりました。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響が生じる可能性につきましては「4 事業等のリスク」に記載しています。
(4)経営戦略の状況と見通し
当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえて、「恒常的収益構造の確立」を目指し、「3 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」にて記載の具体的な取り組みを着実に実施し、経営課題の解決を図ってまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析(現金及び現金同等物を「資金」という)
当社グループの資金状況は、
営業活動の結果、使用した資金は46百万円(前連結会計年度は1,107百万円の獲得)となりました。これは主に売上債権の増加によるものであります。
投資活動の結果、使用した資金は322百万円(前連結会計年度は879百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得及び投資不動産の取得によるものであります。
財務活動の結果、使用した資金は112百万円(前連結会計年度は131百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払いによるものであります。
以上の活動の結果、前連結会計年度末に比べ480百万円の資金が減少し、当連結会計年度末の資金は2,794百万円となりました。
当社グループは、引き続き財務の健全性を保ち、収益力の強化により営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの成長に必要な資金の調達が可能であると考えています。