「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額を表示しております。
当事業年度のわが国経済は、中国をはじめとする新興国経済の下振れの影響を受けたものの、政府による各種経済政策や日銀の金融緩和策を背景に、企業収益や雇用環境に改善の動きが見られるなど、引き続き緩やかな回復基調で推移しました。
しかしながら、為替・株式市場においては、経済の先行き不透明感から、今年に入り急激な円高・株安が進行しました。
建設業界におきましても、公共投資は緩やかな減少傾向に転じたものの、首都圏を中心とした大型インフラ工事等により引き続き高い水準を維持しているとともに、企業業績の回復に伴い民間設備投資も増加基調にあるなど、全体として緩やかな回復基調で推移しました。
こうした経営環境の中で当社は、全社を挙げて品質管理及び安全管理並びにコンプライアンスの徹底に努めるとともに、総合力の向上と安定的な収益基盤の構築を目指して積極的な営業活動を展開してまいりました。
また、平成28年3月には東京都港区青山に建設していた新東京本社ビル(青山OHMOTOビル)が竣工し、本社機能を増強することによって増大する首都圏での建設需要へ即応できる体制を整備するとともに、その建設を通じて、技術力、提案力、知名度等の総合力の更なる向上を図ってまいりました。
これらの結果、売上高は前期比5.9%増の912億69百万円となりました。利益面では、営業利益が前期比5.5%増の45億6百万円、経常利益は前期比6.7%増の46億59百万円、当期純利益は前期比24.9%減の28億84百万円となり、営業・経常利益ベースでは増益を達成することができました。
セグメント別の業績につきましては以下のとおりであります。
①建築事業
建築事業の当事業年度のセグメント受注高は558億7百万円(前年同期比8.1%減)となりました。セグメント売上高は631億65百万円(前年同期比6.2%増)となり、セグメント利益は72億82百万円(前年同期比0.5%減)となりました。
②土木事業
土木事業の当事業年度のセグメント受注高は243億87百万円(前年同期比51.1%減)となりました。セグメント売上高は281億4百万円(前年同期比5.3%増)となり、セグメント利益は21億59百万円(前年同期比36.9%増)となりました。
当事業年度末における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度末残高から43億円減少し、114億84百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の39億98百万円に対し△16億97百万円となりました。これは、主に売上債権の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の30億46百万円に対し△22億34百万円となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出等が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△3億28百万円に対し△3億67百万円となりました。これは、配当金の支払額が増加したことによるものであります。
セグメントの名称 | 当事業年度(百万円) | 前年同期比(%) |
建築事業 | 55,807 | △8.1 |
土木事業 | 24,387 | △51.1 |
合計 | 80,194 | △27.5 |
セグメントの名称 | 当事業年度(百万円) | 前年同期比(%) |
建築事業 | 63,165 | 6.2 |
土木事業 | 28,104 | 5.3 |
合計 | 91,269 | 5.9 |
(注) 当社では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
期別 | 工事別 | 前期 | 当期 | 計 (百万円) | 当期 | 次期繰越工事高 | 当期 | ||
手持 | うち施工高 | ||||||||
比率 | 金額 | ||||||||
第78期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 建築 | 45,743 | 60,709 | 106,452 | 59,473 | 46,979 | 0.2 | 116 | 57,580 |
土木 | 28,366 | 49,898 | 78,265 | 26,683 | 51,582 | 0.1 | 28 | 26,577 | |
計 | 74,110 | 110,607 | 184,718 | 86,156 | 98,561 | 0.1 | 144 | 84,158 | |
第79期 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 建築 | 46,979 | 55,807 | 102,786 | 63,165 | 39,621 | 0.1 | 52 | 63,101 |
土木 | 51,582 | 24,387 | 75,969 | 28,104 | 47,865 | 0.3 | 151 | 28,227 | |
計 | 98,561 | 80,194 | 178,756 | 91,269 | 87,486 | 0.2 | 203 | 91,328 | |
(注) 1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致いたします。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
期別 | 区分 | 特命(%) | 競争(%) | 計(%) |
第78期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 建築工事 | 89.6 | 10.4 | 100 |
土木工事 | 26.9 | 73.1 | 100 | |
第79期 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 建築工事 | 81.4 | 18.6 | 100 |
土木工事 | 44.0 | 56.0 | 100 |
(注) 百分比は請負金額比であります。
期別 | 区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
第78期 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) | 建築工事 | 2,051 | 57,421 | 59,473 |
土木工事 | 16,702 | 9,980 | 26,683 | |
計 | 18,754 | 67,401 | 86,156 | |
第79期 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | 建築工事 | 11 | 63,154 | 63,165 |
土木工事 | 19,838 | 8,265 | 28,104 | |
計 | 19,849 | 71,420 | 91,269 |
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第78期 請負金額10億円以上の主なもの
イオンモール㈱ | イオンモール岡山新築工事 |
東京都 | 業平橋ポンプ所施設再構築その2工事 |
国土交通省 | 東九州道(佐伯~蒲江)蒲江トンネル北新設工事 |
独立行政法人都市再生機構 | 金町駅前団地1号棟耐震改修工事 |
㈱アクティオホールディングス | いなべテクノパーク(一期)新築工事 |
第79期 請負金額10億円以上の主なもの
イオンモール㈱ | イオンモール常滑新築工事 |
㈱アトル | ㈱アトル福岡ALC新築工事 |
女池上山土地区画整理組合 | 新潟市女池上山土地区画整理事業 |
(公社)岡山県医師会 | (公社)岡山県医師会館建設工事 |
国土交通省 | 紀北西道路春日トンネル他工事 |
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上に該当する相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
第78期
イオンモール㈱ | 25,365百万円 | 29.4% |
第79期
イオンモール㈱ | 15,694百万円 | 17.2% |
区分 | 官公庁(百万円) | 民間(百万円) | 計(百万円) |
建築工事 | 2,790 | 36,831 | 39,621 |
土木工事 | 40,471 | 7,393 | 47,865 |
計 | 43,261 | 44,224 | 87,486 |
(注) 手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
㈱メディセオ |
| メディセオ埼玉ALC新築工事 |
| 平成28年9月完成予定 |
国土交通省 |
| 東京外環中央JCT北側ランプ改良工事 |
| 平成30年3月完成予定 |
厚木2ロジスティック |
| GLP厚木Ⅱ新築工事 |
| 平成28年6月完成予定 |
東日本高速道路㈱ |
| 上信越自動車道矢代工事 |
| 平成30年6月完成予定 |
㈱東京インテリア家具 |
| 東京インテリア家具大阪店新築工事 |
| 平成29年1月完成予定 |
今後のわが国経済は、消費者マインドの弱さや海外景気の下振れ等、企業業績を下押しする懸念材料はあるものの、政府による緩和的金融政策の継続及び成長戦略の実行により、景気は回復基調を維持すると期待されます。
建設業界におきましても、東京オリンピック・パラリンピックを控えた首都圏交通インフラの整備、リニア中央新幹線等の大型プロジェクトが次々と進行しており、公共事業を中心とした経済対策によって防災・減災対策関連の工事量も増加することが期待されます。また、経済環境の改善による企業業績の向上によって、民間設備投資も回復を続けるものと予想されます。
当社といたしましては、これまで築いてきた信用と健全な財務力に加え、技術力、提案力、営業力を一層強化するとともに、人材育成に注力し、総合力の更なる向上を図ってまいります。
また、企業の魅力とイメージの更なる向上を図るとともにマーケティングを徹底し、民間建築事業を継続的に強化してまいります。官公庁工事においても、安定的な受注量を確保するべく、総合評価方式での受注競争力を更に強化してまいります。
建設市況の活性化に伴い、特に首都圏において引き続き技能労働者の不足が予測されますが、タイムリーに最新情報の収集に努め、協力業者との一層の連携強化、新規協力業者開拓に注力することにより、施工体制の強化を図ってまいります。
そして、社会から高い信頼を寄せていただける企業であり続けるべく、全社を挙げて品質管理及び安全管理並びにコンプライアンスの徹底に努めてまいります。さらに、建設業の存在意義と社会的使命とを再認識し、人びとの安全・安心と豊かな暮らしに貢献できるよう、全力を尽くしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成28年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
(1)建設市場の縮小
当社の主要事業である建設事業におきましては、国や地方公共団体等による公共投資及び民間企業による設備投資の動向に大きく影響を受けます。当社は市場構造や競争環境に即した積極的な営業活動を展開しておりますが、今後、公共建設需要及び民間建設需要が予想以上に抑制され、国内建設市場が縮小した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)取引先の信用リスク
当社の主要事業である建設事業におきましては、一取引における請負金額が大きく、請負代金の回収が工事目的物の引渡時に行われる条件で契約が締結される場合があります。取引先の与信管理については、万全の体制を整え、貸倒損失発生の防止に取り組んでおりますが、予想しない取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)資材価格等の変動
主要な建設資材である鋼材等の原材料価格及び労務コストが上昇し、またその価格上昇分が請負金額に反映されない場合には、当社の建設事業売上粗利益額の減少を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)退職給付債務
当社は、確定給付型の退職給付制度を採用しており、退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。運用している年金資産の時価が著しく変動した場合、または割引率、期待運用収益率等の前提条件に変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の欠陥
建設工事の品質につきましては、品質マネジメントシステム(ISO9001)の継続的改善により、徹底した品質管理に努めておりますが、予想しない瑕疵担保責任による損害賠償が発生した場合、またその結果、当社への社会的信用が著しく低下した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制等
当社の主要事業である建設事業におきましては、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により法的規制を受けております。そのため、上記法律の改廃や新たな法的規制の新設、適用基準の変更等によっては、業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社に対する訴訟等につきまして、当社側の主張・予測と相違する結果となった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)金融市場の変動
金利水準及び株式市場に大幅な変動が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)事故又は災害の発生
当社の主要事業である建設事業におきましては、施工中に予期しない重大事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。また地震、風水害等の大規模災害が発生した場合にも、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社は、研究開発部門でも益々多様化するニーズに応えるべく、関連する各分野で幅広く研究を行い、技術の確立と新技術の開発に努めております。また、異業種、大学等の研究機関、公共機関との共同研究も積極的に推進しております。なお、当事業年度における研究開発費は1億27百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(建築事業、土木事業)
a ニューマチックケーソン工法関連技術
・作業気圧低減方策の開発
ニューマチックケーソン工法における施工限界は、現状技術では函内気圧0.69MPaでありますが、掘削深度が深くなっても函内気圧を0.69MPa以下に抑えることができれば、100m以上の超大深度施工も可能となります。このため、圧気以外の方法で地下水の流入を抑える方法として止水技術を考案し、止水性能の確認を行いました。
・超大深度施工技術の開発
函内気圧が0.69MPaに達するような超大深度施工について、函内設備の耐圧性能、新型掘削機、掘削機の回収システム、走行レール間の移動機構等を検討し、それぞれの設備について当社で実証実験を実施しております。
・非接触給電システムの開発
函内掘削に用いる掘削機の給電方式について、機動性と安全性に優れた非接触式給電方式の開発を行っております。
・周面摩擦力の予測手法の開発
超大深度化やノンフリクションカット化に対応するため、現場計測データと原位置せん断摩擦試験の結果を利用して、周面摩擦力を予測する方法を開発しております。
b 地震対策技術
当社で開発したスマート制震システムを用いた大型賃貸マンションの耐震改修工事が、平成27年3月に竣工しました。この工事では、外付けフレームと建物を接続する後施工アンカーである「ピン支承アンカー」と、既存構造体補強に適した後施工アンカーである「プレミアムアンカー」を新たに適用しました。現在、当工事の施工を踏まえて、今後の耐震改修ニーズに対応するため、さらなる研究開発を行っております。
c その他
その他の主な研究開発テーマを下記に示します。
・NEDOの委託する共同研究への参加
・ダム堆砂対策実証実験に関する共同研究
d 特許に関する事項
当事業年度の特許登録は1件、特許出願は3件であります。
当事業年度における建築事業及び土木事業の研究開発費の金額は,1億27百万円であります。
当事業年度末の資産合計は、899億44百万円(前年同期比74億38百万円増)となりました。
流動資産は、完成工事未収入金の増加等により、前年同期比51億10百万円の増加となりました。
固定資産は、新東京本社ビル(青山OHMOTOビル)建設に伴う建物の増加等により、前年同期比23億28百万円の増加となりました。
当事業年度末の負債合計は、335億38百万円(前年同期比55億円増)となりました。
流動負債は、支払手形の増加等により、前年同期比57億54百万円の増加となりました。
固定負債は、繰延税金負債の減少等により、前年同期比2億53百万円の減少となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前年同期比19億38百万円増の564億6百万円となりました。これは、利益剰余金の増加等によるものであります。
当事業年度の売上高は、912億69百万円(前年同期比51億13百万円増)となりました。これは、工事の施工が比較的順調に進捗したこと等によるものであります。
当事業年度の営業利益は45億6百万円(前年同期比2億34百万円増)、経常利益は46億59百万円(前年同期比2億94百万円増)となりました。これは、工事採算が引き続き高い水準で推移したこと等によるものであります。
当事業年度の当期純利益は28億84百万円(前年同期比9億54百万円減)となりました。これは、税金費用の増加等によるものであります。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況」における「1 業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載の内容をご覧下さい。