「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額を表示しております。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末(2020年3月31日)現在において、当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針等
①基本的な経営方針
当社は「健全な建設事業の経営を通じて会社の永続的な発展を図り、それによって社会国家の繁栄に寄与するとともに、株主各位の負託に応え、社員の人間成長と福祉を増進する」ことを経営理念として、また「安全第一、技術と信用、誠実と努力、経営の健全」を社是として掲げ、永年にわたり良質な社会資本の整備並びに提供に向けて努力しております。
②目標とする経営指標
当社が目標とする経営指標といたしましては、安定した経営を持続していくため、自己資本比率、売上高経常利益率、1株当たり当期純利益などの指標の向上を目指しております。
これら各指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 1.2017年10月1日を効力発生日として、普通株式5株につき1株の割合で株式併合を実施しております。
2017年3月期の期首に当該株式併合が行われたと仮定し、1株当たり当期純利益を算定しております。
2.「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2019年3
月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る自己資本比率については、当該会計基準等を遡って
適用した後の指標等となっております。
(2)経営環境
今後のわが国経済は、米中対立などの動向が世界経済に与える影響や地政学的リスクの高まりに加え、新型コロナウイルス感染症の世界的流行による海外経済の不確実性などが下押し要因となり、先行き不透明な状況が続くと予想されます。政府による各種経済対策等の実行やその効果は期待されるものの、新型コロナウイルス感染症が経済及び社会活動に与える影響は甚大かつ広範囲にわたり、その収束の如何によっては長期間にわたって景気後退を招くことも予想されます。
建設業界におきましては、民間設備投資は首都圏を中心とする大規模再開発及び周辺における物流施設の建設などが牽引して、建設需要は全体として高い水準を維持しております。また、公共投資につきましても、経済対策の効果などから大型インフラ整備や防災・減災対策関連の工事量が維持され、引き続き堅調に推移すると期待されます。一方で新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、民間設備投資需要の一部に減速が懸念される状況にあると認識しております。
(3)セグメントごとの事業環境及び優先的に対処すべき課題等
・建築事業
民間設備投資は、大型物流施設や大型商業施設、工場の建設が続くとともに、オフィスビルや複合ビルの建設も一定の需要を維持すると予想されます。一方で建設費は高い水準で推移し、鋼材等資材納期の長期化や地代の高騰が続いていることに加え、新型コロナウイルス感染症の影響等により、一部で設備投資計画見直しによる工事の延期等も懸念される状況にあります。
当社は、技術力・提案力・営業力を強化し、誠実な対応を通じて既存顧客を確実に維持するとともに、長期的な視野を持って新規顧客の開拓に注力し、シェアを拡大してまいります。
・土木事業
公共投資につきましては、首都圏インフラ整備や国土強靭化施策に基づく防災・減災対策等、首都圏を中心として高い水準の維持が予想されます。民間投資につきましては、工場土木、鉄道関連、土地造成工事に加えて環境関連等で一定の需要が維持されると予想されます。一方で大規模工事への予算集中により案件は減少・大型化傾向にあり、受注競争での厳しさが増すことも見込まれる状況にあります。
当社は、選択と集中を徹底し、受注効率を高めることで、シェアの拡大と利益の獲得を目指します。また、今後需要が見込まれるインフラ老朽化対策や環境関連対策事業について情報収集を行い、受注への仕組み作りを行ってまいります。
これらのことを踏まえ、当社といたしましては、リスク管理を徹底し、これまで築いてきた信用と健全な財務力に加え、技術力、提案力、営業力を一層強化するとともに、人材育成に注力し、事業環境の変化に柔軟に対応できるよう、総合力の更なる向上を図ってまいります。
また、企業の魅力とイメージの更なる向上を図るとともにマーケティングを徹底し、民間建築事業を継続的に強化してまいります。官公庁工事においても、安定的な受注量を確保するべく、総合評価方式での受注競争力を更に強化してまいります。
また、建設業界全体の中長期的な課題である、労働時間の適正化や生産性の向上などを含む働き方改革への取り組みを推進してまいります。
そして、社会から高い信頼を寄せていただける企業であり続けるべく、全社を挙げて品質管理及び安全管理並びにコンプライアンスの徹底に努めてまいります。さらに、建設業の存在意義と社会的使命とを再認識し、人びとの安心・安全と豊かな暮らしに貢献できるよう、全力を尽くしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社では、事業等のリスクを、将来の経営成績等に与える影響の程度や発生の蓋然性等に応じて、「特に重要なリスク」「重要なリスク」に分類しております。
文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2020年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(重要なリスク)
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度のわが国経済は、企業収益の改善傾向が持続するとともに、設備投資も高い水準で推移したほか、雇用・所得環境も底堅く推移するなど、引き続き緩やかな回復基調にありました。一方で米中対立などの動向が世界経済に与える影響や地政学的リスクの高まりなどに加え、年度後半には新型コロナウイルス感染症の世界的流行による海外経済の不確実性などが下押し要因となり、景気は先行き不透明な状況が続きました。
建設業界におきましては、一部地方で需要減少による厳しさがみられたものの、民間設備投資は企業業績の回復に伴い増加基調にあるなど、全体として緩やかな回復基調で推移したほか、公共投資も首都圏を中心とした大型インフラ整備等により引き続き高い水準を維持しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響は拡大傾向にあり、業況の先行きについても不透明な状況となりました。
こうした経営環境の中で当社は、全社を挙げて品質管理及び安全管理並びにコンプライアンスの徹底に努めるとともに、技術力、提案力等の総合力の更なる向上と安定的な収益基盤の構築を目指して積極的な営業活動を展開してまいりました。
これらの結果、受注高は前期比14.1%増の920億13百万円となりました。
売上高は前期比5.7%減の790億60百万円となりました。
利益面では、営業利益が前期比43.2%減の30億85百万円、経常利益が前期比42.2%減の32億54百万円、当期純利益は前期比41.5%減の23億10百万円となりました。
当事業年度末の資産合計は、925億15百万円(前年同期比24億75百万円減)となりました。
流動資産は、完成工事未収入金の減少等により、前年同期比7億6百万円の減少、固定資産は、保有株式の株価下落に伴う投資有価証券の減少等により、前年同期比17億68百万円の減少となりました。
当事業年度末の負債合計は、276億26百万円(前年同期比29億89百万円減)となりました。
流動負債は、未払金の減少等により、前年同期比28億42百万円の減少、固定負債は、退職給付引当金の減少等により、前年同期比1億47百万円の減少となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前年同期比5億14百万円増の648億88百万円となりました。これは、当期純利益の計上によるものであります。
セグメントごとの経営成績及び財政状態は、以下のとおりであります。
・建築事業
建築事業の当事業年度のセグメント受注高は456億83百万円(前年同期比6.2%減)となりました。セグメント売上高は407億88百万円(前年同期比17.5%減)となり、セグメント利益は43億61百万円(前年同期比22.7%減)となりました。当事業年度末のセグメント資産は、完成工事未収入金の減少等により340億61百万円(前年同期比10.1%減)となりました。
当事業年度の建築事業は、企業業績の回復に伴う民間設備投資の増加などにより緩やかな回復基調で推移しましたが、受注高は前年同期比で減少となりました。売上高は大型工事の受注及び施工時期の影響等により前年同期比で減少となりました。完成工事利益率は引き続き高い水準で推移したものの、売上高減少の影響等により利益面では前年実績を下回る結果となりました。
・土木事業
土木事業の当事業年度のセグメント受注高は463億29百万円(前年同期比45.2%増)となりました。セグメント売上高は382億71百万円(前年同期比11.2%増)となり、セグメント利益は31億46百万円(前年同期比38.1%減)となりました。当事業年度末のセグメント資産は、完成工事未収入金の増加等により230億27百万円(前年同期比23.6%増)となりました。
当事業年度の土木事業は、首都圏を中心とした大型インフラ整備等により公共投資が引き続き高い水準を維持していることなどから良好な環境が続きました。受注高は民間・官庁ともに多年度工事の受注が重なったため、前年同期比で大幅な増加となりました。順調な受注及び施工消化により売上高は前年同期比で増加しましたが、完成工事利益率の低下により利益面では前年実績を下回る結果となりました。
当事業年度末における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度末残高から3億25百万円減少し、147億62百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の89億77百万円に対し△3億53百万円となりました。これは、主に売上債権の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△21億6百万円に対し6億42百万円となりました。これは、主に有価証券の償還による収入の増加等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△5億11百万円に対し△6億14百万円となりました。これは、主に配当金の支払額が増加したことによるものであります。
(注) 当社では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
(注) 1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第82期 請負金額10億円以上の主なもの
第83期 請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上に該当する相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
第82期
第83期
(注) 手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(2020年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社が目標とする経営指標といたしましては、安定した経営を持続していくため、自己資本比率、売上高経常利益率、1株当たり当期純利益などの指標の向上を目指しております。
当事業年度における各経営指標の実績及び推移につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)会社の経営方針等 ②目標とする経営指標」に記載のとおりであります。
また、当事業年度の期首に設定した経営成績目標とその達成状況は以下のとおりであります。
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、建設工事に係る材料費、外注費、人件費等の経費や販売費及び一般管理費などの営業費用であります。通常の運転資金、設備投資資金及び配当につきましては、営業活動により生じた手元流動資金及び内部資金を充てることとしておりますが、効率的な調達を行うため取引金融機関9社と借入枠50億円の貸出コミットメント契約を締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成にあたっては、当事業年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える見積り及び予測を必要としております。当社は財務諸表作成の基礎となる見積り及び予測を過去の実績や状況に応じて合理的と判断される一定の前提に基づいて継続的に検証し、意思決定を行っております。そのため、実際の結果は、見積り及び予測に伴う不確実性などにより異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用した重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.収益及び費用の認識
当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については工事完成基準を適用しております。工事収益総額、工事原価総額及び工事の進捗率の見積りについて疑義が生じた場合、収益及び費用が増減する可能性があります。
b. 工事損失引当金
受注工事に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見込額を計上しております。損失見込額について疑義が生じた場合、追加引当が必要となる可能性があります。
c. 貸倒引当金
債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権の回収可能性について疑義が生じた場合、追加引当が必要となる可能性があります。
d. 繰延税金資産
繰延税金資産は将来の課税所得の見込等を勘案して、回収可能性を慎重に検討し計上しております。回収可能性に疑義が生じた場合、適正と考えられる金額まで減額する可能性があります。
e.新型コロナウイルス感染症の影響に係る会計上の見積りについて
「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社は、研究開発部門においても益々多様化するニーズに応えるべく、関連する各分野で幅広く研究を行い、技術の確立と新技術の開発に努めております。また、異業種、大学等の研究機関、公共機関との共同研究も積極的に推進しております。なお、当事業年度における研究開発費は
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(建築事業、土木事業)
a ニューマチックケーソン工法関連技術
・非接触給電方式の開発
函内掘削機の給電方式について、機動性と安全性に優れた非接触式給電方式の開発を行っております。装置の実用化に向けた課題の一つである発熱に関する対策と開発を行い、掘削機の動作が問題ないことを検証しました。今後は、実用化に向けて諸課題へのさらなる対策と開発を行う予定であります。
・総合施工管理システムの開発
施工中の各種計測データを取得し、そのデータからケーソンの挙動予測を可能にするシステムの開発を目的としております。当事業年度は、掘削形状の3Dデータや各種計測データを複数の工事で取得して、データの蓄積を行いました。今後は、蓄積したデータを利用して挙動予測に向けた開発を進める予定であります。
・掘削機の自動(自律)運転システムの開発
函内の掘削は人の遠隔操作による無人施工であるため、人の関与をなくした自動(自律)掘削が可能となるシステムの開発を目指しております。当事業年度は、プログラムによって限られた範囲の繰り返し掘削や排土が可能となるシステムの開発を行いました。今後は、総合施工管理システムの挙動予測を元に、AI等を利用した自動(自律)掘削施工が可能なシステムの開発を目指す予定であります。
b ICT関連技術の開発
国土交通省で推進しているi-Construction(建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み)への対応を進めております。
造成工事等において、ドローンによる3次元測量、3次元設計データを使用したマシンガイダンスやマシンコントロールによるICT施工、3次元点群データによる出来形管理及びデータ納品といった全てのプロセスで3次元モデルを活用することによって、生産性の向上を図っております。
c 地震対策技術
・ 当社で開発したスマート制震システムを用いた大型賃貸マンションの耐震改修工事が、2015年3月に竣工しました。この工事では、外付けフレームと建物を接続する後施工アンカーである「ピン支承アンカー」と、既存構造体の耐震性能向上に適した接合部材である「プレミアムアンカー」を新たに適用し、当工事の施工実績を踏まえて、一般財団法人ベターリビングの一般評定の認定を取得しました。
・ 当社は2020年4月から2年間の予定で、「オープン・イノベーションによる建築新技術実用化のための『ビジネスモデル』に関する研究(ディスク・ジョイントを例として)」を題目として、国立大学法人東京大学と共同研究を進めております。
・ アクティブ制振装置を設置した青山OHMOTOビルが2016年2月に竣工しました。国立大学法人東京農工大学、株式会社構造計画研究所、特許機器株式会社と共同開発した「実時間シミュレーションを用いた建物の振動制御(RTCS制御)」を新たに採用し、特許査定を受けました。
・ パッシブ制振装置(TMD)を設置した岡山本店ビルの新棟新築工事が2018年12月に完了しました。従来のガイドレール式の装置に加速度センサーによるトリガー機構を有した空気浮上式の機構を併用し、特許出願中であります。
d 建築技術の共同研究
ゼネコン各社で技術開発・研究を行う共研フォーラムに参加し、「コンクリート品質向上検討会」、「LCC算出システム開発」の各テーマについて、共同研究を行っております。今後は、「コンクリート工事に関する教育研修資料の整備」、「デッキ合成スラブのひび割れ防止対策方法の確立」の各テーマについても調査研究を開始する予定であります。
e その他
その他の主な研究開発テーマを下記に示します。
・AIを活用したトンネル切羽評価システムの開発
・ニューマチックケーソン工法の安全性向上技術の開発
f 特許に関する事項
当事業年度の特許出願は1件であります。
当事業年度における建築事業及び土木事業の研究開発費の金額は、191百万円であります。