「第2 事業の状況」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額を表示しております。
当事業年度のわが国経済は、政府による各種経済政策や日銀の金融緩和策を背景として企業収益や雇用環境に改善が見られ、個人消費も底堅く推移するなど、景気は引き続き緩やかな回復基調で推移しました。一方で新興国経済の成長鈍化、英国のEU離脱問題など海外経済の不確実性の高まりにより、先行き不透明な状況が続いています。
建設業界におきましても、公共投資は首都圏を中心とした大型インフラ工事等により引き続き高い水準を維持しているとともに、民間設備投資も企業業績の回復に伴い増加基調にあるなど、全体として緩やかな回復基調で推移しました。
こうした経営環境の中で当社は、全社を挙げて品質管理及び安全管理並びにコンプライアンスの徹底に努めるとともに、技術力、提案力、知名度等の総合力の更なる向上と安定的な収益基盤の構築を目指して積極的な営業活動を展開してまいりました。
これらの結果、受注高は前期比17.8%増の944億89百万円となりました。
売上高は前期比16.9%減の758億2百万円となりましたが、利益面では、営業利益が前期比6.4%増の47億96百万円、経常利益は前期比2.7%増の47億84百万円、当期純利益は前期比9.2%増の31億49百万円となり、前期を上回る結果となりました。
セグメント別の業績につきましては以下のとおりであります。
①建築事業
建築事業の当事業年度のセグメント受注高は647億41百万円(前年同期比16.0%増)となりました。セグメント売上高は459億92百万円(前年同期比27.2%減)となり、セグメント利益は72億88百万円(前年同期比0.1%増)となりました。
②土木事業
土木事業の当事業年度のセグメント受注高は297億48百万円(前年同期比22.0%増)となりました。セグメント売上高は298億9百万円(前年同期比6.1%増)となり、セグメント利益は25億15百万円(前年同期比16.4%増)となりました。
当事業年度末における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度末残高から4億33百万円減少し、110億50百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△16億97百万円に対し43億36百万円となりました。これは、主に売上債権の減少等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△22億34百万円に対し△31億63百万円となりました。これは、主に投資有価証券の取得による支出等が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期の△3億67百万円に対し△16億7百万円となりました。これは、自己株式の取得による支出等が増加したことによるものであります。
(注) 当社では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
(注) 1.前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2.次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致いたします。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
第79期 請負金額10億円以上の主なもの
第80期 請負金額10億円以上の主なもの
2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上に該当する相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
第79期
第80期
(注) 手持工事のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当事業年度末(平成29年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営方針等
当社は「健全な建設事業の経営を通じて会社の永続的な発展を図り、それによって社会国家の繁栄に寄与するとともに、株主各位の負託に応え、社員の人間成長と福祉を増進する」ことを経営理念として、また「安全第一、技術と信用、誠実と努力、経営の健全」を社是として掲げ、永年にわたり良質な社会資本の整備並びに提供に向けて努力しております。
当社が目標とする経営指標といたしましては、安定した経営を持続していくため、自己資本比率、売上高経常利益率、1株当たり当期純利益などの指標の向上を目指しております。
当事業年度における各経営指標の実績につきましては、自己資本比率は64.0%(前事業年度62.7%)、売上高経常利益率は6.3%(前事業年度5.1%)、1株当たり当期純利益は115.22円(前事業年度103.12円)となっております。
(2)経営環境及び対処すべき課題等
今後のわが国経済は、海外経済の動向に関する不確実性など、企業業績を下押しする懸念材料はあるものの、政府による緩和的金融政策の継続及び成長戦略の実行により、景気は回復基調を維持すると期待されます。
建設業界におきましても、東京オリンピック関連需要が本格化するとともに、リニア中央新幹線等の大型プロジェクトが次々と進行しており、経済対策の効果などから防災・減災対策関連の工事量も増加し、公共投資は高い水準で推移することが期待されます。また、経済環境の改善による企業業績の向上によって、民間設備投資も回復を続けるものと予想されます。
当社といたしましては、これまで築いてきた信用と健全な財務力に加え、技術力、提案力、営業力を一層強化するとともに、人材育成に注力し、総合力の更なる向上を図ってまいります。
また、企業の魅力とイメージの更なる向上を図るとともにマーケティングを徹底し、民間建築事業を継続的に強化してまいります。官公庁工事においても、安定的な受注量を確保するべく、総合評価方式での受注競争力を更に強化してまいります。
建設市況の活性化に伴い、特に首都圏において引き続き技能労働者の不足が予測されますが、タイムリーに最新情報の収集に努め、協力業者との一層の連携強化、新規協力業者開拓に注力することにより、施工体制の強化を図ってまいります。
そして、社会から高い信頼を寄せていただける企業であり続けるべく、全社を挙げて品質管理及び安全管理並びにコンプライアンスの徹底に努めてまいります。さらに、建設業の存在意義と社会的使命とを再認識し、人びとの安心・安全と豊かな暮らしに貢献できるよう、全力を尽くしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末(平成29年3月31日)現在において当社が判断したものであります。
(1)建設市場の縮小
当社の主要事業である建設事業におきましては、国や地方公共団体等による公共投資及び民間企業による設備投資の動向に大きく影響を受けます。当社は市場構造や競争環境に即した積極的な営業活動を展開しておりますが、今後、公共建設需要及び民間建設需要が予想以上に抑制され、国内建設市場が縮小した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)取引先の信用リスク
当社の主要事業である建設事業におきましては、一取引における請負金額が大きく、請負代金の回収が工事目的物の引渡時に行われる条件で契約が締結される場合があります。取引先の与信管理については、万全の体制を整え、貸倒損失発生の防止に取り組んでおりますが、予想しない取引先の倒産等により貸倒れが発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)資材価格等の変動
主要な建設資材である鋼材等の原材料価格及び労務コストが上昇し、またその価格上昇分が請負金額に反映されない場合には、当社の建設事業売上粗利益額の減少を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)退職給付債務
当社は、確定給付型の退職給付制度を採用しており、退職給付債務及び退職給付費用は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出しております。運用している年金資産の時価が著しく変動した場合、または割引率、期待運用収益率等の前提条件に変更があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の欠陥
建設工事の品質につきましては、品質マネジメントシステム(ISO9001)の継続的改善により、徹底した品質管理に努めておりますが、予想しない瑕疵担保責任による損害賠償が発生した場合、またその結果、当社への社会的信用が著しく低下した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)法的規制等
当社の主要事業である建設事業におきましては、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等により法的規制を受けております。そのため、上記法律の改廃や新たな法的規制の新設、適用基準の変更等によっては、業績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社に対する訴訟等につきまして、当社側の主張・予測と相違する結果となった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)金融市場の変動
金利水準及び株式市場に大幅な変動が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)事故又は災害の発生
当社の主要事業である建設事業におきましては、施工中に予期しない重大事故が発生した場合、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。また地震、風水害等の大規模災害が発生した場合にも、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社は、研究開発部門でも益々多様化するニーズに応えるべく、関連する各分野で幅広く研究を行い、技術の確立と新技術の開発に努めております。また、異業種、大学等の研究機関、公共機関との共同研究も積極的に推進しております。なお、当事業年度における研究開発費は1億99百万円であります。
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(建築事業、土木事業)
a ニューマチックケーソン工法関連技術
函内掘削機の給電方式について、機動性と安全性に優れた非接触式給電方式の開発を行っております。室内実験を通じて各種仕様の動作を確認した後、実際の掘削機を用いて給電実験を行うため、試験装置の製作を行いました。今後は、当社においてその作動実験を行う予定であります。
b ICT関連技術の開発
国土交通省で推進しているi-Construction(建設生産システム全体の生産性向上を図り、魅力ある建設現場を目指す取り組み)への対応を進めております。
当社では、大型造成工事において、ドローンによる3次元測量、3次元設計データを使用したマシンガイダンスやマシンコントロールによるICT施工、3次元点群データによる出来形管理及びデータ納品といった全てのプロセスで3次元モデルを活用することによって、生産性の向上を図っております。
c 地震対策技術
・当社で開発したスマート制震システムを用いた大型賃貸マンションの耐震改修工事が、平成27年3月に竣工しました。この工事では、外付けフレームと建物を接続する後施工アンカーである「ピン支承アンカー」と、既存構造体補強に適した接合部材である「プレミアムアンカー」を新たに適用しました。現在、当工事の施工を踏まえて、今後の耐震改修ニーズに対応するため、さらなる研究開発を行っております。
・共同開発により実用化した後施工アンカー「ディスクシアキー」について、汎用性拡大を目的に、継続して共同開発を進めております。
d 建築技術の共同研究
ゼネコン各社で技術開発・研究を行う共研フォーラムに参加し、「コンクリート品質向上検討会」、「環境配慮型コンクリート検討会」、「デッキスラブのひび割れ低減対策」、「LCC算出システム開発」の各テーマについて、共同研究を行っております。
e その他
その他の主な研究開発テーマを下記に示します。
・NEDOの委託する共同研究への参加
・ニューマチックケーソン工法の安全性向上技術の開発
f 特許に関する事項
当事業年度の特許登録は2件、特許出願は1件であります。
当事業年度における建築事業及び土木事業の研究開発費の金額は、1億99百万円であります。
当事業年度末の資産合計は、911億60百万円(前年同期比12億15百万円増)となりました。
流動資産は、完成工事未収入金の増加等により、前年同期比10億87百万円の増加となりました。
固定資産は、保有株式の株価上昇に伴う投資有価証券の増加等により、前年同期比1億27百万円の増加となりました。
当事業年度末の負債合計は、328億円(前年同期比7億37百万円減)となりました。
流動負債は、工事未払金の減少等により、前年同期比8億66百万円の減少となりました。
固定負債は、繰延税金負債の増加等により、前年同期比1億29百万円の増加となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前年同期比19億52百万円増の583億59百万円となりました。これは、利益剰余金の増加等によるものであります。
当事業年度の売上高は、758億2百万円(前年同期比154億66百万円減)となりました。これは、一部工事の進捗が
遅れたこと等によるものであります。
当事業年度の営業利益は47億96百万円(前年同期比2億90百万円増)、経常利益は47億84百万円(前年同期比1億25百万円増)、当期純利益は31億49百万円(前年同期比2億65百万円増)となりました。これは、工事採算が高い水準で推移したこと等によるものであります。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況」における「1 業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載の内容をご覧下さい。