第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針及び経営環境

 建設業界では急速な建設需要の増加により、建設資材の高騰や建設従事者の人手不足を招き、厳しい経営環境は今後も継続するものと思われます。当社におきましては、現況を直視し、会社をあげて収益向上に取り組み、財政基盤および経営基盤の一層の強化を図るため、次の基本方針を実行する所存であります。

①環境保全責任

 環境負荷の少ない生産システムへ転換を求められる中、持続可能な社会へ向けて、滋賀が目指す「低炭素社会の実現および琵琶湖環境の再生」に挑戦する。

②地域社会への貢献

 循環型地域社会の形成と安全・安心な地域づくりに寄与し発展することにより、地域全体の環境・雇用・経済の充実と安定に貢献する。

③働きがいのある会社づくり

 社員は最も信頼できるパートナーであると認識し、その基本である人間対人間の「人を敬う」精神を高め、公平性重視による活力ある社内風土を確立し、共に育ちあうことを目指す。

④市場創造に関する方針

 常にお客様の立場に立って考え行動し、高品質で環境低負荷商品などの時代を先取りした商品を研究・開発し、新たな需要を創出する。

⑤業績向上に関する方針

 売上高重視よりも高付加価値商品・サービスを社会に提供することにより、安定的に適正な利益を計上し、社会のすべてのステークホルダーから信頼され常に発展する企業を目指す。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は収益の回復を第一に考えており、売上高営業利益率、売上高経常利益率、損益分岐点比率の改善に取り組んでまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社は厳しい経済環境の中でこの難局を乗り越え、限られた市場の中における生存競争に勝ち抜くため、優位性を活かした体制強化への取り組みはもちろん、市場に新たな建設価値の醸成を図り、強固な経営基盤を確立してまいります。

①顧客にとって

 ・お客様に高品質の商品を提供することにより、安心、安全、そして誇りを感じていただける企業になる。

 ・お客様に高付加価値のある提案をすることにより、喜びと感動を与える企業になる。

②自社にとって

 ・企業を構成する現場自らが問題を発見し、解決する。現場からの「否定」が当たり前のように上がってくる企業風土になる。

 ・本業に耐震・環境事業を含む領域で2億円以上の経常利益を上げる企業になる。

③社員にとって

 ・豊かな生活と雇用の保障を基盤として、社員が誇りを持って仕事に取り組める状態になる。

④株主にとって

 ・優位性を活かした経営基盤を築き、株主の皆様への安定的な配当を継続し、業績に応じた利益還元を行う。

 これらのビジョンを全ての社員が共有し、確固たる経営基盤を築くべく、全力で取り組んでまいります。

 

(4)会社の対処すべき課題は次のとおりであります。

 当社におきましては、引き続き営業力の強化(全社営業の展開・営業戦略の構築・計画的新規開拓営業・企画提案営業の強化など)に取り組んでまいります。

 また、国土交通省が普及推進しておりますi-Construction(情報化施工等を活用して生産性を向上させる取り組み)を積極的に推進することで、建設現場における生産性を向上させ、経営環境を改善していきます。

 さらに、当社では滋賀県内に眠る森林資源の有効活用を図るため、昨今注目されておりますCLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)の研究を進め、今後はCLTの積極的な利用・展開を促進してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社の事業遂行上において、経営業績、株価、財政状況等に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には以下に記載したようなものが考えられます。当社はこれらのリスク発生の可能性を十分認識し、発生の回避には最大限の努力をするとともに、発生した場合の対処については的確な対応策を講じる所存であります。なお、文中に記載している将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年9月28日)現在において当社が判断したものであります。

 ①業界の受注競争激化に伴うリスク

 公共工事比率が高い当社にとっては競争激化及び経営事項審査の総合評価点が下がることにより指名ランクが下がり業績への懸念材料となる可能性が予想されます。

 ②取引先の信用リスク

 建設工事は個々の取引における請負金額が多額であり、工事代金を受領する前に取引先が法的整理等に至った場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ③工事災害及び品質不良のリスク

 建設業においては、工事災害及び品質不良が発生した場合、社会的にも大きな影響を及ぼす可能性があります。また、工事災害若しくは瑕疵担保責任等により損害賠償の発生が懸念されます。

 ④建設業界の就業者不足に関するリスク

 建設業界に従事する就業者が減少傾向にありますので、就業者不足により、受注が確保できない場合や、人件費の高騰により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 ⑤建設資材の物価上昇によるリスク

 請負契約後において建設資材の高騰により業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 ⑥労働災害発生時のリスク

 建設現場においては安全管理面で万全を期しておりますが、万一重大な労働災害が発生した場合、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

  ⑦保有資産の時価相場による減損処理等のリスク

 不動産及び有価証券を事業を行う上で保有しておりますが、時価相場の変動によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当期におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に景気は、緩やかな回復基調で推移いたしました。

 一方、建設業界につきましては、民間設備投資・公共建設投資ともに堅調に推移する一方で、建設技能者・技術者不足や建設コストの上昇といった課題の拡大とともに、働き方改革への業界全体での取り組みが求められております。

 このような経済状況下、当社は現場力の強化、経費削減及びリスク管理の強化を重点的に取り組み、競争力を高める努力をしてまいりました。

 この結果、当期の経営成績は、受注高4,592百万円(前期比14.2%減)、売上高5,446百万円(前期比13.6%増)、営業利益56百万円(前期比35.8%減)、経常利益74百万円(前期比24.8%減)、当期純利益73百万円(前期比39.3%減)となりました。

 

 各セグメント別の概況は次のとおりであります。

(土木部門)

 土木部門におきましては、一般土木、地下技術、舗装等の工事を行っております。

 当期の業績は、受注工事高3,180百万円(前期比6.9%減)となり、完成工事高3,460百万円(前期比20.9%増)、セグメント利益10百万円(前期比76.5%減)となりました。

(建築部門)

 建築部門におきましては、店舗、マンション、工場等の建築工事を行っております。

 当期の業績は、受注工事高1,412百万円(前期比27.0%減)となり、完成工事高1,954百万円(前期比2.9%増)、セグメント利益28百万円(前期比9.6%増)となりました。

(不動産部門)

 不動産部門におきましては、不動産の売買等を行っております。

 当期の業績は、売上高31百万円(前期比0.7%増)、セグメント利益17百万円(前期比1.5%増)となりました。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当期のキャッシュ・フローにつきましては、現金及び現金同等物が130百万円減少し、期末残高は1,015百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果使用した資金は96百万円(前期は185百万円の使用)となりました。これは、主として売上債権が337百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は1百万円(前期は238百万円の使用)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出34百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は32百万円(前期は32百万円の使用)となりました。これは、主として配当金の支払額27百万円によるものであります。

 ③受注及び販売の状況

  a.建設事業(土木部門、建築部門)

  1)受注工事高、完成工事高、繰越工事高及び施工高

期別

報告セグメント

前期繰越工事高

(千円)

期中受注工事高

(千円)

計(千円)

当期完成工事高

(千円)

次期繰越工事高

(千円)

第63期

自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日

土木部門

857,821

3,417,527

4,275,348

2,861,839

1,413,509

建築部門

1,149,301

1,935,541

3,084,843

1,899,786

1,185,056

2,007,123

5,353,068

7,360,191

4,761,626

2,598,565

第64期

自 平成29年7月1日

至 平成30年6月30日

土木部門

1,413,509

3,180,466

4,593,976

3,460,205

1,133,771

建築部門

1,185,056

1,412,363

2,597,420

1,954,733

642,686

2,598,565

4,592,830

7,191,396

5,414,939

1,776,457

 (注)  前期以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に増減のあるものについては、当期期中受注工事高にその増減額を含めております。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

  2)官公庁、民間別完成工事高

期別

報告セグメント

官公庁(千円)

民間(千円)

合計(千円)

第63期

自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日

土木部門

1,373,847

1,487,992

2,861,839

建築部門

249,786

1,650,000

1,899,786

1,623,633

3,137,993

4,761,626

第64期

自 平成29年7月1日

至 平成30年6月30日

土木部門

1,793,982

1,666,223

3,460,205

建築部門

332,434

1,622,299

1,954,733

2,126,416

3,288,522

5,414,939

 (注)1.完成した工事のうち請負金額1億円以上の主なものは、次のとおりであります。

第63期に完成した工事のうち主なもの

発注者

工事名

完成年月

甲賀市

勅旨・長野地区信楽第一汚水幹線整備工事

平成29年3月

滋賀県

愛東東幹線上岸本1工区管渠工事

平成29年3月

滋賀県

八幡安土BP14工区送水管工事

平成28年12月

滋賀県

野洲停車場線補助道路整備工事

平成28年12月

ティーアイホールディングス

ポルシェセンター滋賀新築工事

平成29年3月

医療法人巴山矯正歯科・歯科

巴山矯正歯科・歯科新築工事

平成29年2月

 

第64期に完成した工事のうち主なもの

発注者

工事名

完成年月

近畿地方整備局

国道161号柳が崎地区歩道整備工事

平成30年3月

近畿地方整備局

国道161号穴太高架橋(下)補強補修工事

平成30年3月

滋賀県

大津能登川長浜線道路整備工事

平成30年3月

甲賀市

希望ヶ丘地区下水道管渠工事

平成30年3月

栗東市

栗東市防災拠点施設建設工事(建築工事)

平成30年2月

甲賀市

小学校トイレ改修工事(その4)

平成30年3月

 

 

2.売上高総額(不動産事業を除く。)に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

第63期

滋  賀  県

1,004,829千円(21.1%)

第64期

栗  東  市

719,708千円(13.3%)

滋  賀  県

683,506千円(12.6%)

甲  賀  市

619,403千円(11.4%)

 

3)工事種類別完成工事高明細表

報告セグメント

第63期

(自 平成28年7月1日

至 平成29年6月30日)

第64期

(自 平成29年7月1日

至 平成30年6月30日)

完成工事高

(千円)

構成比(%)

完成工事高

(千円)

構成比(%)

土木部門

上・下水道

812,104

17.1

855,310

15.8

土地造成

36,141

0.7

227,424

4.2

道路

852,706

17.9

987,827

18.2

地盤改良工事

452,178

9.5

498,259

9.2

その他

708,710

14.9

891,384

16.5

 

2,861,839

60.1

3,460,205

63.9

建築部門

事務所・庁舎

83,406

1.8

722,105

13.3

店舗

543,571

11.4

773,227

14.3

倉庫・流通施設

410

0.0

工場・発電所

144,960

3.0

231,123

4.3

住宅

277,711

5.8

11,726

0.2

医療・福祉施設

223,768

4.7

1,486

0.0

その他

626,369

13.2

214,655

4.0

 

1,899,786

39.9

1,954,733

36.1

合    計

4,761,626

100.0

5,414,939

100.0

 

  b.不動産事業(不動産部門)

 

第63期(自 平成28年7月1日 至 平成29年6月30日)の売上実績

    31,156千円

 

第64期(自 平成29年7月1日 至 平成30年6月30日)の売上実績

    31,373千円

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当期末現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、見積りや予想を必要とする会計処理がありますが、これらが実績と異なる場合があります。 この財務諸表の作成のための重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 重要な会計方針」記載しております。

 

 ②当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社の当期の経営成績は、次のとおりであります。

 当期における受注高は、4,592百万円(前期比14.2%減)であります。土木部門が3,180百万円(前期比6.9%減)、建築部門が1,412百万円(前期比27.0%減)となりました。

 当期における売上高は、5,446百万円(前期比13.6%増)であります。前期繰越工事が多額であった為、土木部門が3,460百万円(前期比20.9%増)、建築部門が1,954百万円(前期比2.9%増)、不動産部門が31百万円(前期比0.7%増)となりました。また、当期の受注が少なかった為、次期繰越工事が前期に比べて822百万円減少いたしました。

 当期における営業利益は、56百万円(前期比35.8%減)であります。これは、積極的な先行投資に伴い、人件費の増加、減価償却費の増加等の結果、販売費及び一般管理費が前期と比べて32百万円増加したことによります。その結果土木部門のセグメント利益が10百万円(前期比76.5%減)、建築部門のセグメント利益が28百万円(前期比9.6%増)、不動産部門のセグメント利益が17百万円(前期比1.5%増)となりました。

 

 当社の当期の財政状態は、次のとおりであります。

(資産)

 当期末における流動資産は2,865百万円となり、前期末に比べ275百万円増加いたしました。これは主に、完成工事未収入金が365百万円増加したことによるものであります。固定資産は1,098百万円となり前期末に比べ35百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が53百万円増加したことによるものであります。

 この結果、総資産は3,964百万円となり、前期末に比べ311百万円増加いたしました。

(負債)

 当期末における流動負債は1,197百万円となり、前期末に比べ214百万円増加いたしました。これは主に、工事未払金が279百万円増加したことによるものであります。固定負債は80百万円となり、前期末に比べ14百万円増加いたしました。これは主に、繰延税金負債が12百万円増加したことによるものであります。

 この結果、負債合計は1,277百万円となり、前期末に比べ229百万円増加いたしました。

(純資産)

 当期末における純資産合計は2,686百万円となり、前期末に比べ82百万円増加いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が36百万円増加したことによるものであります。

 これらの結果、自己資本比率は67.8%(前期末は71.3%)となりました。

 当社のキャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 ③資本の財源及び資金の流動性

 当社の資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。

 運転資金需要の主なものは、工事の外注費や材料費等の費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、建設機械等の購入によるものであります。

 当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金や設備投資の調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

 当社の研究開発活動としては、主として土木部門において「新工法及び新機械の技術開発」及び既存工法・機械設備の「改良、改善、応用等」を行っております。具体的には、近年の顧客ニーズ、とりわけ環境に配慮した自然にやさしい工法、かつ低コスト工法を模索し、最適工法として新たに導入、また改善し、同業他社との差別化を具現することにより、なお一層の社会的貢献を行うことを最終目的としております。

 そのために、当社独自の連続地中壁工法(TRD工法)、地盤改良工法(JST工法)を武器とする地下の基礎分野、環境対策工法、とりわけ省エネルギー対策、建設廃材の削減及びリサイクル化、水質及び法面緑化等各種の建設プロジェクトにおいて、今までに蓄積してきたノウハウをより高度なものへと発展させることを主眼として研究開発活動を行っております。

 また、当社では滋賀県内に眠る森林資源の有効活用を図るため、昨今注目されているCLT(Cross         Laminated  Timber:直交集成板)の研究を進めております。今後はCLTの積極的な利用・展開を促進してまいります。

 この目的を達成するための基本活動として、下記の項目を主に取り組んでおります。

 1)TRD、JST工法における排泥残土の削減研究

 2)汚染土壌の調査、研究、対策工法の研究

 3)排泥残土のリサイクル工法の導入、研究

 4)省エネルギータイプの設備調査及び採用

 5)建設廃材の削減とリサイクル化を可能とする仮設材の調査及び採用

 6)水質及び土壌の浄化のための低コスト工法の研究

 7)CLTの導入、研究

 なお、当期の研究開発費は6,392千円であります。