当社は『顧客のニーズを先取りして、創造にチャレンジし社会に貢献すると共に、社業の発展を期する』を経営理念として掲げております。様々な環境の中で使用される金属材料を腐食から守り、構造物の期待寿命を確実に維持させる技術と材料を提供し、もって、省資源並びに地球環境の改善に寄与することを、当社の社会的使命であり存在意義と認識しております。
上記認識に基づき、国内最大の防食企業としての豊富な実績と技術力をベースに、お客様に高品質のサービスを提供することを経営の基本方針としております。
全般的な事業環境につきましては、公共投資の量的制約、受注競争の激化、原材料価格や労務費の上昇、与信リスクの顕在化などのダウンサイド・リスクを認識する必要がありますが、ライフサイクル・コストの観点から、維持補修を中心としたインフラ整備の方向性は、設備の延命化を目的とする当社防食事業にとって追い風であると認識しております。
このような認識の下に、会社組織としましては、技術力・営業力の継承と向上を図り、地域顧客に密着した様々な商品・サービスを提供する「地域支店制」を採用し、併せて新事業の企画・実践・新技術の現場への適用推進を目指す組織として事業開発本部を設け、防食技術における競争優位性の維持・確保を図っております。
当社のコア事業は港湾・地中・陸上の3事業であり、各事業の現状認識は以下の通りです。
・港湾事業:国及び地方公共団体の港湾関連整備予算の増強、また洋上風力発電という大型の新規対象が現れたことなどから、市場は確実に拡大しつつあります。
・地中事業:電気・ガス等の地中埋設物の維持更新需要は堅調であり、当面大きな変動は予測されておりません。
・陸上事業:臨海の各種プラント工場、及び火力・原子力発電所が主要な施工対象であり、国内における今後の大型新規需要は期待し難いとみております。
このような判断、現状認識のもと、当社は以下のことを事業上の対処すべき課題とし、全社一丸で収益基盤強化の取り組みを進めております。
① 事業毎に技術に裏打ちされた提案営業を徹底し、防食効果の経済性を市場に浸透させ、既存の更新にとどまらず、無防食設備や従来認識されていなかった新たな対象の「掘り起こし」を図る。
② 事業で培った技術力、営業力を総合的に活かし、新商品、新事業の展開を加速する。
③ 生産性向上や更なるコスト・ダウンの推進など、競争力と収益力の維持・改善を図る。
④ 人材を確保・育成し、将来想定される事業環境の変化に柔軟に対応できる組織体制を構築し、併せてICT技術の活用等により、生産性の向上を図る。
また財務面におきましては、当社は有利子負債がなく、十分な流動性を確保しているため、株主への中長期的な還元に優先的に取り組んでおります。具体的には、配当性向70%を目途とするとともに、2018年度以降5年間の平均株主資本総還元率5%の範囲内で、配当と自己株式の取得を実施してまいります。
実績及び計画の数値につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
当社の基幹事業である港湾関連施設の防食事業は主に官公庁を対象としており、公共投資の動向に大きく左右されます。
公共投資は財政の制約から、既存設備を延命化し、更新投資の発生を極力抑える取組が進められておりますが、設備の延命化を目的とした防食事業にとっては、中長期的に追い風となる状況であり、地域ごとに濃淡はあるものの、全国規模で官需が大幅に減少するリスクは当面極めて少ないと認識しております。
また需要の一時的な増減に対しては、コスト・ダウンや生産性向上による利益率の確保、新たな防食対象の掘り起こし等により対処しております。
当社事業の防食工事はお客様から単体で直接請負うことは少なく、全体工事をゼネコン等の建設業者が元請し、当社は防食工事部分を下請することが多い状況にあります。
公共工事については、入札により小規模な建設業者が元請することも多く、与信リスクは取引社数の面では増大しておりますが、小規模業者との取引は一社当たり数万円から数千万円の規模に留まっており、金額的なリスクは限定的と認識しております。
当社は社内与信管理システムの強化により、与信問題の発生を最小限に抑えるよう努めております。
当社製品の主要原材料であるアルミニウム地金等の価格が高騰した場合、それを直ちに製品価格に転嫁しづらいというリスクがあります。
アルミニウム地金の購入価格が年平均で10円/kg上昇し、かつ製品価格に転嫁できない場合、約30百万円/年の売上利益の減少となります。
当社は地金取扱商社各社から日々相場情報を入手するとともに、予算設定価格を下回っている場合は数ヶ月先まで多めに手当てし、上回っている場合は極力買いを控えることにより、価格高騰リスクの軽減を図っております。
海外からの防食材料の流入、国内の異業種からの事業参入等があります。当社は電気防食を中核として、防食に関する調査、設計、製造、施工までを一貫して行う防食専業者として長年培った技術力・営業力によるお客様の信頼に加え、継続したコスト削減の実施により、競争力の維持を図っております。
当社事業の対象物は、鋼構造物が主体であり、鉄から他の素材への転換に伴う需要の喪失リスクが一部想定されますが、中長期的な経済性等から判断し、事業への大きな影響はないと判断しております。
当事業年度(2020年度)においては、新型コロナウイルス感染症の業績への影響は軽微なものに留まりました。2021年度においても、現段階で受注・売上への影響は表面化しておらず、原材料の調達においても特段の支障は生じておりません。
ただし、今後民間案件を中心に工事の延期・中止が増加した場合、業績に影響を与える可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当事業年度におきましては、老朽化する社会インフラへの維持管理、長寿命化への取り組みが続いており、期初から港湾設備の維持補修案件が幅広く出件され、新型コロナウイルス感染症の影響も最小限に留まりました。このような状況のもと、当社は、調査業務や提案営業に注力しつつ、新技術・新工法の開発、展開に積極的に取り組んでまいりました。
結果、受注高は期初から港湾及びRCの大型案件の出件が相次ぎ、前事業年度に比べ1,558百万円増の13,026百万円となり、売上高は前事業年度に比べ1,993百万円増の13,013百万円となりました。受注残高は前事業年度末に比べ13百万円増の2,466百万円となりました。
損益面では、売上高の増加に伴い、経常利益は前事業年度に比べ645百万円増の1,309百万円となり、当期純利益は同435百万円増の901百万円となりました。
各セグメントの分析については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 1) 経営成績の分析」に記載しております。
当事業年度末の総資産合計は、前事業年度末に比べ675百万円増の11,251百万円となりました。
負債合計は、前事業年度末に比べ345百万円増の3,798百万円となりました。
純資産合計は、前事業年度末に比べ330百万円増の7,453百万円となりました。
なお、財政状態の詳細については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 2) 財政状態の分析」に記載しております。
当事業年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度に比べ423百万円収入減少の7百万円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは前事業年度に比べ15百万円支出減少の122百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは前事業年度に比べ156百万円支出増加の627百万円の支出となりました。
この結果、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、前事業年度末に比べ756百万円減の3,021百万円となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細については、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 3) キャッシュ・フローの分析」に記載しております。
(注) 繰越高、受注高及び売上高には消費税等は含まれておりません。
(注) 1.前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額に変更のあるものについては、当期受注工事高にその増減高が含まれております。なお、請負金額には消費税等は含まれておりません。
2.次期繰越工事高の施工高は、支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。
3.当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越工事施工高-前期の次期繰越工事施工高)に一致しております。
工事受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 比率は請負工事高の比率であります。
(注) 1.金額は請負金額によっており、消費税等は含まれておりません。
2.官公庁の金額及び比率は建設会社、商社等民間を経由して官公庁から受注した物件も含めて表示しております。
3.当社の一般的な工事の場合、受注から完工まで3ヶ月程度、着工から完工まで2ヶ月程度の期間を要しております。
4.完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
5.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はありません。
(注) 1.金額は請負金額によっており、消費税等は含まれておりません。
2.官公庁の金額及び比率は建設会社、商社等民間を経由して官公庁から受注した物件も含めて表示しております。
3.当社の一般的な工事の場合、受注から完工まで3ヶ月程度、着工から完工まで2ヶ月程度の期間を要しております。
4.手持工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(注) 1.製品品目によっては、複数のセグメントに使用するため、セグメント別の集計はしておりません。
2.当社は埼玉県上尾市に所在する工場において、工事用材料を生産しております。
3.工事用材料については、当社請負工事として使用される場合と、外部に製品として販売される場合があります。
4.アルミニウム合金陽極には外部に委託した重量(当事業年度631トン、前事業年度707トン)が含まれております。また、この委託生産品の仕入価額は 4) 商品等仕入実績に含まれております。
5.電極製品については種類が多岐にわたるため、標準原価による表示としております。
(注) 1.仕入品目によっては、複数のセグメントに使用するため、セグメント別の集計はしておりません。
2.金額は、仕入価額によっており、生産に投入した額は除いております。なお、消費税等は含まれておりません。
3.仕入品は製品等販売に供する仕入で、主に防食工事用副材料として使用しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。その作成においては、貸借対照表上の資産・負債の計上額、及び損益計算書上の収益・費用の計上額に影響を与える見積りを必要とします。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、特に重要なものは以下の通りであります。
完成工事高および完成工事原価の計上基準は、当事業年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準を、その他の工事については工事完成基準を適用しておりますが、工事進行基準においては、工事原価総額の見積りが完成工事高の計上額に影響を与えます。工事原価総額の見積りは実行予算によって行いますが、実行予算作成時には作成時点で入手可能な情報に基づいた施工条件によって工事原価総額を見積り、受注・着工後完成に至るまで随時工事原価総額の検討・見直しを行っております。また、完成工事高計上においては原価比例法を採用しており、実際の工事の進捗率と累計発生原価率との乖離が疑われる場合には、その要因を調査・検討することで計上額の妥当性を検証しております。更に、企業会計基準第15号「工事契約に関する会計基準」に基づき、既契約総額を超える完成工事高は計上しておりません。このように、工事進行基準に基づく完成工事高計上の基礎となる工事原価総額の見積りは適時かつ適切に行っておりますが、将来の損益は見積り金額と異なる場合があります。
手持工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることができる工事について、将来の損失に備えるため、その損失見込み額を計上しております。損失見込み額の算定に際しては現在入手可能な情報に基づいた施工条件によって工事原価総額を適時かつ適切に見積っておりますが、将来の損益は見積り金額と異なる場合があります。
当社の当事業年度の売上高は、港湾分野の伸びにより、前事業年度に比べ1,993百万円増の13,013百万円となりました。
売上原価は、外注労務費の増加等により、前事業年度に比べ1,243百万円増の9,734百万円となりました。この結果、売上総利益は前事業年度に比べ750百万円増の3,278百万円となり、売上総利益率は前事業年度に比べ2.2ポイント上昇し、25.2%となっております。
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ96百万円増の2,003百万円となりました。この結果、売上総利益の増750百万円と合わせ、営業利益は前事業年度に比べ653百万円増の1,275百万円となりました。
経常利益は、営業利益の増加に伴い、前事業年度に比べ645百万円増の1,309百万円となりました。加えて、特別損益、税金費用を計上した結果、当期純利益は前事業年度に比べ435百万円増の901百万円となりました。
各セグメントごとの概況は以下のとおりであります。
港湾事業は、東北地区の復興創生期間が最終年度となり公共工事の予算が集中したこと、また国土強靭化予算の増額に伴い、受注高は前事業年度に比べ760百万円増の7,937百万円となり、売上高は同1,300百万円増の8,035百万円となりました。
地中事業は、農政関連の出件増により、受注高は前事業年度に比べ98百万円増の2,678百万円となり、売上高は同417百万円増の2,895百万円となりました。
陸上事業は、受注高は前事業年度に比べ284百万円減の719百万円となり、売上高は同56百万円減の837百万円となりました。
RCその他の事業は、前事業年度出件予定のRC大型案件が当事業年度出件となり、受注高は前事業年度に比べ983百万円増の1,691百万円となり、売上高は同333百万円増の1,244百万円となりました。
当事業年度末の総資産につきましては、前事業年度末に比べ675百万円増の11,251百万円となりました。主な増加要因は、受取手形及び完成工事未収入金の増1,405百万円であり、主な減少要因は、電子記録債権及び売掛金の減294百万円、関係会社預け金の減737百万円であります。
負債につきましては、前事業年度末に比べ345百万円増の3,798百万円となりました。主な増加要因は、未払法人税等及び未払消費税等の増448百万円、賞与引当金の増300百万円であり、主な減少要因は、支払手形、電子記録債務及び買掛金の減739百万円であります。
純資産につきましては、前事業年度末に比べ330百万円増の7,453百万円となりました。主な増加要因は、利益剰余金の増578百万円であり、主な減少要因は、自己株式の増299百万円であります。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は前事業年度末に比べ756百万円減の3,021百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは7百万円の資金使用(前事業年度は416百万円の資金獲得)となりました。資金の主な増加要因は、税引前当期純利益の1,304百万円、賞与引当金の増加300百万円及び未払消費税等の増加111百万円であり、資金の主な減少要因は、売上債権の増加1,110百万円、法人税等の支払い215百万円及び仕入債務の減少528百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは122百万円の資金使用(前事業年度は138百万円の資金使用)となりました。このうち主なものは、事業活動に必要な固定資産の取得であります。
財務活動によるキャッシュ・フローは627百万円の資金使用(前事業年度は470百万円の資金使用)となりました。このうち主な使途は、配当金の支払い324百万円及び自己株式の取得による支出300百万円であります。
当社は、運転資金、設備投資資金及び株主還元のための資金につき、すべて内部資金で賄っており、有利子負債はございません。当事業年度末の現金及び現金等価物の残高は3,021百万円(売上高の2.8ヶ月分)であり、上記の資金需要に対して十分な流動性を確保しております。
<キャッシュ・フロー関連指標の推移(金額:百万円)>
2021年度においては、受注高106億円、売上高116億円、経常利益8.3億円を予算数値目標として掲げ、その達成に全力を注いでまいります。
また、株主への中長期的な利益還元を更に充実させるため、配当性向70%を目途とするとともに、安定配当の維持に加え、資本効率の向上を図るため、2018年度以降5年間の平均株主資本総還元率5%の範囲内で、配当と自己株式の取得を実施してまいります。
<経営指標等の推移>
(注)株主資本総還元率:(当事業年度の配当金額+翌事業年度の自己株式取得額)÷当事業年度末株主資本
該当事項はありません。
当社の事業は、国内における戦略的なインフラ整備の実施に伴い、構造物の長寿命化対策として、益々重要な役割を担っております。このインフラ整備の実施が継続される中で、当社の研究開発活動は、安心・安全の確保を前提とした既存技術の更なる品質向上と適用した防食対策工法の適切な維持管理手法や構造物への新たな補修対策工法を提案し、お客様からの厚い信頼を得るために尽力して参りました。
当事業年度における研究開発費は、総額で
なお、当事業年度に実施した研究開発活動は、事業の種類別セグメントに明確な関連付けができないため、セグメント別の記載を省略しております。