(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載金額については、消費税等抜きの金額で表示しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、穏やかな回復基調にありましたが、中国経済への不安等から株価は年度後半に下げ基調となり、また、企業収益も産業景気予想が悪化する業種が増加するなど、力強さに欠けた展開となりました。
国内建設業界は、技術者・技能労働者の不足感が継続するなか、公共投資は対前年比マイナス傾向が続いた一方、民間投資はプラス基調ではありましたが年度後半は息切れ感も漂い、受注状況は全体としてほぼ前年度並みの結果となりました。
このような状況のなかで、当社グループは建設業に係わるほぼ全ての分野をカバーする事業会社を擁し、独自の開発営業力や技術力を活かした高い収益力をもっており、グループの業績が安定的で持続可能な成長路線をたどるよう、これまで以上にグループ各社が強みをもつ分野のシェア拡大や、新しい分野、成長分野への進出などに挑戦いたしました。
より具体的には、当社グループの事業の両輪である髙松建設グループと青木あすなろ建設グループは、以下の事業基本方針により成長戦略を展開しました。
髙松建設グループ
1.賃貸マンション事業の一層の拡大(シェアアップ)
2.設計~施工~管理~リフォームのトータルサービス強化と顧客囲い込み
3.グループ内のユニークな事業の成長・発展
青木あすなろ建設グループ
1.オリンピック、リニア、国土強靭化等の大プロジェクトへの参画をテコにプレゼンス拡大
2.収益性の飛躍的向上
3.持続的成長につながる技術力の蓄積
その結果、当連結会計年度の受注高は237,762百万円(前期比5.4%増)、売上高は208,883百万円(前期比10.4%増)となり、受注高、売上高ともに2期連続で過去最高となりました。
利益につきましては、営業利益は過去最高の10,410百万円(前期比45.5%増)、経常利益は10,468百万円(前期比45.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、青木あすなろ建設㈱のA種株式を普通株式に転換したことによる負ののれん発生益2,199百万円が前期に計上された反動等により、前期に比べ8.6%減の5,799百万円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっております。
(建築事業)
当連結会計年度の受注高は115,291百万円(前期比11.7%増)、完成工事高は98,279百万円(前期比 12.5%増)となり、セグメント利益につきましては6,820百万円(前期比58.5%増)となりました。
(土木事業)
当連結会計年度の受注高は109,077百万円(前期比2.9%減)、完成工事高は97,211百万円(前期比5.9%増)となり、セグメント利益につきましては5,597百万円(前期比34.3%増)となりました。
(不動産事業)
不動産の売買および賃貸等による当連結会計年度の売上高は13,392百万円(前期比33.1%増)となり、セグメント利益につきましては1,035百万円(前期比19.5%増)となりました。
当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末より679百万円増加の72,442百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により資金は2,676百万円の増加(前連結会計年度は3,823百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益9,827百万円の計上、減価償却費の計上834百万円、未収入金の減少4,019百万円等の収入があった一方、売上債権の増加7,294百万円、未払又は未収消費税等の増減額2,518百万円、法人税等の支払2,477百万円等の支出があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により資金は658百万円の減少(前連結会計年度は280百万円の増加)となりました。これは、有形固定資産の売却による収入886百万円、投資有価証券の売却による収入67百万円があった一方、有形固定資産の取得1,514百万円、無形固定資産の取得91百万円等の支出があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により資金は1,338百万円の減少(前連結会計年度は1,185百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額1,007百万円等によるものです。
当連結会計年度における受注および売上の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | 前年同期比(%) | ||
建 | 建築事業 | (百万円) | 115,291 | 11.7 |
土木事業 | (百万円) | 109,077 | △2.9 | |
計 | (百万円) | 224,369 | 4.1 | |
不動産事業 | (百万円) | 13,392 | 33.1 | |
計 | (百万円) | 237,762 | 5.4 | |
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2015年4月1日 至 2016年3月31日) | 前年同期比(%) | ||
建 | 建築事業 | (百万円) | 98,279 | 12.5 |
土木事業 | (百万円) | 97,211 | 5.9 | |
計 | (百万円) | 195,490 | 9.1 | |
不動産事業 | (百万円) | 13,392 | 33.1 | |
計 | (百万円) | 208,883 | 10.4 | |
(注) 当社グループ(当社および連結子会社)では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
なお、提出会社個別の事業の状況につきましては、持株会社であるため、記載を省略しております。
2020年の東京オリンピックまでは比較的堅調な需要が見込まれますが、その後は業界全体のパイが拡大することは望めない状況にあり、人口動向や社会的ニーズからして、既存分野の新設・新築ニーズは減少することが考えられます。また、今後建設業界の担い手が急速に減少することは避けられないと考えております。
このような状況のなかで、当社グループは、来る2017年に創業100周年を迎えます。
当社グループは、建設業に係わるほぼ全ての分野をカバーする事業会社を擁し、独自の開発営業力や技術力を活かした高い収益力をもっておりますが、今後の市場変動や環境変化に対応し、当社グループの業績がさらに安定的で持続可能な成長路線をたどるよう、「TRY! NEXT CENTURY 次の100年へ」を基本テーマとし、
・「スペシャルティを磨いて、選ばれつづける企業に!」
・「経営の判断力と現場力を鍛えて、チャレンジする企業に!」
・「社会の信頼に応えて、パーフェクトクオリティ企業に!」
をキーワードに、次のような課題にグループの総力をあげて取組んでまいります。
①人材の確保・育成(担い手の世代交代の実現)
賃金・休暇・福利厚生の改善・充実、女性の活躍推進、自立し考える社員の育成、経営人材の育成
②生産性の向上
生産システムの合理化、プレキャスト化、技術開発、省力化の推進、協力会社との連携、一体としての建築管理、情報技術の活用(ICT、BIM/CIM)
③高付加価値化
強みを持つ分野・技術による差別化戦略、過当競争に巻き込まれない適切な成長戦略
④長期的視野で成長が期待できる事業分野・領域の開拓
M&A等による戦略マーケットへの橋頭堡作り、戦略技術の開発および先端企業との業務提携
⑤グループガバナンスの強化
グループ全体最適の追求、一体感の醸成、リスク管理体制の整備、監査・管理部門の強化、コンプライアンス教育の徹底
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスク事項には、以下のようなものが想定されます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループはこれらの発生の可能性を認識したうえで、発生の防止、回避に努めるとともに、発生した場合にはその影響を最小限にとどめるべく対応する所存であります。
当面は震災復興需要が下支えし、オリンピック誘致にともなう施設整備や国土強靭化計画の推進等による公共事業の増加等も受注に寄与するものと予想しておりますが、予想を上回る公共投資の削減がおこなわれた場合、ならびに民間住宅建設の需要が大きく減少した場合には、それぞれ業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設業においては、事業運営にあたり建設業法、建築士法等の許可・登録を受ける等、多数の法的規制の適用を受けております。現在、必要な許可・登録を受け、法的規制を十分遵守し営業活動をおこなっておりますが、万一これら許可・登録の取消のほか法的規制の新設、変更等により営業活動に制約が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
土地所有者に対する提案営業のひとつとして、土地の有効活用による賃貸マンションの建設について、設計、施工のほか、資金調達、入居管理等について提案をおこなっております。相続税および資産課税に関する大幅な税制改正や金利高騰等の金融情勢につき変化があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
鉄骨、石油製品等の価格の上昇により原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合や、需要の増大により入手難になる場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設技術者・技能労働者の人員確保を計画的におこなっておりますが、今後、建設技術者・技能労働者の需給関係が急激に逼迫し、必要人員の確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や工期遅延等の問題が発生する恐れがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
品質管理には万全を期しておりますが、瑕疵担保責任、製造物責任等による損害賠償が発生した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設業においては、工事完了まで長期間を要し、かつ一取引の取引額も大きく、建物等工事目的物引渡し時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結されます。このため、取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
総資産の圧縮に努めておりますが、事業上必要な不動産、有価証券等を保有しており、これらについて予想を上回る市場価格の下落が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震、台風等の自然災害の発生や火災等の人災により、施工中の物件に被害が生じた場合、また、本社・本店、営業所等の営業拠点に被害が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、当社の技術研究所(髙松コンストラクショングループ技術研究所)のもと、中核子会社の髙松建設㈱および青木あすなろ建設㈱にそれぞれ研究所を設け、各社が得意とする技術分野において、研究開発活動をおこなっております。その主なものは次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は330百万円であります。なお、研究開発費につきましては各セグメントに配分しておりません。
(1)髙松建設㈱
中断熱工法は、壁式鉄筋コンクリート造住宅の新しい外壁構法であり、壁厚310mmの中央に厚さ50mmの押出法ポリスチレンフォーム保温板を設置し、コンクリートを打設するもので打ち放しやコンクリートに直接仕上げをしても結露の心配がありません。また、壁厚を厚め、構造規定の壁量を減らすことができ、工期短縮やコストダウンを図れるほか、通常の構造計算と確認申請が可能です。
コンクリート打設後の型枠支保工を一部のサポートを残し、数日で全て解体できる工法を開発しました。
有限要素解析といわれる高度な構造計算をおこなうことで、最低限必要な支保工を算出し、サポート本数の大幅な削減を実現、次工程への早期着手や型枠材の転用等によるコスト削減がはかれます。
賃貸マンションの入居者が間取りを変更できる「間仕切り構造」を開発しました。入居者のライフステージに合わせた間取りが可能となり、多彩な空間構成を実現することができました。
(2)青木あすなろ建設㈱
日本大学と共同開発した摩擦ダンパーを用いた既存建物の制震補強工法で、高性能・居ながら補強・短工期・低コストを特長としており、制震補強工法として、我が国で初めて日本建築防災協会技術評価を取得しております。今期は、実施適用物件に対する振動測定をおこない、データの蓄積をはかりました。
折返しブレースは断面の異なる3本の鋼材を一筆書きの要領で折り返して接合させた形状を有し、優れた変形性能を示し、合理的な鉄骨造建物を建設できます。今期は倉庫等への適用範囲拡大に向け開発を実施しました。
鉄骨造建物の地中梁を不要化することにより、建設コストの低減および施工の合理化をはかる構法の開発に取り組みました。建物1階の柱脚部に螺旋状にスリットを入れた鋼管を設置することにより、耐震性を確保しながら地中梁の不要化を実現し、スリット付鋼管の性能確認実験を実施しました。
2013年6月に首都高速道路株式会社が公募した共同研究テーマ「既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究」について、摩擦ダンパーを既設橋梁に応用する研究を実施しています。今期は既設橋梁補強の振動解析、解析結果にもとづく試作品の製作とその性能確認実験および国立研究開発法人土木研究所内の施設で振動台実験を実施しました。実用化の目処を付けるため、共同研究の期間が再延長され、2017年1月末までとなりました。
海岸工事や河川工事における省人化・省資源化・低コスト化を目指した工法であります。今期は福島県沿岸部の災害復旧工事において、開発した遠隔操作式水陸両用バックホウを使用して、ブロック据付作業量や揚程、作業半径等の能力を計測し、来期以降の開発課題を抽出しました。
当社保有の水陸両用ブルドーザの操作に、マシンガイダンスを適用させた情報化施工技術で、高効率で高精度な施工を実現するシステムです。今期は引続きシステムを複数台同時に稼働させるための改良を実施しました。
津波発生時に津波による流れによって起き上がり、津波の力を抑制する可動式の防波構造体です。人為的な操作を必要としないこと、動力源を使用しないことから地震発生後にライフラインが遮断されたとしても稼働するのが大きな特徴です。今期は、立ち上がる壁の高さが2.24mのモデルを用いて、国立研究開発法人港湾空港技術研究所の大規模波動地盤総合水路において実験をおこない、実物に近い津波の規模でも壁が起き上がり、津波の
力を抑制できることを確認しました。
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,115百万円増加し、165,274百万円となりました。
その主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等の売上債権が7,294百万円増加した一方、未収入金が4,007百万円減少したことによるものです。
(負債の部)
負債は、前連結会計年度末に比べ2,345百万円減少し、60,681百万円となりました。
その主な要因は、未成工事受入金1,128百万円の減少および工事未払金811百万円の減少等によるものです。
(純資産の部)
純資産は、前連結会計年度末に比べ 5,461百万円増加し、104,592百万円となりました。
その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益5,799百万円の計上および配当金の支払1,008百万円の結果、株主資本が4,790百万円増加、また、非支配株主持分が729百万円増加したこと等によるものです。
以上の結果、純資産の額から非支配株主持分を控除した自己資本の額は91,082百万円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ 1.8ポイント上昇し55.1%となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、公共投資は減少傾向であったものの、前連結会計年度の手持工事が順調に推移したこと、また民間投資が堅調であったこと等により、前期比10.4%増の208,883百万円と2期連続で過去最高となりました。その内訳は、建築事業98,279百万円(前期比12.5%増)、土木事業97,211百万円(前期比5.9%増)、不動産事業13,392百万円(前期比33.1%増)であります。
(営業利益)
売上高の順調な伸びに対し、建設技能労働者の確保難等、利益面では厳しい経営環境が続きましたが、引き続き原価低減や経費節減に努め、売上高総利益率は13.0%(前期は11.5%)となり、営業利益は前期比45.5%増の10,410百万円と過去最高となりました。その内訳は、建築事業6,820百万円(前期比58.5%増)、土木事業5,597百万円(前期比34.3%増)、不動産事業1,035百万円(前期比19.5%増)の各セグメント利益、およびセグメント利益の調整額△3,043百万円(各報告セグメントに帰属しない一般管理費等によるもの△3,045百万円他)であります。
(経常利益)
経常利益は前期比45.1%増の10,468百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、青木あすなろ建設㈱のA種株式を普通株式に転換したことによる負ののれん発生益2,199百万円が前期に計上された反動等により、前期に比べ8.6%減の5,799百万円となりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、営業活動により2,676百万円増加、投資活動により658百万円減少し、財務活動により1,338百万円減少いたしました。
その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ679百万円増加の72,442百万円となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細は、「1業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。