第2 【事業の状況】

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載金額については、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、穏やかな回復基調が継続する中、建設市場は公共投資、民間投資ともにおおむね堅調を維持しました。
 このような状況の中、本年10月に創業100周年を迎える当社グループは、建設業に係わるほぼ全ての分野をカバーする事業会社を擁し、今後も成長が見込まれる独自の開発営業力や技術力を活かした高い収益力を持っております。
 本年度、当社グループは「TRY! NEXT CENTURY 次の100年へ」を基本テーマとし、
「スペシャリティを磨いて選ばれ続ける企業に!」
「経営の判断力と現場力を鍛えて、チャレンジする企業に!」
「社会の信頼に応えて、パーフェクトクオリティ企業に!」
をキーワードに掲げ、当社グループ業績が引き続き安定的に持続可能な成長路線をたどるよう取り組むかたわら、人材の確保・育成、生産性の向上、事業の高付加価値化、新規事業分野の開拓、グループガバナンスの強化などの経営課題の解決に向けて邁進いたしました。
  その結果、当連結会計年度の受注高は256,488百万円(前期比7.9%増)、売上高は214,130百万円(前期比2.5%増)となり、受注高、売上高ともに3期連続で過去最高となりました。
  利益につきましても、営業利益は12,935百万円(前期比24.2%増)で2期連続過去最高、経常利益は12,932百万円(前期比23.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ13.7%増の6,596百万円を計上することができました。

  セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっており、本社管理費等の調整額3,281 百万円は外数となっております。

(建築事業)

当連結会計年度の受注高は131,551百万円(前期比14.1%増)、完成工事高は109,853百万円(前期比11.8%増)となり、セグメント利益は大型工事の採算性の改善にともない10,406百万円(前期比52.6%増)となりました。

(土木事業)

当連結会計年度の受注高は112,765百万円(前期比3.4%増)、完成工事高は92,106百万円(前期比5.3%減)となり、セグメント利益は5,058百万円(前期比9.6%減)となりました。 

(不動産事業)

 不動産の売買および賃貸等による当連結会計年度の売上高は12,171百万円(前期比9.1%減)となり、セグメント利益につきましては751百万円(前期比27.5%減)となりました。 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末より4,954百万円増加の77,396百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により資金は8,061百万円の増加(前連結会計年度は2,676百万円の増加)となりました。これは、たな卸資産の増加4,803百万円、未収入金の増加3,902百万円、法人税等の支払4,256百万円等の支出があった一方、税金等調整前当期純利益12,016百万円の計上、仕入債務の増加3,858百万円、未成工事受入金の増加2,624百万円、未払又は未収消費税等の増減額1,315百万円等の収入があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により資金は1,388百万円の減少(前連結会計年度は658百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入206百万円、有形固定資産の売却による収入142百万円等があった一方、有形固定資産の取得による支出1,614百万円、無形固定資産の取得による支出104百万円等があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により資金は1,718百万円の減少(前連結会計年度は1,338百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額1,331百万円および非支配株主への配当金の支払額234百万円等があったことによるものです。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当連結会計年度における受注および売上の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(1) 受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

前年同期比(%)




建築事業

(百万円)

131,551

14.1

土木事業

(百万円)

112,765

3.4

  計

(百万円)

244,316

8.9

不動産事業

(百万円)

12,171

△9.1

  計

(百万円)

256,488

7.9

 

(2) 売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2016年4月1日

至 2017年3月31日)

前年同期比(%)




建築事業

(百万円)

109,853

11.8

土木事業

(百万円)

92,106

△5.3

  計

(百万円)

201,959

3.3

不動産事業

(百万円)

12,171

△9.1

  計

(百万円)

214,130

2.5

 

(注) 当社グループ(当社および連結子会社)では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。

 

なお、提出会社個別の事業の状況につきましては、持株会社であるため、記載を省略しております。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、建設を通して社会における相互補完の一翼を担うことを経営理念とし、お客様、お取引先、株主様をはじめとするステークホルダーの皆様はもちろん、地域社会を含めた全ての人々に対し、グループ会社がそれぞれの事業を通じて高い評価を得ることを目指し、もってグループトータルの企業価値の増大を計ることを経営目標に掲げております。

この経営目標達成のため、よりビッグでよりハイプロフィットなグループを目指しておりますが、不正や不当な手段による社益の追求は勿論のこと、浮利を追うなどの利益第一主義に陥ってはならないことを経営の基本姿勢としております。

(2)経営環境

日本国内における建設投資環境につきましては、2020年の東京オリンピックまでは比較的堅調な需要が見込まれますが、その後は業界全体のパイが拡大することは望めない状況にあります。また、今後建設業界の担い手が急速に減少することは避けられないと考えられます。

(3)経営戦略および対処すべき課題等

当社グループは、本年10月に迎える記念すべき100周年目をスタート年度とする新しい中期経営計画「TRY! NEXT CENTURY 2020」を策定いたしました。上記環境の中、当社グループの中核会社のひとつである髙松建設グループは、好調を持続する首都圏の土地有効活用を中心に事業拡大をはかり、グループ全体の成長を牽引する計画となっています。もう一方の中核会社である青木あすなろ建設グループは、堅実な成長・高利益率の持続を目指す計画です。

髙松コンストラクショングループ全体としては、「チャレンジ2680」をキーワードに、2020年3月期の売上高2,680億円を目指し、「スペシャリティ18α」のもと、特徴ある当社グループ事業会社18社のさらなる成長および積極的なM&Aの実施により、事業の拡大をはかります。そして「クオリティ150」を掲げ、高品質で高効率な施工を維持・向上しつつ、2020年3月期に営業利益150億円の達成を目指します。また、経営基盤強化策として、当社が核となり、グループ力の最大化、人材育成の推進、グループガバナンスの向上、資本政策の推進などをグループ全体にわたって推進してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があるリスク事項には、以下のようなものが想定されます。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループはこれらの発生の可能性を認識したうえで、発生の防止、回避に努めるとともに、発生した場合にはその影響を最小限にとどめるべく対応する所存であります。

 

(1) 受注環境の変化によるリスク

当面は震災復興需要が下支えし、オリンピック誘致にともなう施設整備や国土強靭化計画の推進等による公共事業の増加等も受注に寄与するものと予想しておりますが、予想を上回る公共投資の削減がおこなわれた場合、ならびに民間住宅建設の需要が大きく減少した場合には、それぞれ業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制によるリスク

建設業においては、事業運営にあたり建設業法、建築士法等の許可・登録を受ける等、多数の法的規制の適用を受けております。現在、必要な許可・登録を受け、法的規制を十分遵守し営業活動をおこなっておりますが、万一これら許可・登録の取消のほか法的規制の新設、変更等により営業活動に制約が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 税制改正および金利高騰によるリスク

土地所有者に対する提案営業のひとつとして、土地の有効活用による賃貸マンションの建設について、設計、施工のほか、資金調達、入居管理等について提案をおこなっております。相続税および資産課税に関する大幅な税制改正や金利高騰等の金融情勢および賃貸マンションの空室率等に変化があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材価格の変動によるリスク

鉄骨、石油製品等の価格の上昇により原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合や、需要の増大により入手難になる場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 建設技術者・技能労働者不足のリスク

建設技術者・技能労働者の人員確保を計画的におこなっておりますが、今後、建設技術者・技能労働者の需給関係が急激に逼迫し、必要人員の確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や工期遅延等の問題が発生する恐れがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 施工上の不具合や重大な事故によるリスク

施工品質や安全管理には万全を期しておりますが、設計、施工などで重大な瑕疵があった場合や人身、施工物などに重大な事故が発生した場合には、その改修や損害賠償および信用失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 取引先の信用リスク

建設業においては、工事完了まで長期間を要し、かつ一取引の取引額も大きく、建物等工事目的物引渡し時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結されます。このため、取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 資産の保有リスク

総資産の圧縮に努めておりますが、事業上必要な不動産、有価証券等を保有しており、これらについて予想を上回る市場価格の下落が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 災害によるリスク

地震、台風等の自然災害の発生や火災等の人災により、施工中の物件に被害が生じた場合、また、本社・本店、営業所等の営業拠点に被害が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 情報漏洩によるリスク

お客様の情報管理のため情報セキュリティシステムの整備や社員教育の強化に努めておりますが、不正なアクセス等により情報漏洩が発生した場合には、信用失墜等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、当社の技術研究所(髙松コンストラクショングループ技術研究所)のもと、中核子会社の髙松建設㈱および青木あすなろ建設㈱にそれぞれ研究所を設け、各社が得意とする技術分野において、研究開発活動をおこなっております。その主なものは次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は438百万円であります。なお、研究開発費につきましては各セグメントに配分しておりません。

 

(1)髙松建設㈱

①TAS(Takamatsu Aoki-asunaro Support)工法

コンクリート打設後の型枠支保工を一部のサポートを残し、数日で全て解体できる工法を開発しました。
有限要素解析といわれる高度な構造計算をおこなうことで、最低限必要な支保工を算出し、サポート本数の大幅な削減を実現、次工程への早期着手や型枠材の転用等による工期の短縮、材料等のコスト削減をはかりました。また今期は、更にそのサポート材の軽量化(材質)をはかる部材の実験を継続し開発中であります。

②外壁診断調査システムの開発

2008年に建築基準法改定で義務付けられた外壁タイルを使用した建築物の定期点検、およびコンクリート躯体の経年劣化に伴う外壁調査において、建物外壁の全面的な調査を実施する場合、足場またはゴンドラ・高所作業車などを用い高所作業に危険を伴うことが多く、また仮設費・作業日数がかさみます。その効率化策として外壁を走行できるロボットを用い、打音・スコープにより時間・コスト削減に向けたシステムを共同開発中で、実走実験を実施しております。

③ロングスパン解析の基礎的研究

近年、流通施設やスポーツ施設等、大空間の建築事例が増えていることから、他社との競争力向上のため、柱間を飛ばすロングスパン構造についてFEM分析および実験検証をおこない、現在、実現可能な構造設計の計画に向け研究しております。

(2)青木あすなろ建設㈱

①既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究

2013年6月に首都高速道路株式会社が公募した共同研究テーマ「既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究」について、摩擦ダンパーを既設橋梁に応用する研究を実施しています。今期は国立研究開発法人土木研究所内の施設での振動台実験の結果を踏まえ、これまでの成果と合わせてマニュアルの整備をおこないました。

②インフラ調査・補修ロボットの研究開発

阪神高速道路株式会社が公募した「コミュニケーション型共同研究」に青木あすなろ建設が応募した「壁面走行ロボットの導入と応用技術の開発」が採択され、道路構造物の点検・補修のロボット化を目指し、共同研究を開始しました。今期は壁面走行ロボットの走行(コンクリートや鋼製柱脚)の適用性の課題と対策を整理し、さらに走行ロボットに装着するコンクリートひび割れ補修アタッチメントを自社開発し、試作機を製作しました。

③ICTによる3次元データを使用した施工管理技術の開発

港湾工事では全国で初めてのICT活用調査モデル工事である「八戸港河原木地区航路・泊地(-14m)浚渫工事」で、ドローンやラジコンボート等を用いた測量技術や水中可視化技術による3次元データを使用した施工管理技術を開発・実施しました。本技術により浚渫部から埋立部まで一気通貫した施工管理が可能となり、浚渫と埋立の土量バランスを把握し、効率的な浚渫をおこないました。

④制震ブレースを用いた耐震補強工法

日本大学と共同開発した摩擦ダンパーを用いた既存建物の制震補強工法で、高性能・居ながら補強・短工期・低コストを特長としており、制震補強工法として、我が国で初めて日本建築防災協会技術評価を取得しております。今期は、前期に引き続き実施適用物件に対する振動測定をおこない、データの蓄積をはかりました。

⑤折返しブレースを用いた耐震補強工法

折返しブレースは断面の異なる3本の鋼材を一筆書きの要領で折り返して接合させた形状を有し、優れた変形性能を示し、合理的な鉄骨造建物を建設できます。今期は、前期に引き続き倉庫等への適用範囲拡大に向け開発を実施しました。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ15,652百万円増加し、180,927百万円となりました。

その主な要因は、現金預金が4,954百万円、未収入金が4,035百万円、販売用不動産が3,688百万円、受取手形・完成工事未収入金等の売上債権が3,176百万円増加したことによるものです。

(負債の部)

負債は、前連結会計年度末に比べ9,689百万円増加し、70,371百万円となりました。

その主な要因は、工事未払金が3,858百万円、未成工事受入金が2,624百万円増加したことによるものです。

(純資産の部)

純資産は、前連結会計年度末に比べ5,962百万円増加し、110,555百万円となりました。

その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益6,596百万円の計上および配当金の支払1,332百万円の結果、株主資本が5,263百万円増加、また、非支配株主持分が734百万円増加したこと等によるものです。

以上の結果、純資産の額から非支配株主持分を控除した自己資本の額は96,310百万円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ1.9ポイント減少し53.2%となりました。

 

(2)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、土木事業は前年比微減となったものの、建築事業が大きく伸びました。これは海洋土木を中心に大型工事の着工の遅れによる売上高減少があった反面、賃貸マンション建築や、官公庁の庁舎建築が好調だったことによるもので、これによって売上高は、前期比2.5%増の214,130百万円と3期連続で過去最高となりました。その内訳は、建築事業109,853百万円(前期比11.8%増)、土木事業92,106百万円(前期比5.3%減)、不動産事業12,171百万円(前期比9.1%減)であります。

(営業利益)

売上高の順調な伸び、および売上高総利益率が14.5%(前期は13.0%)と1.5ポイント改善したことにより、営業利益は前期比24.2%増の12,935百万円と2期連続過去最高、4期連続増益となりました。その内訳は、建築事業10,406百万円(前期比52.6%増)、土木事業5,058百万円(前期比9.6%減)、不動産事業751百万円(前期比27.5%減)の各セグメント利益、およびセグメント利益の調整額△3,281百万円(各報告セグメントに帰属しない一般管理費等によるもの△3,263百万円他)であります。

(経常利益)

経常利益は、12,932百万円(前期比23.5%増)で4期連続で増益となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ13.7%増の6,596百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度の現金及び現金同等物は、営業活動により8,061百万円増加、投資活動により1,388百万円減少し、財務活動により1,718百万円減少いたしました。

その結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ4,954百万円増加の77,396百万円となりました。

なお、キャッシュ・フローの詳細は、「1業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。