第2 【事業の状況】

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載金額については、消費税等抜きの金額で表示しております。

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、建設を通して社会における相互補完の一翼を担うことを経営理念とし、お客様、お取引先、株主様をはじめとするステークホルダーの皆様はもちろん、地域社会を含めた全ての人々に対し、グループ会社がそれぞれの事業を通じて高い評価を得ることを目指し、もってグループトータルの企業価値の増大を計ることを経営目標に掲げております。

この経営目標達成のため、よりビッグでよりハイプロフィットなグループを目指しておりますが、不正や不当な手段による社益の追求は勿論のこと、浮利を追うなどの利益第一主義に陥ってはならないことを経営の基本姿勢としております。

(2)経営環境

日本国内における建設投資環境につきましては、2020年の東京オリンピック後も、しばらくは比較的堅調な市況の継続を予測する声も出てはいますが、当社としては業界全体が拡大することは望めない状況にあると考えています。また今後、政府主導による働き方改革への対応や、建設業界の担い手の急速な減少にともなう労務費の上昇なども避けられない見通しです。

一方、当社グループの中核会社である髙松建設の枢要な市場セグメントである賃貸マンション建築は、低金利の継続にともなう堅調な市況が継続しており、人口流入が継続すると見込まれる3大都市圏、特に首都圏でその傾向が顕著です。

(3)経営戦略および対処すべき課題等

このような状況のなかで、当社グループは2017年10月に創業100周年を迎えました。その記念すべき2018年3月期をスタートとして、新しい中期経営計画「TRY! NEXT CENTURY 2020」を策定いたしました。

本中期経営計画において髙松建設グループは、好調を持続する首都圏での賃貸マンション建築を中心とした土地有効活用事業を拡大し、グループ全体の成長を牽引する計画です。もう一方の中核会社で、中堅ゼネコンである青木あすなろ建設グループは、建設業全般の先行きを見据え、堅調な成長・高利益率の持続を目指す計画です。

髙松コンストラクショングループ全体としては、中期経営計画では「チャレンジ2680」および「クオリティ150」をキーワードに、2020年3月期の売上高2,680億円、営業利益150億円を目指すとともに、「スペシャリティ18α」を掲げ、特徴ある当社グループ事業会社18社による事業の拡大をはかる計画となっています。

しかしながら、足元の堅調な状況や積極的な人員の採用などに鑑み、創業101年度目にあたる2019年3月期は、「NEXT CENTURY 101!中計目標を1年前倒しで実現しよう!」をテーマに掲げ、売上高・営業利益は中期経営計画の2020年3月期の目標を1年前倒しで達成する増収増益計画といたしました。また、2019年3月期からM&Aで当社グループ入りした株式会社ミブコーポレーション、および新規設立したTCG USA,Inc.が連結対象に加わることにより、「スペシャリティ18α」も「スペシャリティ20α」と改め、グループ事業会社20社の更なる成長および積極的なM&Aの実施を通じ、事業の一層の拡大をはかる所存です。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、以下のようなものがあります。なお、本項において将来に関する事項が含まれていますが、当該事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の防止、回避に努めるとともに、発生した場合にはその影響を最小限にとどめるべく対応する所存であります。

 

(1) 受注環境の変化によるリスク

日本経済は引き続き緩やかな回復が続く見通しのなか、建設投資は東京オリンピック関連の需要喚起等もあり、今後もしばらくは底堅く推移するものと予想しておりますが、予想を上回る公共投資の削減がおこなわれた場合、および民間住宅建設の需要が大きく減少した場合等には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 法的規制およびコンプライアンス違反によるリスク

建設業においては、事業運営にあたり建設業法、建築士法等の許可・登録を受ける等、多岐にわたる法的規制の適用を受けております。現在、これらの法的規制を含めたコンプライアンスが十分遵守されるよう教育を徹底し営業活動をおこなっておりますが、万一これらに対する違反が発生した場合や、法的規制の新設、変更等により営業活動に制約が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 税制改正および金利高騰によるリスク

土地所有者に対する提案営業のひとつとして、土地の有効活用による賃貸マンションの建設について、設計、施工のほか、資金調達、入居管理等について提案をおこなっております。相続税および資産課税に関する大幅な税制改正や金利高騰等の金融情勢および賃貸マンションの空室率等に変化があった場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 資材価格の変動によるリスク

鉄骨、石油製品等の価格の上昇により原材料の価格が高騰した際、請負金額に反映することが困難な場合や、需要の増大により入手難になる場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 建設技術者・技能労働者不足や労務費高騰のリスク

建設技術者・技能労働者の人員確保を計画的におこなっておりますが、今後、建設技術者・技能労働者の需給関係が急激に逼迫し、必要人員の確保が困難となった場合には、受注機会の喪失や工期遅延等の問題が発生する恐れがあり、また急激に労務費が高騰した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 施工上の不具合や重大な事故によるリスク

施工品質や安全管理には万全を期しておりますが、設計、施工などで重大な瑕疵があった場合や人身、施工物などに重大な事故が発生した場合には、その改修や損害賠償および信用失墜により業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 取引先の信用リスク

建設業においては、工事完了まで長期間を要し、かつ一取引の取引額も大きく、建物等工事目的物引渡し時に多額の工事代金が支払われる条件で契約が締結されます。このため、取引先が信用不安に陥った場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 資産の保有リスク

総資産の圧縮に努めておりますが、国内および海外に事業上必要な不動産、有価証券等を保有しており、これらについて予想を上回る市場価格の下落や為替相場の変動等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 災害によるリスク

地震、台風等の自然災害の発生や火災等の人災により、施工中の物件に被害が生じた場合、また、本社・本店、営業所等の営業拠点に被害が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 個人情報漏洩によるリスク

お客様の個人情報管理のため情報セキュリティシステムの整備や社員教育の強化に努めておりますが、サイバー攻撃や不正なアクセス等により個人情報の漏洩等が発生した場合には、社会的信用失墜等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の経営環境、経営方針の概要及び経営成績の分析等は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)経営環境及び経営方針の概要

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善により、穏やかな成長基調が継続しました。一方、国内建設市場は、民間投資は増加したものの、公共投資は前期に大型案件が目立ったことの反動減もありマイナスとなり、国内建設市場全体としても微減となりました。しかしながら市場全体は2013年度以降、高原状態が継続しており、今後2~3年もこの状態は継続すると予想されています。

 このような状況のなか、2017年10月に創業100周年を迎えた当社グループは、その記念すべき2018年3月期をスタート年度とする新中期経営計画「TRY! NEXT CENTURY 2020」を策定しました。この中期経営計画の達成に向け、当社のグループ中核会社の一社である髙松建設株式会社は好調を持続する首都圏の土地有効活用を中心に事業拡大をはかり、グループ全体の成長を牽引いたしました。もう一方の中核会社である青木あすなろ建設株式会社は堅実な成長と高利益率の持続に邁進いたしました。

 

(2)経営成績の分析

 ①売上高

当連結会計年度の売上高は、前期比14.5%増の245,107百万円と6期連続増収、4期連続過去最高となりました。これは首都圏での土地有効活用を中心に事業の拡大をはかる髙松建設を中核会社とする髙松建設グループが施工する賃貸マンション建築事業およびその周辺事業、官公庁関連事業の堅実なシェアアップを目指す青木あすなろ建設を中核会社とした青木あすなろ建設グループが得意とする土木事業のいずれもが好調であったこと、また、不動産事業も好調であったためです。

 ②営業利益

営業利益は、前期比5.4%増の13,630百万円と5期連続増益、3期連続過去最高となりました。これは、建築事業において前期の高採算案件の反動減等があり、売上総利益率は13.5%(前期は14.5%)と前期比1.0ポイント減少したものの、売上高の増加により、売上総利益は33,075百万円(前期比6.4%増)となった一方、販売費及び一般管理費が積極的な新卒採用等による人件費の増加、創業100周年記念事業にかかる一過性の費用等があり、前期比7.1%増加の19,444百万円となった結果です。

 ③経常利益

経常利益は、13,702百万円(前期比6.0%増)で5期連続増益となりました。

 ④親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の計上があったものの、グループ事業会社の将来の収益見通しに伴う繰延税金資産の増による法人税等調整額の減などがあり、前期に比べ20.6%増の7,957百万円となりました。

⑤セグメント別業績

(建築事業)

当連結会計年度の受注高は128,461百万円(前期比2.3%減)、完成工事高は117,347百万円(前期比6.8%増)となりましたが、セグメント利益は前期の高採算案件の反動減があり、前期比18.0%減の8,528百万円となりました。

(土木事業)

当連結会計年度の受注高は107,406百万円(前期比4.8%減)、完成工事高は108,770百万円(前期比18.1%増)となり、セグメント利益は6,823百万円(前期比34.9%増)となりました。 

(不動産事業)

 不動産の売買および賃貸等による当連結会計年度の売上高は18,989百万円(前期比56.0%増)となり、セグメント利益は1,353百万円(前期比80.2%増)となりました。 

 

なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっており、本社管理費等の調整額
△3,074百万円は外数となっております。

 

 

 

当連結会計年度における受注および売上の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

受注実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前年同期比(%)




建築事業

(百万円)

128,461

△2.3

土木事業

(百万円)

107,406

△4.8

  計

(百万円)

235,867

△3.5

不動産事業

(百万円)

18,989

56.0

  計

(百万円)

254,857

△0.6

 

売上実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

前年同期比(%)




建築事業

(百万円)

117,347

6.8

土木事業

(百万円)

108,770

18.1

  計

(百万円)

226,117

12.0

不動産事業

(百万円)

18,989

56.0

  計

(百万円)

245,107

14.5

 

(注) 当社グループ(当社および連結子会社)では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。

 

 なお、提出会社個別の事業の状況につきましては、持株会社であるため、記載を省略しています。

 

(3)財政状態の分析

 ①資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ3,986百万円増加し、184,914百万円となりました。その主な要因は、現金預金が自己株式の取得や東京オフィス拡大への対策としてオフィスビルを購入したこともあり8,825百万円の減少や、不動産事業支出金の2,562百万円減少などがありましたが、受取手形・完成工事未収入金等が7,891百万円、固定資産が7,459百万円増加したことなどによるものです。

 ②負債の部

負債は、前連結会計年度末に比べ550百万円増加し、70,921百万円となりました。その主な要因は、工事未払金が2,854百万円増加し、未成工事受入金が1,906百万円減少したことなどによるものです。

 ③純資産の部

純資産は、前連結会計年度末に比べ3,436百万円増加し、113,992百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益7,957百万円の計上から配当金の支払1,716百万円や、自己株式の取得3,186百万円の減少を差引くことなどによるものです。以上の結果、純資産の額から非支配株主持分を控除した自己資本の額は99,625百万円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.7ポイント増加し53.9%となりました。

 

(4)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末より8,825百万円減少の68,571百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により資金は5,146百万円の増加(前連結会計年度は8,061百万円の増加)となりました。これは、売上債権の増加7,891百万円、法人税等の支払5,625百万円、未成工事受入金の減少1,906百万円等があった一方、税金等調整前当期純利益12,527百万円の計上、仕入債務の増加2,854百万円、たな卸資産の減少2,509百万円、未収入金の減少1,258百万円等があったことによるものです。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により資金は7,850百万円の減少(前連結会計年度は1,388百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入73百万円、有形固定資産の売却による収入52百万円等があった一方、東京オフィス拡大への対策としてのオフィスビル購入などによる有形固定資産の取得による支出7,151百万円、投資有価証券の取得による支出594百万円等があったことによるものです。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により資金は6,121百万円の減少(前連結会計年度は1,718百万円の減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出3,218百万円、配当金の支払額1,715百万円、上場子会社である青木あすなろ建設の市場からの自己株式の取得による支出754百万円等があったことによるものです。

 

(5)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(6)当社グループの資本の財源および資金の流動性

 当社グループは財務の安全性を重視するとともに、無借金経営を継続しております。資金の運用は短期的な預金等に限定し、資金調達が必要な場合は銀行借入による方針であります。当社グループの運転資金需要の主なものは、工事の施工にともなう材料費・外注費等の営業費用であり、これらの支出は、回収した工事代金によっております。また設備投資資金等についても、現預金を使用することとしており、安全性を重視しつつも効率的な資金運用を目指しています。

 

(7)重要な会計方針および見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる見積りによっている部分があり、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。

 重要な会計方針については「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、当社の技術研究所(髙松コンストラクショングループ技術研究所)のもと、中核子会社の髙松建設㈱および青木あすなろ建設㈱にそれぞれ研究所を設け、各社が得意とする技術分野において、研究開発活動をおこなっております。その主なものは次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は429百万円であります。なお、研究開発費につきましては各セグメントに配分しておりません。

 

(1)髙松建設㈱

①TAS(Takamatsu Aoki-asunaro Support)工法

コンクリート打設後の型枠支保工を一部のサポートを残し、数日で全てを解体できる工法を開発しました。
 FEM解析といわれる高度な構造計算をおこなうことで、最低限必要な支保工を算出し、サポート本数の大幅な削減を実現、次工程への早期着手や型枠材の転用等による工期の短縮、材料等のコスト削減をはかりました。
 更に型枠支保工の作業効率をはかるため、支持力の大きい軽量なアルミ製サポート材についてFEM解析、載荷試験により計算方法を擁立、大幅な施工効率向上を実現しました。

②外壁診断調査システムの開発

建築基準法では「タイル張り外壁、モルタル塗り外壁」の定期検診が定められており、建築物の所有者、管理者または占有者は経年劣化等による外壁剥離の診断が義務付けられています。しかし、外壁の診断は足場やゴンドラ等の高所作業で危険を伴うことが多く、仮設や安全対策が大がかりとなり診断費用は割高になります。
 そのため、外壁を走行できるロボットを用い、外壁の打診診断や目視調査が実施できるシステムを共同開発しております。打診診断に関する技術は確立済みであり、本年度より実際の物件での検証を実施導入してまいります。

③ロングスパン解析の基礎的研究

近年、流通施設や工場等の広い無柱空間が必要とされる建築物に限らず、事務所ビルや診療施設においても開放的な間取りが要求される事例が増加しており、S造による柱スパンの大きい空間設計が求められております。
 これらの設計においては、建物毎に最適な梁の断面、柱から梁の接合部の形状等、また製造しやすく施工性の優れた設計が必要となります。FEM解析であれば従来型構造分析(2次元フレーム解析)と異なり、構造物の応力状態が3次元的に確認できるため、応力状態に応じた経済設計が可能となります。
 現在、FEM解析に必要な解析モデル、入力データを実際の建物での振動測定により検証しながら研究をおこなっております。

④サイホン排水システムの研究

サイホン排水システムとは従来の重力式排水システムと異なり、排水管内を満流にし、その排水の落差(サイホン作用)を活用する小口径で無勾配な排水管の設置が可能となる排水システムです。無勾配で小口径の配管システムによりキッチン等の水回り設備の自由な配置が可能となり、将来の改装時も既存の設備配置にとらわれない大幅な間取り変更が可能となります。
 また、強力なサイホン作用による満流で高速の排水は自浄作用もあり、排水管内の汚れが付きにくくメンテナンス性に優れた排水システムです。当社が施工する賃貸マンションに適した平面配置での排水システムを目指し研究を進めております。

⑤中断熱工法

省エネルギー基準が強化される中、RC構造においても断熱材の使用による躯体の高断熱化が必須となっております。一方、RC建築の特徴的なコンクリート打放しのデザインを好まれるお客様も多く、断熱性能とデザインを両立させることが要望されております。本工法は50㎜の断熱材の両面に厚さ120㎜の鉄筋コンクリートの壁を作り、断熱材を埋め込んで耐震構造壁としたもので、断熱性能とデザインの両立と共に断熱材の施工性向上をはかったものであり、構造実験により240㎜のコンクリート壁と同等の構造耐力のあることを確認しております。

⑥省エネルギー仕様の開発

「我が国のエネルギー基本計画」において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及目標が「2030年までに新築建物の平均でZEBの実現」、「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現」と設定されています。地球温暖化対策や災害時におけるエネルギー自給の観点からZEHおよびZEBの普及が当社としても重要と認識しており、ZEH、ZEBを実現するための断熱仕様や、様々な環境配慮技術の効果をエネルギー消費性能計算プログラムにより算出、また部材費や施工効率をふまえた最適な仕様・設備の検討をおこなっております。

 

(2)青木あすなろ建設㈱

①既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究

2013年6月に首都高速道路株式会社が公募した共同研究テーマ「既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究」について、摩擦ダンパーを既設橋梁に応用する研究を実施しています。今期は摩擦ダンパーを現場に適用する際に必要となる技術データを検討するために加振実験や振動台実験を実施しました。同時に、摩擦ダンパーをRC橋脚に取り付けるための方法として、独自のあと施工アンカー工法に関しても研究し特許申請をおこないました。

②コンクリートの品質向上技術の工場

コンクリートひび割れ制御システムを開発し、養生温度・湿度を遠隔で自動運転管理することで省人化をは
かるとともに、品質の向上を実現しました(博多港橋梁下部工事で運用中)。また、水中コンクリートの連続
打設管理システムを開発し、打設状況を見える化することで潜水作業を軽減し省力化をはかるとともに、型枠
の隅々まで材料分離の無いコンクリートを連続打設することで品質の向上を実現しました。

③制震ブレースを用いた耐震補強工法

日本大学と共同開発した摩擦ダンパーを用いた既存建物の制震補強工法で、高性能・居ながら補強・短工期・低コストを特長としており、制震補強工法として、我が国で初めて日本建築防災協会技術評価を取得しております。今期は、前期に引き続き実施適用物件に対する振動測定をおこない、データの蓄積をはかりました。

④折返しブレースを用いた耐震補強工法

折返しブレースは断面の異なる3本の鋼材を一筆書きの要領で折り返して接合させた形状を有し、優れた変形性能を示し、合理的な鉄骨造建物を建設できます。今期は、円形鋼管タイプの性能確認実験を成功裡に終了し、信頼性の向上をはかりました。

⑤耐震天井工法(AA-TEC工法)の開発

大地震時の大空間建物の天井被害を軽減するため、耐震天井の開発に取り組んでいます。従来の耐震天井よ
りも約1.5倍の耐震性能に優れた工法を開発し、2016年10月には建築技術性能証明を取得しました。今期は、天
井の吊り長さの適用範囲を1.5mから3.0mに拡大するための性能確認実験をおこない、建築技術性能証明を更
新しました。また今期は本工法が初採用され1件受注しました。