(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載金額については、消費税等抜きの金額で表示しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、建設を通して社会における相互補完の一翼を担うことを経営理念とし、お客様、お取引先、株主様をはじめとするステークホルダーの皆様はもちろん、地域社会を含めた全ての人々に対し、グループ会社がそれぞれの事業を通じて高い評価を得ることを目指し、もってグループトータルの企業価値の増大を計ることを経営目標に掲げております。
この経営目標達成のため、よりビッグでよりハイプロフィットなグループを目指しておりますが、不正や不当な手段による社益の追求は勿論のこと、浮利を追うなどの利益第一主義に陥ってはならないことを経営の基本姿勢としております。
日本国内における建設市場は、2020年の東京オリンピック後も2~3年は比較的堅調な市況が継続するとの見通しが大方の見方となっていますが、その後はなだらかな減少に向かうと当社は考えています。また今後、政府主導による働き方改革への対応や、建設業界の担い手の急速な減少にともなう労務費の上昇なども避けられない見通しです。
一方、当社グループの中核事業会社である髙松建設㈱の中心セグメントである賃貸マンション建築は、人口流入が継続すると見込まれる3大都市圏、特に首都圏で堅調であり、低金利の継続見通しと併せ考えると、当面は堅調な市況が継続すると考えています。
このような状況のなかで、当社は2019年3月期に中期経営計画の最終年度に当たる2020年3月期の目標を1年前倒しで達成する計画とし、売上高や利益項目につきましては未達となったものの、受注は目標を大きく上回ることができました。また、2018年4月に当社グループの中核事業会社である髙松建設㈱と青木あすなろ建設㈱に新社長が就任して2年目を迎えるにあたり、新体制下での長期ビジョンを社内外に明示すべく、このたび2020年3月期を初年度とする新たな中期経営計画「Create!2022」を策定いたしました。
本中計ではグループ全体として、「高成長・高収益企業を創る」、「グループの新事業領域を創る」、「多様性とコンプライアンスを尊重する企業文化の創造」、「シナジー効果の創出」、「経済・社会や環境への価値創造」の5つの「創る」をキーワードにしています。
「高成長・高収益企業を創る」に関しては、髙松建設グループは好調を持続する首都圏の土地有効活用を中心に事業拡大を図り、グループ全体の成長を牽引する一方で、中堅ゼネコンである青木あすなろ建設グループは将来の建設市場全体のなだらかなピークアウトを見据え、堅実な成長と利益率の向上をはかってまいります。具体的には、髙松建設グループでは非マンション領域での競争力強化に加え、2019年3月期の売上高未達要因にもなった設計期間の延びを抑制するためのチェック体制の強化および技術・ノウハウ・社員スキルの向上をはかることで成長を持続させ、青木あすなろ建設グループでは利益率向上のため、生産性向上や工事採算性の向上に取り組みます。
「グループの新事業領域を創る」は、直近の具体例として、髙松建設㈱が2019年4月に新会社タカマツハウス㈱を設立すると同時に㈱タツミプランニングのM&Aも実施し、新事業領域である木造戸建住宅事業に進出したことが示すように、今後とも積極的なM&Aと新規事業領域へのチャレンジを継続します。
「多様性とコンプライアンスを尊重する企業文化の創造」については、多様性を成長力や変革・革新の源泉と考え、グループ会社の多様性、従業員の多様性を尊重してまいります。具体的には女性活躍や高齢人材の有効活用、社員教育を推進し、働き方改革を進めてまいります。働き方改革については、中核会社においては現場閉所目標値を設け、生産性向上との両輪で取り組み、建設業全体の労働環境の向上に貢献する所存です。
上記の取り組みにより、グループ22社のシナジー効果を最大化し、中期経営計画最終年度の2022年3月期には、売上高3,000億円、営業利益180億円を実現し、「経済・社会や環境」への価値創造をはかってまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項については当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、こうした事業を取り巻くリスクや不確定要因等に対して、その予防や分散、リスクヘッジを実施することにより企業活動への影響について最小限にとどめるべく対応をはかっております。
(1) 受注環境の変化によるリスク
国内外の景気を取り巻く不透明感等により民間設備投資・住宅投資が減少した場合や、財政健全化を目的とした公共投資が減少した場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
建設資材価格や労務単価などが請負契約締結後に大幅に上昇し、競争激化によりそれを請負金額に反映することが困難な場合、及び建設技術者・技能労働者の確保が困難な場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
相続税・資産課税強化や、金融機関の融資スタンスの変化並びに金利上昇等の金融情勢に変化があった場合、及び賃貸マンションの空室率等に変化があった場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
景気の後退や建設市場の縮小などにより発注者、協力業者、共同施工会社などの取引先が信用不安に陥った場合には、資金の回収不能や施工遅延などの事態が発生し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
設計施工などで重大な瑕疵があった場合や、人身・施工物などに重大な事故が発生した場合には、その改修や損害賠償および信用失墜により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
国内および海外に事業上必要な不動産、有価証券等を保有しており、これらについて予想を上回る市場価格の下落や為替相場の変動等が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
海外での事業展開の中で、進出国での政治・経済情勢、為替や法的規制等に著しい変化が生じた場合や不動産市況の変化等が起こった場合には、工事の進捗や利益確保に影響を及ぼす恐れがあります。また、M&Aで取得した企業との融合によるシナジー効果が実現されない場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。
地震、台風等の自然災害の発生や火災等の人災により、施工中の物件に被害が生じた場合、また本社・本店、営業所等の営業拠点に被害が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。
事業活動を通じて取得した個人情報、機密情報がサイバー攻撃や不正なアクセス等により漏洩等が発生した場合には、社会的信用失墜等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当グループの属する建設業界は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法、さらには環境、労務関連の法令など様々な法的規制を受けております。コンプライアンス遵守は徹底しておりますが、万が一違法な行為があった場合には、業績や企業評価に影響を及ぼす可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析をおこなっております。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の経営環境、経営方針の概要及び経営成績の分析等は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、前期に引き続き穏やかな回復基調が持続しましたが、期末にかけては外需の下振れなど足踏み感も見えた一年となりました。一方、国内建設市場は前期に大型工事を計上した官公庁の反動減はあったものの、民間企業の受注は年度末に大幅増となるなど好転し、全体としては、7.1%の増加となりました。国内建設市場全体は2014年3月期以降の高原状態が継続しており、今後2~3年もこの状態が継続すると予想されています。
一方、当社グループは2017年10月に創業100周年を迎え、その記念すべき2018年3月期をスタートとして、中期経営計画「TRY! NEXT CENTURY 2020」を策定いたしました。
本中期経営計画において髙松建設グループは、好調を持続する首都圏での賃貸マンション建築を中心とした土地有効活用事業を拡大し、グループ全体の成長を牽引する計画としました。もう一方の中核会社で、中堅ゼネコンである青木あすなろ建設グループは、建設業全般の先行きを見据え、堅調な成長・高利益率の持続を目指しました。
創業101年目にあたる2019年3月期は、2018年3月期の堅調な業績や積極的な人員の採用などに鑑み、「NEXT CENTURY 101!中計目標を1年前倒しで実現しよう!」をテーマに、売上高・営業利益は中計最終年度に当たる2020年3月期の目標を1年前倒しで達成する計画としました。
(2)経営成績の分析
①売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比1.9%増の249,720百万円と7期連続増収、5期連続過去最高となりました。これは当連結会計年度にグループ入りした㈱ミブコーポレーションによる不動産事業の売上高が伸びた反面、建築事業および土木事業は前年比微減の売上高となった結果です。
②営業利益
営業利益は、前期比8.7%減の12,441百万円となりました。これは、売上総利益率は13.8%(前期は13.5%)と前期比0.3ポイント増加したものの、一部工事の着工・進捗の遅れなどにより、売上総利益が前期比3.9%増の34,361百万円にとどまった一方、販売費及び一般管理費が積極的な新卒採用等による人件費の増加等により、前年比12.7%増の21,919百万円となった結果です。
③経常利益
経常利益は、12,425百万円(前期比9.3%減)となりました。
④親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却による特別利益の計上があったものの、災害による損失、連結子会社が保有する船舶の減損損失を計上したこと等により、前期に比べ11.7%減の7,022百万円となりました。
⑤セグメント別業績
(建築事業)
当連結会計年度の受注高は169,742百万円(前期比32.1%増)、完成工事高は115,114百万円(前期比1.9%減)となり、セグメント利益は7,048百万円(前期比17.4%減)となりました。
(土木事業)
受注高は109,265百万円(前期比1.7%増)、完成工事高は108,355百万円(前期比0.4%減)となり、セグメント利益は6,949百万円(前期比1.8%増)となりました。
(不動産事業)
不動産の売買および賃貸等による売上高は26,250百万円(前期比38.2%増)となり、セグメント利益は1,975百万円(前期比46.0%増)となりました。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっており、本社管理費等の調整額△3,531百万円は外数となっております。
当連結会計年度における受注および売上の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 当社グループ(当社および連結子会社)では生産実績を定義することが困難であるため、「生産の状況」は記載しておりません。
なお、提出会社個別の事業の状況につきましては、持株会社であるため、記載を省略しています。
(3)財政状態の分析
①資産の部
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5,694百万円増加し、190,590百万円となりました。
その主な要因は、現金預金が6,496百万円、投資有価証券が1,160百万円減少した反面、のれんを含む固定資産が4,153百万円増加したほか、受取手形・完成工事未収入金が4,072百万円、販売用不動産が㈱ミブコーポレーションのグループ入りなどに伴い2,561百万円、未収入金が998百万円増加したことなどによるものです。
②負債の部
負債は、前連結会計年度末に比べ1,560百万円増加し、72,463百万円となりました。
その主な要因は、工事未払金が1,591百万円、未払法人税等が636百万円減少した反面、未成工事受入金が
4,285百万円増加したことなどによるものです。
③純資産の部
純資産は、前連結会計年度末に比べ4,134百万円増加し、118,126百万円となりました。
その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益7,022百万円と配当金の支払2,019百万円の相殺などにより、利益剰余金が4,997百万円増加したことなどによるものです。
以上の結果、純資産の額から非支配株主持分を控除した自己資本の額は104,018百万円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ0.7ポイント増加し54.6%となりました。
当連結会計年度末の連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末より6,496百万円減少の62,074百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動により資金は4,160百万円の増加(前連結会計年度は5,146百万円の増加)となりました。これは、売上債権の増加3,916百万円、法人税等の支払4,570百万円、仕入債務の減少1,601百万円、未収入金の増加1,106百万円、たな卸資産の増加681百万円等の支出があった一方、税金等調整前当期純利益11,593百万円の計上、未成工事受入金の増加4,273百万円等の収入があったことによるものです。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動により資金は5,371百万円の減少(前連結会計年度は7,850百万円の減少)となりました。これは、投資有価証券の売却による収入767百万円、有形固定資産の売却による収入83百万円等があった一方、TCG USA,Incによる固定資産の取得や、東京オフィス拡大への対策としてのオフィスビル購入などによる有形固定資産の取得による支出3,976百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,198百万円等があったことによるものです。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動により資金は5,402百万円の減少(前連結会計年度は6,121百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額2,017百万円、当期にグループ入りしたミブコーポレーションが計上していた短期借入金1,191百万円および長期借入金998百万円の返済による支出、上場子会社である青木あすなろ建設の市場からの自己株式の取得による支出756百万円等があったことによるものです。
(5)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりです。
(6)当社グループの資本の財源および資金の流動性
当社グループは財務の安全性を重視するとともに、無借金経営を継続しております。資金の運用は短期的な預金等に限定し、資金調達が必要な場合は銀行借入による方針であります。当社グループの運転資金需要の主なものは、工事の施工にともなう材料費・外注費等の営業費用であり、これらの支出は、回収した工事代金によっております。また設備投資資金等についても、現預金を使用することとしており、安全性を重視しつつも効率的な資金運用を目指しています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準にもとづき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる見積りによっている部分があり、見積り特有の不確実性のために、実際の結果が見積りと異なることがあります。
重要な会計方針については「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。
該当事項はありません。
当社グループは、当社の技術研究所(髙松コンストラクショングループ技術研究所)内に、中核子会社の髙松建設㈱および青木あすなろ建設㈱のそれぞれ研究開発部門があり、各社が得意とする技術分野において、研究開発活動をおこなっております。その主なものは次のとおりであり、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(1)髙松建設㈱
コンクリート打設後の型枠支保工を一部のサポートを残し、数日で全てを解体できる工法を開発しました。
FEM解析といわれる高度な構造計算をおこなうことで、最低限必要な支保工を算出し、サポート本数の大幅な削減を実現、次工程への早期着手や型枠材の転用等による工期の短縮、材料等のコスト削減をはかりました。
当社では2016年より、数多くの新築物件にて本工法を採用し、施工効率の改善に取り組んでおります。
建築基準法では「タイル張り外壁、モルタル塗り外壁」の定期検診が定められており、建築物の所有者、管理者または占有者は経年劣化等による外壁剥離の診断が義務付けられています。しかし、外壁の診断は足場やゴンドラ等の高所作業で危険を伴うことが多く、仮設や安全対策が大がかりとなり診断費用は割高になります。
そのため、外壁を走行できるロボットを用い、外壁の打診診断や目視調査が実施できるシステムを共同開発しております。昨年度までで打診診断に関する技術を確立、本年度より実際の物件での検証を実施してまいります。
近年、流通施設や工場等の広い無柱空間が必要とされる建築物だけでなく、事務所ビルや診療施設においても開放的な間取りが要求される事例が増加しており、鉄骨造による柱スパンの大きい空間設計が求められております。
これらの設計においては、建物毎に最適な梁の断面、柱から梁の接合部の形状等、また製造しやすく施工性の優れた設計が必要となります。FEM解析であれば一般の構造計算プログラムではできない、部材の変形能力や変形状態を再現し解析することができるため、応力状態に応じた最適な設計が可能となります。
解析結果をロングスパン建物の構造設計指針としてまとめ、今後は柱スパンの大きい建築物の設計に活用していきます。
④サイホン排水システムの研究
サイホン排水システムとは従来の重力式排水システムと異なり、排水管内を満流にし、その排水の落差(サイホン作用)を活用する小口径で無勾配の排水管設置が可能となる排水システムです。無勾配で小口径の配管システムによりキッチン等の水回り設備の自由な配置が可能となり、将来の改装時も既存の設備配置にとらわれない大幅な間取り変更が可能となります。
また、強力なサイホン作用による満流で高速の排水は自浄作用もあり、排水管内の汚れが付きにくくメンテナンス性に優れた排水システムです。当社が施工する賃貸マンションの平面計画に適した排水システムを目指し研究を進めております。
⑤中断熱工法
省エネルギー基準が強化される中、RC構造においても断熱材の使用による躯体の高断熱化が必須となっております。一方、RC建築の特徴的なコンクリート打放しのデザインを好まれるお客様も多く、断熱性能とデザインを両立させることが要望されております。本工法は50㎜の断熱材の両面に厚さ120㎜の鉄筋コンクリートの壁を作り、断熱材を埋め込んで耐震構造壁としたもので、断熱性能とデザインの両立と共に断熱材の施工性向上をはかったものであり、構造実験により厚さ240㎜の鉄筋コンクリート壁と同等の構造耐力のあることを確認しております。
⑥省エネルギー仕様の開発
「我が国のエネルギー基本計画」において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の普及目標が「2030年までに新築建物の平均でZEBの実現」、「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現」と設定されています。地球温暖化対策や災害時におけるエネルギー自給の観点からZEHおよびZEBの普及が当社としても重要と認識しており、それを実現するための断熱仕様、空調、照明、給湯等の設備仕様や様々な環境配慮技術の効果をエネルギー消費性能計算プログラムにより算出、また部材費や施工効率をふまえた最適な仕様・設備の検討をおこなっております。
(2)青木あすなろ建設㈱
2013年6月に首都高速道路株式会社が公募した共同研究テーマ「既設橋梁の耐震性向上技術に関する研究」について、摩擦ダンパーを既設橋梁に応用する研究を実施しています。今期は橋軸方向の地震動の影響を低減し、橋軸直角方向の地震動に対してのみ可動するメカニズムの開発に取り組みました。同時に従来の摩擦ダンパーについても耐久性試験、実橋梁に適用した場合の効果を調べる動的解析を実施しました。
②無人化施工・水陸両用機械における操作ガイダンス技術の開発
重機の位置姿勢情報やドローン撮影による地形画像を用いて、コンピュータ画面上に複数重機を統合表示する技術です。無人化施工や水陸両用機械の遠隔操作においてカメラ映像を見ずに遠隔操作することが可能になります。今期はバックホウの姿勢情報を検出することで、カメラ映像を見ずにダンプトラックへ土砂等の積込みができるように改良しました。
③コンクリートの品質向上技術の開発
コンクリートひび割れ制御システムを改良し、コンクリート構造物の躯体内にパイプを設置し、コンクリートの温度上昇を抑制するパイプクーリングを自動運転管理する機能に、タブレットで遠隔管理および遠隔操作を追加したことで更なる省人化をはかるとともに、品質の向上を実現しました(名古屋港飛島ふ頭改良工事で実施)。また、本技術は2016年11月17日にNETIS新技術情報提供システムに登録された他に、2019年2月1日に特許登録されました。
④制震ブレースを用いた耐震補強工法
日本大学と共同開発した摩擦ダンパーを用いた既存建物の制震補強工法で、高性能・居ながら補強・短工期・低コストを特長としており、制震補強工法として、我が国で初めて日本建築防災協会技術評価を取得しております。今期は、これまでの施工物件で用いた摩擦ダンパー約3,600基のデータを確認するとともに、品質管理方法の改善をはかりました。また、補強工事後20年が経過したダンパーの検査をおこない、初期の性能を維持していることを確認しました。
⑤折返しブレースを用いた耐震補強工法
折返しブレースは断面の異なる3本の鋼材を一筆書きの要領で折り返して接合させた形状を有し、優れた変形性能を示し、合理的な鉄骨造建物を建設できます。今期は、円形鋼管タイプの性能確認実験データを分析し、信頼性の向上をはかりました。
⑥耐震天井工法(AA-TEC工法)の開発
大地震時の大空間建物の天井被害を軽減するため、耐震天井の開発に取り組んでいます。従来の耐震天井よりも約1.5倍の耐震性能に優れた工法を開発し、2016年10月には建築技術性能証明を取得しました。今期は、鉄骨造を対象とした仕様書の作成および天井の吊り長さを4.5mとした場合の性能確認実験をおこない、適用範囲の拡大をはかりました。