「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で表示しております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、東京オリンピック・パラリンピック後の2025年頃に顕在化が予想される建設業界における様々な環境変化に負けない企業体質を構築するため、2026年を到達時期として、ありたい姿「活力ある風土のもとで真価を発揮する環境変化に負けない企業グループ」を策定するとともに、そのありたい姿に向けた最初のステップとして、「中期経営計画2018-2020『Shinka2020』」を策定し、2018年4月より推進しております。
今後の国内建設市場につきましては、政府建設投資の増加により引き続き好調に推移すると予想される一方で、大都市圏を中心とした複数の大型再開発工事による需給のひっ迫により、建設コストの高騰が懸念されます。また、中長期的には従来の新設等を主体とした「フロー」型から維持・修繕等の「ストック」型への需要の質的変化や高齢の建設就労者の大量退職による人材不足が深刻化することが予想され、長時間労働の解消や働き方改革の実現等への対応も求められております。
このような情勢下におきまして当社グループは、引き続き「中期経営計画2018-2020『Shinka2020』」の基本方針に基づく施策の着実な具体化により、環境変化に負けない企業集団への成長を目指すとともに、東急グループの総合力の活用や積極的な人材獲得、M&A等により、お客様に応じた総合的な建設ソリューションを提供する企業集団への成長を目指してまいります。
また、一時的要因により2020年3月期は業績の低下が見込まれますが、業績の改善に向けて、お客様との一層の関係強化による受注の獲得に注力するほか、建設生産システムの変革や間接部門の合理化等を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、主として以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
景気変動による国内建設市場の縮小、資材・労務価格等の急激な変動が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
技能労働者が減少傾向にあるなか、技能労働者を十分に確保できず供給力が低下した場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
労働人口が減少するなか、人材獲得の停滞や離職者の増加により従業員が確保できず人員不足に陥った場合、売上高の減少等、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
長時間労働の解消が進まず、生産性の低下や重大な事故の発生、従業員の健康不良、企業イメージの悪化による人材の流出等が発生した場合、受注機会や供給力の減少により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
設計、施工における不具合等によりその補修等に多大な費用を要するような重大な瑕疵、品質不良が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
第三者や多数の死傷者を伴う重大な事故・災害の発生及び社会的に影響の大きい工事等における事故の発生により、社会からの信頼を喪失した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
東急グループからの建設工事受注が大幅に減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
参考:東急グループからの過去2年の受注実績及び今後の受注計画(個別)
(単位:百万円)
景気変動等により保有する不動産、有価証券等の資産価値が著しく低下した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
発注者、協力会社、共同施工会社等の取引先が信用不安に陥った場合、資金の回収不能や施工遅延等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10) 事業に対する法的規制
建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、労働安全衛生法、独占禁止法等の当社グループの事業に関連する法令の改廃や新設、適用基準の変更等があった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 国際事業の展開に伴うリスク
国際事業を展開する上で、海外諸国の政治・経済情勢、為替や法的規制等、事業環境に著しい変化が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12) 繰延税金資産に関わるリスク
将来の課税所得等の見積りの変動や税率変更等の税制改正により繰延税金資産の取崩しが必要となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
地震、津波、風水害等の大規模自然災害や感染症の大流行が発生し、当社グループの従業員や保有資産への被災の他、受注環境の変化、建設資機材や燃料等の価格高騰及び電力供給不足等が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、輸出や生産の一部に弱さがみられたものの、企業収益や雇用・所得環境の改善に伴い、設備投資が増加するとともに個人消費が持ち直しの動きを見せるなど、緩やかな回復基調が続きました。
建設業界におきましては、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関連する旺盛な建設需要をはじめ、堅調な設備投資を背景に、市場環境は好調に推移いたしました。
このような情勢下におきまして当社グループは、一部工事の損益悪化に伴う売上総利益率の低下等があったものの、大型建築工事の進捗により完成工事高が増加したほか、子会社におけるリニューアル工事の増加等もあり、本業における業績は増収・増益と堅調に推移いたしました。また、初年度となる「中期経営計画2018-2020『Shinka2020』」の4つの基本方針「従業員の意欲・能力を引き出す人材・組織の変革」、「顧客起点と現場力による国内建設事業の強化」、「戦略事業の拡大による収益多様化の推進」、「収益力の強化を支える経営・財務基盤の充実」のもと、「国内建設事業」をなお一層強化すべく、お客様の事業パートナーとしての関係強化や、ICTの活用による生産性向上に取り組むほか、「不動産事業」では収益不動産を取得するとともに、「国際事業」ではODA案件の受注に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、完成工事高の増加により売上高は331,437百万円(前期比3.3%増)となりました。損益面では、営業利益は21,987百万円(前期比2.7%増)となりました。また、経常利益は持分法による投資利益790百万円を計上したことなどにより22,932百万円(前期比3.6%増)となりました。これに、税金費用等を加味した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は15,504百万円(前期比3.8%減)となりました。
完成工事高については、国内官公庁工事が減少したものの、国内民間工事及び海外工事の増加により、258,896百万円(前期比5.8%増)となりました。セグメント利益については、20,200百万円(前期比8.7%減)となりました。
完成工事高については、国内官公庁工事が増加したものの、海外工事及び国内民間工事の減少により、70,652百万円(前期比4.6%減)となりました。一方、セグメント利益については、工事の採算向上に伴い7,993百万円(前期比53.3%増)となりました。
不動産事業等売上高については、1,888百万円(前期比5.8%減)となりました。損益面については、賃貸事業等で利益を計上したものの、長期大型開発事業の収支見直しに伴い不動産事業等損失引当金を計上したことなどにより、304百万円のセグメント損失(前連結会計年度は245百万円のセグメント利益)となりました。
当連結会計年度末の資産の部につきましては、受取手形・完成工事未収入金等が15,476百万円減少した一方、現金預金が20,279百万円、未成工事支出金が5,204百万円増加したことなどにより、資産合計は前連結会計年度末と比較して15,239百万円増加(6.1%増)し、264,996百万円となりました。
負債の部につきましては、支払手形・工事未払金等が1,454百万円、未払法人税等が868百万円それぞれ減少した一方、預り金が1,670百万円、工事損失引当金が1,466百万円、電子記録債務が1,094百万円それぞれ増加したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比較して1,433百万円増加(0.8%増)し、172,014百万円となりました。
純資産の部につきましては、配当を3,307百万円実施したものの、親会社株主に帰属する当期純利益を15,504百万円計上したことにより利益剰余金が増加した結果、株主資本は12,100百万円増加しました。また、株式相場の影響を受けてその他有価証券評価差額金が1,854百万円増加したことなどにより、その他の包括利益累計額は1,582百万円増加しました。この結果、純資産合計は前連結会計年度末と比較して13,806百万円増加(17.4%増)し、92,981百万円となりました。
なお、自己資本は92,633百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して3.4ポイント増加し、35.0%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払額の支出や未成工事支出金の増加等の資金減少があったものの、税金等調整前当期純利益22,932百万円の計上や売上債権の減少等の資金増加により、29,694百万円の資金増加(前連結会計年度は16,226百万円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形及び無形固定資産の取得による支出や関係会社株式の取得による支出等により、5,786百万円の資金減少(前連結会計年度は3,383百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払額の支出等により、3,575百万円の資金減少(前連結会計年度は6,457百万円の資金減少)となりました。
この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から20,279百万円増加し、49,145百万円(前連結会計年度末は28,865百万円)となりました。
(注) 当社グループでは「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」以外では受注生産を行っておりません。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の実績」は記載しておりません。
3 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりであります。
なお、参考のため提出会社個別の事業の実績は次のとおりであります。
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にそ
の増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。また、前事業年度以前に
外貨建で受注したもので、当事業年度中の為替相場の変動により請負金額の増減がある場合についても同
様の処理をしております。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
東京急行電鉄㈱ 57,171百万円 18.4%
当事業年度
東京急行電鉄㈱ 59,827百万円 19.4%
ファナック㈱ 40,469百万円 13.1%
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務等の記載並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを継続的に行っております。これらの見積りに関しては、過去の実績や現在の状況に応じて合理的な判断を行っております。しかし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、業績については、主に大型建築工事が最盛期を迎えたことを受けて、当連結会計年度の連結売上高は、331,437百万円となり前連結会計年度から3.3%増収となりました。損益面では、税金費用などの増加により親会社株主に帰属する当期純利益は15,504百万円となり前連結会計年度から3.8%減益となりましたが、土木工事における設計変更の獲得や海外ODA案件の採算向上により営業利益は21,987百万円(前連結会計年度比2.7%増)、経常利益は22,932百万円(前連結会計年度比3.6%増)と前年から増益となりました。
財政状態は利益剰余金の積み上げ等により純資産は92,981百万円(前連結会計年度比17.4%増)となり、資産合計は264,996百万円(前連結会計年度比6.1%増)と前年を上回りました。また自己資本比率は35.0%となり前連結会計年度から3.4ポイント増加いたしました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
国内建設市場につきましては、民間投資は景気動向の影響を受けやすく、公共投資は政府の方針等の影響を受けやすい傾向があります。特に民間投資においては、景気の冷え込みが急速に進んだ場合、取引先の信用不安の影響等により貸倒れ等の損失が発生する可能性があります。また、東急グループからの受注が一定の割合を占める当社グループでは、東急グループの投資動向の影響を受けることがあります。
一方、労働人口減少の影響等により建設就労者は減少傾向にあり、これを背景とした担い手不足が当社グループの売上高や利益に影響を与える可能性があります。また、需給のひっ迫や海外情勢の影響等に起因する資機材価格の動向が当社グループの利益に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、当面、建設投資は高い水準が維持され、建設コストの急激な上昇はないものと予測しておりますが、中期経営計画及び2026年のありたい姿として、こうした環境変化に負けない企業グループを目指すこととしております。
c.目標とする経営指標の達成状況
当社グループが「中期経営計画2018-2020『Shinka2020』」で掲げた目標及び当連結会計年度の実績は以下のとおり「連結営業利益率」「連結売上高」「連結ROE」において達成することができました。また連結自己資本額は、前連結会計年度から136億円の増加となり、目標額の達成に向けて進捗しております。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主な要因は「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、工事の完成に要する外注費等の工事費の支払や人件費等の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、当社グループは提出日現在、事業運転資金の安定的且つ機動的な調達を目的として、取引銀行5行によるシンジケーション方式のコミットメントライン契約等からの借入により資金調達を行っております。
e.セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(建設事業(建築))
当連結会計年度における受注高は207,294百万円(前連結会計年度は222,530百万円)、完成工事高は258,896百万円(前連結会計年度は244,618百万円)、セグメント利益は20,200百万円(前連結会計年度は22,130百万円)となりました。
(ⅰ) 完成工事高(個別)
当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比1,343百万円(0.6%)増加の238,241百万円となりました。
工事分類別では、前事業年度に比べ「工場」、「店舗」が増加し、「医療・福祉施設」、「教育・研究・文化施設」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事は減少、民間工事は増加となりました。
(単位:百万円)
(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)
利益率は、一部工事の損益悪化により前事業年度比1.8ポイント悪化し、9.8%となりました。
(ⅲ) 受注高(個別)
受注高は185,287百万円で、前事業年度比29,265百万円(13.6%)の減少となりました。
(発注者別)
中央官庁からの受注は前事業年度比3.0%増加、地方自治体からの受注は同122.5%増加し、官公庁工事の受注額合計では同61.7%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比1.2%増加、東急グループからの受注は同66.2%の減少となり、民間の受注額合計では同18.8%の減少となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度10.9%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事12.0%、民間工事88.0%の構成比となりました。
(工事分類別)
「工場」は前事業年度比36.4%増加し、構成比では23.4%となりました。また、「住宅」は前事業年度比20.1%減少し、構成比では14.1%となりました。
(エリア別)
国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比2.0ポイント減少し、国内全体に占める割合は75.6%となりました。
(建設事業(土木))
当連結会計年度における受注高は78,182百万円(前連結会計年度は76,906百万円)、完成工事高は70,652百万円(前連結会計年度は74,089百万円)、セグメント利益は7,993百万円(前連結会計年度は5,214百万円)となりました。
(ⅰ) 完成工事高(個別)
当事業年度における当社個別の完成工事高は、前事業年度比3,481百万円(4.7%)減少の70,381百万円となりました。
工事分類別では、前事業年度に比べ「上・下水道」が増加し、「道路」、「鉄道」が減少しました。また、発注者別では、官公庁工事は増加、民間工事は減少となりました。
(単位:百万円)
(ⅱ) 完成工事総利益率(個別)
利益率は、官公庁工事の設計変更・追加工事獲得により、前事業年度比4.4ポイント改善し、14.1%となりました。
(ⅲ) 受注高(個別)
受注高は77,766百万円で、前事業年度比982百万円(1.3%)の増加となりました。
(発注者別)
中央官庁からの受注は前事業年度比8.5%増加、地方自治体からの受注は同40.1%減少し、官公庁工事の受注額合計では同0.5%増加しました。東急グループを除く民間の受注は前事業年度比5.8%増加、東急グループからの受注は同0.1%の増加となり、民間の受注額合計では同2.7%の増加となりました。なお、受注高全体に占める東急グループ発注工事の割合は、当事業年度18.6%となりました。官公庁工事と民間工事では、官公庁工事64.8%、民間工事35.2%の構成比となりました。
(工事分類別)
「鉄道」は前事業年度比99.4%増加し、構成比では61.4%となりました。また、「道路」は前事業年度比63.5%減少し、構成比では13.2%となりました。
(エリア別)
国内において、首都圏と地方の比較でみると、首都圏の割合が前事業年度比9.3ポイント増加し、国内全体に占める割合は62.1%となりました。
(不動産事業等(連結))
不動産事業等売上高は1,888百万円(前連結会計年度は2,003百万円)となりました。この主な内容は、賃貸収入等に係るものであります。また、損益面では、長期大型開発事業の収支見直しに伴い不動産事業等損失引当金を計上したことなどにより、304百万円のセグメント損失(前連結会計年度は245百万円のゼグメント利益)となりました。
該当事項はありません。
セグメントごとの研究開発は次のとおりであります。なお、「建設事業(建築)」及び「建設事業(土木)」の研究開発費は、建設事業共通でかかる費用のため、「建設事業」として記載しております。
[建設事業]
研究開発活動については、社会課題の把握と抽出を行い、SDGs(持続可能な開発目標)において当社が優先して取り組む重要な社会課題のうち、安全で安心・快適なまちづくりへの貢献、技術革新による生産プロセスの効率性向上、施工品質向上技術、省資源・省エネルギーの推進に基づく環境技術等受注確保につながる技術を開発し、実用化を目指しております。当連結会計年度においては、以下の技術分野に関して、研究開発を進めました。
1.安心安全 ・維持管理技術・災害対策技術(地震、洪水等)・施工自動化システム
2.生産性向上 ・建築構造・省力化技術・通信技術・土壌浄化促進技術・検査支援システム
・ICTロボット技術・シミュレーション技術
3.環境負荷低減 ・資源再利用・ZEB(Zero Energy Building)・グリーンインフラ
・木造建築多様化技術
更に、大学、公共研究機関及び関連企業との共同研究をはじめとする社外連携を進め、競争的資金の活用等により研究開発の効率を高めております。特に、東京都市大学とは産学連携に関する包括契約を締結しており、2018年度は12テーマの共同研究を実施しました。
当連結会計年度における研究開発費は、1,084百万円であります。
主な研究開発成果は次のとおりであります。
(1)ZEB提案モデルとしての技術研究所ゼロ・エネルギー・ビル化改修完成
築25年を経過した自社技術研究所をZEB(Zero Energy Building)化する改修工事が2018年5月に完成しました。「外部熱負荷の徹底低減」「独自のトリプルハイブリット熱源」「先進的な水素利用」を技術的テーマとし、国内トップレベルの73%のエネルギー削減を実現し、2017年度にはBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)において「ZEB Ready」の認証を取得しました。導入した二酸化炭素を排出しない自立型水素エネルギー供給システムは、民間事業としては国内初の取り組みで、太陽光発電と組み合わせた画期的なシステムであります。また、空調や照明を改良することで、省エネと同時に、オフィス空間の快適性と働く人の業務の効率性の向上も目指しています。今後は、運用データを順次蓄積し運用での改善を行い、ZEB技術の提案に活用していきます。
(2)グリーンインフラ実証施設の設置
当社は、自然環境が有する機能を活用して、防災・減災、生物多様性の保全等、持続可能な地域づくりを推進するグリーンインフラの実証施設を技術研究所敷地内に設置しました。
本施設は約120㎡(9.5m×12.5m)の敷地に、雨水の貯留槽・浸透促進設備と、貯留水循環型ビオトープを構築し、雨水を「貯める」「使う」「自然に還す」、生き物が「棲む」「育つ」をキーワードに、ホタルが生息できる水辺を創出しながら、グリーンインフラによる環境保全と防災・減災効果について実証を行います。
本施設では都市型集中豪雨対策(雨水流出抑制)と、環境保全技術開発(雨水の有効活用と自然に還す循環促進、動植物生育環境の創出)を主眼としており、収集したデータをもとに段階的に改良を加え、環境意識の高まりから今後さらなる活用が期待されているグリーンインフラの要素技術の高度化を進めてまいります。
(3)規格流通木材を利用し低コスト・短工期で木造中空間を創出する「連続斜め梁構法」を確立
当社は、ナイス㈱との共同研究により、木造建築において、6mの規格流通材を利用し8.19mスパンの木造中空間を創出する構法の実証に成功しました。
当社が培ったゼネコンとしての総合的知見と、ナイス㈱の木材流通企業としての専門的知見により、高価格・長納期の特注材を用いず、材料調達のしやすい規格流通材による木造中空間創出構法「連続斜め梁構法」を確立しました。本構法は、一般社団法人日本木造住宅産業協会が公表している提案(木造軸組工法による大スパン架構の提案(2012年5月))を実証したものです。この成果により、中大規模木造建築領域において優れたコストパフォーマンスと材料調達納期短縮を実現することが可能となります。
(4)地震波加振実験による「高減衰制震構造システム」の性能実証
当社と東京都市大学は、油圧ダンパーと積層ゴム支承を組み合わせた「高減衰制震構造システム」について、2018年8月、実在建物の約4分の1スケールモデルを用いた振動台公開実験を行い、従来のパッシブ型制震構造を大きく上回る性能があることを実証しました。
本構造システムの基礎技術である東京都市大学西村教授の発明による「部分免震構造」は、これまで小型振動台実験によってその減衰性能が学術的に評価されていましたが、今回、当社技術研究所の大型振動台において、過去の代表的な被害地震3種類の地震波加振実験を行った結果、実在建物の合理的な構造システムとして、実用化できる性能が確認されました。
(5)「繊維植込みシートを用いたタイル張付けモルタルの剥落防止工法」の建築技術性能証明取得
当社、㈱淺沼組、㈱鴻池組、佐藤工業㈱、西武建設㈱、大末建設㈱、東亜建設工業㈱、東洋建設㈱、㈱松村組の建設9社は、タイル剥落防止工法「繊維植込みシートを用いたタイル張付けモルタルの剥落防止工法」の建築技術性能証明を2018年8月に共同で取得しました。
本工法は、コンクリート躯体表面に植え込まれた繊維が、タイル張付けモルタル層あるいは不陸調整材の層と絡み合った状態に形成されることで、境界面に剥離が生じてもタイルを含む張付け材料の自重に対して容易には剥落しない状態が構築できます。
(6)人通孔等の大開孔設置時でも梁の高さを抑える基礎梁補強工法「(仮称)RECT-HOLE」の構造性能
評価を取得
当社は、人通孔等の大開孔を有する鉄筋コンクリート造基礎梁の強度を保ちながら、梁せい(高さ)を抑える工法「(仮称)RECT-HOLE」を開発し、日本ERI㈱の構造性能評価を取得しました。これまで当社施工の6物件に本工法を適用しその成果を実証しました。
鉄筋コンクリート造の基礎梁に設備点検用の人通孔を設置する場合、構造規定で基礎梁のせいを開孔径の3倍以上とすることが求められていますが、本構法は、開孔周囲を補強し、構造上必要とされる所定の耐力、変形性能を確保しながら、基礎梁のせいを開孔径の2倍にまで低減可能な基礎梁補強工法で、これにより、基礎部の掘削土量だけでなくコンクリートや型枠等の数量が低減でき、コスト削減、工期短縮を実現しました。
(7)「地盤改良リアルタイム施工管理システム」の開発
当社と㈱テノックスは、深層混合処理工法による地盤改良工事を対象に施工位置と施工機械の攪拌混合回数や固化材添加量等の施工情報をリアルタイムに一元管理できるシステムを共同開発し、当社施工現場に導入しました。
この「地盤改良リアルタイム施工管理システム」は、施工の元請会社が主体的に管理する施工位置情報と地盤改良の専門工事会社が主体的に管理する施工情報をリアルタイムに連携することで、工事進捗や施工状況をどこでも複眼的に把握することが可能となり、早期の問題発見や迅速な対応を実現します。また、施工位置の誘導作業や帳票整理等の作業を大幅に削減できるため、施工現場の働き方改革にも貢献します。
(8)あらゆる方向に移動可能な「PC桁運搬台車」の開発
当社は、独自技術(特許「重負荷車輪の構造」)である硬質ゴムタイヤを装着した重量物運搬台車に、アウトリガーと横移動フレームを加え、直線だけでなくカーブや横方向等あらゆる方向に移動ができる「PC桁運搬台車」を開発しました。これにより、PC桁による高架化工事で、家屋が密集し借地可能な用地が限られている狭あいな敷地において、最大27tのPC桁セグメントを所定の位置に運搬することを可能としました。
なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。
[不動産事業等]
研究開発活動は、特段行われておりません。