第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、政府によるデフレ脱却、経済成長政策の着実な実行により企業収益や、雇用・所得環境が持ち直し、景気は総じて緩やかな回復基調で推移した。

 一方、新興国経済の減速基調が継続し、また個人消費や民間投資に慎重な動きも見られることから、国内景気を下押しする懸念があり、景気の先行きは不透明な状況となっている。

 当社グループの主たる事業である建設産業においては、復興関連事業や政府建設投資が堅調に推移し、民間設備投資等についても回復基調となったことから、建設需要は堅調に推移した。しかし、建設技能労働者・建設資材の需給動向には引き続き留意が必要であり、懸念要素の残る経営環境が続いている。

 こうした状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,792億円(前連結会計年度比2.6%増加)、営業利益254億円(前連結会計年度比37.5%増加)、経常利益233億円(前連結会計年度比28.6%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は149億円(前連結会計年度比106.9%増加)となった。

 

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載は、消費税等抜きの金額で表示している。

 

 セグメントの業績は、次のとおりである。

(土木事業)

 受注高は1,232億円(前連結会計年度比26.2%減少)、売上高は1,225億円(前連結会計年度比0.8%増加)、営業利益は150億円(前連結会計年度比57.7%増加)となった。

(建築事業)

 受注高は2,389億円(前連結会計年度比2.9%増加)、売上高は2,334億円(前連結会計年度比3.3%増加)、営業利益は126億円(前連結会計年度比21.7%増加)となった。

(グループ事業)

 売上高は187億円(前連結会計年度比1.6%増加)、営業利益は16億円(前連結会計年度比17.5%増加)となった。

(その他)

 売上高は45億円(前連結会計年度比22.5%増加)、営業利益は億円(前連結会計年度比59.5%減少)となった。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当社グループの資金状況は、現金及び現金同等物の当連結会計年度の期末残高が期首残高と比較して273億円増加し、1,069億円となった。各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりである。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益226億円の計上や売上債権の減少63億円などの資金増加要因が、法人税等の支払額60億円などの資金減少要因を上回ったことにより、347億円の資金増加(前連結会計年度は157億円の資金増加)となった。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出96億円などにより、120億円の資金減少(前連結会計年度は1億円の資金減少)となった。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入100億円などにより、59億円の資金増加(前連結会計年度は74億円の資金減少)となった。

 

2【生産、受注及び販売の状況】

 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建設事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐわない。

 よって、受注及び販売の状況については、可能な限り「1 業績等の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載している。

 

 なお、参考のため個別の事業の状況は次のとおりである。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の状況

(1)受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日

土木工事

(121,098)

121,135

167,059

288,195

121,572

166,623

建築工事

(177,793)

178,031

232,248

410,279

225,983

184,296

合計

(298,892)

299,167

399,307

698,474

347,555

350,919

当事業年度

自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日

土木工事

(166,623)

166,545

123,292

289,838

122,494

167,343

建築工事

(184,296)

184,321

238,921

423,243

233,462

189,780

合計

(350,919)

350,867

362,213

713,081

355,957

357,123

(注)1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものである。

2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。

3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。

 

(2)受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別される。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日

土木工事

15.8

84.2

100.0

建築工事

38.3

61.7

100.0

当事業年度

自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日

土木工事

15.3

84.7

100.0

建築工事

35.5

64.5

100.0

(注) 百分比は請負金額比である。

 

(3)完成工事高

期別

区分

国内

海外

(B)

(百万円)

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(A)

(百万円)

(A)/(B)

(%)

前事業年度

自 平成26年4月1日

至 平成27年3月31日

土木工事

77,094

36,756

7,720

6.4

121,572

建築工事

25,713

169,523

30,746

13.6

225,983

合計

102,807

206,280

38,466

11.1

347,555

当事業年度

自 平成27年4月1日

至 平成28年3月31日

土木工事

85,771

32,720

4,002

3.3

122,494

建築工事

29,404

171,296

32,762

14.0

233,462

合計

115,176

204,016

36,764

10.3

355,957

(注)1.海外工事の地域別割合は、次のとおりである。

地域

前事業年度(%)

当事業年度(%)

北米

52.3

46.9

東南アジア

34.9

40.8

中近東・アフリカ

3.2

7.0

中南米

2.6

5.3

その他

7.0

100.0

100.0

2.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

前事業年度の主なもの

首都高速道路株式会社

中央環状品川線大橋連結路工事

いわき市

久之浜・大久地区除染業務委託

三井不動産株式会社

(仮称)ららぽーと富士見新築工事

社会医療法人明和会

中通総合病院新築及び改修工事

Honda de Mexico, S.A. de C.V.

4EM-TM project(HDM新トランスミッション工場新築工事)

当事業年度の主なもの

中日本高速道路株式会社

第二東名高速道路 岡崎サービスエリア工事

 

環境省福島環境再生事務所

平成26年度東日本大震災により生じた対策地域内廃棄物の国直轄処理業務(双葉郡浪江町)における災害廃棄物収集・運搬・選別等業務

リゾートトラスト株式会社

(仮称)エクシブ鳥羽別邸新築工事

三菱商事都市開発株式会社

(仮称)本牧物流センター計画

有限会社新日邦

(仮称)藤枝駅南口開発B街区新築工事

3.前事業年度及び当事業年度ともに完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先はない。

 

(4)手持工事高(平成28年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

132,894

34,448

167,343

建築工事

44,384

145,395

189,780

合計

177,279

179,844

357,123

手持工事のうち主なもの

岩手県

二級河川大槌川筋大槌の1地区ほか河川災害復旧(23災617号及び622号)水門土木工事

独立行政法人 鉄道建設・運輸施設整備

支援機構

相鉄・東急直通線、新綱島駅他

中日本高速道路株式会社

東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)大泉南工事

須賀川市

須賀川市新庁舎建設本体工事

仙北市

市立角館総合病院建設事業 新病院建築工事

 

3【対処すべき課題】

 今後については、国内景気は緩やかに回復することが見込まれるが、新興国の景気低迷等の影響により、景気の先行きに不透明感が残る状況が続くと考えられる。

 また、オリンピック・パラリンピック関連施設をはじめとした大型プロジェクトが本格的に工事着手される見込みで、建設技能労働者や建設資材の需給動向には引き続き留意が必要であり、緩やかな回復傾向にある民間設備投資についても、景況感次第では先送りされることが懸念される。

 このような状況のもと、当社グループは、平成27年5月に策定した「中期経営計画(2016.3期~2018.3期)」を着実に推進することで、事業環境の変化に対応しながら、持続的な成長を遂げていく。

 なお、中期経営計画の概要は以下のとおりである。

 

 中期経営計画(2016.3期~2018.3期)

(1) 重点施策

1.持続的な成長に向けた取り組み

 ①施工能力の向上

 ②事業領域の拡大

 ③調達施策

 ④経営資源の確保

2.「やりがい」と「ゆとり」の実現に向けた取り組み

 ①労働環境の改善

 ②「やりがい」の伴うキャリア形成の促進

3.社会との共存に向けた取り組み

 ①安全・品質への取り組み

 ②建設産業の抱える課題への取り組み

 ③社会環境の変化に対する取り組み

4.経営・財務基盤の安定・強化に向けた取り組み

 ①経営・財務基盤の安定・強化

 ②株主への利益還元

(2) 目標数値 ※2018年(平成30年)3月期の計画最終期末の数値

目標数値

個別

連結

建設受注高

4,000億円程度

売上高

3,800億円程度

4,000億円程度

営業利益

190億円程度

200億円程度

営業利益率

安定的に5%以上

ROE

(自己資本当期純利益率)

10%以上

配当性向

20%程度

 

 

 計画の初年度(2016.3期)は、建設産業全体の喫緊の課題である担い手の確保、育成に関する施策に力を注ぎ、採用体制の強化、宿泊施設の新設を含む研修施設の整備、また、女性活躍に向けた制度充実と職場環境の整備等に取り組んだ。

 また、2019年満期円貨建取得条項付転換社債型新株予約権付社債の発行により、施工能力向上に資する機械調達や技術開発に必要な資金調達を実施した。今後は生産性向上や調達施策等の重点施策と併せ、実施段階への移行を進めていく。

 当社は、「安心、安全、高品質な良いものづくり」をするという事業活動の基本方針を徹底しつつ、中期経営計画の達成を通じて、社会・お客様・株主・取引先・従業員等のすべてのステークホルダーと「共に成長できる」関係の構築を目指している。

 

 

4【事業等のリスク】

 当社グループの事業に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生の対応により業績等に及ぼす影響の軽減を図っている。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)事業環境の変化

 想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(2)諸外国における事業環境の変化

 諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(3)訴訟

 全国トンネルじん肺訴訟が継続しているが、審理の結果によっては業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 国立大学法人新潟大学に対し、同法人が計画した陽子線がん治療機器導入に関し立替えた約18億円の支払い請求訴訟を提起していたが、当社の請求を退ける旨の判決が、平成28年3月10日に東京高等裁判所よりなされ、判決確定している。当社は今後、陽子線がん治療機器製造会社との交渉を行うことになるが、その結果によっては、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(4)労務費・資材価格の高騰

 労務費・資材価格の急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(5)資金調達金利水準の上昇

 資金調達金利水準が急激に上昇した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(6)退職給付債務等の変動

 年金資産の運用成績や将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に変更があるなどして退職給付債務等に変動があった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(7)保有資産の時価下落

 事業用不動産や有価証券等の保有資産の時価が下落した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(8)繰延税金資産

 繰延税金資産については、今後の利益(課税所得)を合理的に見積もった上で計上しているが、制度面の変更等によっては一部取崩しを求められる可能性がある。

(9)取引先等の信用リスク

 発注者や協力会社、共同企業体の構成員会社の信用不安などが顕在化した場合には、資金の回収不能や施工の遅れ等による追加費用が発生して、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(10)法令諸規制

 当社グループは会社法、金融商品取引法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けている。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っているが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(11)業務リスクの顕在化

 業務の正確性及び効率性の確保には力を入れているが、不正確あるいは不適切な業務が行われて重大な業務リスクが発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(12)情報管理

 顧客の情報管理には細心の注意を払っているが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(13)工事目的物の欠陥

 工事目的物の品質管理には万全を期しているが、重大な欠陥が発生した場合には顧客からの信頼喪失、瑕疵担保責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

(14)災害等

 労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っているが、労働災害等が発生した場合、あるいは自然災害等による被害が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項なし。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいる。

 当連結会計年度における研究開発への投資総額は約21億円(消費税等抜き)である。

 セグメントごとの内訳は、土木事業約6億円、建築事業約8億円及びその他社外からの受託研究約6億円であり、主な研究成果等は次のとおりである。

(土木事業)

「地質情報CIM管理システム」を開発し、運用を開始

-地質情報・計測データを3次元モデル上で一元管理-

 山岳トンネルやダムなど、山岳土木の施工に際しては、地質に関する様々な検討を調査・設計段階で実施するとともに、施工時には実際の地質状況を詳細に確認・評価し、所要の施工品質を確保する。これらの業務を高度化・自動化・省力化するために開発したのが、「地質情報CIM管理システム」である。本システムについては、実際の現場(トンネル13現場、ダム1現場、造成3現場)に適用し、運用時に現場のニーズに基づく改良を加えた上で、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)への登録を完了した(登録番号:KK-110010-A)。

 具体的な開発内容は、次のとおりである。

〔山岳トンネルの場合〕

 ・切羽写真の3次元配置や覆工コンクリート打設記録など、施工情報の一元管理を可能とした。

 ・地表面変位や地下水位などの計測データの3次元表示を実現した。

〔ダムの場合〕

 ・堤体基礎掘削のり面を対象にしてCIMを適用し、地質ごとの掘削数量などの自動算定を可能とした。

 ・地表面変位や地下水位などの計測データの3次元表示を実現した。

 今後は、施工現場と遠隔に離れた本社・支店技術部門との連携強化をICTの活用により本格化する。CIMを用いてリアルタイムに多様な施工状況の情報を共有し、現場の課題に即時に対応できる仕組みの構築を進める。

(建築事業)

APRSS(エープラス)構法の適用範囲を拡大し、コストダウンを実現

-建築技術性能証明を再取得-

 混合柱梁接合構法「APRSS(エープラス)構法」は、柱部材を鉄筋コンクリート(RC)造としながら、鉄骨(S)造または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造の梁を組み合わせるハイブリッド構法である。本構法のいっそうの合理化のために適用範囲拡大の改定を行い、一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(GBRC 性能証明 第07-04号 改定2)を再取得した。

 従来の鉄筋コンクリート造は、圧縮耐力や剛性が高いという特徴があるが、部材重量が重くなるため適用建物は比較的スパンの短い建物に制限される。一方、鉄骨造は軽量で耐力が高いことから大スパンの建物に適しているが、鋼材はRCに比べると高価であり、また柱鉄骨の納期に時間が掛かるという課題がある。APRSS構法は、物流倉庫や生産・商業・病院施設など広い空間を必要とする建築物を対象とした構法であり、S造よりも経済的で構造性能の優れる構造形式を実現できる。

 今回の開発では鉄骨ブレースの併用を可能とした。建築物のスパンや積載荷重などに応じて鉄骨ブレースを適所に配置することで、柱・梁の断面寸法や鉄筋の使用量を適切に抑え、コスト削減を図ることができる。また、軽量な屋根を支持する最上階などでは、RC造と比べて経済性に優れる小断面のS造柱が採用できるようになった。さらに、梁を柱幅方向に偏芯させて接合することを可能とし、外壁を取り付けるための金物や外周に跳ね出したスラブを受けるための補強材の大幅な削減を図れる。

 当社はAPRSS構法をはじめとするハイブリッド構法について、1997年以来、12件の適用実績がある。今後、さまざまな大スパン建築物の建設において、ハイブリッド構法を積極的に提案してさらなる普及展開を図るとともに、いっそうの技術改良を目指す。

(グループ事業)

 当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていない。

(その他)

 当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っている。

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われている。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合がある。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は完成工事高が対前連結会計年度比1.6%の増加となったこと等により、前連結会計年度比2.6%増加の3,792億円となり、売上総利益は前連結会計年度比24.2%増加し、447億円となった。

 営業利益は、完成工事総利益が増加したことを主因とし、前連結会計年度比37.5%増加の254億円となった。

 営業外収支は前連結会計年度に比べ為替差損の増加等により17億円悪化したものの、経常利益は233億円と前連結会計年度比28.6%の増加となった。

 特別損益は固定資産売却益及び投資有価証券売却益の計上や前連結会計年度において計上した貸倒引当金繰入額の影響等により、前連結会計年度に比べ19億円増加した。

 以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は149億円(前連結会計年度比106.9%の増加)となり、前連結会計年度に比べ77億円の増益という結果となった。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を比較的受けやすい傾向にある。

 国内景気は各種施策の効果により緩やかな回復が続くものと見込まれるが、国内建設市場については景気回復に伴う民間建設投資が期待される一方で、公共投資が減少の動きに転じている。

 また、海外景気の下振れ等による国内景気の失速リスクに加え、建設技能労働者・建設資材等の需給動向への留意はなお必要な状況にあり、懸念要素の残る経営環境となっている。

 

(4)戦略的現状と見通し

 建設市場は、堅調に推移する政府建設投資に加え、民間建設投資の回復が期待される一方で、発注者ニーズの多様化や労務・資機材の需給動向など、大きく変化している。

 当社は、このような事業環境のもと、平成27年5月に策定した「中期経営計画(2016.3期~2018.3期)」に基づき、「魅力ある企業グループへの変革」を戦略テーマに、

〇持続的成長に向けた取り組み

〇「やりがい」と「ゆとり」の実現に向けた取り組み

〇社会との共存に向けた取り組み

〇経営・財務基盤の安定・強化に向けた取り組み

を重点施策に据えて展開しており、計画最終期末(2018.3期)に、連結売上高4,000億円程度、営業利益200億円程度、ROE10%以上の達成を目指している。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況は、現金及び現金同等物の当連結会計年度の期末残高が期首残高と比較して273億円増加し、1,069億円となった。各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりである。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、347億円の資金増加となった。主な内訳は、税金等調整前当期純利益226億円、売上債権の減少63億円、法人税等の支払額60億円などである。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、120億円の資金減少となった。主な内訳は、定期預金の預入による支出96億円などである。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、59億円の資金増加となった。主な内訳は、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入100億円などである。

 

(6)経営者の問題認識と今後の方針について

 国内景気は緩やかな回復基調が続くものと見込まれる中、建設産業においても、底堅く推移する政府建設投資に加え、民間建設投資の回復が期待される一方で、発注者ニーズの多様化や労務・資機材の需給動向には引き続き注視が必要である。

 また、少子高齢化社会における担い手の確保や、抜本的な生産性向上に向けた取組み等、中長期的な課題への対応も不可欠である。

 このような経営環境に対処すべく、平成27年5月に策定した「中期経営計画(2016.3期~2018.3期)」の重点施策を展開し、市場の変化に対応するとともに、持続的な成長に向けた基盤整備を進めることで、企業価値の更なる向上を目指していく。

 また、「魅力ある企業グループへの変革」を図り、すべてのステークホルダーと「共に成長できる」関係を構築する方針である。