当社グループは、「安心、安全、高品質な良いものづくり」という事業活動の基本方針を徹底しつつ、中期経営計画の達成に総力をあげて取組むことで、社会・顧客・株主・取引先・従業員等のすべてのステークホルダーの期待に応え、共に着実に成長し続ける会社を目指していく。
今後の事業環境については、企業収益や雇用・所得環境の改善が進み、更なる景気の回復が見込まれる一方で、海外の政治動向などによる世界経済の不透明性が、国内産業に影響を及ぼす可能性がある。
建設産業においては、政府建設投資、民間建設投資ともに、当面は堅調に推移するものと見込まれているが、長期的には新設の建設投資は縮小すること、また、建設技能労働者の減少の継続により、働き方改革、生産性向上、人材育成等が建設産業全体の課題である。
さらには、情報テクノロジーの進歩等を背景に外部環境の変化はこれまで以上に早く、社会からのニーズは多様化・高度化している。
当社グループにおいては、平成30年3月期を最終年度とする「中期経営計画(2016.3期~2018.3期)」を進めてきた。好調な国内建設市場を背景に生産性向上等の各種施策の成果が現れ、採算の大幅な改善を実現するとともに、自己資本の厚みを増して経営・財務基盤の安定・強化を図ることができたが、中期的には生産性の一層の向上、働き方改革を通じた4週8閉所の実現、環境活動への取組の強化は継続課題である。
このような状況のもと、当社グループは「イノベーションによる成長の実現」を基本方針とする「中期経営計画(2019.3期~2021.3期)」を策定した。外部環境や社会ニーズの変化にイノベーション(変革)で応え、建設事業を充実・強化し、収益基盤の多様化、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取組みを強化することによって、未来に続く確かな成長の実現を図っていく。
なお、中期経営計画の概要は以下のとおりである。
中期経営計画(2019.3期~2021.3期)
重点施策
1.建設事業の充実・強化
新築から維持更新まで、社会インフラを広く支えるための基盤創り
①技術開発
・施工生産性の向上に資する技術開発の加速と情報テクノロジーの活用拡大
・異業種、産学官、協力会社との連携の促進
・環境技術の適用と開発の推進
②人財育成・協力会社支援
・若手の早期育成とシニア社員の支援による技術伝承
・協力会社の採用・人財育成、経営強化を支援
③システム・業務の変革
・建設生産システムの改善・変革
・土木営業は強化セグメントの拡大(エネルギー分野、高速道路リニューアル分野等)
・建築営業は付加価値提案営業への転換(ライフサイクルコスト、ファシリティマネジメント等)
・BIM・CIMの活用拡大等による効率化等
・購買機能の強化と調達方法の多様化
・ICT・AI技術を活用した間接業務の効率化等
④海外事業
・ナショナルスタッフ育成等のグローバル化推進による生産性、収益性の改善等
・M&Aを含む事業の長期成長モデルの構築
2.収益基盤の多様化
・次世代社会インフラ整備への取組強化
・次世代エネルギー利用も視野に入れたエネルギーマネジメントへの取組
・エネルギーマネジメントのノウハウ活用
3.グループ総合力の発揮
・グループ各社の担当機能の高度化
・建築事業の拡大に向けた横断的取組の強化
4.ESGへの取組強化
・環境活動の取組強化から事業化を推進
・社会の信頼に応える事業活動の展開(コンプライアンス、ダイバーシティの推進、働き方改革)
・社会貢献の充実
5.その他
・成長投資への積極的な資金投入
数値目標 ※2021年3月期(計画最終期)
|
|
個 別 |
連 結 |
|
売上高 |
4,400億円程度 |
4,800億円程度 |
|
営業利益 |
330億円程度 |
360億円程度 |
|
営業利益率 |
7.5%以上 |
|
|
ROE |
15% |
|
|
総還元性向 |
― |
30%以上 |
当社グループの事業に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生の対応により業績等に及ぼす影響の軽減を図っている。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において当社グループが判断したものである。
(1)事業環境の変化
想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(2)諸外国における事業環境の変化
諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(3)訴訟
全国トンネルじん肺訴訟が継続しているが、審理の結果によっては業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(4)労務費・資材価格の高騰
労務費・資材価格の急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(5)資金調達金利水準の上昇
資金調達金利水準が急激に上昇した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(6)退職給付債務等の変動
年金資産の運用成績や将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に変更があるなどして退職給付債務等に変動があった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(7)保有資産の時価下落
事業用不動産や有価証券等の保有資産の時価が下落した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(8)繰延税金資産
繰延税金資産については、今後の利益(課税所得)を合理的に見積もった上で計上しているが、制度面の変更等によっては一部取崩しを求められる可能性がある。
(9)取引先等の信用リスク
発注者や協力会社、共同企業体の構成員会社の信用不安などが顕在化した場合には、資金の回収不能や施工の遅れ等による追加費用が発生して、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(10)法令諸規制
当社グループは会社法、金融商品取引法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けている。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っているが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(11)業務リスクの顕在化
業務の正確性及び効率性の確保には力を入れているが、不正確あるいは不適切な業務が行われて重大な業務リスクが発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(12)情報管理
顧客の情報管理には細心の注意を払っているが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(13)工事目的物の欠陥
工事目的物の品質管理には万全を期しているが、重大な欠陥が発生した場合には顧客からの信頼喪失、瑕疵担保責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(14)災害等
労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っているが、労働災害等が発生した場合、あるいは自然災害等による被害が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性がある。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、企業収益が改善し、個人消費が持ち直し、民間設備投資も増加してきているなか、緩やかに回復してきた。
今後についても、引き続き、海外経済の不透明性には留意が必要であるものの、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあり、更なる景気の回復が期待される。
当社グループの主たる事業である建設産業においては、政府建設投資や民間建設投資が堅調に推移し、安定した事業環境が継続した。
なお、当社においては、平成25年8月に福島県田村市から受託した除染事業に関して、平成29年9月に当社の従業員2名が詐欺罪の容疑で東京地方検察庁より起訴され、平成30年3月に刑事処分を受ける結果となった。会社としての関与は認められなかったものの、当社は本件を厳粛に受け止め、当社グループの全役職員等を対象とした説明会の開催や業務執行の仕組みの見直し等を実施するなど、再発防止に当社グループ一丸となって取り組んでいる。今後もコンプライアンス活動の継続改善を行い、早期の信頼回復に努めていく。
こうした状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,770億円(前連結会計年度比7.6%減少)、営業利益357億円(前連結会計年度比3.5%減少)、経常利益347億円(前連結会計年度比4.1%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は238億円(前連結会計年度比9.2%減少)となった。
(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載は、消費税等抜きの金額で表示している。
セグメントの業績は、次のとおりである。
(土木事業)
受注高は1,234億円(前連結会計年度比36.0%減少)、売上高は1,275億円(前連結会計年度比4.8%減少)、営業利益は223億円(前連結会計年度比17.1%減少)となった。
(建築事業)
受注高は2,257億円(前連結会計年度比4.5%減少)、売上高は2,159億円(前連結会計年度比9.6%減少)、営業利益は165億円(前連結会計年度比26.6%増加)となった。
(グループ事業)
売上高は270億円(前連結会計年度比5.6%増加)、営業利益は14億円(前連結会計年度比11.9%減少)となった。
(その他)
売上高は64億円(前連結会計年度比31.6%減少)、営業利益は6億円(前連結会計年度比9.7%減少)となった。
当連結会計年度末における財政状態は次のとおりである。
資産については、前連結会計年度末に比べ113億円増加し、3,297億円となった。これは、現金預金220億円の増加及び有価証券99億円の増加が、受取手形・完成工事未収入金等174億円の減少を上回ったことによる。
負債については、前連結会計年度末に比べ102億円減少し、2,073億円となった。これは支払手形・工事未払金等140億円の減少及び未払法人税等27億円の減少が、未成工事受入金14億円の増加を上回ったことによる。
②キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して315億円増加し、1,391億円となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益341億円の計上、売上債権の減少174億円などの資金増加要因が、仕入債務の減少140億円、法人税等の支払額122億円などの資金減少要因を上回ったことにより、381億円の資金増加(前連結会計年度は18億円の資金減少)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出21億円などにより、22億円の資金減少(前連結会計年度は63億円の資金増加)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出56億円、配当金の支払額38億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入55億円などの資金増加要因を上回ったことにより、39億円の資金減少(前連結会計年度は33億円の資金減少)となった。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐわない。
よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載している。
なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりである。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
|
期別 |
区分 |
前期繰越 工事高 (百万円) |
当期受注 工事高 (百万円) |
計 (百万円) |
当期完成 工事高 (百万円) |
次期繰越 工事高 (百万円) |
|
前事業年度 自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
土木工事 |
(167,343) 167,287 |
193,008 |
360,295 |
134,174 |
226,120 |
|
建築工事 |
(189,780) 189,392 |
236,278 |
425,671 |
238,923 |
186,747 |
|
|
合計 |
(357,123) 356,680 |
429,286 |
785,966 |
373,098 |
412,868 |
|
|
当事業年度 自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日 |
土木工事 |
(226,120) 225,682 |
123,469 |
349,151 |
127,473 |
221,678 |
|
建築工事 |
(186,747) 186,572 |
225,722 |
412,295 |
215,994 |
196,300 |
|
|
合計 |
(412,868) 412,254 |
349,192 |
761,446 |
343,468 |
417,978 |
(注)1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものである。
2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
b.受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別される。
|
期別 |
区分 |
特命(%) |
競争(%) |
計(%) |
|
前事業年度 自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
土木工事 |
15.8 |
84.2 |
100.0 |
|
建築工事 |
40.0 |
60.0 |
100.0 |
|
|
当事業年度 自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日 |
土木工事 |
18.0 |
82.0 |
100.0 |
|
建築工事 |
44.0 |
56.0 |
100.0 |
(注) 百分比は請負金額比である。
c.完成工事高
|
期別 |
区分 |
国内 |
海外 |
計 (B) (百万円) |
||
|
官公庁 (百万円) |
民間 (百万円) |
(A) (百万円) |
(A)/(B) (%) |
|||
|
前事業年度 自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日 |
土木工事 |
99,197 |
31,434 |
3,542 |
2.6 |
134,174 |
|
建築工事 |
45,291 |
169,470 |
24,161 |
10.1 |
238,923 |
|
|
合計 |
144,489 |
200,904 |
27,704 |
7.4 |
373,098 |
|
|
当事業年度 自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日 |
土木工事 |
88,069 |
34,071 |
5,331 |
4.2 |
127,473 |
|
建築工事 |
27,716 |
168,806 |
19,472 |
9.0 |
215,994 |
|
|
合計 |
115,785 |
202,878 |
24,804 |
7.2 |
343,468 |
|
(注)1.海外工事の地域別割合は、次のとおりである。
|
地域 |
前事業年度(%) |
当事業年度(%) |
|
北米 |
56.8 |
38.1 |
|
東南アジア |
35.7 |
44.0 |
|
中近東・アフリカ |
1.6 |
0.4 |
|
中南米 |
3.9 |
3.4 |
|
南アジア |
2.0 |
14.1 |
|
計 |
100.0 |
100.0 |
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度の主なもの
|
国土交通省東北地方整備局 中部電力株式会社 須賀川市 株式会社リコー 一般財団法人 電力中央研究所 |
津軽ダム本体建設工事 浜岡原子力発電所 防波壁設置工事の内上部工工事(東工区) 須賀川市新庁舎建設本体工事 (仮称)研究開発棟建設工事 横須賀地区 新研究棟(仮称)新築工事 |
当事業年度の主なもの
|
岩手県 |
越喜来地区海岸災害復旧(23災519号及び606号)工事 |
|
国土交通省中部地方整備局 |
平成25年度 佐久間道路佐久間第2トンネル工事 |
|
一般財団法人日本青年館 独立行政法人日本スポーツ振興センター |
日本青年館・日本スポーツ振興センター本部棟新営工事 |
|
箱根芦ノ湖ホテル株式会社 |
(仮称)箱根芦ノ湖計画 |
|
名古屋市 |
名古屋城本丸御殿復元工事 |
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
前事業年度
|
環境省 |
47,897百万円 |
12.8% |
当事業年度
|
該当する相手先はない。 |
|
|
d.手持工事高(平成30年3月31日現在)
|
区分 |
官公庁(百万円) |
民間(百万円) |
計(百万円) |
|
土木工事 |
163,293 |
58,385 |
221,678 |
|
建築工事 |
32,997 |
163,303 |
196,300 |
|
合計 |
196,290 |
221,688 |
417,978 |
(注) 手持工事のうち主なもの
|
中日本高速道路株式会社 |
東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)大泉南工事 |
|
横浜市 |
高速横浜環状北西線シールドトンネル建設工事 |
|
南多摩特定目的会社 |
(仮称)多摩テクノロジービルディング新築工事 |
|
国土交通省九州地方整備局 |
福岡第2法務総合庁舎(28)建築工事 |
|
ラオス人民民主共和国 公共事業運輸省民間航空局 |
ヴィエンチャン国際空港ターミナル拡張事業 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成30年3月31日)現在において判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。
この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われている。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っているが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合がある。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
(ⅰ) 財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ113億円増加し、3,297億円となった。これは、現金預金220億円の増加及び有価証券99億円の増加が、受取手形・完成工事未収入金等174億円の減少を上回ったことによる。
負債については、前連結会計年度末に比べ102億円減少し、2,073億円となった。これは支払手形・工事未払金等140億円の減少及び未払法人税等27億円の減少が、未成工事受入金14億円の増加を上回ったことによる。
純資産については、前連結会計年度末に比べ216億円増加し、1,224億円となった。これは利益剰余金199億円の増加などによる。
(ⅱ) 経営成績
売上高は、完成工事高が前連結会計年度比7.9%減少となったこと等により、前連結会計年度比7.6%減少の3,770億円となり、売上総利益は前連結会計年度比3.0%減少し573億円となった。
営業利益は完成工事総利益が減少したことを主因とし、前連結会計年度比3.5%減少の357億円となった。 営業外収支は、前連結会計年度に比べ為替差損が減少したものの、支払利息の増加、前連結会計年度に計上した貸倒引当金戻入額が当連結会計年度は計上がなかったこと等により1億円悪化し、経常利益は347億円と前連結会計年度比4.1%の減少となった。
特別損益は、前連結会計年度に比べ減損損失の減少等により3億円改善した。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は238億円(前連結会計年度比9.2%の減少)となり、前連結会計年度に比べ24億円の減益という結果となった。
(ⅲ) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比べ315億円増加し、1,391億円となった。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益341億円の計上、売上債権の減少174億円などの資金増加要因が、仕入債務の減少140億円、法人税等の支払額122億円などの資金減少要因を上回ったことにより、381億円の資金増加(前連結会計年度は18億円の資金減少)となった。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出21億円などにより、22億円の資金減少(前連結会計年度は63億円の資金増加)となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出56億円、配当金の支払額38億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入55億円などの資金増加要因を上回ったことにより、39億円の資金減少(前連結会計年度は33億円の資金減少)となった。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にある。
今後の事業環境については、企業収益や雇用・所得環境の改善が進み、さらなる景気の回復が見込まれる一方で、海外の政治動向などによる世界経済の不透明性が、国内産業に影響を及ぼす可能性がある。
建設産業においては、政府建設投資、民間建設投資ともに、当面は堅調に推移するものと見込まれているが、長期的には新設の建設投資は縮小すること、また、建設技能労働者の減少の継続により、働き方改革、生産性向上、人材育成等が建設産業全体の課題である。
さらには、情報テクノロジーの進歩等を背景に外部環境の変化はこれまで以上に早く、社会からのニーズは多様化・高度化している。
c.資本の財源及び資金の流動性
(ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費および一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等である。
(ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っている。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施している。当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(100億円)を締結している。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はない。
また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用している。
当社は、持続的な企業価値の向上を図る上で必要不可欠な、施工能力(質・量)の向上に向けた合理化・省力化・機械化のための投資及び研究開発投資、経営資源の確保に向けた人材育成投資資金並びにポストオリンピック・パラリンピックを見据えた事業領域拡大に向けた財務柔軟性の確保を目的として、2016年3月に2019年満期円貨建取得条項付転換社債型新株予約権付社債(総額100億円)を発行している。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
前・中期経営計画(2016.3期-2018.3期)目標数値と計画期間中の実績
|
|
2018年3月期 計画数値 |
2016年3月期 実績 |
2017年3月期 実績 |
2018年3月期 実績 |
|
(連結) |
|
|
|
|
|
売上高 |
4,000億円程度 |
3,792億円 |
4,079億円 |
3,770億円 |
|
営業利益 |
200億円程度 |
254億円 |
370億円 |
357億円 |
|
営業利益率 |
安定的に5%以上 |
6.7% |
9.1% |
9.5% |
|
ROE |
10%以上 |
21.4% |
29.9% |
21.5% |
|
配当性向 |
20%程度 |
14.8% |
14.1% |
19.4% |
|
(個別) |
|
|
|
|
|
建設受注高 |
4,000億円程度 |
3,622億円 |
4,292億円 |
3,491億円 |
|
1株当たり配当額 |
- |
12円 |
20円 |
25円 |
前・中期経営計画では、採算性重視の取り組みなど各種施策が奏功したことに加え、外部環境の下支えもあり、営業利益は額、率ともに3期連続で計画を大きく上回り、ROEも大幅に上昇し、財務基盤の安定・強化が図られた。
売上高、受注高(個別)についても、計画最終年度である当期は未達となったが、2017年3月期は、前・中期経営計画最終年度の目標数値を超えることができた。
また、3期連続の増配で、配当性向は計画最終年度である当期に計画水準に概ね到達した。
なお、2019年3月期を初年度とする「中期経営計画(2019.3期~2021.3期)」の数値目標については、「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している。
e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(土木事業)
受注高は、前連結会計年度比36.0%減少の1,234億円となった。手持ち大型工事の進捗の遅れなどから、完成工事高は1,275億円(前連結会計年度比4.8%減少)となった。完成工事高が伸びなかったことにより、完成工事総利益が前期実績を下回り、営業利益は223億円(前連結会計年度比17.1%減少)となった。
一方で、当社単体の完成工事総利益率は、受注時採算の徹底に加え、設計変更・追加工事の受注等により、前期実績からは2.2ポイントの減少となったものの、22.2%と高水準を維持している。
(建築事業)
受注高は、前連結会計年度比4.5%減少の2,257億円となった。上半期を中心に受注が低調だったことなどから、完成工事高は2,159億円(前連結会計年度比9.6%減少)となった。完成工事高は伸び悩んだものの、受注時採算の徹底に加え、設計変更・追加工事の受注等により採算性が改善し、完成工事総利益が前期実績を上回ったことにより、営業利益は165億円(前連結会計年度比26.6%増加)となった。
当社単体の完成工事総利益率は、前期実績から2.3ポイント向上し、11.8%となった。
土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の減少などにより、前連結会計年度末から191億円減少の1,431億円となった。
(グループ事業)
売上高は270億円(前連結会計年度比5.6%増加)、営業利益は14億円(前連結会計年度比11.9%減少)となった。
セグメント資産は、前連結会計年度末から4億円減少の361億円となった。
(その他)
売上高は64億円(前連結会計年度比31.6%減少)、営業利益は6億円(前連結会計年度比9.7%減少)となった。
セグメント資産は、前連結会計年度末から16億円減少の85億円となった。
該当事項なし。
当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいる。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約36億円(消費税等抜き)である。
セグメントごとの内訳は、土木事業約10億円、建築事業約14億円及びその他社外からの受託研究約11億円であり、主な研究成果等は次のとおりである。
(土木事業)
スマートシールド® ~ICTの活用による洗練したシールド工法~
「スマートシールド®」は、シールドの掘進情報や機械設備の稼働状況とともに、シールド現在位置、地盤や近接構造物の情報をコンピュータに一元集約、可視化する。これにより、状況判断の迅速化、管理の省力化を実現した。さらに、大断面、長距離シールド工事で、半同時掘進組立、MSV(多目的運搬車両)などの新技術の導入とともに、シールド掘進・セグメント組立のサイクルタイムを最適化し、従来の2倍の速度でのシールド施工を実現、生産性向上を図っている。
急峻な地形に対応した高品質で大容量の堤体材料運搬設備の開発
ダム工事などで、急勾配地で製造設備から打設箇所まで材料を運搬する場合は、傾斜による材料の品質低下を生じさせないことが重要となる。さらに、台形CSGダム(注)の建設では、打設速度が速いため、それに対応できる高速かつ大容量の運搬設備が必要となる。急傾斜ベルトコンベヤ「ハコブノサウルス」は、運搬能力の増大、運搬材料の落下および品質低下の防止を目的として、ベルト上に横桟および波桟でバケット(箱状の運搬部)を設ける構造であり、箱詰めされた材料を、一定の速度で滑らかに運搬することで、材料分離を起こさずに流動性の高い材料を運搬することができる。また、動力が一方向だけであるため省エネルギーで大きな運搬能力を発揮する。
(注)台形CSGダム:砂礫などの原材料に水とセメントを混合したCSG(Cemented Sand and Gravel、セメントで固めた砂礫)を堤体材料として、表面に耐久性の確保を目的とした保護コンクリートを配置した台形状のダム
(建築事業)
先端医療施設における放射化対策材料の開発
先端医療施設の中でも中性子が発生する施設では、コンクリート等の放射化が問題となる。放射化とは、元々放射性のない物質が中性子を受けることで放射性となる物理現象である。コンクリートが放射化し、そこから発生するガンマ線により医療従事者や患者が無用な放射線を浴びる等の問題が生じる。当社では建物躯体の放射化量を下げる対策として中性子吸収機能を持つ放射化抑制樹脂板を開発し、これを内装材とする施工法の特許を取得している。
(グループ事業)
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていない。
(その他)
当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っている。