第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは、「安心、安全、高品質な良いものづくり」という事業活動の基本方針を徹底しつつ、中期経営計画の達成に総力をあげて取組むことで、社会・顧客・株主・取引先・従業員等のすべてのステークホルダーの期待に応え、共に着実に成長し続ける会社を目指していきます。

 

 後の事業環境については、雇用環境が着実に改善し、個人消費の持ち直しが続き、緩やかに景気回復が続くことが見込まれる一方で、国内外の政治・経済情勢の不透明性が及ぼす影響には留意が必要です。

 建設産業におきましては、国内経済の堅調さを反映し、当面は安定的な事業環境が継続するものと見込まれていますが、長期的には建設投資は縮小すること、また、建設技能労働者の減少の継続により、働き方改革、生産性向上、人材育成等が課題となっています。

 このような状況のもと、当社グループにおきましては、2018年3月に策定しました「イノベーションによる成長の実現」を基本方針とする「中期経営計画(2019.3期~2021.3期)」の諸施策を推進し、当該事業年度におきましては、次世代型エネルギーマネジメントシステムの構築・運用を目指す「安藤ハザマ 次世代エネルギープロジェクト」に着手しました。本プロジェクトは、2018年8月に国土交通省の「平成30年度第1回サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)」に採択されたもので、本プロジェクトを通じて、低炭素社会およびサステナブルな社会の実現に貢献していきます。

 また継続的に、生産性の一層の向上、働き方改革を通じた4週8閉所の実現、環境活動などの取組を実施してまいりました。

 なお、中期経営計画の概要は以下のとおりです。

 

 中期経営計画(2019.3期~2021.3期)

重点施策

1.建設事業の充実・強化

新築から維持更新まで、社会インフラを広く支えるための基盤創り

①技術開発

・施工生産性の向上に資する技術開発の加速と情報テクノロジーの活用拡大

・異業種、産学官、協力会社との連携の促進

・環境技術の適用と開発の推進

②人財育成・協力会社支援

・若手の早期育成とシニア社員の支援による技術伝承

・協力会社の採用・人財育成、経営強化を支援

③システム・業務の変革

・建設生産システムの改善・変革

・土木営業は強化セグメントの拡大(エネルギー分野、高速道路リニューアル分野等)

・建築営業は付加価値提案営業への転換(ライフサイクルコスト、ファシリティマネジメント等)

・BIM・CIMの活用拡大等による効率化等

・購買機能の強化と調達方法の多様化

・ICT・AI技術を活用した間接業務の効率化等

④海外事業

・ナショナルスタッフ育成等のグローバル化推進による生産性、収益性の改善等

・M&Aを含む事業の長期成長モデルの構築

2.収益基盤の多様化

・次世代社会インフラ整備への取組強化

・次世代エネルギー利用も視野に入れたエネルギーマネジメントへの取組

・エネルギーマネジメントのノウハウ活用

3.グループ総合力の発揮

・グループ各社の担当機能の高度化

・建築事業の拡大に向けた横断的取組の強化

 

4.ESGへの取組強化

・環境活動の取組強化から事業化を推進

・社会の信頼に応える事業活動の展開(コンプライアンス、ダイバーシティの推進、働き方改革)

・社会貢献の充実

5.その他

・成長投資への積極的な資金投入

 

数値目標 ※2021年3月期(計画最終期)

 

 

個 別

連 結

売上高

4,400億円程度

4,800億円程度

営業利益

330億円程度

360億円程度

営業利益率

7.5%以上

ROE

15%

総還元性向

30%以上

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業に関して、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスクが発生する可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生の対応により業績等に及ぼす影響の軽減を図っています。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)事業環境の変化

 想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2)諸外国における事業環境の変化

 諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3)訴訟

 全国トンネルじん肺訴訟が継続していますが、審理の結果によっては業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(4)労務費・資材価格の高騰

 労務費・資材価格の急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5)資金調達金利水準の上昇

 資金調達金利水準が急激に上昇した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(6)退職給付債務等の変動

 年金資産の運用成績や将来の退職給付債務算出に用いる年金数理上の前提条件に変更があるなどして退職給付債務等に変動があった場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7)保有資産の時価下落

 事業用不動産や有価証券等の保有資産の時価が下落した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(8)繰延税金資産

 繰延税金資産については、今後の利益(課税所得)を合理的に見積もった上で計上していますが、制度面の変更等によっては一部取崩しを求められる可能性があります。

(9)取引先等の信用リスク

 発注者や協力会社、共同企業体の構成員会社の信用不安などが顕在化した場合には、資金の回収不能や施工の遅れ等による追加費用が発生して、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(10)法令諸規制

 当社グループは会社法、金融商品取引法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けています。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っていますが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(11)業務リスクの顕在化

 業務の正確性及び効率性の確保には力を入れていますが、不正確あるいは不適切な業務が行われて重大な業務リスクが発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(12)情報管理

 顧客の情報管理には細心の注意を払っていますが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(13)工事目的物の欠陥

 工事目的物の品質管理には万全を期していますが、重大な欠陥が発生した場合には顧客からの信頼喪失、瑕疵担保責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

(14)災害等

 労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っていますが、労働災害等が発生した場合、あるいは自然災害等による被害が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態の状況については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、雇用環境が着実に改善し、個人消費の持ち直しが続き、民間設備投資も増加しているなか、引き続き緩やかに回復してきました。

 今後についても、国内外の政治・経済情勢の不透明性には留意が必要ではあるものの、雇用・所得環境が改善するなかで、各種政策の効果もあり、緩やかな景気回復が続くことが期待されます。

 当社グループの主たる事業が属する建設産業におきましては、政府建設投資は底堅く、設備投資も増加していることから、堅調に推移しました。

 2018年7月に東京都多摩市の施工中の建築物件において発生させました火災におきましては、お亡くなりになられた方々のご冥福を改めてお祈りするとともに、関係者の皆様に多大なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。策定しました再発防止策を確実に実行し、役職員一丸となり、早期の信頼回復に向けて、より一層尽力を重ねてまいります。

 このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,599億円(前連結会計年度比4.5%減少)、営業利益236億円(前連結会計年度比33.7%減少)、経常利益224億円(前連結会計年度比35.3%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は88億円(前連結会計年度比62.9%減少)となりました。

 

(注) 「第2 事業の状況」における各事項の記載は、消費税等抜きの金額で表示しています。

 

 セグメントの業績は、次のとおりです。

(土木事業)

 受注高は1,921億円(前連結会計年度比55.6%増加)、売上高は1,187億円(前連結会計年度比6.9%減少)、営業利益は180億円(前連結会計年度比19.2%減少)となりました。

(建築事業)

 受注高は2,354億円(前連結会計年度比4.3%増加)、売上高は2,088億円(前連結会計年度比3.3%減少)、営業利益は91億円(前連結会計年度比44.8%減少)となりました。

(グループ事業)

 売上高は273億円(前連結会計年度比1.1%増加)、営業利益は11億円(前連結会計年度比20.1%減少)となりました。

(その他)

 売上高は50億円(前連結会計年度比22.1%減少)、営業利益は7億円(前連結会計年度比6.7%増加)となりました。

 当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。

 資産につきましては、前連結会計年度末より198億円増加し、3,496億円となりました。これは現金預金95億円の増加及び受取手形・完成工事未収入金等133億円の増加が、有価証券140億円の減少を上回ったことによります。

 負債につきましては、前連結会計年度末より85億円増加し、2,159億円となりました。これは未成工事受入金206億円の増加及び火災損害等損失引当金77億円の増加が、支払手形・工事未払金等158億円の減少及び1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債87億円の減少を上回ったことによります。

 純資産につきましては、前連結会計年度末より112億円増加し、1,336億円となりました。これは資本金43億円の増加及び資本剰余金42億円の増加などによります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して40億円減少し、1,350億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益130億円の計上、未成工事受入金の増加206億円、預り金の増加138億円などの資金増加要因が、仕入債務の減少158億円、売上債権の増加133億円などの資金減少要因を上回ったことにより、59億円の資金増加(前連結会計年度は381億円の資金増加)となりました。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出111億円、有形固定資産の取得による支出17億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入114億円などの資金増加要因を上回ったことにより、23億円の資金減少(前連結会計年度は22億円の資金減少)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出62億円、配当金の支払額57億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入86億円などの資金増加要因を上回ったことにより、77億円の資金減少(前連結会計年度は39億円の資金減少)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。

 よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。

 

 なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

期別

区分

前期繰越

工事高

(百万円)

当期受注

工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成

工事高

(百万円)

次期繰越

工事高

(百万円)

前事業年度

自 2017年4月1日

至 2018年3月31日

土木工事

(226,120)

225,682

123,469

349,151

127,473

221,678

建築工事

(186,747)

186,572

225,722

412,295

215,994

196,300

合計

(412,868)

412,254

349,192

761,446

343,468

417,978

当事業年度

自 2018年4月1日

至 2019年3月31日

土木工事

(221,678)

221,526

192,178

413,704

118,790

294,914

建築工事

(196,300)

196,703

235,473

432,176

208,858

223,318

合計

(417,978)

418,229

427,651

845,881

327,649

518,232

(注)1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。

2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

 工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

自 2017年4月1日

至 2018年3月31日

土木工事

18.0

82.0

100.0

建築工事

44.0

56.0

100.0

当事業年度

自 2018年4月1日

至 2019年3月31日

土木工事

9.9

90.1

100.0

建築工事

46.4

53.6

100.0

(注) 百分比は請負金額比です。

 

c.完成工事高

期別

区分

国内

海外

(B)

(百万円)

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(A)

(百万円)

(A)/(B)

(%)

前事業年度

自 2017年4月1日

至 2018年3月31日

土木工事

88,069

34,071

5,331

4.2

127,473

建築工事

27,716

168,806

19,472

9.0

215,994

合計

115,785

202,878

24,804

7.2

343,468

当事業年度

自 2018年4月1日

至 2019年3月31日

土木工事

70,268

40,530

7,991

6.7

118,790

建築工事

26,931

161,429

20,497

9.8

208,858

合計

97,200

201,960

28,488

8.7

327,649

(注)1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。

地域

前事業年度(%)

当事業年度(%)

北米

38.1

32.8

東南アジア

44.0

37.3

中近東・アフリカ

0.4

5.9

中南米

3.4

8.7

南アジア

14.1

15.3

100.0

100.0

2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。

前事業年度の主なもの

岩手県

越喜来地区海岸災害復旧(23災519号及び606号)工事

国土交通省中部地方整備局

平成25年度 佐久間道路佐久間第2トンネル工事

一般財団法人日本青年館

独立行政法人日本スポーツ振興センター

日本青年館・日本スポーツ振興センター本部棟新営工事

箱根芦ノ湖ホテル株式会社

(仮称)箱根芦ノ湖計画

名古屋市

名古屋城本丸御殿復元工事

当事業年度の主なもの

独立行政法人都市再生機構

豊間・薄磯地区整備工事

北海道胆振総合復興局

厚幌ダム建設事業ダム本体工事

国立府中特定目的会社

DPL国立府中新築工事

守山乳業株式会社

(仮称)守山乳業株式会社神奈川工場新築工事

学校法人広島国際学院

広島国際学院高等学校校舎等改築工事

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。

前事業年度

該当する相手先はありません。

 

 

当事業年度

該当する相手先はありません。

 

 

 

d.手持工事高(2019年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

181,212

113,702

294,914

建築工事

42,333

180,984

223,318

合計

223,545

294,686

518,232

(注) 手持工事のうち主なもの

中日本高速道路株式会社

東京外かく環状道路 本線トンネル(北行)大泉南工事

横浜市

高速横浜環状北西線シールドトンネル建設工事

東京電力フュエル&パワー株式会社

横須賀火力発電所除却工事(エリアB・C)

公益社団法人京都保健会

京都民医連中央病院建設工事

西日本鉄道株式会社

(仮称)サンカルナ久留米建設工事

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2019年3月31日)現在において判断したものです。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

 この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(ⅰ) 財政状態

 当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より198億円増加し、3,496億円となりました。これは現金預金95億円の増加及び受取手形・完成工事未収入金等133億円の増加が、有価証券140億円の減少を上回ったことによります。

 負債につきましては、前連結会計年度末より85億円増加し、2,159億円となりました。これは未成工事受入金206億円の増加及び火災損害等損失引当金77億円の増加が、支払手形・工事未払金等158億円の減少及び1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債87億円の減少を上回ったことによります。

 純資産につきましては、前連結会計年度末より112億円増加し、1,336億円となりました。これは資本金43億円の増加及び資本剰余金42億円の増加などによります。

(ⅱ) 経営成績

 売上高は、完成工事高が前連結会計年度比4.2%減少となったこと等により、前連結会計年度比4.5%減少の3,599億円となり、売上総利益は前連結会計年度比20.2%減少し457億円となりました。

 営業利益は完成工事総利益が減少したことを主因とし、前連結会計年度比33.7%減少の236億円となりました。

 営業外収支は、前連結会計年度に比べ受取配当金が増加したものの、為替差損及び損害賠償金の増加等により2億円悪化し、経常利益は224億円と前連結会計年度比35.3%の減少となりました。

 特別損益は、前連結会計年度に比べ火災損害等損失の計上等により88億円悪化しました。

 以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は88億円(前連結会計年度比62.9%の減少)となり、前連結会計年度に比べ149億円の減益という結果となりました。

(ⅲ) キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して40億円減少し、1,350億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益130億円の計上、未成工事受入金の増加206億円、預り金の増加138億円などの資金増加要因が、仕入債務の減少158億円、売上債権の増加133億円などの資金減少要因を上回ったことにより、59億円の資金増加(前連結会計年度は381億円の資金増加)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出111億円、有形固定資産の取得による支出17億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入114億円などの資金増加要因を上回ったことにより、23億円の資金減少(前連結会計年度は22億円の資金減少)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出62億円、配当金の支払額57億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入86億円などの資金増加要因を上回ったことにより、77億円の資金減少(前連結会計年度は39億円の資金減少)となりました。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。

 今後の事業環境については、雇用環境が着実に改善し、個人消費の持ち直しが続き、緩やかに景気回復が続くことが見込まれる一方で、国内外の政治・経済情勢の不透明性が及ぼす影響には留意が必要です。

 建設産業におきましては、国内経済の堅調さを反映し、当面は安定的な事業環境が継続するものと見込まれていますが、長期的には建設投資は縮小すること、また、建設技能労働者の減少の継続により、働き方改革、生産性向上、人材育成等が課題となっています。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

(ⅰ) 資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費および一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。

(ⅱ) 財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。

 長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(100億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。

 また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。

 当社は、持続的な企業価値の向上を図る上で必要不可欠な、施工能力(質・量)の向上に向けた合理化・省力化・機械化のための投資及び研究開発投資、経営資源の確保に向けた人材育成投資資金並びにポストオリンピック・パラリンピックを見据えた事業領域拡大に向けた財務柔軟性の確保を目的として、2016年3月に2019年満期円貨建取得条項付転換社債型新株予約権付社債(総額100億円)を発行し、2019年3月までにすべての新株予約権が行使され、資本金、資本準備金にそれぞれ50億円ずつ組み入れられています。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

中期経営計画(2019.3期-2021.3期)目標数値と計画期間中の実績

 

 

2021年3月期

計画数値

2019年3月期

実績

  (連結)

 

 

 

 

売上高

4,800億円程度

3,599億円

営業利益

360億円程度

236億円

営業利益率

7.5%以上

6.6%

ROE

15%

7.0%

総還元性向

30%以上

66.4%

 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(土木事業)

 受注高は、前連結会計年度比55.6%増加の1,921億円となりました。一部の手持ち工事の進捗の遅れなどから、完成工事高は1,187億円(前連結会計年度比6.9%減少)となりました。完成工事高が伸びなかったことにより、完成工事総利益が前期実績を下回り、営業利益は180億円(前連結会計年度比19.2%減少)となりました。

 一方で、当社個別の完成工事総利益率は、受注時採算の徹底に加え、設計変更・追加工事の受注等により、前期実績からは1.9ポイントの減少となったものの、20.3%と高水準を維持しています。

(建築事業)

 受注高は、前連結会計年度比4.3%増加の2,354億円となりました。手持ち大型工事の進捗の遅れなどから、完成工事高は2,088億円(前連結会計年度比3.3%減少)となりました。完成工事高が伸び悩んだこと、および東京都多摩市の火災事故に伴う損失の影響により、完成工事総利益が前期実績を下回り、営業利益は91億円(前連結会計年度比44.8%減少)となりました。

 当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から3.1ポイント減少し、8.8%となりました。

 

 土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末から217億円増加の1,649億円となりました。

 

 

(グループ事業)

 売上高は273億円(前連結会計年度比1.1%増加)、営業利益は11億円(前連結会計年度比20.1%減少)となりました。

 セグメント資産は、前連結会計年度末から28億円減少の333億円となりました。

(その他)

 売上高は50億円(前連結会計年度比22.1%減少)、営業利益は7億円(前連結会計年度比6.7%増加)となりました。

 セグメント資産は、前連結会計年度末から6億円減少の79億円となりました。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいます。

 当連結会計年度における研究開発への投資総額は約25億円(消費税等抜き)です。

 セグメントごとの内訳は、土木事業約8億円、建築事業約14億円及びその他社外からの受託研究約2億円であり、主な研究成果等は次のとおりです。

(土木事業)

遠方にある構造物を対象にした3D計測の新しい精度管理技術

~モービル・マッピング・システム~

 当社と朝日航洋株式会社は、MMS(モービル・マッピング・システム)をはじめとするレーザスキャナ装置による3D計測技術において、3D点群データなどの補正・検証方法を刷新することにより、計測データの精度を確保しながら、MMSによる遠方にある対象の出来形測量を効率化する精度管理技術を共同で開発しました。

 本技術は、MMSだけではなく地上移動体搭載型レーザスキャナにも適用できるため、i-Constructionにおいて多様な計測エリアへの対応を可能にします。さらに近年多発する土砂災害に対して、精度管理手法が明確で、スピーディな3D計測を実現する本技術を活用することによって、人の立ち入りが困難な崩壊地の状況把握が可能になるなど、迅速な復旧・復興に寄与できるものと考えています。

給水養生工法「アクアカーテン®」の適用実績が200万m2を突破

 型枠を取り外したコンクリートの鉛直面やアーチ面に対して湿潤養生ができる、給水養生工法「アクアカーテン®」は、2010年8月の現場適用開始以来、その優れた効果と施工性、経済性が高く評価され、適用現場数は153に増加しました。また、適用面積は、2017年に100万m2に達した後、2019年1月には200万m2を超えました。これは、一般的な道路トンネルに換算すると100km程度の長さになります。

 アクアカーテンは、水中養生と同等の湿潤養生環境を実現できることで、特にトンネルの覆工コンクリートの養生工法として、発注者や同業他社からの認知度が年々向上しています。さらに、「脱塩工法」ならびに「再アルカリ化工法」などの電気化学的工法への適用を可能とするなど、これからのインフラ維持更新事業に寄与する新工法としての開発も進めています。

(建築事業)

建築物へのカーボンフットプリントとカーボン・オフセットの適用

 脱炭素社会の実現を見据え、建設事業に関連する温室効果ガスの削減を推進するには、建築物の運用段階のCO排出量の大幅な減少とともに、新築・改修段階でのさらなる削減が重要となります。

 CO排出量の削減策の立案には、建設各段階のCO排出量の把握が必要です。そのためには、当社が国内で実建築物に初めて適用したカーボンフットプリント(CFP)※1によるCO排出量の「見える化」(定量化)と、その排出量分をカーボン・オフセット※2によりゼロとする手法が有効です。「見える化」により、削減効果の観点から資材、工法などの条件やオフセットの手法等の検討が可能となります。この「見える化」した情報を活用し、今後も積極的に建設事業のCO排出量削減に貢献していきます。

(※1)CFPとは「Carbon Footprint of Products」の略称で「製品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体(製品の一生)を通じて排出される温室効果ガスの総排出量をCOに換算した数値」で同排出量を表示する仕組み。

(※2)自らの努力では削減しきれないCOなどの温室効果ガス排出量を、他の場所での削減・吸収により埋め合わせ、社会全体として温室効果ガスを減らす取り組み

(グループ事業)

 当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていません。

(その他)

 当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っています。