「第2 事業の状況」における各事項の記載は、消費税等抜きの金額で表示しています。
当社グループは、2020年2月に策定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」と、長期ビジョンの実現に向けた「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」の諸施策を着実に推進し、戦略的な成長投資を行うことで、本業である建設事業のさらなる強化を図るとともに、事業ポートフォリオの変革に向けて建設以外の事業の強化にも積極的に取り組んでまいります。事業環境の変化に柔軟に対応するとともに、改革を加速させ、確固たる収益基盤を確立し、新たな価値の創造に努めてまいります。
当社グループは、「安心、安全、高品質な良いものづくり」という事業活動の基本方針の下、中期経営計画に掲げた重点施策を確実に推進し、安全管理、品質管理、コンプライアンスの徹底を図り、社会から信頼され、社会とともに成長する企業グループを目指します。
なお、「安藤ハザマVISION2030」、「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」の概要は以下のとおりです。
<「安藤ハザマ VISION2030」の概要>
(1)長期ビジョン
~イノベーションの加速で新たな価値を創造~
「お客様価値の創造」/「株主価値の創造」/「環境価値の創造」/「従業員価値の創造」
(2)取組内容
・建設事業:受注力×現場力×収益力の更なる強化
・建設外事業:エネルギー関連事業を核とした収益源の確立
(3)長期目標数値
連結経常利益400億円、同利益に占める建設外事業収益比率25%
<中期経営計画(2021.3期~2023.3期)の概要>
(1)主な重点施策
①国内建設事業
・都市土木の実績、技術優位性を活かした大型高難度工事への取組継続
・電力・エネルギー分野の強化
・高速道路更新事業、上下水施設更新など維持更新分野へ注力
・エネルギーマネジメント技術を活用した提案力の強化
・再開発事業等への取組による建設事業の強化
②海外建設事業
・現地パートナーとのアライアンスによる体制強化
・グローバル人財の育成強化
③エネルギー関連事業
・パートナーとの協働により、エネルギー事業における収益源を拡充
・再生可能エネルギー事業により、環境価値を創造
④ライフサイクルサポート事業
・ライフサイクルコストの最適化や施設の長寿命化に対応したソリューション型営業の展開
⑤不動産事業、インフラ運営事業
・収益物件の取得や不動産開発事業への取組によるストックビジネスへの参入
・インフラ運営事業(PPP/PFI等)への取組強化
⑥技術開発
・AI・ICT・BIM/CIMを活用した生産性向上技術・管理システムの開発
・設計・積算工程等の省人化技術の開発
・生産性向上に資するPCa部材の活用拡大技術の開発
・防災・減災を実現する耐震・制震技術の開発・高度化
・脱炭素社会に貢献するエネルギーマネジメント技術の開発・実証・展開
・実案件への適用でZEB技術を実践・高度化
⑦グループ会社、協力会社、従業員
・4週8閉所の実現への取組強化、働き方改革の推進
・インテグリティを浸透させ、コンプライアンス意識を継続的に向上する企業風土の醸成
(2)連結目標数値
今後の事業環境につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景気は急速に悪化し、内外需とも下押しされ、極めて厳しい状況となっており、内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分留意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
建設業界におきましては、長期的な人口減少等を背景に建設投資が縮小すること、また、建設技能労働者の継続的な減少と高齢化の進行による働き方改革、生産性向上、人材育成の他、低炭素社会およびサステナブルな社会の実現への取組みの強化が、継続的な課題となっています。
加えて、現在の新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化した場合、企業業績の悪化による民間設備投資の縮小、税収減少による政府建設投資の見直し、世界的なサプライチェーンの機能低下に伴う資材供給の停滞、従業員を感染症から守るための安全衛生管理など、事業継続にかかる課題が生ずることが懸念され、先行きは不透明な状況にあります。
新型コロナウイルス感染症拡大による影響
・受注
・企業業績悪化による国内外の民間建設投資の見直し(延期含む)の動き等、建築事業を中心に事業環境が不透明であり受注予測が困難
・施工
・感染症拡大防止に向け、発注者との協議等による工事中断が一部発生
・中国からの住設機器の調達遅れは回復しつつあるが、調達品の遅延や代替品の確保が難航する懸念が残存
新型コロナウイルス感染症拡大への対応
当社は、社長を本部長とする新型コロナウイルス感染症本社対策本部を設置し、感染拡大防止に努めてまいりました。4月7日の政府の「緊急事態宣言」の発令以降も、防止対策のさらなる徹底を図り、関係者の皆様および従業員とその家族の安全を最優先に考え、事業継続を図っております。
今後も、政府・地方自治体・関係団体等の通達・ガイドラインを遵守し、引き続き感染拡大防止への取組みを進めてまいります。
・全社
・感染症拡大防止対策の徹底に向けトップメッセージを発信
・政府通達等に則した社内への情報展開、感染時対応フロー等の明確化
・4月24日~5月6日は、原則、作業所および本社・支店を閉所する方針を展開
・現場
・感染症拡大防止に向けて、発注者と協議の上、一部の工事で中断を実施
・続行の場合も、現場入場者の検温、手洗い、マスク着用、3密回避等の徹底
・現場でも交代勤務、短時間勤務等の出勤調整を実施
・作業員へマスク配付
・内勤
・在宅テレワークを基本とし、出社の場合も交代勤務や時差通勤等の出勤調整を実施
・つくば技術研究所をサテライトオフィスに活用 積算部門(約30名)が業務継続
・新入社員研修はオンライン(eラーニング)で実施 入社式に代わり、社長メッセージを動画配信
当社は、リスクの発生防止およびリスクが発生した場合の損失の最小化を図り、会社業務の円滑な運営に資するため、リスクマネジメントに関する規定類および体制を整備し、当社グループ全体で対応すべき重要なリスクの評価、当該リスクへの対応策のとりまとめ、および当該対応策の推進を図っています。
また、内部統制システム全般についての継続的改善を目的に、取締役会の諮問委員会として設置された内部統制委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会へ報告することとしています。
リスクマネジメント体制を含む内部統制システムの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレートガバナンスの状況 (1)コーポレートガバナンスの概要 (2)提出会社の企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ③その他の提出会社の企業統治に関する事項」に記載のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応すべく、長期ビジョン、中期経営計画および事業計画(単年度)を策定した上で事業活動を営んでいますが、想定を上回る環境の変化が発生した場合には、適宜計画等の見直しを行い、業績等への影響を極小化すべく取組む方針です。
工事目的物の品質管理には万全を期していますが、重大な瑕疵が発生した場合には顧客からの信頼喪失、瑕疵担保責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、品質マネジメントシステムに基づき、営業、設計、施工、アフターケアの各段階で顧客満足の向上に向けた生産活動に取組んでいますが、重大な瑕疵が発生した場合は、各支店に設置しているお客さま相談室を中心に、営業、施工の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っていますが、労働災害等が発生した場合、工事の一時中断、被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、安全衛生基本方針に「安全はすべてに優先する」を掲げ、労働安全衛生マネジメントシステムを構築、運用し、協力会社を含む全工事従事者に対し安全衛生管理の徹底を図っていますが、万が一労働災害等が発生した場合には、各支店に設置している安全環境部を中心に、営業、施工、管理の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
施工中の工事現場で火災事故等が発生した場合には、工事の一時中断による収益減少、復旧費用や被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2018年7月26日に発生した東京都多摩市の施工中の建築物件における火災事故を踏まえ、再発防止策を策定し、すべての作業所で適切に運用を行っています。また、建設本部、各支店において運用状況の点検、パトロール等を行い、策定したルールを順守するよう指導を行っています。
顧客の情報管理には細心の注意を払っていますが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、日々の情報管理の徹底に加えて、政府の定めるサイバーセキュリティ月間の活動にあわせた各種取組みも実施し、グループ会社の全従業員に周知徹底すべく、啓発活動を行っています。
諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、既進出国の法令諸規則、税制、政治・経済・社会情勢に関する情報を当該国の専門家から入手し、重大な変更が見込まれる場合は事前に社内体制を強化する等、変化に対応すべく取組んでいます。また、新規進出国の事業環境に関する情報は、外部の専門家を使い情報を入手し、入手した情報に基づいて取締役会で進出の可否に関して慎重に検討しています。
当社グループは会社法、金融商品取引法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けています。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っていますが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループにおいて一貫した方針のもとに公正かつ透明な事業運営を確保するために、コンプライアンス推進委員会を設置するとともに各部門および主要グループ会社にはコンプライアンス責任者・担当者を配置し、本社監査部主管のもと、各種推進活動の効果的な展開を図っています。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、事業環境が悪化し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、社長を本部長とする新型コロナウイルス感染症本社対策本部を設置し、感染拡大防止に努めています。具体的な対応策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、緩やかな回復基調で推移してきましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、景気は急速に悪化し、内外需とも下押しされ、極めて厳しい状況となっております。
今後についても、感染症拡大の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分留意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
当社グループの主たる事業が属する建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移したものの、景気の不透明感の高まりにより民間建設投資は減少傾向となりました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,781億円(前連結会計年度比5.0%増加)、営業利益246億円(前連結会計年度比4.3%増加)、経常利益239億円(前連結会計年度比6.6%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は168億円(前連結会計年度比89.6%増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
受注高は1,935億円(前連結会計年度比0.7%増加)、売上高は1,242億円(前連結会計年度比4.6%増加)、営業利益は162億円(前連結会計年度比10.1%減少)となりました。
受注高は1,867億円(前連結会計年度比20.7%減少)、売上高は2,272億円(前連結会計年度比8.8%増加)、営業利益は119億円(前連結会計年度比30.5%増加)となりました。
売上高は217億円(前連結会計年度比20.4%減少)、営業利益は13億円(前連結会計年度比21.3%増加)となりました。
(その他)
売上高は49億円(前連結会計年度比2.6%減少)、営業利益は8億円(前連結会計年度比19.8%増加)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。
資産につきましては、前連結会計年度末より98億円減少し、3,397億円となりました。これは現金預金173億円の減少及び投資有価証券37億円の減少が、受取手形・完成工事未収入金等189億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より131億円減少し、2,028億円となりました。これは未成工事受入金151億円の減少及び預り金31億円の減少が、支払手形・工事未払金等63億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より32億円増加し、1,369億円となりました。これは利益剰余金107億円の増加が、自己株式の取得による50億円の減少及びその他有価証券評価差額金26億円の減少を上回ったことによります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して196億円減少し、1,154億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、未成工事受入金の減少151億円、預り金の減少31億円、売上債権の増加190億円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益244億円の計上、仕入債務の増加63億円、未成工事支出金の減少28億円などの資金増加要因を上回ったことにより、31億円の資金減少(前連結会計年度は59億円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出38億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入12億円などの資金増加要因を上回ったことにより、30億円の資金減少(前連結会計年度は23億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出73億円、配当金の支払額60億円、自己株式の取得による支出50億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入53億円などの資金増加要因を上回ったことにより、132億円の資金減少(前連結会計年度は77億円の資金減少)となりました。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。
なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
(注) 1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。
2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度の主なもの
当事業年度の主なもの
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。
前事業年度
該当する相手先はありません。
当事業年度
該当する相手先はありません。
d.手持工事高(2020年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上
完成工事高及び完成工事原価の計上は、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を信頼性をもって見積ることのできる工事について工事進行基準を適用しております。
また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しております。
なお、工事原価総額には、過去の工事の施工実績を基礎として、個々の案件に特有の状況を織り込んでおり、決算日ごとに見直しておりますが、外注価格及び資機材価格の高騰、手直し等による施工中の追加原価の発生など想定外の事象により工事原価総額が増加した場合は、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受ける重要な見積り項目はありません。
(ⅰ) 財政状態
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より98億円減少し、3,397億円となりました。これは現金預金173億円の減少及び投資有価証券37億円の減少が、受取手形・完成工事未収入金等189億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より131億円減少し、2,028億円となりました。これは未成工事受入金151億円の減少及び預り金31億円の減少が、支払手形・工事未払金等63億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より32億円増加し、1,369億円となりました。これは利益剰余金107億円の増加が、自己株式の取得による50億円の減少及びその他有価証券評価差額金26億円の減少を上回ったことによります。
(ⅱ) 経営成績
売上高は、完成工事高が土木、建築ともに国内大型工事が順調に進捗し、前連結会計年度比7.2%増加となったこと等により、前連結会計年度比5.0%増加の3,781億円となり、売上総利益は完成工事高の増加等により、前連結会計年度比3.1%増加し472億円となりました。
営業利益は完成工事総利益が増加したことを主因とし、前連結会計年度比4.3%増加の246億円となりました。
営業外収支は、前連結会計年度に比べ受取配当金が減少したものの、為替差損及び損害賠償金の減少等により4億円改善し、経常利益は239億円と前連結会計年度比6.6%の増加となりました。
特別損益は、前連結会計年度に比べ火災損害等損失の減少等により99億円改善しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は168億円(前連結会計年度比89.6%の増加)となり、前連結会計年度に比べ79億円の増益という結果となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大により、一部の工事で一時中断、進捗率の低下等の影響がありましたが、当連結会計年度における経営成績全体に対して重要な影響を与えるものではありません。しかしながら、今後の事業環境については極めて厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分留意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
(ⅲ) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して196億円減少し、1,154億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、未成工事受入金の減少151億円、預り金の減少31億円、売上債権の増加190億円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益244億円の計上、仕入債務の増加63億円、未成工事支出金の減少28億円などの資金増加要因を上回ったことにより、31億円の資金減少(前連結会計年度は59億円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出38億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入12億円などの資金増加要因を上回ったことにより、30億円の資金減少(前連結会計年度は23億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出73億円、配当金の支払額60億円、自己株式の取得による支出50億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入53億円などの資金増加要因を上回ったことにより、132億円の資金減少(前連結会計年度は77億円の資金減少)となりました。
当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。
今後の事業環境については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれ、内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分留意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
建設業界におきましては、長期的な人口減少等を背景に建設投資が縮小すること、また、建設技能労働者の継続的な減少と高齢化の進行による働き方改革、生産性向上、人材育成の他、低炭素社会およびサステナブルな社会の実現への取り組みの強化が、継続的な課題となっています。
加えて、現在の新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期化した場合、企業業績の悪化による民間設備投資の縮小、税収減少による政府建設投資の見直し、世界的なサプライチェーンの機能低下に伴う資材供給の停滞、従業員を感染症から守るための安全衛生管理など、事業継続にかかる課題が生ずることが懸念され、先行きは不透明な状況にあります。
(ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費および一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。
(ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(150億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。
また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、今後の当社の事業に与える影響が不透明ななか、不測の事態に備えるため、既存のコミットメントライン契約(極度額150億円)を2020年5月29日付で期限前解約し、同日付で極度額1,000億円(期間1年)のコミットメントライン契約を締結しました。
中期経営計画(2019.3期-2021.3期)目標数値と計画期間中の実績
(参考)2020年3月期の計画と実績の差異
売上高につきましては、主に建築工事の受注高が目標数値に届かず、その結果完成工事高が期首計画値を下回ったため、売上高全体としても計画数値を下回りました。
営業利益につきましては、主に一部の工事の採算性の低下と売上高の計画未達により、計画数値を下回りました。
なお当社は、2020年2月に長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」と、長期ビジョンの実現に向けた「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」を策定しました。詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。
(土木事業)
受注高は、前連結会計年度に続き大型工事を受注したことにより、前連結会計年度比0.7%増加の1,935億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことにより前連結会計年度比4.6%増加の 1,242億円となりました。営業利益は、高採算であった前連結会計年度との比較では10.1%減少の162億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、受注時採算の徹底に加え、設計変更・追加工事の受注等により、前期実績からは2.6ポイントの減少となったものの、17.7%と高水準を維持しています。
(建築事業)
受注高は、生産性の高い大型案件の競争環境の厳しさが継続しており、前連結会計年度比20.7%減少の1,867億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことにより前連結会計年度比8.8%増加の2,272億円となりました。営業利益は、前連結会計年度では火災事故による工事損失引当金を計上していた影響等により、前連結会計年度比30.5%増加の119億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.6ポイント増加し、9.3%となりました。
土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末から144億円増加の1,793億円となりました。
(グループ事業)
売上高は217億円(前連結会計年度比20.4%減少)、営業利益は13億円(前連結会計年度比21.3%増加)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から33億円増加の366億円となりました。
(その他)
売上高は49億円(前連結会計年度比2.6%減少)、営業利益は8億円(前連結会計年度比19.8%増加)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から8億円減少の71億円となりました。
該当事項はありません。
当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約
セグメントごとの内訳は、土木事業約
4K定点カメラ映像による工事進捗管理システム
-映像の3D化と建機検出AIにより工事進捗を見える化し、生産性向上を実現-
当社を代表者とする「映像進捗管理システム開発コンソーシアム」は、建設現場の進捗管理を効率的に行うための「4K定点カメラ映像による工事進捗管理システム」を開発しました。
本システムのコアとなる「映像進捗管理システム」は、主に次の4つの機能を統合したものです。①映像にCIMモデル等の3Dデータを重畳表示、②映像上から任意地点の距離や面積を瞬時に算出、③建機検出AIにより稼働中のダンプ等を識別し進捗レポートを作成、④映像からオルソ画像(俯瞰画像)を作成。統合された情報はブラウザを介してどこからでも利用できます。
本システムは防潮堤の盛土工事で試行され、建設現場の進捗管理が効率的に行えることを確認しました。なお、本システムの開発・試行は、国土交通省の2019年度「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」(PRISM)で実施したものです。
(建築事業)
広域建物全体の省CO₂化プロジェクト
「安藤ハザマ 次世代エネルギープロジェクト」実証開始
当社は、日本が抱えるエネルギー問題の解決に向けた取り組みの一つとして2018年9月に「安藤ハザマ 次世代エネルギープロジェクト」に着手し、2020年4月から実証試験を開始しています。
本実証では、当社技術研究所をはじめ遠隔敷地にある複数の需要拠点(広域建物)において3つの実証試験を進めます。①CO₂フリー水素(注)を燃料として利用可能な燃料電池、ガスエンジン発電設備によるコージェネレーションシステム等を組み合わせた発電プラントを設置し、発生する熱は、同敷地の宿泊施設等へ供給します。②同技術研究所の本館棟で、既往の省エネルギー技術の活用によりエネルギー需要を縮減し、この縮減分を広域へエネルギー融通します。③上記プラントによって発電される省CO₂電力を、自己託送制度により複数の広域需要拠点に送電します。こうして、3施設で利用される「電気」、「熱」を総合管理し、異なる建物用途(研究所、工場、工事現場)の需要予測を行うとともに、コージェネレーションプラントを精度良く供給調整します。これらのデータを取得・検証・改善していくことで、最適な省CO₂エネルギーマネジメントの確立を目指します。当社は、本プロジェクトを通じて、低炭素社会およびサステナブルな社会の実現に貢献していきます。
(グループ事業)
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていません。
当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っています。