「第2 事業の状況」における各事項の記載は、消費税等抜きの金額で表示しています。
当社グループは、新型コロナウイルスへの感染拡大防止対策を徹底しながら、2020年2月に策定した「安藤ハザマ VISION2030」の実現に向け「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」に掲げた戦略的な成長投資を展開し、事業ポートフォリオの変革による環境変化に強い企業体質を構築するとともに、経営基盤の安定・強化と企業価値の向上に取り組んでいます。
計画初年度である当事業年度においては、脱炭素社会に向けた環境技術である次世代エネルギーマネジメントシステムとNearly ZEB(75%省エネ)の実証、山岳トンネル統合型掘削管理システム等のICTおよびAIを活用した自動化・省力化の技術開発、再生可能エネルギー事業の事業化に向けた取り組み、働き方改革や健康経営の推進などで成果を創出しました。
当社グループは、「安心、安全、高品質な良いものづくり」という事業活動の基本方針の下、中期経営計画に掲げた重点施策を引き続き推進し、安全管理、品質管理、コンプライアンスの徹底を図り、社会から信頼され、社会とともに成長する企業グループを目指します。
なお、「安藤ハザマVISION2030」、「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」の概要は以下のとおりです。
<「安藤ハザマ VISION2030」の概要>
(1)長期ビジョン
~イノベーションの加速で新たな価値を創造~
「お客様価値の創造」/「株主価値の創造」/「環境価値の創造」/「従業員価値の創造」
(2)取組内容
・建設事業:受注力×現場力×収益力の更なる強化
・建設外事業:エネルギー関連事業を核とした収益源の確立
(3)長期目標数値
連結経常利益400億円、同利益に占める建設外事業収益比率25%
<中期経営計画(2021.3期~2023.3期)の概要>
(1)主な重点施策
①国内建設事業
・都市土木の実績、技術優位性を活かした大型高難度工事への取組継続
・電力・エネルギー分野の強化
・高速道路更新事業、上下水施設更新など維持更新分野へ注力
・エネルギーマネジメント技術を活用した提案力の強化
・再開発事業等への取組による建設事業の強化
②海外建設事業
・現地パートナーとのアライアンスによる体制強化
・グローバル人財の育成強化
③エネルギー関連事業
・パートナーとの協働により、エネルギー事業における収益源を拡充
・再生可能エネルギー事業により、環境価値を創造
④ライフサイクルサポート事業
・ライフサイクルコストの最適化や施設の長寿命化に対応したソリューション型営業の展開
⑤不動産事業、インフラ運営事業
・収益物件の取得や不動産開発事業への取組によるストックビジネスへの参入
・インフラ運営事業(PPP/PFI等)への取組強化
⑥技術開発
・AI・ICT・BIM/CIMを活用した生産性向上技術・管理システムの開発
・設計・積算工程等の省人化技術の開発
・生産性向上に資するPCa部材の活用拡大技術の開発
・防災・減災を実現する耐震・制震技術の開発・高度化
・脱炭素社会に貢献するエネルギーマネジメント技術の開発・実証・展開
・実案件への適用でZEB技術を実践・高度化
⑦グループ会社、協力会社、従業員
・4週8閉所の実現への取組強化、働き方改革の推進
・インテグリティを浸透させ、コンプライアンス意識を継続的に向上する企業風土の醸成
(2)連結目標数値
今後の事業環境につきましては、引き続き感染拡大の防止策を講じながら、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化への対応としての、働き方改革、生産性向上、人材の育成等が継続的な課題になっており、また、社会的要請として脱炭素社会およびサステナブルな社会の実現への取り組み強化が求められています。事業環境の先行きは未だ不透明であり、新型コロナウイルス感染症の影響等により、国内外の民間建設投資の見直し等の動きに引き続き留意する必要があります。
新型コロナウイルス感染症拡大への対応
当社は、社長を本部長とする新型コロナウイルス感染症本社対策本部を設置し、感染拡大防止に努めてまいりました。2020年4月7日の政府の「緊急事態宣言」の発令以降も、防止対策のさらなる徹底を図り、関係者の皆様および従業員とその家族の安全を最優先に考え、事業継続を図っております。
今後も、政府・地方自治体・関係団体等の通達・ガイドラインを遵守し、引き続き感染拡大防止への取組みを進めてまいります。
・全社
・感染症拡大防止対策の徹底に向けトップメッセージを発信
・政府通達等に則した社内への情報展開、感染時対応フロー等の明確化
・「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を策定、全社へ展開
・現場
・現場入場者の検温、手洗い、マスク着用、3密回避等の徹底
・交代勤務、短時間勤務等の出勤調整を実施
・内勤
・在宅テレワークを推進し、出社の場合も交代勤務や時差通勤等の出勤調整を実施
・WEB会議システムの積極利用を推進
当社は、リスクの発生防止およびリスクが発生した場合の損失の最小化を図り、会社業務の円滑な運営に資するため、リスクマネジメントに関する規定類および体制を整備し、当社グループ全体で対応すべき重要なリスクの評価、当該リスクへの対応策のとりまとめ、および当該対応策の推進を図っています。
また、内部統制システム全般についての継続的改善を目的に、取締役会の諮問委員会として設置された内部統制委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会へ報告することとしています。
リスクマネジメント体制を含む内部統制システムの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 (2)提出会社の企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ④その他の提出会社の企業統治に関する事項」に記載のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 競争環境の悪化
想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応すべく、長期ビジョン、中期経営計画および事業計画(単年度)を策定した上で事業活動を営んでいますが、想定を上回る環境の変化が発生した場合には、適宜計画等の見直しを行い、業績等への影響を極小化すべく取組む方針です。
当社グループは会社法、金融商品取引法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けています。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っていますが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループにおいて一貫した方針のもとに公正かつ透明な事業運営を確保するために、コンプライアンス推進委員会を設置するとともに各部門および主要グループ会社にはコンプライアンス責任者・担当者を配置し、本社監査部主管のもと、各種推進活動の効果的な展開を図っています。
(3) 諸外国における事業環境の変化
諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、既進出国の法令諸規則、税制、政治・経済・社会情勢に関する情報を当該国の専門家から入手し、重大な変更が見込まれる場合は事前に社内体制を強化する等、変化に対応すべく取組んでいます。また、新規進出国の事業環境に関する情報は、外部の専門家を使い情報を入手し、入手した情報に基づいて取締役会で進出の可否に関して慎重に検討しています。
(4) 気候変動リスク
気候変動により、自然災害が激甚化した場合、工事中断や施工遅延、自社施設への被害等により事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会への移行に向け、工事施工に伴うCO2排出量や建物利用時の脱炭素化等に関する規制強化や炭素税の導入により、工事施工量の制限や、建設コストの上昇による受注機会の減少等が発生し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続に向けて自然災害に対する備えを適切に行うとともに、2020年2月に制定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」の中で「環境価値の創造」を掲げ、「脱炭素で低負荷な循環型社会の実現」への貢献を目指しており、SBT、RE100の計画に基づいた、事業活動における再生可能エネルギーの利用拡大や、建物のCO2排出量削減につながる環境配慮型技術の開発等、脱炭素社会の実現に向けた取組を推進しています。
(5) 感染症の蔓延
感染症の蔓延が発生した場合、会社機能の一部の一時停止や工事の一時中断等により、また、事業環境の悪化による工事受注高の減少等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症への対応としては、社長を本部長とする新型コロナウイルス感染症本社対策本部を設置し、感染拡大防止に努めています。具体的な対応策については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
当社では計画的な人員計画により、継続的に新規人材を採用していますが、技術系社員について必要な採用数が確保できない場合、事業規模の縮小を余儀なくされ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、建設業界においては技能労働者が減少傾向にあり、必要な労務が確保できなくなること、あるいは労務調達コストの上昇により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年2月に策定した「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」において、4週8閉所の実現への取組強化、働き方改革の推進を重点施策に掲げ、協力会社に対する経営基盤強化支援、人材育成支援、採用支援等を行うことにより、将来の施工体制の維持に向けて積極的に取り組んでいます。また、当社内においては、働き方や成果に応じた処遇を実現するための人事諸制度の見直し、働き方改革の推進によるワークライフバランスの実現等を重点施策として掲げ、将来の人材確保、流出阻止に向けて積極的に取り組んでいます。
(7) 労働災害、第三者災害
労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っていますが、労働災害等が発生した場合、工事の一時中断、被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、安全衛生基本方針に「安全はすべてに優先する」を掲げ、労働安全衛生マネジメントシステムを構築、運用し、協力会社を含む全工事従事者に対し安全衛生管理の徹底を図っていますが、万が一労働災害等が発生した場合には、各支店に設置している安全環境部を中心に、営業、施工、管理の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
施工中の工事現場で火災事故等が発生した場合には、工事の一時中断による収益減少、復旧費用や被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2018年7月26日に発生した東京都多摩市の施工中の建築物件における火災事故を踏まえ、再発防止策を策定し、すべての作業所で適切に運用を行っています。また、建設本部、各支店において運用状況の点検、パトロール等を行い、策定したルールを順守するよう指導を行っています。
(9) 潜在的な瑕疵
工事目的物の品質管理には万全を期していますが、重大な瑕疵が発生した場合には顧客からの信頼喪失、瑕疵担保責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、品質マネジメントシステムに基づき、営業、設計、施工、アフターケアの各段階で顧客満足の向上に向けた生産活動に取組んでいますが、重大な瑕疵が発生した場合は、各支店に設置しているお客さま相談室を中心に、営業、施工の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
(10) 情報漏洩
顧客の情報管理には細心の注意を払っていますが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、日々の情報管理の徹底に加えて、政府の定めるサイバーセキュリティ月間の活動にあわせた各種取組みも実施し、グループ会社の全従業員に周知徹底すべく、啓発活動を行っています。
(11) DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応遅れ
DXへの対応が遅れた場合には、業務の効率化が進まず、競合他社と比較して生産性の低下や人件費の増加等が発生し、価格競争に対応できなくなることで、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、全社的なDX戦略策定と、個別プロジェクト推進のスピードアップを図るため、2021年6月にDX推進を担当する専門部署を設置する等、取組体制の整備を進めています。
工事現場や各拠点において、錯誤等何らかの要因により反社会的勢力と取引等を行った場合、社会的信用の失墜により業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、行動規範において反社会的勢力との関係遮断を掲げ、また、反社会的勢力対応マニュアルを策定し、全役職員に対して周知徹底を図っています。また、調達基本方針の中でも反社会的勢力の排除を掲げており、取引先に対しても当方針の理念を説明し、理解した上で当社との取引を行っていただいています。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しの動きがみられたも
のの、厳しい状況が継続しました。
今後についても、引き続き感染拡大の防止策を講じながら、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資は堅調に推移しましたが、感染症の影響による企業収益の減少や景気の先行き不透明感により民間建設投資は減少傾向となりました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,520億円(前連結会計年度比6.9%減少)、営業利益273億円(前連結会計年度比10.8%増加)、経常利益258億円(前連結会計年度比8.0%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は171億円(前連結会計年度比2.3%増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
受注高は1,015億円(前連結会計年度比47.6%減少)、売上高は1,359億円(前連結会計年度比9.4%増加)、営業利益は176億円(前連結会計年度比8.8%増加)となりました。
受注高は1,993億円(前連結会計年度比6.8%増加)、売上高は1,921億円(前連結会計年度比15.5%減少)、営業利益は131億円(前連結会計年度比9.9%増加)となりました。
売上高は190億円(前連結会計年度比12.2%減少)、営業利益は16億円(前連結会計年度比17.4%増加)となりました。
(その他)
売上高は48億円(前連結会計年度比0.8%減少)、営業利益は6億円(前連結会計年度比20.3%減少)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。
資産につきましては、前連結会計年度末より1億円減少し、3,396億円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等163億円の減少及び有価証券140億円の減少が、現金預金263億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より99億円減少し、1,929億円となりました。これは支払手形・工事未払金等83億円の減少及び退職給付に係る負債39億円の減少が、預り金30億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より97億円増加し、1,466億円となりました。これは利益剰余金113億円の増加が、自己株式の取得による49億円の減少を上回ったことによります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して125億円増加し、1,280億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益250億円の計上、売上債権の減少163億円、未払消費税等の増加32億円などの資金増加要因が、仕入債務の減少82億円、その他のたな卸資産の増加41億円、未成工事受入金の減少32億円などの資金減少要因を上回ったことにより、291億円の資金増加(前連結会計年度は31億円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出29億円などの資金減少要因が、補助金の受入による収入3億円などの資金増加要因を上回ったことにより、39億円の資金減少(前連結会計年度は30億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額58億円、長期借入金の返済による支出55億円、自己株式の取得による支出49億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入41億円などの資金増加要因を上回ったことにより、126億円の資金減少(前連結会計年度は132億円の資金減少)となりました。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。
なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
(注) 1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。
2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度の主なもの
当事業年度の主なもの
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。
前事業年度
該当する相手先はありません。
当事業年度
該当する相手先はありません。
d.手持工事高(2021年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年3月31日)現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上
完成工事高及び完成工事原価の計上は、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を信頼性をもって見積ることのできる工事について工事進行基準を適用しております。
また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しております。
なお、工事原価総額には、過去の工事の施工実績を基礎として、個々の案件に特有の状況を織り込んでおり、決算日ごとに見直しておりますが、外注価格及び資機材価格の高騰、手直し等による施工中の追加原価の発生など想定外の事象により工事原価総額が増加した場合は、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受ける重要な見積り項目はありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より1億円減少し、3,396億円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等163億円の減少及び有価証券140億円の減少が、現金預金263億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より99億円減少し、1,929億円となりました。これは支払手形・工事未払金等83億円の減少及び退職給付に係る負債39億円の減少が、預り金30億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より97億円増加し、1,466億円となりました。これは利益剰余金113億円の増加が、自己株式の取得による49億円の減少を上回ったことによります。
(ⅱ) 経営成績
売上高は、完成工事高が前連結会計年度比7.4%減少となったこと等により、前連結会計年度比6.9%減少の3,520億円となったものの、売上総利益は手持工事の採算が順調に改善したことなどにより、前連結会計年度比2.0%増加し481億円となりました。
営業利益は完成工事総利益が増加したこと並びに販売費及び一般管理費が減少したことにより、前連結会計年度比10.8%増加の273億円となりました。
営業外収支は、前連結会計年度に比べ受取利息の減少及び支払手数料の増加等により7億円悪化したものの、営業利益の増加により、経常利益は258億円と前連結会計年度比8.0%の増加となりました。
特別損益は、前連結会計年度に比べ減損損失の計上等により12億円悪化しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は171億円(前連結会計年度比2.3%の増加)となり、前連結会計年度に比べ3億円の増益という結果となりました。
(ⅲ) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して125億円増加し、1,280億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益250億円の計上、売上債権の減少163億円、未払消費税等の増加32億円などの資金増加要因が、仕入債務の減少82億円、その他のたな卸資産の増加41億円、未成工事受入金の減少32億円などの資金減少要因を上回ったことにより、291億円の資金増加(前連結会計年度は31億円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出29億円などの資金減少要因が、補助金の受入による収入3億円などの資金増加要因を上回ったことにより、39億円の資金減少(前連結会計年度は30億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額58億円、長期借入金の返済による支出55億円、自己株式の取得による支出49億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入41億円などの資金増加要因を上回ったことにより、126億円の資金減少(前連結会計年度は132億円の資金減少)となりました。
当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。
今後の事業環境につきましては、引き続き感染拡大の防止策を講じながら、内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化への対応としての、働き方改革、生産性向上、人材の育成等が継続的な課題になっており、また、社会的要請として脱炭素社会およびサステナブルな社会の実現への取り組み強化が求められています。事業環境の先行きは未だ不透明であり、新型コロナウイルス感染症の影響等により、国内外の民間建設投資の見直し等の動きに引き続き留意する必要があります。
(ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費および一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。
(ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。
当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(1,000億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。
また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う不測の事態に備えるため、2020年5月29日付で極度額1,000億円(期間1年)へ増額しましたコミットメントライン契約について、以前の水準である極度額150億円に減額の上、2021年5月31日に契約更改しました。
中期経営計画(2021.3期-2023.3期)目標数値と計画期間中の実績
(参考)2021年3月期の計画と実績の差異
売上高につきましては、主に建築工事の受注高が目標数値に届かず、その結果完成工事高が期首計画値を下回ったため、売上高全体としても計画数値を下回りました。
経常利益につきましては、設計変更の獲得や原価管理の徹底等により手持工事の採算性が改善したことから、計画数値を上回りました。
(土木事業)
受注高は、前年度の大型工事受注の反動などにより、前連結会計年度比47.6%減少の1,015億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことにより前連結会計年度比9.4%増加の1,359億円となりました。営業利益は、設計変更の獲得等により手持工事の採算性が改善となったことから、前連結会計年度比8.8%増加の176億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.6ポイント減少し、17.1%となりました。
(建築事業)
受注高は、前連結会計年度比6.8%増加の1,993億円となりました。完成工事高は、上半期の受注が低調だったことなどから、前連結会計年度比15.5%減少の1,921億円となりました。営業利益は、完成工事高は伸び悩んだものの、原価管理の徹底により手持工事の採算性が改善となったことから、前連結会計年度比9.9%増加の131億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から1.5ポイント増加し、10.8%となりました。
土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の減少などにより、前連結会計年度末から226億円減少の1,567億円となりました。
(グループ事業)
売上高は190億円(前連結会計年度比12.2%減少)、営業利益は16億円(前連結会計年度比17.4%増加)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から82億円増加の448億円となりました。
(その他)
売上高は48億円(前連結会計年度比0.8%減少)、営業利益は6億円(前連結会計年度比20.3%減少)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から5億円増加の77億円となりました。
該当事項はありません。
当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約
セグメントごとの内訳は、土木事業約
幅広い地質性状に対応した無水削孔ボーリング技術の開発
現在、高速道路の山岳トンネルで大規模なリニューアル工事が進められています。山岳トンネルでのボーリング作業では、従来、削孔するために水を用いた削孔方法が一般的に用いられています。しかし、膨張性地山などでは、削孔するための水が地山を乱すため、無水での削孔が有効と考えられます。また、削孔対象となる地山は、地質状況や地下水位が異なることが想定されます。そこで、当社は基礎工事専門会社と共同で、幅広い地質性状に対して、無水で削孔できるボーリング技術を開発しました。供用中の高速道路リニューアル工事等への適用を視野に入れ、一般車両への影響に配慮した機動性に優れた超小型削孔機と、コンパクトに車載した設備を使用して、限られた空間内での効率的な作業を実現しました。本技術は、エアーとボーリングロッドに取り付けたスクリューによる無水削孔と、削孔機がさまざまな姿勢でボーリング作業できることが大きな特長です。今後、供用中の高速道路トンネル内の盤ぶくれ対策を中心に、高速道路リニューアル工事等へ本技術の適用を目指していきます。
(建築事業)
ZEB Ready認証およびCASBEEスマートウェルネスオフィス認証最高ランクを取得
-新電元工業 朝霞事業所プロジェクト-
当社は2021年2月に完成の「新電元工業 朝霞事業所プロジェクト」において、エネルギー削減率52%でZEB Readyの認証を取得、また、 CASBEEスマートウェルネスオフィス認証で最高のSランクを取得しました。CASBEEスマートウェルネスオフィス認証とは、建物内で働く人たちの健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、性能、取り組みと、知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能の評価に加え、総合環境性能評価(CASBEE-建築)による評価も確認し、認証されるものです。当建物の基本性能として外周(外壁・窓等)の断熱性能を強化するとともに、アトリウムを中心に自然エネルギーを活用した省エネ技術の採用とコミュニケーション・健康行動を誘発する計画としています。また設備面では、二重床に高効率空調機からの空気を送風して吹出口から吹き出すことでエネルギー消費を抑制しながら快適・クリーンな居住環境を維持する空調システム、視覚効果を解析することで照度を抑えて最適な明るさを提供する照明システム等により、省エネと知的生産性の向上を実現する計画としています。
(グループ事業)
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていません。
当社が保有する高度技術ならびに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っています。