当社グループは、2020年2月に策定した「安藤ハザマVISION2030」の実現に向け「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」に掲げた戦略的な成長投資を展開し、事業ポートフォリオの変革による環境変化に強い企業体質を構築するとともに、経営基盤の安定・強化と企業価値の向上に取り組んでいます。
計画2年目となる当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症で一部影響を受けた施策はありますが、当社グループ3拠点目となる新PCa工場稼働、ICT及びAIを活用した自動化・省力化の技術開発等、本業である建設事業の強化を進めるとともに、再生可能エネルギー事業として坂出バイオマス発電事業への参画・出資、太陽光PPA事業の取り組み、保有資産の効率活用を目指すファシリティマネジメント事業として東北支店ビルの建替による収益化に着手等、建設外事業への取り組みについても着実に推進してきました。
一方で、世界経済の先行き不透明感が増し、建設事業を取り巻く環境も大きく変化する可能性があるなか、改革をさらに加速させ資本効率の高い経営を強力に推し進めていく必要性が急激に増していることから、中期経営計画の進捗状況も踏まえ、資本効率の改善を加速させ、さらなる安定的かつ継続的な株主還元の充実を図るため、2021年11月に株主還元方針の拡充を決定し、中期経営計画における2022年3月期からの2期累計の総還元性向の目標を100%以上に設定しました。この目標に向けて、増配と併せて自己株式の取得を進めており、2022年3月期においては通期で約151億円の取得を完了するとともに、2023年3月期の1年間での新たな上限100億円の取得を決定しました。
当社グループは、「安心、安全、高品質な良いものづくり」という事業活動の基本方針の下、中期経営計画に掲げた重点施策を引き続き推進し、安全管理、品質管理、コンプライアンスの徹底を図り、社会から信頼され、社会とともに成長する企業グループを目指します。
なお、「安藤ハザマVISION2030」、「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」の概要は以下のとおりです。
<「安藤ハザマ VISION2030」の概要>
(1)長期ビジョン
~イノベーションの加速で新たな価値を創造~
「お客様価値の創造」/「株主価値の創造」/「環境価値の創造」/「従業員価値の創造」
(2)取組内容
・建設事業:受注力×現場力×収益力の更なる強化
・建設外事業:エネルギー関連事業を核とした収益源の確立
(3)長期目標数値
連結経常利益400億円、同利益に占める建設外事業収益比率25%
<中期経営計画(2021.3期~2023.3期)の概要>
(1)主な重点施策
①国内建設事業
・都市土木の実績、技術優位性を活かした大型高難度工事への取組継続
・電力・エネルギー分野の強化
・高速道路更新事業、上下水施設更新など維持更新分野へ注力
・エネルギーマネジメント技術を活用した提案力の強化
・再開発事業等への取組による建設事業の強化
②海外建設事業
・現地パートナーとのアライアンスによる体制強化
・グローバル人財の育成強化
③エネルギー関連事業
・パートナーとの協働により、エネルギー事業における収益源を拡充
・再生可能エネルギー事業により、環境価値を創造
④ライフサイクルサポート事業
・ライフサイクルコストの最適化や施設の長寿命化に対応したソリューション型営業の展開
⑤不動産事業、インフラ運営事業
・収益物件の取得や不動産開発事業への取組によるストックビジネスへの参入
・インフラ運営事業(PPP/PFI等)への取組強化
⑥技術開発
・AI・ICT・BIM/CIMを活用した生産性向上技術・管理システムの開発
・設計・積算工程等の省人化技術の開発
・生産性向上に資するPCa部材の活用拡大技術の開発
・防災・減災を実現する耐震・制震技術の開発・高度化
・脱炭素社会に貢献するエネルギーマネジメント技術の開発・実証・展開
・実案件への適用でZEB技術を実践・高度化
⑦グループ会社、協力会社、従業員
・4週8閉所の実現への取組強化、働き方改革の推進
・インテグリティを浸透させ、コンプライアンス意識を継続的に向上する企業風土の醸成
<中期経営計画(2021.3期~2023.3期)における株主還元方針の拡充の概要(2021年11月決定)>
(1)中期経営計画期間における総還元性向は、計画最終年度である2023年3月期において「50%以上」の
目標を、2022年3月期及び2023年3月期の2期累計の目標を「100%以上」に拡充し、この目標達成
に向けて、自己株式取得と普通配当を併せて2期累計で総額350億円以上の株主還元の実施を予定しま
す。
また、企業価値向上に向けた資本政策の一環として、2020年2月以降に取得した自己株式19,322,200
(消却前の発行済株式の総数に対する割合9.64%)を2021年11月に消却しました。
(2)2022年3月期から2023年3月期までの株主還元方針
※ 2021年4月~10月の取得額51億円を含む
<中期経営計画(2021.3期~2023.3期)の数値目標>
連結目標数値
今後の事業環境につきましては、感染症による影響に加えて、ウクライナ情勢等による不透明感がみられ
る中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクにも注意する必要があります。
建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化への
対応としての、働き方改革、生産性向上、人材の育成等が継続的な課題になっており、また、社会的要請と
して脱炭素をはじめサステナブルな社会の実現への取り組み強化が求められています。
当社は、リスクの発生防止及びリスクが発生した場合の損失の最小化を図り、会社業務の円滑な運営に資するため、リスクマネジメントに関する規定類及び体制を整備し、当社グループ全体で対応すべき重要なリスクの評価、当該リスクへの対応策のとりまとめ、及び当該対応策の推進を図っています。
また、内部統制システム全般についての継続的改善を目的に、取締役会の諮問委員会として設置された内部統制委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会へ報告することとしています。
リスクマネジメント体制を含む内部統制システムの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 (2)提出会社の企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ④その他の提出会社の企業統治に関する事項」に記載のとおりです。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。
(1) 競争環境の悪化
想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応すべく、長期ビジョン、中期経営計画及び事業計画(単年度)を策定した上で事業活動を営んでいますが、想定を上回る環境の変化が発生した場合には、適宜計画等の見直しを行い、業績等への影響を極小化すべく取組む方針です。
当社グループは会社法、金融商品取引法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けています。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っていますが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社グループにおいて一貫した方針のもとに公正かつ透明な事業運営を確保するために、コンプライアンス推進委員会を設置するとともに各部門及び主要グループ会社にはコンプライアンス責任者・担当者を配置し、本社監査部主管のもと、各種推進活動の効果的な展開を図っています。
(3) 諸外国における事業環境の変化
諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、既進出国の法令諸規則、税制、政治・経済・社会情勢に関する情報を当該国の専門家から入手し、重大な変更が見込まれる場合は事前に社内体制を強化する等、変化に対応すべく取組んでいます。また、新規進出国の事業環境に関する情報は、外部の専門家を使い情報を入手し、入手した情報に基づいて取締役会で進出の可否に関して慎重に検討しています。
(4) 気候変動リスク
気候変動により、自然災害が激甚化した場合、工事中断や施工遅延、自社施設への被害等により事業活動及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、脱炭素社会への移行に向け、工事施工に伴うCO2排出量や建物利用時の脱炭素化等に関する規制強化や炭素税の導入により、工事施工量の制限や、建設コストの上昇による受注機会の減少等が発生し、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、事業継続に向けて自然災害に対する備えを適切に行うとともに、2020年2月に制定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」の中で「環境価値の創造」を掲げ、「脱炭素で低負荷な循環型社会の実現」への貢献を目指しており、SBT、RE100の計画に基づいた、事業活動における再生可能エネルギーの利用拡大や、建物のCO2排出量削減につながる環境配慮型技術の開発等、脱炭素社会の実現に向けた取組を推進しています。
また、当社は2021年8月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明し、同年10月にはTCFD提言に沿った、気候変動問題に関連する情報を開示しています。また、環境課題に対するガバナンス体制の強化と意思決定の迅速化を図るべく、「環境戦略委員会」を設置しています。
(5) 感染症の蔓延
感染症の蔓延が発生した場合、会社機能の一部の一時停止や工事の一時中断等により、また、事業環境の悪化による工事受注高の減少等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症への対応としては、社長を本部長とする新型コロナウイルス感染症本社対策本部を設置し、感染拡大防止に努めています。
(6) 労務費・資材価格の高騰
国内外の急激な経済情勢の変化を受けて、労務・資材・エネルギーの不足や価格の急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、集中購買や海外調達等によるコストダウンを図るとともに、物価及び賃金等の変動に基づく請負代金額の変更に関する規定を、発注者と締結する契約書の条項に含める等の対策を実施しています。
当社では計画的な人員計画により、継続的に新規人材を採用していますが、技術系社員について必要な採用数が確保できない場合、事業規模の縮小を余儀なくされ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、建設業界においては技能労働者が減少傾向にあり、必要な労務が確保できなくなること、あるいは労務調達コストの上昇により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2020年2月に策定した「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」において、4週8閉所の実現への取組強化、働き方改革の推進を重点施策に掲げ、協力会社に対する経営基盤強化支援、人材育成支援、採用支援等を行うことにより、将来の施工体制の維持に向けて積極的に取り組んでいます。また、当社内においては、働き方や成果に応じた処遇を実現するための人事諸制度の見直し、働き方改革の推進によるワークライフバランスの実現等を重点施策として掲げ、将来の人材確保、流出阻止に向けて積極的に取り組んでいます。
(8) 労働災害、第三者災害
労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っていますが、労働災害等が発生した場合、工事の一時中断、被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、安全衛生基本方針に「安全はすべてに優先する」を掲げ、労働安全衛生マネジメントシステムを構築、運用し、協力会社を含む全工事従事者に対し安全衛生管理の徹底を図っていますが、万が一労働災害等が発生した場合には、各支店に設置している安全環境部を中心に、営業、施工、管理の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
施工中の工事現場で火災事故等が発生した場合には、工事の一時中断による収益減少、復旧費用や被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、2018年7月26日に発生した東京都多摩市の当時施工中の建築物件における火災事故を踏まえ、再発防止策を策定し、すべての作業所で適切に運用を行っています。また、建設本部、各支店において運用状況の点検、パトロール等を行い、策定したルールを順守するよう指導を行っています。
(10) 潜在的な契約不適合
工事目的物の品質管理には万全を期していますが、重大な契約不適合が発生した場合には顧客からの信頼喪失、契約不適合責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、品質マネジメントシステムに基づき、営業、設計、施工、アフターケアの各段階で顧客満足の向上に向けた生産活動に取組んでいますが、重大な契約不適合が発生した場合は、各支店に設置しているお客さま相談室を中心に、営業、施工の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。
(11) 情報漏洩
顧客の情報管理には細心の注意を払っていますが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、日々の情報管理の徹底に加えて、政府の定めるサイバーセキュリティ月間の活動にあわせた各種取組みも実施し、グループ会社の全従業員に周知徹底すべく、啓発活動を行っています。
(12) DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応遅れ
DXへの対応が遅れた場合には、業務の効率化が進まず、競合他社と比較して生産性の低下や人件費の増加等が発生し、価格競争に対応できなくなることで、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、全社的なDX戦略策定と、個別プロジェクト推進のスピードアップを図るため、2021年6月にDX推進を担当する専門部署を設置する等、取組体制の整備を進めています。
工事現場や各拠点において、錯誤等何らかの要因により反社会的勢力と取引等を行った場合、社会的信用の失墜により業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、行動規範において反社会的勢力との関係遮断を掲げ、また、反社会的勢力対応マニュアルを策定し、全役職員に対して周知徹底を図っています。また、調達基本方針の中でも反社会的勢力の排除を掲げており、取引先に対しても当方針の理念を説明し、理解した上で当社との取引を行っていただいています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っています。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株発生による感染拡大の影響が続いたものの、各種政策や海外経済の改善により、徐々に持ち直しの動きがみられました。
今後については、感染症による影響に加えて、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクにも注意する必要があります。
建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資にも回復の動きがみられたものの、先行き不透明感は継続しており、資材価格の上昇が進むなど、依然として競争環境は厳しい状況が続きました。
このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,402億円(前連結会計年度比3.4%減少)、営業利益266億円(前連結会計年度比2.8%減少)、経常利益258億円(前連結会計年度比0.2%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は176億円(前連結会計年度比2.8%増加)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
受注高は1,225億円(前連結会計年度比20.7%増加)、売上高は1,319億円(前連結会計年度比3.0%減少)、営業利益は158億円(前連結会計年度比10.5%減少)となりました。
受注高は1,872億円(前連結会計年度比6.1%減少)、売上高は1,785億円(前連結会計年度比7.1%減少)、営業利益は133億円(前連結会計年度比1.7%増加)となりました。
売上高は247億円(前連結会計年度比29.8%増加)、営業利益は24億円(前連結会計年度比51.8%増加)となりました。
(その他)
売上高は50億円(前連結会計年度比4.1%増加)、営業利益は5億円(前連結会計年度比11.4%減少)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。
資産につきましては、前連結会計年度末より440億円減少し、2,953億円となりました。これは現金預金632億円の減少が、受取手形・完成工事未収入金等189億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より390億円減少し、1,536億円となりました。これは支払手形・工事未払金等234億円の減少、未成工事受入金91億円の減少、退職給付に係る負債50億円の減少が、預り金35億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より49億円減少し、1,416億円となりました。これは資本剰余金28億円の減少などによります。
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して632億円減少し、647億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少235億円、売上債権の増加189億円、未成工事受入金の減少91億円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益253億円の計上、預り金の増加35億円などの資金増加要因を上回ったことにより、360億円の資金減少(前連結会計年度は291億円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出25億円、関係会社出資金の払込による支出18億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入12億円などの資金増加要因を上回ったことにより、45億円の資金減少(前連結会計年度は39億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出153億円、配当金の支払額64億円、長期借入金の返済による支出45億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入42億円などの資金増加要因を上回ったことにより、225億円の資金減少(前連結会計年度は126億円の資金減少)となりました。
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。
なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。
建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績
(注) 1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。
2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。
3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比です。
(注) 1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。
2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。
前事業年度の主なもの
当事業年度の主なもの
3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。
前事業年度
該当する相手先はありません。
当事業年度
該当する相手先はありません。
d.手持工事高(2022年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち主なもの
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上
完成工事高及び完成工事原価の計上は、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しています。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価総額に占める割合に基づいて行っています。
また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しています。
なお、工事原価総額には、過去の工事の施工実績を基礎として、個々の案件に特有の状況を織り込んでおり、決算日ごとに見直していますが、外注価格及び資機材価格の高騰、手直し等による施工中の追加原価の発生など想定外の事象により工事原価総額が増加した場合は、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症拡大により影響を受ける重要な見積り項目はありません。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態
当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より440億円減少し、2,953億円となりました。これは現金預金632億円の減少が、受取手形・完成工事未収入金等189億円の増加を上回ったことによります。
負債につきましては、前連結会計年度末より390億円減少し、1,536億円となりました。これは支払手形・工事未払金等234億円の減少、未成工事受入金91億円の減少、退職給付に係る負債50億円の減少が、預り金35億円の増加を上回ったことによります。
純資産につきましては、前連結会計年度末より49億円減少し、1,416億円となりました。これは資本剰余金28億円の減少などによります。
(ⅱ) 経営成績
売上高は、完成工事高が前連結会計年度比4.7%減少となったこと等により、前連結会計年度比3.4%減少の3,402億円となり、売上総利益は前連結会計年度比2.7%減少し468億円となりました。
営業利益は完成工事総利益が減少したことを主因とし、前連結会計年度比2.8%減少の266億円となりました。
営業外収支は、前連結会計年度に比べ受取遅延損害金の計上及び債務消滅益の増加等により7億円改善したものの、営業利益の減少により、経常利益は258億円と前連結会計年度比0.2%の減少となりました。
特別損益は、前連結会計年度に減損損失を計上したことの反動等により3億円改善しました。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は176億円(前連結会計年度比2.8%の増加)となり、前連結会計年度に比べ4億円の増益という結果となりました。
(ⅲ) キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して632億円減少し、647億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の減少235億円、売上債権の増加189億円、未成工事受入金の減少91億円などの資金減少要因が、税金等調整前当期純利益253億円の計上、預り金の増加35億円などの資金増加要因を上回ったことにより、360億円の資金減少(前連結会計年度は291億円の資金増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出25億円、関係会社出資金の払込による支出18億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入12億円などの資金増加要因を上回ったことにより、45億円の資金減少(前連結会計年度は39億円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出153億円、配当金の支払額64億円、長期借入金の返済による支出45億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入42億円などの資金増加要因を上回ったことにより、225億円の資金減少(前連結会計年度は126億円の資金減少)となりました。
当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。
今後の事業環境につきましては、感染症による影響に加えて、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等による下振れリスクにも注意する必要があります。
建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化への対応としての、働き方改革、生産性向上、人材の育成等が継続的な課題になっており、また、社会的要請として脱炭素をはじめサステナブルな社会の実現への取り組み強化が求められています。
(ⅰ) 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。
(ⅱ) 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。
長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。
当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(150億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。
また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。
2022年3月期から2023年3月期までの株主還元方針
※2021年4月~10月の取得額51億円を含む
中期経営計画(2021.3期-2023.3期)目標数値と計画期間中の実績
(参考)2022年3月期の年度事業計画と実績の差異
売上高につきましては、主に建築工事の受注高が目標数値に届かず、その結果完成工事高が期首計画値を下回ったため、売上高全体としても計画数値を下回りました。
経常利益につきましては、設計変更の獲得や原価管理の徹底等により手持工事の採算性が改善したことから、計画数値を上回りました。
(土木事業)
受注高は、前連結会計年度比20.7%増加の1,225億円となりました。完成工事高は、一部の手持工事の進捗の遅れなどにより前連結会計年度比3.0%減少の1,319億円となりました。営業利益は、完成工事高が伸びなかったことにより、前連結会計年度比10.5%減少の158億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.9ポイント減少し、16.2%となりました。
(建築事業)
受注高は、前連結会計年度比6.1%減少の1,872億円となりました。完成工事高は、上半期の受注が低調だったことなどから、前連結会計年度比7.1%減少の1,785億円となりました。営業利益は、完成工事高は伸び悩んだものの、原価管理の徹底により手持工事の採算性が改善となったことから、前連結会計年度比1.7%増加の133億円となりました。
当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.8ポイント増加し、11.6%となりました。
土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、受取手形・完成工事未収入金等の増加などにより、前連結会計年度末から182億円増加の1,746億円となりました。
(グループ事業)
売上高は247億円(前連結会計年度比29.8%増加)、営業利益は24億円(前連結会計年度比51.8%増加)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から26億円減少の421億円となりました。
(その他)
売上高は50億円(前連結会計年度比4.1%増加)、営業利益は5億円(前連結会計年度比11.4%減少)となりました。
セグメント資産は、前連結会計年度末から2億円減少の74億円となりました。
該当事項はありません。
当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発への投資総額は約
セグメントごとの内訳は、土木事業約
① 山岳トンネル
ICTにより山岳トンネル工事の生産性を大幅に高める取り組みとして「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM®)」の開発を推進しています。当連結会計年度には、移動式クラッシャーの遠隔操作システム、発破における穿孔作業の完全自動化や、発破により破砕した掘削ずりの搬出作業の省力化を実現しました。また、山岳トンネル坑内及び切羽における受発注者双方の施工管理業務の省力化を目的として開発した遠隔臨場支援システムは、国交省のPRISMに採択され高い評価を得ています。
② 建機の自動運転
建設現場での施工は、複数種類の建設機械を使用します。これまでに開発した振動ローラとブルドーザの自動運転システムに加え、当連結会計年度には、油圧ショベルの自動運転システムを開発し、実証実験を実施しました。今後も建機の自動運転の高度化と実用化を進めてまいります。
③ コンクリート工事
コンクリートの締固めの良否判定は熟練工が行ってきましたが、今後、その担い手不足が懸念されます。そこで、深層学習により熟練工と同等の良否判定を実現する「コンクリートの締固めAI判定システム」の開発を進めており、自社のコンクリート製品工場への展開を目指しています。
(2) 建築事業
① 設計技術
基本計画前段階の業務である企画段階のボリューム設計を、AI・データ解析を用いて自動化する構想をまとめ、現在システムを開発中です。経験の浅い設計者が4~5日程度要していたボリューム設計を、概算コストを含め1日で自動作成することを目指しています。また、設計者の経験によらず、短期間で精度の良い構造計算結果が得られる自動計算システムと、構造計算モデルの部材を自動的にグルーピングするAIグルーピングシステムを開発したことで、従来の構造計算の半分程度の時間で結果が得られるようになりました。これらの設計技術により、設計者がより創造的な設計を思考する時間を確保し、付加価値生産性を高めてまいります。
② 杭基礎工事
従来工法に比べて、現場での人工を約20%削減、パイルキャップ1か所あたりコンクリートの使用量を約30%削減できる「安藤ハザマPCaパイルキャップ工法」を開発しました。需要が顕著な大規模物流倉庫などを中心に、本工法を積極的に展開してまいります。
③ ロボット/IoT
床面コンクリートの自立走行式ひび割れ検査ロボット、鉄筋の立体配置を認識する配筋検査システムなど、これまで多大な労力を要していた作業の自動化を進めています。また、建設業界全体の生産性及び魅力向上をより一層強力に推進するために、「建設RXコンソーシアム」に参画し、同業他社との建設施工ロボットやIoT分野での技術連携を進めています。
(3) グループ事業
当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていません。
当社が保有する高度技術並びに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っています。