第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループは、2020年2月に策定した「安藤ハザマ VISION2030」の実現に向け「中期経営計画(2021.3期~2023.3期)」に掲げた戦略的な成長投資を展開するとともに、事業ポートフォリオの変革による環境変化に強い企業体質を目指し、経営基盤の安定・強化と企業価値の向上に取り組みました。
 計画最終年度となる当連結会計年度においては、ICTやAIを活用した自動化・省人化の技術開発、脱炭素・循環型社会の実現に向けたカーボンプールコンクリートの開発・実装や太陽光PPA・バイオマス発電等の再生可能エネルギー事業の取組、DX認定事業者選定やBIM国際標準規格の認証取得など生産性向上に寄与するDX推進、健康経営の実践や従業員の労働環境の充実、人財育成基本方針・教育計画の再構築等、各種の重点施策において確実な成果を残しました。
 一方、目標数値は、新型コロナウイルス感染症拡大や、地政学リスクに起因する資材高など、様々な想定外の事象に伴う建設市場の変化もあり、最終年度の経常利益や資本効率は計画未達となりましたが、2021年11月の株主還元方針拡充後の総還元性向目標は達成しました。
 当該状況を受け、当社は、変化が激しく先行き不透明な今の時代においては、今後も起こり得る想定外の困難を克服し、持続的な成長を実現していくため、多様な個々の力をこれまで以上に高め集結し、さらなる組織力の強化を図っていく必要があると考えており、その実現に向け取り組むべき課題を「事業強化」「人的資本の価値向上」「ESG経営の推進」の3点と捉え、今般「中期経営計画2025」を策定しました。

なお、「安藤ハザマVISION2030」、「中期経営計画2025」の概要は以下のとおりです。

 

<「安藤ハザマ VISION2030」の概要>
  (1)長期ビジョン
    ~イノベーションの加速とたゆまぬチャレンジで新たな価値を創造、社会課題の解決に貢献~
   「お客様価値の創造」/「株主価値の創造」/「環境価値の創造」/「従業員価値の創造」
  (2)取組内容
   ・建設事業:受注力×現場力×収益力の更なる強化
   ・建設外事業:エネルギー関連事業を核とした収益源の確立
  (3)長期目標数値
    連結経常利益400億円、同利益に占める建設外事業収益比率25%
 

<中期経営計画2025の概要>
  (1)計画期間
    2024年3月期~2026年3月期
  (2)基本方針
    4つの価値創造に向けて ~企業価値向上+会社の魅力向上~
  (3)取り組むべき課題と対応の方向性

  ①事業強化

   外部環境変化に即応した事業運営、適切な資本施策の実現

   ・安全、品質の向上と利益の確保
    ・強みのあるセグメントの拡充など、建設事業の営業力、現場力、設計能力、及び技術力の強化
    ・成長投資の着実な実行による環境変化への耐性が高い事業ポートフォリオの構築
    ・グループ会社の専門性を生かしたコスト競争力の強化
    ・ノウハウの伝承などの人財育成と協力会社との関係強化による施工体制の強化
    ・DXへの取組強化によるデータに基づく戦略立案・実施と生産性向上
   ②人的資本の価値向上

   積極的な人的資本投資による従業員価値の最大化

   ・人的資本投資の拡充

   ・多様な人財確保と従業員価値の最大化による経営基盤強化

 

  ③ESG経営の推進

   環境・社会への貢献、ガバナンスの継続的な強化

   ・ESGへの取組強化等により環境変化への感度を高め、社会やお客様のニーズへの対応力強化
    ・ガバナンス強化による資本効率の高い経営推進と適切な成長投資の実行
 

 (4)目標数値

 

2026年3月期(計画最終期)

連結経常利益

265億円

連結R O E

12%以上

連結総還元性向

70%以上

従業員エンゲージメントスコア

80%以上

GHG排出削減率

Scope1+2 34%以上

Scope3   21%以上

 

 

今後の事業環境につきましては、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価・エネルギー価格の上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

建設業界では、長期的な人口減少等を背景にした建設投資の縮小や、建設技能労働者の減少と高齢化及び2024年4月に予定される時間外労働の上限規制への対応としての働き方改革、生産性向上、並びに人的資本の向上に資する人財育成や処遇改善等が継続的な課題になっており、加えて社会的要請として脱炭素をはじめサステナブルな社会の実現への取組強化が求められています。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

 ① ガバナンス

当社グループは、長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」にて、「お客様価値の創造」「株主価値の創造」「環境価値の創造」「従業員価値の創造」の4つの価値創造を柱に据え、その実現に向けて「中期経営計画2025」(2023年度~2025年度)の各種施策を推進するとともに、サステナビリティ推進体制を強化するため、2023年6月29日に取締役会の諮問機関として代表取締役社長が委員長を務め、ESG諸課題を幅広く審議するサステナビリティ委員会を設置しました。また、サステナビリティ委員会と連携する専門委員会として環境戦略委員会、人的資本戦略委員会、内部統制・リスク管理委員会等を整備しています。サステナビリティ委員会は、変化する社会環境下における当社グループの持続可能性の観点から、企業価値を向上させることを目的として年に3~4回開催され、主に以下の内容を審議し、取締役会に答申、報告します。

・マテリアリティの特定、リスクと機会の特定

・サステナビリティに関する戦略、KPIの検討、開示資料の検討

・コンプライアンス、内部統制及びリスク管理に関する重要事項の特定

・サステナビリティに関する現状及び各種計画の進捗状況の確認(モニタリング)

代表取締役社長が議長を務める経営会議においては、各部門や専門委員会等で検討されたサステナビリティに関するリスクと機会についての対応方針、計画、対策等を審議し、取締役会に報告します。

 取締役会は、サステナビリティ全般のリスク及び機会を監督する責任と権限を有しており、経営会議で審議されたサステナビリティに関するリスクと機会の対応方針、計画、対策等について、サステナビリティ委員会の答申・報告を踏まえて、審議・監督を行います。各取締役のサステナビリティ課題への取組みの成果(温室効果ガス排出量や従業員エンゲージメントスコア等)は、報酬額の算定に反映されます。

 

 ② リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、内部統制・リスク管理委員会において行っていますが、サステナビリティに関するリスクの識別、重点的に対応すべきリスクの特定については、各専門委員会の審議を経て、サステナビリティ委員会で詳細な検討を行い、共有します。重点的に対応すべきリスクの選定については、当社グループへの財務的な影響、社会的な影響度及び発生可能性を踏まえて行われます。重点的に対応すべきリスクは、各種計画に反映され、取締役会に報告、監督されます。サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、サステナビリティ委員会においてモニタリングされ、取締役会に報告されます。サステナビリティに関する機会の特定及び評価は、各専門委員会での審議を経て、サステナビリティ委員会で行われます。重要な機会については、経営会議での審議を経て、各種計画等に反映され、取締役会へ報告、監督されます。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

上記ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりです。

・人的資本及び環境(気候変動)

 

 ① 人的資本

 <経営戦略と人財戦略の連動>

当社グループは、「安藤ハザマVISION2030」の実現のためには、多様な個々の力をこれまで以上に高め集結し、さらなる組織力の強化を図っていく必要があると捉え、「中期経営計画2025」では、「事業強化」「人的資本の価値向上」「ESG経営の推進」の3点を当社グループの経営課題と認識し、各種施策を展開しています。

 

「人的資本の価値向上」の実現に向け、納得性の高い人事評価制度の整備、報酬水準の向上、自律的なキャリア形成支援の強化、及び多様な働き方の実現等、各種施策を実施することで従業員エンゲージメントの向上に資する会社の魅力向上策を推進するとともに、多様な人財の確保と人的資本価値の最大化による経営基盤の強化を進めており、2025年度の全社KPIの一つとして「従業員エンゲージメントスコア80%以上」を掲げています。

当社グループは、建設業界で最も従業員を大切にする会社を目指しています。Well-beingを人財戦略の中心に据え、会社と従業員が価値を共有し、将来に向けて共に成長していくため、人財への投資と各種施策を積極的に推進していきます。

 

 <人財育成方針>

 人財育成は全員で取り組むべき課題であり、一人ひとりが自身の能力や専門性を高め積極的に人財育成に関わることが大切であるとの考えのもと、2013年の合併時に策定した「人材育成の基本方針」を、2023年4月に「人財育成基本方針」へと改訂しました。当該方針に基づき、「安藤ハザマVISION2030」における従業員価値の創造を実現し、会社と従業員が共に成長していくことを目指します。

 

 

  人財育成の指針

   一、多様な人財がいきいきと能力を発揮し、社会のために挑戦できる組織風土を醸成する

   一、社員自らが描くありたい姿に近づくための機会を提供し、支援する

   一、長期的な視点で継続的・計画的に人財を育成する

 

 

 

当社グループは、「安藤ハザマVISION2030」にも掲げる通り、継続的かつ戦略的な成長投資を行い、本業である建設事業のさらなる強化に加え、事業ポートフォリオの変革に向けて建設以外の事業の強化にも積極的に取り組んでいます。

 

土木・建築事業:営業力及び現場力の強化を企図した育成・採用・配置を以下のとおり実施しています。

・技術部門からの計画的な人員配置による営業体制の強化

・現場職員のスキルアップ(各種専門技術研修の充実及び動画コンテンツ教育の実施、一級資格の早期取

 (資格取得支援、取得インセンティブ付与)、施工技術伝承に資する案件選定と若手職員計画配置、若手

  役職者の早期育成、ICTリテラシー教育によるBIM/CIMの活用拡大)

・優秀人財の採用強化と入社後フォローの充実(キャリア採用の拡充と新卒採用強化、インターンシップ・

 現場見学会・施工体験会などの積極的な展開、メンター制度導入による若手社員のフォロー充実)

・技術系職員が安全・品質管理業務に集中できる人財の適正配置

 

海外事業:地政学リスク等の不透明な外部環境を踏まえ、事業の安定化に軸足を置き、将来の着実な成長を支

          える人財の育成を以下の通り実施しています。

・国際事業本部の外国籍職員比率を10%以上に向上

・外国籍職員を含む有能な若手・中堅社員の計画的な育成及び役職者・PMへの積極登用を実施し組織活性

 化を促進

・インターナショナル・ナショナルスタッフの海外拠点幹部候補の育成

・国内の若手・中堅社員のキャリアパスとして短期海外勤務ローテーション制度を新設

・国際事業本部の幹部候補に対する特別教育制度を導入し、新規領域への進出も視野に入れた国際ビジネス

  に通用する人財を育成

 

 

DX:当社グループの「DXビジョン2030」では、多様な働き方の実現、能力拡張の実現、イノベーション(新

      たな価値の創造)を掲げています。その実現に向け、人財データのデジタル化と一元化、IT・DX

      人財の確保を進めています。具体的には、職種に応じたITリスキリング教育、高度IT・DX人財

      の育成・登用・採用、教育一元管理システムの導入・活用を行っています。

 

 今後は、創エネ(再エネ)事業など注力する建設以外の事業を含む事業全体を視野に、戦略の実現に必要となる最適な人財像を精査のうえ、人財ポートフォリオ全体での中長期的な採用・育成・配置を念頭に置いた人財戦略を検討していきます。なお、当社グループでは、協力会社での事業の担い手確保に向けた教育・研修の支援も実施しています。

 

 <社内環境整備方針>

 当社グループは「安藤ハザマVISION2030」にて「従業員価値の創造」をビジョンの一つに掲げており、「中期経営計画2025」では、Well-being実現、自律的キャリア形成支援、「共育」「挑戦」「創造」の風土醸成などを従業員へコミットしています。

従業員エンゲージメントの向上は「安藤ハザマVISION2030」で定める施策であるほか、「中期経営計画2025」における全社KPI、そして役員報酬KPIにも定めている当社の人財戦略における最重要施策の一つです。従業員エンゲージメント調査では、Well-being、キャリア開発、職場風土、理念への共感等に関する項目を質問しており、中期経営計画等で従業員へコミットしている各種項目に対する、まさに効果測定の役割を果たしていると言えます。「中期経営計画2025」における全社KPIで従業員エンゲージメント関連項目の肯定的回答率80%以上を掲げていますが、2022年度の実績は72%となりました。今後、調査結果の分析を通じて組織課題を特定のうえ、PDCAサイクルによってその改善に努めていきます。

 また、風土醸成の取組としては、2022年度に役員インタビューを通じて期待する人財像として以下を定義しており、2023年3月には従業員への説明会を実施しています。変化を受け入れて挑戦しイノベーションを生み出す力が必要という思いを、以下の人財像に込めています。

 

 

  当社人財へ期待する姿

  一、「共育」一緒に働く仲間を大切にし、共に成長する

  一、「挑戦」志を持って困難に立ち向かいやり遂げる

  一、「創造」自ら考え、新しい価値を創造する

 

 

 

加えて、当社グループは多様な人財が「やりがい」と「ゆとり」をもって活躍しやすい職場を目指しています。より働きやすい環境となるように、コアタイムなしのフレックスタイム制度や在宅勤務制度を導入しており、育児や介護と仕事を両立するための様々な制度も整備しています。特に男性の育児休業取得推進に向けては、制度の整備のほか管理職向けの研修等も実施し、取得率も着実に増加しています。また、女性の活躍をダイバーシティ戦略の大きな柱の一つに据えており、女性比率・女性管理職比率の向上に向け、女性採用のための広報活動や働き続けられる職場環境整備にも力を入れて取り組んでいます。

指標

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

2026年3月期

目標値

男性労働者の育児休業取得率

13.6%

18.3%

26.6%

50%

定年制社員女性比率 ※

12.9%

13.3%

14.2%

15%

 

※年度末時点での女性比率を記載しています。

 

 

 <人的資本ガバナンス>

当社では、長期ビジョンに掲げる4つの価値創造の実現に相応しい多様性のある人財を取締役会の構成メンバーに選定していますが、「従業員の価値創造」実現にあたり、2023年6月定時株主総会以降は10名の取締役のうち半数の5名が「人的資本」のスキルを有する取締役(うち社外取締役は4名)となります。当社取締役会は人的資本に関する十分な議論を行う専門性を有しており、上記人財戦略の状況につき定期的なモニタリングを行なっていきます。また、人的資本経営の執行を支える機能の一環として、戦略的な人財の確保・育成を主管するキャリア開発部と、ダイバーシティ・インクルージョンの推進を担う人事部ダイバーシティ推進グループを専門部署として2022年4月に設置し、さらにESG諸課題を幅広く審議する「サステナビリティ委員会」を取締役会の諮問機関として2023年6月に設置するとともに、人的資本の価値向上をより一層強力に推進するため、サステナビリティ委員会と連携する「人的資本戦略委員会」を設置し、全社的に人的資本経営の加速化を図っています。

当社は、取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く)及び執行役員を対象として、2016年から中長期インセンティブとして業績連動型株式報酬制度(役員報酬BIP信託)を導入していますが、2023年6月開催の定時株主総会において、「安藤ハザマVISION2030」及び「中期経営計画2025」の実現に向けた取締役のリーダーシップの発揮を促進することを目的として、本制度の一部改訂を決議しています。改訂後の本制度では、多様な従業員が活躍できる環境づくりに向けて、経営陣がその責務を果たすことができるよう、「従業員エンゲージメントスコア」を指標として設定しています。

また、2022年には、当社従業員に対しても、従業員の処遇改善を図ること、人財育成制度の拡充を通じて従業員の成長と会社の発展が一体となること、当社の将来的な経営人財の成長・成果と当社の発展・企業価値向上との関連性を強化することを目指して、従業員を対象としたインセンティブプラン(株式付与ESOP信託)を導入しており、人的資本ガバナンスにつきましては、全社をあげて取り組んでいます。

 

 

 ② 環境(気候変動)

 (イ)ガバナンス

気候変動に起因するリスク・機会に関しては、環境戦略委員会で審議されます。環境戦略委員会には事業部門の代表者及び役員が参加し、リスク・機会の特定及び顕在化した際の影響分析、その対応策の検討を年4回実施します。その結果は経営会議を通して取締役会に報告されます。気候変動を含む事業等に重要な影響を与える可能性のあるリスクについては、内部統制・リスク管理委員会において、リスクマネジメントの検討・審議が行われ、サステナビリティ委員会での審議を経て、取締役会へ報告されます。気候変動に起因するリスクに関しては、環境戦略委員会と連携し対応しています。

 

 (ロ)リスク管理

当社グループでは、気候変動について将来における気温上昇のシナリオとして、1.5℃・2℃・4℃の3種類の温度帯を想定し、2030年及び2050年におけるシナリオ分析を実施しています。

具体的には、当社グループのサプライチェーン/バリューチェーンを念頭に、当社グループ全体への影響及び各プロセス(開発・設計→資材調達→施工→保守・修繕)において想定しうる影響を抽出し、4℃シナリオ・2℃シナリオ・1.5℃シナリオの下でどのような財務影響が起こり得るのか想定し、さらに「発生頻度」「影響期間」「影響の大きさ」「コアビジネスとの関連性」「顕在化する可能性」「顕在化する時期」といった評価軸を用いて、各リスク・機会を3段階で評価し、総合的に重要度を評価しています。

特定されたリスクに対して、取締役会及びサステナビリティ委員会の監督の下、環境戦略委員会及び内部統制・リスク管理委員会を中心にリスクの回避、軽減、移転、保有に関する方針の策定や対応策の立案など、全社を通じたリスクマネジメントを行います。また、対応策の実施状況並びにその効果についてモニタリングを実施します。

 

 (ハ)戦略

<シナリオ分析によって特定した気候関連のリスク及び機会、当社グループ事業への財務影響>

当社グループでは、将来における気温上昇のシナリオとして、1.5℃・2℃・4℃の3種類の温度帯を想定し、2030年及び2050年におけるシナリオ分析を実施しています。

以下の表に示す政府機関及び研究機関で開示されているシナリオなどを参照して、重要度の評価及び財務影響の分析を実施しています。

 

参照したシナリオ/外部パラメータ出典

移行リスク

World Bank「State and Trends of Carbon Pricing 2021」(2021年)

IEA「WEO 2018」(2018年)4℃シナリオはNPS、2℃シナリオはSDS

IEA「WEO 2020」(2020年)4℃シナリオはSTEPS、2℃シナリオはSDS、1.5℃シナリオはNZE2050

物理リスク

World Bank「Climate Change Knowledge Portal」 4℃シナリオはRCP8.5、2℃シナリオはRCP2.6

国土交通省「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」(2021年)

ILO “Working on a warmer planet”(2019年)

環境省、気象庁「21世紀末における日本の気候」(2015年)

環境省他「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート2018」(2018年)

移行機会

IEA「WEO 2020」(2020年)4℃シナリオはSTEPS、2℃シナリオはSDS、1.5℃シナリオはNZE2050

資源エネルギー庁、総合資源エネルギー調査会等公表資料

 

 

 

当社グループでは、気候関連のリスク及び機会を評価する際に、Scope1、2、3排出量や電力消費量、また各シナリオで参照される炭素価格の予測、真夏日の増加日数割合などをパラメータ(指標)として活用しています。

それらのパラメータを用いて評価を行った、当社グループの事業に影響を及ぼす、気候変動に起因するリスク・機会と各リスク・機会の重要度(影響の大きさ)を以下の表に示します。

 

◆リスク

分類

リスク

タイプ

リスク要因

リスクが顕在化した際の当社グループへの

財務的影響

影響度

4℃

シナリオ

1.5℃

~2℃

シナリオ

移行

リスク

政策及び規制

カーボンプライシングの導入

カーボンプライシングの導入による資材調達費の増加

GHG排出量に対する価格付けの一つとして、炭素税の増税が想定される。それに伴って、原材料(資材)の製造原価であるエネルギー費用が増加し、原材料の価格が上昇する。

カーボンプライシングの導入によるエネルギー調達費の増加

GHG排出量に対する価格付けの一つとして、炭素税の増税が想定される。それに伴って、当社グループの直接コストである燃料調達費や電力・熱エネルギー調達費が増加する。

物理

リスク

慢性

夏季の平均気温の上昇

ヒートストレスによる建設技能者の生産性低下

平均気温の上昇に伴い、建設現場の労働環境が悪化し、生産性の低下が想定される。それに伴って、労働時間の増加あるいは人員の増加により、人件費が増加する。

建設技能者の健康被害(熱中症等)への対策費用の増加

平均気温の上昇により、建設技能者の健康被害(熱中症等)の増加が想定される。それに伴って、健康被害の対策のための設備投資コストが増加する。

急性

自然災害の激甚化、頻発化

サプライチェーンの分断による資材調達費の増加/建設作業所等の被災による人件費・仮設費の増加や工程遅延

気候変動の影響により、サイクロンや洪水などの自然災害が激甚化・頻発化することが想定される。それに伴って、サプライチェーンの分断が発生し、資材調達費の増加や工程遅延につながる。また自社の建設作業所等が被災し人件費・仮設費の増加や工程遅延につながる。

 

 

 

◆機会

分類

機会

タイプ

機会要因

機会が顕在化した際の当社グループへの

財務的影響

影響度

4℃

シナリオ

1.5℃

~2℃

シナリオ

機会

エネルギー源/市場

脱炭素エネルギー源の利用

再エネ発電施設への建設投資が増加>

脱炭素エネルギー源(再生可能エネルギー)の需要が高まり、再エネ関連施設の建設需要が増加し、関連工事の売上高が増加する。

エネルギーマネジメント提案により新築受注が増加>

脱炭素エネルギー源(再生可能エネルギー)の需要が高まり、エネルギーマネジメントを絡めて新築受注につなげることで関連工事の売上高が増加する。

製品及びサービス

脱炭素商品/サービスの開発、拡大

ZEBの普及と高付加価値化>

脱炭素エネルギー源/建築物の需要が高まり、次世代のエネルギーマネジメント技術やZEBのニーズ拡大に伴って、当社グループの売上高が増加する。

省エネリニューアルの需要増加>

脱炭素エネルギー源/建築物の需要が高まり、既存ビルの省エネ改修工事(省エネリニューアル)の需要増加に伴って、当社グループの売上高が増加する。

防災・減災、国土強靭化

防災・減災、国土強靭化の需要の増加>

激甚化する自然災害に適応するため、防災・減災、国土強靭化の需要が高まり、関連工事の売上高が増加する。

 

 

当社グループでは、2018年4月に環境方針を改定し、低炭素社会、循環型社会、自然共生社会の実現に向けて、環境重視経営をさらに加速させています。2022年度より新たな環境目的・目標(3か年)のもと、環境目標の確実な実践を推進しています。また、SBT認定取得、RE100への加盟を通して脱炭素社会への取組を推進しています。

具体的にはこれらのリスクの回避/機会の獲得に向けて、以下のような対応策の実施を推進しています。(検討中の策を含む)

リスク/機会への対応

対応策

カーボンプライシングによるリスクへの対応

低炭素資材(低炭素型セメント等)の利用

軽油代替燃料(BDF/GTL燃料等)の利用

再エネ電気の確保と利用

業務効率化や生産性向上を含めた省エネ活動の継続

自然災害の激甚化、頻発化によるリスクへの対応

防災・減災・BCP対策の実施

脱炭素エネルギー源の利用に係る機会獲得への対応

発電所建設の豊富な実績と技術力を再エネ発電所にも展開

次世代エネルギーマネジメントシステムの開発とサービス展開

脱炭素商品/サービスの開発、拡大に係る機会獲得への対応

ZEB技術の高度化と自社設計案件での積極的な提案

省エネリニューアル技術を核としたワンストップサービスの実践(LCS事業)

防災・減災、国土強靭化

実績と技術優位性を活かした大型高難度工事への取組継続

 

 

 

 (ニ)指標及び目標

気候関連のリスク及び機会の分析に活用した指標及びScope1、2、3排出量との関連・目標

・当社グループのScope1、2、3排出量は気候関連のリスク・機会の影響を受ける指標であり、例えば新たに炭

  素税が導入されることで、エネルギーコストの増加や調達原材料の価格高騰といった財務影響につながりま

  す。

・Scope1、2、3排出量は財務影響に直結するパラメータ(指標)となるため、当社グループでは、その影響を

  軽減するためにScope1、2、3排出量の削減に努めています。なお、2050年カーボンニュートラルの実現に向

  けてScope1、2は、1.5℃シナリオに基づく目標、Scope3はWB2.0℃に基づく目標を掲げており、またRE

  100にも加盟しています。

 

表1.温室効果ガス削減目標

2030年度温室効果ガス排出量削減率(2017年度比)

Scope1、2

Scope3

55%以上削減

33%以上削減

Scope1 燃料使用に伴う直接排出

Scope2 電気等の使用に伴う間接排出

Scope3 サプライチェーンに相当する

    その他間接排出 

 

 

表2.RE100に関する再生可能エネルギー電力利用目標

事業活動における再生可能エネルギー電力利用割合

2030年度:80%

2050年度:100%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社は、リスクの発生防止及びリスクが発生した場合の損失の最小化を図り、会社業務の円滑な運営に資するため、リスクマネジメントに関する規定類及び体制を整備し、当社グループ全体で対応すべき重要なリスクの評価、当該リスクへの対応策のとりまとめ、及び当該対応策の推進を図っています。また、内部統制システム全般についての継続的改善を目的に、当連結会計年度末(2023年3月31日)においては、取締役会の諮問委員会として設置された内部統制委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会へ報告することとしていました。

2023年6月29日より、内部統制・リスク管理委員会が、リスクマネジメントの運営状況について、定期的に検証し、取締役会の諮問委員会として設置されたサステナビリティ委員会に報告し、サステナビリティ委員会は、当該運営状況を監督し、取締役会に報告する体制としています。

リスクマネジメント体制を含む内部統制システムの詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 (3)提出会社の企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由 ④その他の提出会社の企業統治に関する事項」に記載のとおりです。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 競争環境の悪化

想定を上回る建設市場の縮小や競争激化が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、当社グループを取り巻く事業環境の変化に対応すべく、長期ビジョン、中期経営計画及び事業計画(単年度)を策定した上で事業活動を営んでいますが、想定を上回る環境の変化が発生した場合には、適宜計画等の見直しを行い、業績等への影響を極小化すべく取組む方針です。

 

(2) 法令諸規制

当社グループは会社法、金融商品取引法、労働基準法、独占禁止法、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法等の適用を受けています。役職員に対するコンプライアンスの徹底や法令リスク管理等を行っていますが、法令諸規制の改廃や新設が行われて、もしくは法令諸規制の違反が発生して当社グループの営業活動に大きな制約が生じた場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、当社グループにおいて一貫した方針のもとに公正かつ透明な事業運営を確保するために、コンプライアンス推進委員会を設置するとともに各部門及び主要グループ会社にはコンプライアンス責任者・担当者を配置し、本社監査部主管のもと、各種推進活動の効果的な展開を図っています。

 

(3) 諸外国における事業環境の変化

諸外国で事業を行っているため、その国の法令諸規制・税制の予期せぬ改廃・新設、政治・経済・社会情勢の著しい変化、為替相場の大きな変動が発生した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、既進出国の法令諸規則、税制、政治・経済・社会情勢に関する情報を当該国の専門家から入手し、重大な変更が見込まれる場合は事前に社内体制を強化する等、変化に対応すべく取組んでいます。また、新規進出国の事業環境に関する情報は、外部の専門家を使い情報を入手し、入手した情報に基づいて取締役会で進出の可否に関して慎重に検討しています。

 

 

(4) 気候変動リスク

「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ②環境(気候変動) (ハ)戦略」に記載の「リスク要因」が顕在化した場合、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、事業継続に向けて自然災害に対する備えを適切に行うとともに、2020年2月に制定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」の中で「環境価値の創造」を掲げ、「脱炭素で低負荷な循環型社会の実現」への貢献を目指しており、SBT、RE100の計画に基づいた、事業活動における再生可能エネルギーの利用拡大や、建物のCO2排出量削減につながる環境配慮型技術の開発等、脱炭素社会の実現に向けた取組を推進しています。

また、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)重要なサステナビリティ項目 ②環境(気候変動) (イ)ガバナンス」に記載のとおり、気候変動に対するガバナンス体制を構築しています。

 

(5) 感染症の蔓延

感染症の蔓延が発生した場合、会社機能の一部の一時停止や工事の一時中断等により、また、事業環境の悪化による工事受注高の減少等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウイルス感染症への対応としては、「新型コロナウイルス感染症の基本的な感染対策」を策定し、感染拡大防止に努めています。

 

(6) 労務費・資材価格の高騰

国内外の急激な経済情勢の変化を受けて、労務・資材・エネルギーの不足や価格の急激な高騰により建設コストが大幅に増加した場合には、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、集中購買や海外調達等によるコストダウンを図るとともに、物価及び賃金等の変動に基づく請負代金額の変更に関する規定を、発注者と締結する契約書の条項に含める等の対策を実施しています。

 

(7) 技術者の不足

当社では計画的な人員計画により、継続的に新規人材を採用していますが、技術系社員について必要な採用数が確保できない場合、事業規模の縮小を余儀なくされ、業績等に影響を及ぼす可能性があります。また、建設業界においては技能労働者が減少傾向にあり、必要な労務が確保できなくなること、あるいは労務調達コストの上昇により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、2023年5月に策定した「中期経営計画2025」(2023年度~2025年度)において、掲げた協力会社に対する重点施策である、DX化への対応支援、人材育成支援、採用支援等を行うことにより、協力会社との関係強化を図り、将来の施工体制の維持に向けて積極的に取り組んでいます。また、当社内においては、Well-beingを人財戦略の中心に据え、従業員の報酬アップ、定年後再雇用者の処遇改善、納得性の高い人事制度及び評価システムの再構築、働き方改革の推進等を重点施策に掲げ、将来の人材確保、流出阻止に向けて積極的に取り組んでいます。

 

(8) 労働災害、第三者災害

労働災害等を未然に防止するため様々な安全対策の徹底を図っていますが、労働災害等が発生した場合、工事の一時中断、被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、安全衛生基本方針に「安全はすべてに優先する」を掲げ、労働安全衛生マネジメントシステムを構築、運用し、協力会社を含む全工事従事者に対し安全衛生管理の徹底を図っていますが、万が一労働災害等が発生した場合には、各支店に設置している安全環境部を中心に、営業、施工、管理の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。

 

 

(9) 火災・爆発

施工中の工事現場で火災事故等が発生した場合には、工事の一時中断による収益減少、復旧費用や被災者に対する損害賠償等により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、2018年7月26日に発生した東京都多摩市の当時施工中の建築物件における火災事故を踏まえ、再発防止策を策定し、すべての作業所で適切に運用を行っています。また、建設本部、各支店において運用状況の点検、パトロール等を行い、策定したルールを順守するよう指導を行っています。

 

(10) 潜在的な契約不適合

工事目的物の品質管理には万全を期していますが、重大な契約不適合が発生した場合には顧客からの信頼喪失、契約不適合責任等による損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、品質マネジメントシステムに基づき、営業、設計、施工、アフターケアの各段階で顧客満足の向上に向けた生産活動に取組んでいますが、重大な契約不適合が発生した場合は、各支店に設置しているお客さま相談室を中心に、営業、施工の各部門と連携して迅速に対応する体制を整えています。

 

(11) 情報漏洩

顧客の情報管理には細心の注意を払っていますが、万が一重要な情報が外部へ漏洩した場合には顧客や社会からの信用喪失、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、日々の情報管理の徹底に加えて、政府の定めるサイバーセキュリティ月間の活動にあわせた各種取組も実施し、グループ会社の全従業員に周知徹底すべく、啓発活動を行っています。

 

(12) DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応遅れ

DXへの対応が遅れた場合には、業務の効率化が進まず、競合他社と比較して生産性の低下や人件費の増加等が発生し、価格競争に対応できなくなることで、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、全社的なDX戦略策定と、個別プロジェクト推進のスピードアップを図るため、2021年6月にDX推進を担当する専門部署を設置しました。また、2022年11月には「DXビジョン2030」を作成・公開しており、DX推進により当社が目指す姿を明確にした上で、各施策への取組を加速させています。

 

(13) 反社会的勢力との接触

工事現場や各拠点において、錯誤等何らかの要因により反社会的勢力と取引等を行った場合、社会的信用の失墜により業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、行動規範において反社会的勢力との関係遮断を掲げ、また、反社会的勢力対応マニュアルを策定し、全役職員に対して周知徹底を図っています。また、調達基本方針の中でも反社会的勢力の排除を掲げており、取引先に対しても当方針の理念を説明し、理解した上で当社との取引を行っていただいています。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

① 財政状態及び経営成績の状況

  当連結会計年度におけるわが国の経済は、原材料価格の高騰や物価上昇などにより先行き不透明な状況が続いたものの、経済社会活動の正常化が進み、緩やかに持ち直してきました。

今後についても、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価・エネルギー価格の上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

建設業界におきましては、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は回復基調が継続しました。一方で、資材価格等の高騰の影響は続いており、今後も注視が必要な状況となっています。

このような状況のもと、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高3,721億円(前連結会計年度比9.4%増加)、営業利益198億円(前連結会計年度比25.4%減少)、経常利益196億円(前連結会計年度比24.1%減少)、親会社株主に帰属する当期純利益は151億円(前連結会計年度比14.1%減少)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりです。

(土木事業)

受注高は1,032億円(前連結会計年度比15.8%減少)、売上高は1,334億円(前連結会計年度比1.1%増加)、営業利益は149億円(前連結会計年度比5.2%減少)となりました。

(建築事業)

受注高は2,449億円(前連結会計年度比30.8%増加)、売上高は2,061億円(前連結会計年度比15.5%増加)、営業利益は93億円(前連結会計年度比29.6%減少)となりました。

(グループ事業)

売上高は274億円(前連結会計年度比10.6%増加)、営業利益は15億円(前連結会計年度比35.8%減少)となりました。

(その他)

売上高は51億円(前連結会計年度比1.8%増加)、営業利益は2億円(前連結会計年度比65.0%減少)となりました。

当連結会計年度末における財政状態は次のとおりです。

資産につきましては、前連結会計年度末より226億円増加し、3,180億円となりました。これは現金預金95億円の増加が、機械、運搬具及び工具器具備品16億円の減少を上回ったことによります。

負債につきましては、前連結会計年度末より230億円増加し、1,766億円となりました。これは未成工事受入金150億円の増加が、火災損害等損失引当金39億円の減少を上回ったことによります。

純資産につきましては、前連結会計年度末より3億円減少し、1,413億円となりました。これは自己株式を取得したことによる自己株式106億円の増加(純資産の減少)が、利益剰余金の増加85億円を上回ったことによります。

 

② キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して95億円増加し、743億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益222億円の計上、未成工事受入金の増加150億円などの資金増加要因が、売上債権の増加46億円、未収消費税等の増加37億円などの資金減少要因を上回ったことにより、322億円の資金増加(前連結会計年度は360億円の資金減少)となりました。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の取得による支出30億円、有形固定資産の取得による支出29億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入14億円などの資金増加要因を上回ったことにより、47億円の資金減少(前連結会計年度は45億円の資金減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出106億円、配当金の支払額66億円、長期借入金の返済による支出49億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入46億円などの資金増加要因を上回ったことにより、184億円の資金減少(前連結会計年度は225億円の資金減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループが営んでいる事業の大部分を占める土木事業、建築事業及びグループ事業の一部では生産実績を定義することが困難であり、これらの事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。

よって、受注及び販売の実績については、可能な限り「(1)経営成績等の状況の概要」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しています。

 

なお、参考のため個別の事業の実績は次のとおりです。

建設事業における受注工事高及び完成工事高の実績

a.受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高

 

期別

区分

前期繰越
工事高

(百万円)

当期受注
工事高

(百万円)

(百万円)

当期完成
工事高

(百万円)

次期繰越
工事高

(百万円)

前事業年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

土木工事

(329,717)

329,815

122,593

452,408

132,264

320,144

建築工事

(189,606)

189,815

187,250

377,065

178,526

198,538

合計

(519,324)

519,630

309,843

829,474

310,790

518,683

当事業年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

土木工事

(320,144)

320,293

103,274

423,568

133,430

290,138

建築工事

(198,538)

199,189

244,946

444,135

206,203

237,931

合計

(518,683)

519,483

348,220

867,704

339,634

528,070

 

(注) 1.前期繰越工事高の上段( )内表示額は、期首における前期末の次期繰越工事高を表し、下段表示額は為替の影響を受ける海外工事について換算修正したものです。

2.前期繰越工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含みます。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれます。

3.次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)です。

 

b.受注工事高の受注方法別比率

工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。

 

期別

区分

特命(%)

競争(%)

計(%)

前事業年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

土木工事

18.5

81.5

100.0

建築工事

43.3

56.7

100.0

当事業年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

土木工事

30.8

69.2

100.0

建築工事

22.8

77.2

100.0

 

(注) 百分比は請負金額比です。

 

 

c.完成工事高

期別

区分

国内

海外

(B)

(百万円)

官公庁

(百万円)

民間

(百万円)

(A)

(百万円)

(A)/(B)

(%)

前事業年度

自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

土木工事

76,435

48,200

7,627

5.8

132,264

建築工事

26,661

144,758

7,106

4.0

178,526

合計

103,097

192,959

14,733

4.7

310,790

当事業年度

自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

土木工事

77,905

48,299

7,225

5.4

133,430

建築工事

33,387

152,339

20,476

9.9

206,203

合計

111,292

200,638

27,702

8.2

339,634

 

(注) 1.海外工事の地域別割合は、次のとおりです。

地域

前事業年度(%)

当事業年度(%)

北米

26.3

49.9

東南アジア

26.6

31.1

中近東・アフリカ

1.7

0.2

中南米

12.0

6.5

南アジア

33.4

12.3

100.0

100.0

 

2.完成工事のうち主なものは、次のとおりです。

前事業年度の主なもの

岩手県

 二級河川大槌川筋大槌の1地区ほか河川災害復旧
(23災617号及び622号)水門土木工事

ラオス電力公社

ナムグム第一水力発電所拡張計画LOT.1

国土交通省中国地方整備局

玉島笠岡道路六条院トンネル工事

ディエイチ・アセット・ワン特定目的会社

(仮称)Dプロジェクト江東深川新築工事

日本中央競馬会

中山競馬場スタンドリフレッシュ(第2期)工事

学校法人福山大学

福山大学未来創造館新築工事その他工事

 

当事業年度の主なもの

東京発電株式会社

土樽発電所水車発電機他改良工事(土木・建築工事)

国土交通省関東地方整備局

山清路防災1号トンネル工事  

セントルシア国インフラ・港湾・エネルギー・労働省

セントルシア カルデサック流域橋梁架け替え計画  

つくば市

3-4国債(仮称)研究学園小学校・中学校建設工事

Sumi Vietnam Wiring Systems Co., Ltd.

住友電装(SVWS)ベトナム第3工場建設工事

東京都

東京都東村山福祉園(2)改築工事

 

3.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりです。

前事業年度

該当する相手先はありません。

当事業年度

該当する相手先はありません。

 

 

d.手持工事高(2023年3月31日現在)

区分

官公庁(百万円)

民間(百万円)

計(百万円)

土木工事

128,244

161,894

290,138

建築工事

83,732

154,199

237,931

合計

211,976

316,093

528,070

 

(注) 手持工事のうち主なもの

東日本高速道路株式会社

東京外かく環状道路 東名ジャンクションランプシールドトンネル・地中拡幅(南行)工事  

東青地域県民局

駒込ダム本体建設工事 

ネパール連邦民主共和国公共インフラ交通省道路局

ネパール ナグドゥンガ・トンネル建設計画   

つくばファシリティ特定目的会社

(仮称)LFつくば新築計画 

荒尾市民病院

荒尾市民病院新病院建設工事 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2023年3月31日)現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債並びに収益・費用の数値に影響を与える見積り、判断が一定の会計基準の範囲内で行われています。これらの見積り等については、継続して評価し、事象の変化等により必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載していますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。

 

完成工事高、完成工事原価及び工事損失引当金の計上

完成工事高及び完成工事原価の計上は、財又はサービスに対する支配が顧客に一定の期間にわたり移転する場合には、財又はサービスを顧客に移転する履行義務を充足するにつれて、一定の期間にわたり収益を認識する方法を適用しています。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価総額に占める割合に基づいて行っています。

また、工事原価総額の見積りが工事収益総額を上回る可能性が高く、かつ、その損失見込額を合理的に算定できる場合、当該損失見込額を損失が見込まれた期に工事損失引当金として計上しています。

なお、工事原価総額には、過去の工事の施工実績を基礎として、個々の案件に特有の状況を織り込んでおり、決算日ごとに見直していますが、外注価格及び資機材価格の高騰、手直し等による施工中の追加原価の発生など想定外の事象により工事原価総額が増加した場合は、将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

なお、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症により影響を受ける重要な見積り項目はありません。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

(ⅰ) 財政状態

当連結会計年度末における資産につきましては、前連結会計年度末より226億円増加し、3,180億円となりました。これは現金預金95億円の増加が、機械、運搬具及び工具器具備品16億円の減少を上回ったことによります。

負債につきましては、前連結会計年度末より230億円増加し、1,766億円となりました。これは未成工事受入金150億円の増加が、火災損害等損失引当金39億円の減少を上回ったことによります。

純資産につきましては、前連結会計年度末より3億円減少し、1,413億円となりました。これは自己株式を取得したことによる自己株式106億円の増加(純資産の減少)が、利益剰余金の増加85億円を上回ったことによります。

(ⅱ) 経営成績

売上高は、完成工事高が前連結会計年度比9.4%増加となったこと等により、前連結会計年度比9.4%増加3,721億円となり、売上総利益は、一部の大型工事において採算が悪化したこと等により、前連結会計年度比10.3%減少420億円となりました。

営業利益は完成工事総利益が減少したことを主因とし、前連結会計年度比25.4%減少198億円となりました。

営業外収支は、前連結会計年度に比べ為替差益の計上及び持分法による投資損失の減少等により5億円改善したものの、営業利益の減少により、経常利益は196億円と前連結会計年度比24.1%の減少となりました。

特別損益は、前連結会計年度に比べ受取損害賠償金の計上等により31億円増加しました。

以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は151億円(前連結会計年度比14.1%の減少)となり、前連結会計年度に比べ24億円の減益という結果となりました。

(ⅲ) キャッシュ・フローの状況

現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、期首残高と比較して95億円増加し、743億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び要因は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益222億円の計上、未成工事受入金の増加150億円などの資金増加要因が、売上債権の増加46億円、未収消費税等の増加37億円などの資金減少要因を上回ったことにより、322億円の資金増加(前連結会計年度は360億円の資金減少)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券及び投資有価証券の取得による支出30億円、有形固定資産の取得による支出29億円などの資金減少要因が、定期預金の払戻による収入14億円などの資金増加要因を上回ったことにより、47億円の資金減少(前連結会計年度は45億円の資金減少)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出106億円、配当金の支払額66億円、長期借入金の返済による支出49億円などの資金減少要因が、長期借入れによる収入46億円などの資金増加要因を上回ったことにより、184億円の資金減少(前連結会計年度は225億円の資金減少)となりました。

b.経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの本業である建設産業は、景気動向の影響を受けやすい傾向にあります。

今後の事業環境につきましては、ウィズコロナの下で持ち直していくことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価・エネルギー価格の上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
 建設業界では、政府建設投資は底堅く推移し、民間建設投資は回復基調が継続しました。一方で、資材価格等の高騰の影響は続いており、今後も注視が必要な状況となっています。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

(ⅰ) 資金需要

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、本業である建設事業の生産活動に必要な運転資金、販売費及び一般管理費、事業用資産の取得、維持・更新にかかる設備投資資金、研究開発投資等です。

(ⅱ) 財務政策

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入と社債の発行により資金調達を行っています。

長期借入金、社債等の長期資金の調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の調達環境、既存借入金の返済時期等を考慮の上、調達規模、調達手段を適宜判断して実施しています。

当社においては、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行とコミットメントライン(特定融資枠)契約(300億円)を締結しています。なお、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約による借入残高はありません。

また、長期借入金の一部については、金利変動リスクを回避するため、金利スワップ取引を利用しています。

 

d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2022年3月期から2023年3月期までの株主還元方針

項目

2022年3月期から2023年3月期までの目標数値

2022年3月期から2023年3月期までの

実績

総還元性向

2期累計で100%以上

 (還元総額350億円以上)

2期累計で117.2%

 

自己株式取得

2期累計で250億円以上※

2期累計で250億円

配当

年40円

 (2021年3月期の年30円より10円

増配)

年40円

自己株式消却

19,322,200株

 (消却前の発行済株式の総数に対する割合9.64%)

19,322,200株

 

 ※2021年4月~10月の取得額51億円を含む

 

中期経営計画(2021.3期-2023.3期)目標数値と計画期間中の実績

 

2023年3月期

目標数値

(計画最終期)

2023年3月期

実績

(連結)

 

 

経常利益

300億円

196億円

ROE

12.0%

10.8%

総還元性向

(拡充後)

2022年3月期及び2023年3月期の

2期累計100%以上

2022年3月期及び2023年3月期の

2期累計117.2%

 

 

 新型コロナウイルス感染症拡大や地政学リスクに起因する資材高など、様々な想定外の事業に伴う建設市場の変化もあり、計画最終期である当連結会計年度の経常利益やROEは計画未達となりましたが、2021年11月の株主還元方針拡充後の総還元性向目標は達成しました。

 

 

     (参考)2023年3月期の年度事業計画と実績の差異

 

2023年3月期計画

2023年3月期実績

売上高

3,770億円

3,721億円

経常利益

231億円

196億円

 

 

  売上高につきましては、一部の大型工事の進捗率が当初想定を下回ったことにより、計画数値を下回りました。

 売上高の未達に加え、一部の海外土木工事において採算が悪化したこと、前連結会計年度に完成した国内土木工事において、補修工事費用の発生が見込まれたため完成工事補償引当金を計上したこと、一部の国内建築工事において労務・資材価格の高騰や想定以上の工程促進費用の発生等により採算が低下したこと、さらに、販売費及び一般管理費について、人件費や営業経費が計画数値を上回ったため、経常利益は計画数値を下回りました。
 

e.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(土木事業)

受注高は、前連結会計年度比15.8%減少1,032億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことなどから、前連結会計年度比1.1%増加1,334億円となりました。営業利益は、一部工事の採算性の悪化や、補修工事発生に起因した完成工事補償引当金の計上などにより、前連結会計年度比5.2%減少149億円となりました。

当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から0.3ポイント減少し、15.9%となりました。

(建築事業)

受注高は、前連結会計年度比30.8%増加2,449億円となりました。完成工事高は、国内大型工事が順調に進捗したことなどから、前連結会計年度比15.5%増加2,061億円となりました。営業利益は、一部工事の採算性の悪化などにより、前連結会計年度比29.6%減少93億円となりました。

当社個別の完成工事総利益率は、前期実績から3.2ポイント減少し、8.4%となりました。

土木事業及び建築事業に係るセグメント資産は、現金預金の増加などにより、前連結会計年度末から94億円増加1,841億円となりました。

(グループ事業)

売上高は274億円(前連結会計年度比10.6%増加)、営業利益は15億円(前連結会計年度比35.8%減少)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末から37億円減少383億円となりました。

(その他)

売上高は51億円(前連結会計年度比1.8%増加)、営業利益は2億円(前連結会計年度比65.0%減少)となりました。

セグメント資産は、前連結会計年度末から3億円増加78億円となりました。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、土木・建築・環境分野を柱に、さらなる品質の安定と十分な顧客満足を確保するべく積極的に技術・研究開発活動を推進し、その成果の展開に取り組んでいます。

当連結会計年度における研究開発への投資総額は約31億円です。

 

セグメントごとの内訳は、土木事業約11億円、建築事業約17億円及びその他社外からの受託研究約億円であり、主な研究成果等は次のとおりです。

 

(1) 土木事業

① 山岳トンネル

ICTにより山岳トンネル工事の生産性を大幅に高める取組として「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM®)」の開発を推進しています。当連結会計年度には、全自動ジャンボと発破パターン作成プログラムの連携手法を確立して自動化し、約40%の余掘り量低減と省力化を実現しました。また、i-NATMを適用した六条院トンネル工事での取組は、令和3年度土木学会賞において、「国内初となる山岳トンネルにおける遠隔技術を活用したICT施工」として、技術賞Ⅰグループを受賞しました。

② 建機の自動運転

建設現場での施工は、複数種類の建設機械を使用します。これまでに開発した振動ローラとブルドーザの自動運転システムに加え、当連結会計年度には、複数の自動運転油圧ショベルを同時稼働・管理するシステムを開発し、実証実験を実施しました。今後も建機の自動運転の高度化と実用化を進めます。

高速道路RN工事

橋梁周囲に交差道路や架空線が存在している等、移動式クレーンを用いた施工が困難な条件下においても適用できる移動式天井クレーン、並びに床版に任意の傾斜を発生させることができる床版吊装置を実用化しました。今後も効率的かつ独創的な高速道路床版取替工事技術の開発を進めます。

 

(2) 建築事業

 BIM(設計技術/施工連携)

国土交通省が2025年度にBIM成熟度Level2達成を打ち出す等、BIM環境の整備・活用促進は喫緊の課題であり、BIM環境の基盤整備やその運用体制の構築を進めています。各種設計(意匠、躯体構造、設備等)プロセスに適したBIM環境の開発・整備、並びに、設計・施工・維持管理のワークフロー作成や課題抽出等を行いました。さらに、これらと並行して、実案件での部分的なBIM試行を実施しました。今後もBIM環境整備・展開を強く進めます。

② ZEB

社会的なZEBニーズの高まりに対応していくため、ZEB設計ノウハウの確立及びツールの開発・整備・展開を進めています。当連結会計年度では、既存建物のZEB改修を視野に入れ、コミッショニング(建築設備の“本来の性能”を実現するためのプロセス)のノウハウ構築・展開に注力しました。顧客建物でのデータ取得や様々な試験の他、顧客とのやりとりを通じて、ZEB化の費用対効果を定量的に評価し、その改善策提案のノウハウ獲得やマニュアル整備・標準化を行いました。また、当社が設計施工に携わり、ZEB Ready認証を取得した「新電元工業株式会社 朝霞事業所」がグッドデザイン賞等の外部表彰を多数授賞する等、当社の環境配慮への取組が高く評価されています。これらの成果を今後のZEB案件に積極的に活用していきます。

 IoT/ロボット(生産性の向上)

これまで多大な労力を要していた作業の自動化による生産性の向上を強く進めており、床面コンクリートの自立走行式ひび割れ検査ロボットや垂直運搬装置等を実用化し、数多くの実現場への展開を図っています。これらの技術は当社も参画している「建設RXコンソーシアム」主催の展示会への出展やプレス発表を通じて大きな反響を得ています。また、建築向けとして業界唯一の配筋検査システムを共同開発により実用化し、実現場への展開を進めています。今後も更なる生産性の向上に努めていきます。

 

文化財・歴史的建造物

文化財等の貴重な建物の長寿命化の他、設計・施工上の効率化・省力化を図ることを目的に、種々の条件に応じた保有技術の適用性の検証、BIM活用による案件に応じた最適技術の事前検討方法の確立を行っています。当連結会計年度は、伝統木造建築物分野での案件適用を見据え、伝統構法による木造耐力壁の補強技術について、構造性能に関する解析的検証方法の整備・適切な解析モデルの構築と共にその有効性を確認しました。また、木造復元天守へのBIM適用の有効性確認とその課題把握を行いました。将来の案件受注に向けて、これらの技術の確立を進め展開していきます。

 

(3) グループ事業

当連結会計年度は、研究開発活動は特段行われていません。

 

(4) その他

当社が保有する高度技術並びに研究所施設を活用し、社外からの受託研究業務を行っています。

 カーボンニュートラル

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構による、グリーンイノベーション基金事業である「CO2を高度利用したカーボンプールコンクリートの開発と舗装及び構造物への実装(以下、本プロジェクト)」を幹事会社として実施しています。本プロジェクトにより、主要建設資材であるコンクリートをカーボンネガティブ材料に転換させることを目指しています。これらの取組により、お客さまと当社の双方のサプライチェーン排出量の脱炭素化に貢献するとともに、当社のSBTとRE100の目標達成に繋げます。

エネルギーマネジメント

離れた敷地にある複数の遠隔建物(事業所)全体のエネルギーを統合・最適化することで、新たな広域的省CO2化を図る次世代エネルギープロジェクト(以下、次世代エネルギープロジェクト)を行っています。当連結会計年度には、水素混合可能な燃料電池とガスエンジン発電設備及び大容量ナトリウム硫黄電池を組み合わせた発電プラントの運用実証実験を行いました。発電機の排熱を有効に活用することで省CO2化した電力を連結子会社の安藤ハザマ興業株式会社のPCa工場と大型土木現場へ自己託送し3拠点のCO2排出量を削減しました。また、次世代エネルギープロジェクトが「コージェネ大賞2022」(一般財団法人 コージェネレーション・エネルギー高度利用センター)の民生用部門で優秀賞を受賞しました。今後も引き続き、土木・建築・環境・エネルギーといった多岐にわたる分野の技術開発成果を関連学会や全国の展示会を通じて積極的に社外へアピールするとともに、顧客満足度の向上に貢献します。