第2【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、「ドラマ化される会社にする」という経営理念に基づき、以下のような行動規範を掲げ、常に高品質な技術・施工に努め、顧客と社会が求める「安心・安全・安価」を追求しております。

①「新たな常識づくり」に対して興味と情熱を持ち、誠意ある姿勢で仕事に努めること

②顧客満足を第一として、高品質な施工を適正価格にて提供するべく、絶えず追及し研鑚し続けること

③事業に携わる全ての関係者が、協調して運営にあたることを旨とすること

当社の事業方針は、あらゆる建造物に対し、これまでにない高品質なリフォーム工法を提供することを通して、建造物外装仕様を、これまでの業界常識にとらわれず、あらゆる現象・不測事象に対処可能な状態とする高機能なものに変えることにより、高耐久性を有する建造物の構築を図ることにあります。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、既存の事業エリアでの取引先パートナーとの関係強化や深耕活動、支店開設による全国エリアへの展開等により受注拡大を図りつつ、売上高経常利益率10%以上、自己資本比率50%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上、PBR(株価純資産倍率)1.0倍以上を目標としております。

また、採算性及び事業の継続性の観点から「受注高」並びに「売上高」の確保と「営業利益」を重要な指標として位置付け、管理体制の再構築を前提に、営業体制の強化や市場価格に対応できるコスト体質改善を図り、採算性の向上に向けた原価管理の徹底、固定費の削減、業務効率化に積極的に取り組み、安定した経営基盤を強化・確立し、企業価値の拡大を目指して参ります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社は、建設業界における「新たな常識づくりを目指す」ベンチャー企業として、現在の厳しい競争市場の中でも積極的な成長を実現するために、計画的な経営体質強化にチャレンジし続けております。
 主な経営体質強化策については、以下のとおりであります。
 
 ①営業構造の強化
  ・全国の主要都市圏における新たなる支店設置
  ・既存エリアにおける新規パートナーの開拓及び既存パートナーにおけるシェアアップ
   ・スケルトン防災コーティングの市場浸透
  ・大規模修繕工事マーケットへの参入
 
 ②技術力の強化
  ・スケルトン防災コーティングの改良及びコストダウン
  ・施工管理と品質・技術の向上

 

 ③工事採算性を重視した受注方針の徹底

  ・原価低減と経費削減に努め、収益力の向上を図る

 

 ④マネジメント力の向上(人材育成、コンプライアンス遵守等)

・人材育成のための各種研修等に積極的に参加し管理レベルの向上

・事業活動による予測しがたい事象に対して、的確に判断できる現場力

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

経営環境におきましては、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費等の上昇による物価上昇、為替変動、アメリカの不確実性が高い政策動向、中東・ウクライナ情勢の不安定な国際情勢等、依然として厳しい状況が続き先行き不透明な状況が想定されます。

建設業界におきましては、資材価格や労務費といった建設コストの高騰、長期的な人口減少による建設投資の縮小、建設技能労働者の継続的な減少と高齢化の問題を克服するための生産性の向上及び人材育成等が継続的な課題となっております。

当社は、このような状況において今後さらなる事業拡大を志向するために、以下のような対処すべき課題を挙げ、各種施策に取組んでいます。

 

①販売チャネルの構築

当社は継続的な事業の拡大を図っておりますが、計画した収益を確保するために、さらなる強固な営業基盤を構築することが必要不可欠であると認識しております。

この課題に対処する施策としては、ハウスメーカー等のナショナルチェーンからの受注拡大や既存パートナーとの関係強化による販売チャネルの確保・活用、新規パートナーの開拓に取り組むとともに、インフラの老朽化・長寿命化の対策を公共団体等に提案し、採用の拡大・関係強化を図ります。また、全国への広域展開のため、支店出店計画も緻密な市場調査・戦略立案を行って参ります。

 

②施工体制の強化

全国27拠点・全国の多数のパートナーとの受注体制は大きな強みですが、全国一律の技術水準・品質を維持することも課題であると考えております。

この課題に対処する施策としては、施工担当者への教育や、安全・技術研修の体系化を進め、外注先等との連携による全国均質な施工体制の構築を図って参ります。

 

③原価管理の徹底と収益力の強化

建設業界におきましては、技術者不足が解消されていないことに加え、資材価格や労務費といった建設コストの高騰が工事収益を圧迫する等の厳しい状況が続いており、資材価格の塗料・資材価格の上昇に対応するため、的確な見積積算及び現場ごとの原価管理を徹底し、適正利益の確保に努めて参ります。

現場管理、施工記録、受発注業務等におけるITツールの導入・活用を進め、業務効率の向上と属人化の解消を図ることで、生産性向上及び働き方改革の実現を目指しDX化の対応の推進も行って参ります。 

また、維持修繕・改修工事への対応力強化により、収益基盤の安定化を目指します。

 

④人材育成と専門技能の継承

広域的な営業展開を図るためには、各拠点で責任を持って管理・提案営業が行える将来の幹部社員・中堅社員候補の優秀な人材を計画的に採用・育成することが重要な課題と考えております。

この課題に対処する施策としては、大学・高校等への求人活動やインターンシップ制度の活用、働きやすい労働環境の整備により若手人材の確保を図るとともに、社内研修制度を通じた技能の継承・多能工化を推進して参ります。

また、OJT・資格取得支援・技能実習制度を通じて、若手技術者の育成と将来の技術継承体制を確立します。

 

⑤ガバナンスとコンプライアンス体制の強化

企業の持続的成長の基盤として、リスク管理やコンプライアンスを徹底し、内部統制およびリスクマネジメント体制の強化を継続し、コンプライアンス意識の浸透と不正・事故の未然防止に努めて参ります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

ガバナンス

当社は、サステナビリティ(持続可能性)の実現に向けて、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視した経営を実践し、社会・環境課題の解決と地域社会の発展に向けて貢献していきます。

そして、ステークホルダーとのコミュニケーションによる信頼関係の構築に努め、ESG経営を積極的に実践することにより、持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて取り組むとともに、SDGsの目標達成へ貢献してまいります。

これに向けて当社は、技術力の強化、環境も守る技術、地域経済の活性化の3つをSDGs達成への主要目標としております。

 


また、目標達成に向けた社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への対応として、従業員等への人権・健康・労働環境・自然災害に係る対応を整備するとともに、取引先等社外との公平・公正な関わりなどについても適切に対応が可能となるよう体制を整えております。

当社はサステナビリティに関する喫緊の課題を「人材確保・人材育成」と位置づけ、ホームメイキャップ事業本部、管理部、各部支店が連携し、「人材確保・人材育成」に関する活動を行っております。さらに、取締役会や営業会議で「人材確保・人材育成」に関する様々なことを議題として取り上げて、議論しております。

内部統制やリスク管理体制についても、内部統制システムの構築、監査等委員会と内部監査室との連携や内部監査室による内部監査等、適切な運用を図っております。

取締役会は、取締役会規程に基づき経営全般に係る重要な事項について審議、決定を行い、取締役職務の執行状況の監督などを行うこととしております。

 

戦略

当社は、地域密着の総合建設業、そして建設のプロフェッショナル集団として、お客様に「安全」「安心」を提供し信頼され続けるために、また、社員とその家族が幸せであることを目的に、質の高い設計・提案・施工を通じて、SDGsを推進し、地域社会の持続的な発展に貢献していくにあたり、「人材確保・人材育成」が最重要課題と認識し、従業員の“個”の最大化をはかり企業価値の更なる向上を目指すため、以下の戦略を設定しております。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社の採用方針については、性別・国籍、障がいの有無等を問わず、建設工事業に興味・意欲のある者については、新卒採用・中途採用の枠にとらわれることなく、積極的に採用しております。

当社では、お客様にご満足いただける施工が行えるよう、新入社員から始まりマネジメント層に至るまで、 様々なプログラムにより人材育成を行っており、とりわけ新入社員及び若手社員の現場管理力早期育成プログラムに力を入れております。また、社員が望むキャリア形成に応えるべく、多様性を認め合い、個々のスキルを最大限発揮できる環境整備を行うことが持続的な成長に繋がっていくと考えております。

当社は、男女問わず社員1人1人が活躍できるよう働きやすい環境作りを目指し、社内環境整備に取り組んでおります。また、当社では、長年培ってきた知識・経験を活かし続けて頂くために、60歳以上の社員が無期限で働き続けられる長期的な雇用機会の提供など、今後も引き続き、多様な人材の確保のため、社員1人1人の能力や専門性を生かし、柔軟な働きやすい社内環境の整備を推進して参ります。

 

リスク管理

当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理をしており、リスク管理については、統括責任者を社長とし「リスク管理規程」に基づいてリスクを識別・評価し、年間2回リスクコンプライアンス委員会を開催し、重要事項については、取締役会に報告される仕組みとなっており、その後継続的にモニタリングできる体制を構築しております。

また、必要に応じて弁護士、公認会計士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築するとともに、内部監査及び監査等委員による監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見に努めております。

 

指標及び目標

当社は、上記「戦略」において記載した、人材育成方針及び社内環境整備方針のもと、次の指標を用いており、当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

指標

目標

実績

(当事業年度)

女性従業員比率

15

6.4

新卒採用計画数充足率

100(20名)

40%(8名)

女性新入社員数

毎年3以上

0

障がい者雇用率

2028年5月末まで3以上

2.0

外国従業員比率

2028年5月末まで3以上

2.0

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。いずれも当社の判断により積極的に開示するものであり、一部リスク情報に該当しない、または当社が必ずしもリスクと認識していない事項も含まれております。

なお、文中の将来に関する事項については、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

1 人材の確保について

当社は、スピード感のある事業展開・拡大を実現するために、それに対応する優秀な人材の確保と育成が必要であると考えております。

また、当社のホームメイキャップブランドは人的資本によって維持されている要素が強いため、人員の確保と同時に人材の育成が必要不可欠であるとも考えられます。特に、当社は支店展開を図るうえで営業戦略の立案及び実行等を適切に行える人材は重要と考えております。

当社は、施工技術から商品知識、接客マナーについて独自の研修プログラムを設けております。よって業界を特定していない人材マーケットからの採用も可能ではありますが、当社が求める人材が充分に確保できない場合又は在職している人材が流出し、必要な人員数を確保できなくなった場合、営業戦略の立案及び実行等が適切に行える人材の育成が計画どおり進まない場合又は人員配置を誤った場合、当社の業績及び支店設置計画の見直し等今後の事業展開に多大な影響を及ぼす可能性があります。

    さらに、建設技術者の減少が建設業界で課題になっていることから当社においても収益及び品質の向上のために 優れた人材の確保と育成が必要であると認識しております。建設工事の入札や施工管理においては、担当技術者に工種毎の施工経験や特定資格の保有を求められることがあり、適任者が不足した場合は受注機会を逸し、受注高の減少につながる可能性もあります。

 

2 建設・不動産市場の動向

経済情勢の悪化や不測の事態の発生により、建設・不動産市場の急激な縮小や競争環境の激化が生じた場合には、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 法的規制について

当社の事業は、建設業法、建築基準法、宅地建物取引業法、国土利用計画法、都市計画法、独占禁止法等の法的規制を受けております。

当社のホームメイキャップ事業及び建築工事業においては、事業を行うにあたり、建設業法に定める特定・一般建設業許可(許可番号:国土交通大臣許可(特・般-2)第22629号、有効期間:2021年3月30日から2026年3月29日まで)(許可番号:国土交通大臣許可(特-5)第22629号、有効期間:2023年10月30日から2028年10月29日まで)を取得しております。

当社におきましては、過去において、同法に定める第3条(建設業の許可)、第7条(許可の基準)、第26条(主任技術者及び監理技術者の設置)等の許可要件について欠格事実はありません。

しかしながら、当社において違法な行為があった場合や、これらの法律の改廃、法的規制の新設、適用基準の変更があった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす場合があります。また、当社に対する訴訟等について、当社側の主張・予測と相違する結果となった場合には、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 特定人物への依存について

当社代表取締役社長である山本貴士は、当社の創業者であり、筆頭株主であります。最高経営責任者として経営方針や戦略の決定、さらには事業推進に至るまで中心的な役割を果たしております。このため当社では過度に同氏に依存しないよう経営体制を整備し、経営リスクの軽減を図ることに努めるとともに、人材育成の強化を行っております。しかしながら、未だ、同氏は、当社において余人をもって代え難い存在であり、同氏に対する依存度は高くなっております。同氏が何らかの理由により経営から退いた場合、当社の今後の事業展開に多大な影響を及ぼす可能性があります。

 

5「ホームメイキャップ」の品質維持の取り組みについて

「ホームメイキャップ」は、顧客の満足度を追求した結果、確立されたものです。悪質な訪問販売や不透明な価格体系、無責任な施工によるトラブルが少なくない外壁リフォームの分野で、当社が成長するためには当該ブランドの維持及び浸透が重要な経営課題となっております。

当社は、施工技術から商品知識、接客マナーについて独自の研修プログラムを設けております。「ホームメイキャップ」の商標を使用する当社スタッフ及び当社加盟店等スタッフに対し、当該研修プログラムの履修を義務づけるなど、「ホームメイキャップ」の品質維持に努めております。

今後、当社の予想を超える需要に対して、「ホームメイキャップ」の品質維持の取り組みが対応できない場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

6 工事施工等のリスク

当社は性能・品質技術にこだわった設計、施工を心掛けております。また、当社のホームメイキャップ事業で手掛けた施工については、10年保証としております。

しかしながら、当社が設計、施工した物件に不具合が生じる可能性は否定できず、その際の手直しに要する追加の施工費、重大な契約不適合責任があった場合に対する損害賠償等の発生により、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、施工中に予期せぬ重大な事故が発生した場合や天候不順や大型物件工事の工期のズレ、夏季・冬季時期の季節的変動要因等による工期遅延が発生した場合にも、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

7 取引先の信用リスク

当社施工の発注者においては、施工後に工事代金の未回収及び貸倒れの発生する可能性があります。このように、発注者が信用不安に陥った場合、工事代金が回収できず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、仕入先、外注先が信用不安に陥った場合にも、代替業者との調整による工期遅延等が発生し、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

8 特定取引先への依存について

当社がホームメイキャップ事業で採用している特殊機能性塗料は、英国製の商品を日本の気候及び当社工法に適応させたものであります。当該塗料は、耐候性、防水性、伸縮性、水蒸気透過性、低刺激性、コンクリートの中性化防止機能、追従性といった総合的な機能を併せ持つ、環境に配慮した水性コーティング材であります。

当社は、当該塗料について仕入先であるシーカ・ジャパン㈱と契約を締結しております。当該契約の締結は、同社塗料の特性を生かすことのできる当社独自の施工方法が評価されたことによるものであり、同社との取引関係は相互補完的なものであります。このような関係から、当社の仕入総額に占める同社からの仕入割合は、2025年5月期においては約63%であります。

当社は、同社との良好な関係維持に十分留意しておりますが、同社との取引条件に関して当社の意図するとおりに合意できない場合、契約更新が拒絶された場合又は契約が解除された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

9 工事原価の変動リスク

当社において、工事請負契約締結後に、原材料、資材価格、及び労務費の高騰により完成工事原価は増加します。これらの増加分を請負代金に反映することが困難な場合には、完成工事総利益は減少する可能性があります。これら完成工事原価の変動は、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

10 自然災害に関するリスク

当社は、大規模地震、台風等の自然災害が発生した場合、被災地によって本社、事業所、建設現場等に係る設備等を回復させるために多額の費用が発生する可能性があります。また、施主様や入居者様等に対して被災活動を行うことも考えられ多額の費用が発生する可能性があります。被災状況によっては、受注活動の停滞、売上高の減少、建築資材等の高騰、現場作業の中断等を余儀なくされることが考えられ、当社の営業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

11 建設技能労働者の不足

建設業界における技能労働者は、高齢化の問題や若年層の入職率・定着率が伸びず減少傾向にあります。今後、技能労働者の減少がさらに進んだ場合、他社との人材獲得競争が激化し労務費が高騰するとともに、人員を確保できないことに伴う施工能力の縮小により、受注高が減少する可能性があります。

 

12 建設業における労働災害及び事故

建設業は、作業内容や作業環境などの特性により、他の産業より重篤度の高い労働災害が発生するおそれがあり、また、第三者に対し損害を与える事故が発生する可能性が高い業界であります。仮に、重大な労働災害もしくは事故が発生した場合、多大な補償費等の負担が生じるとともに、社会的信用が低下し、受注高の減少につながる可能性があります。

 

13 施工上の契約不適合等による影響について

施工体制の強化を経営上の重点項目として捉え、品質管理に万全を期しておりますが、訴訟等により契約不適合責任を追及され損害賠償が発生した場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

14  保有資産の時価等の変動による影響について

有価証券・不動産等の資産を保有しており、これらの資産は将来において、時価の変動や使用状況等により財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

15  訴訟等のリスクについて

事業活動を行う過程において法令遵守に努めておりますが、訴訟等のリスクに晒される可能性があり、その結果によっては、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

 ・ 経営成績

当事業年度におけるわが国経済は、国内の企業業績や雇用・所得環境の改善及び社会経済活動の正常化が進む中で、インバウンド需要や個人消費等の景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費等の上昇による物価上昇、為替変動、アメリカの不確実性が高い政策動向、中東・ウクライナ情勢の不安定な国際情勢等、依然として厳しい状況が続き先行き不透明な状況となっております。

当社が属する建設業界におきましては、政府及び民間の建設投資は一定の水準を維持しておりますが、施工を行う技術者不足が解消されていないことに加え、資材価格や労務費といった建設コストの高騰が工事収益を圧迫する等、引き続き厳しい状況が続いております。

このような状況の中、当社は、引き続き既存店におけるパートナー(工務店等)との関係強化に取り組み、受注拡大を図って参りました。また、原価低減と経費削減、工事採算性を重視した受注方針の徹底、施工管理と品質・技術の向上、定期的な施工会議を開き、安全・良質な工事の提供に努めるとともに、人材採用及び育成にも積極的に取り組み、業容拡大や収益力の向上等も図って参りました。

これらにより、当事業年度における売上高は、パートナーとの関係強化継続による受注の拡大及び工事が順調に進捗したことにより、4,713,002千円前年同期比8.2%増)となりました。営業利益は、売上高増加に伴う売上総利益の増加により、626,038千円前年同期比26.5%増)となりました。経常利益は、助成金収入20,350千円、不動産賃貸収入15,672千円、外国社債に関する有価証券利息14,117千円、減価償却費4,371千円、不動産賃貸費用2,768千円の計上等により、672,365千円前年同期比27.5%増)となりました。当期純利益は、固定資産売却益3,580千円、減損損失5,200千円、固定資産除却損4,700千円、法人税等190,019千円の計上等により、472,287千円前年同期比16.9%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(ホームメイキャップ事業)

ホームメイキャップ事業におきましては、工事が順調に進捗したことにより、売上高は4,581,538千円前年同期比14.7%増)、セグメント利益は910,684千円(同28.1%増)となりました。

 

(建築工事業)

建築工事業におきましては、新築及び改修工事等が減少したことにより、売上高は128,723千円前年同期比60.7%減)、セグメント利益は440千円(同99.1%減)となりました。

 

(その他)

不動産売買取引を行う不動産事業とFC加盟店に対するコーティング材等の販売に関する事業等で構成されるその他の事業におきましては、不動産販売の減少により、売上高は2,739千円前年同期比92.2%減)、セグメント損失は1,350千円(前年はセグメント利益2,374千円)となりました。

 

 

 ・ 財政状態

当事業年度末における財政状態は、次のとおりであります。

  (流動資産)

当事業年度末における流動資産の残高は、3,290,133千円(前事業年度末3,036,916千円)であり、前事業年度末と比較し253,217千円増加致しました。その主な要因は、現金及び預金290,271千円の増加、受取手形、完成工事未収入金及び契約資産211,630千円の増加、有価証券117,322千円の増加、未成工事支出金20,744千円の増加、原材料及び貯蔵品15,532千円の増加、未収入金258,296千円の減少、仕掛販売用不動産76,837千円の減少、電子記録債権43,185千円の減少等によるものであります。

 

  (固定資産)

当事業年度末における固定資産の残高は、1,588,255千円(前事業年度末1,371,404千円)であり、前事業年度末と比較し216,851千円増加致しました。その主な要因は、投資有価証券256,513千円の増加、投資不動産79,369千円の増加、関係会社株式206,238千円の減少等によるものであります。

 

  (流動負債)

当事業年度末における流動負債の残高は、1,169,950千円(前事業年度末921,387千円)であり、前事業年度末と比較し248,563千円増加致しました。その主な要因は、工事未払金239,072千円の増加、支払手形63,340千円の増加、未払法人税等58,843千円の減少、未払消費税等21,404千円の減少、完成工事補償引当金12,913千円の減少等によるものであります。

 

  (固定負債)

当事業年度末における固定負債の残高は、11,809千円(前事業年度末13,978千円)であり、前事業年度末と比較し2,168千円減少致しました。その主な要因は、長期リース債務2,172千円の減少によるものであります。

 

 (純資産)

当事業年度末における純資産の残高は、3,696,628千円(前事業年度末3,472,954千円)であり、前事業年度末と比較し223,673千円増加致しました。その主な要因は、繰越利益剰余金410,788千円の増加、自己株式の取得による172,738千円の減少等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,827,413千円(前事業年度末1,537,141千円)であり、前事業年度末と比較し290,271千円の増加となりました。
 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果、得られた資金は567,895千円(前事業年度は547,568千円の収入)となりました。これは、主に税引前当期純利益662,306千円、仕入債務の増加額325,061千円、売上債権の増加額180,183千円等によるものであります

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は43,987千円(前事業年度は277,128千円の使用)となりました。これは、主に投資有価証券売却による収入311,213千円、投資有価証券の取得による支出252,057千円、有形固定資産の取得による支出100,754千円、保険積立金の積立による支出28,758千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果、使用した資金は233,686千円(前事業年度は155,817千円の使用)となりました。これは、自己株式の取得による支出172,738千円、配当金の支払いによる支出58,867千円、リース債務の返済による支出2,080千円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

第28期

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前年同期比(%)

ホームメイキャップ事業

4,581,538

+14.7

建築工事業

128,723

△60.7

その他

2,739

△92.2

合計

4,713,002

+8.2

 

(注)上記の金額は、販売価格によっております。

  

b. 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

第28期

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

ホームメイキャップ事業

3,887,936

+0.6

822,871

△23.5

建築工事業

66,209

△36.6

74,551

+444.2

合計

3,954,145

△0.4

897,423

△17.6

 

(注)1. 不動産事業及びFC加盟店に対するコーティング材等の販売に関する事業で構成されるその他の区分は、受注形態をとっていないため受注実績は記載しておりません。

  2. 受注残高には、受注金額が不明瞭なものは含んでおりません。

 

 

c. 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:千円)

セグメントの名称

第28期

(自 2024年6月1日

至 2025年5月31日)

前年同期比(%)

ホームメイキャップ事業

4,581,538

+14.7

建築工事業

128,723

△60.7

その他

2,739

△92.2

合計

4,713,002

+8.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
   a.経営成績等
      当社の当事業年度の経営成績等は、次のとおりであります。

 

(売上高)

当事業年度における売上高は、パートナーとの関係強化継続による受注の拡大及び工事が順調に進捗したことにより4,713,002千円前年同期比8.2%増)となりました。

ホームメイキャップ事業におきましては、工事が順調に進捗したことにより、売上高は4,581,538千円となり、また、建築工事業につきましては、新築工事・改修工事等が減少したことにより、売上高は128,723千円となりました。

 

(営業利益)

当事業年度における売上原価は、3,222,952千円前年同期比6.8%増)となりました。これは、完成工事原価3,062,380千円、加盟店関連売上原価158,205千円等によるものであります。

また、販売費及び一般管理費は、864,011千円前年同期比2.5%増)となりました。これは、給料及び手当376,223千円、支払手数料83,517千円、役員報酬45,668千円、法定福利費42,534千円、販売手数料41,495千円等によるものであります。

この結果、営業利益は、売上高増加に伴う売上総利益の増加により、626,038千円前年同期比26.5%増)となりました。

 

(経常利益)

当事業年度における営業外収益は、58,612千円前年同期比30.0%増)となりました。これは、助成金収入20,350千円、不動産賃貸収入15,672千円、外国社債に関する有価証券利息14,117千円等の計上によるものであります。 
 また、営業外費用につきましては、12,285千円前年同期比2.2%減)となりました。これは、減価償却費4,371千円、不動産賃貸費用2,768千円等の計上によるものであります。  
 この結果、経常利益は、672,365千円前年同期比27.5%増)となりました。 

 

(税引前当期純利益)

当事業年度における税引前当期純利益は、662,306千円前年同期比10.9%増)となりました。これは、固定資産売却益3,580千円、減損損失5,200千円、固定資産除却損4,700千円等の計上によるものであります。

 

 

 (当期純利益)

当事業年度における法人税等(法人税等調整額を含む。)は、190,019千円となりました。

この結果、当期純利益は、472,287千円前年同期比16.9%増)となりました。

 

 b.財政状態

財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

 c.キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

②.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

③.資本の財源及び資金の流動性

資本政策につきましては、内部留保の充実を図るとともに、経営基盤の長期安定に向けた財務体質の強化及び事業の継続的な拡大発展を実現させることと、株主様への利益還元も考慮し、実施していくこととしております。
 また、当社における資金需要の主なものは、既存事業の持続的成長の投資資金や原材料費・労務費・外注費・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。
 当社は、必要となった資金については、主として内部留保資金及び営業活動によるキャッシュ・フローによるものを活用しております。

 

④.経営者の問題意識と今後の方針

当社は、引き続きホームメイキャップ工法を全国展開するための直営店の設置活動を強化し、既存パートナー(工務店等)との関係強化や新規エリアにおける新たなるパートナーの開拓を推進していく必要があると考えております。

特に重要な課題としては、原価低減と経費削減、工事採算性を重視した受注方針の徹底、施工管理技術と品質の向上、施工・営業社員の採用や育成、支店拡大等の推進が挙げられます。

なお、昨今のわが国経済は、原材料・エネルギー価格の高騰や人件費等の上昇による物価上昇、為替変動、アメリカの不確実性が高い政策動向、中東・ウクライナ情勢の不安定な国際情勢等の懸念の影響に留意していく必要があり、建設業界におきましては、政府及び民間の建設投資は一定の水準を維持しておりますが、施工を行う技術者不足が解消されていないことに加え、資材価格や労務費といった建設コストの高騰が工事収益を圧迫する等の懸念があります。当社といたしましては、引き続き最大限の注意を払って参ります。

これらに関する具体的な課題認識と今後の取り組み方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境及び対処すべき課題」に記載のとおりであります。

 

⑤.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、効率的な資産配分に基づき収益力の向上に努めるとともに、財務内容の充実を目指すために、売上高経常利益率10%以上、自己資本比率50%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上、PBR(株価純資産倍率)1.0倍以上を重要な経営指標としております。当事業年度における売上高経常利益率は14.3%と前年同期に対して2.2%上回りました。自己資本比率については、75.8%と前年同期に対して3.0%下回り、ROE(自己資本利益率)については、13.2%と前年同期に対して1.1%上回り、PBR(株価純資産倍率)については1.6倍と前年同期に対して0.1倍上回りました。
 引き続きこれらの指標が達成できるよう、原価低減と経費削減に取り組み、施工管理と品質・技術の向上に努めて参ります。

 

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、多様化するユーザーニーズや社会構造の変化に対応するために、研究所を中心に、品質の向上及び生産性の向上を目指し、研究開発を行っております。

当社は、既存技術の課題を解決するため、コンクリートの長寿命化を可能にするため薄膜の補修材による素地への透明性確保・はく落防止を強化するスケルトン防災コーティングの技術力の強化や市場ニーズにマッチするための施工方法の改良及びスケルトン防災コーティングへの付加価値向上を図るための研究を引き続き行っております。

また、塗装を進化させ、より良いサービスの提供やあらゆるニーズに応えられるよう応用特殊施工の研究・開発も引き続き行っております。

なお、当事業年度において使用した研究開発費の総額は、253千円であります。

   

セグメントごとの研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(1) ホームメイキャップ事業

ホームメイキャップ事業では、引き続き、薄膜の補修材による素地への透明性確保・はく落防止を強化するスケルトン防災コーティングの技術力の強化や市場ニーズにマッチするための施工方法の改良、コンクリートの長寿命化を図るために耐久性や高強度化といった機能性の向上や工期の短縮化を目的とした研究開発等を行っております。

また、引き続き基礎巾木部クラック防止工法、柔軟性・強靭性を併せ持つ大壁工法、専用アンカーと透明かつ強固な塗膜によるタイル剥落防止システム等の研究や塗装を進化させ、より良いサービスの提供やあらゆるニーズに応えられるよう応用特殊施工の研究・開発も行っております。

当事業年度において使用した研究開発費の総額は、253千円であります。

 

(2) 建築工事業

該当事項はありません。

 

(3) その他

該当事項はありません。