「第2 事業の状況」における各事項の記載については、消費税等抜きの金額で記載しています。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
当社グループは、「構造物の総合メンテナンス企業」として道路、鉄道、電力、港湾、建物等の社会インフラ分野を中心に補修・補強等の事業を行っています。
高度成長期に建設された橋梁・トンネル等の急速な高齢化に伴い、長寿命化や予防保全のニーズが益々高まることが予想されるなか、これからも「社会資本を良好な状態で次世代に引継ぐ」との使命感のもと、メンテナンス業界のトップランナーとしての高度な技術開発力で、豊かで安全な社会の実現に貢献してまいります。また、株主、取引先、従業員を含むステークホルダーの信頼と期待に応えられる経営を目指すことを基本方針としています。
高度成長期以降に集中的に整備された橋梁、トンネル等の社会インフラの老朽化が急速に進み、国、地方自治体のインフラ長寿命化工事の実施や高速道路会社のリニューアルプロジェクト(大規模更新・大規模修繕計画)の発注が本格化するなど、構造物メンテナンスを専業とする当社グループの事業環境は、当面良好な状態が継続すると想定されます。しかし一方で、建設就労者の高齢化が進み将来的には技能労働者の減少が見込まれ、生産性の向上、若手技術者の確保が課題となっております。
当社グループにおきましては2019年6月期を初年度とする「中期経営計画(2019年6月期~2021年6月期)」を策定し、『メンテナンス専業としての「使命」と「成長」』を基本方針、『5つの事業戦略』と『5つの基盤強化』を諸施策とする計画を定めました。当社グループは、メンテナンス専業としての「使命」を果たすために、本計画の諸施策を確実に実行し、持続的成長を実現してまいります。
本計画の概要は以下のとおりであります。
<中期経営計画(2019年6月期~2021年6月期)>
「基本方針」
『メンテナンス専業としての「使命」と「成長」』
1.構造物メンテナンスの専業会社として、社会資本整備に貢献
2.「安全」・「品質」を重視した巡航速度による持続的な成長
3.メンテナンス「技術」を活用した事業分野の拡大と成長投資
4.業績に連動した更なる株主還元の充実
5.ESG課題への取組みとコーポレートガバナンスの更なる高度化
「事業戦略」
『5つの事業戦略』~メンテナンス業界のトップランナーとして挑戦し続けるために~
①最適受注・最適稼働による採算を重視した安定経営
②高速道路会社の大規模更新・大規模修繕工事の受注態勢強化
③グループ会社、地域建設会社との連携強化による地方自治体への対応力強化
④国内・国外で競争力のある製品の研究開発と販売体制強化
⑤メンテナンス専業としての強みを活かせる他社提携と成長投資
「基盤強化」
『5つの基盤強化』~持続的成長を支える「人」と「技術」~
①「技術」・「安全」・「品質」を高める体制強化と人材増強
②老朽インフラ各分野の特有ニーズ把握と製品・工法の研究開発
③i-Constructionへの積極的な取組みによる生産性向上
④働き方改革の推進と「4週8閉所」の実現
⑤ESG課題への取組みとコーポレートガバナンスの更なる高度化
「中期経営計画(2019年6月期~2021年6月期)」の最終年度である2021年6月期の経営数値目標(連結)
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売上高 |
670億円 |
営業利益率 |
18% |
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営業利益 |
120億円 |
自己資本利益率(ROE) |
10% |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
85億円 |
配当性向 |
50% |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 公共工事への依存
当社グループは、売上高に占める公共工事の割合が非常に高いので、国および地方自治体が発注する公共事業が予想以上に削減された場合には、業績に影響を与える可能性があります。
(2) 法的規制
当社グループの主たる事業である土木建築工事業は、建設業法等の規制を受けており、法律の改正や法的規制の新設により、業績に影響を与える可能性があります。
(3) 取引先の与信
民間から工事を請負った時、発注者である取引先が工事代金受領前に信用不安に陥った場合、貸倒れが発生し業績に影響を与える可能性があります。
(4) 保有資産の価格変動
当社グループは、株式等及び事業用不動産を保有しているので、今後時価が著しく下落した場合には、減損の対象となり、業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの連結業績につきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックに関連する首都圏のインフラ整備に伴う補修補強工事やNEXCO各社発注の大規模更新・大規模修繕工事の受注が増加し、受注高は前年同期比73億22百万円増の678億59百万円、売上高は豊富な期首の手持工事と期中受注した工事の施工が順調に進んだことにより、前年同期比64億32百万円増の596億82百万円となりました。また、期中受注高が売上高を上回ったことにより、受注残高は前年同期比81億77百万円増の405億45百万円と高い水準を維持しています。
高速道路会社各社からの受注が引続き好調で、受注残高に占める比率も約65%と高い状況にあります。高速道路会社関連の工事は、大型工事が多く工期も複数年にわたりますので、翌々期以降に収益に寄与する工事が増えています。
損益につきましては、売上高が増えたことにより、営業利益は前年同期比6.1%増の107億81百万円、経常利益は前年同期比6.4%増の111億87百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比4.3%増の73億1百万円となり、増収増益の結果となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りです。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっています。
(国内建設)
受注高は651億98百万円(前期比12.1%増)となりました。また、売上高は570億21百万円(前期比12.1%増)となり、セグメント利益は99億16百万円(前期比5.9%増)となりました。
(その他)
受注高は26億60百万円(前期比10.9%増)となりました。また、売上高は26億60百万円(前期比10.9%増)となり、セグメント利益は8億35百万円(前期比13.2%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ34億78百万円減少し、145億94百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローについては、主に税金等調整前当期純利益の増加により、17億34百万円の資金の増加となりました。前期比では57億49百万円の資金の減少となり、これは主に、売上債権が増加したためです。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入244億37百万円の増加要因があるものの、有価証券及び投資有価証券の取得による支出264億7百万円の減少要因により、20億63百万円の資金の減少となりました。前期比では17億29百万円の資金の増加となり、これは主に、前期における連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出13億59百万円によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払い及び自己株式の取得により、31億47百万円の資金の減少となりました。前期比では5億41百万円の資金の減少となり、これは主に、配当金の支払額が5億40百万円増加したためです。
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受注実績 |
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(単位:百万円) |
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区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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国内建設 |
58,137 |
65,198( 12.1%) |
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その他 |
2,399 |
2,660( 10.9%) |
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合 計 |
60,536 |
67,859( 12.1%) |
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(注)表中の百分率は、対前年増減率 |
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売上実績 |
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(単位:百万円) |
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区 分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
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国内建設 |
50,850 |
57,021( 12.1%) |
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その他 |
2,399 |
2,660( 10.9%) |
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合 計 |
53,250 |
59,682( 12.1%) |
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(注)1.表中の百分率は、対前年増減率 2.主要な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合
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受注残高 |
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(単位:百万円) |
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区 分 |
前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
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国内建設 |
32,368 |
40,545( 25.3%) |
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その他 |
― |
― |
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合 計 |
32,368 |
40,545( 25.3%) |
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(注)表中の百分率は、対前年増減率 |
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(注)当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成していますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積もりが行われており、資産・負債や収益・費用の金額に反映されています。これらの見積もりについては、過去の実績等を踏まえながら判断していますが、見積もりには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積もりとは異なる場合があります。
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末より69億60百万円増加し、912億26百万円となりました。これは主に、完成工事未収入金が増加したためです。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より21億8百万円増加し、171億30百万円となりました。これは主に、支払手形・工事未払金等、及び電子記録債務が増加したためです。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より48億52百万円増加し、740億96百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したためです。
売上高は、豊富な期首の手持工事と期中受注した工事の施工が順調に進んたことにより、前年同期比64億32百 万円増(12.1%増)の596億82百万円となりました。
売上総利益は、前年同期比9億83百万円増(7.1%増)の147億81百万円となりました。一方、小型工事から大型工事へのシフトによる影響により、売上総利益率は前連結会計年度に比べて1.1ポイント低下し、24.8%となりました。
販売費及び一般管理費は、社員増による人件費の増加、及び研究所の設備投資による減価償却費の増加等により前年同期比3億62百万円増(10.0%増)の40億円となりました。
営業利益は、売上高が大幅に増加したことにより、前年同期比6億21百万円増(6.1%増)の107億81百万円となりました。
経常利益は、売上高が大幅に増加したことにより、前年同期比6億71百万円増(6.4%増)の111億87百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した投資有価証券売却益の影響がなくなったことにより、特別損益が前年同期比2億39百万円減少したものの、売上高が大幅に増加したことが寄与し、前年同期比3億3百万円増(4.3%増)の73億1百万円となりました。
当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フローであり、当連結会計年度においては、17億34百万円の資金の増加を確保しております。また、資金運用(有価証券及び投資有価証券の取得)についても一時的な余資運用と位置付け、計画的に資金を確保する体制をとっており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しています。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は145億94百万円となりました。
該当事項はありません。
当社グループは,多様化する社会及び客先からのニーズに迅速に対応し、市場に密着した研究開発を行っています。当連結会計年度の研究開発費として444百万円を投入しました。
なお、当企業集団における研究開発活動は、おもに「国内建設」に係るものであり、セグメントに区分して記載していません。
(1)各種共同研究の実施
現在、インフラ構造物を保有する各機関(高速道路、鉄道、電力等)において高度成長期に造られた施設の更新や補修を行う時期がほぼ同時にきています。また、各機関は施設を使用しながら手当をする必要があるため補修の比率が大きくなります。現在、各機関特有の個別ニーズに沿った独自補修工法の共同研究を進めており実際の施設における試験施工等で効果を確認しています。
(2)電気防食工法の開発
海岸地域のコンクリート構造物は海水の塩分によって劣化する「塩害」という劣化現象があります。この劣化現象に対する補修方法のなかで唯一積極的な効果を期待できる工法として、コンクリート中の鉄筋に電気を流す電気防食工法があります。この電気防食工法は商用電源を使用するため維持管理が煩雑であるとの問題がありました。当社では維持管理の容易なソーラーパネルを利用した間欠通電方式の実用化開発を終え、現在は実構造物に適用した場合の補修効果について、施工済み複数構造物の追跡調査を行っております。
(3)補修工事の生産性向上方法の開発
近い将来の技能労働者の減少を念頭に、補修工事の生産性向上方法の検討を行っています。測量、設計段階に使用するものとしては、狭隘・複雑部に 3Dスキャナーによる3次元測量結果をベースとした橋梁耐震補強部材の取り付け位置決定スキームがあります。従来の6割程度の手間で作業が終了します。また、施工段階に使用するものでは、「施工の機械化」というテーマで構造物に接着する補強シートの自動裁断機やコンクリート補修材の塗布型ドローン等の開発を行っております。
(4)樹脂製品の開発改良
当社の主要技術である有機補修材料の開発改良は常時行っております。最近では、物流冷凍倉庫内での耐震補強工法の施工が可能になるマイナス25度で使用できるエポキシ樹脂接着剤の開発や(従来のエポキシ樹脂接着剤は5度以下では使用不可能)、紫外線劣化による変色がなく視認性能に優れることで点検容易な透明補修材料の開発等を主に行っております。
(5)無機製品の開発
上記有機補修材料の他、昨年から汎用性、経済性に優れる無機補修材料の開発に着手しております。供用下の路面補修工事で手軽に使える現場練り超速硬コンクリートの開発は完了しており、現在は橋梁のコンクリート舗装増厚材や床版上面断面修復材の開発を行っております。
なお、研究開発活動は主に連結子会社のショーボンド建設株式会社で行われており、その他の子会社では研究開発活動は特段行っていません。