当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営方針
[グループ企業理念]
「社会資本を良好な状態で次世代に引継ぐ」との使命感のもと、メンテナンス業界のトップランナーとしての高度な技術開発力で、豊かで安全な社会の実現に貢献する。
[めざし続ける姿」
メンテナンス専業としての「使命」を果たす
化学技術と土木技術の融合により新材料・新工法を開発する「技術のショーボンド」
収益性・効率性重視の経営
[社是]
一、熟慮して決断
一、行動への責任
一、統一ある職場
一、社会への貢献
(2)経営環境
国内インフラメンテナンス市場では、「加速化するインフラの老朽化」と「激甚化・頻発化する自然災害」といった社会課題に対し、国を挙げて基本計画に基づく取り組みが実施されております。2023年の国土強靭化基本法改正により、予算措置を伴う「実施中期計画」の策定が義務化され、2025年6月6日に閣議決定された「第1次国土強靭化実施中期計画」において、防災インフラの整備・管理をはじめとする各施策に対し、2026年度からの5年間でおおむね20兆円強程度の事業規模が想定されております。こうした公共政策の動向を踏まえ、今後も国内インフラメンテナンス市場の受注環境は良好な状況が続くと想定しております。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
「中期経営計画2027」(2025年6月期~2027年6月期)では、「事業性と社会性を追求した企業価値の向上」を基本方針とし、持続的な利益成長と社会課題への取り組みの両立に向けて各施策を遂行しております。「事業戦略」のうち、海外事業におきましては、インドやエルサルバドルで試験施工を行うなど、工事材料販売に特化したビジネスモデルから技術協力・施工管理へと幅を広げた営業活動の強化に取り組みました。また、国内メンテナンス市場における周辺領域のメンテナンス需要に対しても、鉄道分野を中心に売上高を拡大することができました。今後も全社最適となるリソース配分により大型工事をさらに取り込み、増収増益トレンドを継続してまいります。また、収益力強化のため新領域ビジネスに挑戦するほか、収益源多様化に向けて国内道路分野以外のビジネスにも取り組んでまいります。
株主還元方針では、長期間にわたり継続保有してくださる個人株主の皆様をはじめ、新たな個人株主様も増加していることから、「中期経営計画2027」の基本方針の一つである「資本コストや株価を意識した経営の実現」を実践するにあたり、今回は配当性向を大幅に引き上げることで株主還元を強化することといたしました。各年度、配当性向を50%から60%に引き上げ、また、自己株式の取得については、50億円を継続することで、総還元性向を80%から90%に変更いたします。
株主還元の充実に加えて、人的資本への投資継続をはじめ非財務資本の活用を含む財務・非財務両面の資本政策により、企業価値の更なる向上を実現してまいります。
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1. 中期経営計画2027の基本方針 事業性と社会性を追求した企業価値の向上 ① 大型工事の受注拡大に向けた競争力強化 ② 海外事業のビジネスモデル再構築 ③ DXによる生産性向上と働き方改革の推進 ④ 資本コストや株価を意識した経営の実現 ⑤ 非財務資本の活用による企業価値の更なる向上 |
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2. 財務目標
売上高1,000億円
2027年6月期には、売上高1,000億円を目指します。継続的な賃上げなどによる人件費の増加を見込んでおり、営業利益率は若干低下すると想定し最終年度の営業利益を220億円としております。当期純利益は、政策保有株式の売却益などを加えて156億円の計画です。
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2025年6月期実績 |
2027年6月期目標 |
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売上高 |
907.1億円 |
1,000億円 |
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営業利益 |
207.9億円 |
220億円 |
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当期純利益 |
150.6億円 |
156億円 |
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ROE |
14.5% |
14.5%程度 |
3. 資本政策
総還元性向90%
2025年6月期を初年度とする「中期経営計画 2027」では、株主還元方針として各年度の総還元性向80%を掲げておりましたが、利益還元の更なる充実を図ることにより株主の皆様のご支援にお応えすべきと考え、各年度の総還元性向を90%に引き上げることといたしました。 政策保有株式については削減方針を継続し、2024年6月期末時価の約3割に相当する約30億円の売却を計画しております。
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2025年6月期実績 |
2027年6月期目標 |
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配当性向 |
60.1% |
60% |
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総還元性向 |
93.0% |
90% |
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自己株式取得 |
50億円 |
150億円(3年累計) |
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政策保有株式の削減額 |
14億円 |
30億円(3年累計) |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、「『社会資本を良好な状態で次世代に引継ぐ』との使命感のもと、メンテナンス業界のトップランナーとしての高度な技術開発力で、豊かで安全な社会の実現に貢献する。」というグループ企業理念を経営の核とし、めざし続ける姿に近づくべくマテリアリティを特定しました。4つのマテリアリティには「内部の取り組み」に関わるものと、「企業活動を通じて社会に与える影響」に関わるものがあり、これらに総合的に取り組むことが、SDGs達成への貢献とグループ企業理念の実践につながるサステナビリティ経営であると考えています。マテリアリティに基づく取り組みについては、サステナビリティ方針とESGに関わる各種方針を策定し、継続的に実施しています。2022年8月には、取り組みの進捗を測るKPIをそれぞれ定め、目標と実績を開示しました。今後も社内外のステークホルダーの意見を踏まえながら、推進体制の整備や施策の検討、定期的なレビューを実施する等、サステナビリティに関する取り組みを強化することで、中長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の形成に貢献
していきます。
(1)ガバナンス
当社グループでは、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る重要課題等を継続的に議論することを目的として、代表取締役社長を委員長、社内・社外全取締役を委員とする「サステナビリティ委員会」を設置しています。当委員会は原則として年1回開催し、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティに関する課題を審議します。審議結果については、経営会議および取締役会に付議・報告を行います。主な審議事項は、サステナビリティに関する方針や施策、気候関連のリスク・機会の識別・評価・管理、非財務情報に関するKPIの管理のほか、関連する重要事項全般です。また、サステナビリティに関する業務全般を統括する部署として、ESG推進室を設置しています。ESG推進室では、各部門・グループ各社のESG担当者との会議を随時開催し、グループ全体として実務レベルでの協働を図っています。このような体制のもと、経営層、ESG担当部署、各部門、グループ各社が有
機的に連携することで、サステナビリティの保持増進に努めています。
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サステナビリティ委員会 2025年6月期開催実績 開催回数:1回 主なテーマ:気候変動対策、人的資本 |
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(2)戦略
①人的資本
当社グループが、社会的責任を果たす企業として存続・成長し、持続可能な社会の発展・構築に貢献するためには、当社グループで働く一人ひとりが夢を持ち充実感を感じながら能力を発揮することが必要と考えています。
そのため当社グループでは、社員一人ひとりが心身ともに健康で、安心して長く働き続けることができ、資質・能力を最大限に発揮できる職場づくりを目指しています。
1. 人材の育成に関する方針
当社グループの最大の財産であり、誇れるものは社員です。持続可能な社会の発展・構築に貢献するためには、社員が高度な専門能力を習得し、その能力を最大限に発揮できる環境をつくっていくことが重要だと考えて
います。
当社グループが手掛ける補修・補強工事では、経験が非常に重要です。そのため、OJTでの育成を主体として研修を行い、若いうちから仕事を任せ、責任のある業務を担当させながら、業務上の課題を自ら解決していくこ
とで能力向上を図っています。
社員の成長段階に合わせて知識や技術を習得する場を設け、計画的に、そして効果的にレベルアップを促し、長期的な視点に立った人材育成に取り組んでいます。
また、多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていくことは、中長期的な企業価値の向上のために重要であると考えています。そのため、多様性の確保については、採用活動の段階から多様な人材が集まるように最大限工夫をするとともに、差別のない公平な選考を行っています。管理職への登用も、性別・国籍・新卒/中途採用等に関係なく、能力や実績
を重視する人物本位で実施しています。
2. 社内環境整備に関する方針
当社グループは、社員一人ひとりが心身ともに健康で、安心して長く働き続けることができ、資質・能力を最大限に発揮できる職場づくりを目指しています。
いち早く総労働時間の適正化に取り組み始めた結果、働き方改革が世の中に浸透する頃には意識や実態が大きく改善し、現在も低い離職率を維持しています。
また、育児・介護や転勤に関することなど、社員のニーズに耳を傾け、職場環境の改善を継続することによ
り、高い定着力を維持しています。
3. 人権
当社グループの職場では、性別や国籍、所属企業、年齢、経験年数などの異なる人材が協力し合って仕事をし
ています。すべての人が安心して働くためには人権の尊重が極めて重要であると考えています。
当社グループの人権に対する考え方を明確にするため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った人権方針を2022年8月に制定しました。本方針に基づき、当社グループだけでなく協力会社をはじめ、すべての
ステークホルダーと一丸となって人権尊重に取り組んでいきます。
人権に対する理解を深めるために、新入社員研修や階層別研修、eラーニング等で人権に関する教育を行っています。人権教育では、人権に関する概念的な説明だけでなく、ハラスメントの典型事例等の具体的な人権問題
を取り上げることで、役職員の当事者意識の向上に努めています。
また、人権リスクの一つであるハラスメントを防ぐため、社員に対して定期的にハラスメントに関するセルフチェックを実施するとともに、協力会社とも連携してサプライチェーン上のリスクに対処しています。2022年に実施した協力会社向けの人権に関するアンケートの結果から、ハラスメントが発生している事実は確認されませんでしたが、ハラスメントのリスクを感じている協力会社が複数確認できました。このリスクへの対応として、
現場事務所にハラスメント防止の啓発ポスターを掲示するなどの措置を講じました。
人権リスクを抑制するためには、日頃からのコミュニケーションによる潜在的リスクの早期発見が重要だと認識しています。施工現場では、当社グループの社員と協力会社の作業員がコミュニケーションを密に行うことで、双方にとって働きやすい職場環境づくりを心掛けています。また、従業員満足度調査等を実施することで、
人権リスクに関する社内の状況を定期的に確認する仕組みも整えています。
②気候変動
当社グループは2022年7月、TCFD提言への賛同を表明するとともに、TCFDコンソーシアムに参画しました。当社グループは「社会資本を良好な状態で次世代に引継ぐ」という経営理念に基づき、「持続可能な都市づくりへの貢
献」をマテリアリティとして掲げており、気候変動への対策は重要な経営課題であると認識しています。
インフラの長寿命化が温室効果ガスの削減に寄与するという認識のもと、メンテナンス専業としての本業を通じた取り組みに加えて、今後は気候変動に関わる情報開示や更なる取り組みによって、持続可能な社会の実現に貢献します。
低炭素経済への「移行」に関するリスクと機会、気候変動による「物理的」変化に関するリスクと機会が、経営全般に及ぼす影響を特定・評価するために、シナリオ分析を行いました。
シナリオ分析の前提として、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)等が公表する複数の既存シナリオを参照のうえ、2℃以下シナリオおよび4℃シナリオを選定しました。対象事業は国内建設事業および補修・補強材料の製造・販売事業とし、時間軸は2030年を想定しています。特定した気候関連のリスクと
機会に対しては、必要な対応策を抽出しました。
今回抽出した対応策の実行を通じて持続可能な都市づくりに貢献するとともに、事業のレジリエンスを高めて持続的な成長を実現します。
なお、
https://www.sho-bondhd.jp/ir/library/plan/
(3)リスク管理
当社グループでは、リスク管理規程の制定およびリスク管理委員会の設置により、リスクの発生の防止およびリスクが発生した場合の損失の最小化を図っています。社長を委員長とするリスク管理委員会は、各社内委員会で議論された各リスク等を統合し、グループのリスク管理に係る方針や施策のほか、リスク管理状況の把握・評価、リスクが発生した場合の原因究明および再発防止に関する事項等について検討および審議を行い、必要に応じて取締役会に付議・報告します。これにより、全社的な情報共有体制を構築しています。人的資本、気候変動を含むサステナビリティ関連のリスクについては、サステナビリティ委員会からの報告を元にリスクを分析し、全社的に連携することでその対策に努めています。
(4)指標及び目標
①人的資本
当社グループでは、「(2)戦略」において記載した、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に
ついて、次の指標と目標を設定しています。
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指標 |
2024年6月期 実績 |
2025年6月期 実績 |
目標 |
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66.0% |
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25.8% |
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36名 |
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②気候変動
当社グループは、地球温暖化対策推進法の基本理念である脱炭素社会の実現に向け、2050年度までにカーボンニュートラルにすることを目指し、2030年度にCO2排出量(Scope1・2)を2021年度比で25%削減することを目標に
設定しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)事業リスク
当社グループの事業は、建設事業の割合が高く、建設市場の著しい縮小や競争環境の激化が生じた場合、工事受注量の減少および工事採算の低下等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、事業環境の変化に対応するための戦略を中期経営計画に定め、本計画の諸施策を確実に遂行することで、持続的な成長に努めております。
(2)建設コストの変動リスク
建設資材価格や労務単価の急激な高騰、技能労働者の不足が生じた場合、工事原価の上昇による工事採算の低下や工事遅延等の発生により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、建設資材価格および労務費の動向を注視するとともに、早期調達や安定的な取引先を確保することで、工事損益に与える影響を最小限に抑えるよう努めております。
(3)施工品質リスク
施工不良が発生し、適正な品質を確保できなくなった場合、補償工事の発生や指名停止・営業停止等による受注機会の損失、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、各工事現場にて実施している施工前の工事内容や施工条件の確認、施工中の定期的な社内検査の実施などにより品質管理の徹底に努めております。
(4)安全衛生リスク
施工中の工事現場で重大事故や労働災害が発生した場合、工事の一時中断および指名停止等による受注機会の損失、被災者への補償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、各拠点に安全衛生管理の責任部署を配置し、定期的な安全パトロールや社員・協力会社の職長に対する安全教育の実施などにより、安全衛生管理の徹底に努めております。
(5)コンプライアンスリスク
建設業法・労働安全衛生法・労働基準法などの法的規制に違反した場合、行政処分等による受注機会の損失や取引先からの信用失墜による取引停止等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、コンプアイアンス担当部署を置き、コンプライアンスに関する規程やコンプライアンスマニュアルの整備、定期的な研修などを行い、全役職員への浸透を図っております。
(6)情報セキュリティリスク
ウイルス感染や不正アクセス等により、システムダウンや重要な情報の漏洩が発生した場合、業務の一時中断および顧客、取引先からの信用失墜による取引停止、損害賠償等の発生により、業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、ウイルス対策ソフトの常時更新やネットワーク接続のセキュリティ対策の強化を行い、情報の外部漏洩が発生しないよう対策を講じるとともに、重要データのバックアップ体制を構築しております。また、当社グループの役員及び従業員を対象とした標的型攻撃メール訓練やeラーニングを用いた教育を実施するなど、組織的な対応力向上に取り組んでおります。
(7)取引先の信用リスク
民間から工事を請負い、取引先が工事代金受領前に信用不安に陥った場合、貸倒が発生し業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、取引開始時、取引中の与信管理の徹底や保証ファクタリングの利用、出来高に応じた工事代金の回収などに取組み、リスク回避に努めております。
(8)災害・感染症のリスク
地震、津波、風水害等の大規模自然災害が発生した場合、社員と家族の生命・身体等の安全が脅かされたり、工事現場や工場に被害が発生し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、事業継続計画(BCP)の整備、役職員の安否確認システム導入、定期的な訓練の実施等により影響を最小限に抑えるよう努めております。
また、新たな感染症の発生等により、工事現場や事業所で感染者が発生した場合、工事の中断や事業所閉鎖等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクが顕在化した場合でも、速やかに対応が可能な体制を整備しております。
(9)気候変動に関するリスク
気候変動の更なる進行や低炭素経済への移行により自然環境および社会環境が大きく変化した場合、受注および売上の減少やコストの増加等が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクの対応策として、TCFD提言に基づく気候関連の情報開示を行うとともに、特定したリスクを低減するための取り組みを実施しております。
詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態及び経営成績の状況
Ⅰ.財政状態の状況
・資産
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末より985百万円減少し、129,155百万円となりました。
・負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より2,952百万円減少し、22,763百万円となりました。
・純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より1,966百万円増加し、106,392百万円となりました。
Ⅱ.経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの連結業績は、大型工事の端境期となった高速道路会社の売上高は前期比微減となりましたが、期首受注残高の多かった国、地方自治体の売上高が増加したことにより、売上高90,712百万円(前期比6.2%増)、営業利益20,794百万円(前期比5.7%増)、経常利益21,139百万円(前期比3.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15,061百万円(前期比5.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
なお、セグメント利益は、連結損益計算書の営業利益と調整をおこなっています。
(国内建設)
受注高は78,247百万円(前期比19.5%減)となりました。また、売上高は86,776百万円(前期比6.7%増)となり、セグメント利益は19,827百万円(前期比5.6%増)となりました。
(その他)
受注高は3,935百万円(前期比3.5%減)となりました。また、売上高は3,935百万円(前期比3.5%減)となり、セグメント利益は920百万円(前期比5.7%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,780百万円減少し、32,523百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、9,473百万円の資金の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、464百万円の資金の増加となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、12,697百万円の資金の減少となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める建設事業では生産実績を定義することが困難であり、かつ建設事業においては請負形態をとっているため、販売実績という定義は実態にそぐいません。
各セグメントにおける受注実績、売上実績、及び受注残高は次のとおりです。
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受注実績 |
(単位:百万円) |
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区分 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
国内建設 |
97,248 |
78,247(△19.5%) |
|
その他 |
4,076 |
3,935( △3.5%) |
|
合計 |
101,324 |
82,182(△18.9%) |
(注) 表中の百分率は、対前年同期増減率
|
売上実績 |
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) |
|
国内建設 |
81,343 |
86,776( 6.7%) |
|
その他 |
4,076 |
3,935( △3.5%) |
|
合計 |
85,419 |
90,712( 6.2%) |
(注)1.表中の百分率は、対前年同期増減率
2.主要な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合
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相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
|
売上高 (百万円) |
割合 (%) |
売上高 (百万円) |
割合 (%) |
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東日本高速道路株式会社 |
19,936 |
23.3 |
20,599 |
22.7 |
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西日本高速道路株式会社 |
9,630 |
11.3 |
12,408 |
13.7 |
|
国土交通省 |
7,634 |
8.9 |
9,791 |
10.8 |
|
中日本高速道路株式会社 |
9,497 |
11.1 |
7,969 |
8.8 |
|
受注残高 |
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度末 (2024年6月30日) |
当連結会計年度末 (2025年6月30日) |
|
国内建設 |
90,228 |
81,698( △9.5%) |
|
その他 |
- |
-( -%) |
|
合計 |
90,228 |
81,698( △9.5%) |
(注) 表中の百分率は、対前年同期増減率
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
Ⅰ.財政状態の分析
・資産
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末より985百万円減少し、129,155百万円となりました。これは
主に、現金預金及び受取手形・完成工事未収入金等が増加した一方で、有価証券及び投資有価証券が減少したためです。
・負債
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より2,952百万円減少し、22,763百万円となりました。これは主に、電子記録債務及び流動負債その他(未払消費税等)が減少したためです。
・純資産
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より1,966百万円増加し、106,392百万円となりました。これは主に、自己株式の取得を行った一方で、配当金の支払を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴い利益剰余金が増加したためです。
Ⅱ.経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの連結業績は、次のとおりとなりました。
受注高は、高速道路会社の工事発注量減少により高速道路会社からの工事受注が年度を通して低調に推移した
ほか、国からの工事受注も前年を下回った結果、前期比19,142百万円減少(18.9%減)の82,182百万円となりま
した。
売上高は、大型工事の端境期となった高速道路会社の売上高は前期比微減となりましたが、期首受注残高の多かった国、地方自治体の売上高が増加したことにより、前期比5,292百万円増加(6.2%増)の90,712百万円となりました。
受注残高は、受注高が売上高を下回った結果、前期比8,529百万円減少(9.5%減)の81,698百万円となりまし
た。
利益につきましては、売上高の増加に加え売上総利益率が29.2%と前期に引き続き高水準を維持できたことにより売上総利益が増加した結果、営業利益は前期比1,127百万円増加(5.7%増)の20,794百万円となりました。
経常利益は、前期比703百万円増加(3.4%増)の21,139百万円、特別利益に投資有価証券売却益を計上したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益は前期比739百万円増加(5.2%増)の15,061百万円となり、11期連続で増収増益となりました。
② キャッシュ・フロー状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
Ⅰ.キャッシュ・フロー状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローについては、主に売上債権の増加による2,295百万円の減少要因、及び仕入債務の減少による1,888百万円の減少要因があるものの、税金等調整前当期純利益による21,801百万円の増加要因により、9,473百万円の資金の増加となりました。前期比では9,932百万円の資金の減少となり、これは主に、その他の負債(未払消費税等)の減少により4,327百万円減少したためです。
投資活動によるキャッシュ・フローについては、主に有形固定資産の取得による支出857百万円の減少要因があるものの、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入1,419百万円の増加要因により、464百万円の資金の増加となりました。前期比では2,027百万円の資金の減少となり、これは主に、有価証券及び投資有価証
券の取得による支出、及び売却及び償還による収入の差額が2,622百万円減少したためです。
財務活動によるキャッシュ・フローについては、主に配当金の支払額7,669百万円の減少要因、及び自己株式
の取得による支出5,001百万円の減少要因により、12,697百万円の資金の減少となりました。前期比では3,488
百万円の資金の減少となり、これは主に、自己株式の取得による支出が1,497百万円増加したためです。
Ⅱ.資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フローであり、当連結会計年度においては、9,473百万円の資金の増加を確保しております。また、資金運用(有価証券及び投資有価証券の取得)についても一時的な余資運用と位置付け、計画的に資金を確保する体制をとっており、事業活動に必要な資金の流動性を確保しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて2,780百万円減少し、32,523百万円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす仮定及び見積りを用いておりますが、これらの仮定及び見積りに基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループは,多様化する社会及び客先からのニーズに迅速に対応し、市場に密着した研究開発を行っております。当連結会計年度の研究開発費として
なお、当企業集団における研究開発活動は、おもに「国内建設」にかかわるものであり、セグメントに区分して記載しておりません。
(1) 各機関との共同研究・開発の実施
現在、インフラ構造物を管理する各機関(道路、鉄道、トンネル、空港、港湾、電力等)において、高度成長期に造られた施設の更新や補修を行う時期がほぼ同時に訪れています。これら施設の補修に関する要求性能は各機関毎に異なります。当社では各機関特有の個別ニーズに沿った長寿命化対策に関する補修や補強工法の共同研究を、各機関や関連施工会社と常時複数件進めています。共同研究で開発された製品や対策工法は、各機関が管理している実際のインフラ構造物で試験施工等を行い、補強効果を確認した後、広く採用されています。
(2) インフラメンテナンスを支える新技術の開発
コンクリートの劣化対策として、環境に配慮した水性塗料によるコンクリート保護塗装工法を開発しました。従来は2液性(主剤と硬化剤)塗料となりますが、開発した塗料は1液性で計量や練り混ぜなどが必要ではないため、品質の確保が容易となります。また、臭いが少なく鉄道など施工時間の制約がある現場では有利な材料です。その他、透明で塗るだけで剥落防止が出来る1液性の透明樹脂も開発しました。
無機材料では、高速道路会社と共同で橋梁床版上面の補修・補強用の材料として、既設のコンクリートとほぼ同程度の弾性係数を有する4時間で必要な強度発現が出来る鋼繊維入りの超速硬コンクリートを開発しています。このコンクリートは、床版取替が出来ない、または取り替えるほどのダメージを受けていない橋梁床版の補修・補強に適用できるコンクリートです。既に設計にも織り込まれており、今後工事発注が予定されています。
(3) DX推進による生産性向上技術の開発
AIによるコンクリート構造物の劣化診断と補修提案を行うiPad版「AI診断士」を開発し展開してきました。その中で、自治体や民間管理者からもっと簡便に使えるようにして欲しいとの要望があり、スマートフォンカメラで撮影するだけで診断可能な「簡易版AI診断士」を新たに開発しました。
その他として、これまでに蓄積してきた社内技術や資料の他、建設関係の専門知識をディープラーニングさせ、現場管理者の負担軽減を目的としたアシスタントAIの開発を進めています。
なお、研究開発活動は主に連結子会社のショーボンド建設株式会社で行われており、その他の子会社では研究開発
活動は特段行っておりません。