第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

1.経営の基本方針

当社グループは2017年9月に創業100周年を迎えるにあたり、新たなコーポレートミッションを策定しました。

コーポレートスローガン  「かがやく“笑顔”のために」

経営理念         「乳で培った技術を活かし
私たちならではの商品をお届けすることで
健康で幸せな生活に貢献し豊かな社会をつくる」

新しい100年に向けて、当社グループは、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。

 

2.中長期的な会社の経営戦略、経営環境および対処すべき課題等

これまで当社グループでは2015年に発表した中期経営計画に掲げた経営課題への取り組みを実施し、経営基盤の強化を進めてまいりました。

お客さまのニーズに応える商品の提供とその価値訴求に努める一方で、低採算商品の見直し等によるプロダクトミックスの改善、ローコストオペレーションの推進など、合理化・効率化を推進してまいりました。その結果、当中期経営計画策定時に設定いたしました、2020年3月期の連結数値目標であります売上高6,400億円、営業利益225億円につきましては、売上高は事業合理化の取り組みなどもあり未達となりましたが、営業利益は最終年度の1年前にあたる当期におきまして、概ね目標水準に近づくことができました。

数値目標と各取り組みに一定の成果を上げることができたこと、またこの間、食品業界、酪農乳業界を取り巻く外部環境も大きく変化してきました。そこで、当初5年間で策定した計画を見直し、当社グループが更なる持続的成長を実現するための成長戦略として改めて検討し、新たに2020年3月期より3年間の中期経営計画をスタートすることといたしました。

この新たな3年間の中期経営計画策定に先立ち、10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を制定いたしました。当ビジョンでは、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を10年後の当社グループのありたい姿と定め、「営業利益率7%以上」「ROE10%以上」「海外売上高比率15%以上」を2029年3月期の数値目標に設定いたしました。

この考えのもと、2022年3月期までの3年間を確固たる事業基盤づくりの期間と位置付け、「4本の事業の柱横断取り組み強化による持続的成長」「経営理念実現に向けたESGを重視した経営の実践」「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」の3つを基本方針に定め、売上高6,300億円、営業利益300億円の数値目標にも取り組んでまいります。

基本方針の1つ目であります「4本の事業の柱横断取り組み強化による持続的成長」におきましては、前中期経営計画より事業ポートフォリオを4本の柱とし、①BtoC事業、②ウェルネス事業、③BtoB事業、④海外事業の4つの事業ごとに取り組みを進めてまいりました。今後におきましては、「基幹ブランドの更なる強化」「ビフィズス菌・独自シーズの展開加速」「海外事業の育成」「次世代ヘルスケア事業の基盤構築」を最重点テーマとし、当社グループの強みであります、素材および技術開発力を基礎とする健康栄養機能性分野における4本の事業の柱の事業横断での取り組み等を強化してまいります。

基本方針の2つ目であります「経営理念実現に向けたESGを重視した経営の実践」におきましては、次の100年に向けて、サステナブルな社会をつくるため、そして人々の健康に貢献する企業であり続けるための指針として、昨年7つの重要取組課題を策定いたしました。「健康・栄養」「環境」「人権」「供給」「次世代育成」「人財育成」「コーポレートガバナンス」の7つの課題ごとそれぞれに目標とする指標(KPI)を設定し、取り組んでまいります。

基本方針の3つ目であります「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」におきましては、ローコストオペレーションの推進の取り組み方針のもと、既に発表しておりますとおり、グループ全体の生産拠点再編の一環として、利根工場に新棟を建設し、神戸工場の製造ラインを増設する一方で、2020年3月に近畿工場、2021年3月に東京工場の生産を中止することで、より効率的な生産体制を構築してまいります。さらに、2019年12月には、当社グループが所有する不動産の信託受益権の一部を譲渡し、より一層の資産の効率化と価値の最大化を図ります。加えて、事業の効率化にとどまらず、コーポレートブランドの強化、人財育成、研究開発を通じた社会への貢献などにも力を入れてまいります。

また、お客さまに安全、安心を提供する品質保証体制の一層の強化にも引き続き取り組んでまいります。

以上のビジョン・方針のもとで、次期(2020年3月期)を新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、最高益の更新を目指してまいります。

当社グループは今後も、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。

 

3.会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

(1) 基本方針の内容

当社は、株式会社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものであり、株式の大量買付等であっても、企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。

しかしながら、株式の大量買付等の中には、その目的などから見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付等の行為について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

とりわけ、当社の企業価値の源泉は、乳で培った技術を活かした商品開発力と、食品の提供を通じて培ってきた信用とブランドにあります。これらが、株式の大量買付等を行う者により中長期的に確保し、向上させられなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。

こうした事情に鑑み、当社株式に対する大量買付等が行われた際に、株主のみなさまがかかる大量買付等に応じるべきか否かを判断し、あるいは当社取締役会が株主のみなさまに代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主のみなさまのために交渉を行うことなどを可能とすることで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に反する大量買付等を抑止するための枠組みが必要であると考えております。

 

(2) 基本方針に照らして不適切な者によって会社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、第93期事業年度に係る当社定時株主総会における株主のみなさまの承認に基づき、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)を更新しております。

なお、本プランは当事業年度末時点のものを記載しています。本プランの有効期間は、2019年6月27日開催の当社第96期定時株主総会(以下「本総会」といいます。)の終結の時までとされておりましたが、当社は、2019年5月13日開催の取締役会において、本プランを継続せず、その有効期間が満了する本総会の終結の時をもって廃止することを決議しております。

本プランは、当社株式の大量取得行為が行われる場合に、株主のみなさまが適切な判断をするために必要・十分な情報と時間を確保するとともに、買付者等(以下に定義されます。)との交渉の機会を確保することなどにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としています。

具体的には、当社の株券等に対する買付もしくはこれに類似する行為又はその提案(以下「買付等」といいます。)が行われる場合に、買付等を行う者(以下「買付者等」といいます。)に対し事前の情報提供を求めるなど、上記の目的を実現するために必要な手続を定めています。

買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う場合、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれがある場合などには、当社は、買付者等による権利行使は認められないとの行使条件および当社が買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得できる旨の取得条項が付された新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)を、その時点の当社を除く全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。

本プランに従って本新株予約権の無償割当てがなされ、その行使又は当社による取得に伴って買付者等以外の株主のみなさまに当社株式が交付された場合には、買付者等の有する当社の議決権割合は、最大50%まで希釈化される可能性があります。

 

(3) 本プランの合理性

本プランは、大要下記のとおり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するよう合理的な内容を備えたものと考えております。

① 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること

本プランは、当社株式に対する買付等がなされた際に、当該買付等に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保したり、株主のみなさまのために買付者等と交渉を行うことなどを可能とすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって導入されるものです。

② 株主意思を重視するものであること

本プランは、当社株主総会において本プランに係る委任決議がなされることにより更新されました。

また、本プランには、有効期間を約3年間とするいわゆるサンセット条項が付されており、かつ、その有効期間の満了前であっても、当社株主総会において上記の委任決議を撤回する旨の決議が行われた場合、当社の株主総会で選任された取締役により構成される当社取締役会において本プランを廃止する旨の決議がなされた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。その意味で、本プランの存続の適否には、株主のみなさまのご意向が反映されることとなっております。

③ 独立性の高い社外者の判断の重視と情報開示

本新株予約権の無償割当ての実施などの運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い社外有識者などから構成される独立委員会により行われることとされています。これにより当社取締役会の恣意的行動を厳格に監視いたします。

また、その判断の概要については株主のみなさまに情報開示をすることとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されています。

④ 第三者専門家の意見の取得

買付者等が現れると、独立委員会は、当社の費用で、独立した第三者(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家を含みます。)の助言を受けることができることとされています。これにより、独立委員会による判断の公正さ・客観性がより強く担保される仕組みとなっています。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態などに影響をおよぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

(1) 酪農乳業界について

・当社グループが生産する牛乳・乳製品には、国内農業の保護を目的とした関税制度が設けられておりますが、WTO、TPP、EPA、FTA農業交渉の結果いかんによって関税制度に大幅な変更があれば、当社グループの業績および財政状態に大きく影響する可能性があります。

・当社グループが生産する乳製品の原料である生乳の生産者に対しては長らく「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」に基づく補給金が支払われ、2018年からは「改正畜産経営安定法」に基づく新たな加工原料乳生産者補給金制度となりました。将来において同法律が大幅に変更もしくは廃止され、補給金の水準が変化する場合は、当社グループの原料購入価格が影響を受ける可能性があります。

 

(2) 食品の安全について

当社グループの製品製造にあたっては、法律よりも厳しい独自の品質管理基準を適用し、食品の安全性や品質の確保に万全を期しておりますが、大規模な回収や製造物責任賠償につながるような不測の製品事故などの発生は、当社グループの業績および財政状態に重大な影響をおよぼす可能性があります。

 

(3) 相場・為替レートの影響について

当社グループは、一部の原材料および商品を海外から調達していることから、これらの相場や為替レートの変動により購入価格に影響を受けます。相場の高騰および為替レートの円安の進行は、原価の上昇要因となり、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(4) 天候不順について

当社グループのアイスクリーム部門・市乳部門の売上は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、冷夏の場合はこれらの部門の売上が減少し、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(5) 天災について

地震などの大規模な自然災害の影響で生産・物流施設等が損害を被ることにより生産が停滞し、復旧のための費用が発生することにより、業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

(6) 情報セキュリティについて

当社グループでは、グループ各社が保有する個人情報の保護・管理ならびに情報システムへの不正アクセス防止のための情報セキュリティ対応策を策定し、取り組んでおります。しかしながら、不測の事態により情報の流出等が発生した場合には、社会的信用の低下などによって、当社グループの業績および財政状態に影響をおよぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、主として期末日現在などの判断に基づき金額を見積った項目があります。

特に以下の項目に関する見積額は、実際の結果と異なる可能性があります。

① 貸倒引当金

貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、今後の個別の業況などによっては、追加引当もしくは取崩しが必要となる可能性があります。

② 退職給付費用および債務

退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

③ 投資有価証券の減損

投資有価証券については、その価値の下落が一時的ではなく回復可能性が無いと認められる場合に減損処理を実施しておりますが、今後の市況や投資先の業況などにより、さらに減損処理が必要となる可能性や価格が回復する可能性があります。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度の売上高は、前年比1.4%減5,835億8千2百万円となりました。当社(提出会社)の売上高は、前年比2.3%減4,303億6千3百万円であり、その概況は以下の通りです。

 

市乳

牛乳類は、主力ブランド「森永のおいしい牛乳」シリーズが堅調に推移しましたが、採算改善に向けた商品数削減などにより、前年の売上を下回りました。

乳飲料等は、「リプトン ミルクティー」等が前年を上回りましたが、「マウントレーニア カフェラッテ」が前年を下回ったことから、全体でも前年の売上を下回りました。

ヨーグルトは、「ビヒダスヨーグルト」等が前年を上回り全体でも前年の売上を上回りました。

これらにより、市乳の売上高は1,898億4千2百万円(前年比3.2%減)となりました。

乳製品

粉乳は、大人向け粉ミルク「ミルク生活」が前年を上回りましたが、「森永はぐくみ」や「森永チルミル」が前年を下回ったことから、全体でも前年の売上を下回りました。

バターは、家庭用、業務用ともに前年の売上を上回りました。

チーズは、クラフトブランドの「パルメザンチーズ」「フレッシュモッツァレラ」等が前年を上回りましたが、「スライスチーズ」が前年を下回ったことから、全体でも前年の売上を下回りました。

これらにより、乳製品の売上高は968億8千3百万円(前年比0.2%減)となりました。

アイスクリーム

アイスクリームは、「PARM(パルム)」「ピノ」「MOW(モウ)」等主力ブランドが取引制度変更の影響もあり、前年の売上を下回りました。

これにより、アイスクリームの売上高は519億7千9百万円(前年比6.7%減)となりました。

その他

「ビフィズス菌」「シールド乳酸菌」などの機能性素材の販売拡大や育児用食品などの伸びが寄与し、前年の売上を上回りました。

これらにより、その他の売上高は916億5千7百万円(前年比0.1%増)となりました。

 

当連結会計年度の損益面では、営業利益は前年比3.0%増223億3千1百万円、経常利益は前年比3.7%増231億7千4百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年比11.2%減140億1千7百万円となりました。

 

セグメントの状況(セグメント間取引消去前)は、次のとおりです。

① 食品事業(市乳、乳製品、アイスクリーム、飲料など)

当期の売上高は、5,639億1千8百万円(前年比1.3%減)となり、また、営業利益は304億8千6百万円(前年比4.0%増)となりました。

② その他の事業(飼料、プラント設備の設計施工など)

当期の売上高は、302億5千4百万円(前年比1.5%増)となり、また、営業利益は26億7千5百万円(前年比1.6%減)となりました。

なお、提出会社の管理部門にかかる費用など事業セグメントに配賦していない全社費用が92億9千3百万円あります。

 

当連結会計年度のわが国の経済は雇用・所得環境の改善が続くなかで緩やかに回復しているものの、通商問題の影響や海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響等により、不透明感も残る状況となりました。

食品業界におきましては、健康志向の高まりによる機能性食品のニーズは引き続き高い一方で、嗜好の多様性や商品ライフサイクルの短縮化、原材料等のコスト上昇等、厳しい環境が続きました。

酪農乳業界におきましては、チーズやアイスクリーム等の乳製品の消費は堅調に推移する一方で、国内生乳生産量の減少という大きな課題があるなか、昨年4月より改正畜産経営安定法が施行されるなど、酪農乳業を取り巻く環境は大きく変化しました。

このような環境のもとで、当社グループは、中期経営計画の4年目となる当期も経営課題への取り組みを引き続き実施して、経営基盤の強化を進めてまいりました。お客さまのニーズに応える商品の提供とその価値訴求に努め、健康に貢献する機能性素材の積極的な販売促進活動や海外事業の拡大も進めてまいりました。一方で、低採算商品の見直し等によるプロダクトミックスの改善、ローコストオペレーションの推進など、合理化・効率化を推進いたしました。また、環境変化により迅速に対応できるよう、社内組織の変更を実施いたしました。

その結果、2020年3月期の連結数値目標であります売上高6,400億円、営業利益225億円につきましては、売上高は事業合理化の取り組みなどもあり未達となりましたが、営業利益は最終年度の1年前にあたる当期におきまして、概ね目標水準に近づくことができました。

 

生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

393,840

△2.1

その他の事業

4,419

+17.7

合計

398,259

△1.9

 

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

食品事業

その他の事業

11,952

+24.8

5,044

+33.7

合計

11,952

+24.8

5,044

+33.7

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

563,918

△1.3

その他の事業

30,254

+1.5

セグメント間の内部売上高または振替高

△10,590

合計

583,582

△1.4

 

(注) 1 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2017年4月1日
 至 2018年3月31日)

当連結会計年度
(自 2018年4月1日
 至 2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱セブン‐イレブン・ジャパン

65,521

11.1

64,070

11.0

 

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3)財政状態

当連結会計年度末の資産の部は、設備投資による有形固定資産の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、174億3千3百万円増4,322億5千6百万円となりました。

負債の部は、「社債」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、73億6千8百万円増2,630億8千8百万円となりました。

純資産の部は、「利益剰余金」の増加により、合計では前連結会計年度末に比べ、100億6千4百万円増1,691億6千7百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の38.0%から38.7%に、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の3,184.08円から3,384.81円になりました。

当社は中期経営計画の基本方針の1つである「資産効率の改善および合理化の推進」の一環として、最適な生産体制の構築を進めており、その過程において適正な資産・負債管理を行っております。2020年3月期からの新たな中期経営計画の下でも、基本方針の1つである「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」に則して、設備投資や資産効率の改善に取り組んでまいります。

 

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ66億4百万円減185億6百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益202億3千万円、減価償却費178億9千2百万円がキャッシュ・フローの収入となり、たな卸資産の増加額50億7千5百万円、法人税等の支払額88億2千2百万円がキャッシュ・フローの支出となったことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ218億9千5百万円支出増388億1千7百万円の支出となりました。主な要因は、固定資産の取得により392億4千7百万円の支出があったことによります。

これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ285億円減の△203億1千1百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ198億8千6百万円支出減141億1千2百万円の収入となりました。主な要因は、社債の発行で99億4千1百万円の収入、コマーシャル・ペーパーの増加で50億円の収入があったことによります。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ64億5千4百万円減33億8千4百万円となりました。

当社は中期経営計画の基本方針の1つである「資産効率の改善および合理化の推進」の一環として、最適な生産体制の構築を進めており、必要な資金調達を自己資金の他、借入、社債の発行、その他状況に応じた方法により実施いたしました。

2020年3月期からの新たな中期経営計画の下でも、基本方針の1つである「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」に則して、必要な資金調達を継続して実施いたします。

 

なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

 

2015年
3月期

2016年
3月期

2017年
3月期

2018年
3月期

2019年
3月期

自己資本比率(%)

32.4

33.8

36.9

38.0

38.7

時価ベースの自己資本比率(%)

29.4

39.3

53.0

51.6

43.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

14.2

4.0

2.7

4.0

6.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

7.7

28.1

39.0

30.1

24.5

 

自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

※ 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)を2019年3月期の期首から適用しており、2018年3月期に係る指標については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標となっております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の財務政策のとおりです。

当社グループは、運転資金および設備投資資金の調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関14行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(提出会社)

当社が技術援助等を受けている契約

 

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

サンキストグローワーズ社

米国

清涼飲料水等

サンキスト商標の使用権の設定

1988年4月8日から
1997年3月31日まで
以後5年ごとの自動更新
2017年4月1日以後
3年ごとの自動更新

KRAFT FOODS
GROUP,INC.(注)2

米国

チーズ等

技術提携および輸入販売

2012年10月1日から
2019年3月31日まで

MONDELEZ
INTERNATIONAL,
INC.(注)3

米国

チーズ等

技術提携および輸入販売

2012年10月1日から
2019年3月31日まで

ユニリーバ・ジャパン・
ビバレッジ株式会社

日本

紅茶飲料等

リプトン商標の使用権の設定

2017年5月1日から
2020年4月30日まで

以後2年ごとの自動更新

 

(注)1 上記についてはロイヤリティとして、売上高の一定率を支払っております。

   2 2019年3月31日をもって従来の契約を終了し、引き続き下記内容での契約を締結しております。

    契約先が変更となっておりますが、主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

KRAFT FOODS GROUP BRANDS LLC

米国

チーズ等

技術提携

2019年4月1日から
2024年3月31日まで

HEINZ JAPAN LTD.

日本

チーズ等

輸入販売

2019年4月1日から
2024年3月31日まで

 

   3 2019年3月31日をもって従来の契約を終了し、引き続き下記内容での契約を締結しております。

     契約先が変更となっておりますが、主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

INTERCONTINENTAL GREAT BRANDS LLC

米国

チーズ等

技術提携

2019年4月1日から
2024年3月31日まで

Mondelez International AMEA Pte Ltd

シンガポール

チーズ等

輸入販売

2019年4月1日から
2024年3月31日まで

 

 

 

5 【研究開発活動】

(1)研究方針

当社グループの研究開発のメインテーマは、乳の優れた力を探り、最大限に活用することです。その価値を、「おいしさ」「栄養」「健康」「安全・安心」の面から追求し、人々の健康と豊かな生活に貢献するさまざまな商品に活かしています。夢のある新たな商品作りと将来に向けた技術革新をミッションとして、研究開発に取り組んでいます。

当社グループの研究開発体制は、以下のとおりです。

 

研究本部

 研究企画部               :各研究所の研究計画の統括等

 食品開発研究所          :乳飲料、デザート、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズの研究開発

 健康栄養科学研究所       :プレママ・乳幼児から高齢者にむけた栄養食品の研究開発

 素材応用研究所           :機能性素材・乳素材の研究開発

 基礎研究所               :腸内フローラ・新素材等の基礎研究

 フードソリューション研究所:商品の評価、用途・レシピ開発

生産本部エンジニアリング部

 装置開発センター     :製造プロセスや機器類の開発・改良

 

食品開発研究所

独自の技術を結集し、つねにお客さまの期待に応えられる商品開発を目指しています。

健康栄養科学研究所

人々の健康に貢献する栄養を科学し、赤ちゃんからシニアまでのさまざまな分野での健康栄養科学食品を提供していきます。

素材応用研究所

「おいしさ」や「健康」の価値を高めるさまざまな素材の幅広い応用可能性を追求し、新たな価値をもった商品につながる技術を開拓していきます。

基礎研究所

健康、医療、環境など、食が果たすべき社会の課題に挑戦し、将来の礎を築くイノベーションを推進していきます。

フードソリューション研究所

お客さまの視点で商品を使い、レシピ開発や商品評価を行い、商品の活用方法をお客さまに発信・提案しています。

装置開発センター

商品の生産に必要な新しい技術や生産装置を開発しています。

 

(2)研究開発費

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は4,648百万円であり、セグメント別には以下のとおりです。

食品

4,630

百万円

その他

17

4,648

 

 

(3)主な研究開発活動

①飲料では、気分、シーンあるいは季節に合った嗜好性を重視した商品と、健康志向の高まりに応えるべく健康機能にも配慮した商品を開発・発売しました。

◆「マウントレーニア カフェラッテ」シリーズ‥‥コーヒーの嗜好性を重視した「ベリーハッピークリーミーラテ」「リッチカフェモカ」「カフェラッテ キャラメルナッツ」「ディープエスプレッソ」「デカフェ」等

◆「ルイボス茶」‥‥ノンカフェイン・ノンカロリー・無香料の健康飲料

◆「GABA&BALANCE」‥‥カカオ70%のチョコレートを使用した本格的な味わいの乳飲料に、ストレスをケアする成分と言われているGABA、及び1食分のカルシウム、鉄分、マルチビタミン(A、D)を配合

◆「ミルク&フルーツPLUS+」シリーズ‥‥多くの世代で不足しがちな栄養素であるビタミン(A、B1、C)、ミネラル(カルシウム、鉄分、亜鉛)、食物繊維の1日不足分を配合。さらに「ストロベリーミックス」にはストレスをケアする成分と言われているGABAを、「フルーツミックス」にはリカバリーが期待できるクエン酸を配合

◆「豆乳とミルク バナナミックス」‥‥健康志向の高まりから、豆乳をもっとおいしく飲みたいというお客さまのニーズにお応えした商品で、豆乳由来の「イソフラボン」とミルク由来の「カルシウム」も摂取できるバナナミックス味飲料

 

②デザートでは、嗜好性を重視した商品に加え、健康を考慮して、カロリーを抑えつつ美味しさと満足感が得られるプリンや野菜嫌いなお子さまでも野菜を摂取できるようなゼリーを開発・発売しました。

◆「きみとろりプリン」シリーズ‥‥卵の美味しさをつめこんだ究極のとろ~り食感のプリン

◆「タニタ食堂®監修のデザート」シリーズ‥‥カロリーを抑えつつ美味しさと満足感が得られる「いちごプリン」「ほうじ茶プリン」「パンナコッタ風プリンベリー&グレープソース」

◆「森永ジュレ」シリーズ‥‥ストロー付パウチ容器を使用したお子さま向けゼリー飲料の「果実とミネラルのうるジュレORANGE」

◆「&フルーツベジタブル 果実と野菜のスムージーゼリー」‥‥野菜ソムリエ協会監修による果汁+野菜100%

 

③ヨーグルトでは、ビフィズス菌等の当社独自の素材や技術を活かし、おいしさと健康・栄養を兼ね備えた商品を開発・発売しました。

◆「トリプルヨーグルト」(個食タイプ、ドリンクタイプ)‥‥機能性表示食品、1つの商品で血圧、血糖値、中性脂肪の3つの機能性を表示した商品は、ヨーグルト業界では初となります。

◆「ビヒダス ヨーグルト」シリーズ‥‥ビフィズス菌BB536に加えてミルクオリゴ糖も配合した「ビヒダス ヨーグルト ビフィズス菌のちから」(個食タイプ、ドリンクタイプ)

◆「濃密ギリシャヨーグルト パルテノ」シリーズ‥‥「ストロベリーソース入」及び「カシスソース付」

◆「森永アロエヨーグルト」シリーズ‥‥フルーツの果肉(黄桃果肉)を使用した「森永アロエ&ヨーグルト 2種の食感やわらか黄桃」

◆「ビースリー®スマートヨーグルト」‥‥ビフィズス菌 B-3とミルクカルシウムを牛乳の約2倍を配合したヨーグルト

◆「1日分の鉄分ヨーグルトベリー&プルーン」‥‥女性に不足しがちな鉄分を、手軽においしく補給できるハンディタイプヨーグルト

◆「ざく盛りフルーツヨーグルト」‥‥5種類の果肉と5種類の果汁、計10種類のフルーツを入れ、ナタデココを加えコリコリとした食感が楽しめるヨーグルト

 

④アイスクリームでは、高級感、贅沢感、新食感、濃厚な風味、満足感といった嗜好性に拘った商品を開発・発売し、お客さまの支持を得ています。

◆「蜜と雪」シリーズ‥‥「抹茶」「いちご」「レアチーズ」「エスプレッソラテ」

◆「MOW(モウ)」シリーズ‥‥「エチオピアモカコーヒー」「リッチヨーグルト味」

◆「PARM(パルム)」シリーズ‥‥「ストロベリー」「キャラメル・バナーヌショコラ」

◆「チェリオ」シリーズ‥‥「カロリーモンスターチェリオ トリプルチーズ」

 

⑤チーズでは、サラダにぴったりのひとくちタイプのフレッシュモッツァレラ「クラフトひとくちフレッシュモッツァレラ」を発売しました。

 

⑥ヘルスケア・健康食品(医療食を含む)では、「ミルク生活」シリーズをご愛用していただいているお客さまから特にご要望が多かったスティックタイプの「ミルク生活スティック10本」と「ミルク生活プラス スティック10本」を発売し、お客さまの利便性に応えました。

医療食分野では、3種の食物繊維とシールド乳酸菌®を配合した「MA-ラクフィア」シリーズの0.6kcal/ml、0.8kcal/mlに加えて、新たに1.0kcal/mlの「MA-ラクフィア1.0」(アセプティックバックと紙容器入り)を開発・発売しました(クリニコ社より販売)。

 

⑦海外事業では、「シールド乳酸菌®(Lactobacillus paracasei MCC1849株)」が米国でGRAS認証を取得しました。GRASは国際的に広く認知されている米国の食品安全に関する認証制度で、米国の制度において「シールド乳酸菌®」の安全性が評価されたことで、米国での販売が可能となりました。

 

⑧学術・研究においては、以下の成果が得られました。

◆これまで、ビフィズス菌は赤ちゃんが産まれる際、母親の産道を通って受け継がれること(母子伝播)で腸内に定着することが通説となっておりましたが、アイルランドのコーク大学との共同研究から、ビフィズス菌をはじめとする腸内細菌の家族間伝播は、入浴習慣が家族間で腸内フローラの伝播に関与している可能性があることを見出しました。この研究成果は、オンライン科学雑誌『Scientific Reports』(2019年3月13日付)に掲載されました。

◆米国・ミシガン大学との共同研究から、ラクトフェリンがヒトノロウイルスのヒト細胞への感染を抑制することを世界で初めて観察しました。この研究成果は、2019年開催の第14回国際ラクトフェリン会議(於ペルー)にて、ミシガン大学のChristiane Wobus(クリスティアーネ・ウォバス)准教授が発表する予定です。

◆ 株式会社DeNAライフサイエンス (東京都渋谷区、代表取締役社長: 瀬川 翔)との共同研究において、日本人にビフィズス菌が多い理由として、乳糖分解酵素の遺伝子型が関与している可能性を確認しました。この研究成果は、オンライン科学雑誌『PLOS ONE』(2018年10月19日付)に掲載されました。

 

⑨ 以下の研究開発の成果が表彰されました。

◆「クラフト 無垢 大人の熟成チェダー味」と「クラフト 無垢 大人の熟成ゴーダ味」が、昨年に引き続き「iTQi(国際味覚審査機構)2018」で「優秀味覚賞“三ツ星”」と「優秀味覚賞“二ツ星”」を受賞しました。

◆「長期保存可能な豆腐の開発及びおからの飼料化」が、一般社団法人日本有機資源協会主催「第5回食品産業もったいない大賞」(協賛:農林水産省、後援:環境省・消費者庁)で「審査委員会委員長賞」を受賞しました。

◆「アロエステロール」の研究開発の成果である、「アロエベラ由来植物ステロールの新規保健機能研究と機能性食品への応用」が、日本栄養・食糧学会から、「平成30年度技術賞」を受賞しました。