文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。
1.経営の基本方針
当社グループは2017年9月に創業100周年を迎えるにあたり、新たなコーポレートミッションを策定しました。
コーポレートスローガン 「かがやく“笑顔”のために」
経営理念 「乳で培った技術を活かし
私たちならではの商品をお届けすることで
健康で幸せな生活に貢献し豊かな社会をつくる」
新しい100年に向けて、当社グループは、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。
2.中長期的な会社の経営戦略、経営環境および対処すべき課題等
当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。当ビジョンでは、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を10年後の当社グループのありたい姿と定め、「営業利益率7%以上」「ROE10%以上」「海外売上高比率15%以上」を2029年3月期の数値目標に設定いたしました。
・「森永乳業グループ10年ビジョン」

・「中期経営計画 2022-24」(2023年3月期~2025年3月期)
この考えのもと、2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」「効率性を重視した財務戦略」の3つを基本方針に定め、取り組んでいます。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております。
中期経営計画の最終年度(2025年3月期)の数値目標については、売上高5,400億円、営業利益250億円、親会社株主に帰属する当期純利益160億円、売上高営業利益率4.6%、ROE(自己資本利益率)6%、海外売上高比率13%としています。
(資料1)「中期経営計画 2022-24」全体像

(資料2)「サステナビリティ中長期計画2030」

中期経営計画の基本方針の1つ目であります「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」におきましては、前中期経営計画でのBtoC事業とウェルネス事業を統合し、①栄養・機能性食品事業、②主力食品事業として再構成、③BtoB事業、④海外事業を含め新たな4本の柱を設定いたしました。4本の柱それぞれを拡大させるとともに、特に「健康5領域」商品の拡大による横断的な健康価値提供の加速、当社独自の機能性素材・菌体の再飛躍、海外事業のポートフォリオ変革を進めております。事業活動を通じ「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を提供し、生活者の「健康」と「幸せ」に貢献してまいります。
基本方針の2つ目であります「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」におきましては、構造改革、戦略投資、資産活用の観点からそれぞれ取り組みを進めております。構造改革として、外部環境変化への耐性強化などに取り組んでおります。戦略投資として、研究開発機能の強化や、10年ビジョンを見据えた成長投資・環境関連投資などを進めております。資産活用の観点では、知的財産基盤の強化や、国産乳資源活用の推進を図っております。
基本方針の3つ目であります「効率性を重視した財務戦略」におきましては、成長投資の戦略的な実行、株主還元と財務体質にも留意した資金活用を目指すとともに、合わせて資本効率の視点を重視したROE改善を進めております。また、株主還元につきましては、引き続き安定的かつ長期的な配当を実施することを基本方針とし、配当性向の目標はこれまでの20%から30%に引き上げてまいります。合わせて総還元性向も意識した対応を実施してまいります。なお、保有する自己株式につきましては、基本的には消却いたしますが、将来の柔軟な資本政策に備えて一部を保有いたします。
3.2024年3月期業績見通し
国内においては物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢の動向を注視する必要があります。
当社グループにおいても、原材料・エネルギー価格および物流コストのさらなる上昇の影響が見込まれます。これに対し、引き続き価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをさらに推進させるなどの対応を図ってまいりますが、依然として、厳しい環境が継続すると見込まれます。2024年3月期の通期連結業績予想につきましても、大きなコスト上昇の影響を見込んでおり、様々な対応を図る計画ですが、全体としては増収減益となる見込みです。
売上高5,500億円(前年比4.6%増)、営業利益200億円(同16.5%減)、経常利益206億円(同18.3%減)を見込んでおります。なお、第1四半期に東京工場跡地の譲渡にかかる特別利益およそ650億円の計上を予定していることから、親会社株主に帰属する当期純利益は577億円(同241.9%増)を見込んでおります。
当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。この考えのもと、2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、3つの基本方針のもと取り組みを進めております。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております。
2024年3月期につきましても、これらの方針・計画のもと取り組みを進めてまいります。当社グループは今後も、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。
(その他重要経営指標)
売上高営業利益率 3.6%
ROE(自己資本利益率) 23.1%
海外売上高比率 13.4%
(参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別業績見通し(2024年3月期)
(1)ガバナンス
当社グループは、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会のもと、グループ全体でサステナビリティ経営を推進しています。
サステナビリティ委員会は、取締役会の機能を補強するための特別委員会組織として設置され、社長を委員長、サステナビリティ本部長を副委員長、社内取締役および全本部長を委員として構成し、事務局はサステナビリティ推進部が務めています。半年に1回開催する定例委員会では、「サステナビリティ中長期計画2030」の進捗等について議論を行っています。
このほか、気候変動対策部会、プラスチック対策部会、人権部会など、当社グループにとって重要なサステナビリティ課題については分科会を設置して議論を進めています。
また、月1回、部門横断のサステナビリティ委員会事務局会議を開催し、サステナビリティ中長期計画2030の各KPIについて関係部門が議論する場を設けています。
なお、サステナビリティ委員会の討議内容は取締役会に報告され、ウェブサイトでも公開しています。

※2023年3月31日時点
(2)戦略
当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を2019年に制定し、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を当社グループのありたい姿と定めました。
この考えのもと、2025年3月期までの3年間の中期経営計画では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」「効率性を重視した財務戦略」の3つを基本方針に定め、取り組みを進めます。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めます。


(3)リスク管理
当社グループは、経営者が当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについて、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」(P21)に記載の10項目を認識しております。
その中でも、特に「(1)酪農乳業界について」「(2)原材料の調達リスクについて」「(3)食品の安全性について」「(6)自然災害、大事故、感染症などによる影響について」「(10)環境への影響について」はサステナビリティと深く関連するものであります。
これらのサステナビリティのリスクについては、「サステナビリティ中長期計画2030」のマテリアリティ(重要取組課題)を策定する際に、フローに織り込み、マテリアリティを決定しました。これらのマテリアリティには2030年目標のKPIを設定し、進捗管理を行っています。KPIについては、半年に1回開催されるサステナビリティ委員会にて討議し、討議内容は取締役会にも報告しています。
また、これらのリスクについては、内部統制委員会の下部組織であるリスク管理部会にて、定期的にリスクの洗い出しと見直しを行っております。また、個々のリスクごとに要因と対応策をまとめ、対応策についてモニタリングを実施しております。サステナビリティ課題への対応策とその取組状況についても、サステナビリティ委員会の運営事務局を務めるサステナビリティ推進部より、リスク管理部会に定期的に報告しています。
◆主なサステナビリティに関するリスク
「(1)酪農乳業界について」
考えられるリスク:酪農家の減少による原乳量の減少や既存原料の枯渇等による生産・開発の停滞が懸念されるため、酪農乳業の支援が必要
「(2)原材料の調達リスクについて」
考えられるリスク:気候変動などの環境課題、人権侵害などの社会課題への対応遅れによる原材料調達の不安定化や信頼低下が懸念されるため、環境や人権に配慮した原材料の調達を進める。
「(3)食品の安全性について」
考えられるリスク:品質トラブルの発生による信頼低下が懸念されるため、トレーサビリティの仕組み化や、品質事故ゼロを目指した安全への取り組みを進める。
「(6)自然災害、大事故、感染症などによる影響について」
考えられるリスク:生産拠点や物流網の停止による商品供給の停滞が懸念されるため、BCP対策を進める。
「(10)環境への影響について」
考えられるリスク:自然資本の毀損や規制強化による原材料調達コストの増加、炭素税の導入による操業コストの増加、生態系の汚染・破壊による操業リスク上昇が懸念されるため、気候変動への緩和と適応や石油由来のバージンプラスチック使用量の削減などを進める。
なお、気候変動リスクについては、気候変動対策部会およびサステナビリティ委員会において定期的に評価を見直し、対応を検討しております。詳細は「TCFDへの取り組み」をご参照ください。
◆TCFDへの取り組みのURL
https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tcfd/
(4)指標及び目標
当社グループでは「サステナビリティ中長期計画2030」にて、2030年度達成を目指したKPIを設定しています。
食と健康
・健康への貢献
―健康課題に配慮した商品の売上高('21年度比)1.7倍
―健康増進・食育活動への参加者('21~'30年度)延べ100万人
・食の安全・安心
―グループ全生産拠点でのFSSC22000などGFSI認証規格の取得100%
―消費者の求める安全・安心のためのトレーサビリティの仕組み化
―品質事故ゼロ・法規遵守の取り組み継続
資源と環境
・気候変動の緩和と適応
―Scope 1 + 2 CO₂排出量削減率('13年度比)38%以上
―Scope 3 GHG排出量削減率('20年度比)10%以上
―気候変動に対するBCP策定拠点率* 100%
(*)BCPを策定する必要がある拠点のうち、適応ができている拠点の割合
・環境配慮と資源循環
―石油由来バージンプラスチック使用量の削減率('13年度比)25%以上
―水資源使用量の削減率('13年度比)15%以上
・持続可能な原材料調達
―RSPO マスバランス認証への切替率('28年度まで)100%
―FSC認証等環境配慮紙使用割合('24年度まで)100%
―原材料サプライヤーへの支援拡大
人と社会
・人権の多様性と尊重
―サプライチェーン全体での人権方針の継続遵守
―女性管理職比率10%以上
―男性育休取得率100%
―人財育成に向けた研修投資額4万円/人/年
・地域コミュニティとの共生
―地域活動を実施するグループ全体の事業所の割合 100%
(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標について
①戦略
森永乳業グループの「人的資本」
◆なぜ「人財」を資本と捉えるのか
当社グループはお客さまから選ばれる企業であり続けるために、社会課題の解決と収益力向上の両立による企業価値向上を追求しています。その源泉となる「人財」は、価値創造プロセスにおいて最も重要な資本であると捉えています。人的資本への一層の投資を通じて、社員一人ひとりが持つ“知”を結集し、「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を掛け合わせた独自の価値を創造し、持続的な成長を成しえる組織であり続けることを目指しています。
当社グループが人財について目指している姿は、「高い専門性と多様性に富んだ活力ある人財集団」です。社員一人ひとりが学び続ける文化や多様な意見が活発に議論される組織風土の構築を通じ、また社会に健康価値を提供する企業として、社員の健やかで充実した人生への貢献を目指します。
◆経営戦略の実現に向けて
中長期的に描く姿を人財の面から実現するために、当社グループでは「人」と「組織」の両面で取り組んでいます。人づくり(人財育成)においては「個人の自律」と「専門能力の発揮」に向けたアプローチ、組織づくり(環境整備)においては「多様な価値の結合」と「挑戦を称賛する風土」に向けたアプローチ、これらを両立させることが必要だと考えています。
また、経営戦略を実現していくには、その基盤となる社員のエンゲージメントを高めることも重要になります。2022年より全社員を対象としたサーベイを一新し、社員エンゲージメントを可視化できるようになりました。2022年のエンゲージメントスコア※を各職場で共有し、組織改善に向けたアクションプランの作成に取り組んでいます。今後も毎年1回エンゲージメントサーベイを実施して、目指す姿への実現度合いを確認し、改善活動に繋げていきます。
※社員の会社に対する共感指数(会社・仕事・上司・職場に関する質問の期待度と満足度から算出)

◆人づくり(人財育成)
森永乳業グループの人財育成では、研修や自己啓発などさまざまな機会とツールの提供を通じて、「自身のありたい姿」を描き、お客さまと仲間と自らの笑顔のために自律的に挑戦・貢献・成長する社員の育成を目指しています。
●個人の自律
当社グループでは社員個人が自律するということを「自分自身の働く意義を今の仕事に見出し、受け身ではなく自ら考え、自ら判断し動けている状態」と定義しており、これが「働きがい」や「エンゲージメント」に直結すると考えています。個人が自律した状態を作ることができれば、各所で活発な議論が行われ、活き活きとしたチャレンジ精神のあふれる職場が形成されると考えています。こうした状態を実現するために、評価会議や人財活躍会議を通じた「上司のマネジメント力向上」、キャリア調査や異動公募制の実施などによる「選択肢のあるキャリア形成支援」、社員の心身の健康維持・向上に向けた「健康経営の推進」の3点を重視して取り組んでいます。
●専門能力の発揮
社員のスキル・能力向上を目的とした社員一人あたりの年間研修投資額は、コロナ禍に経験したオンライン化等の適切な効率化を継続したうえで、2030年度までにコロナ前を上回る水準まで拡大させることを目標としています。階層別研修に加え、部門別の研修を通じた専門能力習得機会を設けています。また経営戦略を踏まえ、グローバル人財育成プログラムを充実させています。
教育制度の充実に加え、高度な専門性が必要となる職種に対しては、キャリア採用を強化し、外部人財の登用も積極化しています。
事業成長に必要な専門知識や能力の多様性を組織内に保有し、それを強みとして本人が発揮できる力、そしてそれを発揮しやすい環境をマネジメント層の支援のもと整えることで、新たな価値の創出を目指しています。
◆組織づくり(環境整備)
●多様な価値の結合(ダイバーシティ&インクルージョン)
活力ある組織づくりに向けて、性別、年齢、国籍等の属性に関わらず多様性を認め合い、活かすことは必須条件だと考えています。そのための取り組みとして、ダイバーシティに関する研修を実施するほか、在宅勤務やフレックスタイム等の制度に加え、育児・介護支援制度を拡充して多様な働き方を実現しています。2022年度は育児休業の社内愛称を社員から公募し、当社の製品名にちなんで「はぐくみ期間」と名付けました。休業という言葉は使わずに、子をはぐくむ大切な仕事をする期間であるとして、育児休業の取りにくさや、育児における性別役割分業の払拭を目指しています。2022年10月からは出生時育児休業を100%有給で設立し、2022年度の男性育児休業取得率は90.5%となりました。
リーダー層の多様性を確保するため、女性キャリア支援にも継続的に取り組みます。2012年から始めた女性リーダー研修には累計202名の女性社員が参加しており、マネジメントやリーダーシップを学ぶプログラムを実施しています。
なお性別を理由とする処遇の違いはないものの、社員構成年齢や上位役職に占める性別の違いによって賃金差は生じています。前述のような女性のリーダー層における割合の増加に向けた施策や育児における性別役割分業の払拭を目指した取り組みを通じて、賃金差の縮小を目指してまいります。
森永乳業グループでは2022年度に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」において要素・要件を網羅した人権方針を改定し、自社グループの事業が人権課題に影響を与えうることの理解ならびに必要に応じて是正対応・取り組みを行っていくことを改めて表明いたしました。本方針において、差別やハラスメントを排除していく旨を明記しております。本人権方針は取締役会にて承認を得ており、人権方針の実行については森永乳業株式会社の人事担当役員が責任者として実施状況を監督しています。
併せて人権デュー・デリジェンスの取り組みを開始し、森永乳業グループが優先的に取り組むべき潜在的人権リスクとして特定した日本国内の外国人労働者の権利について調査を実施いたしました。
●挑戦を称賛する風土
新たな発想を成果に繋げていくには、発想を行動に移すことができるかが大切であり、そのためには、失敗を許容し、挑戦を後押しする風土を創り上げていくことが必要と考えています。
森永乳業グループの表彰制度(Morinaga Milk Awards)や、2022年より風土改革と事業創出を目的に開始した新規事業創出プログラムは、挑戦を称賛し合う文化の定着につながっています。
②指標並びに目標及び実績
※本項目については、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、
提出会社単体の記載といたします。
◆人づくり(人財育成)
●専門能力の発揮
※研究、マーケティング、法務、知財、IT、海外部門などにおけるキャリア採用者数
◆組織づくり(環境整備)
●多様な価値の結合(ダイバーシティ&インクルージョン)
経営者が当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについて、主な事項を記載しています。
なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)酪農乳業界について
当社グループが生産する乳製品の原料である生乳の取引では、「畜産経営の安定に関する法律」の加工原料乳生産者補給金制度により、生産者に補給金が支払われます。将来において同法律が大幅に変更もしくは廃止され、補給金の水準が変化する場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが生産する乳製品は、国内農業の保護を目的として関税制度が設けられていますが、関税制度が大幅な変更になることで、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、酪農乳業界における課題等について、適時適切な対応を取ることができるよう、関係省庁、関係諸団体と連携をとり、解決を図っています。また、酪農家や酪農組織を日常的に訪問し、乳牛の健康管理技術や生乳需給に関する情報提供を通じて酪農生産振興活動を行っています。
(2)原材料の調達リスクについて
当社グループの主要な原材料は、国内外の需給状況や関税制度の変化、原材料相場や為替相場などにより、価格に影響を受ける可能性があります。これらによる価格変化は、原材料調達や生産コストに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、需給状況の大きな変化に備え、原材料市場の動向を注視するとともに、「森永乳業グループ調達方針」を定め、安全・安心を第一に、複数地域・複数取引先からの購買、代替原材料手当等、様々な対策を講じることとしています。
(3)食品の安全性について
当社グループの製品製造にあたっては、食品の安全性や品質の確保に万全を期していますが、仮に大規模な回収や製造物責任賠償につながるような不測の製品事故の発生があれば、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、製造現場のみならずサプライチェーンすべてにおける品質の考え方を「森永乳業グループ品質方針」として定め、商品の安全と品質を確保することとしています。
(4)為替レートの影響について
当社グループは、一部の原材料等を海外から調達していることから、これらの相場や為替レートの変動により購入価格は影響を受けます。為替レートの円安の進行および相場の高騰は、原価の上昇要因となり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、金融機関等から情報収集を行いながら為替予約や外貨決済を行うことで、為替リスクの抑制を図っております。
(5)天候による影響について
当社グループの各事業の売上は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、冷夏の場合には、アイス、ビバレッジなどの売上が減少し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、生産から営業に関わる各部門が密接に連携をとり、販売状況に応じたタイムリーな生産調整を行うなど、全体最適を図ることで天候による影響に対しフレキシブルに対応して参ります。
(6)自然災害、大事故、感染症などによる影響について
当社グループの事業所において、地震や暴風雨などの自然災害、火災・テロなどの事件・事故、感染症のまん延など、突発的かつ甚大な災害が発生した場合には、長期間の事業停止や物流の混乱による商品供給の停止、市場・生活の変化などにより、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業継続計画書等のマニュアルを整備し、従業員およびその家族、ならびにお客さま、お得意先、近隣社会、関係先の人命保護を最優先に考えるとともに、適切な商品の供給および早期に事業活動を復旧できる体制の構築に努めています。
(7)情報の漏洩について
当社グループでは、グループ各社が保有する個人情報や営業秘密の保護・管理および情報システムへの不正アクセス防止のための情報セキュリティ対応策を策定し、取り組んでおります。しかしながら、不測の事態により情報の流出等が発生した場合には、社会的信用の低下などによって、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、内部統制委員会のもとに情報セキュリティ部会を設置し、不正アクセス対策や脆弱性対応の強化、技術情報の適正な管理、セキュリティルールの見直しなど各種対応を行うとともに、従業員に対する教育、標的型メール対応訓練などにより、情報セキュリティの知識と意識の向上を図っています。
(8)情報システムについて
当社グループでは、商品の受注、原材料の発注、製品製造の指示、経理処理等、事業全般にわたって情報システムを活用していることから、規定類の整備、サポート体制の充実やセキュリティの対策を行っています。しかしながら、災害、停電、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等によって、情報システムの停止または消失等のリスクがあります。このような事態が発生した場合には、事業の停滞や社会的信用の低下などにより、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、事業継続計画書等のマニュアル整備、重要データのバックアップ、脆弱性対応の強化を行うとともに、従業員にリスクに対する教育等を行うことでその徹底を図っています。
(9)知的財産について
当社グループは、その事業活動において、当社グループが所有する、または第三者から適法に使用許諾を受けた種々の知的財産を活用しており、知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起された場合、その結果によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、知的財産権を尊重し、適正な事業活動のための知的財産の出願・維持と、第三者の権利を侵害することのないよう専門部門によるチェックを継続して行っております。
(10)環境への影響について
気候変動に代表される世界的な環境問題の深刻化を受け、化石エネルギーやプラスチック使用、水リスク等に関する規制や風評が発生した場合、商品戦略の見直しや設備投資、エネルギーや原材料調達費用の増大など当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、様々なステークホルダーを通して情報を収集し対応を進めています。
当社グループでは、「サステナビリティ中長期計画2030」において「資源と環境」をマテリアリティの一つに掲げるとともに「森永乳業グループ環境方針」を定めISO14001環境マネジメントシステムに基づき適切な目標設定と管理を行っています。
なお、気候変動への対応については、気候変動対策部会及びサステナビリティ委員会において定期的に見直しております。詳細は当社ウェブサイト「TDFDへの取り組み」をご参照ください。
◆TCFDへの取り組みのURL
https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tcfd/
なお、上記のリスクが当社グループにおけるすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、主として期末日現在などの判断に基づき金額を見積った項目があります。
特に以下の項目に関する見積額は、実際の結果と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、今後の個別の業況などによっては、追加引当もしくは取崩しが必要となる可能性があります。
退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。
投資有価証券については、その価値の下落が一時的ではなく回復可能性が無いと認められる場合に減損処理を実施しておりますが、今後の市況や投資先の業況などにより、さらに減損処理が必要となる可能性や価格が回復する可能性があります。
棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき処理を行っております。評価を行うに当たっては、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。
当期はウクライナ情勢の長期化など多様化した地政学リスクや、世界的な金融引き締め政策などにより、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、ウィズコロナのもとで景気が持ち直していくことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響が発現するなど、今後も国内外の情勢の動向を注視する必要があります。
そのような中、森永乳業グループは生活必需品である食品を製造する企業としての使命を果たせるよう、従業員の安全と健康に引き続き最大限の配慮をし、できる限り商品の供給を継続すべく取り組んでまいりました。また、当期から開始した新たな「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大に取り組みました。また、MILEI GmbH(ミライ社)を中心とした海外事業については、売上・利益とも大きく伸張したことに加え、パキスタン、米国、ベトナムなど積極的なM&Aに着手しております。
一方で、世界的な需要の高まりや円安の影響、およびウクライナ情勢の不透明感が加わり、原材料・エネルギー価格および物流コストにおいては、従前の環境とは大きく異なる水準で上昇しました。加えて、2022年11月から飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格の引き上げが行われたことにより、一段のコストアップが進みました。これらに対し、チーズ、アイス、牛乳、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジなどの価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどによるコスト吸収に努めました。しかしながら、価格改定後の数量減や生活者の消費動向の変化等の影響を受けたこと等により、増収ながらも減益の結果となりました。
<当期の主な取り組み事項>
当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。この考えのもと、2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、3つの基本方針のもと取り組みを進めております。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めております。
当期は、当社グループが新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めてまいりました。
・原材料・エネルギーコスト上昇への対応
- 価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制
・「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中長期計画2030」に沿った取り組みの推進
- 当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応える商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求
- ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大
- 海外事業の拡大(既存事業の拡大、NutriCo Morinaga (Private) Limited(パキスタン)、Turtle Island Foods, Holdings, Inc.(米国)の株式取得、Morinaga Le May Vietnam Joint Stock Company(ベトナム)の株式譲渡契約等の決議など)
- 主にBtoB事業(業務用乳製品)を中心とする、感染症による環境変化に対応した販売活動の促進
- 経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資
(2022年5月稼働:利根工場ドリンクヨーグルト設備増設、2024年4月稼働予定:神戸工場製造棟増築)
- サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み
(本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透、当社グループ初となるグリーンボンド発行など)
これらの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、チーズ、アイス、牛乳、ヨーグルト、育児用ミルク、ビバレッジなどの価格改定や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の提供に努めました。特に主力食品事業は上期を中心に価格改定後の数量減、国内における消費動向の変化の影響を大きく受けたものの、業務用乳製品などの拡販によるBtoB事業の拡大、MILEI GmbH(ミライ社)を中心とした海外事業の伸長などもあり、全体では増収となりました。
連結の利益面では、世界的な需要の高まりや円安の影響、飲用・発酵乳用途向けの生乳取引価格の引き上げなどによる、原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受けました。これに対し、価格改定やプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどを推進し、また、海外事業の貢献もありましたが、大きなコストアップを吸収することができず、全体では前年を下回りました。
なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約17億円を支出いたしました。
(その他重要経営指標)
売上高営業利益率 4.6%
ROE(自己資本利益率) 7.9%
海外売上高比率 11.3%
セグメント別の状況は、次のとおりです。
(単位:百万円)
食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など
その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など
(参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別業績概況
① 栄養・機能性食品事業:原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受け、価格改定の取り組みを進めました。また、健康ニーズの高まりを背景に、引き続き機能性ヨーグルト拡大の取り組みを進め、「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」などが堅調に推移しヨーグルトは増収となりました。流動食などを扱うクリニコ社の増収もあり、事業全体としても増収となりました。
利益面では、原材料・エネルギー価格の上昇の影響を受け、ヨーグルト、育児用ミルク、宅配専用商品などの価格改定やプロダクトミックスの改善、コスト削減に努めましたが、事業全体では減益となりました。
② 主力食品事業:原材料・エネルギー価格の上昇の影響を大きく受け、チーズ、アイス、「森永の焼プリン」、飲料などの価格改定や、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の拡大に努めましたが、上期中心に価格改定後の数量減や、国内における消費動向の変化の影響もあり、事業全体では減収減益となりました。
③ BtoB事業:構成比の高い業務用乳製品において、感染症による環境変化への対応や価格改定を進めたことなどから、事業全体では増収となりました。また、健康ニーズの高まりから、当社の保有する菌体をはじめとする機能性素材への高い関心も継続しております。
利益面においては、増収効果はありましたが、原材料・エネルギー価格の上昇の影響などにより前年を下回りました。
④ 海外事業:育児用ミルクや菌体の輸出などが堅調に推移し、乳原料を製造販売するMILEI GmbH(ミライ社)では原料市況の上昇に対応し価格転嫁を進めました。円安の進行もあり事業全体でも増収となりました。
利益面では、グローバル規模での原材料・エネルギー価格の上昇の影響や、パキスタン、米国、ベトナムにて新たに着手したM&Aなど成長のための費用投下などがありましたが、MILEI社の寄与や育児用ミルクや菌体などの増収効果、円安の進行もあり事業全体では増益となりました。
生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産の部は、「現金及び預金」が減少した一方、流動資産の「その他」や「のれん」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、263億2千7百万円増の4,851億1千6百万円となりました。
負債の部は、「未払法人税等」が減少した一方、「コマーシャル・ペーパー」が増加したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、72億2千9百万円増の2,579億9千1百万円となりました。
純資産の部は、「利益剰余金」や「為替換算調整勘定」の増加などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、190億9千8百万円増の2,271億2千4百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の44.9%から45.9%に、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の4,554.84円から4,927.30円になりました。
当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ208億8千5百万円減の193億8千2百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益237億1千9百万円がキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額171億6千2百万円がキャッシュ・フローの支出となったことによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ338億3千5百万円支出増の254億6千3百万円の支出となりました。主な要因は、固定資産の取得により195億8千7百万円の支出があったことなどによります。
これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ547億2千万円減の△60億8千1百万円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ474億4千8百万円支出減の29億2千5百万円の収入となりました。主な要因は、長期借入金の返済により81億6百万円の支出があった一方、コマーシャル・ペーパーの増加により100億円の収入があったことによります。
これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ25億1千万円減の209億7千6百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※ 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2022年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2021年3月期に係る数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の財務政策のとおりです。
当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関10行と総額300億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。
当社が技術援助等を受けている契約
(注)1 上記についてはロイヤリティとして、売上高の一定率を支払っております。
(注)2 2022年7月1日より下記内容での契約を締結しております。契約先が変更となっておりますが、主な契約内容に変更はありません。
(注)3 2022年8月31日をもって従来の契約を終了し、2022年9月より以下のとおり契約を締結しております。
(注)4 2023年1月31日をもって従来の契約を終了し、2023年2月より以下のとおり契約を締結しております。契約先が変更となっておりますが、主な契約内容に変更はありません。
乳で培った技術を活かし、「おいしさ・楽しさ」「健康・栄養」「安全・安心」の面から研究開発に取り組むことで、サステナブルな社会の実現と世界中の人々の笑顔あふれる生活に貢献していくことをミッションとしています。
当社グループの研究開発体制は、以下のとおりです。
〔研究本部〕
◆ 研究企画部
研究本部における機能横断的部門として、研究開発の発展に必要な学術情報の収集発信、臨床試験支援、研究広報活動や庶務、設備メンテナンスなどの管理業務を行っています。
◆ 食品開発研究所
独自の製造技術やノウハウを活かして、「おいしさ・楽しさ」と「健康・栄養」の両立を目指した飲料やヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、デザート、ウェルネス食品、それらを守る容器包装の研究開発に取り組んでいます。
◆健康栄養科学研究所
年代別、病態別に必要な栄養および健康に関する研究を行い、国内外向けの育児用ミルク、妊産婦向け食品、流動食、栄養補助食品など医療・介護施設向け食品の研究開発に取り組んでいます。
◆ 素材応用研究所
ビフィズス菌や乳酸菌、ラクトフェリン、ペプチド、ラクチュロースなどの素材が持つ機能性の探索から、エビデンスの取得、これらの素材を分析や製造するための技術開発、素材を応用した高付加価値製品の研究開発に取り組んでいます。
◆ 基礎研究所
ビフィズス菌や腸内フローラを中心に世界で通じる基礎研究を行い、新たなプロバイオティクスやプレバイオティクスなどの素材の探索、新規機能性の発見、健康との関連性について研究しています。
◆ フードソリューション研究所
自社製品をどう活用できるか、お客さまの視点で味覚や食感を評価し、レシピを提案して、より良い商品づくりに繋げています。また、バターやクリーム、脱脂粉乳などの乳製品開発や豆腐を中心とした植物性食品の開発も行っています。
〔生産本部〕
◆生産技術センター
より良い商品を安全に効率よく生産し、環境に配慮した装置・システムを中心とした「生産技術」の研究開発を行っています。AI・IoT、ロボットなどの先端技術を応用した生産ラインの自働化・省人化、省エネ・水資源・廃棄物などの環境課題への挑戦、ローコストオペレーションおよび高品質とおいしさの両立などに取り組んでいます。
※2023年4月1日付けにて組織改正を実施し、生産技術センターは本社組織となり、技術開発部に名称変更しております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は
①飲料
気分、シーンに合った嗜好性を重視した商品と、健康志向の高まりに応えるべく栄養バランスのサポートや健康にも配慮した商品を開発・発売しました。
◆「マウントレーニア」シリーズ‥‥「ブラック無糖」(2023年4月発売)、「カフェラッテ キャラメルギフト」など
◆「マウントレーニア プラントベース」シリーズ‥‥動物性原料不使用で、コーヒー飲料としては初めて、NPO法人ベジプロジェクトジャパンの定めるヴィーガン認証を取得した「オーツラテ」
◆「リプトン」ブランドシリーズ‥‥「ジャスミンミルクティー」(2023年4月発売)、「グレープティーパンチ」や、お客さまの熱望にお応えして復活させた「ミルクティー」など
◆「森永のおいしい牛乳」シリーズ‥‥ミルクにこだわった甘くないミルク珈琲「森永のおいしいミルク珈琲」(2023年4月発売)
◆「SU-PROTTY(スプロティ)」(2023年4月発売)‥‥1本で10gのたんぱく質を摂取できる、りんご酢ベースのビネガードリンク
◆「PREMiL Red 脂肪0」‥‥「BMIが高めの方の体脂肪を減らす」機能があることが報告されているローズヒップ由来ティリロサイドを配合した機能性表示食品の乳飲料
② デザート
科学的根拠に基づいて「おいしく、楽しく食べて、健康に」を啓蒙する食・楽・健康協会の趣旨に賛同して、“低糖質でも大満足のおいしさ”の追求や生活者が抱える健康課題に配慮した商品設計のプリンを開発・発売しました。
◆「おいしい低糖質プリン」シリーズ‥‥「おいしい低糖質プリン チーズケーキ」
◆ 4個パックデザート‥‥1食当たりが適量な「森永なめらかカスタードプリン」、「森永牛乳プリン」、「おいしい低糖質プリンカスタード」
③ ヨーグルト
ビフィズス菌等の当社独自の素材や技術を活かし、おいしさと健康・栄養を兼ね備えた商品を開発・発売しました。
◆「ビヒダス ヨーグルト」シリーズ‥‥「オートミール&食物繊維入り 4ポット」、「KF ドリンクタイプ」(機能性表示食品)、「便通改善 脂肪ゼロ(ドリンクタイプ /個食タイプ)」(機能性表示食品)、「ざく盛りフルーツ」
◆「ギリシャヨーグルト パルテノ」シリーズ‥‥「キウイ&アップルソース入」、「蜜レモンソース入」、「とろとろ洋梨ソース入」、「オレンジソース入」、「旬摘み白桃ソース入」、「パッションフルーツソース付」、「夏みかんソース入り」
◆「森永アロエヨーグルト」シリーズ‥‥「脂肪0(ゼロ)満足の200g」、「1日分の鉄分 プルーン味2連」
◆「ゴロッと」シリーズ‥‥「ゴロっとパインのむヨーグルト」、「ゴロっと白桃&黄桃のむヨーグルト」
◆「森永果実酢とりんごのヨーグルト」‥‥果実酢とフルーツヨーグルトのいいとこどりができる新しいヨーグルト
④アイスクリーム・氷菓
最近の流行を取り入れつつ、高級感、贅沢感、新食感、濃厚な風味、満足感といった嗜好性へのこだわりを持った商品を開発・発売しました。
◆「ピノ」シリーズ‥‥「香り華やぐミルクティー」、「モンブラン」など
◆「PARM(パルム)」シリーズ‥‥「安納芋」、「ジェラート巨峰」など
◆「MOW(モウ)」シリーズ‥‥「白桃ミルク」など
◆「MOW PRIME(モウ プライム)」シリーズ‥‥「クッキー&クリーム」、「ダブル北海道あずき」など
◆ 「森永アロエヨーグルト味バー」‥‥2021年、2022年と期間限定・数量限定にて発売し、お客さまからのお声を受けて、6本入りのマルチパックタイプで新たに全国発売
◆「森永 れん乳」シリーズ‥‥「森永れん乳アイス メロンソーダフロート」
⑤ チーズ
食感、うま味、風味に配慮したチーズを開発・発売しました。
◆「クラフト 強烈旨辛スライスチーズ5枚」‥‥強烈な辛みとチーズの旨味を組み合わせたスライスチーズです。
◆「クラフト 魚Chee(ウオチー)」シリーズ(2023年4月発売)‥‥“魚介とチーズのダブルの旨み”と“食感のある魚介珍味の具入り”チーズ「クラフト 魚Chee(ウオチー)燻製カツオ」、「クラフト 魚Chee(ウオチー)ピリ辛マグロ」
◆「フィラデルフィアme(ミー)6P」シリーズ‥‥「クリームチーズ&アーモンド」、「クリームチーズ&ピスタチオ」
⑥ヘルスケア・健康・栄養食品
乳幼児から大人、高齢者にとって、より良い健康生活を提案できる栄養食品群の研究開発を推進しています。
◆「睡眠改善」‥‥“L-テアニン”を関与成分とし、睡眠の質を改善(起床時の疲労感を軽減)することを表示した機能性表示食品のドリンク
◆「ミライPlusプロテイン ミルクココア味 ホエイ&ソイプロテインパウダー」‥‥タイで古くから滋養や健康維持に役立つとされてきたブラックジンジャーに由来する機能性関与成分を使用し、特長の異なるホエイ(乳たんぱく)とソイ(大豆たんぱく)の2種類のプロテインをミックス
◆「トリプルサプリ やさしいミルク味」‥‥『血圧・血糖値・中性脂肪』が気になる方に向けた機能性表示食品の粉末サプリメント
◆「楽歩習慣 グルコサミンプラス」‥‥「歩行や階段の上り下りにおけるひざ関節の悩みを改善する」機能が報告されている機能性関与成分N-アセチルグルコサミンを配合した機能性表示食品の清涼飲料水
◆「ミルク生活GOLD」‥‥「ミルク生活プラス」に比べ、ラクトフェリン・ビフィズス菌BB536・シールド乳酸菌®を2倍量配合した通信販売限定商品
◆「森永マミーゼリー」‥‥育ち盛りのお子さまの成長を応援するカルシウム、鉄分、ビタミンD、当社独自の機能性素材である「シールド乳酸菌®」を100億個配合したゼリー飲料
◆「はぐくみ液体ミルク」‥‥調乳が不要で、持ち運びが便利なアルミパウチ入り液体育児用ミルク(100ml)
⑦ 他社とのコラボレーション
◆森永製菓株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:太田栄二郎)
・「in(イン)プロテイン」シリーズ‥‥飲料では「ストロベリーヨーグルト風味」、「抹茶オレ風味」、「オレンジヨーグルト風味」、「ベリーミックスオレ風味」、「ピーチヨーグルト風味」、「バニラ風味」、ドリンクヨーグルトでは「森永ラムネ風味」、「キウイ風味」、「バナナミックス風味」
・「森永甘酒ヨーグルト」シリーズ‥‥「春夏限定仕込み」、「脂肪ゼロ」
・その他‥‥「リプトン 森永ミルクキャラメル紅茶ラテ」(期間限定)、カップ飲料「森永ラムネ」
◆株式会社東ハト(本社:東京都豊島区 代表取締役社長:飯島幹雄)・・・・株式会社東ハトの「キャラメルコーン」とコラボレートしたバーアイス「キャラメルコーンアイスバー」(期間限定)
◆岩下食品株式会社(本社:栃木県栃木市、代表取締役社長:岩下和了)・・・・岩下食品株式会社の「岩下の新生姜」とコラボレートしたドリンク「岩下の新生姜 ピンクジンジャーアップル」(期間限定)
◆山崎製パン株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:飯島延浩)・・・・山崎製パン株式会社の「ランチパック」シリーズなどの菓子パンと「森永のおいしい牛乳」がコラボレートした「ランチパック(ミルク)」、「生ドーナツ(牛乳ホイップ)」、「生クロワッサン(牛乳ホイップ)」(2023年4月より期間限定)
⑧ 生産技術
自社工場内の衛生レベル維持向上を目的に、微酸性次亜塩素酸水生成装置「PURE(ピュア)STER(スター)」を開発(生成方法特許取得)し、現在では自社ならびに関係会社の工場で使用し、品質管理に役立てると共に、1996年より社外に対して工業向けに「PURESTER」シリーズの販売を開始し、2002年に食品添加物の殺菌料に指定されました。
◆「PURE(ピュア)STER(スター)」シリーズ・・・・・これまでスペースが確保できずに設置できなかった福祉施設や老健施設、保育園などを対象にしたシリーズ過去最小型の微酸性次亜塩素酸水生成装置「コンパクトピュアスターCP‐180」を開発
⑨ 学術・研究
〔ビフィズス菌〕
◆「ビフィズス菌MCC1274」(2022年7月GRN No.1002)「ビフィズス菌M-63」(2022年4月GRN No.1003)の2つの菌株が、一般食品向け用途で米国GRAS(Generally Recognized as Safe)を取得。また、「ビフィズス菌M-63」は、乳児向けの用途でも取得。なお、ビフィズス菌でGRASを取得しているのは森永乳業が日本企業唯一〔FDA GRAS Notices(2022年7月22日時点)〕。
◆ 3日間のラクチュロース摂取が大腸内のビフィズス菌を増やすことを確認した研究成果が、科学誌「Microorganisms」の特集「アジアにおける最先端の腸内細菌研究」の一つとして掲載(2022年8月26日)。
◆京都大学、ジョージア工科大学(米国)、サンフォードバーナムプレビス医療研究機関(米国)、新潟大学、滋賀県立大学、京都女子大学、帯広畜産大学、コーク大学(アイルランド)との共同研究により、母乳栄養児の腸内に多くすむビフィズス菌4種(乳児型ビフィズス菌:B. bifidum、B. longum subsp. infantis、B. longum subsp. longum、B. breve)のコミュニティー形成について、乳児型ビフィズス菌の腸内への到達順序とヒトミルクオリゴ糖の利用能力が最終的なビフィズス菌コミュニティー形成に大きく影響することを明らかにした研究成果が、科学誌「The ISME Journal」に 2022年6月29日に掲載。
◆腸内環境が崩れやすいと言われている陸上競技者100人に「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」を3日間トライアルしていただいた調査で、80%のアスリートが満足との回答。
◆松本市立病院との共同研究で実施した臨床試験において、ビフィズス菌M-63に健常な正期産児の腸内環境を改善させる効果が明らかになり、この研究成果が科学誌「Nutrients」に2023年3月14日に掲載。
〔乳酸菌〕
◆ 長野県松本市(松本ヘルス・ラボ)、松本短期大学との産官学連携で実施した臨床試験において、「はぴねす乳酸菌®」(Lactobacillus helveticus MCC1848加熱殺菌体)が前向きな気分を維持する効果があることが示唆された(結果解釈は松本市立病院院長・中村雅彦先生ご指導)研究成果を、「Lactobacillus helveticus摂取が健常成人の気分状態に及ぼす影響」と題して酪農科学シンポジウム2022(2022年9月9日)にて発表。
〔腸内細菌〕
◆春先に感じる不調に関する意識と実態を明らかにするため、16歳から65歳までの男女1,000名を対象に「春先の不調に関する実態調査」を実施した結果、6割の人が、春先に心身の疲れやダルさ、気分の落ち込みを感じ、さらに、大腸に不調を抱える人ほど「春ダル」を感じる相関関係も明らかに。
◆順天堂大学と人々の健康と深く関係があるといわれている腸内フローラの研究を通じて、様々な疾患の原因解明とその予防に貢献するべく、順天堂大学大学院医学研究科に共同研究講座「腸内フローラ研究講座」を開設しました。
〔その他〕
◆ 甲南女子大学 医療栄養学部 医療栄養学科(木戸康博教授、小川亜紀助教)との共同研究によって、ギリシャヨーグルトの摂取が若年成人女性の体組成の改善に寄与する可能性があることを確認した研究結果を、第8回アジア栄養士会議(The 8th Asian Congress of Dietetics)(2022年8月19日~21日)にて共同研究先の小川亜紀 助教が発表。
⑩ 表彰
◆「クリープ」が「ワールド・ブランディング・アワーズ」のクリーマー(乳製品)部門において「ブランド・オブ・ザ・イヤー」を受賞。クリーマー(乳製品)部門にノミネートされた商品で受賞したのは、「クリープ」が世界初。
◆ 長年にわたり先天性代謝異常症等向け特殊ミルクの安定的な製造・供給を続け、社会に貢献する企業として厚生労働大臣より感謝状が贈呈。なお、同じく特殊ミルクを製造・供給してきた株式会社明治と雪印メグミルク株式会社にも感謝状が贈呈。
◆ 日本農芸化学会2023年度大会にて、認知機能改善作用を有するビフィズス菌MCC1274の開発と事業化において「農芸化学技術賞」を、ヒトに棲息するビフィズス菌を中心とした腸内細菌に関する研究において、当社の堀米綾子が「農芸化学女性企業研究者賞」をそれぞれ受賞しました。