第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

1.経営の基本方針

 当社グループは2017年9月に創業100周年を迎えるにあたり、新たなコーポレートミッションを策定しました。

    コーポレートスローガン  「かがやく“笑顔”のために」

    経営理念         「乳で培った技術を活かし 

                              私たちならではの商品をお届けすることで

              健康で幸せな生活に貢献し豊かな社会をつくる」

 新しい100年に向けて、当社グループは、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、

その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。

 

2.中長期的な会社の経営戦略、経営環境および対処すべき課題等

当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。当ビジョンでは、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を10年後の当社グループのありたい姿と定め、「営業利益率7%以上」「ROE10%以上」「海外売上高比率15%以上」を2029年3月期の数値目標に設定いたしました。

・「森永乳業グループ10年ビジョン」

 


 

・「中期経営計画 2025-28」(2026年3月期~2029年3月期)

当社グループでは2025年3月期までの3年間において「中期経営計画 2022-24」のもと取り組みを進めてまいりました。この間、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束、長期化する国際紛争、国内における物価上昇による家計や企業収益への影響などさまざまな環境変化への対応を進めながら、将来の成長に向けた取り組みを並行して実施してまいりました。その結果、当中期経営計画の最終年度(2025年3月期)の連結数値目標であります売上高5,700億円、営業利益300億円には若干の未達となりましたが、国内外の今後の成長のための布石の実行や事業基盤の強化などを着実に進めてまいりました。

そのような中、新たに2026年3月期より4年間の「中期経営計画2025-28」をスタートいたします。「中期経営計画2025-28」では、「森永乳業グループ10年ビジョン」の実現を目指し、さらにもう一歩先のありたい姿である「大きな特徴を持ち、利益率の高い企業へ」に向かって取り組みを進めてまいります。

 


 

「中期経営計画2025-28」を策定するにあたり「Merihari(メリハリ)」という考え方を重視しました。カテゴリーごとの位置づけ・役割を明確化し、強弱をつけた資源配分や体制再編を行うことで森永乳業グループの持続的な成長の土台をつくるとともに、ひとりひとりが常に「濃淡」と「スピード」を意識して業務を遂行するとともに、新しいことにチャレンジする風土を醸成することで、生産性とエンゲージメントの向上に取り組んでまいります。

当中期経営計画では成長戦略、構造改革、組織風土改革の3つの基本方針を定めています。

成長戦略として、これまでの全方位思考から脱却しヨーグルト、アイス、菌体、海外育児用ミルクなど、当社グループの強みを最大限活かせる領域へ経営資源を集中し収益拡大を図ってまいります。

構造改革として、商品力・販売力向上に向けバリューチェーン全体の最適化を意識した組織の再構築や、設備能力の制約から機会ロスとなっているヨーグルト、アイス設備の拡充、生産体制再編による生産効率の向上を図ってまいります。

組織風土改革として、新たにROIC目標を導入しより一層資本コストへの意識を高め、利益成長に加えて、投資案件のスクリーニング、キャッシュコンバージョンサイクル改善等により中長期的な企業価値向上を目指してまいります。また、高い専門性と多様性に富んだ人財集団の形成に向けた取り組みを推進するとともに、将来財務価値につながるプレ財務指標としてエンゲージメントレーティングの目標値も新たに設定いたしました。

キャッシュアロケーションおよび株主還元につきましては、成長領域へ資源を集中させるとともに、最適資本構成(※)に向けて有利子負債の活用と株主還元の強化を進め、資本コストの低減を図ってまいります。配当性向目標をこれまでの30%から40%に引き上げるとともに、状況に応じて機動的な自己株式の取得を実施する考えのもと、2026年3月期は100億円(上限)の自己株式の取得と消却を予定しています。

以上のビジョン・計画のもと、次期(2026年3月期)を新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、企業価値向上に向けて取り組んでまいります。

(※)最適資本構成の考え方

  ・当面はネット有利子負債/株主資本0.4~0.5倍程度を目安(内外環境にあわせ毎期見直し)

  ・将来の投資計画を踏まえた中長期の時間軸で段階的に最適化

 

「中期経営計画2025-28」最終年度目標(2029年3月期)

 

2029年3月期

目標

対2025年3月期

増減額

対2025年3月期

増減率

2025年3月期

実績

連結売上高

6,300億円

688億円

12.3%

5,612億円

連結営業利益

440億円

143億円

48.4%

297億円

売上高営業利益率

7%

-

-

5.3%

海外売上高比率

15%

-

-

12.5%

ROE(当期純利益/自己資本)

10%

-

-

2.0%

ROIC(税引き後営業利益/投下資本)

7%

-

-

5.7%

社員エンゲージメントレーティング

BBB

-

-

B

 

 


 

3.2026年3月期業績見通し

国内においては、雇用・所得環境の改善のもと緩やかな景気回復が続くことが期待される一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢の動向を注視する必要があります。当社グループにおいても、原材料・エネルギー価格および物流コストや人件費のさらなる上昇の影響が見込まれます。これに対し、引き続き価格改定の浸透に努めるほか、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをさらに推進させるなどの対応を図ってまいります。

2026年3月期より4年間の「中期経営計画2025-28」をスタートいたします。「中期経営計画2025-28」では、「森永乳業グループ10年ビジョン」の実現を目指し、さらにもう一歩先のありたい姿である「大きな特徴を持ち、利益率の高い企業へ」に向かって取り組みを進めてまいります。次期(2026年3月期)を新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、企業価値向上に向けて取り組んでまいります。

 

2026年3月期通期業績見通し

 

2026年3月期

予想

対前年

増減率

2025年3月期

実績

連結売上高

580,000百万円

3.4%

561,173百万円

連結営業利益

32,000百万円

7.9%

29,658百万円

連結経常利益

31,900百万円

6.8%

29,864百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

19,000百万円

248.0%

5,459百万円

(その他重要経営指標)

 

 

 

売上高営業利益率

5.5%

-

5.3%

海外売上高比率

12.5%

-

12.5%

ROE(当期純利益/自己資本)

        7.1%

-

2.0%

ROIC(税引き後営業利益/投下資本)

6.0%

-

5.7%

 

 

2026年3月期営業利益増減要因見通し


「中期経営計画 2025-28」における事業分野別業績見通し(2026年3月期)

 

 

2026年3月期予想

対前年増減率(差)

成長分野 売上高

127,500百万円

7.7%

成長分野 営業利益

15,100百万円

1,326百万円

 

 

 

2026年3月期予想

対前年増減率(差)

基幹分野 売上高

367,000百万円

4.0%

基幹分野 営業利益

14,700百万円

1,002百万円

 

 

 

2026年3月期予想

対前年増減率(差)

育成・その他分野 売上高

85,500百万円

△4.8%

育成・その他分野 営業利益

2,200百万円

14百万円

 

 

 

2026年3月期予想

対前年増減率(差)

(内訳)海外事業 売上高

72,590百万円

3.8%

(内訳)海外事業 営業利益

11,283百万円

3,807百万円

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 2025年5月13日の新中期経営計画2025-28の発表とあわせて、「サステナビリティ中期経営計画2030」においても見直しを行っており、当有価証券報告書提出時点の状況を記載しております。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ経営の実現に向け、「社会課題の解決と収益力向上の両立を目指す」という考えのもと、全社活動と現場活動の両輪で取り組みを推進しています。

全社活動では、2030年度を目標年度としたグループ共通の目標である「サステナビリティ中長期計画2030」の推進。現場活動では、当社グループの全ての事業所における現場ならではの「事業所サステナビリティ活動」を通じたサステナビリティの自分事化に取り組んでいます。

 


 

サステナビリティ委員会とサステナビリティ推進会議

当社グループでは、2025年度より、サステナビリティ・ガバナンス体制の強化を目指して、従来のサステナビリティ委員会を、経営層主体で中長期の方向性を検討する「サステナビリティ委員会」と、執行層主体で具体的な実行施策の企画・立案、推進を検討する「サステナビリティ推進会議」に分割しました。

また、サステナビリティ活動をさらに前進させるべく、従来より設置していた気候変動対策部会、プラスチック対策部会、人権部会、ウェルビーイング部会に加え、酪農部会を新設し、各部会の部会長を取り組みの主体となる部門の本部長に変更しました。

「サステナビリティ委員会」は、筆頭社外取締役を委員長、サステナビリティ本部長を副委員長とし、社外有識者も含めた構成で、中長期の経営視点でサステナビリティ活動の方向性を検討します。討議内容は、取締役会との間で諮問・答申を行います。

「サステナビリティ推進会議」は、社長を議長、全本部長をメンバーとして構成し、サステナビリティ委員会の中で決定された方向性の実現に向けた実行施策の企画・立案、推進を検討します。討議内容は取締役会に報告されます。

なお、委員会・推進会議ともにサステナビリティ推進部が事務局を務め、討議内容はウェブサイトにて公開します。

 

また、毎月1回、関係部門のメンバーで構成する組織横断型のサステナビリティ推進会議事務局にて、サステナビリティ中長期計画2030の各KPIについて議論する場を設けています


 

②事業所でのサステナビリティ活動

当社グループでは、地域ごとに有する社会課題の解決とビジネスとの連携、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じた地域コミュニティとの共生を通じて、社員一人ひとりのサステナビリティの自分事化を目指し、事業所サステナビリティ活動に取り組んでいます。国内グループの各事業所に「サステナビリティ推進リーダー」を任命し、事業所の活動テーマを設定して取り組みを実施するほか、全国のサステナビリティ推進リーダーの相互啓発や学びの場である「サステナビリティフォーラム」や他社のサステナビリティ活動を学ぶセミナーを定期的に開催しています。

 

(2)戦略

当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を2019年に制定し、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を当社グループのありたい姿と定めました。

この考えのもと、2025年3月期までの3年間の中期経営計画では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」「効率性を重視した財務戦略」の3つを基本方針に定め、取り組みを進めてまいりました。また、あわせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのマテリアリティテーマにより2030年度の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めてまいりました。

当社グループは、経営・事業に与えるリスク・機会の分析や、ステークホルダー視点での優先度評価を通じて、重点的に取り組むべき課題(マテリアリティ)を特定しました。2023年度は、外部・内部の環境変化を鑑み、人的資本に関連する項目等について検討を行い、「女性管理職比率の目標値変更」と「社員エンゲージメントに関するKPIの新設」を行いました。また、2025年度からは、取り組みの幅を広げる形で、一部マテリアリティテーマとマテリアリティの名称を変更し、あわせて、目標値の見直を行い、一部対象範囲を海外子会社を含む連結グループに拡大しました。

マテリアリティテーマとマテリアリティ名称の変更については、「ウェルビーイング」の考え方を取り入れました。当社グループでは、2023年に「ウェルビーイングステートメント」を策定し、経営理念やコーポレートスローガンを実現するための行動指針としています。森永乳業グループにおけるウェルビーイングは、「将来にわたってより良く生き続けること、すなわち健康で幸せな生活を送り続けること」と定義しており、この度の見直しでは、これまで十分に反映できていなかった、この考え方を取り入れました。

具体的には、マテリアリティテーマ「食と健康」を「食とウェルビーイング」に変更し、マテリアリティ名称「健康への貢献」を「ウェルビーイングへの貢献」と再設定しました。これまでの「健康」という言葉では、当社の取り組みや伝えたい理念を十分に表現できないことから、より包括的な「ウェルビーイング」に変更しました。

また、「人と社会」に関しては、人的資本の向上に向けた取り組みの強化、および、当社グループのウェルビーイング向上への強い意思を込め、マテリアリティ名称「人権と多様性の尊重」を「人権尊重とウェルビーイング向上」へと変更しました。

 

今後も、環境変化に応じたマテリアリティの定期的な見直し・レビューを図ります。

 


 

 

(3)リスク管理

 当社グループは、経営者が当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについて10項目認識しております。

 その中でも、特に「(1)酪農乳業界の動向」「(2)原材料調達」「(3)食品安全」「(6)自然災害、感染症等の不測の事態」「(9)気候変動」はサステナビリティと深く関連するものであります。

 また、これらのリスクについては、内部統制委員会の下部組織であるリスク管理部会にて、定期的にリスクの洗い出しと見直しを行っております。また、個々のリスクごとに要因と対応策をまとめ、対応策についてモニタリングを実施しております。サステナビリティ課題への対応策とその取組状況についても、サステナビリティ委員会の運営事務局を務めるサステナビリティ推進部より、リスク管理部会に定期的に報告しています。

 

◆主なサステナビリティに関するリスク

「(1)酪農乳業界の動向」

考えられるリスク:酪農家の減少による原乳量の減少や既存原料の枯渇等による生産・開発の停滞が懸念されるため、酪農乳業の支援が必要。

 

「(2)原材料調達」

考えられるリスク:気候変動などの環境課題、人権侵害などの社会課題への対応遅れによる原材料調達の不安定化や信頼低下が懸念されるため、環境や人権に配慮した原材料の調達を進める。

 

「(3)食品安全」

考えられるリスク:品質トラブルの発生による信頼低下が懸念されるため、トレーサビリティの仕組み化や、品質事故ゼロを目指した安全への取り組みを進める。

 

「(6)自然災害、感染症等の不測の事態」

考えられるリスク:生産拠点や物流網の停止による商品供給の停滞が懸念されるため、BCP対策を進める。

 

「(9)気候変動」

考えられるリスク:自然資本の毀損や規制強化による原材料調達コストの増加、炭素税の導入による操業コストの増加、生態系の汚染・破壊による操業リスク上昇が懸念されるため、気候変動への緩和と適応や持続可能な原材料調達、石油由来のバージンプラスチック使用量の削減などを進める。

なお、気候変動・自然資本リスクについては、気候変動対策部会およびサステナビリティ委員会において定期的に評価を見直し、対応を検討しております。詳細は「TCFDへの取り組み」および「TNFDへの取り組み」をご参照ください。

 

◆TCFDへの取り組みのURL

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tcfd/

 

◆TNFDへの取り組みのURL

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tnfd/

 

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは重点的に取り組むべき課題について、2030年度達成を目指したKPIを設定しています。

重点的に取り組むべき課題

モニタリング指標

2024年度実績

2030年度目標

健康への貢献

(25年度より変更

ウェルビーイングへの貢献)

健康課題に配慮した商品の売上高

(2021年度比)※1

1.2倍

1.7倍

 

健康増進・食育活動への参加人数

(2021~2030年度)

2024年度:約15万1千人

延べ人数:44万2千人

延べ100万人

(25年度より対象範囲を国内連結子会社へ拡大)

 

健康栄養に関する研究の論文公表数増加

(特許含む)

(25年度より変更

生活者の健康栄養に貢献し、安全・安心で高品質な商品の創出につながる研究開発の推進

研究論文公表数 累計122件(2022年度以降)

・トリペプチドMKP®の摂取により、血圧が高めな方の収縮期血圧および拡張期血圧のいずれも低下させることを確認

~科学雑誌『Nutrients』掲載~

・「ビフィズス菌M-16V」などが、ヒトミルク由来オリゴ糖で増殖する悪玉(ウェルシュ)菌の抑制に寄与する可能性を確認

~科学雑誌『Gut Microbes』掲載~

 

 

 

 

 

 

自社の健康貢献イメージ向上

(コーポレートブランドイメージ調査
※2)

20.4%

25%

 

(25年度より新設

自社のおいしさ・楽しさ商品提供イメージ向上

(コーポレートブランドイメージ調査
※2))

(25年度より新設

30%)

食の安全・安心

グループ全生産拠点でのFSSC22000などGFSI認証規格※3の取得

100%

100%

 

消費者の求める安全・安心のためのトレーサビリティの仕組み化

トレーサビリティの仕組み化の推進

 

 

品質事故ゼロ・法規遵守の取り組み継続

(25年度より変更

重大品質事故*件数

*重大事故の定義:法令違反による回収および表示ミスや品質不良による自主回収を行った案件)

・サプライヤー監査の継続的な実施

・新規サプライヤー採用時に品質監査の継続的な実施

・国内自グループ工場の品質監査の継続的な実施

(25年度より新設

0件)

気候変動の緩和と適応

Scope1+2 CO2排出量削減率(2013年度比)

29.1%(※4)

38%以上

(25年度より変更

50%以上

対象範囲をグローバル連結子会社へ拡大)

 

Scope3 GHG排出量削減率(2020年度比)

10.7%(※4)

10%以上

(25年度より対象範囲拡大

25年度~国内連結子会社

26年度~グローバル連結子会社)

 

気候変動に対するBCP策定拠点率

100%

※森永乳業(株)国内直系生産拠点のみ

今後、国内外連結子会社の気候変動BCP策定を行う

100%

 

 

重点的に取り組むべき課題

モニタリング指標

2024年度実績

2030年度目標

環境配慮と資源循環

国内生産拠点におけるISO14001認証維持率

国内生産拠点における

認証取得率100%

100%

 

石油由来バージンプラスチック使用量の
削減率(2013年度比)

24.9%

25%以上

(25年度より

対象範囲をグローバル連結子会社へ拡大)

 

産業廃棄物の再資源化率

(ゼロエミッションの達成)

99.7%(※5)

ゼロエミッションの達成

(25年度より

対象範囲をグローバル連結子会社へ拡大)

 

水資源使用量の削減率(2013年度比)

17.7%

15%以上

(25年度より

対象範囲をグローバル連結子会社へ拡大)

 

排水処理水質の維持・向上

生産拠点の排水処理設備の定期的な点検による適切な排水処理の維持と、増産に応じた設備の増強を実施

 

 

主要ブランドでの環境配慮設計の適用率

95.0%

100%

持続可能な原材料調達

RSPO マスバランス認証への切替率

80.6%

100%(2028年度まで)

 

FSC認証等環境配慮紙使用割合

99.9%

(25年度より新設

100%

対象範囲をグローバル連結子会社へ拡大)

 

原材料サプライヤーへの支援拡大

Sedex加入を通じた、

サプライヤーの支援拡大

(25年度より新設

サプライヤー支援ツール導入率100%

対象範囲を国内連結子会社へ拡大)

 

(25年度より新設

酪農乳業の価値向上のための取り組み数の増加)

(25年度より新設

500件)

人権と多様性の尊重

(25年度より変更

人権尊重とウェルビーイング向上)

サプライチェーン全体での
人権ポリシーの継続遵守

(25年度より変更

サプライチェーン全体での人権尊重の取り組み*の継続実施

*人権ポリシーの遵守、人権デュー・デリジェンスの実施、グリーバンスメカニズムの構築)

人権インパクトアセスメントの継続的な実施

(海外サプライヤー1件、国内サプライヤー1件)

海外有識者ダイアログ実施

継続遵守

 

女性管理職比率

7.2%

20%以上

 

男性育休取得率

91.5%

100%

 

(25年度より新設

ホワイト500を目指した健康経営の取り組み強化(福利厚生施策、セミナー実施))

(25年度より新設

森永乳業:

  健康経営優良法人継続取得

国内連結子会社:

  健康経営優良法人の認定推進)

 

介護離職者

3人

0人

 

重大労働災害発生件数

0件

0件(継続)

 

社員エンゲージメントレーティング

B

A

 

人財育成に向けた研修投資額

4.3万円/人/年

4万円/人/年

(25年度より変更

5万円/人/年)

地域コミュニティとの共生

各事業所での地域活動への参加者延人数

(2021~2030年度)

2024年度:約4万6千人

延べ人数:約6万5千人

延べ10万人

 

地域活動を実施するグループ全体の事業所の割合

98.8%(国内)

グループ内100%

 

 

※1 公式ウェブサイト内Topics「健康課題に配慮した商品設計」に記載している商品。

   https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/food_and_well-being/

 

※2 当社が実施する消費者調査。

※3 ただし、当社得意先からの委託を受け、かつ当該得意先指定の特別な品質管理システムを適用する生産拠点は適用外とします。

※4 第三者保証取得前の数値であるため、変更になる可能性があります。

※5 産業廃棄物管理票確定していない情報を含むため、変更になる可能性があります。

 

その他、気候変動、自然資本、および、人権の取り組みについては、公式ウェブサイトに掲載しております。

 

気候変動(TCFD)の取り組み

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tcfd/

 

自然資本(TNFD)の取り組み

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tnfd/

 

人権の取り組み

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/people_and_society/#jinken

 

(5)人的資本に関する戦略並びに指標及び目標について

①戦略

森永乳業グループの「人的資本」

◆競争力の源泉としての「人財」

持続的な企業価値向上のためには、社員一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮し、新たな価値創造に向けて、持続的に成長し続けることが重要となります。1人ひとりの活力と潜在能力をいかにして最大限引き出すか、それら個々の生み出す価値をいかに組織として統合し、新たな価値創造、差別化に結び付けられるか、これが森永乳業グループにおける人的資本経営に関する重要課題となります。

環境変化が激しく、グローバルな競争が激化する中、企業が持続的に成長していくためには、他社とは異なる、当社にしかできない新たな価値をいかにして創造していくかが課題となります。新たな価値を生み出すには、多様なアイデアや価値の統合を生み出す仕組みや組織風土の構築が必要となります。当社では「高い専門性と多様性に富んだ活力ある人財集団」の実現をテーマに、各種取り組みを推進しております。それらの取り組みの推進により、イノベーション、新たな顧客の創造、生産性向上、人財・知財を含む無形資産の価値向上を実現し、持続的な企業価値向上に結び付けていきます。

 

 

◆経営戦略の実現に向けて

中長期的に描く姿を人財の面から実現するために、当社グループでは「人」と「組織」の両面で取り組んでいます。

人づくり(人財育成)においては「個人の自律」と「専門能力の発揮」に向けたアプローチ、組織づくり(環境整備)においては「多様な価値の結合」と「挑戦を称賛する風土」に向けたアプローチ、これらを両立させることが必要だと考えています。

また、経営戦略を実現していくには、その基盤となる社員のエンゲージメントを高めることも重要になります。2022年より全社員を対象としたサーベイを一新し、社員エンゲージメントを可視化できるようになりました。2024年度についてもエンゲージメントスコア※を各職場で共有し、組織改善に向けたアクションプランの作成に取り組んでいます。

今後も毎年1回エンゲージメントサーベイを実施して、目指す姿への実現度合いを確認し、改善活動に繋げていきます。

※社員の会社に対する共感指数(会社・仕事・上司・職場に関する質問の期待度と満足度から算出)

 

◆人づくり(人財育成)

森永乳業グループの人財育成では、研修や自己啓発などさまざまな機会とツールの提供を通じて、「自身のありたい姿」を描き、お客さまと仲間と自らの笑顔のために自律的に挑戦・貢献・成長する社員の育成を目指しています。

 

●個人の自律

当社グループでは社員個人が自律するということを「自分自身の働く意義を今の仕事に見出し、受け身ではなく自ら考え、自ら判断し動けている状態」と定義しており、これが「働きがい」や「エンゲージメント」に直結すると考えています。個人が自律した状態を作ることができれば、各所で活発な議論が行われ、活き活きとしたチャレンジ精神のあふれる職場が形成されると考えています。こうした状態を実現するために、評価会議や人財活躍会議を通じた「上司のマネジメント力向上」、キャリア調査や異動公募制の実施などによる「選択肢のあるキャリア形成支援」、社員の心身の健康維持・向上に向けた「健康経営の推進」の3点を重視して取り組んでいます。このうち健康経営については、当社取締役会が監督するサステナビリティ委員会内に設置しているウェルビーイング部会が、推進のモニタリングを行っております。2025年3月には、6年連続で「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。

 

●専門能力の発揮

社員のスキル・能力向上を目的とした社員一人あたりの年間研修投資額は、コロナ禍に経験したオンライン化等の適切な効率化を継続したうえで、2030年度までにコロナ前を上回る水準まで拡大させることを目標としています。階層別研修に加え、部門別の研修を通じた専門能力習得機会を設けています。また経営戦略を踏まえ、グローバル人財育成プログラムを充実させています。

教育制度の充実に加え、高度な専門性が必要となる職種に対しては、キャリア採用を強化し、外部人財の登用も積極化しています。

事業成長に必要な専門知識や能力の多様性を組織内に保有し、それを強みとして本人が発揮できる力、そしてそれを発揮しやすい環境をマネジメント層の支援のもと整えることで、新たな価値の創出を目指しています。

 

◆組織づくり(環境整備)

●多様な価値の結合(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

活力ある組織づくりに向けて、性別、年齢、国籍等の属性に関わらず多様性を認め合い、活かすことは必須条件だと考えています。そのための取り組みとして、ダイバーシティに関する研修を実施するほか、在宅勤務やフレックスタイム等の制度に加え、育児・介護支援制度を拡充して多様な働き方を実現しています。2022年度は育児休業の社内愛称を社員から公募し、当社の製品名にちなんで「はぐくみ期間」と名付けました。休業という言葉は使わずに、子をはぐくむ大切な仕事をする期間であるとして、育児休業の取りにくさや、育児における性別役割分業の払拭を目指しています。2022年10月からは出生時育児休業を100%有給で設立し、2024年度の男性育児休業取得率は91.5%となりました。

リーダー層の多様性を確保するため、女性キャリア支援にも継続的に取り組みます。2012年から始めた女性リーダー研修には累計247名の女性社員が参加しており、マネジメントやリーダーシップを学ぶプログラムを実施しています。

なお性別を理由とする処遇の違いはないものの、社員構成年齢や上位役職に占める性別の違いによって賃金差は生じています。前述のような女性のリーダー層における割合の増加に向けた施策や育児における性別役割分業の払拭を目指した取り組みを通じて、賃金差の縮小を目指してまいります。

森永乳業グループでは2022年度に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」において要素・要件を網羅した人権方針を改定し、自社グループの事業が人権課題に影響を与えうることの理解ならびに必要に応じて是正対応・取り組みを行っていくことを改めて表明いたしました。本方針において、差別やハラスメントを排除していく旨を明記しております。本人権方針は取締役会にて承認を得ており、人権方針の実行については、当社取締役会が監督するサステナビリティ委員会内に設置している人権部会が、実施状況を監視しています。

2022年度より開始した人権デュー・デリジェンスの取り組みでは、森永乳業グループが優先的に取り組むべき潜在的人権リスクとして特定し、2023年度には、日本国内の外国人労働者に係わる労働諸問題について、2024年度にはサプライチェーン上の人権侵害への加担、海外拠点や物流サービスの労働者に係わる労働諸問題についても現地にて調査を実施いたしました。

 

●挑戦を称賛する風土

新たな発想を成果に繋げていくには、発想を行動に移すことができるかが大切であり、そのためには、失敗を許容し、挑戦を後押しする風土を創り上げていくことが必要と考えています。

森永乳業グループの表彰制度(Morinaga Milk Awards)や、2022年より風土改革と事業創出を目的に開始した新規事業創出プログラムは、挑戦を称賛し合う文化の定着につながっています。

 

②指標並びに目標及び実績

※本項目については、各連結子会社の規模・制度の違いから一律記載は困難であるため、提出会社単体の記載といたします。

 


 

◆人づくり(人財育成)

●専門能力の発揮

 

2022年度

2023年度

2024年度

専門性人財のキャリア入社者数(単体)

14名

24名

29

 

※研究、マーケティング、法務、知財、IT、海外部門などにおけるキャリア採用者数

 

 

2022年度

2023年度

2024年度

2030年度目標

研修投資額
(単体)

3.1万円

/年・人

3.4万円

/年・人

4.3万円
/年・人

5.0万円

/年・人

 

※育成投資額は、グローバル人財育成、キャリア自律支援等の人的資本投資強化により、

   2030年度目標を4.0万円/年・人から5.0万円/年・人に変更しました。

 

◆組織づくり(環境整備)

●多様な価値の結合(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)

 

2022

年度

2023

年度

2024

年度

2026
年度
目標

2030

年度目標

女性管理職比率
(単体)3/31時点

5.8%

6.3%

7.2

%

10.0%以上

20.0%以上

男性育児休業取得率
(単体、正社員)

90.5%

95.7%

91.5

%

-

100.0%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

経営者が当社グループの経営成績および財政状態などに影響を及ぼす可能性があると認識しているリスクについて、主な事項を記載しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)酪農乳業界の動向

乳製品の原料である生乳の取引では、「畜産経営の安定に関する法律」の加工原料乳生産者補給金制度により、生産者に補給金が支払われます。同法律が大幅に変更もしくは廃止され、補給金の水準が変化する場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、乳製品には、国内農業の保護を目的とする関税制度が設けられていますが、関税制度が大幅に変更された場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、関係省庁・諸団体と密に連携をとり、酪農乳業界における変化等に適時適切に対処するとともに、酪農家や酪農組織を日常的に訪問し、乳牛の健康管理技術や生乳需給に関する情報提供を通じて酪農現場、生乳生産を支援しています。

 

(2)原材料調達

当社グループの主要な原材料は、国内外の需給状況や関税制度、さらには、為替相場の変化等により、価格や納期が変動します。この変動により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「森永乳業グループ調達ポリシー」のもと、安全・安心を第一に、市場等の動向を注視して、複数の地域・取引先からの購買、代替原材料の手当、為替予約や外貨決済等、様々な対策を講じています。

 

(3)食品安全

当社グループでは、製品製造にあたり、安全性、品質の確保に万全を期していますが、仮に大規模な製品回収や製造物責任賠償につながるような不測の事態が発生した場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製造現場のみならずサプライチェーンすべてにおける品質の考え方を「森永乳業グループ品質ポリシー」として定め、製品の安全と品質の確保に努めています。

 

(4)海外事業、新規事業等

当社グループでは、成長の手段として海外を中心としたM&Aや新規事業、新機軸商品への設備投資等に取り組んでいます。特に海外のM&Aにおいては、為替リスク、現地の政治情勢、レギュレーション、商習慣、市場の不確実性等に対し、最大限の情報収集に努めています。しかしながら、外部環境の急激な変化等により、当初の事業計画が未達となる等、予測と実態との間に大きな負の乖離が生じた場合、減損損失が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、各投資案件における牽制機能の強化や、M&Aを実施した会社や新規事業への定期的なモニタリング、進捗確認を通じて、将来の減損リスクの事前回避に努めています。

 

(5)天候

当社グループの各事業の売上は、天候の影響を受ける可能性があります。特に、冷夏の場合には、アイス、ビバレッジ等の売上が減少し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、生産から営業に関わる各部門が密接に連携をとり、販売状況に応じたタイムリーな生産調整を行う等、全体最適を図ることで天候による影響に対しフレキシブルに対応しています。

 

(6)自然災害、感染症等の不測の事態

当社グループの事業拠点がある地域において、地震や暴風雨等の自然災害、火災・テロ等の事件・事故、感染症のまん延等、突発的かつ甚大な災害が発生した場合には、長期間の事業停止や物流の混乱による商品供給の停止、また、市場・生活の変化等により、業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

こうした不測の事態が発生した場合、当社グループでは、従業員とその家族、お客さま、お得意先、近隣社会、関係先の人命保護を最優先するとともに、事業継続計画書等のマニュアルを整備し、適切な商品の供給および早期に事業活動を復旧できる体制の構築に努めています。

 

(7)情報システム、情報セキュリティ

当社グループでは、商品の受注、原材料の発注、製品製造の指示、経理処理等、事業全般にわたって情報システムを活用していることから、規定類の整備やサポート体制の強化、各種の情報セキュリティ対策を行っています。しかしながら、災害、停電、コンピュータウィルスの感染、不正アクセス等によって、情報システムの停止や情報の流出等が発生した場合には、商品の供給不能や社会的信用の低下等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、内部統制委員会のもとに情報セキュリティ部会を設置し、脆弱性対策や重要データのバックアップ等ハード面の強化を進めるとともに、事業継続計画書やセキュリティルールの見直し、従業員教育等のソフト面の整備、改善を図り、情報システムの安定稼働とセキュリティの維持に努めています。

 

(8)知的財産

当社グループは、その事業活動において、当社グループが所有する、または第三者から適法に使用許諾を受けた種々の知的財産を活用していますが、これら知的財産権を侵害したとして第三者から不測の訴訟を提起された場合、その結果によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、知的財産権を尊重し、適正な事業活動のための知的財産の出願・維持と、第三者の権利を侵害することのないよう専門部門によるチェックを継続的に実施しています。

 

(9)気候変動

気候変動に代表される世界的な環境問題の深刻化を受け、化石エネルギーやプラスチック使用、水リスク等に関する規制や風評が発生した場合、商品戦略の見直しや設備投資、エネルギーや原材料調達費用の増大等により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、様々なステークホルダーを通して情報を収集し対応を進めています。

当社グループでは、「サステナビリティ中長期計画2030」において「資源と環境」をマテリアリティテーマの一つに掲げるとともに「森永乳業グループ環境ポリシー」を定め、ISO14001環境マネジメントシステムに基づき適切な目標設定と管理を行っています。

なお、気候変動への対応については、気候変動対策部会及びサステナビリティ委員会において定期的に見直しております。詳細は「TCFDへの取り組み」および「TNFDへの取り組み」をご参照ください。

◆TCFDへの取り組みのURL

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tcfd/

◆TNFDへの取り組みのURL

https://www.morinagamilk.co.jp/sustainability/resources_and_the_environment/tnfd/

 

(10)コンプライアンス

当社グループでは、内部統制委員会のもとにコンプライアンス部会を設置し、同部会を中心にコンプライアンス活動を推進しています。当社グループで働く者すべてのコンプライアンス意識の向上のため、複数の教育・研修プログラムを導入するとともに、内部通報制度である「森乳ヘルプライン」により誰もが安心して相談できる体制を整備しています。しかしながら、コンプライアンス違反等が発生した場合には、社会的信用の低下等によって、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「コンプライアンス意識調査」等によりコンプライアンスの遵守状況を定期的にモニタリングするとともに、内部監査部門による運用状況の監査結果もふまえ、取り組みの見直しを継続的に行っています。

 

なお、上記のリスクが当社グループにおけるすべてのリスクではありません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。なお、連結財務諸表の作成にあたっては、主として期末日現在などの判断に基づき金額を見積った項目があります。

特に以下の項目に関する見積額は、実際の結果と異なる可能性があります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

① 貸倒引当金

貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、今後の個別の業況などによっては、追加引当もしくは取崩しが必要となる可能性があります。

② 退職給付費用および債務

退職給付費用および退職給付債務は、割引率など数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。

③ 投資有価証券の減損

投資有価証券については、その価値の下落が一時的ではなく回復可能性が無いと認められる場合に減損処理を実施しておりますが、今後の市況や投資先の業況などにより、さらに減損処理が必要となる可能性や価格が回復する可能性があります。

④ 棚卸資産の評価

棚卸資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき処理を行っております。評価を行うに当たっては、正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。また、一定期間を超えて在庫として滞留する棚卸資産についても、簿価を切り下げております。今後の市況や需要動向によっては、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

(2) 経営成績

当期は長期化する国際紛争や欧米を中心とする政策動向の変化など、国際社会におけるさまざまな影響や世界経済の下振れリスクが生じました。国内においては、雇用・所得環境の改善のもと緩やかな景気回復が続くことが期待された一方、物価上昇による家計や企業への影響は今後も継続すると考えられ、引き続き国内外の情勢の動向を注視する必要があります。

そのような中、森永乳業グループにおいては「中期経営計画2022-24」のもと、当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」の提供に努め、特に、国内外での健康ニーズの高まりを背景に、ヨーグルトや機能性素材をはじめさまざまな健康課題に配慮した「健康5領域」商品の拡大や、当社の保有するビフィズス菌の価値訴求に継続して取り組みました。

また、海外事業においては中長期での成長を目指し、主力となるMILEI GmbH(ミライ社)の安定的な利益貢献や菌体の拡大を軸に取り組みを進めました。近年M&Aを実施したパキスタン、米国、ベトナムの子会社においては事業環境の大きな変化を主因とした減損損失等を計上しましたが、今後の成長に向けてそれぞれ最適な事業展開を推進すべく取り組みを進めています。

一方で、原料価格および物流コストや人件費などの各種オペレーションコストについては、前期に引き続きコストアップの影響を受けました。これに対し価格改定の取り組みに継続して努めたほか、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しをさらに推進させるなどの対応を図りました。

 

・「中期経営計画 2022-24」(2023年3月期~2025年3月期)

2025年3月期までの3年間の「中期経営計画 2022-24」では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」、「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」、「効率性を重視した財務戦略」の3つを基本方針に定め取り組みました。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのマテリアリティテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めました。

 

中期経営計画の基本方針の1つ目「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」におきましては、①栄養・機能性食品事業、②主力食品事業、③BtoB事業、④海外事業の4本の柱それぞれを拡大させるとともに、特に「健康5領域」商品の拡大による横断的な健康価値提供の加速、当社独自の機能性素材・菌体の再飛躍、海外事業のポートフォリオ変革を進めました。事業活動を通じ「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を提供し、生活者の「健康」と「幸せ」に貢献すべく取り組んでまいりました。

基本方針の2つ目「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」におきましては、構造改革、戦略投資、資産活用の観点からそれぞれ取り組みを進めました。構造改革として外部環境変化への耐性強化などに取り組み、戦略投資として研究開発機能の強化や10年ビジョンを見据えた成長投資・環境関連投資などを進めました。資産活用の観点では、知的財産基盤の強化や、国産乳資源活用の推進を図りました。

基本方針の3つ目「効率性を重視した財務戦略」におきましては、成長投資の戦略的な実行、株主還元と財務体質にも留意した資金活用を目指すとともに、合わせて資本効率の視点を重視したROE改善を進めました。株主還元につきましては、財務の健全性、内部留保の重要性に留意しつつ、安定的かつ長期的な配当を実施することを基本方針としました。具体的には配当性向目標を30%(一過性要因を除く)と設定し、合わせて総還元性向を意識した対応を実施してまいりました。なお、保有する自己株式につきましては、基本的には消却しますが、将来の柔軟な資本政策に備えて一部を保有する考えのもと対応を進めました。

加えて、2024年5月に「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を発表しました。ステークホルダーの期待に応え、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するために「収益力・効率性の向上」、「バランスシート方針のアップデート」、「IR・コーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組み、さらなるROEの向上、PBRの改善を目指しています。なお、本方針を踏まえ、「バランスシート方針のアップデート」に基づく株主還元強化策として、自己株式の取得と消却(2024年5月~10月取得:293万株、100億円)、一株当たり年間配当金の増額(2025年3月期:90円予定、前期比30円増)、中間配当制度の導入を実施しました。

 

<当期の主な取り組み事項>

当期は「中期経営計画2022-24」の最終年度となります。激変する環境に対応しながら、さらなる企業体質および事業の強化に努めるべく取り組みを進めました。

 

 原料乳・原材料・エネルギーコストおよび各種オペレーションコスト上昇への対応

 

-  価格改定、プロダクトミックス改善、合理化などあらゆる対応によりコスト上昇の影響を最小限に抑制

  「中期経営計画 2022-24」「サステナビリティ中期計画2030」に沿った取り組みの推進

 

-  当社グループならではの「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を追求した、お客さまのニーズに応え

   る商品・高付加価値商品の提供とその価値訴求

 

-  栄養・機能性食品事業を中心に、ヨーグルトや機能性素材を始めとするさまざまな健康課題に配慮した

  「健康5領域」商品の拡大とビフィズス菌の価値訴求

 

-  海外事業の中長期的な成長に向けた取り組みの推進

 

-  当社グループの基盤となる主力食品事業の収益基盤の強化、BtoB事業の拡大

 

-  経営基盤のさらなる強化に向けた成長分野への投資

・2025年4月稼働:神戸工場製造棟増築

・2025年4月以降順次稼働:神戸工場アイス製造設備、ほか

 

-  資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応

・2024年5月発表:「収益性・効率性の向上」、「バランスシート方針のアップデート」、「IR・コ

  ーポレートガバナンスの強化」の3点に取り組み、企業価値の向上を目指す

・特に「バランスシート方針のアップデート」に基づき、株主還元を強化

 

-  サステナビリティ経営の推進に向けた取り組み

・本業を通じた健康への貢献、気候変動・プラスチック問題など環境課題への対応、人権・多様性への

  配慮、グループ全体のサステナビリティ意識の浸透など

 

 

こうした取り組みの結果、当社グループの連結売上高は増収となりました。栄養・機能性食品事業および主力食品事業においては、ビバレッジ、アイスなどの価格改定効果や、機能性ヨーグルト、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の提供に努めました。底堅い需要や価格改定効果を背景としたBtoB事業の増収などもあり、全体でも増収となりました。

連結の営業利益では、原料価格や物流費、人件費など各種オペレーションコストを中心に、引き続きコストアップの影響を受けました。これに対し価格改定や利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをより一層推進しました。海外事業はMILEI社が下期に入り好調に転じたことに加え菌体の貢献などにより通期では増益となり、グループ全体でも増益となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券(政策保有株式)および固定資産(土地)の売却などによる特別利益の計上の一方、前第1四半期に東京工場跡地売却による特別利益として657億円を計上したことなどや海外子会社における減損損失の計上などにより大きく減益となりました。

なお、公益財団法人ひかり協会に対する負担金として、当期は約17億円を支出しました。

 

連結売上高

561,173百万円

(前年比

2.6%増)

連結営業利益

29,658百万円

(前年比

6.5%増)

連結経常利益

29,864百万円

(前年比

6.3%増)

親会社株主に帰属する当期純利益

5,459百万円

(前年比

91.1%減)

(その他重要経営指標)

 

 

 

売上高営業利益率

5.3%

 

 

ROE(自己資本利益率)

2.0%

 

 

海外売上高比率

12.5%

 

 

 

 

 

2025年3月期営業利益増減要因

 


セグメント別の状況は、次のとおりです。

                                      (単位:百万円)

 

売上高

前年比

営業利益

前年比

食品事業

537,723

3.2%増

39,811

4.4%増

その他の事業

32,326

1.8%増

2,895

46.2%増

消去または全社

△8,875

  

△13,048

 

合計

561,173

2.6%増

29,658

6.5%増

 

食品事業:市乳、乳製品、アイス、飲料など

その他の事業:飼料、プラント設備の設計施工など

 

 

  (参考)「中期経営計画 2022-24」における事業分野別(4本の事業の柱)業績概況

①  栄養・機能性食品事業:ヨーグルトは健康志向の高まりを背景に「ビヒダスヨーグルト」が好調に推移し、機能性ヨーグルトや「パルテノ」などの拡大にも継続して注力しました。育児用ミルクなどの栄養食品、流動食などを扱う森永乳業クリニコ社の寄与もあり、事業全体では増収となりました。また、中長期的な成長を見据え、ビフィズス菌等のプロモーションの強化にも継続的に取り組みました。

      利益面では、原材料価格の上昇の影響やオペレーションコスト増加の影響を受けましたが、プロダクトミックスの改善やコスト削減などに努めました。第4四半期における販売促進費等の効率化もあり事業全体では増益となりました。

栄養・機能性食品事業 売上高

129,967百万円

(前年比

2.1%増)

栄養・機能性食品事業 営業利益

5,496百万円

(前年差

241百万円増)

 

 

    主力食品事業:原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響を受けましたが、ビバレッジ、アイスなどの価格改定効果や、「マウントレーニア」などの高付加価値商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、コスト削減などに努め、事業全体では増収増益となりました。

主力食品事業 売上高

176,429百万円

(前年比

0.7%増)

主力食品事業 営業利益

9,591百万円

(前年差

567百万円増)

 

 

    BtoB事業:底堅い需要や価格改定効果を背景に業務用乳製品が伸長し、事業全体でも増収となりました。また、菌体をはじめとする当社保有の機能性素材の拡販にも継続して努めています。

      利益面においては、原材料価格の上昇の影響や、オペレーションコストの増加の影響などにより減益となりました。

BtoB事業 売上高

99,045百万円

(前年比

2.7%増)

BtoB事業 営業利益

3,814百万円

(前年差

647百万円減)

 

 

    海外事業:ドイツ・MILEI社や米国のMorinaga Nutritional Foods, Inc.(MNF社)などが増収となり、菌体の輸出も堅調に推移するなど、事業全体では増収となりました。

      利益面においては、前期に拡大したMILEI社の反動減が第1四半期に大きく影響したことやその他の子会社の回復の遅れなどがありましたが、下期に入りMILEI社が好調に転じたことに加え菌体の貢献などもあり通期では増益となりました。

海外事業 売上高

69,914百万円

(前年比

15.7%増)

海外事業 営業利益

7,476百万円

(前年差

1,308百万円増)

 

 

 

生産、受注及び販売の状況は次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

435,509

+2.7

その他の事業

4,836

+9.0

合計

440,345

+2.7

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

食品事業

その他の事業

12,553

+3.2

6,777

+1.8

合計

12,553

+3.2

6,777

+1.8

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

537,723

+3.2

その他の事業

32,326

+1.8

セグメント間の内部売上高または振替高

△8,875

合計

561,173

+2.6

 

 

(3)財政状態

当連結会計年度末の資産の部は、「現金及び預金」や「のれん」が減少したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、455億7千4百万円減5,204億2千3百万円となりました。

負債の部は、「未払法人税等」や「退職給付に係る負債」が減少したことなどにより、合計では前連結会計年度末に比べ、345億4千2百万円減2,493億1千9百万円となりました。

純資産の部は、「利益剰余金」の減少などにより、合計では前連結会計年度末に比べ、110億3千2百万円減2,711億3百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の49.0%から51.2%に、1株当たり純資産額は前連結会計年度末の3,192.33円から3,187.41円になりました。

 

 

(4)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ690億3千9百万円減124億5千6百万円の支出となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益152億8千6百万円がキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額364億8千6百万円がキャッシュ・フローの支出となったことによります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ440億9百万円支出増187億8千6百万円の支出となりました。主な要因は、投資有価証券の売却により85億5千2百万円の収入となり、固定資産の取得により322億2千4百万円の支出となったことによります。

これらを合計したフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ1,130億4千9百万円減の△312億4千3百万円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ335億9千6百万円支出減50億2千8百万円の支出となりました。主な要因は、社債の発行により198億9千万円の収入となり、社債の償還により100億円の支出があった他、自己株式の取得により112億1千4百万円の支出があったことによります。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ359億6千9百万円減285億5千9百万円となりました。

 

なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

 

2021年
3月期

2022年
3月期

2023年
3月期

2024年
3月期

2025年
3月期

自己資本比率(%)

43.9

44.9

45.7

49.0

51.2

時価ベースの自己資本比率(%)

63.5

51.5

44.3

47.9

50.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍)

3.0

2.5

5.7

1.7

△9.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

54.6

53.4

27.3

45.9

△6.1

 

自己資本比率:(純資産-新株予約権-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。

※ 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

※ 2022年3月期及び2024年3月期において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2021年3月期及び2023年3月期に係る数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映しております。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下の財務政策のとおりです。

当社グループは、資金調達に際しては、内部資金を基本としながら、金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行などの外部からの資金も利用しております。外部からの資金調達につきましては、安定的かつ低利を前提としながら、将来の金融情勢の変化等も勘案してバランスのとれた調達を実施しております。なお、当社(提出会社)は機動的な資金調達および当社グループ全体の資金効率アップのため、金融機関11行と総額200億円のコミットメントライン契約を締結しております。調達した資金につきましては、経常設備投資および成長投資への支出と、財務安定性を維持(有利子負債コントロール)することにより基盤確保した上で、株主還元へ振り分けております。

 

 

5 【重要な契約等】

(提出会社)

当社が技術援助等を受けている契約

 

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

サンキストグローワーズ社

米国

清涼飲料水等

サンキスト商標の使用権の設定

1988年4月8日から
1997年3月31日まで
以後5年ごとの自動更新
2017年4月1日以後
3年ごとの自動更新

INTERCONTINENTAL GREAT BRANDS LLC (注)2

米国

チーズ等

技術提携

2019年4月1日から
2024年6月30日まで

Mondelez International AMEA Pte Ltd (注)3

シンガポール

チーズ等

輸入販売

2019年4月1日から
2024年6月30日まで

エカテラ・ジャパン・サービス株式会社 (注)4

日本

紅茶飲料等

リプトン商標の使用権の設定

2023年1月1日から

2024年12月31日まで

以後1年ごとの自動更新

KRAFT FOODS GROUP BRANDS LLC (注)5

米国

乳等を主原料とする食品等

技術提携

2022年9月1日から
2024年9月30日まで

LACTARIS HERITAGE DAIRY, INC (注)6

米国

チーズ

技術提携

2022年9月1日から

2024年9月30日まで

Lactaris Japan Co.,Ltd (注)7

日本

チーズ等

輸入販売

2023年2月1日から
2024年9月30日まで

 

(注)1 上記についてはロイヤリティとして、売上高の一定率を支払っております。

(注)2 2024年7月1日より下記内容での契約を締結しております。主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

INTERCONTINENTAL GREAT BRANDS LLC

米国

チーズ等

技術提携

2024年7月1日から
2029年3月31日まで

 

(注)3 2024年7月1日より下記内容での契約を締結しております。主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Mondelez International AMEA Pte Ltd

シンガポール

チーズ等

輸入販売

2024年7月1日から
2029年3月31日まで

 

(注)4 2024年1月1日に契約先が社名変更を行っております。主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

リプトン・ティーアンドインフュージョン・ジャパン・サービス株式会社

日本

紅茶飲料等

リプトン商標の使用権の設定

2023年1月1日から

2024年12月31日まで

以後1年ごとの自動更新

 

(注)5 2024年10月1日より下記内容での契約を締結しております。主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

KRAFT FOODS GROUP BRANDS LLC

米国

乳等を主原料とする食品等

技術提携

2022年9月1日から
2025年9月30日まで

 

(注)6 2024年10月1日より下記内容での契約を締結しております。主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

LACTARIS HERITAGE DAIRY, INC

米国

チーズ

技術提携

2024年10月1日から

2029年9月30日まで

 

(注)7 2024年10月1日より下記内容での契約を締結しております。主な契約内容に変更はありません。

契約先

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Lactaris Japan Co.,Ltd

日本

チーズ等

輸入販売

2024年10月1日から
2029年3月31日まで

 

 

 

6 【研究開発活動】

(1)研究方針

乳で培った技術を活かし、「おいしさ・楽しさ」「健康・栄養」「安全・安心」の面から研究開発に取り組むことで、サステナブルな社会の実現と世界中の人々の笑顔あふれる生活に貢献していくことをミッションとしています。

当社グループの研究開発体制は、以下のとおりです。

〔研究本部〕

◆ 研究企画部

研究本部における機能横断的部門として、研究開発の発展に必要な学術情報の収集発信、臨床試験支援、研究広報活動や庶務、設備メンテナンスなどの管理業務を行っています。

◆ 食品開発研究所

独自の製造技術やノウハウを活かして、「おいしさ・楽しさ」と「健康・栄養」の両立を目指した飲料やヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、デザート、ウェルネス食品、それらの品質を守る容器包装の研究開発に取り組んでいます。

◆健康栄養科学研究所

年代別、病態別に必要な栄養および健康に関する研究を行い、国内外向けの育児用ミルク、妊産婦向け食品、流動食、栄養補助食品など医療・介護施設向け食品の研究開発に取り組んでいます。

◆ 素材応用研究所

ビフィズス菌や乳酸菌、ラクトフェリン、ペプチド、ラクチュロースなどの機能性素材や乳糖、各種乳タンパク素材の開発、および製造・分析・評価などに関わる技術開発をしています。また、それらの素材を応用した高付加価値サプリメント製品の研究開発に取り組んでいます。

◆ 基礎研究所

ビフィズス菌や腸内フローラを中心に世界で通じる基礎研究を行い、プロバイオティクスやプレバイオティクス、ラクトフェリン、乳ペプチドなどの新たな機能性素材の探索から、新規機能性の発見、エビデンスの取得、健康との関連性について研究し、機能性表示食品などの開発に取り組んでいます。

◆ フードソリューション研究所

自社製品をどう活用できるか、お客さまの視点で味覚や食感を評価し、レシピを提案して、より良い商品づくりに繋げています。また、バターやクリーム、脱脂粉乳などの乳製品開発や豆腐を中心とした植物性食品の開発も行っています。

〔生産本部〕

 ◆ 技術開発部

商品を安全に効率よく生産し環境にも配慮する「生産技術(装置・システム)」の研究開発を行っています。「AI・IoT、ロボットなどの先端技術を応用した生産ラインの自働化・省人化」、「省エネ・水資源・廃棄物などの環境負荷低減への挑戦」、「ローコストオペレーション」、「高品質とおいしさの両立」などに取り組んでいます。

 

(2)研究開発費

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は6,183百万円であり、セグメント別には以下のとおりです。

食品

6,148

百万円

その他

34

6,183

 

 

(3)主な研究開発活動

流行を取り入れつつ、高級感、贅沢感、食感、風味、満足感といった嗜好性を重視した商品、当社独自の素材や技術を活かした“おいしさと健康・栄養”を兼ね備えた商品、他社とのコラボレーション商品を開発・発売すると共に、これらの商品群を支え、研究方針に掲げるミッションの達成を目指して研究開発活動をしてまいりました。

① 飲料

◆「マウントレーニア」シリーズ‥‥「カフェラッテ 無糖ラテ」(2025年4月発売)と「カフェラッテ メープル&ハニー~しあわせYELL」などの期間限定商品や「スペシャリティ エチオピアモカ100%」の数量限定商品

 

◆「リプトン」シリーズ‥‥「しあわせ咲くらミルクティー」などの期間限定商品

◆「森永トリプル」シリーズ‥‥機能性表示食品「森永トリプル BLACK」〔機能性関与成分「トリペプチドMKP」には収縮期血圧を下げる機能、機能性関与成分「難消化性デキストリン(食物繊維)」には糖や脂肪の吸収を抑えて食後血糖や血中中性脂肪の上昇をおだやかにする報告あり〕

◆機能性表示食品「森永マミー」‥‥機能性表示食品としてリニューアル〔機能性関与成分「ラクチュロース」にはビフィズス菌を増やし、腸内環境を整える報告あり〕

◆「毎朝爽快」シリーズ‥‥機能性表示食品「毎朝爽快スキンケア+アップル味」〔機能性関与成分「ラクチュロース」にはビフィズス菌を増やし腸内環境を整える報告あり〕(2025年4月発売)

◆「ビヒダス」シリーズ‥‥機能性表示食品「発酵酢ドリンク ざくろ味」「発酵酢ドリンク マスカット味」〔機能性関与成分「ビフィズス菌BB536」には大腸の腸内環境を改善し腸の調子を整える機能、機能性関与成分「酢酸」には日常生活で生じる運動(5~6METs)程度の疲労感の軽減と肥満気味の方のおなかの脂肪(内臓脂肪、腹部総脂肪)を減少させる機能の報告あり〕(2025年4月発売)

◆「inPROTEIN(インプロテイン)」シリーズ〔森永製菓株式会社(本社:東京都港区)とのコラボレーション〕‥‥「マスカット」(2025年4月発売)「ピーチ」「すっきりメロンオレ風味」「ベリーミックス風味」「抹茶風味」

◆「森永サプリメントウォーター」シリーズ(2025年4月発売)‥‥「鉄分 香るもも水」「マルチビタミン 香るレモン水」「コラーゲン 香るりんご水」

◆「森永ミルクキャラメルオ・レ」〔森永製菓株式会社(本社:東京都港区)とのコラボレーション〕

◆「サンキスト 100%パインアップル」

◆「管理栄養士推奨 肉専用レモン水」

 

② デザート

◆「森永の焼プリン 発酵バターキャラメル」

 

③ ヨーグルト

◆「ビヒダス」シリーズ‥‥機能性表示食品「便通改善 1日分の鉄分 ドリンクタイプ」〔機能性関与成分「ビフィズス菌BB536」には大腸の腸内環境を改善し腸の調子を整える機能、機能性関与成分「ラクチュロース」にはビフィズス菌を増やし腸内環境を整える報告あり〕(2025年4月発売)「もぐ盛り いちごとバナナ&オートミール」と「はちみつレモン風味 4ポット」などの期間限定商品

◆「ギリシャヨーグルト パルテノ」シリーズ‥‥「クリーミーバニラ味」と「マンゴー&パインソース入」の期間限定商品

◆「森永アロエヨーグルト」シリーズ‥‥機能性表示食品「W」〔機能性関与成分「イヌリン(食物繊維)」は肌の保湿力を高める機能や腸内環境を改善する機能の報告あり〕「森永アロエ&ヨーグルト つぶ数3倍」(2025年4月発売)

◆「森永マミー のむヨーグルト ピーチ風味」

 

④ アイスクリーム

◆「ピノ」シリーズ‥‥「ザッハトルテ」などの期間限定商品と「沼いちご」などの数量限定商品

◆「PARM(パルム)」シリーズ‥‥「ダブルチョコ クレイジーナッツ&ノワールショコラ(1本入り)」と「カフェラテ(6本入り」などの期間限定商品

◆「MOW(モウ)」シリーズ‥‥「華やぐジャスミンミルクティー」などの期間限定商品や「リッチチョコ&ミルク」などの数量限定商品

◆「MOW PRIME(モウ プライム)」シリーズ‥‥「クッキー&チョコクリーム」などの期間限定商品

◆「あずきモナカ」シリーズ‥‥「抹茶あずきモナカ」

◆「森永 れん乳氷 塩キャラメル」

◆「リプトン」監修シリーズ‥‥「ミルクティーバー」と数量限定商品として「れん乳ミルクティーバー」など

◆「Variche(バリッチェ)」シリーズ‥‥「チョコ&バニラ」「チョコ&ストロベリー」の地域限定商品

 

⑤ チーズ

◆「クラフト フレッシュモッツァレラ」シリーズ‥‥「瀬戸内レモン&ハーブモッツァレラ」(2025年4月発売)

◆「クラフト 小さなチーズケーキ」シリーズ‥‥「森永ミルクキャラメル味」などの数量限定商品

◆「クラフト グリルチーズ」

◆「フィラデルフィア」シリーズ‥‥「デザート6P クリームチーズと2種のドライフルーツ&ナッツ」と「デザート6P クリームチーズと2種の柑橘ピール&ナッツ」の期間限定商品

 

⑥ 育児用食品

◆「森永 はじめてのベビーフード」シリーズ‥‥「緑黄色野菜とさつまいも」「ぶどうとりんご」「りんごとかぼちゃ」

◆「森永 オーガニックのベビーフード」シリーズ‥‥「りんごとにんじん」「にんじんとぶどう」

 

⑦ 妊娠・授乳期のママ用食品

◆「森永はぐくみカフェ」シリーズ(育児用ミルクブランド「森永はぐくみ」シリーズの新展開粉末飲料)‥‥「ミルクティー風味」「カフェオレ風味」「抹茶ミルク風味」

◆「森永はぐくみサプリ」シリーズ(ママ用サプリメント)‥‥「ママのビフィズス菌」

 

⑧ ヘルスケア・健康食品

◆「森永 クリアDHA」(通販限定商品)

◆機能性表示食品「スッキリオリゴ」‥‥機能性表示食品として新発売〔機能性関与成分「ラクチュロース」にはビフィズス菌を増やし、腸内環境を整える報告あり〕(2025年4月発売)

 

⑨ 生産技術開発

工場内の衛生レベルの維持向上を目的に、微酸性次亜塩素酸水生成装置「PURESTER(ピュアスター)」を開発し、自社・関係会社の工場で使用し品質確保に役立てています。社外に向けては、工業向けの「PURESTER」シリーズを1996年より販売しています。食品添加物の殺菌料の指定を受け(2002年)、活用用途がますます拡大しています。

◆シリーズ史上最小型の「コンパクトピュアスターCP-180」を開発し、大型スペースが確保できない福祉施設、介護施設、保育園などにもお使いいただけるようになりました

 

⑩ 学術・研究

〔ビフィズス菌関連〕

◆京都大学と産学共同講座「ヒト常在性ビフィズス菌(HRB)研究講座で実施した研究において、ヒトにすむ種類のビフィズス菌が、有害物質の前駆体を有益な物質へ変換することを確認した研究成果が、科学雑誌『Gut Microbes』に2024年5月5日掲載されました(論文名:Human gut-associated Bifidobacterium species salvage exogenous indole, a uremic toxin precursor, to synthesize indole-3-lactic acid via tryptophan)。

◆京都大学と産学共同講座「ヒト常在性ビフィズス菌(HRB)研究講座で実施した研究において、潜在的に病原性を示す可能性がある悪玉菌の一種Clostridium perfringens(ウェルシュ菌)が母乳に含まれるヒトミルク由来オリゴ糖(HMO)の一種である2’-フコシルラクトース(2’-FL)を利用し増殖すること、この増殖を一部のビフィズス菌が抑制することを明らかにした研究成果が、科学雑誌『Gut Microbes』に2025年3月18日に掲載されました(論文名:In vitro competition with Bifidobacterium strains impairs potentially pathogenic growth of Clostridium perfringens on 2′-fucosyllactose)。

◆乳製品中のビフィズス菌数をより安定的に測定することを目的に、当社が主導して国際標準法の改定に取り組み、新たなビフィズス菌数測定法改定案が国際規格に採択・発行されました。

◆森永乳業/宮城学院女子大学/ヨークベニマル/魚国総本社/宮城県100名以上の地元学生のアイデアから選ばれた「ビヒダスプレーンヨーグルトと地元食材を使用したレシピ」を店頭や宮城県の県庁食堂メニューなどを通じ2025年春より順次発信。

〔ラクトフェリン関連〕

◆和歌山県立医科大学との共同研究により、ラクトフェリンがプラズマサイトイド樹状細胞に作用して免疫を調節するメカニズムを確認した研究成果が、科学雑誌『International Journal of Molecular Sciences』に 2024年12月13日に掲載されました(論文名:Bovine lactoferrin enhances Toll-like receptor 7 response in plasmacytoid dendritic cells and modulates cellular immunity.)。

◆日本初の「のど」を部位として表示する「健康な人の、空気の乾燥に伴う一時的なのどの乾燥感を軽減する機能」で、ラクトフェリンを機能性関与成分とする機能性表示食品の届出が、2024年6月24日に消費者庁に受理されました。

〔健康関連〕

◆地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターとの共同研究において、高齢者のたんぱく質摂取量と血中アルブミン酸化還元バランスとの間に関連があり、血中アルブミン酸化還元バランスが高齢者の低たんぱく質栄養状態を反映する指標となり、新しい健康の「ものさし」となる可能性が示された研究成果が、科学雑誌『Clinical Nutrition ESPEN』に2024年6月22日に掲載されました(論文名:Serum albumin redox state as an indicator of dietary protein intake among community-dwelling older adults.)。

◆当社と包括連携協定を締結している長野県松本市において松本市立病院、松本ヘルス・ラボとの産官連携で実施したトリペプチドMKPの摂取によって血圧が高めの方の収縮期血圧だけでなく、拡張期血圧も下げることが明らかとなった研究成果が、科学雑誌『Nutrients』に掲載されました(論文名:Effects of Casein-derived Peptide Met-Lys-Pro on Systolic and Diastolic Blood Pressure: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Parallel-Group Study)。

◆インドネシア行政機関と「生物遺伝資源を用いた共同臨床研究」に関する基本合意文書を締結しました。共同臨床研究を通じてインドネシアにおける乳幼児の健やかな成長に貢献します。

◆当社と株式会社ファンケル(本社:神奈川県横浜市中区)は、両社製品を使ったコラボレシピを共同開発しました。

 

⑪ 表彰

◆「PURESU(ピュレス) 発酵酢 ドリンク」が「国際女性デー表彰式HAPPY WOMAN AWARD 2025 for SDGs」にて企業部門「女性応援ブランド賞」を受賞しました。