第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援等にも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。

その基盤として、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」のさらなる充実と、2016年1月に特定した「CSRの5つの重要課題(安全・安心な食品づくり、食とスポーツで心と体の元気を応援、従業員が生き生きと活躍できる職場、将来世代の食の確保、地球環境の保全)」への取組みを推進してまいります。当社グループがこれらについての取組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値を高めることにつながると考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2018年4月よりスタートした「中期経営計画2020」(2018年4月1日~2021年3月31日)の最終年度において、連結売上高1兆4,100億円、事業利益560億円、売上高事業利益率4.0%、ROE7.0%以上の目標を掲げており、次期(2021年3月期)がその最終年度となります。

次期の売上高につきましては、「中期経営計画2020」策定時の想定よりも食肉相場が軟調であることや、新型コロナウイルス感染症拡大による業務用商品や海外売上高への影響を踏まえ、1兆2,000億円へと修正しております。一方、事業利益につきましても、食肉相場や飼料価格の動向に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響などを勘案し、340億円へと修正しております。結果、売上高事業利益率は2.8%へ修正しております。

また、ROEにつきましては、事業利益の修正を主因として、親会社の所有者に帰属する当期利益を「中期経営計画2020」で計画した350億円から200億円に修正したことから、4.9%を見込んでおります。

(注) 1 当社グループは、事業活動を通じて獲得する利益をより明確に示すことを目的として、従来の営業利益に替えて、事業利益(売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益、国際会計基準(IFRS)への調整及び非経常項目を調整して算出)を指標とすることと致しました。

     2 「中期経営計画2020」並びにその見直し・修正計画等(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性等を含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、2018年4月に「未来につなげる仕組み作り」をテーマとした「中期経営計画2020」を策定いたしました。

今後の経営環境を見通すと、国内においては消費税率の引き上げ、TPP11・日欧EPA等の自由貿易の進展による輸入関税の撤廃・大幅引き下げとそれによる国内第一次産業への影響、高齢化と人口の減少、流通チャネルの変化等、国外においては新興国の経済成長や人口増加による購買力の向上と需給バランスの変化、気候変動による飼料価格の上昇等、当社グループに多大な影響を及ぼす環境の変化が予想されます。

このような環境下において、2018年4月よりスタートいたしました「中期経営計画2020」は、大きく変化し続ける国内外の社会環境の中で、当社グループが将来にわたり事業を継続するため、また、持続可能な社会の実現に向け、食と健康の面から貢献するために、長期的視点に立ち経営方針を策定しました。その実現のために、各事業本部の方針はグループ全体の経営方針と有機的にリンクするものとし、これを支えるための仕組みとして、グループ横断型の機能戦略を実行してまいります。そして、環境、戦略が変化しても変わることのない経営の基盤として、引き続き「品質No.1経営」を推進し、商品の品質だけでなく経営、人財の品質をさらに高め、またコーポレート・ガバナンスを継続的に強化してまいります。これらの取組みを当社グループが一丸となり推進し、未来につなげるための企業変革を持続的に行ってまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響により、ライフスタイル・食のスタイルが大きく変化しています。また、新型コロナウイルス収束後は、新たな生活様式への移行とともに節約志向が高まる一方で、豊かな食が求められることも想定されます。

当社グループは、感染拡大の防止と従業員の安全への配慮を大前提として、安全・安心な食の安定供給を通じて健康やQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に貢献することで、食のメーカーとしての使命を果たしていきます。当社グループの強みは、生産から販売までを自社で行うインテグレーションシステムによる迅速な供給体制をはじめ、グローバルな調達体制、また、免疫力を維持・向上させる栄養源やタンパク質を中心とした多様な食品群などにあります。事業環境が変化する中、こういった強みを活かしながら、感染拡大以降のeコマースの拡大、ストック需要の増加、まとめ買い、内食需要の増加、栄養バランスのとれた食事への関心の高まりなどに応えていきます。

 

〈経営方針〉

①既存事業の効率化による収益力の強化

当社グループの事業・商品、販売チャネル・エリア、またバリューチェーンについて、中長期かつ全社的な視点で、強化していく領域、新たに取り組む領域、また収益が厳しい領域への対応を検討し、実行してまいります。

②消費者との対話を通じた価値の創造

当社グループが提供する商品・サービスを通して、より良い社会の実現と収益力の向上を目指すために、消費者理解を進め、これを根幹に据えた消費者の価値に繋がる事業活動を実践してまいります。

③食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成

将来想定される社会環境の変化を把握し、新たな商品カテゴリーの展開、生産効率向上のための技術開発、将来必要となる技術の基礎研究等を進め、当社グループの強みとして確立してまいります。

④海外市場展開のギア・チェンジ

当社グループとして、日本を含むグローバルの視点でマーケットを捉え、国内外の事業本部間の協業をベースにグローバル展開を進めてまいります。

⑤ 持続可能性(サステナビリティ)の追求

CSRを「社会と企業の持続的な繁栄に向けた経営そのもの」として捉え、当社グループが特定した「CSRの5つの重要課題」を軸に、事業を通じた社会課題の解決を推進してまいります。

 

〈機能戦略〉

①戦略性・実効性の高い経営を実現する仕組みの強化

社会環境の変化を捉え、全社俯瞰の視点から、戦略性・実効性の高い経営を実現する仕組みを強化します。また、経営機能の透明性、適切性を高めてまいります。

②事業の持続可能性を高める仕組みの強化

将来を見据えた設備投資や技術を高めるための投資とともに、人的資本への投資、人員構成の最適化を図ります。また、事業拡大のために国際基準やグローバル化に適用する品質保証体制を確立するほか、様々なお取引先とのネットワークを拡大します。成長戦略を支えるための、財務戦略、資本戦略の高度化も図ってまいります。

③企業価値最大化のための情報発信の仕組みの強化

当社グループのブランド価値を高めるとともに、事業活動や取組みについて、ステークホルダーの皆様により理解していただくための情報発信、コミュニケーション機能を強化し、企業価値の向上につなげてまいります。

 


 

(注)2020年4月より関連企業本部を乳製品・水産事業部に名称変更し、加工事業本部に統合しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、特段の断りがない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクマネジメントに関する体制

当社は、リスクマネジメントに関する基本方針や管理体制の概要を定める「リスクマネジメント規程」に基づき、代表取締役社長を最高責任者とするリスクマネジメント体制を採用しております。代表取締役社長は、当社グループにおけるリスクマネジメントに関する課題及び対応策を協議する機関として「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会は各種リスクの識別、評価、重点リスクの特定及び対応方針の検討などに務めております。各事業部門及び各部署は、同委員会の方針を踏まえ、自らの事業領域及び職掌に関するリスクの統制活動を実施しており、これらの結果は同委員会を通じて取締役会に報告されます。また、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼす可能性のある事象が発生した際には、想定される影響度に応じた対策機関を組成し、迅速かつ適切な対応に務めております。

なお、以下に記載するリスクの全てを上記の枠組みで管理しているわけではなく、日常的な事業活動から生じる商品市況リスクへの対処は各事業部門、財務リスクへの対処は経理財務部及び関係する各事業部門が実施しております。

(2) 事業遂行上のリスク

① 商品市況リスク

当社グループは食肉及び食肉関連加工品を中心に取り扱っており、販売用食肉はもとより、ハム・ソーセージ、加工食品等の原材料にも食肉が使用されているため、畜産物の相場変動によるリスクがあります。さらに、これらの食肉を供給する国内及び海外の生産飼育事業においては、商品市況はもちろん、飼料価格や原油価格の変動にも影響を受けることとなります。また、当社グループが取り扱う水産物や乳製品についても、商品市況や原材料の価格変動リスク等があります。上記に加えて、家畜の疾病(BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢、豚熱、アフリカ豚熱等)の発生やセーフガード(緊急輸入制限措置)が発動された場合等には、畜産市場全体並びに当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

これらの価格変動リスクは、需給動向や景気の変動など、当社グループにとって制御不能な要因が大きく、正負両面において常時顕在化していきます。想定を超える負の影響を可能な限り軽減するため、商品及び原材料調達ルートの分散化、高付加価値商品の開発やブランド化、お客様視点のマーケティング戦略の確立等に努めており、商品需要の変動を見越した安定的な原材料の確保、生産飼育事業における防疫体制の強化、食肉の適正在庫水準の維持等にも取り組んでおりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。

② 安全性のリスク

当社グループは食肉及び食肉関連加工品を中心とする食品を取り扱っており、異物混入や不適切な表示に起因する商品の品質や安全性の毀損により、回収費用や損害賠償及び事業活動の制約などが生じ、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

こうしたリスクを可能な限り予防及び軽減するため、当社グループは「OPEN品質」~開かれた食品づくり~を推進し、お客様の期待と信頼に応えることを基本とし、グループの品質方針として「法令の遵守」、「品質保証ネットワーク」、「客観的評価」、「履歴管理」及び「お客様とのつながり」を定めています。この方針に従い、外部認証(ISO、HACCP等)の取得や、食肉をはじめハム・ソーセージ、加工食品に使用する原材料のトレーサビリティーシステムを構築して原材料からの安全・安心の確保に取り組むほか、フードディフェンスの強化等、厳しい品質保証体制を構築しており、品質向上の取組みを一層強化し、安全性の確保に努めております。また、万が一当社グループが提供する商品等に問題が発生した場合は、速やかな情報開示と拡大防止策の徹底等、お客様の安全を第一に考えた対応を行い、レピュテーションリスクの軽減を図ります。

しかしながら、これらの取組みを超えた事象や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合など、当該リスクが顕在化する可能性の程度、時期及び影響度を予見することは困難であり、完全に回避できる保証はありません。

 

③ 自然災害や突発的事故及び社会的な制度等のリスク

当社グループは本邦を含む世界各国において事業活動を行っております。これらの事業活動地域においては、次の事象の発生リスクがあります。これらの事象が発生した場合には、事業活動の停止や物流網の分断などにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、自然災害や突発的事故に備え、事業継続計画(BCP)、防災マニュアル及び従業員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害を完全に排除できる保証はありません。

・地震、洪水等の大規模な自然災害の発生及びそれらに起因する道路・港湾・鉄道等の社会的な基盤の損壊、ガス・水道・電気等の供給不能又は供給逼迫

・突発的な事故の発生等予期しない原因による、大気、水質、土壌等の環境汚染

・インフルエンザ等の感染性疾病の流行等による社会的混乱

・予期しない法律又は諸規制の設定又は改廃

・予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生

・戦争、紛争、テロ等の発生による社会的又は経済的混乱

(提出日現在における新型コロナウイルス感染症への対応及び今後の影響について)

当社グループは各事業活動地域における法令及び要請を遵守・尊重し、従業員の安全確保に努めながら食品企業としての社会的責任を果たすべく事業を遂行しております。一時的には、外食需要の落ち込みや食肉調達の不安定化に加え、プロ野球公式試合数の減少などにより収益面に負の影響が生じる可能性がありますが、内食及びストック需要の拡大など、消費・生活スタイルの変化への対応を強化してまいります。

しかしながら、当該感染症の収束及び社会・経済活動の正常化までの期間が長期化したり、更なる感染拡大が生じて社会的・経済的混乱が進行した場合、売上高の減少や取引先の信用不安などにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

(3) 財務リスク

① 為替リスク

当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替相場の変動の影響を受ける場合があり、正負両面において常時顕在化していきます。為替相場の変動により外貨建取引から発生する将来のキャッシュ・フローが変動するリスクを軽減するため、先物外国為替契約などのデリバティブを用いたヘッジ取引を利用しておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。また、当該リスクを軽減するためのヘッジ取引についても、想定した範囲を超えて為替相場が変動した場合には、機会損失等の別のリスクが発生する可能性があります。

なお、当社グループはこれらの外貨建取引に係るリスクヘッジを行うための「為替リスク管理規程」を定め、為替相場を継続的に監視し、為替相場の変動リスクを定期的に評価しております。先物外国為替契約など、デリバティブを用いた全てのヘッジ取引は、当該「為替リスク管理規程」、取引権限及び取引限度額を定めた社内規程に基づいて行われております。

また、外貨建で作成されている海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する際の換算差額によって、連結財務諸表の親会社の所有者に帰属する持分が在外営業活動体の換算差額を通じて変動するリスクがあり、その他の包括利益を通じて当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

② 金利リスク

当社グループは、必要資金の大部分を外部からの借入金等の有利子負債により調達しております。2020年3月末時点での有利子負債額約1,765億円の大部分は固定金利であり、金利上昇による直接的な影響については当面軽微であると判断されますが、将来的な金利上昇局面においては資金調達における利息負担の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

③ 株価リスク

当社グループは取引関係の維持及び強化を目的として市場性のある資本性金融資産を保有しており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。これらは市場価格の変動に基づく株価の下落リスクがあり、2020年3月末時点の帳簿価額は約207億円で、全体として含み益の状態となっておりますが、今後の株価動向によっては、その他の包括利益を通じて当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

また、株式市場の低迷によって当社グループの制度資産の価値に毀損が生じた場合には、退職給付費用の増加や追加的な制度資産の積み増しが必要となる可能性があります。

④ 非流動資産の減損損失リスク

当社グループが保有する非流動資産の価値が収益性の低下や経済情勢等の変化により下落した場合には、必要な減損処理を実施することになります。2020年3月末時点における有形固定資産、使用権資産、無形資産及びのれん、その他の非流動資産に含まれる投資不動産、持分法で会計処理されている投資に含まれる持分法によるのれん等の帳簿価額の合計は約3,374億円で、減損処理を実施した金額はその他の費用及び持分法による投資損失に計上され、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

(4) その他のリスク

① 情報漏洩リスク

当社グループは「個人情報管理規程」、「日本ハムグループ内部者取引管理規程」を設け、当社グループ役職員に対して、保有する個人情報や当社グループの重要情報の保護・管理を義務付け、コンプライアンス研修や階層別従業員教育等を通じ、厳正な情報管理に努めております。併せて情報システム上のセキュリティ対策や災害対策等も講じております。

しかしながら、想定の範囲を超えるような自然災害、長期に渡る停電、ハードウエア・ソフトウエアの重大な欠陥、コンピュータウイルスの感染や不正アクセス等による情報の漏洩・改ざん・消失、長期にわたる情報システムの停止あるいは混乱等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

② コンプライアンスのリスク

当社グループは、透明性のある誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおります。この取組みにおいては、当社の代表取締役社長が指名した役員をコンプライアンス委員会委員長として当社グループ全体を統括し、当社コンプライアンス部が当社グループ全役職員のコンプライアンス意識を高める施策を継続的に行うとともに、リスクを認識した場合には迅速に対応する体制を整えております。

しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰等や社会的制裁を受けることによりグループブランドの失墜を招き、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

③ 環境問題のリスク

当社は、サステナビリティの取組みについて総合的に検討し、取締役会に対し報告または提言する機関として、当社の代表取締役社長が指名する役員及び社外有識者からなる「サステナビリティ委員会」を設置しております。環境問題については、「CSRの5つの重要課題」の一つとして「地球環境の保全」を掲げ、持続可能な社会の実現に向けて環境と調和の取れた企業活動を推進すべく、CO2排出量や用水使用量などの環境パフォーマンスに関する数値目標を設定して環境負荷の低減に努めております。また、環境に関する外部認証(ISO14001)や外部機関からの適正性評価の取得に積極的に取り組むとともに、当社サステナビリティ部による環境内部監査を実施しております。

とりわけ、気候変動や水資源に関するリスクは、生産飼育事業や食品製造を営む当社グループにとって重要なリスクと認識しており、LED照明やハイブリッド車への転換を推進してCO2排出量の削減に取り組んでいるほか、水リスクに関する調査・評価及び対策検討を進めております。

しかしながら、干ばつや豪雨などの異常気象による生産飼育事業の不安定化、水質悪化や渇水による生産・製造活動の停滞、事故・過失等による環境汚染やそれに対する原状復帰、損害賠償責任の発生、あるいは関係法令の改正による環境投資が大幅に増加した場合等においては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

なお、2020年6月、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDコンソーシアムに加入しました。今後、気候変動が事業に与える影響を分析し、リスク及び機会の抽出・対応を講じるとともに具体的な開示を行い、持続可能な社会の構築に向けて取り組んでまいります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

  当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりです。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用情勢や所得環境の改善が続き、個人消費の持ち直しや設備投資が穏やかに増加するなど、景気は緩やかに回復してきたものの、新型コロナウイルス感染症の影響により、足下で大幅に下押しされ、厳しい状況に転じました。

当業界におきましては、一部原材料価格の上昇や、人手不足を背景とした人件費、物流費の上昇、販売競争の激化、国内外における家畜の疾病など、引き続き厳しい経営環境が続きました。

このような中、当社グループは、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」「消費者との対話を通じた価値の創造」「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」「海外市場展開のギア・チェンジ」「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。具体的施策としては、国内においては、国内ファーム事業の強化、前期に稼動を開始した食肉加工品製造工場やヨーグルト・乳酸菌飲料製造工場での増産、人財の育成やリスク管理の徹底などに取り組みました。海外においては、オーストラリアにおける牛肉事業の収益性改善に引き続き努めました。また、経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比0.4%減の1,229,826百万円となりました。事業利益は対前年同期比14.3%増の43,772百万円、税引前当期利益は当第2四半期連結会計期間において、2018年10月31日開催の取締役会で決議された選択定年制度の拡充に基づく募集を実施したことに伴う特例加算金等8,472百万円を計上したことなどにより対前年同期比10.7%減の27,039百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比1.8%減の19,214百万円となりました。

 

(注) 当社グループは、事業活動を通じて獲得する利益をより明確に示すことを目的として、従来の営業利益に替えて、事業利益(売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益、国際会計基準(IFRS)への調整及び非経常項目を調整して算出)を指標とすることと致しました。

 

セグメントごとの経営成績は、以下のとおりです。

 

〔加工事業本部〕

ハム・ソーセージ部門においては、コンシューマ商品では、主力の「シャウエッセン」において、積極的な拡販に加え、Webを活用したプロモーションを実施したことにより好調に推移し、売上げは前年を上回りました。ギフト商戦では、旗艦ブランドである「美ノ国」を中心に店頭販促を強化しましたが、歳暮市場全体の落込みなどの影響により、売上げは前年を下回りました。業務用商品では、大手外食チャネル向けの売上げが減少しましたが、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは前年を上回りました。

加工食品部門においては、コンシューマ商品では、主力のピザ群は新たな価格帯の新商品を投入したことにより堅調に推移したことに加え、店頭での積極的な販促活動を行ったハンバーグ群や「チキンナゲット」などのプリフライ群も好調に推移し、売上げは前年を上回りました。業務用商品では、惣菜・中食チェーン向けの売上げが減少したことにより、加工食品部門全体の売上げは前年を下回りました。

利益につきましては、主力ブランド商品の伸長による単価上昇で粗利益率が改善したことに加え、間接経費の見直しや、製造部門における機械化、省人化の取組みなどにより、増益となりました。

以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比0.2%増の353,781百万円、事業利益は対前年同期比45.7%増の11,357百万円となりました。

 

 

〔食肉事業本部〕

食肉事業においては、国産鶏肉「桜姫」、国産豚肉「麦小町」などの当社ブランド食肉について、SNSを活用した情報発信を行うとともに、北海道日本ハムファイターズやセレッソ大阪のイベントに販売ブースを出店するなど、商品を実際に購買いただくためのアプローチを行いました。各地の量販店においても、3~5月の桜前線と連動したキャンペーンを行い、消費者の皆様とのコミュニケーション強化に努めました。また、量販店、外食店、CVSチャネル向けに、ニーズに沿った提案営業、グループ一体となった協働商談を重点的に行いました。その結果、国産牛肉・輸入豚肉・輸入鶏肉の販売増加などにより、売上げは増加しました。

利益につきましては、生産部門では、新農場稼働による生産数量の増加や、最新設備導入による処理能力の向上などに努めましたが、国産鶏肉の相場下落、豚の生産コストの増加による影響があり、減益となりました。販売部門では、ブランド食肉の販売強化や、抗生物質不使用の豚肉・鶏肉等の高付加価値商品の販売、カナダ産牛肉・豚肉の新規提案などを行いましたが、国産鶏肉の相場下落、暖冬による鍋物需要の減少、物流コストの上昇などの影響もあり、全体で減益となりました。

以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比2.0%増の771,844百万円、事業利益は対前年同期比8.3%減の32,773百万円となりました。

 

〔関連企業本部〕

水産部門においては、年末商戦で販売を強化したカニや、年間を通して拡販に努めたエビは伸長しましたが、相場が下落したマグロや魚卵の売上げが減少し、また、構造改革の一環で着手した不採算アイテムの整理による影響などもあり、売上げは前年を下回りました。

乳製品部門においては、ヨーグルト・乳酸菌飲料では、スムージーを中心とした乳酸菌飲料の販売は苦戦しましたが、主力の「バニラヨーグルト」が堅調に推移したほか、CVSチェーン向け新商品の投入や、ドリンクタイプのヨーグルトが伸長したことなどにより、売上げは前年を上回りました。チーズでは、CVSチェーンのデザート向け商品の販売が伸長したほか、量販店を中心にベビーチーズの拡販に努めたことや、スモークチーズの販売が伸長したことなどにより、売上げは前年を上回りました。

利益につきましては、水産部門では、主力のエビやカニなどの利益率の改善により粗利益が増加し、前年を上回りました。乳製品部門では、ヨーグルト・乳酸菌飲料は、売上げの伸長による粗利益の増加に加え、高崎工場の本格稼動による生産性の改善により、前年を上回りました。チーズは、売上げの伸長による粗利益の増加により、前年を上回りました。

以上の結果、当期の関連企業本部の売上高は対前年同期比7.8%減の142,908百万円、事業利益は対前年同期比148.3%増の1,095百万円となりました。

 

〔海外事業本部〕

売上高につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの販売数量減少が続いたことや、中国、ベトナムでの第4四半期における新型コロナウイルス感染症による外食産業の落ち込みが激しく、前年を下回りました。米州事業では、米国での豚肉輸出数量や加工食品製造及び販売数量の増加に加えて、チリでの豚肉輸出数量の増加により、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアでの牛集荷頭数が減少したものの、販売価格高の上昇で前年並みを維持し、ウルグアイの中国向け牛肉販売価格も大きく上昇しましたが、為替相場の影響もあり、前年より微減となりました。

利益につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの生産性改善が進んだことや、トルコでの販売単価上昇により、前年を上回りました。米州事業では、米国やチリでの豚肉調達価格の安定と輸出数量増加、加工食品製造における生産性改善や広告宣伝費の見直しにより、前年を上回りました。豪州事業では、前期から取り組んだ改善プロジェクトの定着、牛集荷価格の安定、中国を中心とした販売価格高により、前年を大きく上回りました。

以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比0.1%減の254,987百万円、事業利益は1,849百万円(前期は3,753百万円の事業損失)となりました。

 

 

地域別売上高の状況は以下のとおりです。

① 日本

日本では、食肉の販売数量は増加しましたが、加工食品及び水産物の販売数量が減少したため、日本での売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比0.5%減の1,100,512百万円となりました。

② その他の地域

その他の地域では、主に食肉の販売数量が増加したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比0.9%増の129,314百万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比3.7%増の768,861百万円となりました。資産の部では、現金及び現金同等物が前年同期末比50.5%増の72,399百万円となりましたが、営業債権及びその他の債権が前年同期末比15.0%減の130,213百万円、生物資産が前年同期末比17.9%減の21,335百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比0.7%減の355,751百万円となりました。非流動資産は当連結会計年度より適用したIFRS第16号「リース」(以下、「IFRS第16号」)による使用権資産の計上などにより前年同期末比7.8%増の413,110百万円となりました。

負債につきましては、営業債務及びその他の債務が前年同期末比10.6%減の99,802百万円となりましたが、前述の使用権資産の計上に伴うリース負債の増加により有利子負債が前年同期末比20.1%増の176,493百万円となったことなどにより、前年同期末比4.8%増の352,264百万円となりました。

親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が7,084百万円増加したことなどにより、前年同期末比0.8%増の404,414百万円となりました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は1.5ポイント減の52.6%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ24,291百万円増加し、72,399百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 65,464百万円の純キャッシュ増

営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債務及びその他の債務の減少10,964百万円、法人所得税の支払額9,339百万円などがありましたが、税引前当期利益27,039百万円、減価償却費及び償却費33,336百万円などにより、65,464百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、30,844百万円の純キャッシュ増)。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 36,728百万円の純キャッシュ減

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得36,898百万円などにより、36,728百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、45,110百万円の純キャッシュ減)。

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 3,077百万円の純キャッシュ減

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務による調達38,714百万円、非支配持分からの出資8,563百万円などがありましたが、現金配当9,271百万円、借入債務の返済39,019百万円などにより、3,077百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、2,932百万円の純キャッシュ増)。

 

③生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績(製造原価ベース)

区分

当連結会計年度
(自 2019年4月1日
  至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

ハム・ソーセージ(百万円)

102,645

105.6%

加 工 食 品(百万円)

172,629

93.3%

 

(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。

 

 

b. 受注実績

当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

   販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。

なお、重要な会計方針及び見積りの内容及び新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、2018年4月より「中期経営計画2020~未来につなげる仕組み作り~」をスタートさせました。この中期経営計画では、①既存事業の効率化による収益力の強化、②消費者との対話を通じた価値の創造、③食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成、④海外市場展開のギア・チェンジ、⑤持続可能性(サステナビリティ)の追求の5つの経営方針を推進しています。

 

「中期経営計画2020」の2年目となる2020年3月期は、一部の原材料価格の上昇をはじめ、人手不足を背景とした人件費や物流費の上昇、販売競争の激化、国内外における家畜の疾病などに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で食を取り巻く環境が激変しました。当社グループは「中期経営計画2020」の最優先課題として「既存事業の効率化による収益力の強化」及び「海外市場展開のためのギア・チェンジ」に向けて継続して注力しましたが、売上高1兆2,298億円、事業利益438億円、事業利益率は3.6%、ROEは4.8%となりました。

加工事業本部は、ブランド戦略、利益重視の販売戦略、商品構成や生産性の改善などに加え、原料価格が想定内で推移したことから増益、食肉事業本部は、生産性改善、ブランド食肉の育成については手応えがあったものの、国産鶏肉における想定以上の相場下落や災害による鶏舎の損壊、また、ASFなどの疾病によって豚肉市況が不安定であったことなどから減益、関連企業本部は、水産の仕入れ改善や乳製品の価格改定などにより、収支が改善したことから増益、海外事業本部は、豪州事業における内部改善活動及び外部環境の好転、米州事業における加工事業の改善などにより増益となりました。

 

「中期経営計画2020」最終年度(2021年3月期)の目標とする経営指標としては、連結売上高1兆2,000億円、事業利益340億円、売上高事業利益率2.8%、ROE4.9%を目標として掲げております。なお、2020年3月期から事業活動を通じて得られる利益をより明確に示すため、従来の営業利益からIFRSへの調整項目等を除いた「事業利益」へ指標を変更しております。(詳細については1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(2)目標とする経営指標をご参照ください。)

 

 

セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。

〔加工事業本部〕

加工事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により業務用商品を中心に引き続き厳しい環境が続くことが予想されます。このような状況下、乳製品、水産事業の強化、及び事業領域を明確にするために、2020年4月より「関連企業本部」を「乳製品・水産事業部」に名称変更し、加工事業本部に統合しました。関連企業本部の独自性と、加工事業本部が持つ量販店、CVS、外食、中食などのチャネルに対する商品開発力や営業力を融合し、シナジーを創出してまいります。さらには、食肉加工品、調理食品などの製造体制の最適化を図るために、2020年4月より食肉事業本部の食肉加工品・エキス製造販売会社を、加工事業本部に移管しました。加工事業本部の製造効率を高めるとともに、お客様に提供可能な商品のバリエーションを拡充し、営業力も高めてまいります。

〔食肉事業本部〕

食肉事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、国内における家畜の疾病、異常気象による生体価格や飼料価格の変動、自由貿易の進展や新興国の需要増加など、国内外における食肉の需給バランスが目まぐるしく変化していくと予想しています。このような状況下、国内生産部門では、「桜姫」「麦小町」「黒樺牛」などの収益向上につながる商品開発、ブランド育成の強化により相場変動の影響を最小化するとともに、「スマート養豚プロジェクト」など農場における様々な生産性向上策や疾病対策によりコスト競争力を強化してまいります。輸入部門では、差別化商品のラインナップ拡充、取扱い産地や仕入先の拡大により安定調達力を高めてまいります。物流・販売部門では、引き続き業務効率化や既存チャネルへの取組みを継続するとともに、成長チャネルへのアプローチを強化することで国内販売シェアを高めてまいります。

〔海外事業本部〕

海外事業本部につきましては、既存事業の収益確保を確実なものとするため、グループにおけるバリューチェーンを強固にしてまいります。日本向け原料調達機能の強化はもとより、各エリアにおける収益の安定確保を目指した進出国でのシェア拡大と、当社グループ各社の連携による第三国向けの販路拡大を進めてまいります。販売拡大に向けて日本国内で培った商品開発力や品質管理手法など、グループの総合力を各エリアにおいて発揮し、幅広い商品やサービスの提供に繋げてまいります。さらに、中長期的な視点から製造・販売拠点を強化、拡充するとともに、継続して進出国の法令に対応したガバナンスの強化に注力してまいります。

 

新型コロナウイルス感染症拡大による今後の影響につきましては「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」 及び 「第2事業の状況 2事業等のリスク ③自然災害や突発事故及び社会的な制度等のリスク」に記載しております。

 

以上のように当社グループを取り巻く環境は大変厳しく、課題も山積しておりますが、「中期経営計画2020」で掲げた「未来につなげる仕組み作り」のテーマの下、グループ連携による相乗効果を最大限に発揮し取り組んでまいります。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2020」にて掲げた5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギア・チェンジ」、「持続可能性(サステナビリティ)の追求」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。

資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

当該事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの事業を支える基盤研究から、応用研究、商品開発に及ぶ研究開発活動は、中央研究所、及び各セグメントの開発部門によって展開されております。その中核となる中央研究所では、創業100周年(2042年)に向けて4つのビジョン「豊かな未来をもたらす食糧生産への挑戦」、「食を通した健康と楽しさの実現」、「世界をリードする食の安全の追求」、「生命の恵みからの新たな価値の創造」を掲げて、グループ事業における技術革新及び新規事業を目指した研究開発を推進するとともに、「中期経営計画2020」に掲げた「未来につなげる仕組み作り」を目指した中期課題にも取り組んでおります。

当連結会計年度の取組みは以下のとおりです。

(1) グループ品質保証を支える検査技術と食品検査用試薬の研究開発

中央研究所では当社グループ商品におけるお客様の安全・安心の向上に寄与する取組みとして、当社グループ品質保証を支える食品検査とその技術開発を積極的に進めております。

その取組みとして、グループ商品とその原材料の安全を確認するための検査を継続するとともに、食品衛生管理技術の研究開発を進め、事業を通じて社会の課題解決を行い、持続可能な社会への貢献を図りました。また、食物アレルゲンや食中毒菌を検出する食品検査用キットの研究開発においては、当社研究所のコア技術となる免疫応用技術の深化に取り組むとともに、検査用キットの用途開発にも取り組み、食の安全・安心へのさらなる貢献を目指しました。

今後も食品衛生及び品質管理のための検査機能強化と、その基盤技術を生み出す研究開発を推進し、当社グループ商品の品質向上と世界の食品産業全体の安全・安心に貢献していく技術の開発を進めてまいります。

(2) グループ事業を支援する研究開発

当社基幹事業である食肉事業領域における研究開発として、健全で生産性の高い食肉生産を目指した取組みを継続しております。定期的な家畜の健康診断による農場衛生管理の支援を行うとともに、家畜の健康管理に寄与する新しい技術や新たなブランド食肉の開発につなげる研究開発を進めております。

当連結会計年度においては、令和元年9月11日に公示された官報にて、口蹄疫に関する家畜伝染病防疫指針の一部が改正され、当社応用免疫技術を活用した口蹄疫抗原検出キット「NHイムノスティック 口蹄疫」の販売を開始しました。本製品は2011~2018年度の農林水産省の研究助成を受け、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究部門と共同開発いたしました。本研究成果は、世界獣医臨床技師会国際シンポジウムとOIE(国際獣疫事務局)アジア・極東・太平洋地域総会にて、世界の獣医関係者にご紹介いたしました。口蹄疫の迅速検出キットとしては国内初であり、家畜伝染病予防法に基づく国内、及び海外の口蹄疫防疫対策に貢献してまいります。

「中期経営計画2020~未来につなげる仕組み作り~」では、「食の未来構想/実現のための技術力強化・人財育成」を目指した新たな中期研究開発課題を設定しました。その一つとしてIoT・AIを活用した養豚管理の技術開発に関する取組み「スマート養豚プロジェクト」を継続いたしました。本プロジェクトは養豚事業における働き方の改革と生産性の向上を実現することを目指しており、当社中央研究所とグループ会社のインターファーム㈱が㈱エヌ・ティ・ティ・データ及び㈱NTTデータSBCと連携しております。今後、本取組みを推進し、グループ事業の生産性を向上させる技術を確立し、将来的には国内畜産の持続可能性と競争力の向上への貢献を目指してまいります。

また、オープンイノベーションによる研究開発の加速と新たな課題形成にも取り組んでおります。その一例として、持続可能なタンパク質供給で将来期待されている培養肉分野におきまして、インテグリカルチャー㈱(本社:東京都文京区、代表取締役:羽生雄毅)と共同で動物細胞の大量培養による食品生産に向けて基盤技術開発をスタートさせました。今後も当社事業におけるイノベーションと持続可能性向上を目指し、新たな課題に挑戦してまいります。

 

(3) 健康に役立つ機能性素材の研究開発

畜産資源の高度利用を目指した健康機能素材の研究開発及び事業性検証を継続しております。

当連結会計年度におきましては、疲労軽減機能や脳機能改善機能を有する「イミダゾールジペプチド」を高含有した鶏肉由来機能性素材を用いた機能性研究を行いました。研究結果については中国、台湾で開催された食品素材の展示会にて紹介しました。今後、市場の可能性を検討していきます。

中央研究所に所属する管理栄養士(公認スポーツ栄養士)が、北海道日本ハムファイターズやセレッソ大阪及びジュニアの選手に対し栄養指導を行っており、その取組みにより得られたスポーツ栄養の知見を日本スポーツ栄養学会第6回大会にて報告いたしました。

今後も「食と健康」分野の取組みを継続し、事業と社会に貢献してまいります。

 

当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、3,195百万円です。

 

なお、当社グループの研究開発活動は、主として食品事業活動に必要な基礎研究から商品開発に及ぶ様々な研究開発を推進しており、特定のセグメントに関連付けることが困難であります。