第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援などにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。

その基盤として、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」のさらなる充実と、2021年4月に見直しを行ったニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」への取り組みを推進してまいります。当社グループがこれらについての取り組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値を高めることにつながると考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2021年4月よりスタートした「中期経営計画2023」(2021年4月1日~2024年3月31 日)の最終年度において、連結売上高1兆2,200億円、事業利益610億円、事業利益率5.0%、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上の目標を掲げております。

(注) 1 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。

     2 「中期経営計画2023」並びにその見直し・修正計画など(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、2021年4月に「中期経営計画2023」およびニッポンハムグループ「Vision2030」を策定しました。

今後の経営環境を見通しますと、新型コロナウイルス感染症に伴う新たな生活様式の定着や食ニーズの多様化、グローバル経済の拡大による需給バランスの変化、世界の人口増加による食糧不足、SDGsに代表される地球環境や社会課題への意識の高まり、AI(人工知能)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などによるデジタル革命やフードテックの拡大、国内での人口減少・高齢化による市場規模の縮小など、これまでにない大きな変化となっており、当社グループにおける経営課題も一層高度化かつ複雑さを増し、将来に向けたビジネスモデルの変革が求められております。

このような環境下において、2021年4月よりスタートしました「中期経営計画2023」は、経営理念の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿であるニッポンハムグループ「Vision2030」をマイルストーンとして位置付け、その達成に向け、既存事業の強化と構造改革、持続可能性の追求、成長領域における事業育成について中長期視点で取り組んでまいります。また、ニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要な社会課題として特定したニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」の取り組みを「中期経営計画2023」における各施策とリンクさせ、実行力を高めてまいります。これらを支える経営の基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」の推進と「コーポレート・ガバナンス」の継続的な強化に取り組んでまいります。

 

 


<ニッポンハムグループ「Vision2030」>“たんぱく質を、もっと自由に。”
 ニッポンハムグループ「Vision2030」は、これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという当社グループの想いを「2030年におけるありたい姿」として表現しております。

 

<ニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」>

①たんぱく質の安定調達・供給

世界的な人口増や気候変動などに伴い、たんぱく質の供給難が予測されておりますが、ニッポンハムグループはたんぱく質の安定調達と供給を目指します。これまでの品質に対する安全・安心への取組みに加え、サプライチェーンにおける環境や人権・動物福祉などの社会側面を配慮しつつ、多様なたんぱく質への取組みを推進してまいります。

②食の多様化と健康への対応

ライフスタイルなどの変化に伴い、食においても多様な対応が求められております。様々なニーズに合わせた商品の開発とサービスの提供により、楽しく健やかなくらしに貢献してまいります。

③持続可能な地域環境への貢献

気候変動や食品ロス、海洋プラスチックなど地球環境を取り巻く様々な課題がある中、ニッポンハムグループの事業は自然からの恵みをいただくことで成り立っており、バリューチェーンを通じて温室効果ガスや食品ロス、プラスチックなどの課題解決に向けての取り組みを推進してまいります。

④食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄

ニッポンハムグループは「良き企業市民」として食やスポーツなどを通じた繋がりを深め、共に歩み・発展することで愛され信頼される企業を目指してまいります。

⑤従業員の成長と多様性の尊重

ニッポンハムグループは「従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場」となることを目指しております。ひとりひとりを尊重し、それぞれが持てる力を発揮・活躍できる環境づくりを推進してまいります。

 

「持続可能な地球環境への貢献」に関する 定量目標(中長期環境目標)

 

2030年度目標

化石燃料由来CO2排出量の削減 ※

2013年度を基準に46%以上削減(国内事業所)

廃棄物排出量

2019年度を基準に5%削減(国内処理・製造工場)

廃棄物リサイクル率

2030年度に92%以上(国内事業所、2019年度84.1%)

用水使用量

2019年度を基準に5%削減(国内処理・製造工場)

認証パーム油使用比率

2030年度に100%切替(国内外拠点)

 

※家畜由来等の温室効果ガスについては、削減に向けた研究開発を行ってまいります。

 

<経営方針>

①収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト

ニッポンハムグループの調達力や販売力のさらなる強化、全体最適視点での製造収益構造の確立、マーケティング視点での事業拡大に取り組んでまいります。

②海外事業における成長モデルの構築

有望領域として定める地域における加工品の販売や、対日向けの加工品・食肉の開発・供給体制の強化に取り組んでまいります。

 

③新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供

各事業本部で取り組む新たな価値提供に加え、D2C(Direct to Consumer)を活用した新規領域やスポーツ事業に積極的に取り組んでまいります。

④ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化

各部室におけるミッション遂行に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、全社戦略の立案と推進機能の強化、人財マネジメントの強化などに取り組んでまいります。

 

<部門横断推進戦略>

①事業横断戦略

ニッポンハムグループの永続的な発展に向け、事業本部を越えてグループ一体となった総合力を発揮する全社共通戦略を企画・実行してまいります。

②新規事業

将来の環境変化を見据えた新たな成長領域への取り組みを加速し、具体的な事業化を目指すとともに、挑戦する風土の醸成にもつなげてまいります。

③北海道プロジェクト

グループの拠点が多数立地する北海道において、2023年の新球場の開業に向けて本業とのシナジーを創出するとともに、地域の発展に貢献してまいります。

④コーポレートコミュニケーション

コーポレートコミュニケーション機能を強化し、ステークホルダーとの戦略的コミュニケーションの展開によりレピュテーションの向上に取り組んでまいります。

 


 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、特段の断りがない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) リスクマネジメントに関する体制

当社は、リスクマネジメントに関する基本方針や管理体制の概要を定める「リスクマネジメント規程」に基づき、代表取締役社長を最高責任者とするリスクマネジメント体制を採用しております。代表取締役社長は、当社グループにおけるリスクマネジメントに関する課題及び対応策を協議する機関として「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会は各種リスクの識別、評価、重点リスクの特定及び対応方針の検討などに務めております。各事業部門及び各部署は、同委員会の方針を踏まえ、自らの事業領域及び職掌に関するリスクの統制活動を実施しており、これらの結果は同委員会を通じて取締役会に報告されます。また、当社グループの経営活動に重大な影響を及ぼす可能性のある事象が発生した際には、想定される影響度に応じた対策機関を組成し、迅速かつ適切な対応に務めております。

なお、以下に記載するリスクの全てを上記の枠組みで管理しているわけではなく、日常的な事業活動から生じる商品市況リスクへの対処は各事業部門、財務リスクへの対処は経理財務部及び関係する各事業部門が実施しております。

(2) 事業遂行上のリスク

① 商品市況リスク

当社グループは食肉及び食肉関連加工品を中心に取り扱っており、販売用食肉はもとより、ハム・ソーセージ、加工食品等の原材料にも食肉が使用されているため、畜産物の相場変動によるリスクがあります。さらに、これらの食肉を供給する国内及び海外の生産飼育事業においては、商品市況はもちろん、飼料価格や原油価格の変動にも影響を受けることとなります。また、当社グループが取り扱う水産物や乳製品についても、商品市況や原材料の価格変動リスク等があります。上記に加えて、家畜の疾病(BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢、豚熱、アフリカ豚熱等)の発生やセーフガード(緊急輸入制限措置)が発動された場合等には、畜産市場全体並びに当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

これらの価格変動リスクは、需給動向や景気の変動など、当社グループにとって制御不能な要因が大きく、正負両面において常時顕在化していきます。想定を超える負の影響を可能な限り軽減するため、商品及び原材料調達ルートの分散化、高付加価値商品の開発やブランド化、お客様視点のマーケティング戦略の確立等に努めており、商品需要の変動を見越した安定的な原材料の確保、生産飼育事業における防疫体制の強化、食肉の適正在庫水準の維持等にも取り組んでおりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。

② 安全性のリスク

当社グループは、食肉及び食肉関連加工品を始め、乳製品及び水産製品など幅広い食品を取り扱っており、異物混入や不適切な表示に起因する商品の品質や安全性の毀損による回収費用や損害賠償及び事業活動の制約などが生じ、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

こうしたリスクを可能な限り予防及び軽減するため、当社グループでは「OPEN品質」~開かれた食品づくり~を推進しております。グループ品質方針として「法令の遵守」、「品質保証ネットワーク」、「客観的評価」、「履歴管理」及び「お客様とのつながり」の5つを掲げ、当社グループ全ての事業を有機的に連携させることで、農場から食卓まで、お客様視点に基づいた品質保証ネットワークを構築しております。この方針に従い、食品安全に関する外部認証(FSSC22000、SQF、BRC、JFS等)の取得や徹底したアレルゲン管理、原材料のトレーサビリティーシステムやフードディフェンス体制の構築により安全性の確保に努めております。また、万が一当社グループが提供する商品等に問題が生じた場合は、速やかな情報開示と拡大防止策の徹底を行い、お客様の安全を第一に考えた対応を行うとともに、レピュテーションリスクの軽減を図ります。

しかしながら、これらの取組みを超えた事象や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合など、当該リスクが顕在化する可能性の程度、時期及び影響度を予見することは困難であり、完全に回避できる保証はありません。

 

③ 自然災害や突発的事故及び社会的な制度等のリスク

当社グループは本邦を含む世界各国において事業活動を行っております。これらの事業活動地域においては、次の事象の発生リスクがあります。これらの事象が発生した場合には、事業活動の停止や物流網の分断などにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、自然災害や突発的事故に備え、事業継続計画(BCP)、防災マニュアル及び従業員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害を完全に排除できる保証はありません。

・地震、気候変動による洪水等の大規模な自然災害の発生及びそれらに起因する道路・港湾・鉄道等の社会的な基盤の損壊、ガス・水道・電気等の供給不能又は供給逼迫

・突発的な事故の発生等予期しない原因による、大気、水質、土壌等の環境汚染

・インフルエンザ等の感染性疾病の流行等による社会的混乱

・予期しない法律又は諸規制の設定又は改廃

・予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生

・戦争、紛争、テロ等の発生による社会的又は経済的混乱

(提出日現在における新型コロナウイルス感染症への対応及び今後の影響について)

当社グループは各事業活動地域における法令及び要請を遵守・尊重し、従業員の安全確保に努めながら食品企業としての社会的責任を果たすべく事業を遂行しております。ワクチン接種の進行により収束への兆しが見え始めているものの、変異株の発生や伝播など予断を許さない状況にあると認識しております。外食需要低迷の長期化や食肉調達の不安定化に加え、プロ野球興行における観客制限などにより収益面に負の影響が生じる可能性がありますが、内食及びストック需要の拡大など、引き続き消費・生活スタイルの変化への対応を強化してまいります。

しかしながら、当該感染症の収束及び社会・経済活動の正常化までの期間が長期化したり、更なる感染拡大が生じて社会的・経済的混乱が進行した場合、売上高の減少や取引先の信用不安などにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

(3) 財務リスク

① 為替リスク

当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替相場の変動の影響を受ける場合があり、正負両面において常時顕在化していきます。為替相場の変動により外貨建取引から発生する将来のキャッシュ・フローが変動するリスクを軽減するため、先物外国為替契約などのデリバティブを用いたヘッジ取引を利用しておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。また、当該リスクを軽減するためのヘッジ取引についても、想定した範囲を超えて為替相場が変動した場合には、機会損失等の別のリスクが発生する可能性があります。

なお、当社グループはこれらの外貨建取引に係るリスクヘッジを行うための「為替リスク管理規程」を定め、為替相場を継続的に監視し、為替相場の変動リスクを定期的に評価しております。先物外国為替契約など、デリバティブを用いた全てのヘッジ取引は、当該「為替リスク管理規程」、取引権限及び取引限度額を定めた社内規程に基づいて行われております。

また、外貨建で作成されている海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する際の換算差額によって、連結財務諸表の親会社の所有者に帰属する持分が在外営業活動体の換算差額を通じて変動するリスクがあり、その他の包括利益を通じて当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

② 金利リスク

当社グループは、必要資金の大部分を外部からの借入金等の有利子負債により調達しております。2021年3月末時点での有利子負債額約1,938億円の大部分は固定金利であり、金利上昇による直接的な影響については当面軽微であると判断されますが、将来的な金利上昇局面においては資金調達における利息負担の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

③ 株価リスク

当社グループは取引関係の維持及び強化を目的として市場性のある資本性金融資産を保有しており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。これらは市場価格の変動に基づく株価の下落リスクがあり、2021年3月末時点の帳簿価額は約259億円で、全体として含み益の状態となっておりますが、今後の株価動向によっては、その他の包括利益を通じて当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

また、株式市場の低迷によって当社グループの制度資産の価値に毀損が生じた場合には、退職給付費用の増加や追加的な制度資産の積み増しが必要となる可能性があります。

④ 非流動資産の減損損失リスク

当社グループが保有する非流動資産の価値が収益性の低下や経済情勢等の変化により下落した場合には、必要な減損処理を実施することになります。2021年3月末時点における有形固定資産、使用権資産、無形資産及びのれん、その他の非流動資産に含まれる投資不動産、持分法で会計処理されている投資に含まれる持分法によるのれん等の帳簿価額の合計は約3,771億円で、減損処理を実施した金額はその他の費用及び持分法による投資損失に計上され、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

(4) その他のリスク

① 情報漏洩リスク

当社グループは「個人情報管理規程」、「日本ハムグループ内部者取引管理規程」を設け、当社グループ役職員に対して、保有する個人情報や当社グループの重要情報の保護・管理を義務付け、コンプライアンス研修や階層別従業員教育等を通じ、厳正な情報管理に努めております。併せて情報システム上のセキュリティ対策や災害対策等も講じております。

しかしながら、想定の範囲を超えるような自然災害、長期に渡る停電、ハードウエア・ソフトウエアの重大な欠陥、コンピュータウイルスの感染や不正アクセス等による情報の漏洩・改ざん・消失、長期にわたる情報システムの停止あるいは混乱等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

② コンプライアンスのリスク

当社グループは、透明性のある誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおります。この取組みにおいては、当社の代表取締役社長が指名した役員をコンプライアンス委員会委員長として当社グループ全体を統括し、当社コンプライアンス部が当社グループ全役職員のコンプライアンス意識を高める施策を継続的に行うとともに、リスクを認識した場合には迅速に対応する体制を整えております。

しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰等や社会的制裁を受けることによりグループブランドの失墜を招き、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

③ 環境問題のリスク

当社グループは、「5つのマテリアリティ」の一つとして「持続可能な地球環境への貢献」を掲げ、取組みを進めております。サステナビリティの取組みについて総合的に検討し、取締役会に対し報告または提言する機関として、当社の代表取締役社長が指名する役員及び社外有識者からなる「サステナビリティ委員会」を設置し、持続可能な社会の実現に向けて、環境と調和の取れた企業活動を推進しております。

生産飼育事業や食品製造を営む当社グループにとって、とりわけ、気候変動リスク、水リスク及び廃棄物(食品ロス)は重要なリスクと認識しており、CO2排出量、用水使用量及び廃棄物等については、中長期の目標を設定して環境負荷の低減に努めております。

2020年6月、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDコンソーシアムに加入しました。今後、気候変動が事業に与える影響を分析し、リスク及び機会の抽出、シナリオ分析等を行い、対応策を検討し具体的な開示を進めてまいります。また、環境に関する外部認証(ISO14001)の取得や、当社サステナビリティ部による環境内部監査を実施しております。

しかしながら、干ばつや豪雨などの異常気象による生産飼育事業の不安定化、水質悪化や渇水による生産・製造活動の停滞、事故・過失等による環境汚染やそれに対する原状復帰、損害賠償責任の発生、あるいは関係法令の改正による環境投資が大幅に増加した場合等においては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりです。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いている中、一部持ち直しの動きが続きましたが、今後の見通しは引き続き不透明な状況となっております。

当業界におきましては、昨年4月の緊急事態宣言発令以降、内食需要の高まりと買い置き需要により、コンシューマ商品が伸長する一方で、外食需要の低迷により業務用商品が苦戦するという状況が続いており、新型コロナウイルス感染症の拡大やワクチン接種の状況次第でこの傾向が更に長期化する懸念が出ています。

このような中、当社グループは、2018 年4月からスタートした「中期経営計画2020」において、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」「消費者との対話を通じた価値の創造」「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」「海外市場展開のギア・チェンジ」「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。国内における具体的施策としては、新型コロナウイルス感染症の影響による内食需要増加に対応した安定供給体制を維持するとともに、バーチャル展示会をイメージしたマーケティングコミュニティサイトやリモートプレゼンシステムなどのニューノーマルに対応したコンテンツの充実、買い置き需要に向けたジッパー付き大袋商品や作り立てのようなおいしさを実現した常温商品の投入、伸長する量販チャネルに向けた販売体制の見直しなどに取り組みました。また、DBJ Green Building 認証制度において5つ星を取得しております新球場(ES CON FIELD HOKKAIDO(エスコン フィールド HOKKAIDO))建設に関する支出に充当するため、サステナビリティボンドを2021年2月に発行しました。海外においては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑えるための対応策を講じるとともに、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比4.4%減の1,176,101百万円となりました。事業利益は対前年同期比19.8%増の52,426百万円、税引前当期利益は第3四半期連結会計期間においてPanus Poultry Group社に対する投資及び無形資産に係る減損損失として7,076百万円をその他の費用及び持分法による投資利益に計上したものの、前第2四半期連結会計期間において選択定年制度拡充による特例加算金等8,472百万円をその他の費用に計上していたことなどにより、対前年同期比80.8%増の48,874百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比69.8%増の32,616百万円となりました。

 

(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。

 

 セグメントの概況は次のとおりです。

当社グループは、2020年4月1日付で「関連企業本部」を「乳製品・水産事業部」に名称変更し、加工事業本部に統合しました。なお、前年同期比との比較については、前連結会計年度の数値を、当連結会計年度のセグメント区分に基づき、組替えた数値で比較をしております。

 

〔加工事業本部〕

ハム・ソーセージ部門においては、大手CVSや外食チャネル向けの売上げが減少しましたが、主力の「シャウエッセン」が好調に推移し、ハム・ソーセージ部門全体の売上げは前年を上回りました。一方、歳暮商戦においては、リニューアルした「本格派」が堅調に推移しましたが、市場全体の落ち込みの影響などにより、売上げは前年を下回りました。

 

加工食品部門においては、「石窯工房」を含むピザ群や、有名タレントを起用したTVCMで「中華名菜」を含むワンクック群が伸長したことにより、コンシューマ商品の売上げは前年を上回りましたが、ラーメン店向けのエキス加工品や居酒屋チェーンなどの外食チャネル向けを含む業務用商品の売上げが減少したことにより、加工食品部門全体の売上げは前年を下回りました。

乳製品部門においては、ヨーグルト・乳酸菌飲料では、主力の「バニラヨーグルト」が好調に推移し、量販店チャネル向けを中心に売上げが伸長しましたが、業務用チーズの製パンルートやCVSベンダー向けの売上げの落ち込みをカバーできず、乳製品部門全体の売上げは前年を下回りました。

水産部門においては、寿司種や年末向けのカニなどの高価格商品の拡販に努め、量販店チャネル向けの売上げは伸長しましたが、寿司店を含む外食チャネル向けの売上げが苦戦し、水産部門全体の売上げは前年を下回りました。

加工事業本部全体の売上げは、新型コロナウイルス感染症に伴う内食需要の高まりにより、コンシューマ商品は前年を上回りましたが、外食需要の低迷で業務用商品が前年を下回り、加工事業本部全体での売上げは前年を下回りました。

利益につきましては、主力ブランド商品の伸長に伴う売上単価上昇で粗利益率が改善したことに加え、販売費及び一般管理費などのコスト低減により、加工事業本部全体での利益は増益となりました。

以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比1.6%減の523,915百万円、事業利益は対前年同期比34.7%増の17,908百万円となりました。

 

〔食肉事業本部〕

食肉事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響が継続する中、各地の量販店において、内食需要を捉え、3~5月の桜前線と連動したキャンペーンを行い、生活者の皆様とのコミュニケーション及びブランド食肉の浸透に努めた結果、国産鶏肉・国産豚肉の販売は伸長したものの、輸入食肉を中心とした外食・卸売向け需要は回復せず、売上げは前年を下回りました。

利益につきましては、生産部門では、国内において鳥インフルエンザや豚熱などの家畜疾病がまん延する中、防疫体制に細心の注意を払い、供給量の維持に努めるとともに、生産性の改善にも注力しました。また、国内における鶏出荷羽数の増加に加え、国産鶏肉・国産豚肉の相場が堅調に推移しました。販売部門では、中国の買付け量増加、アフリカ豚熱の拡大、新型コロナウイルス感染症による海外調達工場の一時稼働停止、輸入食肉の入船遅れなどの環境変化に対し、当社の強みである幅広いエリアでの調達網・提携先とのネットワークを活かした調達・販売に努めました。また、当社のブランド食肉である国産鶏肉「桜姫」、国産豚肉「麦小町」、北米産豚肉「セントエスプリ」、「カリフォルニアポーク」などの販売に注力し、大袋による食肉販売や家庭用焼肉商材など、変化する需要にあわせた提案も積極的に実施いたしました。これらの結果、利益は前年を上回りました。

以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比3.6%減の728,655百万円、事業利益は対前年同期比28.9%増の41,113百万円となりました。

 

〔海外事業本部〕

売上高につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの販売数量の低迷が続いたことや、ベトナム、トルコでの新型コロナウイルス感染症の影響による需要の落ち込みが続いたことにより、前年を下回りました。米州事業では、米国での豚肉輸出数量や量販店での加工食品の販売数量が順調に推移したことに加えて、チリやメキシコにおいても豚肉輸出数量が順調に推移したことにより、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアにおいて牛集荷頭数の減少や中国向けの需要減少が続いたことに加えて、ウルグアイにおいても中国向けの販売数量減少により、前年を下回りました。

利益につきましては、アジア・欧州事業では、タイでの製造数量減少や、トルコでの低調な販売単価と飼料価格高が続いたことなどにより、前年を下回りました。米州事業では、米国での加工食品が順調に数量を維持したことにより、前年を上回りました。豪州事業では、オーストラリアにおける牛集荷価格の高値継続や集荷頭数の減少で集荷環境の低調な状況が続き、中国を中心とした販売価格も低調であったことなどにより、前年を下回りましたが、ウルグアイにおいては牛集荷価格が落ち着き、また中国向けをはじめとする輸出の販売単価が回復傾向にあることにより、前年を上回りました。

以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比12.2%減の223,932百万円、事業損失は94百万円(前期は1,849百万円の事業利益)となりました。

 

地域別売上高の状況は以下のとおりです。

① 日本

日本では、食肉及び加工食品の販売数量が減少したことにより、日本での売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比3.3%減の1,064,478百万円となりました。

② その他の地域

その他の地域では、主に食肉の販売数量が減少したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比13.7%減の111,623百万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比7.4%増の825,405百万円となりました。資産の部では、営業債権及びその他の債権が前年同期末比2.4%減の127,067百万円、棚卸資産が前年同期末比5.8%減の107,906百万円となりましたが、現金及び現金同等物が前年同期末比15.8%増の83,831百万円、その他の金融資産が前年同期末比28.9%増の15,082百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比2.9%増の366,028百万円となりました。非流動資産は、持分法で会計処理されている投資が前年同期末比35.2%減の9,011百万円となりましたが、その他の非流動資産が前年同期末比97.9%増の12,601百万円となったことなどにより、前年同期末比11.2%増の459,377百万円となりました。

負債につきましては、営業債務及びその他の債務が前年同期末比0.8%減の98,983百万円となりましたが、有利子負債が前年同期末比9.8%増の193,750百万円、未払法人所得税が前年同期末比206.7%増の9,748百万円となったことなどにより、前年同期末比8.2%増の381,096百万円となりました。

親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が26,559百万円増加したことなどにより、前年同期末比7.2%増の433,595百万円となりました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.1ポイント減の52.5%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ11,432百万円増加し、83,831百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 82,518百万円の純キャッシュ増

営業活動によるキャッシュ・フローは、その他の資産の増加8,815百万円、法人所得税の支払額10,343百万円などがありましたが、税引前当期利益48,874百万円、減価償却費及び償却費34,109百万円などにより、82,518百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、65,464百万円の純キャッシュ増)。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 57,827百万円の純キャッシュ減

投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得59,398百万円などにより、57,827百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、36,728百万円の純キャッシュ減)。

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 14,934百万円の純キャッシュ減

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務による調達70,393百万円、自己株式の売却187百万円などがありましたが、現金配当9,269百万円、借入債務の返済66,351百万円などにより、14,934百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、3,077百万円の純キャッシュ減)。

 

③生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績(製造原価ベース)

区分

当連結会計年度
(自 2020年4月1日
  至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

ハム・ソーセージ(百万円)

104,876

102.2%

加 工 食 品(百万円)

180,187

104.4%

 

(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。

 

b. 受注実績

当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

   販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。

なお、重要な会計方針及び見積りの内容及び新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループが、2018年4月からスタートした「中期経営計画2020」は2021年3月期に最終年度を迎えました。「中期経営計画2020」では、「未来につなげる仕組み作り」をテーマとし、5つの経営方針「既存事業の効率化による収益力の強化」、「消費者との対話を通じた価値の創造」、「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」、「海外市場展開のギア・チェンジ」、「持続可能性(サステナビリティ)の追求」に基づく事業展開を推進してまいりました。

 

「中期経営計画2020」の成果は以下の通りとなります。

既存事業の効率化による収益力の強化

加工事業本部

・統合前の加工事業本部として中計3ヶ年累計の事業利益は当初計画の335億円を達成

・主力ブランドでのエクステンションなどで収益性の高いコンシューマ商品を拡販

食肉事業本部

・中期経営計画2020から鶏肉相場の一定の影響があったが、生産体制を拡充

・収益性の高いブランド食肉の拡販で収益性が向上

・コロナ禍でも量販チャネルの需要増に対応し事業利益400億円レベルまで回復

全社

・売上高および投下資本売上高回転率は計画未達

海外売上高の早期拡大

海外事業本部

・豪州事業や米州内の加工事業の内部改善などによる改善効果の発現

・米州における加工事業の伸長

消費者との対話を通じた価値の創造

・「未来の食卓市場予測」の作成やビッグデータの解析などで、商品開発力や販売促進が向上

食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成

・将来に向けた動物性たんぱく質の供給責任を果たすべく、研究を進める

 スマート養豚プロジェクトをスタート

 国内ミートレス市場への参入

 培養肉の研究開発スタート

 イミダゾールジペプチドの特許取得

持続可能性(サステナビリティ)の追求

・事業活動を通じた社会課題の解決に向けた取り組みを実施

 TCFDの提言に賛同表明

 RSPOへの加盟

 CSR調達への対応

 

 

「既存事業の効率化による収益力の強化」については、加工事業で主力ブランド拡販による収益性の向上、関連企業本部との統合によるシナジー効果の発現をしました。課題としては、統合により立ち上げた6つのプロジェクトの効果の刈取り、営業体制の見直しと強みのある領域への集中化となります。食肉事業は、川上事業の老朽化施設整備による生産体制の拡充、物流中継拠点の整備、物流機能の拡充・安定化を実施しました。課題としては、相場影響を最小化するため、収益性の高いブランド食肉を拡充、外部環境の変化に機敏に対応できるチャネルミックス戦略、生産事業のさらなる生産性向上となります。

「海外売上高の早期拡大」を掲げた海外事業本部においては、豪州事業や米国国内の加工事業の内部改善などによる改善効果の発現、米国における加工事業の伸長を実施しました。課題としては、有望な成長領域の見直しが必要であり、ウルグアイの牛肉事業の収益改善と、海外売上高(現地販売、第三国販売)の拡大となります。

「食の未来の構想/実現のための技術力強化・育成」については、培養肉の研究開発をスタートさせました。スマート養豚は、AIのカメラ分析によるオペレーションが人のレベルまで近づいており、早期実用化を実現して国内畜産業界の生産性向上に寄与したいと考えます。また、疲労回復のサプリメントとして商品化している鶏胸肉由来のイミダゾールジペプチドの特許を取得し早期に製品化を目指します。

 

「中期経営計画2020」の策定時の目標とする経営指標としては、連結売上高1兆4,100億円、事業利益560億円、売上高事業利益率4.0%、ROE7.0%を掲げておりました。当連結会計年度の結果としては、連結売上高1兆1,761億円、事業利益524億円、売上高事業利益率4.5%、ROE7.8%となり、「未来につなげる仕組み作り」をテーマに経営方針・施策は着実に進展し収益力の強化については改善が見られましたが、外部環境への機敏な対応力を高めることが課題と認識しております。

 

ニッポンハムグループは、企業理念である「食べる喜び」を創造するため、時代に応じた価値を提供することで、事業領域を拡大し、成長してまいりました。当社グループを取り巻く環境は急速に変化するなか、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」」“たんぱく質を、もっと自由に。”を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。

「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指してまいります。

さらなる成長に向けて、既存事業の構造改革と強化に加え、「海外」や「新領域」での成長が不可欠と考えており、培ってきた強みを総動員してまいります。併せて、気候変動問題、労働力不足問題など、さまざまな課題に対応しながら、リスクの低減と機会の拡大を図るサステナブルな事業モデルへのシフトを進めてまいります。

また、戦略推進を支える経営基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」を推進するとともに、コーポレート・ガバナンスを継続的に強化してまいります。

 

セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。

〔加工事業本部〕

加工事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症による今後の需給動向が不透明な中、原料、燃料価格の高騰や人件費・物流費の上昇など、厳しい環境が続くことが予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」「マーケティング視点での事業拡大」「環境対応と収益性の両立」「事業の軌道化」「成長戦略を支える基盤強化」の5つの方針に沿って、事業戦略を実行してまいります。「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」では、全社視点での最適な製造体制の構築や商品ポートフォリオの最適化とライン統廃合による合理化、技術革新による生産の標準化などに、「マーケティング視点での事業拡大」では、顧客視点でのマーケティングプロセスの実践や既存ブランド・育成ブランドの拡大と定着、組織統合によるシナジーの発揮などに、「環境対応と収益性の両立」では、包装資材使用量やCO2 排出量、食品ロスの削減などに、「事業の軌道化」では、課題事業の収益性向上に、「成長戦略を支える基盤強化」では、組織風土改革、人財育成・獲得、内部統制の高度化などに取り組んでまいります。

〔食肉事業本部〕

食肉事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、国内における家畜の疾病、異常気象による生体価格や飼料価格の変動、自由貿易協定の拡大や新興国の需要増加など、国内外における食肉の需給バランスが目まぐるしく変化していくと予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「調達力の強化」「販売力の強化」「基盤強化」を基本方針とし、「調達力の強化」では、国内食肉は、自社農場の生産性向上を図るとともに、社外との連携強化や提携などにより安定調達を目指してまいります。輸入食肉は、高品質・安定調達のための既存調達先との連携を強化するとともに、調達リスクを分散するため、新規調達国の開拓を進めてまいります。「販売力の強化」では、重点チャネル攻略によるシェア・収益の拡大、ブランド食肉や付加価値商品の開発による競争力・粗利益率の向上に、「基盤強化」では、人財育成と機能配置の最適化による個の強化と、食肉マーケティング推進室を中心として社内の他部門との連携を図る組織強化により、国内販売シェアを高めてまいります。

〔海外事業本部〕

海外事業本部につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を最小限に抑え、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めるともに、「中期経営計画2023」においては、「既存事業の構造改革」「対日向けの加工品・食肉の開発と供給体制の強化」「国外での加工品販売の強化」「成長戦略を支える基盤強化」を基本方針として、構造改革による安定的収益基盤の強化を進めつつ、対日向け・現地内販それぞれの販売拡大を図るとともに、人財育成とガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。

 

また、当社グループの永続的な発展に向け、機能戦略の最重要課題として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に取り組むとともに、部門を横断する4つの経営課題(事業横断戦略、新規事業、北海道プロジェクト、コーポレートコミュニケーション)についても、全社視点で取り組んでまいります。

 

新型コロナウイルス感染症拡大による今後の影響につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク ③自然災害や突発事故及び社会的な制度等のリスク」に記載しております。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。

資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当該事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの事業を支える基盤研究から、応用研究、商品開発に及ぶ研究開発活動は、中央研究所及び各セグメントの開発部門によって展開されております。その中核となる中央研究所では、創業100周年(2042年)に向けて4つのビジョン「豊かな未来をもたらす食糧生産への挑戦」、「食を通した健康と楽しさの実現」、「世界をリードする食の安全の追求」、「生命の恵みからの新たな価値の創造」を掲げて、グループ事業における技術革新及び新規事業を目指した研究開発を推進するとともに、「中期経営計画2023」及びニッポンハムグループ「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の中期課題にも取り組んでおります。
 

当連結会計年度の取組みは以下のとおりです。

(1) グループ品質保証を支える検査技術と食品検査用試薬の研究開発

中央研究所では当社グループ商品におけるお客様の安全・安心の向上に寄与する取り組みとして、当社グループ品質保証を支える食品検査とその技術開発を積極的に進めております。

その取り組みとして、グループ商品とその原材料の安全を確認するための検査を継続するとともに、食品衛生管理技術の研究開発を進め、事業を通じて社会の課題解決を行い、持続可能な社会への貢献を図りました。また、食物アレルゲンや食中毒菌を検出する食品検査用キットの研究開発においては、当社研究所のコア技術となる免疫応用技術の深化に取り組むとともに、検査用キットの用途開発にも取り組み、食の安全・安心へのさらなる貢献を目指しました。

今後も食品衛生および品質管理のための検査機能強化と、その基盤技術を生み出す研究開発を推進し、当社グループ商品の品質向上と世界の食品産業全体の安全・安心に貢献していく技術の開発を進めてまいります。

(2) グループ事業を支援する研究開発

当社基幹事業である食肉事業領域における研究開発として、健全で生産性の高い食肉生産を目指した取り組みを継続しております。定期的な家畜の健康診断による農場衛生管理の支援を行うとともに、家畜の健康管理に寄与する新しい技術や新たなブランド食肉の開発につなげる研究開発を進めております。研究結果の一部が科学誌 Journal of Virological Methodsに掲載されました。

「中期経営計画2020未来につなげる仕組み作り」では、「食の未来構想/実現のための技術力強化・人財育成」を目指した新たな中期研究開発課題を設定しました。その一つとしてIoT・AIを活用した養豚管理の技術開発に関する取り組み「スマート養豚プロジェクト」を継続いたしました。本プロジェクトは養豚事業における働き方の改革と生産性の向上を実現することを目指しており、当社中央研究所とグループ会社のインターファーム㈱が㈱エヌ・ティ・ティ・データおよび㈱NTTデータSBCと連携しております。今後、本取り組みを推進し、グループ事業の生産性を向上させる技術を確立し、将来的には国内畜産の持続可能性と競争力の向上への貢献を目指してまいります。取り組み成果の一部を日本畜産学会第128回大会にて報告しました。

また、持続可能なタンパク質供給で将来期待されている培養肉分野におきまして、インテグリカルチャー㈱(本社:東京都文京区、代表取締役:羽生雄毅)と共同で動物細胞の大量培養による食品生産に向けて基盤技術開発を継続しております。

 

(3) 健康に役立つ機能性素材の研究開発

畜産資源の高度利用を目指した健康機能素材の研究開発および事業性検証を継続しております。

当会計年度におきましては、疲労軽減機能や脳機能改善機能を有する「イミダゾールジペプチド」を高含有した食品、膝の違和感の緩和機能を有する「豚コンドロイチン」を高含有した食品を開発し、機能性表示食品の届出を行い、受理されました。

中央研究所に所属する管理栄養士(公認スポーツ栄養士)が、㈱北海道日本ハムファイターズや㈱セレッソ大阪及びジュニアの選手に対し栄養指導を行っており、その取り組みにより得られたスポーツ栄養の知見を日本スポーツ栄養学会第7回大会にて報告しました。

今後も「食と健康」分野の取り組みを継続し、社会の発展に貢献してまいります。

 

当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、3,268百万円です。

 

なお、当社グループの研究開発活動は、主として食品事業活動に必要な基礎研究から商品開発に及ぶ様々な研究開発を推進しており、特定のセグメントに関連付けることが困難であります。