文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援などにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。
その基盤として、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」のさらなる充実と、2021年4月に見直しを行ったニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」への取り組みを推進してまいります。当社グループがこれらについての取り組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値を高めることにつながると考えております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2021年4月よりスタートした「中期経営計画2023」(2021年4月1日~2024年3月31 日)の最終年度において、連結売上高1兆2,200億円、事業利益610億円、事業利益率5.0%、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上の目標を掲げております。
(注) 1 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
2 「中期経営計画2023」並びにその見直し・修正計画など(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、2021年4月に「中期経営計画2023」およびニッポンハムグループ「Vision2030」を策定しました。
今後の経営環境を見通しますと、新型コロナウイルス感染症に伴う新たな生活様式の定着や食ニーズの多様化、グローバル経済の拡大による需給バランスの変化、世界の人口増加による食糧不足、SDGsに代表される地球環境や社会課題への意識の高まり、AI(人工知能)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などによるデジタル革命やフードテックの拡大、国内での人口減少・高齢化による市場規模の縮小など、これまでにない大きな変化となっており、当社グループにおける経営課題も一層高度化かつ複雑さを増し、将来に向けたビジネスモデルの変革が求められております。
このような環境下において、2021年4月よりスタートしました「中期経営計画2023」は、経営理念の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿であるニッポンハムグループ「Vision2030」をマイルストーンとして位置付け、その達成に向け、既存事業の強化と構造改革、持続可能性の追求、成長領域における事業育成について中長期視点で取り組んでまいります。また、ニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要な社会課題として特定したニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」の取り組みを「中期経営計画2023」における各施策とリンクさせ、実行力を高めてまいります。これらを支える経営の基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」の推進と「コーポレート・ガバナンス」の継続的な強化に取り組んでまいります。
<ニッポンハムグループ「Vision2030」>“たんぱく質を、もっと自由に。”
ニッポンハムグループ「Vision2030」は、これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという当社グループの想いを「2030年におけるありたい姿」として表現しております。
<ニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」>
①たんぱく質の安定調達・供給
世界的な人口増や気候変動などに伴い、たんぱく質の供給難が予測されておりますが、ニッポンハムグループはたんぱく質の安定調達と供給を目指します。これまでの品質に対する安全・安心への取組みに加え、サプライチェーンにおける環境や人権・動物福祉などの社会側面を配慮しつつ、多様なたんぱく質への取組みを推進してまいります。
②食の多様化と健康への対応
ライフスタイルなどの変化に伴い、食においても多様な対応が求められております。様々なニーズに合わせた商品の開発とサービスの提供により、楽しく健やかなくらしに貢献してまいります。
③持続可能な地域環境への貢献
気候変動や食品ロス、海洋プラスチックなど地球環境を取り巻く様々な課題がある中、ニッポンハムグループの事業は自然からの恵みをいただくことで成り立っており、バリューチェーンを通じて温室効果ガスや食品ロス、プラスチックなどの課題解決に向けての取り組みを推進してまいります。
④食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄
ニッポンハムグループは「良き企業市民」として食やスポーツなどを通じた繋がりを深め、共に歩み・発展することで愛され信頼される企業を目指してまいります。
⑤従業員の成長と多様性の尊重
ニッポンハムグループは「従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場」となることを目指しております。ひとりひとりを尊重し、それぞれが持てる力を発揮・活躍できる環境づくりを推進してまいります。
「持続可能な地球環境への貢献」に関する 定量目標(中長期環境目標)
※家畜由来等の温室効果ガスについては、削減に向けた研究開発を行ってまいります。
<TCFDフレームワークに基づく情報開示>
ニッポンハムグループは「Vision2030」の実現に向けて優先的に解決すべき社会課題を「5つのマテリアリティ」として再特定しました。
企業理念の実現に加え、持続的な社会の実現のためにも、気候変動への対応は不可欠です。2015年の「パリ協定」、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5℃特別報告書」、2021年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」を経て、気候変動対応の重要性はますます高まっています。このような状況を受け、当社は世界の主要食肉企業に先駆けて2020年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、2021年10月のTCFD中間開示を経て、今回の開示に至りました。詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、ご参照ください。(https://www.nipponham.co.jp/csr/environment/climate/)
2022年度以降は、リスク・機会の分析を深めるとともに対応策の検討・推進を行い、関連情報の開示を進めてまいります。
<経営方針>
①収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト
ニッポンハムグループの調達力や販売力のさらなる強化、全体最適視点での製造収益構造の確立、マーケティング視点での事業拡大に取り組んでまいります。
②海外事業における成長モデルの構築
有望領域として定める地域における加工品の販売や、対日向けの加工品・食肉の開発・供給体制の強化に取り組んでまいります。
③新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供
各事業本部で取り組む新たな価値提供に加え、D2C(Direct to Consumer)を活用した新規領域やスポーツ事業に積極的に取り組んでまいります。
④ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化
各部室におけるミッション遂行に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、全社戦略の立案と推進機能の強化、人財マネジメントの強化などに取り組んでまいります。
<部門横断推進戦略>
①事業横断戦略
ニッポンハムグループの永続的な発展に向け、事業本部を越えてグループ一体となった総合力を発揮する全社共通戦略を企画・実行してまいります。
②新規事業
将来の環境変化を見据えた新たな成長領域への取り組みを加速し、具体的な事業化を目指すとともに、挑戦する風土の醸成にもつなげてまいります。
③北海道プロジェクト
グループの拠点が多数立地する北海道において、2023年の新球場の開業に向けて本業とのシナジーを創出するとともに、地域の発展に貢献してまいります。
④コーポレートコミュニケーション
コーポレートコミュニケーション機能を強化し、ステークホルダーとの戦略的コミュニケーションの展開によりレピュテーションの向上に取り組んでまいります。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、特段の断りがない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスクマネジメントに関する体制
当社は、リスクマネジメントに関する基本方針や管理体制の概要を定める「リスクマネジメント規程」に基づき、代表取締役社長を最高責任者とするリスクマネジメント体制を採用しております。代表取締役社長は、当社グループにおけるリスクマネジメントに関する課題及び対応策を協議する機関として「リスクマネジメント委員会」を設置し、同委員会は各種リスクの識別、評価、重点リスクの特定及び対応方針の検討などに務めております。各事業部門及び各部署は、同委員会の方針を踏まえ、自らの事業領域及び職掌に関するリスクの統制活動を実施しており、これらの結果は同委員会を通じて取締役会に報告されます。取締役会では、同委員会で検討した当社グループの経営活動に大きな影響を及ぼす可能性のある重要なリスクについて対応方法の検討を行っております。また、重大なリスクの顕在化を認識した際には、想定される影響度に応じた対策機関を組成し、迅速かつ適切な対応に務めております。
なお、以下に記載するリスクの全てを上記の枠組みで管理しているわけではなく、日常的な事業活動から生じる商品市況リスクへの対処は各事業部門、財務リスクへの対処は経理財務部及び関係する各事業部門が実施しております。
(2) 事業遂行上のリスク
① 商品市況リスク
当社グループは食肉及び食肉関連加工品を中心に取り扱っており、販売用食肉はもとより、ハム・ソーセージ、加工食品等の原材料にも食肉が使用されているため、畜産物の相場変動によるリスクがあります。さらに、これらの食肉を供給する国内及び海外の生産飼育事業においては、商品市況はもちろん、飼料価格や原油価格の変動にも影響を受けることとなります。また、当社グループが取り扱う水産物や乳製品についても、商品市況や原材料の価格変動リスク等があります。上記に加えて、家畜の疾病(BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢、豚熱、アフリカ豚熱等)の発生やセーフガード(緊急輸入制限措置)が発動された場合等には、畜産市場全体並びに当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
これらの価格変動リスクは、需給動向や景気の変動など、当社グループにとって制御不能な要因が大きく、正負両面において常時顕在化していきます。想定を超える負の影響を可能な限り軽減するため、商品及び原材料調達ルートの分散化、高付加価値商品の開発やブランド化、お客様視点のマーケティング戦略の確立等に努めており、商品需要の変動を見越した安定的な原材料の確保、生産飼育事業における防疫体制の強化、食肉の適正在庫水準の維持等にも取り組んでおりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。
② 安全性のリスク
当社グループは、食肉及び食肉関連加工品を始め、乳製品及び水産製品など幅広い食品を取り扱っており、異物混入や不適切な表示等に起因する商品の品質や安全性の毀損、また、食品衛生法等関連法令への未対応等による回収費用や損害賠償、事業活動の制約などが生じ、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
こうしたリスクを可能な限り予防及び軽減することを目的とし、当社グループでは品質方針として「法令の遵守」、「品質保証ネットワーク」、「客観的評価」、「履歴管理」及び「お客様とのつながり」の5つを掲げ、「OPEN品質」~開かれた食づくり~を推進しております。当社グループ全ての事業を有機的に連携させることで、農場から食卓まで、お客様視点に基づいた品質保証ネットワークを構築し、お客様に安全な商品をお届けしております。また、食品安全に関する第三者認証(FSSC22000、SQF、BRC、JFS等)の取得や徹底したアレルゲン管理、原材料のトレーサビリティーシステムやフードディフェンス体制を構築するとともに、従業員に対し、関連した教育を継続的に実施することで安全性の確保に努めております。万が一当社グループが提供する商品等に問題が生じた場合は、速やかな情報開示と拡大防止策の徹底を行い、お客様の安全を第一に考えた対応を行うとともに、レピュテーションリスクの軽減を図ります。
しかしながら、これらの取組みを超えた事象や、食の安全を脅かすような社会全般にわたる問題が発生した場合など、当該リスクが顕在化する可能性の程度、時期及び影響度を予見することは困難であり、完全に回避できる保証はありません。
③ 自然災害や突発的事故及び社会的な制度等のリスク
当社グループは本邦を含む世界各国において事業活動を行っております。これらの事業活動地域においては、次の事象の発生リスクがあります。これらの事象が発生した場合には、事業活動の停止や物流網の分断などにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、自然災害や突発的事故に備え、事業継続計画(BCP)、防災マニュアル及び従業員安否確認システムの整備などの対策を講じておりますが、被害を完全に排除できる保証はありません。
・地震、気候変動による洪水等の大規模な自然災害の発生及びそれらに起因する道路・港湾・鉄道等の社会的な基盤の損壊、ガス・水道・電気等の供給不能又は供給逼迫
・突発的な事故の発生等予期しない原因による、大気、水質、土壌等の環境汚染
・インフルエンザ等の感染性疾病の流行等による社会的混乱
・予期しない法律又は諸規制の設定又は改廃
・予期しない不利な経済的又は政治的要因の発生
・戦争、紛争、テロ等の発生による社会的又は経済的混乱
(提出日現在における新型コロナウイルス感染症への対応及び今後の影響について)
当社グループは各事業活動地域における法令及び要請を遵守・尊重し、従業員の安全確保に努めながら食品企業としての社会的責任を果たすべく事業を遂行しております。ワクチン接種の浸透などにより、社会・経済活動は徐々に正常化に向かいつつありますが、変異株の発生や伝播など予断を許さない状況にあると認識しております。
内食及びストック需要の拡大など、引き続き消費・生活スタイルの変化への対応を強化してまいりますが、感染拡大による社会的・経済的混乱の進行や長期化が起こった場合、売上高の減少や取引先の信用不安などにより、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(3) 財務リスク
① 為替リスク
当社グループが行う外貨建取引から生ずる費用・収益及び外貨建債権・債務の円換算額は、為替相場の変動の影響を受ける場合があり、正負両面において常時顕在化していきます。為替相場の変動により外貨建取引から発生する将来のキャッシュ・フローが変動するリスクを軽減するため、先物外国為替契約などのデリバティブを用いたヘッジ取引を利用しておりますが、当該リスクを完全に回避できる保証はありません。また、当該リスクを軽減するためのヘッジ取引についても、想定した範囲を超えて為替相場が変動した場合には、機会損失等の別のリスクが発生する可能性があります。
なお、当社グループはこれらの外貨建取引に係るリスクヘッジを行うための「為替リスク管理規程」を定め、為替相場を継続的に監視し、為替相場の変動リスクを定期的に評価しております。先物外国為替契約など、デリバティブを用いた全てのヘッジ取引は、当該「為替リスク管理規程」、取引権限及び取引限度額を定めた社内規程に基づいて行われております。
また、外貨建で作成されている海外連結子会社の財務諸表を円貨に換算する際の換算差額によって、連結財務諸表の親会社の所有者に帰属する持分が在外営業活動体の換算差額を通じて変動するリスクがあり、その他の包括利益を通じて当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
② 金利リスク
当社グループは、必要資金の大部分を外部からの借入金等の有利子負債により調達しております。2022年3月末時点での有利子負債額約2,114億円の大部分は固定金利であり、金利上昇による直接的な影響については当面軽微であると判断されますが、将来的な金利上昇局面においては資金調達における利息負担の増加により、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
③ 株価リスク
当社グループは取引関係の維持及び強化を目的として市場性のある資本性金融資産を保有しており、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しております。これらは市場価格の変動に基づく株価の下落リスクがあり、2022年3月末時点の帳簿価額は約221億円で、全体として含み益の状態となっておりますが、今後の株価動向によっては、その他の包括利益を通じて当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。また、株式市場の低迷によって当社グループの制度資産の価値に毀損が生じた場合には、退職給付費用の増加や追加的な制度資産の積み増しが必要となる可能性があります。
④ 非流動資産の減損損失リスク
当社グループが保有する非流動資産の価値が収益性の低下や経済情勢等の変化により下落した場合には、必要な減損処理を実施することになります。2022年3月末時点における有形固定資産、使用権資産、無形資産及びのれん及びその他の非流動資産に含まれる投資不動産の帳簿価額の合計は約4,091億円で、減損処理を実施した金額はその他の費用及び持分法による投資損失に計上され、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
(4) その他のリスク
① 情報漏洩リスク
当社グループは「個人情報管理規程」、「日本ハムグループ内部者取引管理規程」を設け、当社グループ役職員に対して、保有する個人情報や当社グループの重要情報の保護・管理を義務付け、コンプライアンス研修や階層別従業員教育等を通じ、厳正な情報管理に努めております。併せて情報システム上のセキュリティ対策や災害対策等も講じております。
しかしながら、想定の範囲を超えるような自然災害、長期に渡る停電、ハードウエア・ソフトウエアの重大な欠陥、コンピュータウイルスの感染や不正アクセス等による情報の漏洩・改ざん・消失、長期にわたる情報システムの停止あるいは混乱等が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
② コンプライアンスのリスク
当社グループは、透明性のある誠実な企業グループを目指し、コンプライアンス意識の徹底と定着に継続的に取り組んでおります。この取組みにおいては、当社の代表取締役社長が指名した役員をコンプライアンス委員会委員長として当社グループ全体を統括し、当社コンプライアンス部が当社グループ全役職員のコンプライアンス意識を高める施策を継続的に行っております。また、内部通報窓口を整備し、リスクを認識した場合には迅速に対応する体制を整えております。
しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、法令による処罰等や社会的制裁を受けることによりグループブランドの失墜を招き、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
③ 環境問題のリスク
当社グループは、「5つのマテリアリティ」の一つとして「持続可能な地球環境への貢献」を掲げ、取組みを進めております。サステナビリティの取組みについて総合的に検討し、取締役会に対し報告または提言する機関として、当社の代表取締役社長が指名する役員及び社外有識者からなる「サステナビリティ委員会」を設置し、持続可能な社会の実現に向けて、環境と調和の取れた企業活動を推進しております。
生産飼育事業や食品製造を営む当社グループにとって、とりわけ、気候変動リスク、水リスク及び廃棄物は重要なリスクと認識しており、CO2排出量、用水使用量及び廃棄物等については、中長期の目標を設定して環境負荷の低減に努めております。
2020年6月、当社は気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDコンソーシアムに加入しました。気候変動が事業に与える影響を分析し、リスク及び機会の抽出、シナリオ分析等を行い、対応策を検討し、2021年10月のTCFD中間開示(サステナビリティ説明会)を経て、2022年5月に当社ウェブサイトにおいて「TCFDフレームワークに基づく情報開示」を公表しております。また、環境に関する外部認証(ISO14001)の取得や、当社専門部署による環境内部監査を実施しております。
しかしながら、干ばつや豪雨などの異常気象による生産飼育事業の不安定化、水質悪化や渇水による生産・製造活動の停滞、事故・過失等による環境汚染やそれに対する原状復帰、損害賠償責任の発生、あるいは関係法令の改正による環境投資が大幅に増加した場合等においては、当社グループの業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、持ち直しの動きが続いているものの、新たな変異株の感染拡大による全国的なまん延防止等重点措置の発令により、先行き不透明な状況で推移しました。
当業界におきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の長期化による外食需要の減退や、原材料価格の高騰によるコストの上昇など、かつてない厳しい状況が続きました。
このような中、当社グループは、「2030年の目指す姿」として掲げたニッポンハムグループ「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けたマイルストーンとして2021年4月からスタートした「中期経営計画2023」において、4つの経営方針である、(ⅰ)収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト(ⅱ)海外事業における成長モデルの構築(ⅲ)新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供(ⅳ)ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化、に基づく事業展開を推進してまいりました。
国内では、原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇に対し、引き続きお客様へ高品質で安全・安心な商品をお届けするため、一部商品の規格変更と納品価格の改定を実施いたしました。更には、引き続き新型コロナウイルス感染症対策の徹底により安定供給体制を維持するとともに、新たな生活様式の定着や食の多様化、SDGsの達成を目的としたESGなどの社会課題への意識の高まりを背景として、プラスチック使用量の削減による環境負荷低減を目指した新包装形態『エコ・ピロタイプ』の「シャウエッセン」や「環境にやさしいエコなロースハム」などの環境対応商品を新たに発売いたしました。また、持続可能な社会の実現に向けた次世代素材として、大豆などを使用したプラントベースドミートである「NATUMEAT(ナチュミート)」シリーズのリニューアルと新商品の投入を行いました。更には、食物アレルギー管理栄養士による無料オンライン栄養相談や、食物アレルギーに関するお役立ち情報をワンストップで提供する食品業界で日本初となる、食物アレルギーケア総合プラットフォーム「Table for All 食物アレルギーケア」サービスの提供開始などに取り組みました。加えて、当社グループのたんぱく質の安定供給に向けた取組みや、人々に役立つたんぱく質の情報を発信するコーポレートアンバサダーとして新庄剛志氏を起用し、「Vision2030」の実現に向けた当社グループの取組みの発信を強化してまいりました。更には、2023 年の新球場開業を見据えた北海道プロジェクトや、経営基盤強化のためのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、ROICの向上に向けた最適な事業ポートフォリオを追求するため、グループ会社の株式譲渡や経営資源のより効率的な活用のためのグループ会社の経営統合などに取り組みました。
海外では、加工事業の主原料価格の高騰に対応した生産効率の改善と価格改定に努めました。豪州やウルグアイの食肉事業においては高値相場の中、付加価値商品としてのブランド牛の取組みを強化するとともに、需給バランスに対応した工場の適正稼働を行うことで、安定的な販売に繋げました。また対日向け食肉輸出事業においては各国で現地パッカーとの連携を強化し、安定した食肉供給に努めました。
グループ横断の施策については、「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けたグループ従業員への周知活動や「中期経営計画2023」の各種施策に連動したKPIマネジメントによるROIC経営の推進に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比6.1%増の1,174,389百万円となりました。事業利益は対前年同期比8.2%減の48,116百万円、税引前当期利益は対前年同期比7.9%増の51,366百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業からの当期利益9,105百万円などにより対前年同期比47.3%増の48,049百万円となりました。なお、当社は2022年2月9日の「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」並びに「連結子会社の異動(株式譲渡)に伴う株式譲渡益の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ」にてお知らせしたとおり、当社の連結子会社であったマリンフーズ株式会社及び同社の子会社などに関連する水産事業を非継続事業に分類しております。これに伴い当該事業に関わる売上高、税引前当期利益を、当連結会計年度において、比較年度である前連結会計年度とともに非継続事業に区分しております。
(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
当社グループは、第1四半期連結累計期間より、新たな事業領域への拡充を図る目的で、球団事業及び新規事業などを「その他」に区分して開示しております。また、加工事業本部には、非継続事業に区分した水産事業を含めております。
〔加工事業本部〕
ハム・ソーセージ部門の売上げについては、主力の「シャウエッセン」での環境負荷低減を目指した新包装形態『エコ・ピロタイプ』の投入や、SNSを活用した広告の投入により若年層顧客の獲得を図りましたが、昨年の新型コロナウイルス感染症の影響をカバーできず、量販チャネル向けは前年を下回りました。業務用チャネル向けについては、感染状況が落ち着いてきたことによる需要増により前年を上回りました。
加工食品部門の売上げについては、主力の「石窯工房」がスナック需要の拡大により大きく伸長したことや、常温で保存可能な新商品「あじわいレンジ」の上乗せなどにより、量販店チャネル向けは前年の水準を維持しました。さらにエキス・一次加工を含む業務用チャネル向けも回復し、売上げは前年を上回りました。
乳製品部門の売上げについては、主力の「バニラヨーグルト」が好調に推移したことに加え、業務用チーズの外食チャネルや食品メーカー向けの売上げが伸長したことにより、前年を上回りました。
水産部門の売上げについては、ダイスサーモンを中心とした自社工場製品や寿司種の拡販に努めたことにより、量販店チャネル向けが好調に推移したことに加え、寿司店を中心とした外食チャネル向けも伸長したため、前年を上回りました。
加工事業本部全体の売上げにつきましては、新型コロナウイルス感染症による影響の一巡と消費行動の変化により、業務用商品の売上げが前年を上回ったことに加え、コンシューマ商品の売上げが前年の水準を維持した結果、前年を上回りました。
加工事業本部全体の利益につきましては、原材料価格や燃料費などが想定を上回る急激な上昇となったことに加え、数量増加に伴う労務費の上昇やDX構築に向けた先行費用が増加したことで、減益となりました。
以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比1.5%増の496,700百万円、事業利益は対前年同期比18.3%減の14,679百万円となりました。
〔食肉事業本部〕
販売部門においては、輸入牛肉・輸入豚肉などの調達価格が上昇する中、販売価格への反映に努めたものの、消費者の節約志向が継続し、減益となりました。このような厳しい環境の中、各チャネルに対しては、高騰する輸入食肉の代替として、国産ブランド食肉の提案を強化し販売量を維持しました。また、食肉輸出における輸出コンソーシアムの活用や、国産鶏肉「桜姫」については、発売20周年に向けた取組みとして、3月には新たな加工品「桜姫からあげ」を発売するなど、販路や利益の拡大に努めました。
調達部門においては、調達国の内需拡大・コンテナ不足・入船の遅れが継続したことによる輸入食肉の調達価格の高騰に加え、調達量においても不安定な状況が続きました。このような状況の中、当社グループの幅広い調達ネットワークや物流網を駆使しつつ、代替国の商品や代替部位の提案を強化することにより安定供給に努めた結果、増益となりました。
生産部門においては、内部コストの改善や自社処理工場の稼働率向上、社外調達の拡大などに継続して取り組みましたが、飼料価格や燃料費の高騰が大きく影響し、減益となりました。
以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比4.1%増の683,301百万円、事業利益は対前年同期比13.7%減の35,573百万円となりました。
〔海外事業本部〕
アジア・欧州事業においては、加工品販売がタイ・台湾で順調に推移したことに加え、トルコでの鶏肉販売や英国での食肉輸出も好調を維持したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、タイで加工品原料高により苦戦したものの、トルコでの販売価格の高値維持や英国での輸出増により、増益となりました。
米州事業においては、米国での豚肉輸出や量販店での加工食品の販売、チリでの豚肉輸出が好調に推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、米国での輸出用豚肉原料価格や加工食品原料価格の高値継続により、減益となりました。
豪州事業においては、オーストラリアでの牛集荷頭数に苦戦する中、輸出及び内販ともに販売が好調に推移したことに加え、ウルグアイにおいても販売が好調に推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、オーストラリアでは牛集荷価格の高値が継続したものの、販売が好調に推移したことや工場稼働の効率化などに取り組んだことにより、増益となりました。一方、ウルグアイでは中国向け輸出停止の影響により、減益となりました。
以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比19.7%増の267,623百万円、事業利益は2,409百万円(前期は104百万円の事業損失)となりました。
〔その他〕
球団事業である北海道日本ハムファイターズにおいては、2021年レギュラーシーズンをパシフィック・リーグ5位で終えました。新型コロナウイルス感染症による入場者数の制限による影響は継続したものの、感染症対策の徹底で主催試合を開催できたことにより、売上げ、利益ともに前年を上回りました。新庄新監督の下でスタートした2022年レギュラーシーズンは、引き続き感染防止対策を最優先に、安全・安心な観戦環境の整備に努めてまいります。
中央研究所で取り組んでいるヘルスサポート事業においては、機能性食品素材のオンラインによるセミナー配信や商談など積極的な販売促進活動を行いました。また、健康食品においては、新商品の機能性表示食品「IMIDEA(イミディア)」のデジタルとリアルをミックスさせた広告活動を行い、認知度拡大に努めました。
新規事業においては、「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向け、「エンタメ事業」「ウエルネス事業」「エシカル事業」の3つの切り口によるサービス提供の準備を進め、「ウエルネス事業」においては、国内食品メーカー初となる食物アレルギーケア総合プラットフォーム「Table for All 食物アレルギーケア」サービスを2022年2月より開始いたしました。
以上の結果、当期のその他の売上高は対前年同期比17.4%増の13,809百万円、事業損失は1,569百万円(前期は1,778百万円の事業損失)となりました。
地域別売上高の状況は以下のとおりです。
① 日本
日本では、食肉及び加工食品の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比3.6%増の1,029,782百万円となりました。
② その他の地域
その他の地域では、主に食肉の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比28.2%増の144,607百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比10.2%増の909,213百万円となりました。資産の部では、棚卸資産が前年同期末比11.2%増の119,980百万円、生物資産が前年同期末比38.9%増の32,755百万円、その他の金融資産が前年同期末比63.4%増の24,648百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比13.2%増の414,306百万円となりました。非流動資産は、有形固定資産が前年同期末比6.0%増の345,022百万円、使用権資産が前年同期末比20.1%増の46,090百万円、無形資産及びのれんが前年同期末比43.9%増の15,269百万円となったことなどにより、前年同期末比7.7%増の494,907百万円となりました。
負債につきましては、未払法人所得税が前年同期末比33.4%減の6,494百万円、退職給付に係る負債が前年同期末比10.9%減の12,951百万円となりましたが、有利子負債が前年同期末比9.1%増の211,407百万円、その他の金融負債が前年同期末比64.8%増の42,810百万円となったことなどにより、前年同期末比10.1%増の419,659百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が40,323百万円増加したことなどにより、前年同期末比10.5%増の479,069百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.2ポイント増の52.7%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ1,543百万円増加し、85,374百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 33,387百万円の純キャッシュ増
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加22,655百万円、法人所得税の支払額21,045百万円などがありましたが、税引前当期利益51,366百万円、減価償却費及び償却費36,464百万円などにより、33,387百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、82,518百万円の純キャッシュ増)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 22,837百万円の純キャッシュ減
投資活動によるキャッシュ・フローは、事業の売却に伴う収入16,628百万円などがありましたが、固定資産の取得44,473百万円などにより、22,837百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、57,827百万円の純キャッシュ減)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 12,162百万円の純キャッシュ減
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加17,065百万円、借入債務による調達27,462百万円などがありましたが、現金配当9,610百万円、借入債務の返済47,490百万円などにより、12,162百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、14,934百万円の純キャッシュ減)。
a. 生産実績(製造原価ベース)
(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。
b. 受注実績
当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。
c. 販売実績
販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りの内容及び新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
2021年4月よりニッポンハムグループは、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」」“たんぱく質を、もっと自由に。” を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指しております。
「中期経営計画2023」の進捗と取組みは以下の通りとなります。
全社としての取り組みは、重点事業への経営資源集中、最適ポートフォリオを追求し、マリンフーズの株式譲渡を実施しました。また最適生産体制の構築のため一部エリアで、生産拠点の再編にも着手し始めました。
「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」については、加工事業においてコロナ禍による原材料価格高騰を受け、価格改定を実施しました。製造工程では、シャウエッセンの高生産ラインを集約し効率化を追求しました。同時に加工事業本部に組み込まれた宝幸やルナ、日本ピュアフードとのシナジー効果が一部発現しました。またサステナビリティ追求として、環境に配慮した包材への変更としてシャウエッセンの包装形態を変更し包装資材重量 28%削減、年間CO2排出量約4,000トン削減につなげていきます。
食肉事業では、穀物相場が高騰し飼料価格が上昇する外部環境のなか、自社処理工場の生産性改善に努めました。調達環境が不安定な中、調達エリアを拡大し、輸入食肉の調達網を拡大しました。また国内においても国産鶏肉と豚の社外からの調達も強化しました。付加価値のある食肉ブランドの拡販に取り組みました。
「海外事業における成長モデルの構築」を掲げた海外事業本部では、北米において原材料価格が高騰し、コロナ禍での製造の安定稼働が難しい中、加工品販売が伸長しました。豪州の牛肉事業では生体価格が高止まりするなか、ブランド食肉の拡販に努めました。
「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」では、D2Cによる新たな商品・サービスによる新しい価値の提供を始めました。具体的にはエンタメ事業では食のエンターテインメントサイト「Meatful」、ウエルネス事業では食物アレルギーケアの総合プラットフォーム『Table for All 食物アレルギーケア』への参入を開始しました。
「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」では、DXを推進し全社システム構築「Connect」に着手しました。生産性向上実現するDXとして、各事業本部でAI引き当て、AI荷繰りの導入を進めています。また、AIを用いた豚の健康や発情状況を判定するスマート養豚が、PIGLABOとして実装段階に入ってきました。人財においても、ダイバーシティの推進、DX人材の育成・確保を進めています。
「中期経営計画2023」1年目としては、売上高1兆1,800億円、事業利益480億円、売上高事業利益率4.1%、ROE6.8%、ROIC5.1%を掲げておりました。当連結会計年度の結果としては。売上高1兆1,744億円、事業利益481億円、ROE10.5%、ROIC5.0%となりました。今後も続く不透明な外部環境への機敏な対応を高めることが引き続き課題と認識しております。
セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。
〔加工事業本部〕
加工事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢による今後の需給動向が不透明な中、原料、燃料価格の高騰や人件費・物流費の上昇など、厳しい環境が続くことが予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」「マーケティング視点での事業拡大」「環境対応と収益性の両立」「事業の軌道化」「成長戦略を支える基盤強化」の5つの方針に沿って、事業戦略を実行してまいります。「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」では、全社視点での最適な製造体制の構築や商品ポートフォリオの最適化、ライン統廃合による合理化、技術革新による生産の標準化などに、「マーケティング視点での事業拡大」では、顧客視点でのマーケティングプロセスの実践や既存ブランド・育成ブランドの拡大と定着、組織統合によるシナジーの発揮などに、「環境対応と収益性の両立」では、包装資材使用量やCO2排出量、食品ロスの削減などに、「事業の軌道化」では、課題事業の収益性向上に、「成長戦略を支える基盤強化」では、組織風土改革や人財育成・獲得、内部統制の高度化などに取り組んでまいります。
〔食肉事業本部〕
食肉事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響に加え、国内における家畜の疾病、異常気象による生体価格や飼料価格の変動、自由貿易協定の拡大や新興国の需要増加など、国内外における食肉の需給バランスが目まぐるしく変化していくと予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「調達力の強化」「販売力の強化」「基盤強化」を基本方針とし、「調達力の強化」では、国内食肉は、自社農場の生産性向上を図るとともに、社外との連携強化や提携などにより安定調達を目指してまいります。輸入食肉は、高品質・安定調達のための既存調達先との連携を強化するとともに、調達リスクを分散するため、新規調達国の開拓を進めてまいります。「販売力の強化」では、重点チャネル攻略によるシェア・収益の拡大、ブランド食肉や付加価値商品の開発による競争力・粗利益率の向上に、「基盤強化」では、人財育成と機能配置の最適化により個を強化するとともに、食肉マーケティング推進室を中心として社内の他部門との連携を図り組織を強化することにより、国内販売シェアを高めてまいります。
〔海外事業本部〕
海外事業本部につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響を最小限に抑え、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めるとともに、「中期経営計画2023」においては、「既存事業の構造改革」「対日向けの加工品・食肉の開発と供給体制の強化」「国外での加工品販売の強化」「成長戦略を支える基盤強化」を基本方針として、構造改革による安定的収益基盤の強化を進めつつ、対日向け・現地内販それぞれの販売拡大を図るとともに、人財育成とガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
また、当社グループの永続的な発展に向け、機能戦略の最重要課題として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に取り組むとともに、部門を横断する4つの経営課題(事業横断戦略、新規事業、北海道プロジェクト、コーポレートコミュニケーション)についても、全社視点で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大による今後の影響につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク ③自然災害や突発事故及び社会的な制度等のリスク」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。
資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
連結子会社の株式譲渡契約
(1) 株式譲渡契約の概要
当社は、2022年2月9日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるマリンフーズ株式会社の全株式及び関連する資産を、双日株式会社に譲渡することを決議し、2022年3月31日に株式譲渡が完了いたしました。
(2) 子会社の名称、事業内容及び当該子会社が含まれていたセグメントの名称
当社グループの事業を支える基盤研究から、応用研究、商品開発に及ぶ研究開発活動は、中央研究所及び各セグメントの開発部門によって展開されております。その中核となる中央研究所では、「Vision2030」実現に向けた5つのマテリアリティ「たんぱく質の安定調達・供給」、「食の多様化と健康への対応」、「持続可能な地球環境への貢献」、「食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄」、「従業員の成長と多様性の尊重」における技術革新及び新規事業を目指した研究開発を推進してまいりました。
当連結会計年度の主な取組みは以下のとおりです。
(1) 「たんぱく質の安定調達・供給」に関する研究開発
当社基幹事業である食肉事業領域における研究開発として、健全で生産性の高い食肉生産を目指した取り組みを継続しております。定期的な家畜の健康診断による農場衛生管理の支援を行うとともに、家畜の健康管理に寄与する新しい技術や新たなブランド食肉の開発につなげる研究開発を進めております。研究結果の一部が科学誌 Journal of Virological Methodsに掲載されました。
持続可能な畜産業を目指した研究開発の一つとしてIoT・AIを活用した養豚管理の技術開発に関する取り組み「スマート養豚プロジェクト」を継続しました。本プロジェクトは養豚事業における働き方の改革と生産性の向上を実現することを目指しており、当社中央研究所とグループ会社のインターファーム㈱が㈱エヌ・ティ・ティ・データおよび㈱NTTデータSBCと連携して進めております。当期におきましては、母豚の発情検知に関する技術の精度向上に努めました。今後、本取り組みを推進し、グループ事業の生産性を向上させる技術を確立し、将来的には畜産の持続可能性と環境負荷低減に貢献することを目指してまいります。
また、持続可能なタンパク質供給で将来期待されている培養肉分野におきまして、インテグリカルチャー㈱(本社:東京都文京区、代表取締役:羽生雄毅)と共同で動物細胞の大量培養による食品生産に向けて基盤技術開発を継続しております。
(2) 「食の多様化と健康への対応」に関する研究開発
国内最大級のたんぱく質供給企業として、中央研究所では当社グループからお届けしている様々な商品におけるお客様の安全・安心の向上に寄与するために、当社グループ品質保証を支える食品検査とその技術開発を積極的に進めております。
その取り組みとして、グループ商品とその原材料の安全を確認するための検査を継続するとともに、食品衛生管理技術の研究開発を進め、事業を通じて社会の課題解決を行い、食の多様化への貢献を図りました。また、食物アレルゲンを検出する食品検査用キットの研究開発においては、当社研究所のコア技術となる免疫応用技術の深化に取り組むとともに、新規検査用キットの開発にも取り組み、食の安全・安心へのさらなる貢献を目指しました。
今後も食品衛生および品質管理のための検査機能強化と、その基盤技術を生み出す研究開発を推進し、当社グループ商品の品質向上と世界の食品産業全体の多様化、安全・安心に貢献していく技術の開発を進めてまいります。
畜産資源の高度利用を目指した健康食品、健康機能素材の研究開発および事業性検証を継続しております。当期におきましては、「疲労感軽減」と「記憶力維持」をダブルでサポートする機能性表示食品「IMIDEA(イミディア)」を開発し、上市しました。
また、中央研究所に所属する管理栄養士(公認スポーツ栄養士)が、北海道日本ハムファイターズやセレッソ大阪及びジュニアの選手に対し栄養指導を行っており、今後も「食と健康」分野の取り組みを継続し、社会の発展に貢献してまいります。
当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、
なお、当社グループの研究開発活動は、主として食品事業活動に必要な基礎研究から商品開発に及ぶ様々な研究開発を推進しており、特定のセグメントに関連付けることが困難であります。