文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援などにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。
その基盤として、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」のさらなる充実と、2021年4月に見直しを行ったニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」への取り組みを推進してまいります。当社グループがこれらについての取り組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値を高めることにつながると考えております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2021年4月よりスタートした「中期経営計画2023」(2021年4月1日~2024年3月31 日)の最終年度において、連結売上高1兆2,200億円、事業利益610億円、事業利益率5.0%、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上の目標を掲げており、次期(2024年3月期)がその最終年度となります。
次期の売上高につきましては「中期経営計画2023」策定時の想定よりも食肉相場の高騰や、新型コロナウイルスの規制緩和による影響を踏まえ1兆2,600億円へ修正しております。一方、事業利益につきましては、原材料価格やエネルギー価格の高騰などの影響により380億円へと修正しております。結果、売上高事業利益率も3.0%へ修正しております。また、事業利益の修正を主因としてROEにつきましては4.6%、ROICは3.5%を見込んでおります。
(注) 1 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
2 「中期経営計画2023」並びにその見直し・修正計画など(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。
(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題
当社グループは、2021年4月に「中期経営計画2023」およびニッポンハムグループ「Vision2030」を策定しました。
今後の経営環境を見通しますと、新型コロナウイルス感染症に伴う新たな生活様式の定着や食ニーズの多様化、グローバル経済の拡大による需給バランスの変化、世界の人口増加による食糧不足、SDGsに代表される地球環境や社会課題への意識の高まり、AI(人工知能)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などによるデジタル革命やフードテックの拡大、国内での人口減少・高齢化による市場規模の縮小など、これまでにない大きな変化となっており、当社グループにおける経営課題も一層高度化かつ複雑さを増し、将来に向けたビジネスモデルの変革が求められております。
このような環境下において、2021年4月よりスタートしました「中期経営計画2023」は、経営理念の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿であるニッポンハムグループ「Vision2030」をマイルストーンとして位置付け、その達成に向け、既存事業の強化と構造改革、持続可能性の追求、成長領域における事業育成について中長期視点で取り組んでまいります。また、ニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要な社会課題として特定したニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」の取り組みを「中期経営計画2023」における各施策とリンクさせ、実行力を高めてまいります。これらを支える経営の基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」の推進と「コーポレート・ガバナンス」の継続的な強化に取り組んでまいります。
<ニッポンハムグループ「Vision2030」>“たんぱく質を、もっと自由に。”
ニッポンハムグループ「Vision2030」は、これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという当社グループの想いを「2030年におけるありたい姿」として表現しております。
<ニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」>
①たんぱく質の安定調達・供給
世界的な人口増や気候変動などに伴い、たんぱく質の供給難が予測されておりますが、ニッポンハムグループはたんぱく質の安定調達と供給を目指します。これまでの品質に対する安全・安心への取組みに加え、サプライチェーンにおける環境や人権・動物福祉などの社会側面を配慮しつつ、多様なたんぱく質への取組みを推進してまいります。
②食の多様化と健康への対応
ライフスタイルなどの変化に伴い、食においても多様な対応が求められております。様々なニーズに合わせた商品の開発とサービスの提供により、楽しく健やかなくらしに貢献してまいります。
③持続可能な地域環境への貢献
気候変動や食品ロス、海洋プラスチックなど地球環境を取り巻く様々な課題がある中、ニッポンハムグループの事業は自然からの恵みをいただくことで成り立っており、バリューチェーンを通じて温室効果ガスや食品ロス、プラスチックなどの課題解決に向けての取り組みを推進してまいります。
④食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄
ニッポンハムグループは「良き企業市民」として食やスポーツなどを通じた繋がりを深め、共に歩み・発展することで愛され信頼される企業を目指してまいります。
⑤従業員の成長と多様性の尊重
ニッポンハムグループは「従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場」となることを目指しております。ひとりひとりを尊重し、それぞれが持てる力を発揮・活躍できる環境づくりを推進してまいります。
<経営方針>
①収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト
ニッポンハムグループの調達力や販売力のさらなる強化、全体最適視点での製造収益構造の確立、マーケティング視点での事業拡大に取り組んでまいります。
②海外事業における成長モデルの構築
有望領域として定める地域における加工品の販売や、対日向けの加工品・食肉の開発・供給体制の強化に取り組んでまいります。
③新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供
各事業本部で取り組む新たな価値提供に加え、D2C(Direct to Consumer)を活用した新規領域やスポーツ事業に積極的に取り組んでまいります。
④ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化
各部室におけるミッション遂行に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、全社戦略の立案と推進機能の強化、人財マネジメントの強化などに取り組んでまいります。
<部門横断推進戦略>
①事業横断戦略
ニッポンハムグループの永続的な発展に向け、事業本部を越えてグループ一体となった総合力を発揮する全社共通戦略を企画・実行してまいります。
②新規事業
将来の環境変化を見据えた新たな成長領域への取り組みを加速し、具体的な事業化を目指すとともに、挑戦する風土の醸成にもつなげてまいります。
③北海道プロジェクト
グループの拠点が多数立地する北海道において、2023年の新球場の開業に向けて本業とのシナジーを創出するとともに、地域の発展に貢献してまいります。
④コーポレートコミュニケーション
コーポレートコミュニケーション機能を強化し、ステークホルダーとの戦略的コミュニケーションの展開によりレピュテーションの向上に取り組んでまいります。

本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、当連結会計年度末現在における一定の前提に基づき当社グループが判断したものであり、様々な要因により実際の結果は大きく異なる可能性があります。
(1)当社グループのサステナビリティに関する基本的な考え方
当社グループは、企業理念の実現を追求するうえでのマイルストーンとして、2021年3月に「Vision2030」を策定しました。これは、2030年における「ありたい姿」を描いたもので、これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない自由な発想でたんぱく質の可能性を広げ、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという想いを込めています。
このビジョンの策定を機に、従来の「5つの重要課題」を見直し、「Vision2030」の実現に向けて優先的に解決すべき社会課題を「5つのマテリアリティ」として再特定しました。
当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて「5つのマテリアリティ」の達成を目指してまいります。
「5つのマテリアリティ」は「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。また、詳細につきましては、当社ウェブサイト「サステナビリティ」に掲載しておりますので、ご参照ください。(https://www.nipponham.co.jp/csr/)
① ガバナンス
当社グループは、当社の代表取締役社長が指名する取締役、執行役員及び社外有識者で構成される「サステナビリティ委員会」を設置しております。同委員会は原則として四半期に1回開催しており、ESGに関する知見を有する社外有識者や社外取締役からの意見を踏まえ、サステナビリティに関する方針、戦略の策定、グループ各社の取り組み状況の確認などを行います。その内容をまとめ、決定機関である取締役会に諮っております。
同委員会の下部組織である「ES(環境・社会)部会」と「TCFDタスク会議」は、サステナビリティ担当取締役と関係部署の部室長などで構成されており、委員会で話し合われた戦略を具体化し、事業部門の施策に展開しております。

② 戦略
当社グループは、「Vision2030」の実現に向け、「5つのマテリアリティ」を掲げ、サステナビリティ戦略と事業戦略の融合による持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。「5つのマテリアリティ」に沿った各種の施策について、様々なステークホルダーと対話を重ねながら実行することにより、事業を通した社会課題の解決に努め、持続可能な社会の形成に寄与してまいります。
具体的な施策については、「④指標と目標」に記載のとおりです。
③ リスク管理
当社グループにおける全般的なリスク管理については、「3事業等のリスク (1)リスクマネジメントに関する体制」に記載しております。サステナビリティに関するリスクにつきましても、基本的にはこの枠組みでマネジメントされますが、とりわけ、気候関連のリスクや機会の特定、戦略並びに具体的な施策の検討は「TCFDタスク会議」が行い、上部組織である「サステナビリティ委員会」での討議を経て、取締役会にて審議・決定をしております。
④ 指標と目標
当社グループは、「5つのマテリアリティ」に沿って、それぞれ施策・指標を策定しております。各施策や指標の進捗状況については、業務執行部門により定期的に取締役会に報告されております。
(注) 1 SAQはSelf-Assessment Questionnaire(自己評価シート)のことを指しております。
2 *1は当社グループの連結子会社を対象としております。
3 *2の詳細については「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への取り組み」を参照ください。
4 *3の詳細については「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本」を参照ください。
(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への取り組み
当社グループは、「Vision2030」の実現に向けて優先的に解決すべき社会課題を「5つのマテリアリティ」として再特定しました。
企業理念の実現に加え、持続的な社会の実現のためにも、気候変動への対応は不可欠と考えております。2015年の「パリ協定」、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5℃特別報告書」、2021年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」を経て、気候変動対応の重要性はますます高まっています。このような状況を受け、当社は世界の主要食肉企業に先駆けて2020年にTCFD提言への賛同を表明いたしました。その後、2021年10月のTCFD中間開示を経て、2022年5月に開示を開始し、2023年6月に更新いたしました。
① ガバナンス
当社グループでは、「持続的な地球環境への貢献」をマテリアリティの一つとして特定しております。サステナビリティに関する方針や気候変動を含む施策について、社内に設置された「サステナビリティ委員会」で議論しています。この委員会は、代表取締役社長が委員長を務め、取締役・事業本部長、社外取締役、社外有識者で構成され、広く意見を交換しています。サステナビリティ委員会での議論の結果は、取締役会に報告され、審議・決定されています。
「TCFDタスク会議」は2021年度、「サステナビリティ委員会」の下部組織として設置されており、サステナビリティ担当取締役・事業本部管理統括部担当役員・コーポレートスタッフ部門担当者および中央研究所責任者で構成され、気候変動に関するリスク・機会の抽出、シナリオ分析や事業インパクトの影響および対応状況の検討を全社レベルで行っています。
また、これら会議体の事務局であるサステナビリティ部については、経営企画部門内に配置され、担当取締役がサステナビリティ分野を統括する任を担っています。
(検討プロセス)
2022年度はTCFDタスク会議を7回、さらに詳細な検討を行うために事業本部と事務局での会議を7回実施し、リスクおよび機会に対する施策の検討、議論を行いました。検討の進捗についてはサステナビリティ委員会等に報告し、最終的に取締役会の合意を得ています。
② 戦略
サステナビリティの戦略のうち特に重要となる気候変動対応に関しては、 2015年のパリ協定、2018年のIPCCによる「1.5℃特別報告書」の内容も踏まえ、当社グループの主要事業において気候変動が与えるリスク・機会についてのシナリオ分析を行いました。その結果、中長期的に、畜産・畜肉の事業環境が大きく変わる可能性があることがわかり、特に重要な物理的リスクとして、気温上昇により飼料穀物収量、家畜生育に対して中長期的に大きな影響を及ぼす可能性があると特定しました。
当社グループではそれらリスクに対して、飼料配合の変更や飼育環境の制御技術の向上などにより飼料要求率の改善(※)に取り組んでいます。また、水害に対しては、災害時の安定した供給体制を構築しております。水ストレスに関しては水の有効活用、節水について環境目標を定めて推進しております。
また、低炭素・脱炭素を実現するために導入される炭素税によるエネルギー費用の上昇を重要な移行リスクとして特定しています。加えて、昨今のエネルギー価格・穀物飼料価格高騰が長期化する可能性、畜産業における家畜由来の温室効果ガス排出の削減なども重要な課題として認識しており、その削減については社外研究機関と連携して研究・開発を進めております。
一方で、人口増によるたんぱく質需要の増大、低炭素社会への移行に伴う消費者意識の変化や技術革新等などの影響を考慮し、畜肉に加え、新たんぱく質市場の成長を重要な事業機会として特定しています。大豆等植物や、微生物由来のたんぱく質、さらに、細胞性食品(培養肉)含め研究・開発を進めており、今後、マテリアリティおよび中期経営計画に反映させていく予定です。
※ 配合飼料における穀物等の配合を成長に適したものに調整し、効率の良い体重増加を促すこと。
③ リスク管理
気候関連のリスク特定とマネジメントは、「持続可能な地球環境への貢献」に向けた重要な課題と位置付けています。その取り組みとしてリスクや機会の特定、戦略並びに具体的な施策の検討はTCFDタスク会議で行われ、その上部組織であるサステナビリティ委員会での討議を経て、取締役会にて審議・決定をしています。また、2022年度に全社的な気候変動のリスクについてはリスクマネジメント委員会(※)でリスクを発生頻度と影響度等で分類したリスクマップにて抽出されており、具体的な気候変動リスクへの対応についてはTCFDタスク会議で検討し、推進しております。
※ 全社的なリスクを一元的にカバーし、各種リスクの識別、評価、重点リスクの特定および対応方針の検討などを努める場として設置する委員会。同委員会の方針を踏まえ、各事業部門および各部署は自らの事業領域や職掌に関するリスクの統制活動を実施しており、これらの結果は同委員会を通して取締役会に報告され、必要に応じた対応がとられる体制を構築しています。
④ 指標と目標
当社グループは、「中期経営計画2023」において「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」を経営方針として定めています。また、マテリアリティ「持続可能な地球環境への貢献」を実現するためにも、中長期環境目標として2030年度を見据えた化石燃料由来のCO2排出量削減を設定しています。2022年度には海外における2030年度をゴールとした環境目標を設定しました。今後はより一層グローバルな観点で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めて行き、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。
また、物理リスクとしては水ストレスについても特定しており、それに対する指標としては、CO2排出量削減と同様に中長期環境目標として2030年度を見据えた目標を設定、水資源の有効活用に努めております。
また、日本最大級(※)のたんぱく質供給企業として、より環境負荷に配慮した畜産業を追求することは使命と考えています。家畜由来の温室効果ガス排出量をグループ全体で可視化、開示しています。削減に向けて、国内では豚、海外では牛由来のGHG削減に向けた研究開発を社外研究機関と協力して推進し、効果が確認できた施策については自社の農場に導入する予定です。
※ 当社取り扱い重量データおよび外部データをもとに当社にて推計しております。
(シナリオ分析)
「1.5℃/2℃上昇シナリオ」と「4℃上昇シナリオ」の2つの気候変動シナリオをもとにした前回のシナリオ分析について引き続き内容の深掘り、特に対応状況の検討を進めてまいりました。
シナリオ分析においては、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によるRCP2.6(2℃未満シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)およびIEA(国際エネルギー機関)によるNet Zero by 2050 シナリオ(1.5℃シナリオ)等を参照しています。
2021年度に実施したシナリオ分析の結果、当社グループの気候変動に対する重要なリスク・機会として、以下のものが特定されました。
a. 飼料価格の上昇・不安定化
(現在の状況)
今後、人口増による食糧需要の拡大、気候変動による穀物飼料の大幅な収量の増加が見込めないため、穀物飼料の需給ひっ迫が見込まれます。気候変動に伴う局所的な干ばつの発生頻度増が飼料穀物供給において大きな不安定要素となる可能性も指摘されています。その不安定化要素が顕在化した場合は、飼料価格の上昇が考えられ、当社グループにおける畜肉生産コストに大きな影響を及ぼす可能性があります。加えて、昨今の穀物輸出国の情勢の不安定化などにより、穀物価格が上昇、伴って飼料価格も上昇しています。このトレンドは今後も継続する可能性があるため、対策の検討をはじめています。
また、日本の飼料用トウモロコシの調達先は主に米国とブラジルであり、両国における水ストレスに関する分析結果から、ブラジルは現在・将来ともに低水準である一方、米国では主要飼料生産州において水ストレスの悪化が見込まれています。加えて、米国は牛肉・豚肉の主要な調達先でもあり、飼料穀物不作によって食肉供給に影響が出る可能性もあります。これらの環境変化は、飼料調達コストやグループ外からの畜肉調達コストに長期的なリスクをもたらす可能性があると考えられます。
(対応の状況)
当社グループでは、穀物飼料価格高騰への対策として過去から飼料要求率(家畜の増体重量当たりの必要飼料量)の改善に取り組んでおり、技術開発を進めることで、飼料コストの削減を進めています。今後も飼料要求率改善の取り組みを継続してまいります。さらに、輸入する飼料穀物の不足や高騰の際に安定的に飼料調達を行うため、飼料会社を巻き込んで対策を進めております。具体的には、玄米など国産原料を活用した独自配合飼料の共同開発などを通じて、国産原料の利用拡大に向けた給餌を行うことで、安定的に飼料を調達する施策の検証をしております。
また、グループ外からの畜肉調達におけるコスト上昇や不足の影響にも対応するため、気候変動を考慮した畜肉調達先の検討に取り組み、安定した供給を維持するため、同じ国や地域でも新たな取引先を開拓して調達先を拡大し、より安定的な畜肉調達網の構築を進めております。
b. 家畜生育への気温上昇影響
(現在の状況)
家畜の生育には気温や湿度などの環境が大きく影響します。当社グループの生産飼育拠点が存在する日本、豪州、トルコにおいて、分析を行った結果、気候変動による気温上昇に伴い、一日あたり増体量が数パーセント悪化する可能性があることから肥育における緩和策を実施しております。
また、気温の上昇は、グループ外からの畜肉調達コストについても長期的リスクの可能性となることについてはこれまで通りと考えております。

(事例)
養鶏時の暑熱対策として、トルコの鶏舎においては全てクーリングパッド(※1)、国内の鶏舎においてはそれぞれが所在する地域の特性に合わせて対策を展開しています。例えば、宮崎県と新潟県に所在する鶏舎についてはすべてクーリングパッドまたはミスト装置(※2)を設置、北海道については設置予定の鶏舎のうち約67%に装置が設置されており、残りの鶏舎についても、設置を進めるとともに、その効果を検証していく予定です。一方、青森県では夏場の湿度が高く、主な鶏舎構造であるセミウィンドレス鶏舎(半無窓鶏舎)においては、ミスト装置を使用した場合鶏舎の湿度が上がってしまい、鶏の生育への影響が予測されます。そのため東北地方では遮熱対策として窓開放の上、送風装置を使用しております。
今後については、更に換気や飼育管理などの改善を行うとともに、暑熱環境下での生産成績を上げるための技術開発の検討を進めてまいります。
c. 拠点における災害リスクの高まり
(現在の状況)
気候変動に伴い異常気象が増加する中、激甚災害のリスクが高まると言われています。当社グループでは、農場、処理・製造工場、物流センターの合計226拠点(国内206拠点・海外20拠点)のうち、国内6拠点および海外7拠点が洪水高リスクの地域に位置していることを確認しました。
2022年度は新たに高潮に関するリスクについて確認した結果、国内2拠点および海外3拠点が高リスクの地域に位置していることが判明しました。
なお、評価においては、国内拠点についてはハザードマップを、海外拠点についてはWorld Resources InstituteのAqueductを参照しています。
(対応の状況)
洪水高リスクの地域に位置している国内6拠点および海外7拠点については、2022年度に実施した分析並びに現地へのヒアリングの結果、引き続き洪水による影響は軽微と判断されました。また、国内の水害に対しての保険を付保することで対応していると2021年度に評価したものの、一部で十分にカバーできない可能性が判明しました。対応について改めて検討します。
また、高潮への対応については、国内の2拠点は被災時に他の製造拠点から主要製品が供給できることを確認しており、大きなリスクにはならないことが確認できました。海外の3拠点中2拠点は高潮に加えて洪水のリスクはあるものの過去の災害状況及び浸水対策等により、影響は軽微と判断しています。他の1拠点は豪州の処理工場です。豪州は3か所ある処理工場の所在地を分散させて配置しており、万が一自然災害による影響を受けた場合の事業影響は軽微と判断しています。洪水、高潮については、リスクとしては軽微と見込まれますが、今後もリスクモニタリングを継続します。
対応状況について、下表に記載しています。
d. 拠点における水ストレスの高まり
(現在の状況)
World Resources InstituteのAqueductのWater Stress指標を用いて、グループ内の農場、処理・製造工場、物流センターの合計226拠点(国内206拠点、海外20拠点)について、水ストレスの初期評価を実施しています。
(対応の状況)
初期評価の結果、国内拠点については、いずれの拠点も水ストレスによる影響が大きくなる可能性は低いと評価されました。一方、海外拠点については、2℃上昇シナリオでは8拠点、4℃上昇シナリオでは9拠点が、高い水ストレスを受ける可能性があることが判明していますが、いずれも影響は軽微と確認しています。2022年度に改めて状況を確認したところ変化はありませんでした。
水ストレスについては、マテリアリティとして特定した「持続可能な地球環境への貢献」に基づく目標設定を海外にも範囲を広げ水使用量削減の取り組み、水資源の有効活用に努めています。
水ストレスに関するリスクは、今後も継続的にモニタリングを行います。また、中長期環境目標の達成に向けて、取り組みを継続します。
e. 炭素税によるコスト増
(現在の状況)
化石燃料由来のCO2排出に対する炭素税の導入が事業に与えるインパクトを算出しました。グループ事業所からのCO2排出量について、2021年度の排出量での計算と2030年度の削減目標が達成された場合を比較しました。炭素税価格についてはIEAのWorld Energy Outlook 2021のNet Zero by 2050シナリオ(1.5℃目標相当)に則り2030年度はUSD130/t- CO2、2050年度はUSD250/t- CO2として算出いたしました。
その結果、1.5℃シナリオにおいて導入が進む炭素税は、事業に大きなインパクトを与える可能性が特定されました。また、先進国における現行の炭素税制を考慮した上で、今回の評価では化石燃料由来のCO2排出のみを対象としております。しかしながら、中長期的には家畜由来の排出に対しても炭素税導入の可能性があり、削減施策の検討を進めてまいります。
また、国際情勢の影響により、化石燃料の高騰が続いています。この状況が2030年まで続いた場合、国内の電気料金が2022年と比べて年間約10~20億円程度の影響を受ける可能性があります。
(注)1 「*」については1USD=130円で算出しております。
(対応の状況)
化石燃料由来のCO2排出の削減に取り組むため、当社グループは老朽化設備の更新を含めた省エネ機器の導入や再生可能エネルギーの利用拡大を進めております。例えば自社敷地等における太陽光パネルの設置や、製造工程から発生するバイオマス資源の活用にも力を入れており、豪州では排水由来のバイオガスプラントが稼働しております。国内では、加工食品事業で使用済みのフライ油や排水中の油分を回収したものを燃料として活用する廃油ボイラーにより、年間約2,600 tのCO2削減の効果が期待されます。

太陽光発電については2023年4月時点で国内24拠点に設置され、年間の発電量はおよそ6,400 MWhと見込まれます。さらに、北海道南幌町には年間約3,000 MWhの発電量を有する太陽光発電施設の設置を計画し、そこで発電した電力はグループの養豚施設に供給する予定です。加えて北海道旭川市にもおよそ1,100 MWhの太陽光発電施設の設置を計画しています。また、当社グループは2023年度より、一定金額以上の設備導入・更新時にインターナルカーボンプライシング(ICP)の考え方を取り入れています。
家畜由来の温室効果ガス排出削減についても具体的な施策を推進中です。豪州牛事業では、飼料への添加物配合による消化管内発酵メタン抑制の検証とともに、牛の肥育や肉質への影響についての検証を進めております。また国内の養豚事業では排せつ物・排水処理から発生するバイオガスのエネルギー利用を行っております。さらに、家畜由来のメタン排出量抑制につながる研究については北海道大学、大阪大学、徳島大学とそれぞれ連携して進めております。
f. 環境志向消費の強まり
(現在の状況)
脱炭素が進む社会では、気候変動への関心が高まり、環境対応が進む企業や商品が選ばれやすくなることが予想されます。当社グループは、サステナビリティ価値を実現し、消費者に伝えることがますます重要になると認識しています。
このため、グループ全体で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進し、サステナブルな商品・サービスを提供することを目指しております。さらに、消費者の期待に応えるため、持続可能性に配慮したパッケージングや、環境負荷の低い商品開発なども積極的に取り組んでいます。
(対応の状況)
当社グループでは、パッケージの使用量が大きい主力ブランドを中心に取り組みを継続して実施しています。2021年度には「シャウエッセン®」の包装形態を巾着タイプからエコ・ピロタイプへ変更、さらに2022年度には中華名菜®群のノントレイ化を実施しました。これにより、プラスチック使用量を削減することで、およそ4,380 tのCO2排出量を削減できると想定しています。このほか、「豊潤®」などのウインナー商品のエコ・ピロタイプへ切り替え、「イーセイ スキル」シリーズの容器をプラスチックから紙へ変更、その他の製品についても包装サイズの見直しやプラスチックトレイの縮小、紙トレイへの変更など、プラスチック使用量の削減を通して、CO2排出量の削減に継続して取り組んでいきます。
また、原料の一部にバイオマス素材を使用したプラスチックの利用について、加工食品の包材での一部使用に加え、鶏肉「桜姫®」の包材の一部にも使用を拡大しています。
加えて、「あじわいレンジ」シリーズなどの食品ロス削減につながる常温長期保存商品についても「中期経営計画2023」における注力領域として取り組みを強化しています。これらの取り組みの拡大を進めるとともに、今後はサステナビリティ価値のより明確な商品開発に取り組みます。
g. 新たんぱく質市場の拡大
(現在の状況)
将来的には世界人口増によるたんぱく質需要の増大を背景に、畜肉市場に加えて新たんぱく質を含め市場の拡大が見込まれます。特に、脱炭素社会への移行に伴う消費者意識の変化や技術革新等も背景となり、新たんぱく質市場は大きな成長が予想されます。外部機関が公開している新たんぱく質の将来市場規模の推計値には幅がありますが、脱炭素への移行が進むシナリオにおいては、グローバルで数十兆円超規模の市場が見込まれており、中長期的に大きな事業機会が生まれることが予想されることから、引き続き研究開発に取り組んでおります。
(対応の状況)
当社グループは、すでに植物由来商品である「ナチュミート」シリーズをコンシューマ向け、外食・流通企業向け双方で展開し、国内での販売を進めています。また、日本発のPBF(Plant-Based Food)として海外にも販売しています。
新たんぱく質については畜肉の代替だけではなく、水産資源の枯渇などを踏まえ、水産物代替品の開発も進めており、国内でフィッシュ風フライを外食産業向けおよびコンシューマ向けに販売をしています。また、昨今の海外からの原料調達の状況を踏まえ、国産素材を活用した製品の研究・開発も進めています。当社グループは2030年度の植物由来たんぱく質製品の売上高100億円を目標に開発・拡販を進めています。
当社グループは植物由来たんぱく質に限らず、多様なたんぱく質の活用を視野に研究開発を進めています。家畜由来の細胞を大量に増やして食品とする細胞性食品(培養肉)に関しては、インテグリカルチャー㈱との共同研究を行っております。また、コストの高い動物血清を使用しない、食品を主成分とした培養液を使用し、これまでより安価に細胞を培養する方法の開発など、将来の商品化に向けた研究を進めております。さらに、微生物由来も含めた新たんぱく質の食品への応用の可能性も検証を進めております。
畜肉由来のたんぱく質を基盤に新たんぱく質を含めたたんぱく質の可能性を広げ、安定供給と多様な食の選択肢を提供してまいります。
<培養肉のイメージ>

(3) 人的資本
当社グループは企業理念に「わが社は、従業員が真の幸せと生きがいを求める場として存在する」と掲げており、企業価値最大化に向けて重要な原動力である人財を「人的資本」と捉え、その価値を最大化するための「人財戦略」を策定しております。
また、経営戦略や事業戦略とも連動させていくことにより、「個人・組織の成長(人的成長)」と「グループの成長(企業価値向上)」との両立を目指しています。
その実現に向けた柱となるのは、「個の成長」、「組織の成長」、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」であり、それぞれの求める成果に紐づく取り組みを人的資本投資として推進しております。

①戦略
a. 人財育成方針
多様な価値観や経験・知が交わることによる新たな気付きや発想を重視し、組織における人財の多様性を高める取り組みや多様な人財の交流機会創出を推進してまいります。
「キャリアの考え方」については、「会社から提供されるもの」から「個人と会社が一緒にすり合わせて築くもの」へシフトし、キャリア自律を目指して従業員自らがキャリアを描き成長していくことを支援しております。
「挑戦」については、各々のやりがいや成長につながる機会であると同時に、組織や会社全体の価値創造につながる重要なマインド・行動として捉え、様々な機会や仕組みで、「挑戦」の奨励・促進を進めております。
b. 社内環境整備方針
心理的安全性実感の下、多様な価値観が尊重され一人ひとりが生き生きと活躍できる環境を提供し、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの実現をめざしていきます。
多様なキャリア・働き方が選択できるような、働き方改革・学び方改革、両立支援の取り組みを進めていくと同時に、多様な個・経験・スキルが活かされ、共に成長できる場の実現にも取り組んでまいります。
また、健康経営の推進にも力をいれてまいります。
(注) 1 当社日本ハム㈱の実績と目標であります。
2 *につきましては、法律の改正に伴い目標を随時変更する可能性があります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本項においては将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、特段の断りがない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) リスクマネジメントに関する体制
当社は、リスクマネジメントに関する基本方針や管理体制の概要を定める「リスクマネジメント規程」に基づき、代表取締役社長を最高責任者とするリスクマネジメント体制を採用しております。
代表取締役社長により設置される「リスクマネジメント委員会」では、全社的なリスクを一元的にカバーしており、各種リスクの識別、評価、重点リスクの特定および対応方針の検討に努めております。同委員会の方針を踏まえ、各事業部門および各部署は自らの事業領域や職掌に関するリスクの統制活動を実施しており、これらの結果は同委員会を通じて取締役会に報告されます。取締役会では、同委員会で検討した当社グループの経営活動に大きな影響を及ぼす可能性のある重要なリスクについて対応方法の検討を行っております。また、重大なリスクの顕在化を認識した際には、想定される影響度に応じた対策機関を組成し、迅速かつ適切な対応に努めております。
なお、日常的な事業活動から生じる商品市況リスクへの対処は各事業部門、財務リスクへの対処は経理財務部および関係する各事業部門が実施しております。
リスクマネジメント委員会の機能・位置付け

(2) 事業遂行上のリスク
リスクマネジメント年間スケジュール
当社では、リスクマネジメント委員会においてグループで対応すべき重点リスクを特定し、優先順位をつけ年間を通じてリスク対応を行っております。

グループを取り巻くリスク全般から大きな影響を及ぼす可能性があるリスクを抽出しプロットしたリスクマップを掲載します(下図)。
当社グループで取り組む重点リスクを特定する際には、本リスクマップや社会状況、当社グループの状況を勘案し決定します。その他、グループ各社別のリスクマネジメントの状況を監督し、適時顕在化してきたリスクをリスクマネジメント委員会で取り上げ、必要に応じてグループ全体でリスク対応を実施します。
なお、リスクマップ中のリスク項目について、以下に記載しますが、これらは、当連結会計年度末現在の状況に基づき、当社グループにて判断したものになります。

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概況は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの体制への移行が進められる中、景気に持ち直しの動きが見られました。一方で、世界的な金融引締めの継続、物価上昇、コスト増に伴う人財不足や物流の滞りといった供給面での制約、金融市場の不安定化などの影響が見通しにくく、先行き不透明な状況が続きました。
当業界におきましては、継続する原材料価格の高騰やエネルギー価格の上昇及びこれらの影響による各種商品の値上げが家計を直撃したことにより、消費者の節約志向・低価格帯へのシフトが進みかつてない厳しい状況が続いております。
このような中、当社グループは、「2030年におけるありたい姿」として掲げたニッポンハムグループ「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けて事業展開を推進してまいりました。
具体的には、事業環境の変化に対しては、販売価格への転嫁、商品の規格変更、節約志向に対応するためのより安価な調達先・商品の選別に取り組みました。また、ブランド商品の拡販、エネルギー価格の上昇を吸収するための節電対策や生産部門の効率化などにも注力しながら、引き続きお客様へ安全•安心で高品質な商品をお届けするため、生産、物流、営業体制の強化を図りました。
サステナビリティに関する取組みとしては、化石燃料由来のCO2排出量削減・水使用量削減について海外における目標を設定しました。また、AIを用いた豚の健康や発情状況を判定するスマート養豚システム「PIG LABO」の製品化を推進しました。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進については、2022年4月に会計システムを刷新しました。業務システムは、効果の最大化に向け計画の見直しを図りました。
加えて、サステナブルなビジネスモデルへの変革及びシナジー最大化のための事業戦略として「物流」「営業」のグループ内横断プロジェクトを推進しました。
経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、主として食肉事業及び海外事業において食肉相場の高騰によって販売価格が上昇したことにより、対前年同期比9.4%増の1,259,792百万円となりました。事業利益は、原材料価格やエネルギー価格などの大幅な上昇分を全て吸収することができず、対前年同期比46.8%減の25,596百万円、税引前当期利益は事業利益の減少などの影響で対前年同期比57.2%減の22,162百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比65.4%減の16,637百万円となりました。
なお、当社は2023年1月31日開催の取締役会において、最適な事業ポートフォリオ構築に向け当社の連結子会社であるBreeders & Packers Uruguay S.A.(以下、「BPU」)の全株式を、Minerva S.A.に譲渡することを決議いたしました。これにより、当連結会計年度においては、BPUに関連する牛肉事業を非継続事業に分類するとともに、前連結会計年度についても、再表示し、当該非継続事業を区分して表示しております。
(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
海外事業本部には、非継続事業に区分したBPUに関連する牛肉事業を含めております。
〔加工事業本部〕
加工事業本部全体においては、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の緩和などにより業務用商品が伸長しましたが、価格改定後の商品動向の変化からコンシューマ商品が減少し、売上げは前年を下回りました。また国際的な穀物や原油の相場上昇、円安の進行などによる想定を上回る原材料価格とエネルギー価格の上昇に伴い、厳しい収益環境となりました。
ハム・ソーセージ及びデリ商品事業においては、価格改定を実施したことで販売単価は上昇したものの、主力ブランド商品が想定以上に伸び悩みました。ハム・ソーセージ部門は、業務用商品が前年を上回りましたが、コンシューマ商品は主力の「シャウエッセン」でTVCMを導入し販促を強化したことで回復基調にあるものの、上期までの落込みをカバーできずに前年を下回りました。デリ商品部門は、業務用商品が外食チャネル向けで前年を上回りましたが、コンシューマ商品は、主力のチルドベーカリーがスナック需要の拡大から好調に推移したものの、「中華名菜」の回復が遅れ前年を下回りました。
エキス・一次加工品事業においては、エキス部門は、外出自粛の緩和に伴いラーメン店を中心とした外食チャネル向けスープや、中食チャネル向け業務用たれが好調に推移しました。一方、一次加工事業部門は、未加熱加工品の中食チャネル向け販売が減少し前年を下回りました。
乳製品・水産事業においては、チーズ部門は、主力の業務用商品は外出自粛の緩和に伴い外食チャネル向けの売上げが伸長し、前年を上回りました。また、ヨーグルト・乳酸菌飲料部門は、価格改定後の商品動向の変化によりコンシューマ商品の主力「バニラヨーグルト」の量販店チャネル向けの売上げが減少しましたが、CVSチャネル向けドリンクヨーグルトの伸長などにより、前年並みとなりました。
加工事業本部全体の利益につきましては、売上げ減少や原材料価格、エネルギー価格などの上昇に加え、DX構築に向けた先行費用が増加したことで減益となりました。
以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比15.9%減の417,738百万円、事業利益は対前年同期比65.8%減の5,018百万円となりました。
〔食肉事業本部〕
国内事業においては、生産部門においてコスト低減に注力したものの、第3四半期連結累計期間から継続して飼料価格及びエネルギー価格の高止まりが影響し苦戦を強いられました。また、社外からの調達強化や生産性向上による数量確保に努めましたが、国産豚は拠点再編計画による自社処理量の減少、国産鶏では鳥インフルエンザ発生の影響により出荷量が減少しました。豚肉、鶏肉の相場が堅調に推移したことにより売上げは前年を上回りましたが、生産コスト増加が響き減益となりました。
輸入調達部門においては、主要国生産量が伸び悩む中、世界的な需要回復基調によって調達価格は高値が継続しました。外食向けの売上げは回復基調にあるものの、業界全体での国内在庫増加から価格転嫁が進みにくく、大幅な減益となりました。
販売部門においては、消費者の節約志向の高まりなどによる量販店の需要減少が続きましたが、国産鶏肉「桜姫」の20周年キャンペーンの実施などで販売量の維持に努めました。インバウンドの急回復、新型コロナウイルス感染症による行動制限緩和により外食チャネルを中心に売上げが伸長した結果、売上げ・利益ともに前年を上回りました。
以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比9.8%増の750,109百万円、事業利益は対前年同期比18.2%減の29,082百万円となりました。
〔海外事業本部〕
アジア・欧州事業においては、加工品販売がベトナム・台湾で順調に推移したことに加え、トルコでの鶏肉販売も高値を維持したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、タイにおける加工品原料高、トルコにおける継続的な穀物飼料高の影響などにより減益となりました。
米州事業においては、米国での加工食品の販売、チリでの豚肉輸出が好調に推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、米国での輸出用豚肉原料価格、加工品原料価格が安定したこと、また加工品販売、現地営業による取引条件改善により、増益となりました。
豪州事業においては、オーストラリアでの牛集荷に苦戦する中、輸出における相場高、及び豪州内販売が好調に推移したことに加え、ウルグアイにおいても輸出相場が高値で推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、オーストラリアでは牛集荷価格が高値で継続したことや、工場稼働率低下による生産コスト高の影響で減益となりました。一方、ウルグアイにおいても牛集荷価格の高値継続や人件費高騰などにより、減益となりました。
以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比20.1%増の321,429百万円、事業損失は5,036百万円(前連結会計年度は2,409百万円の事業利益)となりました。
〔その他〕
球団事業である北海道日本ハムファイターズにおいては、2022年レギュラーシーズンをパシフィック・リーグ6位で終えました。新型コロナウイルス感染症の影響が残るシーズンではありましたが、安全・安心な観戦環境を整えた上で各種の動員施策を実施したことにより、昨シーズンを大きく上回る1,291千人の観客動員に繋がり、売上げ・利益ともに前年を上回りました。
中央研究所で取り組んでいるヘルスサポート事業においては、ゼロコロナ政策が緩和された中国にて開催されたFood Ingredients China 2023に出展し、機能性食品素材を紹介するなど、積極的な販促活動を行いました。食品検査キットについては、新たに特定原材料に指定された「くるみ」を検査するキットを開発し、3月下旬に上市いたしました。
新規事業においては、DtoC(Direct to Consumer)事業の「Meatful」、「Table for All」の売上げ拡大に向けた取組みを実施しました。新たにサステナブル事業として「Mealin’Good」(ミーリングッド)のブランド立ち上げを行い、限りある資源の有効活用や新たな食の選択肢を増やすための取組みを強化してまいりました。
以上の結果、当期のその他の売上高は対前年同期比23.5%増の17,052百万円、事業損失は483百万円(前連結会計年度は1,569百万円の事業損失)となりました。
地域別売上高の状況は以下のとおりです。
① 日本
日本では、食肉及び加工食品の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比6.9%増の1,100,719百万円となりました。
② その他の地域
その他の地域では、主に食肉の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比30.3%増の159,073百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比3.1%増の937,155百万円となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が前年同期末比23.9%減の64,986百万円、前連結会計年度末に連結対象外となった会社からの貸付金返済などでその他の金融資産が前年同期末比63.1%減の9,098百万円となりましたが、食肉相場の高止まりの影響から棚卸資産が前年同期末比18.3%増の141,930 百万円、営業債権及びその他の債権が前年同期末比7.8%増の146,660百万円となったことなどにより、前年同期末比3.3%増の428,018百万円となりました。非流動資産は、政策保有株式の売却を進めたことでその他の金融資産が前年同期末比21.7%減の27,587百万円となりましたが、新球場建設などにより有形固定資産が前年同期末比5.6%増の364,381百万円となったことで、前年同期末比2.9%増の509,137百万円となりました。
負債につきましては、新球場関連の設備代金の支払いで未払金が減少したことなどにより、その他の金融負債が前年同期末比60.5%減の16,914百万円となりましたが、個人投資家向けサステナビリティボンド発行や運転資金の需要増に伴う短期借入金の増加により有利子負債が前年同期末比14.5%増の242,055百万円となったことから、前年同期末比3.5%増の434,374百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が8,489百万円増加したことなどにより、前年同期末比2.9%増の492,913百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.1ポイント減の52.6%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末に比べ20,388百万円減少し、64,986百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 11,331百万円の純キャッシュ増
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加24,451百万円、法人所得税の支払額13,558百万円などがありましたが、税引前当期利益22,162百万円、減価償却費及び償却費38,433百万円などにより、11,331百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、33,387百万円の純キャッシュ増)
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 63,677百万円の純キャッシュ減
投資活動によるキャッシュ・フローは、短期貸付金の減少9,994百万円などがありましたが、固定資産の取得82,261百万円などにより、63,677百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、22,837百万円の純キャッシュ減)
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 28,417百万円の純キャッシュ増
財務活動によるキャッシュ・フローは、現金配当10,448百万円、借入債務の返済108,594百万円などがありましたが、短期借入金の増加36,504百万円、借入債務による調達110,358百万円などにより、28,417百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、12,162百万円の純キャッシュ減)
a. 生産実績(製造原価ベース)
(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。
b. 受注実績
当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。
c. 販売実績
販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りの内容については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
2021年4月よりニッポンハムグループは、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。” を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指しております。
当連結会計年度の経営成績としては、想定を超える外部環境の変化もあり事業利益が256億円、対前年同期比46.8%減少と非常に厳しい結果となりました。原材料費やエネルギーコストの大幅な上昇分を吸収できなかったことに加え、鶏インフルエンザを始めとした家畜の疾病、コロナ禍での中国のロックダウンなど、複数の要因が重なった結果と認識しております。
加工事業に関しては、原材料高騰の影響が大きく、改善活動や商品の販売価格改定などでコスト上昇を吸収できる計画でおりましたが、継続する原材料の高騰に十分対応できていない状況です。国内の加工部門においては、構造改革を進めながら、高止まりする原材料や為替の円安傾向の影響を吸収できる体質改善を実施していきます。
食肉事業については、相場上昇の影響をある程度販売価格へ転嫁できておりますが、当社グループの生産拠点における飼料価格の高騰が非常に大きく影響しており、食肉事業の川上部門での構造改革等も必要になってくると考えております。
海外事業に関しては、オーストラリアでの気候変動などの影響により牛集荷価格が高騰し、非常に厳しい環境でした。また、主要な販売先である中国でのロックダウンの影響もあり、販売数量が減少し厳しい状況となりました。しかし、中国でのロックダウンの解除により販売先の状況が改善されること、米国での豪州産牛肉の需要が高まり販売相場も好転することが見込まれ、今後は回復基調になると考えております。
以上、このような状況をしっかりと真摯に受けとめて、業績回復と持続的成長に向け、積極的な構造改革を進めていきます。
2024年3月期の取組みは以下の通りとなります。
セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。
〔加工事業本部〕
加工事業につきましては、主力ブランド商品の販売強化、最適生産体制の構築、新設したマーケティング組織による顧客視点の商品開発とブランディング強化によりコスト競争力を高めていきます。
〔食肉事業本部〕
食肉事業につきましては、重点チャネル別専門組織の強化、輸入食肉の調達体制の再構築及び需給予測高度化を進めるとともに、生産事業の生産性を高め、利益を伴う食肉シェア拡大に取り組みます。
〔海外事業本部〕
海外事業につきましては、北米加工品マーケットへの集中・売上げ拡大、牛肉事業の収益安定化などにより収益性を改善していきます。
〔その他〕
ボールパーク事業につきましては、「北海道ボールパーク F ビレッジ」全体で集客する新たなビジネスモデルにより利益を創出していきます。
新型コロナウイルス感染症の第5類への移行もあり社会経済活動は正常化に向かい外食市場の回復、インバウンド需要の拡大などが見込まれます。一方でウクライナ情勢の長期化による地政学的リスクの増大、原材料価格やエネルギー価格などの高騰によるコストプッシュインフレの影響、金融政策の動向などにより景気の不透明な状況が続くことが想定されます。このような状況のもと、当社グループでは、企業理念の実現に向けて引き続き事業戦略とサステナビリティ戦略の融合による財務価値及び社会価値の向上に取り組みます。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。
資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
連結子会社の株式譲渡契約
(1)株式譲渡契約の概要
当社は、2023年1月31日開催の取締役会において、当社グループが保有する当社の連結子会社であるBreeders & Packers Uruguay S.A.の全株式を、Minerva S.A.に譲渡することを決議いたしました。
なお、実際の株式譲渡契約については、Minerva S.A.の100%子会社であるATHN FOODS HOLDINGS S.A.との間で行います。
(2)株式譲渡の年月日
2023年10月31日(予定)
※関係各国における競争法当局からの許認可取得などの必要な手続の完了と、本件譲渡契約における前提条件の充足を経て、本件株式譲渡の実行となる予定です。
当社グループの事業を支える基盤研究から、応用研究、商品開発に及ぶ研究開発活動は、中央研究所及び各セグメントの開発部門によって展開されております。その中核となる中央研究所では、「Vision2030」実現に向けた5つのマテリアリティ「たんぱく質の安定調達・供給」、「食の多様化と健康への対応」、「持続可能な地球環境への貢献」、「食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄」、「従業員の成長と多様性の尊重」における技術革新及び新規事業を目指した研究開発を推進してまいりました。
当連結会計年度の主な取組みは以下のとおりです。
(1) 「たんぱく質の安定調達・供給」に関する研究開発
当社基幹事業である食肉事業領域における研究開発として、健全で生産性の高い食肉生産を目指した取り組みを継続しております。定期的な家畜の健康診断による農場衛生管理の支援を行うとともに、家畜の健康管理に寄与する新しい技術や新たなブランド食肉の開発につなげる研究開発を進めております。研究結果の一部は日本獣医学会における発表や科学誌 The Journal of Animal Geneticsに掲載されました。
持続可能な畜産業を目指した研究開発の一つとしてIoT・AIを活用した養豚管理の技術開発に関する取り組み「スマート養豚プロジェクト」を継続いたしました。本プロジェクトは養豚事業における働き方の改革と生産性の向上を実現することを目指しており、当社中央研究所とグループ会社の日本クリーンファーム㈱(旧インターファーム㈱)が㈱エヌ・ティ・ティ・データおよび㈱NTTデータSBCと連携して進めております。当期におきましては、母豚の発情検知システム「PIG LABO® Breeding Master」の事業検証を開始しました。これにより、養豚業界の活性化と労働人口の減少という社会課題の解決に繋がるものと期待しております。今後、さらに本取り組みを推進し、グループ事業の生産性を向上させる技術を確立し、将来的には畜産の持続可能性と環境負荷低減に貢献することを目指してまいります。
また、持続可能なたんぱく質供給として将来期待されている細胞性食品(培養肉)分野におきまして、インテグリカルチャー㈱と共同で動物細胞の大量培養による食品生産に向けて基盤技術開発を継続しております。当期におきましては、培養液の主成分を動物由来の成分から一般的に流通する食品成分に置き換えることで、細胞培養に係るコストを低減化することができ、将来的な社会実装に向けて大きく前進いたしました。
(2) 「食の多様化と健康への対応」に関する研究開発
国内最大級のたんぱく質供給企業として、中央研究所では当社グループからお届けしている様々な商品におけるお客様の安全・安心の向上に寄与するために、当社グループ品質保証を支える食品検査とその技術開発を積極的に進めております。当期におきましても、消費者に安心して当社グループ商品を手にしてもらうために、引き続きグループ商品とその原材料の安全を確認するための検査を継続いたしました。さらに、食品衛生管理技術の研究開発を進め、事業を通じて社会の課題解決を行い、食の多様化への貢献を図りました。
また、食物アレルゲンを検出する食品検査用キットの研究開発においては、当社研究所のコア技術となる免疫応用技術の深化に取り組むとともに、新規検査用キットの開発にも取り組み、食の安全・安心へのさらなる貢献を目指しました。当期におきましては、2023年3月9日に公布された内閣府令において特定原材料としてくるみが収載されたことを受け、加工食品中に含まれるくるみたんぱく質を迅速かつ高感度に検出できる検査キット2種(スクリーニング検査キット、簡易迅速検査キット)を開発しました。いずれのキットにも複数の抗体を採用しており、複数の抗原を検出することで見逃しの少ない性能を実現しています。上記2種のキットはいずれも公定法に準拠した性能を有するものです。今後も食品衛生および品質管理のための検査機能強化と、その基盤技術を生み出す研究開発を推進し、当社グループ商品の品質向上と世界の食品産業全体の多様化、安全・安心に貢献していく技術の開発を進めてまいります。
併せて、畜産資源の高度利用を目指した健康食品、健康機能素材の基礎研究・製品開発および事業性検証を継続して実施いたします。
また、中央研究所に所属する管理栄養士(公認スポーツ栄養士)が、北海道日本ハムファイターズやセレッソ大阪及びジュニアの選手に対し栄養指導を行っており、今後も「食と健康」分野の取り組みを継続し、社会の発展に貢献してまいります。
当連結会計年度の当社グループ全体の研究開発費は、
なお、当社グループの研究開発活動は、主として食品事業活動に必要な基盤研究から商品開発に及ぶ様々な研究開発を推進しており、特定のセグメントに関連付けることが困難であります。