第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、お客様に対する良質な食肉の提供と畜産業の振興を目指して、1931年に創業しました。創業の志を受け継ぎ、「商品と品質はプリマの命」の経営理念のもと、絶えざる製造技術の革新と新しいものづくりに挑戦し、食肉事業、加工食品事業へ食の領域を拡大してまいりました。

2021年4月より、当社グループの進むべき方向性を共有し、理解、浸透を更に深めるため、目指す姿を改定いたしました。

当社グループは安全・安心でおいしく、愛される商品とサービスによって健康で豊かな食生活と日々の感動を提供し、持続的な成長と企業の永続性の確立を目指します。そして、ライフスタイルや環境に寄りそった食文化と活気ある未来の社会に貢献してまいります。


 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、中期経営計画において財務目標を定めております。2023年度を初年度とする3ヶ年中期経営計画(ローリングプラン)の着実な実行により、自己資本利益率(ROE)10%以上と配当性向30%以上を安定して達成し、持続的な成長と企業の永続性の確立、並びに事業を通じたステークホルダーへの貢献を目指してまいります。

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

連結売上高

4,335億円

4,207億円

4,307億円

4,703億円

連結営業利益

214億円

140億円

97億円

115億円

親会社株主に帰属する当期純利益

141億円

97億円

45億円

76億円

自己資本利益率(ROE)

14.6%

9.0%

4.0%

6.6%

配当性向

30.2%

33.6%

72.5%

30.0%以上

 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

① 基本方針

当社グループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」の実現に向けて、中期経営計画の基本方針として、「営業力・開発力・商品力の強化により、売上と利益の規模と質を高め、ESGを重視した経営を推進し、『いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社』になる」を掲げています。経営目標としては、2023年度売上高4,703億円、営業利益115億円、親会社株主に帰属する当期純利益76億円を目指してまいります。

 

② 重点施策

方針1 ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化

当社グループは2020年度に重要課題(マテリアリティ)を特定しました。現在、重要課題の解決に向けた目標設定と活動計画を策定・推進しております。環境への対応のひとつとして温室効果ガス排出量の抑制に取り組みます。また、従業員は企業の礎であり、成長の柱です。従業員が心身ともに健康で、働きがいのある職場づくりを目指した活動を継続展開し、変革意識の醸成と健全な企業体質を構築します。さらにコンプライアンス意識とガバナンスレベルの向上を実践し、適切な情報開示の充実に努めます。

 

方針2 外部環境の変化に対応した収益基盤の構築

加工食品事業部門は、茨城工場を基盤としてコスト競争力、供給能力を高めております。加えて2022年度に鹿児島新工場の稼働を開始し、供給能力の拡大と強みのある商品の市場定着を図っております。さらに、当社グループ独自の製造技術の開発や製造基準の見直しに取り組み、価値ある商品の提供を目指します。

また、業務の標準化と自動化を進めて、デジタル技術を活用した効率的な業務プロセスの構築と戦略的な情報管理の実現に向けた活動を進めてまいります。

食肉事業部門は、宮城県で養豚新農場の稼働を開始いたしました。最新の設備と防疫体制を構築しており、2023年秋より肉豚の出荷を開始します。また、既存農場のリニューアルと生産性向上を進めて国産豚肉のインテグレーションを強化し、収益力の向上と安定供給体制を構築します。さらに、食肉事業の販売利益管理を徹底し、収益力の向上を図ります。

 

方針3 成長投資とグローバル展開

伊藤忠商事㈱及びグループ会社とのコラボレーションや業務提携等を主体として、日本国内及び海外の事業領域拡大を進めます。海外事業は、グループ会社の所在国及び周辺国への販売を進めておりますが、東南アジア市場を中心とした市場参入の礎としてシンガポール企業を買収しており、タイの生産子会社とともに東南アジア市場における売上拡大を進めてまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

長期間にわたった新型コロナウイルス感染症による日常生活の行動制限や社会活動の制約も概ね解除され、経済活動も常態に近い水準に戻り、消費活動の回復が期待されます。一方、原材料やエネルギーコストの高騰が継続しており、前年に引き続き様々な業種において、値上げが複数回実施されております。ベースアップ等により賃金水準は上昇に向かっているものの、消費者の厳しい生活実感からは十分な水準とは言えず、値上げの容認や消費拡大に直結するとは言い難い市場環境が継続しております。

業界としては、上記の製造コスト上昇要因に加えて、海外現地相場高や、円安水準の継続、さらには採卵鶏を中心に感染が拡大した国内の鶏インフルエンザ等、畜肉市場が大きく影響を受ける要因が多く、注視していく必要があります。

このような状況のなか、当社グループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という当社が「目指す姿」の実現に向けて、営業力・開発力・商品力の強化により売上規模と利益の質を高めるため、ESGを重視した経営を推進します。どのようなリスクや機会があるのかを中長期的な視点で把握し、施策を講じるために重要課題(マテリアリティ)を特定、その解決に向けた取り組みを推進し企業価値を向上させることを目的として「サステナビリティ委員会」を設置し、目標とKPIを策定しました。より具体的な取り組みを行い、当社グループの持続的な成長と持続可能な社会の構築に貢献していきます。

「いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社になる」を基本方針として、中期経営計画の目標達成に向けて「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」と「外部環境の変化に対応した収益基盤の構築」を具体化するとともに「成長投資とグローバル展開」を通して永続的なグループの発展に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

私たちプリマハムグループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」を目指す姿として、中期経営計画の基本方針において「ESGを重視した経営の推進」を掲げております。当社グループは、サステビリティ課題全般及びテーマ別の気候変動では「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の観点から、テーマ別の人的資本では「戦略」「指標と目標」の観点から考え方を整理し、取り組みを強化してまいります。当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) サステナビリティ課題全般

項目

内容

当社グループが持続的な成長を遂げるためには、中長期的な視点でリスク・機会を把握することが重要であると考え、2020年9月に当社グループの重要課題(マテリアリティ)を特定しました。また、2021年10月にはサステナビリティ推進の根幹となる「サステナビリティ基本方針」を定めました。さらに、サステナビリティを経営の中核に置き、その重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた取り組みを推進するために、また同時に、中長期的に企業価値を向上させるために、2021年11月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。サステナビリティ委員会は、取締役会の任意の諮問委員会として設置され、取締役会からの諮問を受けて重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた目標の設定、活動計画の策定、その進捗状況の確認とともに、必要に応じて重要課題(マテリアリティ)を適宜見直します。また、本委員会の主要な諮問事項は定期的に取締役会に答申します。なお、本委員会は代表取締役社長を委員長とし、同委員会の管下には6つの分科会が設置されています。

 


 

 

項目

内容

当社グループの2022~2024年度中期経営計画では、基本方針の1つに「重要課題(マテリアリティ)の解消に向けた取り組み」を掲げており、サステナビリティ委員会等の活動を通じて対応に取り組んでいます。2022年度に開催された委員会や分科会での議論を通じて、重要課題(マテリアリティ)に対する目標・KPIを設定しました。


サステナビリティ委員会は、当社グループを取り巻く重要課題(マテリアリティ)に係るリスクや機会について協議し、取締役会へ報告します。これを受けて、取締役会はリスク懸念事象について審議し、当社グループの対応方針や実行計画等を決定していきます。また、リスク懸念事象は、当社グループの事業や業績等に影響を与える全社のリスクであるとの認識を深めます。なお、決定された事項については、サステナビリティ委員会及び分科会で具体的なアクションに落とし込んでいきます。

 

 

項目

内容

重要課題(マテリアリティ)の目標・KPIに対する進捗状況は以下の通りです。

重要課題(マテリアリティ)

目標・KPI

2022年度実績

食の安全・安心の確保

2030年度までに主要な生産工場及び農場における食品安全マネジメントシステム導入率100%

85%

温室効果ガス排出量の抑制

2030年度までに温室効果ガス排出量24.3%削減(2021年度比)

※海外拠点・豚生体由来は除く

0.45%削減 

(172,007t-CO2e)

廃棄物排出量の削減

2030年度までに廃棄物排出量(廃プラスチック・食品廃棄物)5%削減(2021年度比)

※製造数量あたりの原単位

・廃プラスチック

4.4%削減(29.6kg/t)

・食品廃棄物

3.1%削減(55.8kg/t)

廃棄物排出量の削減

リサイクル率(食品廃棄物)98%以上

※排出量ベース

99.9%

多様な働き方の尊重、推進

2030年度までに年次有給休暇取得率90%

※対象はプリマハム㈱の全従業員

61%

多様な働き方の尊重、推進

2030年度までに男性育休取得率100%

※5日以上で取得としてカウント

※対象はプリマハム㈱の社員

5%

多様な働き方の尊重、推進

2030年度までに女性採用比率40%以上

※対象はプリマハム㈱の社員

32%

多様な働き方の尊重、推進

2030年度までに障がい者雇用率2.7%の達成

※対象はプリマハム㈱(特例子会社を含む)

2.3%

優秀な人材の雇用と育成

2030年度までに管理職に占める女性比率10%

※対象はプリマハム㈱の社員

3.4%

 

(注) 上記のうち、温室効果ガス排出量の数値は第三者保証を受けていない概算値であります。2022年度の第三者保証を取得した確定値につきましては2023年9月発行予定の当社統合報告書をご参照下さい。

 

 

 

(2) テーマ別

① [気候変動への対応]

気候変動問題はグローバルな重要課題のひとつであり、当社グループにおいても事業や業績、戦略、財務に大きな影響を及ぼす重要課題と認識しています。当社グループは、G20の要請を受けて金融安定理事会(FSB)によって設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)の提言に沿って気候変動関連リスク及び機会について開示し、適切な対策を講じていきます。

項目

内容

当社は、取締役会の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しています。本委員会は、気候変動問題への対応等の重要課題(マテリアリティ)の解決に向けた目標設定、活動計画の策定、その進捗状況を確認し、必要に応じて重要課題(マテリアリティ)を適宜見直します。2022年度は4回の委員会を開催し、議論を進めました。なお、本委員会は代表取締役社長を委員長とし、同委員会の管下には6つの分科会が設置されています。分科会は社内の他会議や委員会と連携して活動しています。この分科会のひとつに「環境分科会」があり、同分科会で気候変動の対応についても議論しています。取締役会は、サステナビリティ委員会から報告された事項について審議するとともに、重要課題(マテリアリティ)の進捗について確認・議論していきます。気候変動への対応においては、グループ全体の温室効果ガス排出量の削減が重要となります。このことから、サステナビリティ委員会及び環境分科会において、太陽光パネルや高効率エネルギー設備の導入、フロン冷媒から自然冷媒への転換、フロン対策工事等生産拠点への設備投資計画を中心とした議論がなされています。

当社グループの2022~2024年度中期経営計画では、基本方針の1つに「重要課題(マテリアリティ)の解消に向けた取り組み」を掲げており、サステナビリティ委員会の活動を通じて気候変動問題の解消に向けた対応に取り組んでいます。低炭素・脱炭素技術の代替や原材料コストの上昇、感染症の蔓延等は、当社グループの事業や財務に影響を及ぼす可能性があります。現時点で、当社グループへの影響が想定されるリスク・機会については以下のとおりです。

 


 

 

項目

内容


 

○シナリオ分析の例

気候変動によってリスクと想定される事柄について、当社は財務的な影響をシミュレーションし、対策を講じていきます。特に、気候変動による原材料コストへの影響については、当社の飼料コスト等の上昇が懸念され、財務的な影響も大きいと予測しており、以下の仮説のもと、対応策の検討を進めていきます。

 


サステナビリティ委員会は、当社グループを取り巻く気候変動に係るリスクや機会について協議し、取締役会へ報告します。これを受けて、取締役会はリスク懸念事象について審議し、当社グループの環境課題への対応方針や実行計画等を決定していきます。また、リスク懸念事象は、当社グループの事業や業績等に影響を与える全社のリスクであるとの認識を深めます。なお、決定された事項については、サステナビリティ委員会及び分科会で具体的なアクションに落とし込んでいきます。

 

 

項目

内容

当社グループは、気候変動の緩和に向けて温室効果ガス排出量(Scope1・2)を算定しています。また、「温室効果ガス排出量の抑制」を当社グループの重要課題(マテリアリティ)のひとつとして位置付けており、2022年度の取締役会において「2030年度までに温室効果ガス排出量24.3%削減(2021年度比)※」という目標を立てました。この目標の達成に向けた活動に取り組むことで、気候変動問題に対応していきます。なお、温室効果ガス排出量の削減目標は日本政府の方針等をふまえており、今後も気候変動に関連する規制要件に配慮していきます。さらに、サプライチェーンで発生する温室効果ガス排出量(Scope3)についても対応を検討していきます。

※海外拠点・豚生体由来は除く

※「24.3%」は日本政府方針の2030年目標(2013年度比46%減)を年率換算し、2021年度比とした比率

 


(注) 上記のうち、温室効果ガス排出量の2022年度の数値は第三者保証を受けていない概算値であります。2022年度の第三者保証を取得した確定値につきましては2023年9月発行予定の当社統合報告書をご参照下さい。

 

なお、最新の取り組み状況・進捗については、当社ホームページ内にあるサステナビリティに関するウェブサイトにて発信していきます。

 

 

② [人的資本への対応]

近年、企業には非財務資本を重視した経営が求められており、特に日本の労働人口が減少するなかで「人的資本」の重要性が増しています。当社グループでは、中期経営計画(2022~2024年度)における「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」のなかで「人材育成と働きがいの向上による変革意識の醸成」を掲げています。また、その実現に向けて2020年9月に特定した重要課題(マテリアリティ)では、「働きがいのある職場環境をつくる」をテーマに、「多様な働き方の尊重、推進」と「優秀な人材の雇用と育成」、「心身の健康に配慮した労働安全衛生」を重要課題(マテリアリティ)として掲げ、現在、具体的なアクションプランに取り組んでいます。さらに、人材育成及び社内環境整備においては以下の通り基本方針を定めています。

項目

内容

基本方針

<人材育成基本方針>

Ⅰ 若手層から管理職層に至るまで、幅広く育成機会を提供することによって、将来的に当社の経営を担える人材を育成します。

Ⅱ 業務に必要な知識、専門性を高めるための研修プログラムを展開し、社会や事業環境の変化に適応できる人材を育成します。

Ⅲ 全ての従業員が能動的に、自らの課題意識をもって業務に取り組める様、自己啓発を積極的に支援します。

 

また、基本方針に基づき以下3点を教育の柱としつつ、働きがい改革推進プロジェクト等での意見も反映させながら各種施策を展開します。

 

Ⅰ 次世代人材育成プログラム

・次期主管者研修の改定

・360°サーベイの実施と振り返りレビューの循環

・上記サーベイと選抜試験(アセスメント試験等)の連動

・中途社員研修の新規実施

Ⅱ スキルアッププログラム

・北米への語学留学再開

・働きがい改革推進プロジェクトでの課題抽出

Ⅲ 自己啓発支援プログラム

・通信教育の展開

 

 

 

項目

内容

<社内環境整備方針>

Ⅰ 持続的な成長に向けて、多様な人材が多様な働き方をできる環境の整備に取り組みます。

Ⅱ 安全な職場づくりを追求するとともに、従業員の心身の健康に配慮した制度・体制を整備します。

Ⅲ 人権を尊重し、不当な差別、いやがらせ、ハラスメントの根絶を目指します。

 

さらに、基本方針に基づき以下の事項に取り組みます。

Ⅰ 持続的な成長に向けて、多様な人材が多様な働き方をできる環境の整備に取り組みます。

■多様な人材

a 女性管理職比率増、男性育休取得推進への取り組み(サステナビリティ人材分科会)

b ダイバーシティ&インクルージョン(働きがい改革推進プロジェクト)

■多様な働き方

a 人事制度の改訂(フレックスタイム制の導入等)

b 労務管理アプローチ(サービス労働の撲滅、残業時間アラーム)

c 業務改善(多能工化、システム化、ペーパーレス化)

 

Ⅱ 安全な職場づくりを追求するとともに、従業員の心身の健康に配慮した制度・体制を整備します。

■労働安全活動  …労災撲滅に向けた取り組み

■健康経営    …ストレスチェック

 

Ⅲ 人権を尊重し、不当な差別、いやがらせ、ハラスメントの根絶を目指します。

■人権尊重    …人権デューデリジェンス実施へ向けた取り組み

■ハラスメント防止…研修等を通じたハラスメント防止に向けた取り組み

人的資本関連の指標と目標については「(1)サステナビリティ課題全般」に記載しております。また、男女間賃金格差の実績については「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主なリスクは、以下のようなものがあります。当社グループは、リスクを要因ごとに分類し、リスク発生の未然防止方法とリスク発生時の対応方法を定めています。また、当社グループのリスク情報は、当社の主管部署が情報や対策を進捗管理しており、取締役会等へリスク懸念事項として報告しています。なお、各項目における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

分類

項目

説明

対策

中期計画影響

 

 

原材料価格の

市況変動

●重点リスク

 

当社グループは販売用食肉、ハム・ソーセージ、加工食品等の製造・販売をしており原材料となる畜産物の市況や商品・原油市況の高騰が業績に影響を与える。

・畜産物の相場変動

・畜産物の疾病問題

・輸入原料肉の緊急輸入制限措置(セーフガード)

・農場の飼料価格

・包装資材

・工場稼働における燃料費、電気代

・物流費

 

 

・原材料の仕入先からの複数購買

・代替原料の選定、確保

・商品先物契約

・在庫基準の見直し

・適正在庫の確保

・商品売価への適正な反映

 

 

方針2

 

為替の変動

 

当社グループは原材料、商品を米国、欧州、中国等から輸入しており、為替レートの変動が業績に影響を与える。海外子会社の現地通貨建ての業績が円換算される際に影響がある。

 

 

・短期的な変動抑制を目指した為替予約

・商品売価への適正な反映

 

 

方針2

方針3

 

 

食の安全・安心の確保

●重点リスク

 

当社グループが製造・販売する商品に

おいて

・重大な品質問題

・品質問題の長期化

・アレルギー物質の混入 等

が発生することで、お客様の健康を損ねる懸念や社会的信頼が失墜し、事業継続が困難になる。

 

 

・品質管理手法の実践

(HACCP、ISO22000、FSSC22000)

・商品パッケージの内容表示、当社HPにおける情報開示

・問題発生時は、迅速な情報伝達と再発防止体制を整備

 

 

方針1

方針2

方針3

 

のれん、固定資産の減損

 

当社グループの有形固定資産及び無形固定資産が事業計画と乖離し、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない場合、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす。

・買収子会社の事業計画未達

・事業用資産の事業計画乖離

 

 

・経営会議等における買収金額の審議・決定

・買収後の管理手法定着

・経営会議等の投資案件レビューによる進捗モニタリング

 

 

方針2

 

公的な規制への対応

●重点リスク

 

当社グループの事業活動を行う上で、法令違反は会社に甚大な影響を与える。

・食品衛生法、食品表示法等の違反による行政処分、信頼失墜

・輸出入関連法の違反による行政処分、生産・販売への影響

・独占禁止法の違反による行政処分、取引制限と信頼失墜

・労働関連法規の違反による行政処分、信頼失墜

・環境・リサイクル関連法の違反による行政処分、原状復帰、生産への影響と信頼失墜

 

 

・品質管理手法の遵守

・行動規範の浸透、コンプライアンス委員会による意識の醸成と定着、コンプライアンス教育活動

・社内規則の整備、通達の運用徹底、ハラスメント防止研修

・環境マネジメントシステム、環境委員会の運用

 

 

方針1

方針2

 

 

分類

項目

説明

対策

中期計画影響

 

 

災害・事故・

事件

●重点リスク

 

当社グループ及び仕入先が災害事件・事故の発生により、人的・物的被害を被ると、商品供給の遅延停止、生産物流拠点や事業所の整備により、業績に甚大な悪影響を及ぼす。

・災害 地震・台風・大雪・竜巻・噴火・集中豪雨等

・事故 火災・爆発・交通機関等

・事件 テロ・誘拐・脅迫等

・戦争・内乱等

 

 

・適正在庫の確保

・重要仕入品の複数購買推進

・事業継続計画の策定

 

 

方針1

 

感染症

●重点リスク

 

当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症が蔓延した場合、事業活動の継続が困難となり、業績に甚大な悪影響を及ぼす。

・重要業務以外の一時停止

・生産ラインと商品供給の停止

・事業所の稼働停止

 

 

◇従業員・家族の感染防止策

・健康管理、注意喚起

・会議・業務の制限、出張禁止

◇事業継続対応

・対策本部設置(本部長は社長)

・各拠点運営体制の整備

・他部署からの生産応援

・在宅・時差勤務での業務処理

・取締役会等のテレビ会議対応

 

 

方針1

 

(注) 1 「項目」欄に記載されております「●重点リスク」は、リスク発生時に影響の大きさが懸念される特に重要なリスク項目となります。

2 「中期計画影響」欄に記載されております「方針1~3」は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略 ② 重点施策」に記載しております施策のうち、リスク発生時に影響を受ける施策となります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

○業績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりです。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当連結会計年度の期首より表示方法の変更を行っており、経営成績については当該表示方法の変更を反映した組替え後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しています。

 

(1) 財政状態及び経営成績の概要

① 当期の概況について

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による日常生活の制約や社会活動への制限が緩和・解除され、旅行や帰省等の国内移動が回復し、外国人の入国制限も段階的に解除され、人流が戻り通常レベルの経済活動に戻りつつあります。飲食業、観光業、百貨店等、制限下で非常に苦慮していた業種においても流行以前まで業績が回復する企業もでてきています。個人の家計消費も娯楽や旅行、外食等の支出増加が牽引し、前年を上回る水準となっております。

一方、2022年10月以降、一定の揺り戻しはあったものの、依然として日米の金利差や貿易赤字等を背景にした円安、ウクライナ情勢等の影響を受け、原材料やエネルギーコストが高騰し、これらの結果製造コストが大幅に上昇しており、幅広い業種において値上げが実施されています。しかしながら、消費者物価指数(CPI)や企業物価指数が示すとおり、国内物価は上昇しているものの、製造コストの上昇をカバーしきれておらず、複数回の値上げを実施する企業も数多く、食品は未曾有の値上げラッシュとなっております。これに対し個人は生活防衛意識の高まりから買い控え行動がおきる等、今後の消費動向は予断を許さない状況となっております。年末に日本銀行によるイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の運用見直しが実施され、また、年度末には米欧の金融不安が生じる等、金利や為替相場のボラティリティが高まり、今後の経済見通しは一層予測がつきにくくなっています。

当業界におきましても、畜肉相場の上昇、飼料価格の高値継続、円安による海外からの調達条件の悪化等の影響を受け、製造コストが想定以上に上昇する一方、販売価格は思うように値上げできず、厳しい環境が継続しています。

 

このような状況の中、当社グループの「目指す姿」である「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という基本的な考えのもと、中期経営計画の目標の達成に向けて、「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」、「既存事業の領域拡大及び収益基盤のさらなる強化」及び「成長投資とグローバル展開」を基本方針と位置づけ、諸施策を講じてまいりました。

 

② 業績

結果、売上高は4,307億40百万円前期比2.4%増)となりました。利益面におきましては、営業利益は97億25百万円前期比30.7%減)、経常利益は105億10百万円前期比29.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、有形固定資産、のれんの減損損失を計上したこと等により45億5百万円前期比53.6%減)となりました。

目標とする経営指標につきましては自己資本利益率(ROE)4.0%となり、純利益減により未達となりました。

 

<加工食品事業部門>

2022年2月に引き続き、9月に2回目のハム・ソーセージ商品及び加工食品の価格改定を行い、販売先への納品価格の引き上げを実施いたしました。市販用商品市場の販売額が前年を下回る厳しい環境においても、当社市販用のシェアは継続的に上昇しましたが、当初の想定以上に製造コストが急上昇していることを受け、収益面では厳しい結果となりました。

Ⅰ.ハム・ソーセージ部門

主力ブランドの「香薫®あらびきポークウインナー」は、定番の2個束商品に加え、大袋ジッパー付き商品の販売も引き続き好調に推移しました。販売促進政策では、香薫20周年記念として宝塚歌劇団のご招待キャンペーンが好評をいただきました。東京ディズニーリゾート®ご招待キャンペーンやSNSを活用したキャンペーン等を継続的に実施し、当期も販売シェアの拡大が継続し、世代を問わず幅広い支持を得ています。その他の市販用商品の拡販にも努め、売上高、販売数量ともに前期を上回ることができました。業務用商品においても、市場の回復や価格改定の実施等の施策を進め、販売は好調に推移いたしました。

 

Ⅱ.加工食品部門

加工食品部門では、常温商品の「ストックディッシュ」、手軽に食べられる「サラダチキンスティック」等の市販用商品が消費者から評価を得ており、順調に拡販を進めることができました。また、業務用商品においては、市場の回復や価格改定に伴い売上を拡大いたしましたが、原材料等の仕入コストの大幅な上昇を補いきれず、利益面では前期を下回る結果となりました。

コンビニエンスストア向けのベンダー事業についても、お客様の要望に応えた新商品開発や原材料コスト上昇を補った新商品発売を継続して行いましたが、電気代、燃料費等のエネルギーコストの急騰や、人件費の上昇等により、利益面では前期を下回る結果となりました。

 

これらの結果、加工食品事業部門は、売上高3,006億54百万円前期比5.3%増)となり、セグメント利益102億45百万円前期比27.2%減)となりました。

 

<食肉事業部門>

海外の畜肉相場高や穀物相場の高止まり、円安による輸入仕入コストの上昇等、食肉事業の仕入環境は極めて厳しい状況が継続しています。販売先の店頭価格は、原料肉の相場上昇を補うまでの価格上昇には至らず、家計調査をみても、消費者の生鮮肉の購買数量は、牛肉を中心に前年から減少しています。販売先への価格転嫁の浸透不足と生鮮肉市場の需要ダウンが重なり、販売数量の維持、利益の確保が難しく、食肉販売の売上高及び採算が大きく悪化しています。国産の豚肉相場は高水準で推移しているものの、飼料価格の高騰には追いつかないため、養豚事業も収益的には厳しい状況であります。しかしながら、将来的なサステナビリティ対応強化方針を見据えて、国産豚肉の先進的生産事業の拡大と農場生産性向上を計画的に推進しており、先行投資は堅実に実行しているところです。

 

これらの結果、食品事業部門は、売上高1,295億56百万円前期比3.8%減)となり、セグメント損失1億83百万円前年同期はセグメント利益12億92百万円)となりました。

 

<その他>

その他事業(理化学機器の開発・製造・販売等)の売上高5億29百万円前期比10.3%増)となり、セグメント利益2億32百万円前期比2.1%増)となりました。

 

③ 当期の財政状態について

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ81億65百万円増加し、2,298億87百万円となりました。これは主に、建物及び構築物が60億24百万円、ソフトウエア仮勘定が34億45百万円、商品及び製品が21億97百万円、受取手形及び売掛金が23億67百万円増加し、預け金が59億86百万円減少したことによるものです。

負債については、前連結会計年度末に比べ75億38百万円増加し、1,066億92百万円となりました。これは主に、長期借入金(1年以内返済予定含む)が50億79百万円、未払法人税等が14億14百万円増加したことによるものです。

純資産については、前連結会計年度末に比べ6億27百万円増加し、1,231億94百万円となりました。これは主に、利益剰余金が12億39百万円、為替換算調整勘定が7億47百万円増加し、退職給付に係る調整累計額が8億94百万円減少したことによるものです。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて21億32百万円減少前連結会計年度は135億42百万円減少)し、140億98百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは117億19百万円のネット入金前連結会計年度は167億39百万円のネット入金)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益59億円減価償却費109億58百万円減損損失46億43百万円、棚卸資産34億93百万円の増加、売上債権23億3百万円の増加法人税等の支払16億87百万円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは150億89百万円のネット支払前連結会計年度は237億13百万円のネット支払)となりました。主な要因は、生産設備更新、生産性向上及び品質安定を目的とした有形固定資産の取得による支出181億86百万円、預け金の払戻による収入50億円です。

財務活動によるキャッシュ・フローは12億6百万円のネット入金前連結会計年度は66億16百万円のネット支払)となりました。主な要因は、長期借入による収入90億円、長期借入金の返済による支出39億20百万円、配当金の支払32億68百万円です。

配当性向は72.5%となり、目安である30%以上の水準を維持しております。着実な営業キャッシュ・フローの創出を原資に財務規律を守りながら成長投資を着実に実行しつつ、安定した配当を継続するバランス経営を実施してまいります。

 

○生産・受注・販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

加工食品事業部門

197,950

104.2

食肉事業部門

31,509

116.2

その他

71

106.7

合計

229,530

105.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、製造原価によっております。

 

② 受注実績

当社の子会社プライムデリカ㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しており、また、当社の子会社プライムテック㈱は受注生産を行っておりますが、金額が些少なため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。

 

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

加工食品事業部門

300,654

105.3

食肉事業部門

129,556

96.2

その他

529

110.3

合計

430,740

102.4

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 以下は、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合になります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

㈱セブン-イレブン・ジャパン

117,950

28.0

116,485

27.0

 

 

○経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められた会計基準に基づき作成されております。これらの財務諸表の作成にあたっては、当社グループは重要な見積りや仮定を行う必要があります。会計方針の適用にあたり、特に重要な判断を要する項目は以下のとおりであります。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積りへの反映につきましては、当社グループの現時点での市場環境及び業績推移を踏まえて、特段の考慮は不要と判断しております。

 

① 棚卸資産の評価損

当社グループは、主として移動平均法による原価法で棚卸資産を評価しておりますが、収益性の低下した棚卸資産につきましては正味売却価額まで帳簿価額を切り下げております。

棚卸資産の実現可能価額は、通常の事業活動による見積り販売価額から見積り直接販売経費を控除して算出されます。棚卸資産の評価は、棚卸資産が先の方法で正しく評価されているかどうかを確認するため、定期的に実施されております。当社グループは、必要と判断された場合、棚卸資産の帳簿価額と正味売却価額との差額を棚卸資産の評価損として計上しております。見積り販売価額や見積り直接販売経費は過去の状況や将来の消化予想、その他の要素を加味して算出しております。また、将来破棄する棚卸資産についても考慮しております。当社グループの棚卸資産の評価は適正であると判断しておりますが、市況や消費者ニーズが当社グループの計画と大きく乖離する場合、評価損の金額は増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に悪影響を与える可能性があります。

 

② 繰延税金資産

当社グループは、現在、一定期間における回収可能性に基づき相当額の繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計上は、予測される将来における課税所得により影響を受けます。将来の課税所得の見積りにあたっては、過去の業績やタックス・プランニング等も考慮しております。当社グループの将来の収益性に係る判断は、将来における市場の動向その他の要因により影響を受けます。これらの状況に変化があった場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

 

③ 投資有価証券の評価損

投資有価証券については、時価が取得価額を下回り、かつ時価の下落又は実質価額の低下が一時的でないと判断される場合は、評価損が計上されます。当社グループは、投資有価証券の時価の下落が一時的であるかどうかを、下落の期間や程度、発行体の財政状態や業績の見通し、又は時価の回復が予想される十分な期間にわたって保有する意思等を含めた基準により四半期ごとに判断しております。

当社グループは、評価損を判断する基準は合理的なものであると考えておりますが、市場の変化や予測できない経済及びビジネス上の前提条件の変化によって個々の投資に関する状況の変化があった場合には、投資有価証券の評価額に影響を受ける可能性があります。

なお、2023年3月31日現在、当社グループが保有する投資有価証券のいくつかの銘柄については、時価が簿価を下回っております。これらの銘柄については、下落期間や入手可能な発行体の業績等をもとに一時的な下落であると判断し、評価損は計上しておりません。

2023年3月31日現在、重要な影響を与える含み損は発生しておりません。

 

④ 固定資産の減損

当社グループが保有する有形固定資産については、帳簿価額の回収ができないという兆候を示す事象が発生した場合には、将来の見積キャッシュ・フローに基づき減損の判定を実施し、減損が生じたと判断した場合、当該資産の帳簿価額が回収可能価額を超える金額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

2023年3月期において、減損損失の認識の判定で割引前将来キャッシュ・フローの総額が、固定資産の簿価を下回っていると判断されたため、プライムデリカ㈱の一部の資産を回収可能価額である正味売却価額まで減額し減損損失を計上しております。この結果生じた減損損失3,821百万円については、特別損失に計上しております。

 

⑤ のれん及び顧客関連資産の評価

のれん及び顧客関連資産は、その効果の発現する期間を見積り、その期間に基づく定額法により償却しています。また、のれん及び顧客関連資産の評価にあたっては、事業計画に基づく将来キャッシュ・フローや割引率等の見積りや仮定を用いており、将来の事業計画や経営環境の変化等によりこれらの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。

2023年3月期において、減損損失の認識の判定で割引前将来キャッシュ・フローの総額が、のれん及び顧客関連資産の帳簿価額を下回っていると判断されたため、ティーエムジーインターナショナル㈱ののれんを減額し減損損失を計上しております。この結果生じた減損損失807百万円については、特別損失に計上しております。

 

⑥ 退職金及び退職年金

当社及び国内連結子会社は、確定給付型の制度として企業年金基金制度、退職一時金制度及び確定拠出年金制度を採用しております。また、一部の連結子会社は、中小企業退職金共済制度を採用しております。退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用は、数理計算上の仮定に基づいて算出されております。これらの仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率等が含まれております。これらの前提条件は年に一度見直しております。当社グループは、使用した仮定は妥当なものと判断しておりますが、仮定自体の変更により、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 概要

当連結会計年度の売上高は4,307億40百万円前期は4,207億17百万円)となりました。利益面におきましては、営業利益97億25百万円前期比30.7%減)、経常利益105億10百万円前期比29.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益45億5百万円前期比53.6%減)となりました。

なお、当社グループは、自己資本利益率(ROE)を最も重要な経営指標として位置づけております。

2023年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画(ローリングプラン)の着実な実行により、自己資本利益率(ROE)10%以上、配当性向30%以上を目指してまいります。

 

② 売上高

当連結会計年度の売上高は4,307億40百万円であり、前連結会計年度と比較しますと100億23百万円の増収となっております。

加工食品事業部門は、新型コロナウイルス感染症対策としてまん延防止等重点措置の期間延長が続く最中、前年の反動を受ける環境下でもありました。自家消費の需要に応じた主力ブランドを中心に大袋商品やおつまみ系商品の販売拡大、業務用商品の売上回復に取り組みました。LINEや公式Twitterを活用したキャンペーン、ブランド認知向上にも取り組んだ結果、販売数量拡大及びシェアアップに貢献しました。また、食肉事業部門は、感染症対策に伴い海外の相場高、長期化する輸送遅延の影響が大きく、オリジナルブランド商品の拡販や得意先とのオンライン商談を行い、売上拡大に取り組みましたが前期を下回る結果となりました。

 

③ 営業利益

加工食品事業部門の業績は、原材料、燃料、電力等の調達コスト上昇とともに人件費アップの影響により利益率が悪化しました。食肉事業部門においても、輸入肉の調達コストの高騰、国産豚生産事業の餌飼料調達コスト上昇により前期を下回る結果となり、当連結会計年度の営業利益は、97億25百万円となり、前連結会計年度と比較しますと43億12百万円の減益となりました。

 

④ 経常利益

当連結会計年度の経常利益は105億10百万円であり、前連結会計年度と比較しますと43億73百万円の減益となりました。

 

⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は45億5百万円であり、前連結会計年度と比較しますと52億13百万円の減益となりました。

 

⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況  3 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑦ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。

当社及び国内子会社においてキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うとともに、当社グループの余剰資金を、伊藤忠商事㈱のグループ金融制度に預け入れ、資金の効率的な運用を図っております。

また、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、当社及び当社グループの十分な手元流動性の確保をしております。

 

 

⑧ セグメントごとの財政状態

<加工食品事業部門>

加工食品事業部門につきましては、2022年度に鹿児島新工場の稼働を開始いたしました。鹿児島新工場は地産商品の拡充やライン自動化を目的とした、最新鋭設備導入等の設備投資を行い、これらの投資により生産数量の拡大、省人化、環境負荷の軽減、新技術開発や工程改革を推し進め、商品規格数の適正管理、原材料の有効活用、物流コスト削減等を図り、事業競争力を高めることに注力してまいります。

 

<食肉事業部門>

食肉事業部門につきましては、肉豚生産事業のインテグレーション強化に向けた投資に注力しております。具体的には肥育舎の増設による生産規模の拡大、農場近代化による生産効率の向上を目的とした投資を行い、子会社加工場へ肉豚を安定供給し、品質の高い国産肉豚の生産体制を確立し、販売競争力を高め、収益力の拡大を推進してまいります。2022年度に宮城新農場での母豚搬入、種付け、子豚の出産を開始いたしました。

 

<その他事業>

その他事業につきましては、グループの人事・総務、情報システム等のサービス業務の充実を図ることでグループ経営基盤を強化する方針にて事業を推進してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度では、当社の研究開発部門である開発本部基礎研究所を中心に「おいしさ、安全・安心、健康、環境負荷低減、細胞工学」の5つの分野において、食肉加工あるいは食肉生産に関する先端的な基礎研究、それらを活用した商品開発あるいは一部の生産技術開発に至るまで、精力的な研究開発活動を行いながら、独自の研究技術成果等の社内への導入を積極的に行っております。また、研究開発体制の構築や研究開発のレベルアップ及び効率化のため、大学等の各種研究機関との共同研究を通じて連携の強化を行い、研究を推進していきます。

 

(1) おいしさに関する研究

おいしさに関する研究では、分析型及び嗜好型の官能評価に加え、各種検査装置による味・香り・食感・外観等の解析から、商品のおいしさを客観的かつ具体的に評価し、おいしさの見える化(数値化)するための手法を構築しました。当期では、構築した手法により当社及び他社のウインナー、ハンバーグ、唐揚げ等の商品ごとの特徴を明確化するとともに、科学的解析に基づいたおいしさの数値化を行いました。解析した結果は当社の営業本部等の他部門にも情報提供することにより商品開発、品質改善、販売促進活動のサポート等に繋がっております。また、関連学会への研究報告や新規検査手法の特許出願を行いました。今後もより精度の高い見える化を行うため、新たな検査装置や手法の情報収集を継続しております。

 

(2) 安全・安心に関する研究

安全・安心に関する研究では、食物アレルゲン検査キットのAOAC認証取得、新規微生物検査装置の開発、「おいしさと安全・安心」を実現させる自社基準の策定を行いました。

① 食物アレルゲン検査キットの開発では、国内初となるAOAC認証済みのイムノクロマトキットを目指し、取得に必要な作業を進めております。AOAC認証は、コロナや追加テスト等の影響により当初の計画に対し遷延しておりますが、2023年度での取得を予定しており、AOAC認証済み検査キットとして精度や信頼性を国内外に広めていきます。また、これまでのアレルゲン検査に関する研究結果をまとめ、関連学会での研究報告や特許出願を行いました。

② 新規微生物検査装置の開発では、工程や包装後の製品において、微生物が有する自家蛍光を利用した菌の性状を解析する手法を用いて、微生物を迅速に検出する方法の研究を行っております。なお、本装置の開発は自家蛍光に関する研究を行っている外部研究機関、検査装置の開発を行う機器メーカーとの三者間で秘密保持契約を締結し、研究を開始しております。

 

③ これまで基礎研究所では、「おいしさと安全・安心」を実現させながら自社製品の品質を向上させるため、生産工場の製造環境・ラインの改善、工程管理基準の見直しを進めてきました。当期では、ハンバーグ等を含む真空調理食品の製造及び配合基準の見直しを社内品質保証本部、生産本部、営業本部及び外部検査機関と連携しながら実施し、ハンバーグ類の真空調理食品に対する新たな加熱及び配合基準を策定しました。翌期では策定した新基準を当社各工場やグループ各社に水平展開することにより、安全性を担保しつつ、おいしさと感動で食文化と社会に貢献する商品の開発に繋げていきます。

 

(3) 健康に関する研究

健康に関する研究では、健康で豊かな食生活を創造するために、健康機能を持つ食肉製品の開発を目的とし、短期課題として既存の健康成分を活用した商品の開発、中長期課題として食肉の中から新規の健康成分を探索し、活用するための基礎研究を行っております。

① 健康成分を活用した商品開発では、これまでの減塩商品の風味や食感のさらなる改良の開発を継続しながら、当期では鶏肉に含まれるイミダゾールジペプチドを活用した抗疲労効果訴求の商品、大豆に含まれるタンパク質β-コングリシニンを活用したBMIや中性脂肪の減少効果を訴求する商品の開発を開始しました。

② 食肉の中からの健康機能性成分の検索は外部研究機関との共同研究により進め、畜肉副産物に含まれるヘム鉄や軟骨等からの機能性成分の探索と機能性の解明及び成分を付与した商品開発を検討しております。

 

(4) 環境負荷低減に関する研究

環境負荷低減に関する研究では、当社の養豚事業や食品製造時に発生する環境負荷を考慮し、環境に対する積極的な取り組みが責務となると考えられ、当期では以下の4課題の取り組みを継続しました。いずれの課題も外部研究機関等との共同研究を実施し、基礎的な研究から社内実装を行うための応用研究を行う予定としております。

① 水資源の浄化

養豚場や食品工場から排出される放流水に含まれるリンの回収技術の確立、当社事業場からの排水の浄化、リン資源の安定的な確保を目指し検討を進めております。当期では、ダイオプサイトを使用したリン回収の条件検討から基本的な特性等を把握し、本技術に関する特許出願を行いました。

② 食品ロスの削減

有機性廃棄物(動植物性残さや家畜の糞尿等)の資源化の一環として、メタン発酵消化液による植物の病気抑制効果と、使用済みスモークチップの多孔性に着目し、抗菌性の確認及び土壌改良材の開発に関わる基礎的な研究を実施しました。

③ カーボンニュートラル

ラン藻を利用した技術開発を行っております。当期では、ラン藻培養のスケールアップ、ラン藻菌体を豚の健康に寄与する飼料として活用可能か判断するため、ラン藻由来の有機酸やタンパク質等を高効率に産生する培養条件の検討及びラン藻菌体を家畜用飼料にするため、食品素材を使用した培地組成の検討を行いました

④ 廃プラスチックの削減

秘密保持契約を締結した企業と当社工場から排出された廃プラスチック2種の油化試験を実施し、いずれも油化原料として問題がないことを確認しました。今後は、工場等の他部門と連携しながら検討を進める予定としております。

 

(5) 細胞工学に関する研究

将来的な世界人口の増加による食肉供給不足や環境保全の問題から、植物由来代替肉や細胞農業による培養肉の開発が注目され、当社においても培養肉のメーカー、技術動向、市場性等を分析するため、前期より調査研究を開始しております。当期は、外部研究機関と秘密保持契約を締結し、培養肉開発に関する技術の検証、新規代替肉素材の探索及び当社製品への応用について検討を実施しました。得られた結果は関連学会で研究報告を行っております。

 

当期の研究開発活動では、これまで以上に社内外の関連部門との連携を強化し、研究活動の中から得られた情報を全社に向けて発信することにより研究開発部門、他事業部門が一体となって具体的施策の推進・利益の最大化・企業価値向上に貢献することを目標に活動を実施してまいりました。また、関連学会での研究報告や新技術の特許化等、社外に対する情報発信も行っております。

なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、389百万円です。