当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの経営方針は「お客様第一」を経営理念として、「安心・安全・美味しさ・お役立ち」を追求し、ハム・ソーセージ等の分野において、高付加価値の製品を提供し顧客のニーズに応えることにより、社会に貢献することを基本方針としております。この社会的使命の達成に向けて努力し続けるとともに、事業の効率化、営業力の強化、競争力の強化や、収益力改善の取り組みを通して、企業価値の向上に努め、お客様により大きな喜びと感動をご提供できるよう取り組んでまいります。
わが国経済は、景気の緩やかな回復が期待される状況にありますが、先行きは依然として不透明な状況が続いています。
当業界におきましても、引き続き、原材料価格の高騰、各種コストの上昇圧力が続くなか、競合他社との価格競争の更なる激化も懸念され、先行きは依然として不透明かつ厳しい経営環境が続くことが予想されます。
このような厳しい経営環境の中で、当社グループは、新たな経営体制のもとで、競争力強化と収益性向上を目的とする「(2026年3月期から2028年3月期の3カ年における)事業再構築計画」を策定に着手しており、経営戦略を徹底的に見直し、経営の立て直しに取り組み、企業価値の向上と成長に全力を尽くす方針です。
その一部改善施策については、以下の5施策を決定しており、既に実行に着手しております。
Ⅰ.売上・利益に貢献する新商品(得意先向けPB商品を含む)による利益拡大
新商品「MIRAI」(豚肉と塩だけで作り上げたハム・ソーセージ)等の付加価値の高い商品を拡販し、高付加価値商品比率を高め、利益拡大に取り組んでまいります。
Ⅱ.既存事業の採算改善
「食肉事業」は卸売における仕入条件と納品価格を見直し、「加工食品事業」は製造各工程における歩留まり改善と原料価格高止まりに応じた価格改定に取り組むことで採算改善を図ってまいります。
Ⅲ.機能集約(固定費削減)
本社及び開発機能の生産拠点への一元化、また営業拠点の管理機能集約(サテライト化)に取り組み、固定費削減を図ってまいります。
Ⅳ.業務効率化(基幹システム刷新)~2026年10月稼働予定~
基幹システム刷新による、販売管理及び生産管理業務の効率化、またバックオフィスの効率化に取り組んでまいります。
Ⅴ.人材活性化
機能集約と業務効率化に伴う基準人員の見直しならびに基準人員に応じた配置転換、また成長に向けた採用と処遇改善(賃金アップ)により、人材活性化に取り組んでまいります。
こうした取り組みの実現を通し、真の筋肉質体制になり、企業価値の向上に努めるとともに、お客様により大きな喜びと感動をご提供してまいります。また、中長期的な企業価値の向上を目指し、「SDGs」にも取り組んでまいります。サステナビリティに対する取り組みの注目度の高まりにより、消費者の意識や行動も変化しつつあるなか、商品開発等そのものに「Environment」環境と「Social」社会の要素を取り入れ「Governance」企業統治を強化した「昴ESG」と称した取り組みの実施を日々の事業活動において展開することで、選ばれ続ける企業となるよう努めてまいります。
当社グループは、事業の成長性と収益性を重視し、売上高及び営業利益を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標としております。業績予想につきましては、現在、新経営体制下において「事業再構築計画」を策定中であることから、未公表としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
当社グループは、かけがえのない地球に末永く「福」が「留」まることを願い、経営理念を定めており、自然の恵みに感謝し、社会規範を遵守するとともに、未来に向かって食文化の創造に取り組んでおります。
また、安心・安全・美味しい「食」を通じて人々に喜ばれることで、社会のお役に立つことを念頭に、人類の生存・発達・安心・平和・幸福を目指し、持続可能な世界を実現すべく2021年に「昴ESG」を制定し、日々の事業活動において展開しております。
具体的な取り組み内容及び指標・目標については、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業価値を高め、株主、消費者及び地域社会から支持され、信頼される企業経営の実現を目指しております。意思決定の透明性・迅速性ならびに経営監視機能の充実・強化に継続的に取り組み、法令を遵守し社会的責任を果たしてまいります。2003年に「コンプライアンス委員会」を設立し、法令遵守に取り組んでおります。また、2007年には「内部統制委員会」を設立し、コーポレート・ガバナンスの充実を図っております。
人的資本に対する考え方や取り組み内容につきましては、社外取締役を主要な構成員とする指名・報酬委員会および取締役会が評価し、その結果を踏まえて新たな課題を抽出し、次の実行目標を策定しております。
当社グループは、「食」を通じて世の役に立つ企業として、「人類は地球生命体の一員」であり、かけがえのない地球に末永く「福」が「留」まるよう環境を保護し、次世代に引き継ぐことが重要な使命と認識し、全従業員が環境の保護と資源の節約に配慮した企業活動に継続的に取り組んでおります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループは、寛容と相互扶助にあふれ、自発と多様がみなぎる活き活きとした組織風土を目指します。全ての従業員が働きがいをもって安全に業務に取り組めるとともに、多様な人材がより力を発揮できる職場環境を整え、物心両面の幸福を目指しております。
当社グループは、事業を取り巻く様々なリスクに対し的確な管理・実践を行うために、子会社を含むグループ全体より潜在リスク情報を集約し、社長がリスク管理責任者として委員長を務める「FRA(福留ハム・リスクマネージメント・アクション委員会」においてその影響の重要度と対応方針を判断しております。「感染症対策」「事故対策」「災害対策」「製品事故対策」「法令違反対策」「社員の不正対策」「環境汚染対策」「インフラ対策」の8つのリスクをヘッジ・未然防止するために設立された、当社の危機管理体制であります。また、当委員会で判断されたリスクの内容は取締役会に報告されております。
気候変動等で生じる移行リスクや物理的リスクについては、発生事象や対応策が既知の事業リスクと共通する点も多いため、上記の全社的リスク管理プロセスに統合する運用をしております。
当社グループは、企業価値を高め、ステークホルダーから信頼され永続していくために、以下の指標及び目標を定め、達成に向けて取り組んでまいります。
環境保護を推進するための社内体制を整え、環境管理目標を定め継続的に改善します。また、この環境方針を全ての従業員に周知し、意識の高揚と啓蒙活動に努めます。そして、環境パフォーマンスを向上させるため、人材を育成し、技術と技能を継承、発展させ、継続的改善を図ります。
・廃棄量の削減とリサイクルなどにより汚染の予防、省エネルギーまたは省資源などの環境負荷の低減に努めます。
・水資源の有効活用 主要3工場の「水使用量」を削減します。
・エネルギーの有効利用 主要3工場の「重油・LPG使用量、電力使用量」を削減します。
・環境負荷の低減 主要3工場の「廃棄物排出量」を削減します。
・広島工場・熊本工場・岡山昴工場に、「食品安全委員会」を設置し、環境管理目標の達成に向け取り組みます。
「世のため、人のため、社業を天職とします」を社是として掲げ、社会貢献に積極的に取り組んでまいります。また、「お互いさま、おかげさま」の精神で、全員で「三方良し」の実現を目指してまいります。
・子どもを対象に無料又は低料金で食事と安心して過ごせる居場所を住民の手によって提供する、地域のこども食堂支援センターへの商品の提供に取り組んでまいります。
・食品に携わる企業として、一人でも多くの方々の健康と安全を守ることを優先してまいります。
当社グループは、企業の競争力を強化し、社会性を保ち、企業価値を向上させるためには、コーポレート・ガバナンスの強化・充実は重要な経営課題と考えております。また、確固たるコンプライアンス体制の構築も不可欠であり、当社は、将来にわたって良い社会と自然環境を保ち続けることを目指した取り組みを実施し、利益を上げるだけでなく社会的責任を果たすことで、将来においても事業を存続できる可能性を持ち続ける取り組みを促進してまいります。
・事業活動に伴う法規、規制、協定を遵守し、社内基準を設定し環境保護の向上に努めます。
・取締役(監査等委員である取締役を含む。)が出席する取締役会において業務執行の権限と責任を集中させ、監査等委員に取締役会に対する監査機能を担わせることで、適切な経営の意思決定と業務執行を継続して行います。
・当社が定めるコンプライアンス基本方針に則り、関係法令等の遵守、社会規範、社会倫理にもとづき、健全かつ公正な行動に努め、社会的な信頼を確立するよう努めます。
・コンプライアンス委員会内にて内部通報窓口を設置し、内部通報による情報提供者の保護と不利益な取扱いの防止を継続します。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループはハムやソーセージといった「もの」をつくっておりますが、「人」を育てる会社でもあり、おいしい製品をつくるために知識や技術だけでなく、周囲を思いやる気持ちや正しい考え方など、社員一人ひとりの人間性を重視しております。研修制度では、「心」の部分を重視した研修・勉強会を行い、自身のキャリアアップを目指します。各種制度や社内環境を整備しており、一人ひとりに合わせた働き方を支援しております。
(人材育成方針と社内環境整備方針、その状況)
当社グループの経営理念を共有できる有能な人材確保のため、新卒採用や即戦力となる中途採用を積極的に行い、多様な人材がより力を発揮できる職場環境を整え、物心両面の幸福を目指します。
・ ダイバーシティー経営を推進していきます。
・ 働き方改革を推進していきます。
・ 福利厚生の充実を図っていきます。
・ 労働災害の防止に努めていきます。
・ メンタルヘルスの取り組みを強化していきます。
・ 2021年5月より在宅勤務規程を制定し、従業員の多様なライフスタイルへの対応、ワークライフバラ ンスの実現及び時間の有効利用による生産性向上を図ります。
3. 女性活躍推進及び次世代育成支援対策推進
当社グループでは、女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を2025年4月に更新いたしました。
①女性管理職比率
当社の人事制度においては、賃金制度・体系による差異を設けず、キャリア形成をしていく中で男女の区別なく、当社のミッションに共感し会社の業務に貢献できる人材を登用することを方針として、女性管理職の登用を行っております。
当社では、女性活躍を推進するため、女性管理職比率7%以上の達成のために、
・ 女性管理職へヒアリングの実施、ロールモデルとして社員に紹介
・ 女性社員の研修参加や、積極的・公正な育成・評価に向けた上司へのヒアリングを実施
・ 管理職候補の女性社員及びその上司を対象として、今後のキャリアプランに関する面談を実施し、女性管理職が活躍しやすい環境の整備に取り組んでまいります。
今後は、女性管理職を担いうる人材の計画的育成を図り、役割分担意識をなくし、個人の強みや特性を活かしながら更に活躍できる人材活用の取り組みを積極的に推進してまいります。
②次世代育成支援
次世代育成支援におきましては、多様な働き方に対応できるよう、オープンカンパニーや1dayインターンシップを実施しております。また、人事評価基準の見直しを行うことで次世代を担う人材の獲得・育成に努めてまいります。
その上で、労働者の月平均残業時間を30%削減する事に加えて、年次有給休暇の取得促進をはかり、現状から有休取得率をさらに5%向上させることを目標として取り組んでまいります。
(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 市況変動のリスク
当社グループが主に取り扱っている販売用食肉や、ハム・ソーセージ及び調理加工食品の原材料となる畜産物は、国内外から調達しております。ASF(アフリカ豚熱)、BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫、豚流行性下痢など家畜の疫病発生や輸入豚肉・輸入牛肉を対象としたセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動などの輸入制限により仕入数量の制限や仕入価格の上昇が考えられます。また、原油価格の変動により、石油製品である容器類、包装材料の仕入価格が変動する可能性があります。これらの市場変動により、仕入価格や供給量に大きな変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、市場ニーズに沿った商品やサービスの提供やオリジナルブランドを中心に相場に左右されにくい商品の取扱いの拡大を行ってまいります。また、新しい国内外の仕入産地の開発や原材料の調達ルートの分散化、代替原材料の検討などの対応策を進めております。
② 減損会計適用の影響について
当社グループの事業所開設の際には、敷地を取得するケースと賃借で使用するケースがあり、事業用の設備、不動産等の様々な有形固定資産、無形固定資産を所有しております。固定資産の減損の兆候がある資産及び資産グループについて、当該資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。当社グループが保有する固定資産について減損処理が必要となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 退職給付債務のリスク
当社グループは、退職給付費用及び債務を将来の退職給付債務算出に用いる割引率などの年金数理上の仮定に基づいて算出しておりますが、金利環境の変化等により実際の結果が仮定と異なる場合や仮定に変化があった場合には、退職給付費用及び計上される債務に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、退職給付制度を改定した場合にも、追加的負担が発生する可能性があります。それにより当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害等のリスク
当社グループは、地震や台風等の大規模な自然災害により生産及び物流拠点や営業拠点の設備に甚大な損害を受ける可能性があります。さらに交通網の遮断・エネルギー供給の停止・通信の不通などにより、営業活動の混乱や生産の遅延・停止等を受け、事業活動に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、「FRA(福留ハム・リスクマネジメント・アクション)委員会」を設置し、実際に自然災害が発生した場合には、直ちに対策本部を立ち上げ、対応する体制を整備しております。また、広島豪雨災害や熊本地震により被害を受けた広島工場と熊本工場の災害に対してのリスク分散のため、2019年5月岡山県に岡山昴工場を新設・稼働しております。
⑤ 新型コロナウイルス感染症に関するリスク
当社グループは、複数の工場、事業所等を使用し事業活動を行っております。新型コロナウイルス感染症分類が5類へ移行したことに伴い、経済活動は正常化が進んでおりますが、未確認の変異株の新たな発生等により、事業活動の停止を余儀なくされた場合、当社グループの事業活動及び業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、今後も感染の状況を注視しながら事業運営に取り組むとともに、引き続き適切な感染症防止対策を実施してまいります。
⑥ 商品の安全性のリスク
当社グループの提供する商品において、異物の混入、表示不良品の流通、あるいは社会全般にわたる一般的な品質問題など、商品の品質に重大な瑕疵や不備、その他当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社グループは、「安全・安心」をモットーに商品づくりに取り組んでおります。外部認証(ISO、HACCP)の取得、トレーサビリティシステムやフードディフェンスの強化をはじめとして品質保証部門による厳しい品質保証体制を構築し、常に運用の向上・見直しを図りながら、危機意識の浸透による安心・安全な生産を行ってまいります。なお、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるISO22000を2022年3月に製造工場である広島工場、熊本工場及び岡山昴工場で認証取得し、運用しております。
⑦ 法的規制のリスク
当社グループの取扱い品目の大半は、「食品衛生法」「農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律」「不当景品類及び不当表示防止法」を始めとした多くの法的規制を受けております。これら法的規制に大幅な改正や新設があった場合や、何らかの理由で関連法規等を遵守できず、法的規制等の適用を受けることになった場合などには新たな費用の発生、あるいは事業活動を制限されるなど、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社グループは、各種業界団体への加盟等により、必要な情報を的確に収集するとともに、総務人事部に法務担当を設置して、製品・商品の安全・安心の包括的な管理体制のみならず、全般的な法令遵守体制を強化し、関連法規の遵守に努めてまいります。
⑧ 情報セキュリティ
当社グループの業務は、基幹システムを導入し、業務の運営を行っています。昨今頻発している豪雨や地震等の自然災害、大規模停電や不正アクセスなど不測の事態により情報の漏洩やシステム障害が発生した場合、当社グループの信用低下や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、VPN(バーチャル プライベート ネットワーク)を構築し、ネットワークのセキュリティを確保するとともに、コンピュータにセキュリティソフトやウイルス対策ソフトを導入し、セキュリティ強化を図っております。また、機密性の高い情報は、データセンターにおいて、より強固なセキュリティにより保管するよう対策を行っております。
⑨ 継続企業の前提に関する重要事象等
当社グループは、当連結会計年度において、7期連続で営業損失を計上していること及び3期連続となる営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスになっていることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
しかしながら、当社グループは、当該状況を解消するために、経営戦略を徹底的に見直し、経営の立て直しに取り組み、企業価値の向上と成長に全力を尽くす方針であり、改善施策については、以下の5施策を決定しており、既に実行に着手しております。
Ⅰ.売上・利益に貢献する新商品(得意先向けPB商品を含む)による利益拡大
Ⅱ.既存事業の採算改善
Ⅲ.機能集約(固定費削減)
Ⅳ.業務効率化(基幹システム刷新)~2026年10月稼働予定~
Ⅴ.人材活性化
なお、ⅠからⅤの詳細等については、「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおりであります。
また、現金及び預金、短期間に資金化可能な投資有価証券、取引金融機関との当座貸越契約の未実行残高等の資金余力を十分確保しております。今後も機動的に資金調達を行っていくことで、当面の間の運転資金及び投資資金が十分に賄える状況にあることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)におけるわが国経済は、雇用環境・所得環境の改善ならびにイン バウンド消費効果を背景に、景気は緩やかに回復してまいりました。一方、世界的な国際情勢・金融情勢の緊張と不安、また資源高・原材料高ならびに各種生産コスト上昇、物価上昇が懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。
当業界におきましても、引き続き原材料価格の高騰ならびにエネルギーコスト・物流コスト・労働コスト等の上昇が企業収益を大きく圧迫いたしました。また、消費者の生活防衛意識が更に高まり、競合他社との価格競争が一層激化するなか、当社グループは、「成長戦略構築」と「収益体質改善」を重点課題として位置づけ、ハムソーセージ、デリカ商品の競争力の強化、生産性向上と営業力強化による生産量・販売量の拡大、業務改革ならびにシステム化推進による収益構造改革の3点に取り組み、収益力強化と企業価値向上に努めてまいりました。
しかしながら、上記コスト上昇分を商品価格に転嫁・値上げを実施した結果、加工品の生産量・販売量は低迷し、想定以上に厳しい経営になりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、246億21百万円(前年同期は251億93百万円)となりました。利益につきましては、営業損失は6億21百万円(前年同期は営業損失4億19百万円)、経常損失は6億14百万円(前年同期は経常損失4億4百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は、6億40百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益1億50百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
加工食品事業
加工食品事業につきましては、国内景気の回復ならびに人流・インバウンド消費の回復に伴い、外食・業務筋の需要は増加いたしました。一方、消費者の低価格志向・節約志向が高まるなか、前年度からの価格改正・値上げを実施した結果、量販店向け主力商品の販売量が大きく減少したことから、売上高は前年同期を下回りました。また、利益につきましても、原価低減ならびに生産性向上に努めたものの、生産量減少幅が想定以上に大きかったため、前年同期を下回りました。
その結果、売上高は102億2百万円(前年同期は108億8百万円)、セグメント利益(営業利益)は1億28百万円(前年同期比47.5%減)となりました。
食肉事業
食肉事業につきましては、国産牛や国産豚が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。また、利益につきましては、円安による輸入商品だけでなく国内商品の仕入れコスト上昇ならびに物流コスト上昇を納品価格に十分に転嫁できなかったため、前年同期を下回りました。
その結果、売上高は144億18百万円(前年同期は143億85百万円)、セグメント損失(営業損失)は1億55百万円(前年同期はセグメント損失(営業損失)は1億18百万円)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、2億39百万円(前連結会計年度は1億78百万円の資金使用)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純損失6億14百万円、減価償却費4億18百万円、売上債権の減少額5億31百万円、仕入債務の減少額3億96百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、3億54百万円(前連結会計年度は9億9百万円の資金獲得)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出3億5百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2億20百万円(前連結会計年度は3億66百万円の資金使用)となりました。主な要因は、短期借入金の純増額2億円、長期借入金の返済による支出3億81百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当社グループは、受注生産ではなく見込生産を行っております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 総販売実績の100分の10以上を占める相手先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結会計年度の経営成績及び財政状態は、以下のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は、246億21百万円(前年同期は251億93百万円)となりました。
売上高は、消費者の低価格志向・節約志向が高まる中、前年度からの価格改正・値上げを実施した結果、量販店向け主力商品の販売量が大きく減少し、微減となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は、原材料価格の高騰やエネルギーコストが上昇するものの、生産量の減少により、前連結会計年度に比べ3億13百万円減少の210億44百万円(前期比1.5%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、労働コストや物流コストが上昇するものの、その他経費の圧縮に努めた結果、前連結会計年度に比べ56百万円減少の41億98百万円(前期比1.3%減)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は、96百万円(前期比15.2%減)となりました。これは、受取配当金1百万円増加、不動産賃貸料30百万円減少等によるものであります。
営業外費用は、88百万円(前期比10.3%減)となりました。これは、支払利息2百万円増加や不動産賃貸費用17百万円減少等によるものであります。
(特別損益)
当連結会計年度において特別利益及び特別損失に重要な発生はありません。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、6億40百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純利益1億50百万円)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億46百万円減少の125億21百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ13億19百万円減少の55億43百万円となりました。主な要因は、現金及び預金8億14百万円と売掛金5億29百万円の減少によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ2億73百万円増加の69億77百万円となりました。主な要因は、投資有価証券2億4百万円の増加によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ5億24百万円減少の106億73百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ5億12百万円増加の80億41百万円となりました。主な要因は、短期借入金6億74百万円と未払金1億80百万円の増加と支払手形及び買掛金3億29百万円の減少によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ10億36百万円減少の26億32百万円となりました。主な要因は、繰延税金負債66百万円の増加と長期借入金8億55百万円とその他2億95百万円の減少によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5億21百万円減少の18億47百万円となりました。主な要因は利益剰余金6億40百万円の減少とその他有価証券評価差額金1億24百万円の増加によるものであります。以上の結果、自己資本比率は14.7%となりました。
加工食品事業
当連結会計年度におけるセグメント資産は、現金及び預金、売掛金等の減少により、前連結会計年度に比べ91百万円減少の55億56百万円(前期比1.6%減)となりました。
食肉事業
当連結会計年度におけるセグメント資産は、売掛金及び棚卸資産の増加により、前連結会計年度に比べ3億62百万円減少の26億83百万円(前期比11.9%減)となりました。
主要な経営指標は、次のとおりであります。
グループは、安定的かつ継続的な成長を重視し、売上高経常利益率、自己資本比率を重要な経営指標として位置付け、売上高経常利益率5%、自己資本比率50%を経営目標として、その向上に努めてまいります。
(売上高経常利益率)
当連結会計年度における売上高経常利益率は、厳しい経営環境により経常損失となり、売上高経常利益率△2.5%で前期に比べ0.9%減少いたしました。
(自己資本比率)
当連結会計年度における自己資本比率は、利益剰余金の減少により、14.7%となり、前期に比べ2.8%減少いたしました。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び原材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保し、収益構造を確立し、安定経営の基盤を強固にすることを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、事業計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。当該見積りには、売上高に影響する販売単価及び数量、また経費見込金額等の仮定を用いております。また、損益の見積りのほか、将来キャッシュ・フローの期間、当該期間における再投資の見積り等、見積要素が複数存在します。
当該見積り及び仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は、「次の100年、頑固なまでのこだわりで食卓に新た価値と期待を超えた驚きを提供しお客様に寄り添ってまいります」というミッションに基づき、開発アカデミーを中心に行っております。
当連結会計年度のハム・ソ-セージの分野におきましては、国産豚肉と塩だけで仕上げた「MIRAI(ミライ)」シリーズを発売し、ロースハム、ベーコン、あらびきポークウインナーの3種類をラインアップいたしました。これらの商品は当社独自の製法により、豚肉が本来持っているうま味を引き出し、美味しさを追求したこだわりの逸品となっており、約3年にわたる研究開発の末に完成した商品です。今後も商品ラインアップの拡充に向けて取り組みを進めてまいります。
デリカテッセンの分野におきましては、お客様からご好評頂いている「肉厚ハンバーグ」に加え、国産原料を使用した「直火焼きハンバーグ」の拡販に取り組んでまいりました。お客様が温めるだけで夕食のおかずとしてご利用いただけ、満足感の得られる商品に仕上げております。また、こだわりのある商品や納得消費というお客様のニーズにお応えするため、「和牛ローストビーフ」を発売し、食卓への特別感の演出にも取り組んでおります。
ギフト商品におきましては、当社のオリジナルブランド「ロマンティック街道」シリーズを中心とした中元・歳暮期の提案強化およびイベント・催事等の企画提案にも注力しております。新規商品としましては、九州産の原料を使用した「九州の恵」をラインアップに加え、九州エリアでの提案強化を図りました。また自社ECサイト等のWEBツールを活用し、BtoBtoCの環境整備を進めております。より多くのお客様にご利用いただけるギフト商品の開発、動線整備に取り組んでまいります。
食の安心・安全への対応、素材の特性を活かした美味しさの追求、新たな食シーンの提案等、お客様のニーズに沿った商品のご提供ができるよう、全社一丸となり、邁進してまいります。
今後も、お茶の間目線、マーケットインの発想で市場のニーズを把握し、仕入れ・製造・販売部門との部門連携を図り、お客様に喜んで頂ける商品開発を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は