第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当連結会計年度における日本経済は、中国経済の失速や中東・欧州での政情不安などによる世界的な景気低迷の影響を受け、一進一退ながらも輸出企業を中心に業績に陰りが見られ始めました。円安によるインバウンド効果は一部業界を活気付けましたが、全体的には国内消費に伸びが見られず、また年度後半には、それまで持ち直しつつあった株価が下げ基調に転じ、先行きに不安感が伴う状況となりました。食肉業界においては、原材料の高騰により利益確保が困難な環境に陥っております。
 このように経済の先行きが不透明な状況において、当社グループは、食肉の生産から小売・外食までの食肉に関わる事業を一貫して取り組む垂直統合を推進することにより、経営体質の強化と安定的な成長を志向しております。
 食肉等の製造・卸売事業においては、生産事業では、昨年5月に北海道において、豚のと畜と加工を行う日高食肉センターが稼動を始めました。また、豚の飼育を行う千歳の新農場も完成し、豚肉事業の一貫経営体制が整いました。高品位豚肉ブランド「ゆめの大地」として全国的に展開して行きます。卸売事業においては、当社の得意とする銘柄牛の市場への浸透と販売促進に努めました。また、海外事業部を発足させ和牛を中心とする国産牛の輸出先の新たな開拓と当社ブランド牛の普及に努めました。昨年12月には米国中堅パッカーAURORA PACKING COMPANY,INC.をグループに加え、高品位の米国産牛の調達網を強化しました。今後オリジナルブランドとしてオーロラビーフを国内およびアジア市場に広めて行きます。
 製造事業については、一昨年グループに加わった株式会社フードリエとの事業協力を進めてまいりましたが、その相乗効果が徐々に実を結びつつあります。また、同社を中心に、ハム・ソーセージ事業の強化に取り組みました。「こてっちゃん」ブランドの活性化を図るため、シリーズ製品のラインアップ強化にも努めました。
 食肉等の小売事業においては、既存店活性化、新店の確実な立ち上げ、不採算店の閉鎖を継続するとともに、さらなる競争力向上のための人材開発等施策にも取り組んでまいりました。
 食肉等の外食事業においては、焼肉・しゃぶしゃぶチェーン事業とステーキレストランチェーン事業のそれぞれにおいてメニュー及び料金の改定や店舗リニューアル等、競争力向上のための施策を実施しました。 

以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,425億6千6百万円前連結会計年度比13.3%増)、営業利益は84億2千8百万円前連結会計年度比2.4%増)、経常利益は87億9千5百万円前連結会計年度比2.3%増)、当期純利益は50億8千6百万円前連結会計年度比17.1%増)と増収増益になりました。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

①食肉等の製造・卸売事業

売上高は2,097億5千8百万円前連結会計年度比14.6%増)、セグメント利益は73億3千3百万円前連結会計年度比0.8%増)となりました。

②食肉等の小売事業

売上高は229億6千1百万円前連結会計年度比5.7%増)、セグメント利益は14億9千9百万円前連結会計年度比10.4%増)となりました。

③食肉等の外食事業

売上高は82億8千4百万円前連結会計年度比6.0%増)、セグメント利益5億2千7百万円前連結会計年度比7.3%増)となりました。

④その他

売上高は15億6千1百万円前連結会計年度比1.3%減)、セグメント利益は1億3千9百万円前連結会計年度比7.9%減)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度より89億5百万円増加して270億1千9百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、62億1千8百万円の収入(前連結会計年度は75億2千7百万円の収入)で、増加要因として税金等調整前当期純利益93億7千1百万円及び減価償却費28億5千6百万円などがあった一方、減少要因としてたな卸資産の増加10億3千6百万円及び法人税等の支払額33億9千3百万円などがありました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動によるキャッシュ・フローは、59億2千万円の支出(前連結会計年度は25億2千8百万円の支出)で、支出の主なものは有形固定資産の取得による支出58億9百万円、投資有価証券の取得による支出25億1百万円及び貸付による支出33億5千万円で、収入の主なものは有形固定資産の売却による収入21億8千1百万円及び投資有価証券の売却による収入25億6千7百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、86億1千7百万円の収入(前連結会計年度は15億7百万円の支出)で、収入の主なものは長期借入による収入30億9千8百万円及び社債の発行による収入90億6百万円で、支出の主なものは長期借入金の返済による支出29億6百万円及び配当金の支払額8億3千9百万円であります。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産数量(トン)

前年同期比(%)

食肉等の製造・卸売事業

85,055

△17.2

その他

10,263

△4.5

合計

95,319

△16.0

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.国産牛肉の加工は、枝肉を部位別に分割する加工であるため生産実績に含めておりません。

 

(2) 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

食肉等の製造・卸売事業

209,758

+14.6

食肉等の小売事業

22,961

+5.7

食肉等の外食事業

8,284

+6.0

その他

1,561

△1.3

合計

242,566

+13.3

 

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【対処すべき課題】

 日本経済の見通しについては、世界的な景気不透明感の広がりを受け、将来に対する楽天的な先行き予測は影を潜めつつあります。食肉業界においても、原料価格が上昇する中で如何に低価格志向の消費者の嗜好をつかんで行くか、今後さらに高度な経営判断が求められることとなります。このような環境下、当社グループは、きめ細かな得意先対応と経営効率の改善によりマーケットシェアの拡大と収益の確保を図ってまいります。
 食肉等の製造・卸売事業においては、国内食肉については最上流の生産事業の強化を図りつつ、当社グループの扱う食肉のブランド力を生かした販売戦略を進めて行きます。輸入食肉については、昨年12月にグループ化したAURORA PACKING COMPANY,INC.の経営基盤の強化と「オーロラビーフ」ブランドの日本及びアジアでの普及に努めます。また、更なる調達ルートの充実に努め、安定的な商品供給の仕組みを構築して行きます。海外事業については、アジアでの日本産農産物に対する需要の高まりを実際の商取引に繋げるべく、きめ細かな営業を進めて行きます。
 食肉製造事業については、主要ブランドである「こてっちゃん」の更なる販売強化に向け、TVCMの投入や消費者キャンペーンなどの販促活動を強化します。株式会社フードリエを中心としてハム・ソーセージ事業の再編成を行い、事業運営の効率化と販売のシェアアップを図ります。グループ内の製造と販売の機能をより効率的な形にすることにより、収益構造の改善を図ります。また、消費者の食品安全に対する要求水準の高まりに応え、取り組み3年目となるフードディフェンスの仕組みを更に精緻なものにして行きます。
 食肉等の小売事業においては、引き続き既存店活性化、新店開発、不採算店閉鎖を継続すると同時に、人材開発のための諸施策や、各種イベントに沿った提案型販売を更に強化していく予定です。
 食肉等の外食事業においては、従来からの着実な採算重視の経営を維持しつつ、ステーキレストラン事業及び焼肉・しゃぶしゃぶチェーン事業を、競争力を持たせながら着実に運営してまいります。
 グループ経営の向上については、海外を含めグループ企業の数が増え、グループ内での共同事業も増えつつありますので、それに合せた効率的な管理体制を構築してまいります。またそれらの事業の発展を支えるためには、人材の長期的な育成が必要であります。社員教育制度の充実を積極的に進め、更なる成長の礎としてまいります。

 次期の見通しにつきましては、売上高3,000億円(前連結会計年度比23.7%増)、営業利益96億円(前連結会計年度比13.9%増)、経常利益100億円(前連結会計年度比13.7%増)、当期純利益54億円(前連結会計年度比6.2%増)を見込んでおります。

 

 

4 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載しております事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項として以下のようなものが考えられます。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済状況・消費動向等

 当社グループは、日本及び米国において食肉・食肉加工品等の食品の製造・販売を主な事業としております。これらの市場は、経済状況や人口及び消費者の価値観の変化などによって市場規模・販売価格の変動或いは企業間競争の激化を招くことにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2)法的規制

 当社グループは、食肉原材料及び商品の多くを海外の生産国から調達していることから、通商・関税等の規制の適用を受け、一方国内では食の安全・品質の保証に関する法規をはじめ種々の法的規制を受けており、これらの規制の改変・新設などを受けて新たな設備投資や改善コストの増大または事業活動の制限等が生じることにより、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3)市況及び為替の変動

 当社グループは、国内外から食肉原材料及び商品を調達しております。近年のBSE・口蹄疫・鳥インフルエンザ等の疾病問題やセーフガード(緊急輸入制限措置)あるいは豚肉差額関税などの輸入制度が及ぼす調達数量或いは消費動向への影響、また気候要因による飼料用穀物の作柄及び家畜生産・飼育数量への影響などによって市況は変化し、調達及び販売価格の騰落につながることが考えられます。更に為替相場の変動は、輸入コストの増減要因となります。この他、石油をはじめ、海外依存度の高い資源の市況の変動も輸入コストの増減要因となります。これらの市況変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4)国際的活動

 当社グループの生産及び販売活動の一部は米国で、また食肉原材料・商品の調達は北米・豪州から中国・中南米へと広がりを見せております。これらの海外市場での事業活動及び調達に関しては、事業活動の環境を構成する各国の政治経済並びに社会情勢・法的規制・通商関係及び気候ほか自然条件などに予測不能の問題が生じ、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5)安全保証

 当社グループは、法令の定める或いは世界的に認められる安全・品質管理基準に従って、お客様に安心していただける安全な製品づくりに努めておりますが、将来、不測の事態によって製品の回収や製造物責任賠償問題が発生した場合には、問題収拾のためのコストの発生や信頼の低下を招き、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

 当社グループの研究開発活動は食肉等の製造・卸売事業で行っており、内臓肉などの畜産副生物及び食肉資源を有効活用し、付加価値の高い製品を製造・販売することで、焼肉文化並びに広く食文化を通した健康への貢献を目的に開発を行っております。
 コンシューマ製品につきましては、「こてっちゃん」をベースにした「こてっちゃん牛もつ炒め」、「こてっちゃん牛もつ鍋」のリニューアルを行いました。また、多様化するニーズに応えるため、コンビニエンスストア向けの袋入り惣菜製品の開発、レンジ容器入り製品「レンジでカンタンシリーズ」のラインナップに加え、新たに「牛すじ煮込み」を開発しました。また、ご家庭で手軽に焼肉を楽しんでいただけるように牛タン、ハラミ等をラインナップした味付け焼肉商材「ホルモン道場シリーズ」を開発しました。
 業務用製品につきましては、基幹商品である「こてっちゃん」をリニューアルし、さらに平成28年春に向けて新味「にんにく塩味」の開発を行いました。また、惣菜売り場への販売強化として、惣菜業務用製品「煮豚スライス」「牛めしの具」「豚生姜焼き丼の具」等を開発しました。今後も惣菜売り場向け業務用製品の開発を進め、ラインナップの強化を計画しております。

なお、当連結会計年度における当グループが支出した研究開発費の総額は 168百万円であります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

(総資産)

当連結会計年度末における総資産の残高は、1,143億3千万円前連結会計年度末比155億7千5百万円、15.8%増)となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は、708億7千8百万円前連結会計年度末比123億7千7百万円、21.2%増)となりました。主に現金及び預金が91億9千4百万円及び商品及び製品が14億5千6百万円増加したことによるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は、434億5千1百万円前連結会計年度末比31億9千8百万円、7.9%増)となりました。主に有形固定資産が23億6千9百万円及び投資有価証券が7億1千5百万円増加したことによるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は、327億3千4百万円前連結会計年度末比9億2千4百万円、2.9%増)となりました。主に支払手形及び買掛金が3億8千1百万円増加したことによるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は、267億5千1百万円前連結会計年度末比95億7千5百万円、55.7%増)となりました。主に新株予約権付社債の発行による社債が89億7千8百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は、548億4千4百万円前連結会計年度末比50億7千6百万円、10.2%増)となりました。主に利益剰余金が42億4百万円及びその他有価証券評価差額金が4億9千1百万円増加したことによるものであります。

以上の資産、負債及び純資産の増減の結果、自己資本比率は43.7%となり、前連結会計年度末比2.2ポイント低下しました。

 

(3) 当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度は、食肉の生産から小売・外食までの食肉に関わる事業を一貫して取り組む垂直統合を推進することで、経営体質の強化と安定的な成長を目指しました。「1[業績等の概要](1)業績」に記述の諸施策を実施いたしております。

これらの施策により、食肉等の製造・卸売事業は、北海道において豚肉事業の一貫経営体制が整い、高品位豚肉ブランド「ゆめの大地」として全国的に展開して行きます。卸売事業では、当社の得意とする銘柄牛の市場への浸透と販売促進に努めました。また、食肉等の小売事業においては、既存店活性化、新店の確実な立上げ、不採算店の閉鎖を継続するとともに、さらなる競争力向上のための人材開発等施策にも取り組んでまいりました。食肉等の外食事業においては、焼肉・しゃぶしゃぶチェーン事業とステーキレストランチェーン事業のそれぞれにおいて競争力向上のための施策を実施し、売上高を伸ばすことができました。

以上の結果、売上高は2,425億6千6百万円となり、前連結会計年度比284億6千3百万円13.3%増収となりました。

(損益状況)

売上原価は、2,041億5百万円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。売上原価率は、0.7ポイント上昇し、84.1%となりました。

売上総利益は、売上高の増加などにより384億6千1百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、300億3千2百万円(前連結会計年度比9.7%増)となりました。

営業利益は、以上の要因により84億2千8百万円(前連結会計年度比2.4%増)となりました。

営業外損益は、前連結会計年度の3億7千万円(純額)の利益から3億6千6百万円(純額)の利益となりました。

 特別損益は、前連結会計年度の6億4千2百万円(純額)の損失から5億7千6百万円(純額)の利益となりました。これは固定資産売却益が前連結会計年度に比べ8億6千3百万円増加したことなどによるものです。

これらの結果、当期純利益は50億8千6百万円(前連結会計年度比17.1%増)となり、また1株当たり当期純利益は181.64円(前連結会計年度155.13円)となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

わが国における少子高齢化による食肉の需要規模の縮小や、食品の安全性に対する強い関心、また国際的な食料需給の安定問題など経営環境は厳しい状況が見込まれます。また、国内景気は、消費増税による消費の冷え込み懸念により見通しが困難であります。このような厳しい環境下において、円安や資源高による商品市況の変動や需要の減退により販売競争が激化し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「1[業績等の概要](2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(6) 戦略的現状と見通し

当社グループは総合食肉企業グループとして食肉流通の川上から川下までの一環した供給体制を築き、消費者に健康的で栄養価の高い食品を質・量・価格共に安定的にお届けすることで、食生活の向上と食文化の普及に貢献しております。経営戦略としましては、グループ経営の強化と効率化を図ると共に、新たな事業領域に挑戦することにより、グループをさらに活性化してまいります。

 

(7) 経営者の問題認識と今後の方針について

食品に対する安全と安心のニーズの更なる高まりへの適応、また企業の公明正大な活動と社会的責任の遂行とともに企業価値の増大を図ることにより株主をはじめ利害関係者との共存共栄を実現する経営を心掛けてまいります。

また、21世紀を勝ち抜く「強い会社」の実現のため、「コーポレート・ガバナンスの充実」と「スピーディな意思決定と業務執行」に重点をおき、法令順守の管理体制の充実・強化に努め、透明度と信頼度の高い経営システムを構築してまいります。

今後は、人類にとって貴重で大切な動物性タンパク質である国内外の牛・豚・鶏等の安全な食品を真心込めて取り扱う総合食肉企業として、「バラエティーミート世界一、食肉日本一」を目指し、食肉文化の国内外への一層の普及に努めてまいります。