文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年8月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループは、「信を万事の本と為す」と「時代への適合」を社是とし、「健康で豊かな生活づくりに貢献する」ことを企業理念として、事業を進め業容の拡大を図ってまいりました。また、グループ各社は「健康」を常に念頭においた製品やサービスの提供に努め、「信頼」を築き上げる決意をこめて「健康と信頼をお届けする」をコーポレートスローガンとしております。
これらの基本的な理念を踏まえて、当社グループは長期的な企業価値の極大化を経営の基本方針とし、コア事業と成長事業へ重点的に資源配分を行いつつ、グループ経営を展開しております。
また、内部統制システムへの取組み、コンプライアンスの徹底、食品安全、環境保全、社会貢献活動等の社会的責任を果たしつつ自己革新を進め、株主、顧客、取引先、社員、社会等の各ステークホルダーから積極的に支持されるグループであるべく努力を重ねております。
(2) 中長期的な会社の経営戦略、目標とする経営指標
当社グループは、現在取り組んでいる2020年度を最終年度とした中期経営計画「NNI-120 Ⅱ」(業績目標:売上高7,500億円、営業利益300億円、1株当たり当期純利益(EPS)80円)を通過点に、長期ビジョン「NNI “Compass for the Future”新しいステージに向けて ~ 総合力の発揮とモデルチェンジ」で掲げる将来のグランド・デザインの実現に向けて、ニュー・ニッシン・イノベーション活動を推進してまいります。
長期ビジョンでは、当社グループが目指す姿“未来に向かって、「健康」を支え「食のインフラ」を担うグローバル展開企業”の実現に向けて、グループの「総合力」を発揮する仕組みを構築するとともに「顧客志向」を改めて徹底し、「既存事業のモデルチェンジ」と「グループの事業ポートフォリオ強化」を柱とした成長戦略の推進、及びそれを支える経営機能の一層の強化等を図ってまいります。
また、「当社創業以来の価値観」を共有して下さる株主の皆様に長期的スタンスで安定的に利益還元を強化してまいります。連結ベースでの配当性向の基準を40%以上とし連続増配により配当の上積みを図り、自己株式取得等はキャッシュ・フローや戦略的な投資資金需要を勘案した上で機動的に行ってまいりたいと考えております。
当社グループは、長期ビジョン実現のために策定したこれらの戦略を遂行し、利益成長と資本政策の両面から更なる1株当たり当期純利益(EPS)の成長を図るとともに資本の効率性と財務の安定性のバランスを取りながら、資本コストを上回る自己資本利益率(ROE)の確保・向上に努めてまいります。
また、企業価値を高める規律としてのガバナンス(G)の強化、事業の持続可能性に関わる環境(E)・社会(S)への貢献を事業戦略と深く関連させ経営を推進していくことで、「企業理念の実現」と「企業価値の極大化」をより強く結び付け、あらゆるステークホルダーの皆様から積極的に支持され続ける企業グループとして発展を目指してまいります。
(3) 経営環境及び対処すべき課題
国内外の食品業界では、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により社会的、経済的基盤が脅かされるとともに、為替相場や穀物・資源価格の変動等、事業環境にも大きく影響が及んでおり、先行きもかつてないほど不確実性が高まっております。また、国内では、国際貿易交渉の進展により自由化に向けた潮流が加速していくことが予想されます。
なお、経営環境及び対処すべき課題、並びに対応については、新型コロナウイルス感染症に伴う事業への影響を踏まえ、今後、変化する可能性もあります。
そのような中、当社グループでは、小麦粉をはじめとする「食」の安定供給を引き続き確保し、各事業におきまして安全・安心な製品をお届けするという使命を果たしていくことが、一層重要になっていると認識しており、また、その使命を支える従業員の安全確保に努めてまいります。新型コロナウイルス感染症の世界的大流行やその対策に伴う事業環境の急変に最優先で対応しながら、国内・海外を含めた事業会社間の連携を強化し、グループとしての「総合力」をさらに発揮して、長期ビジョンの実現を目指してまいります。社会課題や技術革新がもたらす環境変化に向き合い、持続的な成長を実現するとともに、自らが創出する付加価値を通じて社会に貢献する循環を作り上げることで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
① 国内事業戦略
製粉事業では、お客様のニーズを的確に捉えた製品の開発や価値営業の推進によりお客様との関係を一層強化し、引き続き安全・安心な製品の安定供給に努めてまいります。
加工食品事業では、生活者のニーズに対応すべく、「簡単・便利」「本格」「健康」をキーワードとした新製品の投入や積極的な販売促進施策等によるブランドロイヤリティの向上、及び成長分野である冷凍食品事業の一層の拡大を図るなど、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでまいります。
中食・惣菜事業では、昨年7月に、国内屈指の総合中食サプライヤーであるトオカツフーズ株式会社を連結子会社化し、新しい事業体制がスタートしました。新体制の下で、美味しさの追求と高い生産効率を両立する高度に事業化されたビジネスモデルへの転換を図ってまいります。
酵母・バイオ、健康食品、エンジニアリング、メッシュクロス等の各事業では、製品開発・技術開発を進め、各業界において存在感のある事業群として成長を図ってまいります。なお、本年3月には、長期ビジョンを踏まえ、ペットフード事業において長年培ってきたブランド等価値を承継させるとともに、業界全体の更なる発展を見据え、当社の連結子会社である日清ペットフード株式会社の事業をペットライン株式会社に譲渡しました。
また、国内での人手不足問題にもロボットやAIの活用、自動化等の新技術による業務プロセス改善等により適切に対応してまいります。
② 海外事業戦略
製粉事業では、当社グループの強みである製粉技術、提案力を活かした拡販に取り組み、現地市場での更なる成長を図ってまいります。昨年4月には、豪州の小麦粉市場(でん粉製造用等の産業用途を除く)でトップシェアを持つAllied Pinnacle Pty Ltd.を買収しました。引き続き、戦略投資を積極的に推進し、海外事業の基盤拡大に取り組んでまいります。
加工食品事業では、アジア市場で成長が見込まれる業務用プレミックス事業をさらに拡大してまいります。本年1月には、ベトナムのVietnam Nisshin Technomic Co., Ltd.にて進めてまいりました業務用プレミックスの新工場の建設工事が完了し、稼働を開始しました。また、生産面ではグローバルな最適生産体制をベースにコスト競争力を強化するとともに、当社グループが長年培ってきた製造技術や高度な品質管理ノウハウを活かし、パスタ、パスタソース、冷凍食品等の更なる事業拡大に取り組んでまいります。
酵母・バイオ事業では、製パン用イーストの需要が高まっているインド市場に参入すべく、Oriental Yeast India Pvt. Ltd.がイースト工場の建設を進めており、高品質な製品を現地市場に供給することで、事業の拡大を目指してまいります。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により工事を中断したため、本年夏頃を予定しておりました当該工場の稼働時期につきましては未定であります。
その他、製粉、食品、ベーカリー関連ビジネスを中心に、新たな領域での事業拡大を自社独自に又はM&A、アライアンスによりスピード感を持って推進してまいります。
③ 研究開発戦略、コスト戦略
当社グループはお客様の視点に立った新製品開発と新しい領域の基礎・基盤技術の創出に取り組んでおります。新製品開発につきましては、新規性、独自性があり、お客様にとって付加価値の高い新製品を継続的に開発してまいります。研究面におきましては、研究成果の実用化、事業化推進のため、重点研究領域を明確にするとともに、事業戦略に即した研究テーマを設定するなど効率化、スピード化を図ってまいります。さらに、自動化技術の活用による更なる効率化も検討し、人手不足問題等にも対応してまいります。
また、今後も大きな変動が想定される原料及び燃料相場への対応として、調達・生産コストの低減を進めるとともに、変動するコストに適切に対応できる事業基盤を構築してまいります。
④ 麦政策等の制度変更に向けた取組み
TPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、日EU・EPA、並びに日米貿易協定の発効により、米国産・カナダ産・豪州産小麦のマークアップ(政府が輸入する際に徴収している差益)の引き下げが開始された一方で、小麦関連製品の国境措置が低下し、関係国からの輸入製品との競争激化が想定されます。自由化に向けた潮流が加速していく中、情勢の変化を適切に見極めながら、引き続きグローバル競争で勝ち抜くべく国内外での強固な企業体質を構築してまいります。
⑤ 企業の社会的責任への取組み
当社グループは、従前より社会にとって真に必要な企業グループであり続けるべく、「日清製粉グループの企業行動規範及び社員行動指針」の実践並びにそのための取組みの促進を目的に社会委員会を設置し、企業活動全般におきまして企業の社会的責任(CSR)を果たしてきております。
ガバナンスの強化につきましては、監査等委員会設置会社として、健全で実効性のあるコーポレート・ガバナンス体制を構築、維持するとともに、コンプライアンスにつきましては、関連法規や社会規範及び社内規程・ルールを遵守し、公正かつ自由な競争の中で事業の発展を図っております。内部統制においても、金融商品取引法により求められる範囲を超え、当社グループ全体に広く内部統制システムの整備を行い、専任組織によるモニタリングにより、その維持、改善に努めております。
また、安全で健康的な食の提供、気候変動への対応等を内容とする「CSR重要課題(マテリアリティ)」を特定し、経営の最重要課題の一つと位置付けました。専門部署として「CSR推進室」を設置し、グループ全社の取組みを推進してまいります。
安全で健康的な食の提供につきましては、安全・安心な製品をお届けするために、食品安全に加え、食品防御(フードディフェンス)を強化しております。また、消費者の皆様の意識や社会の潮流を見極め、備えるべき事項や対策を適時、適切に指示する役割を担うCR(Consumer Relations)室が、消費者の皆様の声や消費者行政関連の情報を積極的に収集し、消費者の皆様への対応の充実を図っております。さらには、小麦粉をはじめとする安全・安心な「食」の安定供給を確保するために、BCP(事業継続計画)による災害や感染症等への備えの拡充にも努めております。
気候変動への対応につきましては、2030年度までのグループCO₂削減目標を設定し、工場での省エネ性能の高い機器の導入や他社との共同配送等により環境負荷の低減を目指しております。製品開発においても、調理段階まで想定したエネルギー低減やプラスチックの削減・減量化、リサイクル性の向上等、環境に配慮した製品の開発を行っております。
さらに、社会の一員として、広く社会貢献活動に取り組み、震災被災地の復興支援、「製粉ミュージアム」による地域観光資源や教育資産としての地域貢献等を行っております。
当社グループは、このような企業の社会的責任への取組みを、今後も継続してまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループでは、「日清製粉グループリスクマネジメント規程」「日清製粉グループクライシスコントロール規程」を制定し、リスクに対する適切な対応を確保し、リスクの予防・制御を目的とした日常的なリスクマネジメント活動を強化しております。また、当社社長を委員長、各事業会社社長等を委員とするリスクマネジメント委員会を設置し、当社グループ全体の重要リスクの確認と対応策の推進を図る等、事業運営におけるリスクの低減に取り組んでおります。さらに、リスクマネジメント委員会の下部組織として、企画部会、災害部会、海外安全対策部会を設置し、課題ごとの具体策を検討・提言する体制を整備することにより、適切なリスクマネジメントに努め、当社グループの事業継続と製品の安定供給という使命を果たしてまいります。
また、世界的に大流行する新型コロナウイルス感染症は、国内外の経済活動に重大な影響を及ぼしております。当社グループでは、従業員の安全と「食」の安定供給を引き続き確保するため、新型コロナウイルス感染症対策に伴う事業環境の急変に最優先に対応してまいりますが、その感染拡大等の状況次第では、経済活動がより一層停滞し、需要の更なる減退、サプライチェーンの混乱、当社グループの生産活動への悪影響等、当社グループが事業展開するうえで、重大なリスクに繋がる可能性があると認識しております。海外子会社も含む当社グループの感染症対策としては、社長を本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、出社時の体温確認・手洗い消毒・マスク着用等衛生対策の他、在宅勤務の実施、WEB会議の活用等の対策を徹底しております。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年8月28日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 国際貿易交渉の進展と麦政策の変更
TPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、及び日EU・EPA、日米貿易協定等、国際貿易交渉の進展により貿易の自由化に向けた潮流は加速しており、今後国内事業においては、小麦関連製品の国境措置低下に伴う需要変動、競争激化により、当社グループの製粉、加工食品事業を始めとする小麦粉関連業界に影響が及ぶことが予想されます。
また、国内での麦政策の見直し等により、現行の国家貿易のあり方など小麦の管理手法(調達・在庫・売渡方法など)の変更、国内小麦粉・二次加工品市場の混乱、関連業界の再編など製粉事業、加工食品事業においてリスクの発生の可能性があります。
このような貿易自由化・麦政策変更等のリスクに対応するため、当社グループはグローバルな生産体制の整備や新技術の活用によるローコストオペレーション、顧客ニーズの変化への適合、海外事業拡大の一層の加速等に取り組んでおり、今後もより強固な企業体質を構築してまいります。
② 製品安全
食の安心・安全についての社会的関心が年々高まっており、食品業界におきましては、より一層厳格な対応が求められるようになっております。当社グループは、自社工場、及び生産の外部委託先に対して製品安全に関する取り組みを継続的に実施しておりますが、外的要因も含め、当社グループの想定範囲を超えた事象が発生した場合、製品回収、出荷不能品が発生する可能性があります。
このような製品安全上のリスクに対応するため、当社グループは「消費者視点での品質保証」を基本とし、開発から製造・物流・営業まで、全ての業務に携わる従業員への教育・指導、新規原材料・新製品に対する安全性の総合的評価(セイフティレビュー)、食品防御(フードディフェンス)の取り組み強化、食品安全マネジメントシステムの国際規格であるISO・FSSC等の認証取得と継続的な実効性検証、生産の外部委託先に対する自社工場と同様の管理の徹底等、製品の品質保証体制の維持・向上に取り組んでおります。
③ 災害・事故・感染症
当社グループは、安心・安全な製品を安定的に供給するために工場等の設備維持・安全確保に努めておりますが、地震や風水害などの大規模自然災害、火災・爆発などの事故や新たな感染症の流行が発生した場合、損害発生、顧客への製品供給に支障をきたすなどの可能性があります。
このような災害・事故に係るリスクに対応するため、当社グループは地震・風水害など自然災害の発生時に人的被害・工場等の設備破損が生じないように主要工場の耐震補強、水害対策等を進めるとともに、火災・爆発などの事故発生防止の体制作りの強化(設備・安全監査の実施、設備安全に関する規程整備を含む)、大規模地震に備えたBCP(事業継続計画)、及び風水害に備えたタイムライン等を整備しております。また、発生後の経過と終息を予測することの難しい新たな感染症に対しては、BCP(事業継続計画)、及び感染防止対策等を整備しております。なお、大規模自然災害対策にあたっては、近年の災害甚大化に伴う国の災害想定見直しを逐次確認し、それに対応した対策見直しを行っております。
④ 他社とのアライアンス及び企業買収の効果の実現
当社グループは、事業ポートフォリオの強化を図り、長期的な企業価値の極大化を実現するため、国内外において他社とのアライアンス及び企業買収を行っておりますが、アライアンス及び買収後の事業が当初の想定通りに進捗しない場合等には、その効果を実現できない可能性があります。また、企業買収等に伴い発生しているのれん等の無形資産について、期待されるキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、収益性低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、多額の減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは今後も事業ポートフォリオの強化を進めてまいりますが、他社とのアライアンス及び企業買収については、独自のガイドラインに基づく案件の事前検証、適切なM&Aチーム体制の構築等を実施することでリスクの低減を図り、アライアンス及び買収直後から確実な事業継承・立上げやPMI活動の充実等に取り組んでまいります。
⑤ 海外事業
当社グループは、アジア、北米、オセアニアを中心にして積極的にグローバル展開を推進し、海外売上高比率は20%超に達しております。また、コスト競争力強化のため、グローバルな最適生産体制の構築にも取り組んでおります。今後も海外事業基盤の拡大に取り組んでまいりますが、海外においては、政治あるいは経済の予期しない変動や法律・規制の変更、及び訴訟の提起、テロあるいは紛争等の発生、及び新型感染症の流行による事業活動の制約・停滞などにより、業績悪化、事業継続に支障が生じるなどの可能性があります。
このような海外事業におけるリスクを低減するため、グループ横断のリスクマネジメント委員会の下部組織である海外安全対策部会や外部専門家等を通じて、現地経営環境を踏まえた事業運営の適切な管理・サポート等を実施するとともに、現地に派遣する従業員の研修体制を整備しております。
⑥ 為替変動
当社グループは、加工食品事業をはじめ各事業において、原材料・製品の一部を海外より調達しており、為替変動により調達コストが増加する可能性があります。また、海外事業においては損益、財務状況が円換算の変動により悪影響を受け、製粉事業においては副産物のふすま価格が為替で変動する輸入ふすま価格の影響を受ける可能性があります。
このような為替変動によるリスクに対応するため、当社グループではグループ横断の為替委員会を設置し、為替予約ルールの設定、為替に関する情報共有及び対策の協議を行うなど、為替変動により業績が大きく左右されないよう取り組んでおります。
⑦ 原材料調達
当社グループは、各事業において安全で、かつコスト競争力のある原材料の持続的な調達に努めておりますが、原材料市況の変動及び賃金、物流コスト、包装資材等の原材料価格の上昇などで調達コストが高騰し、コスト低減を実現できない可能性があります。また、輸入小麦価格の大幅な引き上げ等原材料や商品等の調達コストの上昇に対応した小麦粉及び加工食品等の販売価格の改定が確実に行われない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、原材料調達に係る環境・人権問題等の社会的課題に対して適切に対応できなかった場合、企業としての信頼が失墜し、企業ブランド価値・競争力の低下に繋がる可能性があります。
このような原材料調達に係るリスクに対応するため、当社グループは調達コスト、生産コストの継続的なローコストオペレーションを推進するとともに、マーケットの変化に適合した新製品開発や高付加価値化戦略等により製品の適正価値維持に取り組んでおります。また、安全な原材料を安定的かつ持続的に調達するため、サプライヤーとの協力のもと、サプライチェーンも含めて公正で倫理的な取引を基本とした責任ある調達活動を行ってまいります。
⑧ 情報・システム
当社グループは、業務効率の最適化を実現するため基幹系をはじめとして多くのシステムを活用しておりますが、システム運用上のトラブルの発生、当社グループの予測不能なウィルスの侵入・サイバーテロや情報への不正アクセスなどにより、顧客対応に支障をきたす可能性や、営業秘密・個人情報の社外への流出などによる費用の発生、社会的信用の低下などにより事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
このような情報セキュリティに係るリスクを低減するため、当社グループでは「情報セキュリティ基本規程」に基づく積極的な情報セキュリティ活動(教育訓練含む)を展開すると共にセキュリティ関連の情報収集に努め、より高度なコンピューターウィルス対策の実行、基幹系サーバの二重化等の適切なIT管理体制の構築に取り組んでおります。
⑨ 環境課題
当社グループは、企業活動を通じて省エネルギー、廃棄物削減など環境経営を積極的に進めております。しかしながら、当社グループの想定範囲を超えた環境に係る法的規制の変更、強化等が発生した場合、対応費用が発生するなどの可能性があります。また、当社グループが、食品廃棄物・廃プラスチック、及び気候変動等のグローバルな環境課題に対して適切な対応ができなかった場合、地球の資源・環境保全に貢献できないだけでなく、当社グループの企業ブランド価値が低下し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは「日清製粉グループ環境基本方針」に基づき、ISO14001のグループ一括認証、環境管理システムの充実、2030年までの中期環境目標の設定(CO₂排出量の削減と資源の有効利用に注力)とその達成に向けた取組み等の環境保全活動を推進するとともに、食品廃棄物の発生抑制や再利用、環境配慮設計の推進などの「食品廃棄物、容器包装廃棄物への対応」及び事業活動におけるCO₂の排出削減などの「気候変動及び水問題への対応」を当社グループのCSR重要課題に位置付け、長期的な企業価値の向上と企業競争力の強化を図り、社会の持続可能な発展に貢献してまいります。
⑩ 人材の確保等
当社グループは、事業競争力強化のため既存事業のモデルチェンジと事業ポートフォリオの強化に取り組んでおり、それらに対応するための多様な人材を確保・育成する必要があります。しかし、労働力人口の減少や雇用情勢の変動等により、当社グループのそれぞれの事業で必要とする人材の確保・育成等ができない場合には、長期的に当社グループの競争力が低下する可能性があります。
このような人材の確保に係るリスクに対応するため、当社グループは採用活動の強化、教育研修の充実、及び多様な価値観を持つ従業員一人ひとりが能力を十分に発揮できる、健全で働きがいのある労働環境の確保や適切な労務管理に努めるとともに、併せて自動化、ロボット化、AI等の様々な技術の導入による生産効率の向上に取り組んでいます。
⑪ 新技術への対応
当社グループは、それぞれの事業において、急激な市場の変化や技術の進化・変化に適切な対応が取れず、製品開発技術力・生産技術力の低下、及び基盤技術の陳腐化に繋がった場合、顧客ニーズに適合した魅力ある新製品開発ができずに、出荷低迷、企業ブランド価値の低下により経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
このような新技術への対応遅れ等のリスクに対応するため、当社グループでは、グループ横断プロジェクト等を活用した技術の進化と技術者の育成、グループシナジー効果を活用した技術領域の拡大、産官学共同研究等外部からの技術導入の推進等、社内外の総合力を最大化することで継続的に技術力を強化し、市場で求められる製品開発に取り組んでまいります。
上記以外にも当社グループが事業活動を展開するうえで、経済情勢や業界環境の変化に伴う主要製品の出荷変動、単価下落リスクの他、国内外での法的規制・訴訟リスク、商標権・特許権等の知的財産権に伴うリスク、取引先(生産委託先を含む)の経営環境の変化によるリスクなど、様々なリスクが当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、これらのリスク回避、低減に向けて適切に取り組んでまいります。
また、当社グループは、未来に向かって「健康」を支え「食のインフラ」を担うグローバル展開企業の実現に向けて、経済的価値と社会的価値の双方を追求し、グループ一体で企業価値の向上を目指して取り組んでおります。その実現には、人口動態の変化、地球温暖化や廃棄物汚染・食資源の枯渇、サプライチェーンも含めた環境・人権問題等の社会的課題に対応していく必要がありますが、それらの社会的課題に対するステークホルダーのニーズ・要請の変化に対して、製品開発を含めた事業活動全体を通じて適切に対応できなかった場合、企業としての信頼が失墜し、企業ブランド価値・競争力の低下に繋がり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このような社会的課題への対応リスクを低減するため、当社グループでは、優先的に取り組むべき課題を抽出・整理し、「CSR重要課題」※として特定しました。この重要課題への取り組みを経営や事業戦略に統合することで長期的な企業の価値向上や競争力の強化に繋げ、社会の持続可能な発展に貢献できるよう努めてまいります。
※CSR重要課題
(1) 安全で健康的な食の提供と責任ある消費者コミュニケーション
(2) 安定的かつ持続可能な原材料の調達推進
(3) 食品廃棄物、容器包装廃棄物への対応
(4) 気候変動及び水問題への対応
(5) 健全で働きがいのある労働環境の保護
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年8月28日)現在において判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定を必要とします。当社グループはこれら見積り及び仮定について過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これら見積り及び仮定と実績が異なる場合があります。
会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
① たな卸資産
たな卸資産は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、取得原価と正味売却価額のいずれか低い価額で測定しております。また、需要の変化によって過剰又は滞留するたな卸資産についても、簿価を切り下げております。市況の変動や需要動向により、追加の評価減が必要となる可能性があります。
② 貸倒引当金
当社グループは、金銭債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、必要な貸倒引当金を計上しております。顧客の財政状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
③ 投資有価証券の減損
当社グループでは投資有価証券を所有しておりますが、時価のある有価証券については時価法を、時価のない有価証券については原価法を採用しております。当社グループでは、時価のある有価証券については、時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合には減損処理し、30%から50%の下落の場合には、当該有価証券発行会社の業績等を勘案し必要に応じ減損処理しております。時価のない有価証券については、その実質価額が取得価額に比べ著しく下落した場合、回復の見込が確実と認められる場合を除き、減損処理しております。
当社グループでは投資有価証券について必要な減損処理をこれまでに行ってきており、現状では減損すべき投資有価証券はありませんが、将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生し、減損処理が必要となる可能性があります。
④ 企業結合
当社グループは、企業結合により取得した企業又は事業の取得原価は、時価で算定しております。取得原価は、受け入れた資産及び引き受けた負債のうち企業結合日時点において識別可能なものの企業結合日時点の時価を基礎として、当該資産及び負債に対して配分しております。取得原価が、企業結合日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額をのれんとして会計処理しております。
取得した資産、特に無形資産の時価の算定は、多くの場合、経営者の重要な判断を必要とします。当社グループは、独立の第三者による評価結果を利用し、入手可能な過去の情報と将来の見通し及びその仮定に基づいて時価を算定しております。経営者は、これらの判断及び評価は合理的であると判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等の結果によって実際の結果と異なる可能性があります。
⑤ 固定資産の減損
当社グループは、のれんを含む固定資産の帳簿価額が回収不能であると判断された場合、回収可能価額まで減額しております。減損の兆候が生じた資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、減損損失を認識するかどうかの判定を行っております。割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合、減損処理が必要と判断し、当該資産又は資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のいずれか高い金額とし、独立の第三者による評価結果を利用した将来キャッシュ・フローに基づいております。なお、将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクを反映した割引率を用いて現在価値に割り引いております。
経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び回収可能価額の見積りに関する評価を行っており、これらの判断及び評価は合理的であると判断しております。当社グループには、現状では減損すべき固定資産はありませんが、将来の企業環境の変化等により、回収可能価額が帳簿価額を下回ることとなった場合には減損処理が必要となる可能性があります。なお、提出日現在において、これらの見積りの見直しが必要となる事象は生じておりません。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。しかしながら、繰延税金資産の回収見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩または追加計上により利益が変動する可能性があります。
⑦ 退職給付に係る負債
当社グループの退職一時金制度及び既退職の年金受給者を対象とする確定給付企業年金制度における退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の給付水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率などが含まれます。割引率は期末における複数の格付機関による直近の格付けがダブルA格相当以上を得ている社債等の市場利回りに基づき、長期期待運用収益率は保有している年金資産の運用方針や過去の運用実績等に基づき決定しております。実績が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
(2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容
① 当連結会計年度の経営成績の概況及び分析
当連結会計年度につきましては、国内の景気が緩やかな回復基調にある中、年初以降、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、経済及び社会基盤は深刻かつ広範な影響を受けました。また、先行きの経済環境は、極めて不透明で予測困難な状況となっております。
このような中、当社グループは、社会的使命である小麦粉をはじめとする「食」の安定供給の確保に最優先で取り組み、また、その使命を支える従業員の安全確保に努めております。各事業におきましては、2020年度を最終年度とする中期経営計画「NNI-120 Ⅱ」を通過点に、長期ビジョン「NNI “Compass for the Future”新しいステージに向けて~総合力の発揮とモデルチェンジ」で描く目指す姿の実現に向け、更なる成長の基盤づくりを着実に進めております。その一環として、昨年4月に、豪州全土で小麦粉関連の事業を展開するAllied Pinnacle Pty Ltd.の買収を実施し、同7月に、総合中食サプライヤーであるトオカツフーズ株式会社を連結子会社化しました。その一方で、本年3月に連結子会社である日清ペットフード株式会社の事業をペットライン株式会社に譲渡しました。
当期の業績につきましては、売上高はAllied Pinnacle Pty Ltd.及びトオカツフーズ株式会社の新規連結効果により、7,121億80百万円(前期比126.0%)となりました。利益面では、米国製粉事業の収益悪化、M&Aに伴う統合関連費用、人件費、物流費等のコストアップがあったものの、新規連結を含む中食・惣菜事業、既存の医薬品原薬やエンジニアリング事業の好調、Allied Pinnacle Pty Ltd.買収に伴い前年に一時費用が発生した反動等により、営業利益は288億52百万円(前期比107.2%)となりました。なお、販売面では国内の消費が低調に推移する中、新型コロナウイルス感染症の影響拡大に伴い、家庭用食品の販売が一部増加しました。また、厳しい競争環境にある米国製粉事業は、感染症の影響は不透明ですが、回復軌道への転換に目途が立ちつつあります。一方、経常利益はAllied Pinnacle Pty Ltd.における利息の負担を主因として314億34百万円(前期比98.0%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、米国製粉事業の一時的な業績悪化を保守的に捉えた減損損失、また、トオカツフーズ株式会社の連結子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上したことを主因として、224億7百万円(前期比100.6%)となりました。
当期の配当につきましては、連結ベースでの配当性向の基準を40%以上とし連続増配により配当の上積みを図る基本方針のもと、当初の予想どおり、前期より2円増額の1株当たり年間34円としました。
(前期比較) (単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
前期比 |
|
売上高 |
565,343 |
712,180 |
146,836 |
126.0% |
|
営業利益 |
26,916 |
28,852 |
1,936 |
107.2% |
|
経常利益 |
32,062 |
31,434 |
△627 |
98.0% |
|
親会社株主に 帰属する当期純利益 |
22,268 |
22,407 |
138 |
100.6% |
セグメント別の経営成績及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
2020年3月期 売上高・営業利益 (単位:百万円)
|
|
売上高 |
営業利益 |
||
|
実績 |
(前期差) |
実績 |
(前期差) |
|
|
製粉事業 |
306,745 |
60,802 |
9,326 |
146 |
|
食品事業 |
217,959 |
2,922 |
12,895 |
45 |
|
中食・惣菜事業 |
129,967 |
86,222 |
1,736 |
1,164 |
|
その他 |
57,507 |
△3,109 |
4,698 |
610 |
|
調整 |
- |
- |
194 |
△31 |
|
連結計 |
712,180 |
146,836 |
28,852 |
1,936 |
(注1)売上高はセグメント間取引消去後です。
(注2)営業利益の調整額はセグメント間取引消去等です。
1) 製粉事業
(単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
前期比 |
|
売上高 |
245,943 |
306,745 |
60,802 |
124.7% |
|
営業利益 |
9,179 |
9,326 |
146 |
101.6% |
国内製粉事業につきましては、消費者の節約志向の継続等を背景とした厳しい市場環境の中、新規顧客の獲得を進め、業務用小麦粉の出荷は前年並みとなりました。また、昨年4月に輸入小麦の政府売渡価格が5銘柄平均で1.7%、10月に同8.7%引き下げられたことを受け、それぞれ昨年7月及び本年1月に業務用小麦粉の価格改定を実施しました。
副製品であるふすまにつきましては、価格は堅調に推移しました。
海外製粉事業につきましては、Allied Pinnacle Pty Ltd.の新規連結効果等により売上げは前年を大幅に上回りました。販売環境の厳しい米国製粉事業においては、米国及びカナダの主力工場の生産能力増強が完了したことを踏まえ、これまで北米の需給調整機能を担ってきたミネソタ州のニュープラーグ工場を昨年12月に閉鎖しました。事業は回復軌道への転換に目途が立ちつつあり、今後、経営資源を成長地域に集中し、更なる事業基盤の強化を図ってまいります。
この結果、製粉事業の売上高は、3,067億45百万円(前期比124.7%)となりました。営業利益は、米国での販売競争による業績悪化があったものの、前年に発生した買収関連費用の反動や国内ふすま価格の堅調な推移等により、93億26百万円(前期比101.6%)となりました。
2) 食品事業
(単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
前期比 |
|
売上高 |
215,037 |
217,959 |
2,922 |
101.4% |
|
営業利益 |
12,850 |
12,895 |
45 |
100.4% |
加工食品事業につきましては、消費者の節約志向が継続する中、家庭用では、「簡単・便利」「本格」「健康」をキーワードとした高付加価値製品の開発・上市を積極的に進めたほか、イベント協賛やテレビCMをはじめとした広告宣伝活動等、消費を喚起する施策を実施しました。また、昨年10月の輸入小麦の政府売渡価格改定に伴う業務用小麦粉の価格改定等により、本年2月に家庭用小麦粉の価格改定を行いました。業務用では、顧客ニーズに合わせた新製品の投入、新規顧客獲得に向けた提案活動を実施しました。海外事業につきましては、ベトナムのVietnam Nisshin Technomic Co., Ltd.において、本年1月に業務用プレミックスの新工場が稼働を開始しました。これらに加え、年度末にかけての新型コロナウイルス感染症拡大の影響による家庭用製品の需要増加もあり、加工食品事業の売上げは前年を上回りました。
酵母・バイオ事業につきましては、製パン用素材等の出荷減により、売上げは前年を下回りました。なお、インドの子会社であるOriental Yeast India Pvt. Ltd.では、本年夏頃の完工予定でイースト工場建設工事を進めておりましたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により工事を中断したため、完工時期は未定であります。
健康食品事業につきましては、医薬品原薬及び消費者向け製品の出荷増により、売上げは前年を上回りました。
この結果、食品事業の売上高は2,179億59百万円(前期比101.4%)となりました。営業利益は、酵母・バイオ事業におけるインドイースト工場立ち上げ費用や広告宣伝費等の戦略コスト、及び物流費の増加はあったものの、健康食品事業等の増収効果により、128億95百万円(前期比100.4%)となりました。
3) 中食・惣菜事業
(単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
前期比 |
|
売上高 |
43,745 |
129,967 |
86,222 |
297.1% |
|
営業利益 |
571 |
1,736 |
1,164 |
303.7% |
中食・惣菜事業につきましては、夏場の天候不順による調理麺の販売低調、及び年度末にかけての新型コロナウイルス感染症拡大の影響による販売減少があったものの、トオカツフーズ株式会社の新規連結効果により、売上げは前年を大幅に上回りました。
この結果、中食・惣菜事業の売上高は、1,299億67百万円(前期比297.1%)、営業利益は、17億36百万円(前期比303.7%)となりました。
4) その他事業
(単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
前期比 |
|
売上高 |
60,616 |
57,507 |
△3,109 |
94.9% |
|
営業利益 |
4,088 |
4,698 |
610 |
114.9% |
ペットフード事業につきましては、犬の飼育頭数が減少し市場が縮小する中、キャンペーンの実施等拡販に努めましたが、売上げは前年を下回りました。なお、本事業は、本年3月末をもってペットライン株式会社に譲渡しました。
エンジニアリング事業につきましては、大型工事の減少により売上げは前年を下回りました。
メッシュクロス事業につきましては、スクリーン印刷用資材等の出荷減により、売上げは前年を下回りました。
この結果、その他事業の売上高は、575億7百万円(前期比94.9%)となりましたが、営業利益は、エンジニアリング事業における工事コスト管理の徹底等により、46億98百万円(前期比114.9%)となりました。
② 当連結会計年度の財政状態の概況及び分析
(単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
|
流動資産 |
268,170 |
238,980 |
△29,189 |
|
固定資産 |
326,583 |
427,234 |
100,650 |
|
資産合計 |
594,754 |
666,215 |
71,461 |
|
流動負債 |
114,806 |
131,058 |
16,252 |
|
固定負債 |
61,098 |
126,114 |
65,015 |
|
負債合計 |
175,905 |
257,172 |
81,267 |
|
純資産合計 |
418,848 |
409,042 |
△9,806 |
|
負債純資産合計 |
594,754 |
666,215 |
71,461 |
当連結会計年度末における資産、負債、純資産の状況は以下のとおりです。
流動資産は2,389億80百万円で、Allied Pinnacle Pty Ltd.の買収による現金及び預金の減少等に伴い、前年度末に比べ291億89百万円減少しました。固定資産は4,272億34百万円で、Allied Pinnacle Pty Ltd.の買収及びトオカツフーズ株式会社の連結子会社化によるのれんや使用権資産の増加等に伴い、前年度末に比べ1,006億50百万円増加しました。この結果、資産合計は6,662億15百万円で前年度末に比べ714億61百万円増加しました。
また、流動負債は1,310億58百万円で、Allied Pinnacle Pty Ltd.の買収及びトオカツフーズ株式会社の連結子会社化による短期借入金の増加等に伴い、前年度末に比べ162億52百万円増加しました。固定負債は1,261億14百万円で、Allied Pinnacle Pty Ltd.の買収によるリース債務の増加及び社債の発行等に伴い、前年度末に比べ650億15百万円増加しました。この結果、負債合計は2,571億72百万円となり、前年度末に比べ812億67百万円増加しました。純資産合計は親会社株主に帰属する当期純利益による増加、配当金の支出による減少、その他の包括利益累計額の減少等により、前年度末に比べ98億6百万円減少し、4,090億42百万円となりました。
③ 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(3) キャッシュ・フローの状況及び資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フローの状況
(単位:百万円)
|
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
前期差 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
39,873 |
38,420 |
△1,453 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△19,184 |
△96,844 |
△77,660 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△10,567 |
8,337 |
18,905 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△202 |
△1,451 |
△1,249 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
9,920 |
△51,537 |
△61,457 |
|
連結子会社の決算期変更に伴う 現金及び現金同等物の増減額 |
△1,006 |
713 |
1,719 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
107,374 |
56,550 |
△50,824 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益332億96百万円、減価償却費212億35百万円等による資金増加が、仕入債務の減少及び法人税等の支払等の資金減少を上回ったことにより、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは384億20百万円の資金増加(前連結会計年度は398億73百万円の資金増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形及び無形固定資産の取得に219億19百万円を支出したこと、Allied Pinnacle Pty Ltd.の買収及びトオカツフーズ株式会社の連結子会社化に伴い771億89百万円を支出したこと等により、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは968億44百万円の資金減少(前連結会計年度は191億84百万円の資金減少)となりました。
以上により、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いたフリー・キャッシュ・フローは、584億24百万円の資金減少(前連結会計年度は206億89百万円の資金増加)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株主の皆様への利益還元といたしまして配当に98億10百万円を支出しましたが、長期及び短期借入金の借入れ並びに社債の発行による収入が返済による支出を223億17百万円上回ったこと等により、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは83億37百万円の資金増加(前連結会計年度は105億67百万円の資金減少)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比で515億37百万円減少しましたが、連結子会社の決算期変更に伴う増加7億13百万円があり、当連結会計年度末の残高は565億50百万円となりました。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度末の有利子負債残高(リース債務は除く)は533億円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、当社グループの資金は、当面充分な流動性を確保しております。
当社グループは長期ビジョン「NNI “Compass for the Future”新しいステージに向けて~総合力の発揮とモデルチェンジ」に基づき、持続的成長に向けて、設備投資、M&A、人材育成、技術開発等の戦略投資を今後さらに積極的に加速させると同時に、株主還元につきましては、「当社創業以来の価値観」を共有して下さる株主の皆様に長期的スタンスで安定的に利益還元を強化してまいります。具体的には、連結ベースでの配当性向の基準を40%以上とし連続増配により配当の上積みを図り、自己株式取得等はキャッシュ・フローや戦略的な投資資金需要を勘案した上で機動的に行ってまいりたいと考えております。なお、今後の重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
そのための資金は、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら、内部及び外部の両財源より調達してまいります。内部からの資金捻出は、既に導入しておりますキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を利用した国内連結子会社の資金の一元管理、及び資産の徹底的な圧縮に引き続き取り組むことにより、外部からは当社グループの健全な財務体質を背景に有利子負債等により、調達してまいります。
(4) 中期経営計画「NNI-120 Ⅱ」の達成状況及び経営者の視点による分析・検討内容
① 中期経営計画「NNI-120 Ⅱ」の業績目標と資本政策
当社グループは、2015年度に、2020年度を最終年度とする有期目標を掲げた中期経営計画「NNI-120 Ⅱ」を策定しました。中期経営計画では、コア事業の収益基盤の再構築に注力すると同時に、買収事業を含めた自立的成長と新規戦略投資(M&A、設備投資)等の実行により、着実な利益成長を目指し、2020年度の業績目標を以下の通りとしております。
|
<2020年度の業績目標> |
||
|
・売上高 |
7,500億円(基準年度:2014年度 5,261億円) |
※年率平均6%成長 |
|
・営業利益 |
300億円( 同 204億円) |
※年率平均7%成長 |
|
・EPS |
80円( 同 53円) |
※EPS(1株当たり当期純利益)は、利益成長と 資本政策の両面から年率平均8%成長を目指す。 |
また、資本効率の向上と財務の安定性のバランスを取りながら、将来の成長に向け戦略投資を推進するとともに、従来以上に積極的な株主還元に取り組む資本政策を以下の通り策定しました。
|
<資本政策> |
||
|
・連結ベースでの配当性向の基準を40%以上とし、今後、さらに積極的に配当の上積みを図る。 ・自己株式取得を機動的に実行していく。 |
||
② 中期経営計画「NNI-120 Ⅱ」の達成状況
中期経営計画における2020年度の業績目標に対して、2019年度の売上高は基準年度に対して年率平均6.2%成長(業績目標:年率平均6%成長)、営業利益は同7.1%成長(同7%成長)、1株当たり当期純利益(EPS)は同7.2%成長(同8%成長)となりました。売上高・営業利益は目標数値を上回って進捗しておりますが、1株当たり当期純利益(EPS)は目標を下回る結果となりました。
資本政策につきましては、2019年度の1株当たり年間配当金は34円、配当性向は45.1%となり、連結ベースでの配当性向を40%以上とする経営計画の基本方針のもと、連続増配を継続しております。
(5) 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
増減率(%) |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
|
製粉 |
237,386 |
293,368 |
23.6 |
|
食品 |
110,670 |
112,428 |
1.6 |
|
中食・惣菜 |
33,392 |
120,423 |
260.6 |
|
その他 |
25,724 |
25,458 |
△1.0 |
|
合計 |
407,174 |
551,678 |
35.5 |
(注)1 金額は、期間中の平均販売価格等により算出しており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度よりセグメントの変更を行っており、前連結会計年度の生産実績は変更後のセグメント区分により作成したものを記載しております。
b. 受注実績
重要な受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
増減率(%) |
|
金額(百万円) |
金額(百万円) |
||
|
製粉 |
245,943 |
306,745 |
24.7 |
|
食品 |
215,037 |
217,959 |
1.4 |
|
中食・惣菜 |
43,745 |
129,967 |
197.1 |
|
その他 |
60,616 |
57,507 |
△5.1 |
|
合計 |
565,343 |
712,180 |
26.0 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三菱商事㈱ |
63,426 |
11.2 |
- |
- |
|
㈱ファミリーマート |
- |
- |
93,867 |
13.2 |
前連結会計年度の㈱ファミリーマート、当連結会計年度の三菱商事㈱につきましては、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4 当連結会計年度よりセグメントの変更を行っており、前連結会計年度の販売実績は変更後のセグメント区分により作成したものを記載しております。
主要な原材料価格及び販売価格の変動については「(2) 財政状態及び経営成績の状況及び経営者の視点による認識及び分析・検討内容」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)では、当社の組織として主に基盤技術を研究開発する基礎研究所、及び主に各事業に導入する生産技術の開発とナノテクノロジー技術の開発を担う生産技術研究所を設置するほか、連結子会社である日清製粉㈱、Allied Pinnacle Pty Ltd.(以上製粉事業)、日清フーズ㈱、オリエンタル酵母工業㈱、日清ファルマ㈱(以上食品事業)、日清ペットフード㈱、日清エンジニアリング㈱、㈱NBCメッシュテック(以上その他事業)にそれぞれ研究開発組織を配置し、各事業領域に特化した研究開発を行っております。
これらの研究開発組織においては、新製品候補素材の探索や新技術の確立を目的とした基礎研究を行う一方、マーケットのニーズ・ウォンツに適合した新製品や調理加工技術の開発、既存製品の改良、生産システムの自動化、粉粒体関連技術の開発・応用など、幅広い研究開発活動を行っております。いずれも研究領域における専門性を高め最新技術を導入するため内外の研究機関などと積極的に連携を深め、研究開発の効率化と成果の事業化を強力に推進しております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
なお、研究開発費には、特定のセグメントに関連付けられない研究費用930百万円が含まれております。
当連結会計年度の研究開発の概要と主な成果は次のとおりであります。
(1) 製粉事業
日清製粉㈱商品開発センター、つくば穀物科学研究所が中心となり、当社の基礎研究所、生産技術研究所と連携して、新しい小麦粉加工技術及び小麦・小麦粉を中心とした穀物科学と穀粉加工技術の研究開発などを行っております。主な成果としては、味わい深さを最大限引き出す製造方法を研究し、新たな石臼挽き小麦粉の開発を行いました。また、Allied Pinnacle Pty Ltd.では、小麦粉、プレミックス、ベーカリー関連原材料の開発活動を行っております。
製粉事業に係る研究開発費は
(2) 食品事業
日清フーズ㈱の加工食品事業部が中心となり、当社の基礎研究所、生産技術研究所と連携して、各種プレミックス・乾麺・パスタ・レトルト食品・冷凍食品等の全温度帯商品群の研究開発を行っております。主な成果としては、機能性表示食品「カラダに、おいしいこと。」シリーズとして、家庭用のホットケーキミックス、パスタソース、冷凍食品の全7品の機能性表示食品を発売しました。オリエンタル酵母工業㈱の食品部門では、食品研究所と4つの食品開発センターでイーストや製パン用をはじめとした食品素材及び日持・品質向上剤等の研究開発を行い、バイオ部門では長浜生物科学研究所と長浜工場CS開発部において再生医療関連製品等の研究開発を行っております。日清ファルマ㈱健康科学研究所では各種健康食品の開発と産官学で連携して健康食品素材の研究開発を行っております。主な成果としては、尿酸値を下げる機能が報告されているアンセリンを配合した「尿酸値が気になる方のアンセリン」等、機能性表示食品として2品を発売しました。
食品事業に係る研究開発費は
(3) 中食・惣菜事業
中食・惣菜に関する研究開発は、当社の基礎研究所において調理加工技術および微生物制御技術の研究開発を、生産技術研究所において省人化を目的とした自動化技術およびロボット技術の研究開発を行っております。これらの研究開発は早期の実用化を目指し、トオカツフーズ㈱、イニシオフーズ㈱、㈱ジョイアス・フーズと連携して取り組んでおります。
中食・惣菜事業に係る研究開発費は
(4) その他事業
日清ペットフード㈱では那須研究所でペットの健康や嗜好に配慮した研究開発を行い、愛犬や愛猫の健康状態をサポートする機能食「Jpスタイルブランド」から新たに製品9品を発売しました。日清エンジニアリング㈱では、粉体事業部が各種粉体の粉砕、分級などの機器、及び熱プラズマ法によるナノ粒子製造技術を当社の生産技術研究所と連携して研究開発しております。また㈱NBCメッシュテックでは、スクリーン印刷用・産業用資材の両分野において新製品及び新素材の研究開発を行っております。
その他事業に係る研究開発費は