第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

当社グループは、1936年の創立以来、大地の恵みである小麦、大豆、菜種、トウモロコシ、米などの穀物を余すところなく、小麦粉、プレミックス、植物油、糖化製品、配合飼料などに加工し、皆様の食生活を豊かにする事業に取り組んでまいりました。

創立90周年を迎える2026年2月に創立100周年、さらにその先を見据え、当社グループを取り巻く環境の変化に対応し、持続的成長及び企業価値向上を図るべく、新たなグループ経営理念「ひと粒の可能性から、価値をひろげ、日々の幸せを共につくる。」を策定し、長期ビジョンを含むグループの理念体系を再構築いたしました。

新たなグループ経営理念のもと、当社グループのオリジンである“穀物”と“人”の無限の可能性を追求し、地球環境を含めた社会全体によりそい、未来につづく幸せをつくってまいります。

また、当社グループの持続的成長及び企業価値向上に向けて大切にすべき価値観や行動を示した行動指針として、「誠実。」、「本質。」、「共助。」、「打破。」、「研鑽。」の5つを定めました。

新たな羅針盤のもと組織文化を変革し、100周年、その先も選ばれ続ける昭和産業グループを目指してまいります。

 

(2)経営戦略(長期ビジョン・中期経営計画)

新理念体系のもと、創立100周年を迎える2035年度をターゲットとする長期ビジョン「SHOWA VISION 2035」及び、長期ビジョンに基づく4ヵ年計画「中期経営計画26-29」を今年2月に策定し、その実現に向けて取り組んでおります。

 

①長期ビジョンについて

当社グループは、2035年度のありたい姿として「穀物のあらゆる可能性をひろげていく」を掲げ、当社グループのオリジンである「穀物」を起点に、食領域における可能性のひろがりはもとより、食領域を超えて人々の生活環境の向上や持続可能な社会への貢献に資する「Life Solution」分野での可能性のひろがりも追求いたします。

具体的には、事業成長性と資本効率性を軸に事業ポートフォリオを再定義し、ROICを指標に各領域の位置付けを明確化することで、基盤分野におけるキャッシュ・フロー創出力を強化し、新規分野などの価値創出領域への積極的な成長投資を実行してまいります。また、資本戦略の強化により資本コストの最適化と株主還元の充実を図ってまいります。

 

〔2035年度 ありたい姿〕


 

〔長期ビジョン 定量目標〕


 

〔事業ポートフォリオマネジメント〕


②中期経営計画26-29について

長期ビジョン「SHOWA VISION 2035」の実現に向けて、収益体質の強化を掲げ、基盤分野における高付加価値商品へのシフトやコスト削減、事業横断での事業基盤の強化に取り組んでまいります。そして、成長戦略の実現に向け、海外への展開や新規分野といった成長分野への取り組みを一層拡大してまいります。

また、ROIC経営の推進により、グループ全体の損益及び資本効率を向上し、最適な資源配分を通じて企業価値の最大化とPBR1倍以上を目指してまいります。全社WACCを4%と認識し、資本効率経営を推進することでROICーWACCスプレッドの最大化を目指してまいります。個々の事業においては、事業別にWACCを設定することでROICスプレッドの最大化に取り組み、事業ポートフォリオマネジメントの最適化を実現してまいります。さらに、ROIC経営の推進による基礎収益力の強化に加え、政策保有株式等の売却を戦略的に推進し、成長投資と株主還元のバランスを重視して実行することにより、持続的な企業価値向上の実現を目指してまいります。

 

 

〔中期経営計画26-29の位置付け〕


 

〔中期経営計画26-29 定量目標〕

 

2025年度実績

2026年度計画

2029年度目標

差異

(2025年度比)

ROE(%)

7.5%

6.3%

8.0%

0.5%

ROIC(%)(※1)

5.1%

4.6%

6.0%

0.9%

営業利益

119億円

120億円

140億円

20億円

営業利益率

3.6%

3.4%

4.0%

0.4%

 

 

配当方針:配当性向40%または、DOE3.0%のいずれか高い方を基準とする(※2)

 

※1)ROIC経営管理体制の本格導入に当たり、改めて当社でのROICの考え方を精査した結果、計算方法の見直しを実施

ROIC=税引後事業利益÷ 投下資本(期首期末平均)、

事業利益:経常利益-金融収支、投下資本:有利子負債+自己資本

(計算方法の見直し前の2025年度実績ROICは4.4%)

※2)事業ポートフォリオ再構築や資産売却等の一時的な特殊要因を除く

 

(3)対処すべき課題

当社グループを取り巻く重要な外部環境及びリスクとして、気候変動による異常気象の頻発や地政学リスクの増大による原料穀物の安定調達の困難化、日本国内における少子高齢化による需要の減退等が想定されます。また、円安の進行や環境規制の強化等による生産コストの上昇等が見込まれます。このような状況から、国内基盤分野での事業規模の拡大はより厳しさが増し、収益性の維持拡大には社内のコスト構造の見直しを含む取り組みが必要になると認識しております。

一方で、消費者のニーズの多様化や海外市場における日系商品の普及拡大により、基盤分野においては高付加価値商品や海外市場に事業拡大の機会が見込まれます。また、循環型経済の進展により、穀物に係る食分野及び非食分野それぞれの新たな価値創出に事業機会があると認識しております。

これらのリスクと機会を的確にとらえ、当社グループの持続的な成長を実現するために、中期経営計画26-29で取り組むべき重要な課題として6つのマテリアリティを特定し、関連する取り組みテーマを推進してまいります。そして、マテリアリティを具体的な事業戦略として落とし込むことにより事業の成長に繋げてまいります。

当社グループの「6つのマテリアリティ」の詳細につきましては、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

〔事業戦略〕

中期経営計画26-29では、ROICを基に事業ポートフォリオの各領域の位置付け及び方針を明確にし、戦略の推進に取り組んでまいります。各領域における中期経営計画26-29の方針は次のとおりです。


〔具体的な方針〕

①戦略的価値創出領域

国内の基盤分野における事業規模の拡大はより厳しさが増していることから、オレオケミカル・ファインケミカル等食領域を超えた穀物の新たな価値を創出することにより、将来の収益の柱となる事業を育成してまいります。具体的には、バイオ燃料等の次世代エネルギーや石油由来製品の代替技術への参入、製造工程で発生する副産物を活用した機能性素材の拡販などの取り組みを推進してまいります。

 

②付加価値創出領域及び、コア領域

製粉、製油、糖質及び、飼料を「基盤分野」と位置付け、基幹製品を取り扱う領域を「コア領域」、高付加価値商品や海外展開への取り組みについては「付加価値創出領域」とし、それぞれの取り組みを推進してまいります。「コア領域」は効率化を進め、「付加価値創出領域」においては、研究・開発を中心としたリソースを積極的に投入し収益力の強化に向けて新たな素材や商品の研究・開発に注力していくことで基盤分野における安定的な収益構造の確立を目指してまいります。基盤の各分野における具体的な取り組みは次のとおりです。

・製粉

グループ会社を含め7工場ある国内製粉工場の一体運営の確立と製造拠点の最適化による効率化を進めるとともに、多様な取引先へのソリューション提案により、付加価値商品の拡販や商品ポートフォリオの最適化を進めてまいります。

・製油

サプライチェーンマネジメントの強化によるコスト低減に注力するとともに、こめ油やコーン油等多様な油種を生かして最適な油種ポートフォリオを構築することにより、事業環境の変動によるボラティリティの低減に取り組んでまいります。

・糖質

業界トップレベルの事業規模を有することから、業界トップの地位の確立を目指し、主力工場である鹿島工場への重点的な設備投資を実行してまいります。また、グループ会社と連携して高付加価値商品へ注力することにより、更なる収益力の強化を目指してまいります。

・飼料

飼料原料の調達から畜産物の生産・販売管理までを一気通貫で展開する当社独自のビジネスモデルにより、市場のニーズに合った付加価値畜産物の展開等に取り組むことで、畜産分野における収益拡大を目指してまいります。また、当社グループの食品事業の製造過程で発生する副製品を活用することで、当社グループ全体の収益最大化に努めてまいります。

 

③体質強化領域

冷凍食品、焼成パン、不動産は、体質強化領域として様々な施策を通じてROIC指標の向上に取り組んでまいります。収益性改善に向けた見直しを進めるとともに、今後の方向性を検討してまいります。

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日(2026年6月23日)現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

 

◆サステナビリティ基本方針

昭和産業グループは、グループ経営理念「ひと粒の可能性から、価値をひろげ、日々の幸せを共につくる。」を実現するために、多種多量の穀物を扱う「穀物ソリューション・カンパニー」として、穀物を生み出す大地とその環境を守り、穀物を余すことなく最大限に有効活用していくことが社会的使命であり、責任であると考えています。

この責任を果たしていくために、サステナブルな社会の実現と当社グループの持続的な企業価値向上の両立を目指し、ESG経営を推進してまいります。

当社グループは、こうしたサステナビリティの取り組みとともに、全てのステークホルダーの皆様とのエンゲージメント深化を通して社会との共生を目指していきます。

 

(サステナビリティ全般)

a.ガバナンス

<サステナビリティ推進体制>

代表取締役社長執行役員を委員長とし、各部門統轄全員が副委員長となっている「サステナビリティ委員会」を設置しています。サステナビリティ委員会の傘下に、当社グループが重要と考える6つの社会的課題(①安全・安心で高品質な製品の提供、②公正な企業活動、③人権尊重、④環境への配慮、⑤社会への貢献、⑥ステークホルダーとの対話・情報開示)に加えて、注力している⑦リスクマネジメントに関わる委員会または部署を設置しております。なお、⑦リスクマネジメント委員会には専門部会としての災害対策委員会と情報セキュリティ委員会を置き、頻発する自然災害への対策や増加するサイバー攻撃への対応を進めております。

また、サステナビリティ委員会での決議事項は、経営会議、取締役会へ報告され、取締役会の監督を受けております。

なお、サステナビリティの取り組みを推進するためのインセンティブとして、取締役(監査等委員である取締役を除く。)の報酬の内、「変動型固定報酬(短期インセンティブ)」について、サステナビリティ経営の深化に向けた非財務目標を反映させております。役員報酬の詳細につきましては「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」をご参照ください。

気候変動及び人的資本に関する当社グループの「ガバナンス」につきましては、後述の(気候変動への対応・TCFD提言への取り組み)及び(人的資本経営)をご参照ください。

 


 

b.戦略

当社グループでは、サステナビリティ経営の推進に向けて、経営にとって重要な社会的課題(マテリアリティ)を特定し、優先課題として設定しております。

マテリアリティ

取り組みテーマ

主なリスク

主な機会

穀物由来素材の

可能性の追求

・穀物の価値の深耕

・新規用途追求

・未利用資源の活用

・事業化遅滞による競争力低下

・既存事業の稼働率低下

・代替ニーズ対応等による市場拡大

・副産物、未利用資源活用による新市場の獲得

・外部連携による技術力とリソースの強化

・知財戦略による競争優位性の確立

食生活への貢献

・多様なニーズを満たす食品の提供

・よりよい栄養へのアクセス

・国内需要縮小と競争激化による減益

・節約志向による嗜好品買い控え

・特定ニーズ対応による競争力向上

(健康食品、介護食、アレルギー、ハラール等)

・ワンストップ型ソリューション提案の拡大

・海外市場における製品普及の加速

・販売チャネルの多様化による需要獲得

社会から信頼される

安定的な商品提供

・持続可能な安定生産

・安全、安心で良質な商品提供

・安定調達、サステナ調達

・環境、人に優しい物流

・製品事故による健康被害の発生

・世界的な穀物需給のひっ迫

・サプライチェーンの環境、人権対応不足

・物流網の機能不全

・スマートファクトリー化による生産性革新

・戦略的調達による競争力の向上

・食品安全の高度化による優位性確立

・持続可能な安定供給体制の構築

未来に繋ぐ

地球環境の実現

・気候変動対応

・水資源の保全

・生物多様性対応

・気候変動による原料生産の不安定化

・水不足、水質悪化による操業停止

・生物多様性対応の不足による企業価値毀損

・ステークホルダーからの評価向上

・J-クレジット創出による新市場の獲得

・バイオマスの再エネ原料への用途拡大

人財と組織力の強化

・組織文化の醸成

・働きがいの向上

・人財マネジメント

・D&Iの推進

・人財獲得、定着の難化

・エンゲージメント低下

・D&I推進不足によるイノベーションの停滞

・成長機会拡充と適財適所による従業員ポテンシャルの最大化

・変化に柔軟に対応できる組織文化の醸成

誠実な経営

・事業ポートフォリオマネジメント

・リスクマネジメント

・企業倫理、コンプライアンス

・人権の尊重

・ステークホルダーとの対話の強化

・ガバナンス不全による経営不健全化

・システム障害等による事業停止

・戦略的な事業ポートフォリオマネジメントによる企業競争力の向上

・積極的なIR/SR活動によるブランドイメージ向上

 

 

マテリアリティ特定にあたっては、長期ビジョン策定に伴う外部環境分析(PEST分析)を起点とし、当社にとってのリスク・機会をより明確化したプロセスへと見直しを行っております。本フローを今後の標準的な策定プロセスと位置づけ、年次でのモニタリングと見直しを継続的に実施いたします。

 

 


マテリアリティは、経営方針やリスク管理の指針として機能し、組織全体のサステナビリティ活動の方向性を示すものであります。

一方で、「ガバナンス」に記載のとおり、6つの社会的課題ごとに専門の委員会や部署を設置しております。

これらの委員会や部署は具体的な施策の実行やモニタリングの実施をする等、マテリアリティの実現に向けたガバナンス体制の核として、施策推進や課題の管理を行う役割を担っております。

マテリアリティは「何を重視するか」を示し、委員会は「どう取り組むか」を担う組織として、それぞれの役割を持ち連携しております。

マテリアリティへの取り組みを進めることで持続的な企業価値向上及び中期経営計画26-29が掲げる目標の達成を目指します。

なお、重要性が増している人権への取り組みとして、2026年2月20日に「昭和産業グループ人権方針」を策定いたしました。

本方針のもと、自社およびビジネスパートナーにおける人権への負の影響を把握し、その防止・軽減を図る「人権デュー・ディリジェンス」の仕組みを構築・実施することで、バリューチェーン全体における人権尊重の取り組みを推進してまいります。

気候変動及び人的資本に関する当社グループの「戦略」につきましては、後述の(気候変動への対応・TCFD提言への取り組み)及び(人的資本経営)をご参照ください。

 

c.リスク管理

当社グループでは、「リスクマネジメント基本方針」に基づきリスクマネジメント委員会を設置し、企業経営に対する重大なリスクへの適切かつ迅速な対応の強化に取り組んでおります。

サステナビリティ全般に関連するリスクもリスクマネジメント委員会で特定しており、それらはリスクマネジメント委員会からサステナビリティ委員会へ報告しております。サステナビリティ全般に関連するリスクへの対応策等についてはサステナビリティ委員会及びサステナビリティ委員会傘下の委員会または部署にて取り組んでおります。

サステナビリティ全般に関連するリスクも含めたリスク管理全般の内容につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

気候変動及び人的資本に関する当社グループの「リスク管理」につきましては、後述の(気候変動への対応・TCFD提言への取り組み)及び(人的資本経営)をご参照ください。

 

d.指標及び目標

1.気候変動及び人的資本

当社グループでは、気候変動及び人的資本に関する「指標及び目標」を設定しております。気候変動及び人的資本に関する当社グループの「指標及び目標」の詳細につきましては、後述の(気候変動への対応・TCFD提言への取り組み)及び(人的資本経営)をご参照ください。

 

2.その他のマテリアリティ

現時点では具体的な「指標及び目標」を設定しておりませんが、上述の「戦略」に掲げた各テーマの深化を定性・定量の両面で管理し、当社グループ全体の持続的成長へつなげます。

 

 

(気候変動への対応・TCFD提言への取り組み)

昨今、気候変動が社会、企業活動に与える影響は非常に大きくなっております。当社グループは「穀物ソリューション・カンパニー」として、大地の恵みである穀物を多種多量に取り扱っており、気候変動は社会が直面し、対応が急務である最も重要な課題の一つと認識しております。

2021年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同を表明し、合わせて同提言に賛同する国内企業等により構成される「TCFDコンソーシアム(現 GXフューチャー・コンソーシアム)」にも参画しております。気候変動による事業への影響の低減とともに、気候変動に伴う社会的課題の解決に向けた活動を推進してきており、TCFD提言に則った「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標及び目標」の4項目の情報開示を積極的に進め、ステークホルダーの皆様との対話を進めてまいります。

 

a.ガバナンス

重要な気候関連のリスク及び機会を特定し、適切にマネジメントするために、代表取締役社長執行役員が委員長を務め全役員が委員またはオブザーバー、全部署長が委員となっているサステナビリティ委員会傘下の環境管理委員会に、専門委員会としてTCFD委員会を設置しております。TCFD委員会は、TCFD提言に基づくシナリオ分析を実施するとともに、関連する委員会やグループ会社各社と緊密に連携し、毎期それらの対応に関する計画を策定し、遂行状況については環境管理委員会に報告し承認を得ております。環境管理委員会はTCFD委員会の活動状況のモニタリングとともにグループ環境目標の進捗管理を実施しており、その結果はサステナビリティ委員会及び経営会議の承認を経て、取締役会に年1回以上報告しております。取締役会は当社グループの環境課題への対応及び実行した施策についての監督を行っております。

 


 

b.戦略

当社グループはIPCC(気候変動に関する政府間パネル)で示されている気候変動のシナリオを参照し、その中から3つのシナリオ(1.5℃、2℃、4℃)について財務的影響及び事業戦略への影響を評価するとともに、気候関連リスク及び機会に対する当社グループの戦略のレジリエンスの確認と追加施策の必要性の検討を目的として、シナリオ分析を実施しております。

2022年3月期はTCFDが提言する気候変動の「リスク」と「機会」の選定、財務インパクトの定性・定量評価、「リスク」と「機会」に対する当社グループの取り組み方針を策定するとともに、当社グループにおいて環境負荷が最も大きい「糖質カテゴリ」を対象として分析・評価を行いました。

2023年3月期は2022年3月期に続き「糖質カテゴリ」の分析・評価を継続するとともに、次に環境負荷が大きい「製油カテゴリ」についての分析・評価を行いました。

2024年3月期は「製油カテゴリ」「糖質カテゴリ」の分析・評価を継続するとともに、「製粉カテゴリ」の分析・評価を行い、グループ全体での気候変動に対する対応力向上を図りました。

これにより、当該3カテゴリで当社グループ全体のCO2排出量(Scope1・2)、水使用量ともに95%以上(2019年度にて算出)についての分析・評価を行ったこととなります。

2025年3月期は当該3カテゴリの分析・評価により抽出された情報の整理を目的とし、リスクと機会の再検討や重要なリスクに対するサプライチェーン毎の対応策の検討等を行いました。

2026年3月期は引き続き食品事業の分析・評価やリスクと機会の検討等を行うとともに、新たに飼料事業を対象として分析・評価やリスクと機会の検討等を行いました。

 

当社のシナリオ分析にあたっては、TCFD委員会と各事業・カテゴリに関わる各部門やグループ会社が一体となり議論を行いました。(管理体制の詳細は「c.リスク管理」を参照)

前年度までに実施した分析・評価で培った手順や手法を、グループ会社間で情報を共有することで、本取り組みを当社グループのレジリエンスの強化にも繋げております。

 

当社が実施するシナリオ分析のステップ

① 気候変動が当社グループにもたらす「リスク」と「機会」を特定し、事業に与えるインパクト(事業インパクト)をナラティブに表現。

② 事業インパクトの大きさを軸に、「研究開発」「原料調達」「輸送・保管」「製造」「販売・マーケティング」「配送」のサプライチェーンの6項目それぞれに「リスク」と「機会」の重要度を優先順位付け。

③ シナリオを定義し、ステップ②で抽出した重要度の高い「リスク」と「機会」を踏まえ、PEST分析や5フォース分析等によりシナリオごとの当社グループの世界観を整理。

④ 社内外のデータを活用し、ステップ③の世界観も踏まえつつ事業インパクトを定量化し、気候変動が及ぼす影響を可視化。

⑤ 当社グループの「リスク」と「機会」に関する対応状況を整理し、中期経営計画等の事業戦略に反映すべく検討を継続中。

 

 

 

◆当社のシナリオ分析の前提

≪評価・分析に使用した3つの気候変動シナリオ≫

・1.5℃シナリオ(IPCC第6次評価報告書における SSP1-1.9シナリオ)

脱炭素社会の実現に向けた気候変動政策の導入等により、2100年までの世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ1.5℃以下に抑えるシナリオ

・2℃シナリオ(IPCC第6次評価報告書における SSP1-2.6シナリオ)

脱炭素社会の実現に向けた気候変動政策の導入等により、2100年までの世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ2℃未満に抑えるシナリオ

・4℃シナリオ(IPCC第6次評価報告書における SSP5-8.5シナリオ)

世界的に気候変動対策が充分に進展せず、2100年までの世界の平均気温が産業革命以前に比べ4℃上昇するシナリオ

≪対象事業≫

・当社グループの「食品事業」の内、「製粉カテゴリ」「製油カテゴリ」「糖質カテゴリ」

・当社グループの「飼料事業」

≪影響度評価の手法≫

・想定されるリスク及び機会について、事象が発生した際の財務的影響の大きさからその影響度を評価

≪対象年≫

・2026年~2030年(短期)、2031年~2035年(中期)及び2036年~2050年(長期)までの期間

 

当社グループのシナリオ分析に基づく、当社グループが想定する2050年の世界観

 

 

1.5℃シナリオ

2℃シナリオ

4℃シナリオ

 

 

世界規模でのカーボンニュートラルの達成に向けて脱炭素化が2℃シナリオよりも強く推進された結果、2100年までの世界の平均気温が1.5℃程度の上昇に抑えられる将来予測。

世界規模でのカーボンニュートラルの達成に向けて脱炭素化が強く推進された結果、2100年までの世界の平均気温が2℃程度の上昇に抑えられる将来予測。

気候変動対策への取り組みは現行の政策や規制以上の進展がなく、温室効果ガス排出量が増大し、2100年までの世界の平均気温が4℃以上上昇する将来予測。

各シナリオの主な
移行リスクの影響

・炭素税の導入

〇(すべての企業)

〇(大半の企業)

・低炭素製造設備の導入

〇(すべての企業)

〇(大半の企業)

・穀物のバイオ燃料需要の増加による価格上昇

各シナリオの主な物理的リスクの影響

・平均気温上昇による穀物収量減少

 

 

 

前述の手続きによるシナリオ分析の結果を受けて、下記のとおり各事業における重要なリスクと機会の抽出、財務的評価を行いました。

 

リスク

食品事業

飼料事業

社会の変化と当社グループが認識する重要なリスクのうち、

特に影響の大きいリスクの内容

分類1

分類2

項目

製粉

カテ

ゴリ

製油

カテ

ゴリ

糖質

カテ

ゴリ

移行
リスク

政策

及び

法規制

炭素税・炭素価格

・規制強化により、当社グループの製造工程やサプライチェーン全体のCO2排出に対し炭素税が課され、コストが増加する。

・製造工程において、再生可能エネルギーへの転換やCO2削減が求められ、追加の設備投資によりコストが増加する。

脱炭素を促進する新規制

・石油由来プラスチックへの規制強化により、代替品への移行が発生しコストが増加する。

市場

低炭素需要への対応

・環境意識の向上でサステナブル商品のニーズが高まり、既存製品の市場シェアが低下する。

・環境意識の高まりにより小麦、大豆・菜種、トウモロコシ由来のバイオ燃料需要が増加し、原料調達コストが増加する。

評判

投資家からの評価

・気候変動への対応や情報開示の遅れにより、企業価値が低下し、資金調達コストが増加する。

物理的リスク

急性的

異常気象の激甚化

・風水害の頻発により工場操業停止となり、販売機会の減少となり、収益が減少する。

・風水害の頻発による穀物生産地への悪影響により収量が減少、品質悪化し、製造コストが増加する。

慢性的

平均気温上昇

・気温上昇により家畜の飼料摂取量が低下し、自社農場、預託農場における、農場成績が悪化することで、収益が減少する。

・世界的な気候変動により小麦、大豆・菜種、トウモロコシの収量減少や品質の悪化で製造・調達コストが増加する。

水不足

・慢性的な水不足により穀物生産地が悪影響を受けた結果、原料調達コストが増加する。

・深刻な水不足により工場操業停止となり、収益が減少する。

 

 

 

リスク

社会の変化と当社グループが認識する重要なリスクのうち、特に影響の大きいリスクの内容

財務影響箇所

財務的影響

分類1

分類2

項目

1.5℃/2℃

4℃

2026年~

2030年

(短期)

2036年~

2050年

(長期)

2026年~

2030年

(短期)

2036年~

2050年

(長期)

移行

リスク

政策

及び

法規制

炭素税・炭素価格

・規制強化により、当社グループの製造工程やサプライチェーン全体のCO2排出に対し炭素税が課され、コストが増加する。

売上原価増加

(間接費の増加)

製粉:C

製油:B

糖質:A

飼料:C

製粉:C

製油:A(※1)

糖質:A

飼料:C

・製造工程において、再生可能エネルギーへの転換やCO2削減が求められ、追加の設備投資によりコストが増加する。

設備投資

売上原価増加

(経費の増加)

製粉:C

製油:C

糖質:C

飼料:C

製粉:C

製油:C

糖質:C(※1)

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C(※2)

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C(※2)

飼料:C

脱炭素を促進する新規制

・石油由来プラスチックへの規制強化により、代替品への移行が発生しコストが増加する。

売上原価増加

(直接費の増加)

製粉:C

製油:C

糖質:C

飼料:C

製粉:C

製油:C

糖質:C

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C(※2)

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C(※2)

飼料:C

市場

低炭素需要への対応

・環境意識の向上でサステナブル商品のニーズが高まり、既存製品の市場シェアが低下する。

売上高減少

(販売数量減少)

製粉:A

製油:A

糖質:A

飼料:C

製粉:A

製油:A

糖質:A

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C(※2)

飼料:C

製粉:B

製油:C(※1)

糖質:B

飼料:C

・環境意識の高まりにより小麦、大豆・菜種、トウモロコシ由来のバイオ燃料需要が増加し、原料調達コストが増加する。

売上原価増加

(直接費の増加)

製粉:C

製油:A

糖質:A

飼料:B

製粉:C

製油:A

糖質:A

飼料:B

製粉:C

製油:B

糖質:B(※1)

飼料:C

製粉:C

製油:A

糖質:A(※1)

飼料:B

評判

投資家からの評価

・気候変動への対応や情報開示の遅れにより、企業価値が低下し、資金調達コストが増加する。

営業外費用の増加(資金調達コスト増加)

共通:C

共通:C

共通:C

共通:C

 

 

 

リスク

社会の変化と当社グループが認識する重要なリスクのうち、特に影響の大きいリスクの内容

財務影響箇所

財務的影響

分類1

分類2

項目

1.5℃/2℃

4℃

2026年~

2030年

(短期)

2036年~

2050年

(長期)

2026年~

2030年

(短期)

2036年~

2050年

(長期)

物理的リスク

急性的

異常気象の激甚化

・風水害の頻発により工場操業停止となり、販売機会の減少となり、収益が減少する。

売上原価増加

(経費の増加)

共通:C

共通:C

・風水害の頻発による穀物生産地への悪影響により収量が減少、品質悪化し、製造コストが増加する。

売上原価増加

(直接費の増加)

製粉:B(※1)

製油:C(※2)

糖質:C

飼料:-

製粉:A

製油:C(※2)

糖質:B

飼料:-

製粉:B(※1)

製油:C(※2)

糖質:C

飼料:-

製粉:A

製油:C(※2)

糖質:A

飼料:-

慢性的

平均気温上昇

・気温上昇により家畜の飼料摂取量が低下し、自社農場、預託農場における、農場成績が悪化することで、収益が減少する。

売上高減少

(販売数量減少)

製粉:-

製油:-

糖質:-

飼料:C

製粉:-

製油:-

糖質:-

飼料:C

製粉:-

製油:-

糖質:-

飼料:C

製粉:-

製油:-

糖質:-

飼料:C

・世界的な気候変動により小麦、大豆・菜種、トウモロコシの収量減少や品質の悪化で製造・調達コストが増加する。

売上原価増加

(直接費の増加)

製粉:A

製油:A

糖質:A

飼料:C

製粉:A

製油:A

糖質:A

飼料:C

製粉:A

製油:A

糖質:A

飼料:C

製粉:A

製油:A

糖質:A

飼料:C

水不足

・慢性的な水不足により穀物生産地が悪影響を受けた結果、原料調達コストが増加する。

売上原価増加

(直接費の増加)

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C

飼料:C

製粉:C(※2)

製油:C(※2)

糖質:C

飼料:C

・深刻な水不足により工場操業停止となり、収益が減少する。

売上高減少

(販売数量減少)

製粉:-

製油:-

糖質:-

飼料:-

製粉:-

製油:-

糖質:-

飼料:-

製粉:C

製油:C

糖質:C

飼料:C

製粉:C

製油:C

糖質:C

飼料:C

 

※1 2026年3月期に財務的影響算出の前提及び方法の一部を見直したため、財務的影響評価を変更しております。

※2 2025年3月期までは「算定対象外」と「影響が極めて小さい」を「-」と表記しておりましたが、2026年3月期より「算定対象外」を「-」、「影響が極めて小さい」を「C」と表記しております。

 

財務的影響評価

A:財務的影響が20億円以上と想定されるもの

B:財務的影響が10億円以上20億円未満と想定されるもの

C:財務的影響が10億円未満と想定されるもの

-:財務的影響算定対象外

 

リスク

社会の変化と当社グループが認識する重要なリスクのうち、特に影響の大きいリスクの内容

重要なリスクに対する対応策

「」内は2026年3月までに実施した主な取り組み

分類1

分類2

項目

移行

リスク

政策

及び

法規制

炭素税・炭素価格

・規制強化により、当社グループの製造工程やサプライチェーン全体のCO2排出に対し炭素税が課され、コストが増加する。

・省エネ・再生可能エネルギー購入・燃料転換等によるCO2排出量削減

「2021年鹿島工場コージェネレーション設備の燃料を石炭から都市ガスに変更」

「2024年4月に昭和産業㈱でインターナルカーボンプライシング制度の導入(社内炭素価格 5,000円/t-CO2)」

「2024年4月から船橋工場、RD&Eセンター、潮来ミックス分工場において再生可能エネルギー電力を導入」

「2026年3月に鹿島工場においてバイオマス発電ボイラーが完成、2026年4月より運転開始」

「2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、ロードマップ策定」

・製造工程において、再生可能エネルギーへの転換やCO2削減が求められ、追加の設備投資によりコストが増加する。

・自社設備による低炭素エネルギー調達比率の増加

・低コストな低炭素エネルギーの調達

「2009年導入の鹿島工場バイオマスボイラの継続使用」

脱炭素を促進

する新規制

・石油由来プラスチックへの規制強化により、代替品への移行が発生しコストが増加する。

・代替素材の利用検討

・容器の軽量化

「食用油向けボトル形状変更等」

市場

低炭素需要への対応

・環境意識の向上でサステナブル商品のニーズが高まり、既存製品の市場シェアが低下する。

・サステナブルな商品の開発

「調理工程におけるエネルギー消費の少ない商品の開発」

・環境意識の高まりにより小麦、大豆・菜種、トウモロコシ由来のバイオ燃料需要が増加し、原料調達コストが増加する。

・先物原料相場のプライシングと為替予約によるヘッジ

評判

投資家からの評価

・気候変動への対応や情報開示の遅れにより、企業価値が低下し、資金調達コストが増加する。

・TCFD提言に沿った対応とその情報開示を推進

 

 

リスク

社会の変化と当社グループが認識する重要なリスクのうち、特に影響の大きいリスクの内容

重要なリスクに対する対応策

「」内は2026年3月までに実施した主な取り組み

分類1

分類2

項目

物理的リスク

急性的

異常気象の激甚化

・風水害の頻発により工場操業停止となり、販売機会の減少となり、収益が減少する。

・風水害発生時に操業の継続を可能にするための設備投資

・風水害の頻発による穀物生産地への悪影響により収量が減少、品質悪化し、製造コストが増加する。

・製造効率向上(原料処理・製造時間の短縮)のための製造技術開発及び製造設備導入

「高効率機器等の導入や設備、制御の改善」

慢性的

平均気温上昇

・気温上昇により家畜の飼料摂取量が低下し、自社農場、預託農場における、農場成績が悪化することで、収益が減少する。

・暑熱対策飼料の強化や飼養管理の工夫

・世界的な気候変動により小麦、大豆・菜種、トウモロコシの収量減少や品質の悪化で製造・調達コストが増加する。

・サプライヤーからの穀物生産地情報の入手と一元管理

・原料調達先の分散化の検討

水不足

・慢性的な水不足により穀物生産地が悪影響を受けた結果、原料調達コストが増加する。

・深刻な水不足により工場操業停止となり、収益が減少する。

・省水活動による水使用量の最適化

「製造工程の見直しによる水使用量の削減、節水型の機器や設備の導入、冷却水などの水の再利用促進」

 

重要なリスクに対する対応策に関連しませんが、「中期経営計画23-25」の5つの基本戦略の③「環境負荷の低減」を目的として2026年3月までに実施した主な取り組みは下記のとおりであります。

取り組み

・2023年9月にサステナビリティ・リンク・ファイナンス・フレームワーク策定及びサステナビリティ・リンク・ローンの契約締結

 

 

 

機会

食品事業

飼料事業

社会の変化と当社グループが認識する重要な機会のうち、

特に影響が大きい機会の内容

分類1

分類2

項目

製粉

カテ

ゴリ

製油

カテ

ゴリ

糖質

カテ

ゴリ

機会

市場

消費者

嗜好の

変化

・消費者の持続可能性に配慮した購買行動の高まりにより、プラントベースフードの市場が拡大し、植物性たん白等の需要が増加する。

取引先

要望の

変化

・植物油の多目的用途での需要が高まり、環境負荷を抑える植物油製品への需要が増加する。

・低炭素エネルギーとしてバイオ燃料素材の需要が増加する。

・畜産飼料事業の環境負荷低減の観点から温室効果ガスの排出量を低減させる飼料のニーズに対応した飼料の販売量が増加する。

 

 

機会

社会の変化と当社グループが認識する重要な機会のうち、特に影響の大きい機会の内容

財務影響

箇所

財務的影響

分類1

分類2

項目

1.5℃/2℃

4℃

2026年~

2030年

(短期)

2036年~

2050年

(長期)

2026年~

2030年

(短期)

2036年~

2050年

(長期)

機会

市場

消費者嗜好の変化

・消費者の持続可能性に配慮した購買行動の高まりにより、プラントベースフードの市場が拡大し、植物性たん白等の需要が増加する。

売上高増加(販売数量増加)

製油:C

製油:C

製油:C(※1)

製油:C(※1)

取引先要望の変化

・植物油の多目的用途での需要が高まり、環境負荷を抑える植物油製品への需要が増加する。

売上高増加(販売数量増加)

製油:C

製油:C

製油:C(※1)

製油:C(※1)

・低炭素エネルギーとしてバイオ燃料素材の需要が増加する。

売上高増加(販売数量増加)

製油:C

製油:C

製油:C

製油:C

・畜産飼料事業の環境負荷低減の観点から温室効果ガスの排出量を低減させる飼料のニーズに対応した飼料の販売量が増加する。

売上高増加(販売数量増加)

飼料:C

飼料:C

飼料:C

飼料:C

 

※1 2025年3月期までは「算定対象外」と「影響が極めて小さい」を「-」と表記しておりましたが、2026年3月期より「算定対象外」を「-」、「影響が極めて小さい」を「C」と表記しております。

 

財務的影響評価

A:財務的影響が20億円以上と想定されるもの

B:財務的影響が10億円以上20億円未満と想定されるもの

C:財務的影響が10億円未満と想定されるもの

-:財務的影響算定対象外

 

 

◆「財務影響箇所」記載の損益計算書イメージ

売上高

売上原価(直接費、間接費、経費)

売上総利益

販売費及び一般管理費

営業利益

営業外収益

営業外費用

経常利益

特別利益

特別損失

税引前当期純利益

法人税等

当期純利益

 

 

 

機会

社会の変化と当社グループが認識する重要な機会のうち、特に影響の大きい機会の内容

重要な機会に対する対応策

「」内は2026年3月までに実施した主な取り組み

分類1

分類2

項目

機会

市場

消費者嗜好の変化

・プラントベースフード市場における植物性たん白等の需要増加

・市場ニーズの増大および需給環境の変化に即応した、植物性製品の供給体制の拡充と販売網の強化

「2025年3月期に新ブランド「SOIA SOIYA」を立ち上げ、独自技術で帯状に成形したHMSP(High Moisture Solution Protein)を発売及び拡販」

取引先要望の変化

・環境負荷を抑える植物油製品の需要増加

・製品ライフサイクル全体での環境負荷を抑える植物油製品の開発及び販売

・バイオ燃料素材の需要増加

・製造工程副産物を加工し、バイオ燃料として有効利用する活動の推進及び加工品の販売

「ダーク油や脂肪酸の活用」

・温室効果ガスの排出量を低減させる飼料の需要増加

・畜産現場の環境負荷を低減する飼料の開発及び販売の検討

 

 

c.リスク管理

TCFD委員会が特定した気候変動に関連する当社グループ全体の重要なリスクの評価及び対応計画については、「a.ガバナンス」に記載のとおり、取締役会に報告され監督を受けております。「a.ガバナンス」で記載した体制に加え、TCFD委員会は環境管理委員会内の環境4部会及び事業系戦略推進委員会と連携し、重要なリスク及び機会の特定を行います。また、サステナビリティ委員会傘下のリスクマネジメント委員会は全社のリスク管理を行う委員会であり、TCFD委員会で特定されたリスクの影響額と発生頻度の2軸からリスクをモニタリングし、リスク低減のためのPDCAサイクルと当社グループ全体の目標進捗を確認しております。


■各委員会等の活動実績等(2026年3月31日時点で記載しております。)

・「サステナビリティ委員会」(1年に1回以上/2025年度1回開催)

サステナブルな社会の実現と当社グループの持続的な企業価値向上の両立を目指し、「安全・安心で高品質な製品の提供」「公正な企業活動」「人権尊重」「環境への配慮」「社会への貢献」「ステークホルダーとの対話・情報開示」「リスクマネジメント」等の課題への対応を包括的に推進する委員会。委員長は代表取締役社長執行役員。

・「環境管理委員会」(1年に1回以上/2025年度3回開催)

サステナビリティ委員会傘下の委員会で、主に環境に関する経営課題に取り組む。当社グループの環境基本方針に基づき毎年の環境目標、中長期目標、施策等の決定、進捗管理とともに環境関連データの管理を行う。委員長はコーポレート部門統轄の取締役常務執行役員。

・「リスクマネジメント委員会」(1年に1回以上/2025年度1回開催)

サステナビリティ委員会傘下の委員会で、主に長期ビジョン達成を阻害する全社リスクについてモニタリングを行う。企業活動のあらゆる場面におけるリスクを継続的に分析し、企業経営及び社会、環境等に対して影響額・発生頻度の観点からグループ全体に大きな影響をおよぼすリスクを適切かつ迅速に評価・対応することで、社会から信頼の得られる企業グループとして、持続的に発展していくことを目指す。委員長はコーポレート部門統轄の取締役常務執行役員。

・「TCFD委員会」(随時開催/2025年度5回開催)

気候変動のリスクと機会をTCFD提言に基づいて整理し、“経営戦略”及び“リスク管理”に適切に反映させる。その上で、この対応状況をステークホルダーに発信し、当社グループが、企業として持続的に成長可能なことを示す。委員長はコーポレート部門統轄の取締役常務執行役員で、副委員長は事業・営業部門の執行役員。

・「環境4部会」

(CO2排出量削減部会:2025年度2回開催、食品ロス削減部会:2025年度2回開催、

水使用量削減部会:2025年度2回開催、プラスチック使用量削減部会:2025年度2回開催)

環境管理委員会内に当社グループのサステナビリティ推進の観点から設置した「CO2排出量削減部会」「食品ロス削減部会」「水使用量削減部会」「プラスチック使用量削減部会」の4つの部会。当社及びグループ会社の実務担当レベルのメンバーで構成され、グループ環境目標達成の取り組みを行う。

・「事業系戦略推進委員会」(2025年度下部組織の7部会で合計38回開催)

中期経営計画推進にあたり、中長期的な事業毎の課題に対して組織的に対応し、PDCAマネジメントサイクルを確実に回していくことを目的とする。下部組織として7つの部会を設置。委員長は事業・営業部門統轄の取締役専務執行役員。

 

d.指標及び目標

当社グループは、CO2排出量削減については2021年10月22日に我が国の温室効果ガス削減目標が46%削減(地球温暖化対策推進本部)に合わせて、当社グループのCO2排出量削減目標を2030年度に2013年比46%削減に設定しております。

また、食品メーカーである当社グループとしましては、環境目標としてCO2排出量削減だけでなく、独自に「食品ロス発生量削減」「水使用量削減(原単位)」「容器包装材プラスチック使用量削減(原単位)」を目標設定しております。環境目標達成のためのさらなる施策の検討と取り組みを引き続き進めてまいります。

 

◆CO2排出量削減目標進捗状況(「当社及び子会社」)

目標値

項目

基準年の

対象範囲

基準

年度

目標

年度

基準年度

の排出量

2025年度

の排出量

評価

CO2排出量

46%以上削減

Scope1,2

(※1)

当社及び子会社
(※2)

(※3)

2013年

2030年

46.1万t

(※2)

32.6万t

(基準年度比29.4%削減)

再生可能エネルギーの利用やICPの活用による省エネ設備への更新などにより、Scope1,2の排出量を削減しております。

 

 

◆(参考)CO2排出量削減目標進捗状況(食品事業の内、製粉カテゴリ及び製油カテゴリ並びに糖質カテゴリ)

目標値

項目

基準年の

対象範囲

基準

年度

目標

年度

基準年度

の排出量

2025年度

の排出量

評価

CO2排出量

46%以上削減

Scope1,2

(※1)

<製粉カテゴリ>

当社の製粉工場、ミックス工場、パスタ工場、奥本製粉㈱他7社

(※2)

2013年

2030年

6.7万t

(※2)

4.8万t

(基準年度比27.9%削減)

「b.戦略」に記載のとおりであります。

CO2排出量

46%以上削減

Scope1,2

(※1)

<製油カテゴリ>

当社の製油工場、ボーソー油脂㈱他6社

(※2)

2013年

2030年

10.7万t

(※2)

7.3万t

(基準年度比31.7%削減)

CO2排出量

46%以上削減

Scope1,2

(※1)

<糖質カテゴリ>

当社の糖質工場、敷島スターチ㈱、サンエイ糖化㈱

(※2)

2013年

2030年

26.6万t

(※2)

18.8万t

(基準年度比29.5%削減)

 

※飼料事業のCO2排出量は全社への影響が少ないため記載を省略しております。

 

◆食品ロス削減目標進捗状況

目標値

項目

基準年の

対象範囲

基準

年度

目標

年度

基準年度

の発生量

2025年度

の発生量

評価

食品ロス発生量

30%以上削減

当社及び子会社5社
(※4)

2018年

2025年

4.2千t

2.7千t

(基準年度比36.9%削減)

需給予測精度向上、銘柄統廃合、賞味期限延長、製造ロス削減活動の推進により、食品ロス発生量を削減しております。

 

なお、廃棄物削減及びフードロス対策の一環としてフードバンクへ食品寄贈を実施しております。2026年3月期の寄贈実績は22tとなっております。

 

◆水使用量削減(原単位)目標進捗状況

目標値

項目

基準年の

対象範囲

基準

年度

目標

年度

2025年度迄

の削減率

評価

水使用量

(原単位)

12%以上削減

当社及び子会社9社
(※5)

2019年

2030年

基準年度比6.9%削減

製造工程における省水施策(水使用量の見直し、水の再利用)の推進により、水使用量を削減しております。

 

 

◆容器包装材プラスチック使用量削減(原単位)目標進捗状況

目標値

項目

基準年の

対象範囲

基準

年度

目標

年度

2025年度迄

の削減率

評価

容器包装材プラスチック使用量

(原単位)

25%以上削減

当社及び子会社1社
(※6)

2013年

2030年

基準年度比3.5%削減

家庭用ミックス製品のフィルムのバイオマス原料使用、薄肉化により容器包装材プラスチック使用量を削減しております。

 

 

※1 Scope3については、引き続き集計・目標設定に取り組んでまいります。

Scope1:事業者自らの温室効果ガスの直接排出

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

※2 実績値集計における電気事業者からの購入電力の排出係数については、毎年直近の調整後排出係数を使用しております。また、併せてデータ集計対象範囲も毎年度見直しておりますので、数値がこれ以前に公表したものと異なる場合があります。

 

※3 対象範囲は当社及び子会社(連結子会社)としております。子会社のうち、Showa Sangyo International Vietnam Co., Ltd.は2025年度より操業開始、東葛食品株式会社は2025年度に子会社化したことから対象範囲に含んでおりません。

 

※4 食品ロス発生量が100t/年以上のグループ会社

 

※5 水質汚濁防止法、下水道法による特定施設を有するグループ会社

 

※6 プラスチック資源循環促進法による多量排出事業者であるグループ会社

 

■新グループ環境目標として「GHG排出量の削減(Scope1,2)」「食品ロスの削減」「水使用量の削減」「プラスチック使用量の削減」を設定しております。

 


※1 化石燃料由来容器包装材に使用するワンウェイプラスチック

※2 ハンディボトル1000g、1500g

※3 プラ使用量削減率10%以上の銘柄2013年度プラ使用量比

 

(人的資本経営)

当社グループは、2026年2月に昭和産業グループ経営理念および行動指針の改定と、2026年4月に開始する新たな長期ビジョン「SHOWA VISION 2035」及び長期ビジョンに基づく新たな4ヵ年計画「中期経営計画26-29」(以下、新中計)を策定いたしました。

新中計における人的資本戦略は、この新経営理念と新長期ビジョンの中核をなすものであり、2026年4月より本格的に運用を開始しております。

 

a.戦略

1.経営戦略における人的資本の位置づけ

当社グループは、人財を企業の持続的成長を支える最も重要な経営資本と位置付けており、人財への戦略的な投資を継続的に行うことで、人財ビジョン「支え合い、自ら考え、挑戦する人財」及び経営戦略の実現を目指します。国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少や、グローバルでの事業展開の加速化など、当社グループを取り巻く環境は大きく変化しており、多様な人財が最大限にその能力を発揮できる組織であることは、経営戦略実現の最重要要素であると認識しております。人財への投資を通じて、人財のポテンシャルを最大限に引き出し、チャレンジ精神の醸成及びイノベーションの創出につなげ、企業としての競争優位性を確立し、長期的な成長を実現してまいります。

 

2.人的資本戦略


当社グループは、新長期ビジョン・新中計の実現に向け、人財ビジョン「支え合い、自ら考え、挑戦する人財」を掲げ、これを実現するための3つの柱からなる人的資本戦略を策定いたしました。人財育成及び環境整備を含めた人的資本戦略に基づいた各種施策に取り組み、経営戦略を実現してまいります。

 

「人財ビジョン」

支え合い、自ら考え、挑戦する人財

 

「人的資本戦略の3つの柱」

・「思いやり×挑戦」文化の醸成

従業員エンゲージメントの向上、多様な価値観・働き方の受容、新たな取り組みを推奨する風土を醸成してまいります。

 

・キャリアオーナーシップの実現

従業員一人ひとりの主体的な学びと成長を支援し、自らのキャリアを主体的に形成できる環境を提供してまいります。

 

・グループ人財マネジメントの高度化

データに基づく最適な人財配置やグループ間人財交流の活性化、サクセッションプランの実行に取り組んでまいります。

 


3つの柱の基礎となる課題認識及び実現に向けた重点テーマと主な施策は、上図のとおりとなります。

 

2025年度における主な取り組みと実績

2025年度は中期経営計画23-25(以下、前中計)の最終年度であり、新中計への移行期間として、従来の人的資本関連施策を継続して実施いたしました。これらの取り組みは、新中計における人的資本戦略の3つの柱に繋がるものであり、今後の基盤を築くものです。

 

・D&Iのドラスティックな推進

多様な人財が活躍できる組織を目指し、女性活躍推進や障がい者雇用推進等の取り組みを継続しました。また従業員の心身の健康を重要な経営基盤と捉え、「昭和産業健康宣言」に基づき、産業医・健康保険組合と連携しながら健康増進活動に取り組みました。健康増進活動での取組内容が評価され、「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に継続して認定されました。

 

・戦略的人的資本投資の促進

従業員一人ひとりの専門性向上とキャリア形成を支援するため、階層別研修や自己啓発支援を継続的に実施しました。またeラーニングコンテンツの拡充により、多様な学びの機会を提供し、従業員の自律的な学習を促進しました。

 

・従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメントサーベイ(以下、「ES」という)を定期的に実施し、結果に基づく各職場での改善活動を推進しました。

 

b.ガバナンス

1.ガバナンス体制

当社グループの人的資本に関する戦略は、取締役会が監督し、経営会議においてその具体的な進捗や課題について議論しております。人的資本戦略の策定・推進は担当役員が統括し、関連部署が連携して施策を実行する体制となっております。今後も、取締役会は人的資本戦略が経営戦略と連動し、企業価値向上に貢献しているかを継続的に監督してまいります。

 

c.リスク管理

当社グループは、人的資本に関するリスクを重要な経営リスクの一つと認識しております。識別されたリスク及びその対応については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」をご参照ください。

 

新中計期間においては、上記「a.戦略 2.人的資本戦略」に基づく施策を強化し、人財に関する主要なリスクの特定と、それに対する具体的な対策の実行及び効果測定を継続してまいります。

 

 

d.指標及び目標

1.前中計期間における人的資本に関する指標と目標、実績

各取り組みにおける指標と目標、実績は以下のとおりとなります。対象は昭和産業株式会社単体としております。

指標

目標

実績

2023年度

2024年度

2025年度

女性管理職比率

2025年度 10%以上

9.2%

9.8%

11.2

リスキル投資額

2025年度 2倍以上

(2021年度比)

1.4倍

2.0倍

2.4

エンゲージメントスコア

2030年度 ワークエンゲージメント 54.0以上

50.0

50.6

50.9

 

 

2.新中計における人的資本に関する指標と目標

人的資本戦略における指標と目標は以下のとおりとなります。

テーマ

指標

指標の定義

2029年度

目標

2025年度

実績

対象

※1

人的資本戦略

SHOWAいきいき指標

ESにおける「働きがい」、「対処思考」、「職場の安全性」のポジティブ回答平均値

70.0

66.8

単体

 

エンゲージメントスコア

ESにおけるワークエンゲージメントスコア

54.0

※2

50.9

単体

従業員

エンゲージメント

グループ経営理念共感度

ESにおける「企業理念・ビジョンへの共感」のポジティブ回答平均値

85.0

78.4

単体

 

自己都合離職率

正社員のうちの自己都合退職者割合

2.3%以下

2.1

単体

D&I

ダイバーシティ実感度

ESにおける「ダイバーシティへの対応」のポジティブ回答平均値

70.0

65.2

単体

健康・安全

健康イベント参加者数

各種健康施策への参加延べ人数(2023年度比)

2.0

1.8

連結

 

プレゼンティーズム(WHO)

WHO-HPQに基づく相対的プレゼンティーズム

65.0

64.5

単体

適財適所

手挙げ制度申請者数

各種キャリア開発制度への応募者数(2023年度比)

3.0

0.8

単体

主体的な学び

支援

従業員一人当たり教育費千円

教育研修費÷従業員数(臨時従業員含まず)

50千円

42千円

連結

グループ人財

活用

グループ内出向経験者割合

グループ内出向経験者数÷グループ会社従業員数(臨時従業員含まず)

6.0

5.6

連結

 

※1 単体は昭和産業株式会社のみ、連結は連結対象会社全体を対象としております。

※2 本スコアは2030年度目標となります。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 

当社グループでは、「リスクマネジメント基本方針」に基づきリスクマネジメント委員会を設置し、企業経営に対する重大なリスクへの適切かつ迅速な対応の強化に取り組んでおります。年1回、経営目標の達成を阻害する可能性のあるリスクを洗い出し、「経営への影響度」と「発生可能性」の両面で評価を行いリスクの重要度を決定します。重要度の高いリスクについては、部門統轄役員の管理の下で主管部署が対策を講じることによりリスクの最小化に取り組んでおります。こうした取り組みは、リスクマネジメント委員会での審議を経て、経営会議及び取締役会に報告され、経営層からの継続的な監督を受けております。また万が一、危機が発生した場合は、対策本部を設置し、迅速かつ的確に対応することで、影響の極小化に努めてまいります。

各リスク項目は、戦略リスク/財務リスク/ハザードリスク/オペレーションリスクの4つに分類して管理しています。認識しているリスクのうち、当社グループの経営成績、株価及び財政状態等に影響を及ぼす可能性が特に高いと判断しているリスクには以下のようなものがあります。リスクが顕在化した際の影響度を示した上で、内容の詳細を記載しております。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2026年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

大分類

定義

1.戦略リスク

経営戦略の不確実性

事業選択、M&A、投資判断や社会環境変化への対応遅れによる競争優位性の低下

2.財務リスク

財務基盤への影響

資金調達・運用、為替、金利変動などによる財務状況悪化と

経済損失

3.ハザードリスク

外的危機による損害

自然災害、火災、事故、健康被害などの偶発的事象による

物的人的影響と事業継続への影響

4.オペレーションリスク

業務遂行の障害

業務プロセス、人財、システム、情報セキュリティ、コンプライアンスなどに起因する日常業務の混乱

 

 

 

1.原料穀物調達(穀物相場・為替の変動等)

リスク分類:戦略リスク

影響度:非常に大

当社グループの主要製品原料である小麦、大豆、菜種、トウモロコシ等の穀物は、主に海外から調達しております。そのため、原料コストは、国際的な穀物市況、為替変動、及び海上運賃の影響を強く受けます。小麦については、国の売渡制度を通じた調達が主であるため、国際貿易交渉の進展等に伴う制度変更が、当社の調達基盤に影響を及ぼす可能性があります。

穀物相場やエネルギーコストの急激な高騰は、製造原価を押し上げ、経営成績を左右する重要な要因であります。これに対し、当社グループでは徹底したコスト削減に加え、原料価格の変動に応じた適正な販売価格への転嫁を進め、収益性の維持に努めております。また、為替変動リスクに対しては、社内ルールに基づき為替予約等のデリバティブ取引を活用し、影響の平準化を図っております。

安定調達の面では、異常気象や輸出国の物流障害に備え、調達地域の分散化を推進しております。食糧安全保障の観点から、小麦については国による一元的な輸入体制のもと、2.3ヶ月分の備蓄在庫を確保しております。また、飼料用穀物についても、災害等の緊急時における復旧期間(3週間)を想定し、関連会社のサイロ等において十分な在庫を保有することで、サプライチェーンの断絶リスクを最小化しております。

 

 

 

2.少子高齢化・人口減少

リスク分類:戦略リスク

影響度:非常に大

日本国内における人口減少及び少子高齢化の進行により、中長期的な国内需要の低下が懸念されます。こうした市場環境の変化は、当社グループの製品需要の減退を招き、経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、こうした構造的な変化に対応すべく、カテゴリ横断的な「提案型営業」による顧客ニーズに即した製品提供を強化しております。また、差別化戦略による付加価値商品の拡販や、グループ各社の連携による収益力強化に取り組むとともに、オレオケミカルなどの非食品分野も視野に入れた新規事業の創出による事業領域の拡大に努めております。

さらに、人口増加と経済成長が著しい海外市場への展開を加速させております。需要が旺盛なASEAN地域を中心に、現地拠点の強化や輸出の拡大を図り、収益基盤の多様化と成長の取り込みを推進してまいります。

 

 

3.企業買収及び合弁事業

リスク分類:戦略リスク

影響度:非常に大

当社グループは、長期ビジョン「SHOWA VISION 2035」及び中期経営計画26-29を実現するための手段として、国内外の企業買収や海外現地パートナーとの合弁等の可能性を常に検討しております。

企業買収や合弁事業の実施にあたっては、当社グループ独自に策定したガイドラインに基づいた検証・審査プロセスを実施するとともに、外部専門家を活用することでリスクの低減を図っております。しかし、対象となる事業の環境変化等により、当初の想定通りにシナジー効果等が創出できない場合、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。また、企業買収等に伴い計上したのれん及び顧客関連資産については、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、対象となる事業において当初想定していた収益力が低下する等の理由により減損損失が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4.海外での事業運営

リスク分類:戦略リスク

影響度:大

当社グループは、海外において生産・加工・販売拠点を有し事業を展開するほか、当社製品の輸出を行っております。今後も海外事業の拡大を推進する方針でありますが、海外においては、他国との政治関係の悪化、現地の政治・経済情勢の変動、法令・規制の変更、関税・貿易政策の変化、為替変動、輸送・物流の混乱、自然災害、感染症の流行、紛争・テロ、及び現地パートナーや子会社のガバナンス・コンプライアンスの不備等により、当該地域での事業の継続や輸出継続に支障が生じる可能性があり、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、海外情勢及び関連法令の継続的なモニタリング、外部専門家との連携、日本政府や商社からの情報収集、現地ガバナンス体制及び内部統制の強化、保険の活用、並びに現地従業員への教育・研修・安全対策の実施等により、リスクの低減に努めております。

 

 

 

5.災害・事故・感染症

リスク分類:ハザードリスク

影響度:非常に大

将来発生が想定される大型地震(南海トラフ巨大地震、首都直下地震等)や近年多発している風水害(台風・大雨等)等の大規模自然災害、火災・爆発等の事故や国家的警戒レベルの感染症の流行は、当社グループとしても重大なリスクと認識しております。

当社グループは、生産拠点として全国各地に工場を有しております。これら工場設置地域においては、安全管理体制の確立や設備補強等の対策を講じておりますが、想定以上の大規模災害、事故、パンデミックが発生した場合は従業員の出勤不能、サプライチェーンの断絶、工場の操業停止による製品供給体制の停滞等を招き、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

災害対策として、各拠点では定期的な災害訓練の実施により有事対応力を強化すると共に、災害対策委員会を定期的に開催し、災害発生時の連絡手段や災害備蓄物資等の見直し、整備を行っております。万が一、災害が発生した場合、まず従業員とその家族の安否を確認の上、災害対策規程に基づき、災害にかかる応急措置を迅速かつ的確に実施し、被害の軽減を図ってまいります。また、事業継続の観点からBCPを整備し、訓練等を通じて検証と改善を実施し、BCPの実効性を高めております。さらに、必要となる業務システムについては、データセンターの複数拠点化やシステムダウン時の予備機への即時切替えなど業務を継続できる体制を整えております。

火災・爆発等の事故対策として、管理体制の強化や事故発生を防止する設備の充実、定期的な訓練や安全巡視の実施、教育・啓発活動を行うとともに緊急事態発生時に対応するためのマニュアルの整備等を行っております。

感染症対策として、感染者が出た場合あるいはその蓋然性が高まった場合には、危機管理規程に基づき対策本部を設置し、感染症のまん延防止及び事業継続に向けて、国・自治体等の指針に沿って適宜適切に対応する体制を整えております。

 

 

6.製品安全

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:非常に大

当社グループでは、「食品の安全・安心3原則※」を定め、独自の「食品安全・品質マネジメントシステム(FSQMS)」を運用しております。FSQMSは、HACCPを基本として、FSSC22000、ISO22000、ISO9001、AIBフードセーフティシステムなどの国際基準を取り入れた統合的なマネジメントシステムです。また、食品安全・品質に関する従業員教育に力を入れ、組織全体での食品安全・品質文化の醸成に努めております。しかしながら、万が一の食品安全上の予期せぬ事態により、以下のような影響が想定されます。健康被害が発生した際の賠償金や、製品回収の際の費用が発生します。原材料調達が中断すれば、操業停止や出荷停止による売上高の減少につながります。また、食品安全上の問題により信用が失墜した場合には、顧客の喪失に伴う中長期的な売上高の減少へと発展する可能性があります。

当社では、このようなリスクに対応するため、万が一の食品安全における重大事故発生時、迅速に対応する体制と手順を備え、定期的な訓練も行っております。健康被害や法令違反が疑われる事象が想定される場合は、速やかに緊急製品安全委員会を立ち上げ、対応内容を検討します。併せて、危機対策本部を立ち上げ、被害を受けられた方がいる場合はその対応にあたるとともに、製品回収が必要と判断した場合は、社告やホームページ等を通じて透明性をもって情報開示を行い、影響の極小化、信用の維持に努めてまいります。

また、配合飼料についても、当社グループでは安全・安心を確保するための品質保証体制を構築しております。想定を超える規模の家畜伝染病、例えばBSE、口蹄疫、鳥インフルエンザ、豚熱などが発生した場合、配合飼料の販売減少につながるとともに、飼料畜産業界全体への波及的な影響が懸念されますが、その場合も、迅速かつ的確な対応体制を維持し、影響の最小化に努めてまいります。

 

※原則1. 原材料の調達段階:問題のあるものを持ち込まない。

原則2. 工場の製造段階:問題のある製品を作らない。

原則3. 出荷の段階:問題のある製品を持ち出さない。

 

 

7.気候変動

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:非常に大

当社グループは、主要原料として多種多量な穀物を扱っており、その安定的な調達は事業継続の根幹をなすものです。気候変動に伴う異常気象や平均気温の上昇は、穀物の生育・品質悪化や収穫量の減少を招き、原料調達価格の高騰や供給不安を引き起こす可能性があります。また、炭素税の導入や排出規制の強化といった「移行リスク」への対応が不十分な場合、操業コストの増加や、脱炭素社会への適応を求めるステークホルダーからの信頼低下を招き、当社グループの財務状況及びブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、マテリアリティの一つに「未来に繋ぐ地球環境の実現」を掲げ、2021年12月のTCFD提言への賛同以降、気候変動が事業に与える影響の把握に努めております。

ガバナンス体制については、環境管理委員会傘下の「TCFD委員会」において、1.5℃、2℃及び4℃シナリオに基づいたリスクと機会の特定・分析を継続的に実施しております。特定されたリスク(原料調達、物流、操業コスト等)については、経営戦略における重要事項として検討し、取締役会へ定期的に報告・審議を行う体制を構築しております。

具体的な施策としては、分析結果を「昭和産業グループ環境目標」に反映し、GHG排出量、食品ロス、水、プラスチックの4領域を重要項目として設定いたしました。環境管理委員会の下に設置した各削減部会(CO2、食品ロス、水、プラスチック)が中心となり、省エネルギー設備の導入、廃棄物削減、水資源の有効活用等、目標達成に向けた活動をグループ横断的に推進しております。

これらの取り組みを通じて、気候変動に伴う不確実性に対する事業のレジリエンス(適応力)を強化し、持続可能な食の供給体制の構築に努めてまいります。

 

 

8.物流に関するリスク

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:大

運送・物流業界においては、ドライバーや倉庫作業員の減少、ドライバーの時間外労働時間の上限規制の適用開始などにより運送能力が不足することが懸念されており、「物流の2024年問題」として社会的な課題となっております。

これらは原材料の調達と製品の供給の両面に影響することから、結果としてお客さまへの商品の供給が滞る可能性があります。また、ドライバーや倉庫作業員の維持・確保に向けた運賃・倉庫利用料等の値上げ要請による物流コスト上昇が想定されることから、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

これに対し、当社は「ホワイト物流」推進運動への賛同や、物流の適正化・生産性向上に向けた「自主行動計画」の策定を行っております。

2025年4月に一部施行された「物流効率化法」で全ての荷主に対する努力義務として挙げられている3つの物流効率化では、以下の取組みを実施しました。

①積載効率の向上:同業他社とのラウンド輸送による復路便の活用

②荷待ち時間の短縮:車両受付管理システム導入

③荷役等時間の短縮:神戸工場製粉立体自動倉庫の更新による効率化(2026年2月稼働)

また、2026年4月には「物流効率化法」が全面施行され、特定荷主としての届出及び物流統括管理者(CLO)の選任を行い、2026年10月までに中長期計画の提出予定としております。

当社グループでは物流事業者や得意先様のご理解・ご協力をいただきつつ、今後も持続可能な物流の実現に努めてまいります。

 

 

9.情報セキュリティ

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:大

ICTの発展に伴いサイバー攻撃の手口も年々高度化・巧妙化するなど、当社グループを取り巻く経営環境において、サイバーリスクは高まっております。

当社グループでは、リスクマネジメント委員会傘下の部会として情報セキュリティ委員会を開催し、セキュリティ対策の検討・見直しを継続的に実施しております。また、パソコンの不審なプログラムの動作を検知し、実行を防止する「ゼロトラスト」の考えに基づいたセキュリティシステムを導入すると共に、IT-BCPマニュアルの策定により、ランサムウエア等のサイバー攻撃を受けた場合を想定した社内体制を構築し、実効性確保のための訓練を実施しております。さらに、近年では年々増加する標的型メール攻撃に対するeラーニング、各部署に配置した「IT推進者」への教育の徹底や人的対応力強化に注力しております。ただし、当社グループの想定を上回る新手のサイバー攻撃を受けた場合、システム停止による製品供給の遅れ、情報漏洩による損害賠償、信用低下による顧客離れ等による売上高の減少など、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

10.人権

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:大

多種多様な事業ポートフォリオを有する当社グループにとって、不当な職場待遇、強制労働、ハラスメント等の人権諸課題への対応及び従業員の人権保護と関連法規制の遵守は極めて重要な経営課題であると認識しております。万が一、一人ひとりの多様な個性・人格・能力を尊重し合う職場づくりが実現できない場合や、サプライチェーンにおける人権侵害が発生した場合には、社会的信用の失墜やブランドイメージの低下を招くか、従業員の生産性低下、優秀な人財の獲得困難、ひいては当社グループの競争力低下や事業継続に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、人権尊重の取り組みを実効的なものとするため、2025年度に「人権委員会」を設置いたしました。当委員会の主導により、従来の指針を刷新した「昭和産業グループ人権方針」を策定し、経営トップの強いコミットメントのもと、グループ全体及びサプライチェーンにおける人権尊重の姿勢を明確にいたしました。

また、実効性のある救済メカニズムの構築に向け、内部通報制度に加え、2026年度からは、昭和産業グループと取引のあるサプライヤーを対象とした通報窓口「サプライヤー・ホットライン」を当社ホームページに新設、受付を開始いたしました。

2023年度に実施したリスクアセスメントの結果(「長時間労働」「労働災害」「ハラスメント」を優先リスクと特定)に基づき、2026年度からは、人権委員会を中心とした人権デュー・ディリジェンス(人権課題の特定・是正・継続的なモニタリングのサイクル)の本格運用を開始する予定であります。これにより、組織横断的なリスク管理体制を強化し、人権リスクの低減と負の影響の特定に努めてまいります。

 


 

 

11.コンプライアンス

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:大

当社グループが事業活動を行う上で、食品衛生法、独占禁止法、取適法、景品表示法、個人情報保護法等、国内外の様々な法的規制や社会的規範を遵守することが求められております。

重大なコンプライアンス違反を起こした場合、民事上の責任(損害賠償等)、刑事上の責任(刑事罰)、行政上の責任(行政処分)といった法的責任の追及だけでなく、社会的信用やブランドイメージが大きく低下し、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、経営理念である「ひと粒の可能性から、価値をひろげ、日々の幸せを共につくる。」の具現化に向け、「コンプライアンス基本方針」の下、従業員一人ひとりが企業市民としての自覚を持ち、コンプライアンスの実践者となり透明性の高い組織としていくため、抑止及び検知に向けた活動を推進しております。具体的には、必要な規程類の整備や、社会情勢によって変化する課題抽出とその対策として研修等の教育・啓発活動の展開、内部通報制度を通じた不正行為の早期発見や再発防止策の検討等を実施しております。

2026年度からは、昭和産業グループと取引のあるサプライヤーを対象とした通報窓口「サプライヤー・ホットライン」を当社ホームページに新設、受付を開始いたしました。

 

 

12.人財確保

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:大

国内における少子高齢化に伴う労働人口の減少により、必要とする人財の確保や育成ができない場合には、当社グループの経営状況や事業継続に影響を及ぼす可能性があります。特に製造現場での活動を担う人財が不足することは事業継続の大きなリスクであると認識しております。

当社グループでは「従業員のウェルビーイング向上」を通じて人財の確保及び定着を図るため、多様な従業員が心理的安全性の高い職場で意欲高く、スキルや知識を身につけ成長していくことのできる環境整備に努めております。具体的には、研修の充実化や、毎年実施するエンゲージメントサーベイの結果を基に各セクションにてスコア改善に向けた行動計画を策定・実行しております。また、「昭和産業健康宣言」に基づき、産業医・健康保険組合と連携を取りながら全社一体で従業員の健康増進に取り組み、健康経営優良法人の認定を受けるなど、従業員の健康維持・増進に関する取り組みを継続しております。これらの取り組みにより、従業員の定着率及び生産性の向上を図り、人財確保に関するリスクの低減に努めております。

 

 

13.知的財産

リスク分類:オペレーションリスク

影響度:大

当社グループが知的財産権の取得、維持、防衛、保護を計画通りに実行できなかった場合、当社グループ独自の技術による競争優位性を維持できなくなる可能性があります。適切な知的財産権を取得し、その維持と防衛に努めることと、秘匿技術の保護に取り組んでおります。

また、当社グループの知的財産権が第三者に侵害される可能性や、当社グループが意図せず第三者の知的財産権を侵害し、販売差止請求や損害賠償請求を受ける可能性があります。第三者による侵害製品や冒認出願について調査し、それに対応することで知的財産権とブランドイメージを保護するとともに、継続して教育活動を実施することで第三者の知的財産権を尊重する風土の醸成に取り組んでおります。

このような取り組みを通じて、当社グループの経営成績に影響を及ぼすリスクや、当社グループ及びブランドのイメージが毀損するリスクの低減を図っております。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況
1) 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善等により、緩やかな回復基調となっております。しかしながら、物価上昇による消費者の節約志向の一層の高まりや、物流コスト・人件費の増加、米国の関税政策の動向による世界経済への影響に加え、中東情勢の緊迫化にともなう原油価格上昇を背景とした原材料価格の高騰等もあり、インバウンド消費等も含めて依然として先行きは不透明な状況が続いております。

このような状況の中、当社は創立90周年を迎える2025年度のありたい姿(長期ビジョン)「SHOWA Next Stage for 2025」の実現に向け、3rd Stage「中期経営計画23-25」を2023年4月にスタートし、基本コンセプト『SHOWAの“SHIN-KA”宣言~90年、そしてその先へ~』を掲げ、5つの基本戦略「①基盤事業の強化」「②事業領域の拡大」「③環境負荷の低減」「④プラットフォームの再構築」「⑤ステークホルダーエンゲージメントの強化」の各施策を推進してまいりました。

当連結会計年度では、「①基盤事業の強化」において、グループ一体となった生産拠点の運用最適化を進めたことで収益力強化を実現しました。糖質カテゴリでは、当社、当社連結子会社である敷島スターチ株式会社、サンエイ糖化株式会社の3工場体制による安定供給の仕組みを確立し、グループ全体での収益の安定化に大きく貢献しました。「②事業領域の拡大」において、当社連結子会社であるShowa Sangyo International Vietnam Co., Ltd.の新工場が竣工し、プレミックスの製造を開始しました。また、中華まんじゅう、中華惣菜等の製造販売を主な事業とする東葛食品株式会社の全株式を取得し、完全子会社化しました。「③環境負荷の低減」では、「昭和産業グループ 環境目標」CO2排出量46%以上削減(グループ全体2030年度目標、対2013年度)、食品ロス30%以上削減(昭和産業および食品ロス発生量が100t/年以上のグループ会社6社2025年度目標、対2018年度)、水使用量原単位12%以上削減(グループ全体2030年度目標、対2019年度)の実現を目指してまいりました。そして、2026年2月に脱炭素・環境負荷低減に向けた新グループ環境目標を策定しました。脱炭素を経営の重要課題と捉え、2050年目標の達成に加え、食品ロス・水使用量削減を含む多角的な環境負荷低減を同時並行で推進してまいります。

当連結会計年度の経営成績は、連結売上高が335,413百万円と前年同期に比べ988百万円(0.3%)の増収となりました。営業利益は11,941百万円と前年同期に比べ815百万円(7.3%)の増益経常利益は14,458百万円と前年同期に比べ867百万円(6.4%)の増益親会社株主に帰属する当期純利益は10,611百万円と前年同期に比べ988百万円(8.5%)の減益となりました。

 

(単位:百万円)

 

2025年3月期

連結会計年度

2026年3月期

連結会計年度

前年同期差

前年同期比

増減率

売上高

334,425

335,413

988

0.3%

営業利益

11,126

11,941

815

7.3%

経常利益

13,591

14,458

867

6.4%

親会社株主に帰属

する当期純利益

11,599

10,611

△988

△8.5%

 

 

セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

<食品事業>

食品事業は、円安基調が続く中でコスト要因である物流コスト・人件費、資材価格等の高止まりや消費者の根強い節約志向が続き、販売環境は厳しい状況となりました。このような市場環境の中、当社の強みであるマーケット分析力を生かした、ターゲット業態ごとのソリューション型営業の強化、適正価格での販売に取り組みました。

製粉カテゴリは、輸入小麦の政府売渡価格が昨年4月に平均4.6%(税込価格)、10月に平均4.0%(税込価格)引き下げられたことを受け、小麦粉製品の価格改定を実施しました。一方で、当社連結子会社を含めた生産拠点の一体運用を図ることで、物流コスト低減や生産効率化などを進めております。業務用小麦粉の販売数量は前年同期を上回りましたが、業務用プレミックスの販売数量は前年同期を下回りました。業務用パスタの販売数量は外食市場中心に好調であったため、前年同期を上回りました。ふすまの販売数量については、前年同期並みとなりました。なお、家庭用の小麦粉およびプレミックス、家庭用パスタの販売数量は前年同期を下回りました。これらにより製粉カテゴリの売上高は、前年同期を下回りました。

製油カテゴリは、コストを踏まえた適正価格での販売活動と、長寿命オイルや油染みの少ないベーカリー用オイルなど機能的に価値のある商品提案や課題解決型営業に取り組んでまいりました。また、コスト抑制と安定供給を目的に、当社連結子会社であるボーソー油脂株式会社、持分法適用関連会社である辻製油株式会社と連携して、生産拠点の効率的運用、原材料調達の効率化などを進めております。油脂については、業務用の販売数量は前年同期を上回りましたが、家庭用の販売数量は前年同期並みとなりました。また、ミールの販売数量は前年同期を上回りましたが、販売単価は前年同期を下回りました。これらにより製油カテゴリの売上高は、適正価格での販売に努めましたが前年同期並みとなりました。

糖質カテゴリは、当社連結子会社である敷島スターチ株式会社やサンエイ糖化株式会社との連携を図り、グループ一体となった課題解決や生産効率化などを進めております。糖化品の販売数量については、飲料向けが猛暑などの影響で減少しましたが、製パン・調味料用向けの増加により前年同期並みとなりました。コーンスターチの販売数量については、食品用途は前年同期を上回っているものの、製紙用途等の需要減少により前年同期を下回りました。加工でん粉の販売数量については、前年同期並みとなりました。副製品については、販売価格は前年同期を上回りましたが、販売数量は前年同期を下回りました。これらにより糖質カテゴリの売上高は、前年同期並みとなりました。

これらの結果、食品事業の売上高は271,828百万円と前年同期に比べ1,704百万円(0.6%)の減収営業利益は11,323百万円と前年同期に比べ348百万円(3.2%)の増益となりました。

 

<飼料事業>

飼料事業は、顧客ニーズに対する提案型営業、畜産物の販売支援や付加価値向上へのサポート等の生産者との取り組み強化、高付加価値商材の拡販に努めてまいりました。配合飼料および鶏卵の販売数量は、2024年10月からの鳥インフルエンザ感染拡大による影響を受け前年同期を下回りました。配合飼料の平均販売価格は前年同期を下回りましたが、鶏卵の販売価格は鶏卵相場が堅調に推移したことにより前年同期を上回りました。

これらの結果、飼料事業の売上高は58,740百万円と前年同期に比べ2,577百万円(4.6%)の増収営業利益は1,005百万円と前年同期に比べ520百万円(107.2%)の増益となりました。

 

<その他>

倉庫業につきましては、貨物獲得競争が激化する中、貨物取扱量は前年同期を下回りましたが、荷役料金の適正価格への改定に努めてまいりました。

これらの結果、不動産業、保険代理業、自動車等リース業、運輸業、植物工場等をあわせたその他の売上高は4,844百万円と前年同期に比べ115百万円(2.4%)の増収営業利益は1,389百万円と前年同期に比べ38百万円(2.7%)の減益となりました。

 

2) 財政状態の状況

(単位:百万円)

 

2025年3月期

2026年3月期

前期末差

流動資産

112,749

115,061

2,311

固定資産

142,754

159,911

17,157

資産 計

255,504

274,973

19,469

流動負債

78,362

82,021

3,659

固定負債

38,521

40,340

1,818

負債 計

116,884

122,361

5,477

純資産 計

138,619

152,611

13,991

 

 

当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況及び分析は次のとおりであります。

 

総資産は、274,973百万円と前連結会計年度に比べ19,469百万円増加しております。主な増加要因は、投資有価証券11,295百万円増加したこと、機械装置及び運搬具(純額)4,037百万円増加したこと、建物及び構築物(純額)3,673百万円増加したことであります。一方、主な減少要因は、建設仮勘定2,886百万円減少したことであります。

負債は、122,361百万円と前連結会計年度に比べ5,477百万円増加しております。主な増加要因は、繰延税金負債2,838百万円増加したこと、設備関係債務2,837百万円増加したことであります。

純資産は、152,611百万円と前連結会計年度に比べ13,991百万円増加しております。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益10,611百万円の計上により増加したこと、その他有価証券評価差額金6,050百万円増加したことであります。一方、主な減少要因は、配当金の支払により3,576百万円減少したことであります。

これらの結果、自己資本比率は52.8%から54.3%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

2025年3月期

連結会計年度

2026年3月期

連結会計年度

前年同期差

営業活動によるキャッシュ・フロー

20,274

18,009

△2,265

投資活動によるキャッシュ・フロー

△11,385

△12,542

△1,156

フリー・キャッシュ・フロー

8,888

5,467

△3,421

財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,057

△3,974

6,082

現金及び現金同等物の期末残高

6,868

8,349

1,481

 

 

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益14,972百万円、減価償却費10,344百万円、売上債権の減少及び仕入債務の増加等による資金の増加がありましたが、法人税等の支払4,769百万円、棚卸資産の増加及び未払消費税等の減少等があった結果、合計では18,009百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ2,265百万円(11.2%)収入が減少しました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の取得1,208百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得636百万円及び有形固定資産の取得11,425百万円等に資金を使用した一方、定期預金の払戻による収入1,450百万円の収入等があった結果、合計では12,542百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ1,156百万円(10.2%)支出が増加しました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、これらで得たフリー・キャッシュ・フロー5,467百万円を原資として、社債の償還7,000百万円及び配当金3,576百万円の支払等を行った一方、コマーシャル・ペーパーの発行8,000百万円の収入等があった結果、合計では3,974百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ6,082百万円(60.5%)支出が減少しました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は8,349百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,481百万円(21.6%)の増加となりました。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

211,221

△1.5

飼料事業

31,307

△3.8

その他

147

△9.3

合計

242,675

△1.8

 

(注) 1 金額は製造原価によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。

2 当該内容は、製品ベースの生産実績によっております。

 

2) 受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりません。

 

3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

271,828

△0.6

飼料事業

58,740

4.6

その他

4,844

2.4

合計

335,413

0.3

 

(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。

2 総販売実績に対する主要な取引先の販売実績の割合が10%未満のため、記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表等は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準等に基づき作成されております。この連結財務諸表等の作成にあたっては、期末日における資産及び負債、会計期間における収益及び費用に影響を与えるような仮定や見積りを必要とします。過去の経験及び状況下において妥当と考えられた見積りであっても、仮定あるいは条件の変化等の不確実性により、実際の結果と異なる場合があります。

また、連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

当社グループはこの仮定のもと、会計上の見積り(固定資産の減損、棚卸資産の評価、繰延税金資産の見積り等の検討)を行っておりますが、翌連結会計年度の経営成績及び財政状態に与える影響については、現時点において重要な影響はありません。

 

② 財政状態及び経営成績の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性の分析
1) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

2) 財務政策

当社グループは、経済環境や金利動向を考慮しながら、「金利優位性の高い資金を、必要な金額だけ、安定的に調達すること」を基本方針とし、事業運営上必要な資金の確保及び経済環境の急激な変化に耐えうる流動性の維持に努めております。

 

3) 資金需要

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の購入等の製造費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び発送配達費です。

投資資金需要のうち主なものは、製造工場の設備新設、維持、更新等、基盤事業における生産効率向上のための設備投資です。

また、長期ビジョン実現のための資金需要として、将来の企業価値の源泉となる投資については、財務健全性の維持と資本効率性の向上を考慮しながら積極的且つ継続的に実施していく方針です。

 

4) 資金調達

当社グループの調達手段として、長期運転資金及び設備投資資金については、原則営業活動により得られたキャッシュ・フロー及び金融機関からの長期借入を基本とし、必要に応じて社債等による資金調達も実施してまいります。短期資金調達については、営業活動により得られたキャッシュ・フロー、コマーシャル・ペーパーの発行及び金融機関からの短期借入を基本としております。

また、当社グループは、当社及び国内連結子会社にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入し、グループ内資金を一元管理しております。グループ内の余剰資金を集中、配分することで、コスト低減に努めつつ資金の流動性確保、資金効率の向上及び金融負債の極小化を図っております。さらに、緊急時の流動性確保への備えとして、複数年のコミットメントライン契約を締結しております。

 

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「中期経営計画23-25」における財務目標及び非財務目標の実績は次のとおりとなります。

〔財務目標〕

 

2025年度

目標

2025年度

実績

連結経常利益(億円)

130

144

ROE(%)

7.0以上

7.5

ROIC(%)(※1)

4.0以上

4.4

CCC(日)(※2)

75

83.5

NET D/Eレシオ

0.6以下

0.28

 

(※1):ROIC=税引後営業利益/投下資本

なお、中期経営計画26-29におけるROIC経営管理体制の本格導入に当たり、改めて当社でのROICの考え方を精査した結果、計算方法の見直しを実施。

見直し後の計算方法は以下のとおりです。

ROIC=税引後事業利益÷ 投下資本(期首期末平均)、

事業利益:経常利益-金融収支、投下資本:有利子負債+自己資本

2025年度実績を見直し後の計算方法で算出すると5.1%となります。

(※2):キャッシュ・コンバージョン・サイクル

ユーザンス金利上昇に伴う支払いサイト短縮の影響(11.3日程度)があります。

 

〔非財務目標〕

 

項目

2025年度

目標

2025年度

実績

グループ環境目標

CO2排出量の削減(※1)

30%以上削減

(2013年度比)

29.4%削減

食品ロスの削減(※2)

30%以上削減

(2018年度比)

36.9%削減

水使用量の削減(原単位)(※3)

9%以上削減

(2019年度比)

6.9%削減

プラスチック使用量の削減(原単位)(※4)

7%以上削減

(2013年度比)

3.5%削減

人的資本経営

女性管理職比率

10%以上

11.2%

リスキル投資額

2倍以上

(2021年度比)

2.4倍

 

(※1)対象:当社及び連結子会社

連結子会社にShowa Sangyo International Vietnam Co., Ltd.及び東葛食品株式会社は含んでおりません。

(※2)対象:当社及び食品ロス発生量が100t/年以上のグループ会社

(※3)対象:当社及び子会社9社(水質汚濁防止法、下水道法による特定施設を有する事業者)

(※4)化石燃料由来容器包装材に使用するワンウェイプラスチック

 

「中期経営計画26-29」における目標は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)対処すべき課題」をご参照下さい。

 

 

5 【重要な契約等】

(その他の重要な契約)

会社名

契約締結先

契約内容

契約締結年月日

有効期間

当社

鹿島飼料㈱

配合飼料受委託
加工製造契約

2021年9月1日

2022年3月31日まで、以降1年毎延長。

但し、期間満了3ヶ月前までに書面による申出によって終了できる。

 

(注) 1992年4月1日に締結した契約の内容を一部変更し、2021年9月1日に再締結しております。

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、食品の安全・安心の確保のため、食品安全・品質文化の醸成を行い、製品の安全性と品質の継続的向上を図っております。基盤事業の持続的成長に貢献するため、生産技術力向上、持続可能な社会を実現する技術の確立に取り組んでおります。また、事業領域の拡大に貢献するため、新製品開発や新たな分野への挑戦につながる創造的な新技術の開発に注力しております。

RD&Eセンターを主な研究開発拠点として、お客様とのコミュニケーションを通じて捉えたニーズや研究開発者が洞察した潜在ニーズを起点とした「マーケットイン」と、当社グループの技術力や開発力を起点とした「プロダクトアウト」の融合により、当社グループだからこそできる高付加価値な商品とサービスの提供に努めております。さらに、研究開発力、事業化推進力の強化等を図るため、大学や公的研究機関との連携や、他業種との交流などを行っております。

当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額は2,791百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動は以下のとおりであります。

 

<食品事業>

小麦粉やプレミックス製品、油脂や大豆たん白製品、糖質製品への新たな機能の付与や最適な利用方法の研究と提案を行い、当社グループならではの価値創出に努めております。また、DXの活用による高効率な生産活動及び研究開発の実現に向けた取組みに注力しております。

製粉カテゴリについては、製造技術の向上に関する研究のほか、パン・菓子用や麺類用の小麦粉、パン・菓子、揚げ物などのプレミックス、パスタ、冷凍パン生地などの各種製品開発を行っております。それら業務用製品は、各顧客のニーズに応じて改良を行い、食品加工メーカーや外食チェーン、コンビニエンスストアなどに供給しております。長年ご愛顧いただいていた『黄金天ぷら粉』『金天ぷら粉』『銀天ぷら粉』の3品を発売以来、初めてリニューアルをいたしました。また、家庭用として、2025年9月に衣がはがれにくい『極サクッから揚げ粉』を商品化いたしました。2026年3月には『もう揚げない!!焼き天ぷらの素』について作業性を向上させるリニューアルをいたしました。新商品として、堂本剛さんプロデュースの『俺が好きなうすーくてちーちゃいやつ。ホットケーキミックス』、卵・乳アレルギーに配慮した『水だけでやわもちホットケーキの素』、若年層の簡便調理ニーズに対応した『お好みーる』を開発し、商品化いたしました。

製油カテゴリについては油脂や大豆たん白製品の製造技術の向上に関する研究や、各種の用途に合わせた機能で差別化した油脂製品や、顧客ニーズに応じた大豆たん白製品の開発、改良を行っております。それら業務用製品は、食品加工メーカーや外食チェーン、スーパーのバックヤードなどに供給しております。機能性油脂では、既存製品を取扱いやすく改良した『SベーカリーオイルR』と、各種の用途に活用できる『昭和調理油 マルチプラス』を商品化いたしました。ボーソー油脂㈱及び辻製油㈱との連携強化も継続しており、コーン油の高付加価値化の研究を進めております。第63回日本油化学会年会では、「SAFE法を用いたコーン油加熱前後の特徴香気成分解析」のテーマで発表し、日本油化学会関東支部第13回若手研究者奨励賞の評価をいただきました。家庭用として、2026年3月にこめ油とコーン油の特長を生かした『とうもろこし&こめ油 軽やかブレンド』を商品化いたしました。大豆たん白分野では、『HMSP:High Moisture Solution Protein』を用いた『謎たこ焼』を商品化いたしました。さらに、新規事業領域として、資本業務提携を行っている資源循環型社会を目指す東北大学発のスタートアップ企業であるファイトケミカルプロダクツ㈱の実証設備を完成させ、オープンイノベーションによる新規事業領域の研究開発を強化しております。

糖質カテゴリについてはトウモロコシからコーンスターチ・糖化製品を製造する工程の最適化研究や、加工でん粉、オリゴ糖など食品加工特性に特徴がある糖質の研究開発を行っております。当社開発素材である短直鎖糖質『AmyloSoln』が、日本応用糖質科学会「技術開発賞」、関東地方発明表彰「発明奨励賞」を受賞し、2024年度日本農芸化学会で受賞した「トピックス賞」と合わせて、計3件を受賞いたしました。

なお、食品事業に係る研究開発費の金額は1,739百万円であります。

 

<飼料事業>

鶏用、豚用、牛用飼料における機能素材の給与効果や、加工特性や風味に優れた水畜産物に関する研究開発、加工卵の製造方法に関する検討を行っております。また、当社グループの製造副産物及びユーザーの食品廃棄物などを、肥飼料分野で活用する、食品事業と飼料事業を融合させる研究を進めております。一例として油脂の精製過程で生じる連産物をきのこの栄養体用途に活用できることを見いだし、2025年度日本きのこ学会においてポスター発表の優秀賞を受賞いたしました。

なお、飼料事業に係る研究開発費の金額は各セグメントに含まれない基礎的研究開発費の金額に含まれております。

 

(注) 基礎的研究開発費の金額1,051百万円についてはセグメント分類上全社費用として取り扱っております。