当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「姿かたちを変えながら一生に寄り添い、幸せの時を広げる。」を企業理念として掲げております。「おいしい」「たのしい」「うれしい」など、人が生きている幸せを実感するときにそばにいることを事業活動の目標とし、その事業の源である自然への感謝を忘れずに、その恵みを様々な姿かたちにして広く社会に届け、幸せの時が広がる未来にずっと貢献できる企業グループを目指して一歩ずつ挑戦してまいります。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)7%以上を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。引き続き成長分野への経営資源の投入を進めながら収益力の強化を図ってまいります。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。
(3)経営環境、事業上及び財務上の対処すべき課題等
当社グループは、砂糖事業が売上高の約80%以上を占めております。国内の砂糖消費量は、人口減や甘味需要の多様化を受け漸減傾向にありますが、最先端のテクノロジーを活用したフードテックなどにより、食品ロスが削減されサステナビリティ意識が大きく向上するなど、食の持つ新たな可能性に期待の眼差しが向けられていることから、これらの取り組みは更に加速していくことが見込まれております。また、国内においては賃上げの定着などを受け社会経済活動が活発化し、インバウンド需要増の継続なども期待される一方、地政学的リスクの長期化、原材料価格や光熱費の高止まり及び人手不足の深刻化などもあり、当社グループの事業を取り巻く環境は日々変化し、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況下、国内砂糖事業の強靭化や、安定的なキャッシュを創出する不動産事業を通じて高い収益力を確保することで、当社グループの成長領域である海外事業やライフ・エナジー事業の拡大に更なる拍車を掛けるべく経営資源の再配分を行い、最終年度となる「中期経営計画-2026 Diversify into Nutrition & Health」の達成に向け引き続き邁進してまいります。また、グループの全役職員が多様な力を結集することで、「人と社会の幸せの ちからになる」ために、人々の様々なライフステージにおいて必要とされる栄養と健康のソリューションをお届けする企業グループであり続けることを目指してまいります。
国内砂糖事業につきましては、その強靭化のための主要施策であるバリューチェーン全体の抜本的な見直しをすることにより、グループ収益力の更なる向上を目指してまいります。調達面では原料糖や燃料価格の高騰に対し、即効性のある収益向上策を講じ、生産面では環境配慮の観点からエネルギー使用量削減に取り組み、また、グループ販売体制の拡大や合理化などを通じて、最適な物流体制を整備してまいります。生産体制効率化施策としては、九州地区におけるグループ生産拠点の再編、関東地区における和田製糖㈱との業務提携、北海道地区における日本甜菜製糖㈱との資本業務提携に基づき、精製糖・ビート糖ともに業界最大の盤石な生産体制を全国規模で構築してまいります。また、鹿児島・沖縄地区で原料糖を取り扱う生和糖業㈱や石垣島製糖㈱(ともに連結子会社)においては、引き続き安定的な原料調達を実施し、サトウキビ産業を維持することで、離島経済の維持や国土の保全(国境防衛)にも貢献してまいります。
海外事業につきましては、堅調な経済成長を持続する東南アジア・中東・中国を中心として、グループ各社の進出エリアごとに、次の各種施策を推進してまいります。①東南アジア(タイを除く)・中東:シンガポールのSIS’ 88 Pte Ltd(連結子会社)を中心に、現地における同社の高い認知度・ブランド力を活かし、得意とする中東向けリテール商品生産体制の効率化、精製糖サプライチェーンの拡大を目指してまいります。新たに開所したアラブ首長国連邦(UAE)のリパック(詰め直し・包み直し)拠点や、Asian Blending Pte Ltd(連結子会社)のベトナムにおける製造拠点の本格稼働により、グローバル・日系大手企業といった顧客基盤のもと、コスト競争力あるオペレーションを行い、更なる拡販体制の構築及び収益力の強化を図ってまいります。②中国:砂糖消費大国における巨大市場を取り込むべく成長を加速させてまいります。中糧糖業遼寧有限公司(持分法適用関連会社)では、高付加価値商品の生産体制を整備し、年間100万トン規模の生産能力や、合弁先の現地国営企業のネットワークを活用することなどにより、安定的な収益を獲得してまいります。また、遼寧長和制糖有限公司(持分法適用関連会社)では、主力製品となる精製糖小袋とブラウンシュガーの新商品の拡販などにより、収益力の向上を目指してまいります。③タイ:Kaset Phol Sugar Ltd.(持分法適用関連会社)を通じ、継続的な安定操業の確保による業績改善により、グループ収益に貢献してまいります。なお、更なる海外事業の拡大に向け、様々なパートナー企業との新規事業開拓などを活発化させ、ライフ・エナジー事業も含めた積極投資を推進してまいります。
ライフ・エナジー事業につきましては、キーワードである「Nutrition by Life Stage」の実現に向け、糖やタンパク質に関する長年の知見やノウハウ、蓄積した販売チャネル等を相互活用することにより、スポーツニュートリションやシニアニュートリション等のターゲット領域におけるグループ各社の存在価値を高めるとともに、新規事業開発及びM&Aを加速してまいります。㈱YOUR MEAL(連結子会社)のアスリートや健康的な体型を目指す層への栄養強化食を主とした「活力健康食品事業」領域では、冷凍弁当宅配サブスクリプションサービスを通じて、スタートアップ企業文化を背景とする高い機動力とマーケティング力により、更なる新規商品及び事業開発を加速させてまいります。また、ニュートリー㈱(連結子会社)を軸とする「栄養療法食品事業」領域では、嚥下サポート、栄養素補給や流動食といった高品質商品と、医療・介護従事者からの信頼に基づくマーケットアクセスを通じて、グループ事業の拡大に貢献してまいります。㈱タイショーテクノス(連結子会社)を中心とする「フードテック事業」領域では、保存料、天然色素、寒天・ゲルなどの幅広い食品素材を扱うフードサイエンス企業として、食品の機能性開発や製剤開発についての専門技術を活用してまいります。更に、北海道糖業㈱(連結子会社)のバイオ事業も、幅広い微生物の培養技術と製糖で培われた精製技術を駆使し、高い品質管理のもとで顧客ニーズに沿った受託生産を行い、収益性を高めてまいります。
研究開発につきましては、グループの持つ研究開発力の集積・強化のため、DM三井グループ研究所を中心に、砂糖周辺事業で培ってきたおいしさに関する知見、糖質と健康に関する研究などを核として、グループ各社の技術・ノウハウ等を掛け合わせることにより、当社グループならではの新規事業開発に貢献してまいります。事業開発部門が推進する外部パートナー企業との業務資本提携検討に際しても、研究開発シナジーの観点で積極的に関与し、「Nutrition by Life Stage」の実現に寄与してまいります。
不動産事業につきましては、当社本店ビル「Mita S-Garden」(東京都港区芝)の一部賃貸などをはじめとするグループ保有不動産の有効活用により、資産価値の維持及び向上と安定的なキャッシュ創出を両立し、グループの積極的な事業展開に貢献してまいります。また、国内各地に保有する不動産を最大限に活用し、地域の雇用創出や消費拡大、地域社会の発展に寄与してまいります。
サステナビリティにつきましては、当社グループの基本方針である「5つの「寄り添い」で持続可能な社会の実現を目指す」をもとに設定した、10項目の重要課題及びKPI(評価指標)の実現に向けて、合計16のアクションプランを設定し、各種施策を実施してまいります。詳細につきましては、「2サステナビリティに関する考え方及び取り組み」をご参照ください。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
また、DM三井製糖ホールディングス株式会社は2025年4月1日にDM三井製糖株式会社に商号変更しております。
(1)サステナビリティ戦略
① ガバナンス
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当社グループでは、気候変動問題・人権問題等のサステナビリティに関する課題への対応がリスクの低減かつ企業の成長にもつながる重要な経営課題の一つだと認識しており、サステナビリティ経営推進体制を右図のように構築しております。 サステナビリティ委員会で検討・審議された内容を経営会議に答申し、経営会議や取締役会でさらに検討・審議を重ねております。 |
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(サステナビリティに関する各組織の役割・機能)
[取締役会]
取締役会では、経営会議を通じてサステナビリティ委員会から定期的(年4回)に報告を受け、サステナビリティ基本方針や重要課題、重要課題に対する目標の最終決定、気候変動に関するリスク及び機会への対応方針の決定を行うとともに、気候変動対応を含めサステナビリティ全般に関する執行側の取り組みを監督しております。
[サステナビリティ委員会]
当社では、経営会議の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、定期的(年4回)に開催され、代表取締役社長を委員長とし、委員長が任命する取締役、主要な事業会社であるDM三井製糖㈱の執行役員、外部有識者で構成され、以下の役割を担っております。
・グループ推進体制及び運営方針策定
・当社グループとしてのサステナビリティに関する基本方針及び活動テーマ等の方針策定
・気候変動に関するリスク及び機会に関する方針策定
・気候変動を含むサステナビリティに関する重要課題解決・KPI達成のためのアクションプラン設定
・進捗状況のモニタリング
・サステナビリティ経営上の主な活動に関する議論
[サステナビリティ推進室]
当社グループのサステナビリティへの取り組みを推進するため、当社及び主要な事業会社であるDM三井製糖㈱にサステナビリティ推進室を設置しております。当社グループの各子会社と連携を図り、サステナビリティ経営上の基本方針や重要課題、目標設定、戦略、アクションプラン等の立案や、具体的な活動の推進、サステナビリティに関する研修企画や啓発活動、対外的な情報発信を行っております。
なお、実施した活動と今後の計画についてはサステナビリティ委員会及び経営会議を通じて定期的に当社の取締役会にて報告を行い、持続的な成長に資するよう取締役会で議論のうえ、評価・改善を行ってまいります。
② リスク管理
当社のサステナビリティ戦略上のリスク管理体制については、気候変動や人権侵害などを含むリスク全般に対してリスク管理規定を制定し、代表取締役社長をリスク管理最高責任者として、定期的なリスク評価や規定類の整備などのリスク管理を実施しております。リスク・対策の見直しは部門、グループ子会社にて年1回実施しております。引き続き、定期的なリスク評価や規定類の整備に努めております。
(当社に関する重要課題の特定結果)
持続可能な社会の実現への貢献とグループの持続的な成長のために、10項目を重要課題として特定しております。
(重要課題の特定プロセス)
重要課題の特定にあたっては、以下の3つのステップで検討いたしました。当社のサステナビリティ推進室メンバーによるワークショップを中心に文献調査、社外有識者に対するヒアリングを通じて当社グループを取り巻く課題を抽出し、ステークホルダーの関心度・当社グループへの影響度分析を行うなど、幅広い視点から検討を行いました。
1.わが国及び当社グループを取り巻く課題の抽出・分析
当社のサステナビリティ推進室メンバーによるワークショップ、文献調査、社外有識者に対するヒアリングを通じて20項目の課題を抽出し、各課題の具体的なリスク及び機会やその影響例について分析いたしました。
2.ステークホルダーの関心・当社グループへの影響度分析
ステークホルダーの関心度、当社グループが生じさせる好影響と悪影響、当社グループの操業・業績への影響度を分析いたしました。
3.重要課題の特定
1、2の結果を勘案し、当社グループが重点的に取り組むべき課題の優先順位付けを行い、重要課題を特定いたしました。
③ 戦略及び④ 指標と目標
当社グループは、サステナビリティ基本方針に掲げる5つの「寄り添い」を通じて、持続可能な社会の実現を目指します。事業の源である自然への感謝を忘れずに、その恵みを様々な姿かたちで広く社会に届け、企業を取り巻く地球環境や社会の課題に真摯に向き合い、その解決を図りながら新たな価値を生み出します。
また、特定した重要課題に対しては、指標と目標を設定することで、サステナビリティ戦略の方向性を明確にし、各目標の進捗状況をモニタリングし、取り組みに反映しております。
5つの「寄り添い」を通じた重要課題への取り組みと目標
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1.環境に寄り添う 気候変動・水資源問題への取り組み、廃棄物の削減をとおして環境改善に貢献します。
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気候変動問題 |
リスク(●) 機会(○) |
●気候変動の助長、生産・輸送過程でのCO2排出、地球温暖化による原料農産物の作柄への影響、気象災害激甚化による工場など生産設備への被害、炭素税導入による費用負担 〇CO2排出削減のための生産プロセスイノベーション、環境負荷に配慮した包装資材の開発・促進 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・環境マネジメントシステムISO14001の運用 ・省エネルギーな生産方法への転換、省エネルギー機器の導入 ・CO2削減に向けたグループ企業横断的な取り組みの推進 ・最適生産方法・物流体制検討プロジェクトの推進 ・環境配慮資材の調達 |
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KPI(評価指標) |
2051年3月期までにカーボンニュートラル達成 2031年3月期までにCO2排出量46%削減(2016年3月期比) (2025年3月期 CO2排出量削減実績:2016年3月期比31%削減) |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱、北海道糖業㈱、関門製糖㈱ |
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水資源問題 |
リスク(●) 機会(○) |
●水資源枯渇による原料農産物の作柄への影響、水質悪化、水不足による生産部門(工場)の安定操業への影響 ○水使用量低減のための生産プロセスイノベーション |
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2025年3月期の主な取り組み |
・工場排水の水質検査・排水処理場での処理等による適正管理 |
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KPI(評価指標) |
2031年3月期までに水資源排出量20%削減(2016年3月期比) (2025年3月期 水資源排出量削減実績:2016年3月期比30%削減) |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱、北海道糖業㈱、関門製糖㈱ |
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廃棄物問題 |
リスク(●) 機会(○) |
●廃棄物による水質・土壌汚染(農業・生産部門への悪影響)、産業廃棄物の処理コスト増大 ○廃棄物の削減(リデュース)・リユース・リサイクル促進によるコスト・ダウン、環境負荷に配慮した包装資材の開発・促進、副産物の有効利用による新たなビジネスの創出 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・廃棄物等の分別の徹底・適正処理 ・生産に伴う副産物・廃棄物の資源化 |
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KPI(評価指標) |
2031年3月期までに廃棄物ゼロエミッションを達成 (2025年3月期 廃棄物再資源化率93%) |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱、北海道糖業㈱、関門製糖㈱ |
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2.人に寄り添う 労働安全衛生を強化し、ダイバーシティ&インクルージョン(人財の多様性と包摂性)への配慮をつうじて、人権が尊重される社会の実現に貢献します。
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人権の尊重 |
リスク(●) 機会(○) |
●当社グループ内における人権侵害の発生と企業価値の毀損、サプライチェーン上での人権侵害の発生による原材料調達及び製品販売への影響 ○当社グループ内における人権の尊重による従業員のモチベーションアップ・生産性の向上・イノベーションの誘発・優良人材の獲得、サプライチェーン全体での人権尊重強化による企業価値や商品価値の向上 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・コーポレートレベル人権影響評価の実施 ・DM三井製糖㈱関連部署担当者への人権研修の実施 |
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KPI(評価指標) |
人権に関する教育や取り組みの社内研修を実施 (従業員の研修受講率100%) |
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サプライチェーンにおける原材料調達責任をはたすため、人権デューデリジェンスを実施(2026年3月期まで) |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社19社及び持分法適用関連会社10社 |
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労働安全衛生の強化 |
リスク(●) 機会(○) |
●重篤な労災事故発生による従業員への影響及び企業価値の毀損 ○安全文化の醸成による企業文化の向上及びステークホルダーからの信頼獲得、労働安全衛生の徹底による従業員の心理的安全性確保とそれによる生産性の向上 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・労働安全衛生マネジメントシステムISO45001の運用 ・当社グループ全社を対象にした労働安全研修「安全の日」の実施(1月17日) ・活発なコミュニケーションによる課題抽出(スピークアップ活動) ・設備(監視カメラの設置等)や作業手順に対する導入・変更前の社内安全審査の実施 |
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KPI(評価指標) |
労働災害「ゼロ(休業災害1日以上を対象)」の達成 2025年3月期休業災害実績9件 (DM三井製糖㈱含む国内連結子会社 7件、海外連結子会社 2件) |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社19社 |
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ダイバーシティ&インクルージョン |
リスク(●) 機会(○) |
●性差別等による企業文化の劣化と採用難による人材不足、新たな発想力の低下 ○多様な価値観を受け入れる企業風土の醸成、多様な人材の活躍による従業員のワークエンゲージメントの向上及びイノベーションの誘発、従業員の心理的安全性向上による生産性の向上、人材獲得機会の増加 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・男性育休取得推進イベント「コウケンテツ料理教室&座談会」の実施 ・ワーキングママ座談会の実施 ・国際女性デーイベント 特別トークセッション「私のライフキャリア」の開催 ・マネジメント職対象ダイバーシティ&インクルージョンセミナーの実施 ・ダイバーシティ&インクルージョンに関するeラーニングの実施 |
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KPI(評価指標) |
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ダイバーシティ&インクルージョンに関する相談窓口を設置 |
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国籍/性別(性的マイノリティー・LGBT)/年齢/障がいの有無に配慮した人事制度の導入 |
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従業員意識調査(働きやすさの調査)実施 |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社19社 |
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3.幸せの時に寄り添う 「適糖生活®」を広げ、食の基盤づくりをとおして皆さまの幸せな未来に貢献します。
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糖分過不足による健康阻害 |
リスク(●) 機会(○) |
●不正確な情報による糖類過不足の発生とそれによる健康阻害 ○正しい知識の啓発による適正な糖分摂取とそれによる商品提供機会の増大・新たな需要の創造 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・小児糖尿病患者とその家族の会である「つぼみの会」の講習会(年2回・開催)に協賛企業として参加 ・小学校での食育授業の実施 ・正しい砂糖の知識に関する社内データベースの構築及び学生向けの教育授業を通しての正しい砂糖知識の啓発活動の実施 ・栄養摂取に関する専門家との意見交換会の実施 ・地域の養護施設等への食品寄附活動 |
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KPI(評価指標) |
糖分過不足による弊害についてのエビデンスに基づいた知見の蓄積 |
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糖分過不足による弊害の解消=「適糖生活®」の概念構築に向けた勉強会、外部専門家との意見交換の実施 |
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日本人一人ひとりの生活実態・健康状態に合わせた「適糖生活®」モデルの構築 |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱ |
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4.健康に寄り添う 食品安全の徹底とともに、健康寿命の延伸、栄養ニーズの充実、美味しさの革新をとおして、皆さまの健やかな生活に貢献します。
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食品安全の徹底 |
リスク(●) 機会(○) |
●食品安全衛生上の重篤な問題による顧客(消費者)への健康被害発生及び企業価値の毀損 ○食品安全の徹底による顧客(消費者)の信頼獲得とブランド価値・企業価値の向上 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・FSSC22000等のGFSI承認認証規格のほか、ISO9001やJFS-Bといった国際的な品質や食品安全に関する認証を継続し、品質向上・食品安全の強化を実施 ・北海道糖業㈱バイオ生産部 北見工場 FSSC22000取得 ・品質保証部門による食品生産現場への定期監査実施 |
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KPI(評価指標) |
自社製造製品での重篤な健康危害(食中毒等)発生ゼロ (2025年3月期 重篤な健康危害発生ゼロ) |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社12社 |
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KPI(評価指標) |
当社グループの国内外精製糖製造工場:GFSI承認認証規格を取得・継続 |
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他の国内食品製造工場:HACCPを含む食品安全に関する国際規格の取得拡大推進 |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社11社及び持分法適用関連会社8社 |
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健康促進・栄養改善 |
リスク(●) 機会(○) |
●顧客の健康促進・栄養改善に資する商品の欠如による売り上げの減少、少子高齢化による市場縮小 ○顧客の健康促進・栄養改善に資する新たな商品の開発、顧客の健康志向や拡大するヘルスケアマーケットへの対応による売り上げの増大・企業価値の向上 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・世の中の健康課題に対し、当社グループが持つ素材で解決の糸口となる一覧表を作成、公表し、各社からの情報発信、周知を行う。 ・健康情報提供サービス「Pep Up」を活用したウォーキングイベントなどの健康イベントの実施 ・適糖生活®の浸透を目的とした高齢者コミュニティでの講演会の実施 |
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KPI(評価指標) |
2026年3月期までに健康関連分野であるライフ・エナジー事業の売上高を50,000百万円まで拡大 (2025年3月期ライフ・エナジー事業売上高25,071百万円) (注)北海道糖業㈱バイオ事業含む |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社3社 |
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5.地域社会に寄り添う 産業の振興をとおして、地域社会の維持・発展に貢献します。
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地域経済の発展 |
リスク(●) 機会(○) |
●国内地方経済の衰退による生産拠点での人材確保問題、国内原料農産物の生産減少 ○地域経済活性化による人口増加と人材獲得機会及び消費拡大、地域農業の活性化による生産性向上と原料農産物の安定供給 |
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2025年3月期の主な取り組み |
・石垣島さとうきび収穫体験研修実施 ・小学校での体験授業実施(ビート植え付け、糖蜜作り) ・近隣教育機関との防災提携 ・糖蜜を活用した「石垣島RUM〈SILVER〉」を新発売 ・地域のイベント・清掃活動への参加 ・日本全国の和菓子店を応援する「和菓子縁日」の開催 ・地元野菜をPRする「北海道伊達野菜マルシェ」の開催 |
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KPI(評価指標) |
砂糖原料生産地(沖縄/鹿児島/北海道)の地域経済・自然環境保護に貢献する活動を、毎年合計3件以上実施 |
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バウンダリー:北海道糖業㈱、生和糖業㈱、石垣島製糖㈱ |
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KPI(評価指標) |
地域に貢献するサステナビリティ関連活動を継続的実施 |
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バウンダリー:DM三井製糖㈱のほか、連結子会社15社 |
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(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)
当社は、2023年6月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に賛同を表明し、TCFDコンソーシアムに参加いたしました。
事業の源である自然、その恵みを様々な姿かたちにして、広く社会へ届けることで、幸せの時が広がる未来に貢献する当社グループにとって、気候変動による様々な影響は、優先度の高い課題であると認識しております。
このような認識のもと、当社は2022年3月期より、TCFD提言に沿ってシナリオ分析およびリスク・機会を検討し、その結果を公開しております。これらを事業推進上のリスクマネジメント及び経営戦略に反映するとともに、今後その進捗を積極的に開示してまいります。そして社会全体の脱炭素化に貢献しながら、さらなる成長を目指します。
① ガバナンス
気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ戦略のガバナンスに組み込まれております。詳細については、「
② リスク管理
気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ戦略のリスクに含めて管理しております。詳細については、「
③ 戦略
当社グループの事業は、原材料の大半が気候変動による物理的リスクの影響を大きく受ける農産物であること、また製造・加工・販売の過程において多くのエネルギーを消費しており気候変動による移行リスクの影響を大きく受けることから、気候変動を重要なリスクと認識しております。当社グループでは、気候変動にかかるリスクと機会を特定するにあたり、当社グループの中期経営計画との時期的整合性、またパリ協定、日本政府の掲げる目標年といった外部環境要素を踏まえ、短中期の時間的範囲を2031年3月期までの期間、および長期の時間的範囲を2051年3月期までの期間と定めました。
(重要リスクの特定)
気候変動にかかるリスクおよび機会については、当社グループの主力事業である国内砂糖事業、およびライフ・エナジー事業を対象に、網羅的なリストアップを行いました。次に、すべてのリスクおよび機会について公開資料等に基づき財務的影響を検討したうえ、当社グループの事業への影響等に鑑み以下のとおり項目を抽出および整理しました。
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期間 |
分類 |
項目 |
種別 |
想定されるリスク・機会 |
財務影響度 物理:4℃ 移行:1.5℃ |
対応策や機会 |
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物理的リスク |
短期・中期 |
急性 |
自然災害の規模と頻度の増大 |
リスク |
気象災害の激甚化による、当社グループ工場等の被害額増大 |
大 |
・設備の定期メンテナンス強化 |
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リスク |
サプライチェーン上の取引先の操業停止等による、当社グループへの損失発生 |
中 |
・原材料調達先との連携や複数購買 |
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慢性 |
海面上昇 |
リスク |
耕作可能地減少による生産拠点の減少、および物流拠点の減少による、原材料および製品の供給能力低下 |
小 |
・BCP計画の策定 |
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長期的な気候(平均気温や降水パターンなど)の変化 |
リスク/機会 |
平均気温などの変化による、原料(てん菜およびサトウキビ)供給量の増加や減少 |
大 |
・気候・気温変化に対する耐性の高い品種の導入(てん菜およびサトウキビ) |
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リスク/機会 |
気温上昇による、砂糖消費行動の変化に伴う売上の増加や減少 |
小 |
・様々な温度帯で消費される飲料・食品など末端製品へのバランスのとれた販売政策(販売ポートフォリオの平準化) |
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リスク |
平均気温上昇による、主に生産部門での暑熱対策強化に伴う費用の増加 |
小 |
・暑熱対策の継続実施、水平展開 |
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移行リスク |
長期 |
政策・法制度 |
炭素価格の上昇 |
リスク |
炭素税や排出権取引制度等の導入による、費用の増加 |
大 |
・創エネ、省エネ、脱炭素エネルギーの採用 |
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技術進歩 |
新たな低・脱炭素型生産技術の開発 |
リスク/機会 |
新たな技術開発のための研究開発費用の増大 |
中 |
・燃料転換導入コスト精査によるコスト削減 |
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リスク |
再エネ燃料として原料(サトウキビ)がバイオエタノールに使用されることによる、原材料調達コストの増加 |
小 |
・原料供給量の減少に伴う原料価格(国際相場)上昇を見据えた商品および価格体系の見直し |
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低・脱炭素関連の技術革新 |
機会 |
当社グループのサプライチェーン上の取引先企業との共同配送、モーダルシフト、受発注の最適化等による事業コストの増大抑制 |
中 |
・共同配送、モーダルシフトの推進 |
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市場変化 |
環境配慮製品への社会的要請 |
リスク |
環境配慮製品購入への消費行動変化への費用の発生 |
小 |
・環境配慮製品への適切な切り替え |
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評判 |
脱炭素に消極的な企業姿勢に対するレピュテーションリスク |
リスク |
脱炭素に消極的な企業姿勢に対する企業イメージの低下および企業価値減少 |
中 |
・脱炭素への取り組みに関連する情報の適宜開示・情報の発信チャネル拡大 |
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さらに、特に財務影響度が大きいリスクを重要リスクとして特定し、以下のとおり気候変動シナリオ(物理的リスクは4℃上昇シナリオ、移行リスクは1.5℃上昇シナリオ)に基づく評価を行ったうえ、リスクの最小化および機会の探索のための体制を確認しました。
(特定した重要リスクへの対応策)
・気象災害の激甚化による、当社グループ工場等の被害額増大
過去に国内工場で高潮被害を受けている他、大型台風による設備への風害も発生しており、将来的に被害がさらに顕在化する可能性があります。
このような気候変動によるリスクに対応するため、当社グループでは、予防の観点で設備の定期メンテナンスを実施し、自社工場の千葉、神戸、福岡に加えて、製糖委託工場を含む6工場による供給網を確保する他、定期的なBCP訓練やその見直し、原材料調達先との連携や複数購買など、気象災害発生時において主要事業の早期復旧を図るための体制を整備しております。
さらには、緊急時の供給体制を構築し、基礎調味料であり身体の重要なエネルギー源でもある砂糖の安定供給を確かにすることで、サプライヤーとしての信頼を構築することは気候変動に関する機会になりうると考えております。
・平均気温などの変化による、原料(てん菜およびサトウキビ)供給量の増加や減少
てん菜については、「てん菜における2030年代の予測値」によれば、温暖化により収量(根重)は増える一方、夏季以降の高温により根中糖分が低下する側面もあり、その結果として得られる糖量としては微増すると推定されています。一方、病害(褐斑病、葉腐病、根腐病、黒根病等)については発生量の増加、さらにはヨトウガなどの害虫についても食害量の増加が想定されています。
このようなリスクに対応するため、グループ会社の北海道糖業㈱において、病虫害耐性の高いてん菜の導入を推進しております。また、今後は研究機関と連絡を密にしながら、さらなる情報収集により影響評価の精緻化を進めます。
もう一つの原料であるサトウキビについては、温暖な気候でよく生育する特性を持ち、平均気温上昇に伴う有効積算温度の増加により、てん菜同様に収量が高まるものと見込まれます。他方、平均気温上昇が生育を制限する要素(例えば、台風、サイクロン、干ばつ、病虫害)をより深刻化させる可能性があります。例えば、オーストラリア、タイ、ブラジルといった主要生産地域においては、サトウキビ収量が気候変動要因によって減少するとの予測もされています。また、気候変動がもたらす影響は生育状況だけでなく、気象災害の激甚化による輸送経路の分断や生産関連設備の故障など、生育後の収穫や加工の段階においてもリスクをもたらす可能性があります。
このような気候変動による原料調達の不確実性に対し、当社グループではサプライヤーとのコミュニケーションを継続し、調達先の多角化などの検討を進め、安定調達を推進してまいります。
・炭素税や排出権取引制度等の導入による、費用の増加
当社グループの中核である国内砂糖事業では主に生産プロセスで大量のエネルギーを必要とすることから、創エネ、省エネ、脱炭素エネルギーの採用(グリーン電力の購入、バイオマス燃料等)による2051年3月期CO2排出量実質ゼロに向けた取り組みを推進します。また、サプライヤーと連携したCO2削減や商品および価格体系の見直しによって、財務リスクの最小化に取り組んでまいります。
今後も、重要なリスクについての更なる精査や、他の気候変動にかかるリスクと機会の検証を進め、当社グループの気候変動に対するレジリエンス強化に取り組んでまいります。
④ 指標と目標
サステナビリティ委員会では、リスクについて方針を策定、あるいは気候変動を含むサステナビリティに関するKPI(評価指標)を設定し、進捗状況をモニタリングしております。これらの検討、審議された内容は経営会議及び取締役会に報告し、取締役会からの意見や助言を反映しております。
今後、当社グループではCO2排出量について「2031年3月期までに2016年3月期比で46%削減」し、さらに「2051年3月期までにカーボンニュートラル達成(スコープ1・2において)」を目標としております。
また、環境問題に関連するKPI(評価指標)として、以下の2点を定めております。
・水資源排出量の削減
2031年3月期までに水資源排出量を2016年3月期比で20%削減
※水使用量を生産活動に伴い使用した水資源(排水量ベース)と定義
・廃棄物排出量の削減
2031年3月期までに廃棄物ゼロエミッションを達成
※ゼロエミッションを廃棄物再資源化率98%以上と定義
当社グループでは、これらの目標達成により持続可能な社会を実現するべく、取り組みを進めてまいります。
(3)人的資本
2023年3月期よりスタートした中期経営計画の実現に向け、2024年4月より新たな人事制度を導入するとともに、
さまざまな施策を進めています。基盤となる国内砂糖事業の強靭化の推進、経営資源の再配分によるライフ・エナジ
ー事業及び海外事業の成長と拡大を目指す上で、より一層の人的資本の拡充が重要であると認識しています。
2025年3月期には、経営戦略と連動した人事戦略フレームワークを策定し、3つの重点領域とそれを支える3つの
基盤施策を掲げました。測定可能な目標設定と併せ、体系整備を含めた人材育成や多様な人材が活躍できる職場環境
づくりを推進してまいります。
1.人材戦略:重点領域
当社グループは、長い歴史と伝統を持ち、常に変化と深化を続けてきましたが、今、さらなる飛躍を目指すステージにおいて、変化と挑戦が求められています。従業員一人ひとりの個性と強みにフォーカスし、個々が持つ潜在的な力を解放し、強みを発揮しあえるチームをつくることが事業・組織の成長につながります。
1)事業成長を実現する人材の確保と育成
事業戦略の実践に必要な人材を確保していくため、国内砂糖事業ではリスキリングを通じてコア人材の強化を図るほか、海外事業、ライフ・エナジー事業の成長には、事業構造の変化に応じた人材ポートフォリオを描きながら、労働市場で優位性を持って人材の確保と育成を行っていきます。さらに、当社グループで活躍する次世代リーダーを継続的、計画的に育成し、タレントパイプラインの強化を目指します。
2025年3月期では、国内砂糖事業の強靭化、ビジネストランスフォーメーションやコーポレート業務高度化に応えるため、より積極的なキャリア採用を進めると同時に、和田製糖㈱の砂糖製造受託に伴う同社からの出向社員の受け入れを行い、事業成長・事業競争力の維持・増進を支える人材獲得に努めました。
2)持続的成長を支える組織文化の醸成
新人事制度において、賃金処遇制度、人事評価制度の改訂も行い、挑戦と自律の組織文化の醸成を図っています。また、一人ひとりが持つ個性や多様性を尊重し、異なる意見や価値観を融合させながら新たな価値を創出する必要性の理解と実践が不可欠です。
2025年3月期においては、主要な事業会社であるDM三井製糖㈱にて、ダイバーシティ&インクルージョン、心理的安全性などについての理解促進のため、役員を含めた全社員を対象にeラーニングを実施し、受講率98%という結果でした。また、当社として初めてエンゲージメントサーベイを実施し、組織や人に関する課題を可視化することができました。経営会議での全社の課題とアクションプランの策定、各部門においては自部門の課題を抽出した上で対応方針・目標を定め、アクションプランを実行中です。
3)個々の力の最大化と自律的成長の支援
市場の変化やスピードに対応するためには、個々人が物事を自分事として考え、個々の持つ能力やクリエイティブな側面が十分に発揮される環境が不可欠です。キャリアのオーナーは従業員の一人ひとりであるという考えのもと、個人の成長やキャリア開発を支援し、学習・挑戦・成長できる機会を継続的に提供していきます。
女性の活躍推進においては、特に、管理職手前の女性従業員を対象にキャリアアップ意欲の喚起ならびに管理職に必要なマネジメン卜能力付与のための研修実施等により、キャリア開発、職場風土醸成に取り組んでいます。2025年3月期では、国際女性デーに合わせて、役員を含む女性幹部職3名によるトークセッションを開催、また、異業種での女性リーダーシップの開発研修に参画するなどの新たな取り組みを開始し、キャリアオーナーシップの醸成に努めました。当社グループの目標として女性管理職比率10%(2026年3月期まで)を掲げております。主要な連結子会社では、DM三井製糖㈱、㈱タイショーテクノス及びニュートリー㈱は女性管理職比率の目標である10%を達成しておりますが、今後は次世代女性管理職候補者の育成にも注力をし、さらに女性の管理職比率を向上させるよう、グループで取り組みを推進してまいります。
2.人材戦略:基盤
1)従業員のウェルビーイングと成長を支援する環境・働き方の実現
心身ともに健康で、安心・安全に、活き活きと働くことのできる職場でなければ、個々の従業員が持つ力を最大化することはできません。従業員のウェルビーイングと多様な価値観を尊重する働き方・環境の実現を目指します。これまで、場所や時間に左右されない働き方を支援し、テレワーク勤務制度(在宅勤務、サテライトオフィス利用)及びフレックス勤務制度を導入、また、兼業・副業制度を導入することで、個人の状況に応じた多様な働き方の選択により時間を有効活用し、業務の生産性向上、プライベートの充実につなげています。
仕事と子育ての両立については、育児休業を取得しやすい環境の整備にも努めております。2025年3月期は、主要な事業会社であるDM三井製糖㈱の男性育児休業取得率は71.4%であり、連結ベースでの男性育児休業取得率100%を目標に、グループ全体でも取得率向上に取り組んでいます。
日頃の「健康管理」においては、保健師(看護師)やDM三井グループ健康保険組合との連携により、さまざまな施策を実施して、従業員の心身の健康維持・向上に努めています。日々の健康管理や健康診断後のフォロー、インフルエンザ予防接種、ストレスチェック・メンタルヘルス研修を含むEAP(従業員支援プログラム)の運用のほか、健康管理に関する知識の習得を通して自ら心身の状況に気づきを得られる環境を整えています。当社は2017年3月期より経済産業省が推進する健康経営度調査に参加しており、2025年3月期も「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定を取得しました。
2)事業成長・組織文化を支えるリーダーシップの強化
人材の獲得・育成、個の自律的成長の支援、そして、組織文化の醸成には、リーダーの関与は非常に重要です。リーダー自らが人に向き合い人を育てる文化を根づかせていくことが、会社全体の成長につながるからです。新人事制度では管理職を「スペシャリスト職」「マネジメント職」の2つにわけて役割を明確にし、それぞれが役割を果たして組織・チームとしての成果・生産性向上を目指せるようにしました。メンバーの成長支援のための対話の機会を増やし、きめ細やかで適切なフィードバックを行う職場文化を築くため、2025年3月期では、マネジメント職を対象に「信頼関係の構築」「コーチング会話」を含む4つのテーマで、マネジメントリフレッシュセミナーを実施するなど、望ましい企業文化を体現するリーダーシップの強化、リーダー育成を推進しています。
3)定量データ・KPI分析をつうじPDCAサイクルによる組織力強化
人材に関する情報を正確に把握し、定量データ・KPI分析を通じて、人材情報を可視化し、PDCA サイクルを回しながら、組織力の強化、個の状況やニーズに向き合った機会提供を可能にしていく仕組みづくりを進めています。
当社グループの事業その他を遂行する上でのリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載いたします。なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)食の安全性に関する事項
当社グループで品質上の重大な問題等が発生した場合においては、顧客の信頼喪失、売上低下、生産の停止や製品の回収、管理体制の強化や対策のための費用の発生を含め、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、安全安心な製品を安定的に供給するための生産・品質管理体制を整備し、「DM三井グループ調達方針」を定めております。当該方針をサプライヤーへ周知するとともに、品質上の重大な問題を未然に防ぐため、ISOやFSSCなどの規格を取得・活用し、マネジメントシステムを効果的に運用することで、食品安全の強化並びに製品・サービス品質及び顧客満足度を向上、フードディフェンスを強化しております。また、食品事故が発生した場合を想定し、最小限の被害に抑えるための行動マニュアルや情報管理マニュアルを整備し、品質事故対応訓練を定期的に実施しております。
(2)農業政策等の事業環境に関する事項
当社グループは、砂糖事業が売上高の大半を占め、北海道・鹿児島県・沖縄県に国産糖製造会社を有しております。その結果、砂糖事業を取り巻く環境の変化や、農業政策・通商政策の影響を受けやすい事業構造にあります。また、国内の砂糖消費量は、人口減や甘味需要の多様化等により漸減傾向にあります。国内砂糖事業は、政府の農業政策と「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(※)等の法令に基づく制度の中で行っております。今後の政府の農業政策の変更、EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)・TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の動向により、海外から砂糖を使用した安価な製品が輸入される場合や、将来的に安価な精製糖が輸入される場合には、売上の減少や固定資産の減損リスクなど当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは日頃より不断の情報収集に努め、想定に応じた影響度の把握と対策を常に検討しております。一方、堅調な経済成長が持続するASEAN・中国・中東では砂糖需要が増加傾向にあるため、シンガポールの連結子会社や、タイ及び中国の持分法適用関連会社を通じて海外砂糖事業の拡大を図ってまいります。地政学的リスクを注視しつつ、原料糖調達ルートの多様化やグローバルな事業展開を進めることで国内の農業政策の変化による影響を分散し、長期安定的な成長に向けた体制を構築してまいります。
(※)甘味資源作物の価格調整措置を通じて、国内の農家所得等の安定及び精製糖メーカーを含む関係事業の健全な発展の実現を目的とする法律。輸入される原料糖よりもコストの高い国産原料糖を生産する国内の砂糖産業を支えるため、農林水産省による需給調整のもと、精製糖メーカーが、海外から原料糖を輸入する際、輸入価格に上乗せして調整金を支払う義務などを負っている。
(3)原料糖及び原材料・商品の調達並びに製商品の販売に関する事項
当社グループは、主力である砂糖事業において、輸入原料糖が外貨建ての相場商品であり、為替変動リスクの他、エネルギー価格の上昇や地政学的リスクの増大、主要生産国であるブラジルやタイ、オーストラリア等の天候やサトウキビの生育状況などによって市況が大きく変動する場合があります。また、北海道・鹿児島県・沖縄県の国産糖製造会社では、天候等の気象条件が、ビート(てん菜)及びサトウキビの収穫量や品質に大きな影響を与える場合があります。ライフ・エナジー事業においても、機能性食品素材、栄養療法食品や食品添加物などの原材料や商品の仕入に関し、為替や原料費、輸送コスト等の変動リスクを有しております。原料糖や原材料及び商品仕入価格の変動等を製商品価格に適切に反映できない場合や、製商品価格改定の間にタイムラグが生じた場合には、原価率の上昇など当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは社内規則に基づき、担当部門における役職員への適切な権限付与、取引区分の明確化などにより、リスク管理を徹底しております。また、日頃より不断の情報収集に努め、適時適切に価格反映を実施するなど、想定に応じた影響度の把握と対策を常に検討しております。
(4)気候変動に関する事項
当社グループは国内外にて事業活動を行っており、気象災害激甚化による工場など生産設備への被害、原料糖及び原材料・商品の調達への影響等を受ける場合があります。製品生産面に予想を超える事態が発生し、流通面への支障が長期間にわたった場合、売上低下などにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、製造・加工・販売の過程において多くのエネルギーを消費しており、炭素税導入といった低炭素社会への移行に際して生じる影響を大きく受けることから、気候変動を重要なリスクと認識しております。気候変動への対応の詳細につきましては、「2サステナビリティに関する考え方及び取り組み(2)気候変動への対応(TCFD提言への取り組み)」をご参照ください。
(5)事業投資に関する事項
当社グループは、成長戦略の一環として、国内外における事業投資を推進しております。M&Aに際しては、対象となる企業について詳細なデューデリジェンスを実施し、リスク回避に努めております。一方で、その後の偶発債務の発生、または、各国における政策・制度の急激な変更、廃止や地政学的リスクの顕在化等の環境変化により、対象会社の事業運営に支障をきたす事態等が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、投資に伴って計上するのれん及び無形固定資産につきましては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しております。ただし、対象となる事業において将来の収益力が低下した場合には、減損処理が必要となり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。重要な事業投資につきまして、十分な事前協議を行った上で、経営会議を経て取締役会にて決定しております。投資後、各社への経営幹部人材の派遣、取締役会等の重要会議への出席や定期的な経営管理により、事業価値の向上に努めております。
(6)人材確保及び育成に関する事項
当社グループは、積極的な事業投資を推進しております。労働市場を巡る環境の変化を受け、人材獲得競争が激化し、国内外において、必要な人材の確保及び育成を計画通り実施することが困難となった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。かねてより、労働安全衛生を最優先とした職場環境整備や、時流に適合した働き方改革を推進することで、適正な人材の確保に尽力しております。当社グループの持続的な成長を実現させていくためにも、より一層ダイバーシティ&インクルージョンを推進してまいります。人材確保及び育成への対応の詳細につきましては、「2サステナビリティに関する考え方及び取り組み(3)人的資本」をご参照ください。
(7)地震・台風・豪雨等に起因する大規模自然災害及び感染症拡大に関する事項
当社グループは国内外で事業展開しており、地震・台風・豪雨等に起因する大規模自然災害の発生により、原料糖の調達や製品の生産・流通が困難となる可能性があります。また、感染症の拡大に伴う行動制限政策等により、需要が低迷し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP)を策定の上、定期的な見直しや訓練を実施しております。大規模自然災害下や感染症拡大下での、従業員の安全衛生と製品の安定供給を最優先とした事業運営を維持するため、確実な感染症対策を含む高度な衛生基準のもと、生産継続を確保する体制を整備しております。
(8)情報システム及びセキュリティに関する事項
当社グループは、ライフ・エナジー事業を中心にEC(electronic commerce)サイトの運用などを通じた一般消費者向けの商品やサービスの提供を行っており、コンピューターウイルスの侵入や不正アクセス等のサイバー攻撃による社内ネットワークシステムの運用停止や情報漏洩、不正利用等が発生した場合には、当社グループの信用は低下するとともに、法令違反による罰金や制裁金が科されるおそれがあります。社内ネットワークにつきましては、標的型攻撃対策として不正アクセス対策やマルウェア対策に加え、デバイス管理、ID管理、従業員教育及びデータ漏洩対策を組み合わせた認証・認可基盤を構築し、サイバー攻撃への対策を行っております。業務委託先におけるセキュリティリスクにつきましては、契約を通じて、セキュリティ状況の定期確認及び強化施策を講じてまいります。また、個人情報の保護につきましては、個人情報保護方針及び個人情報保護規程のもと、その保護体制を明確に定め、従業員教育、監査及び業務委託先も含めた指導等を実施しております。
経営成績等の状況の概要
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度のわが国経済は、雇用・所得環境の改善や旺盛なインバウンド需要などにより、緩やかな景気回復が見られた一方で、円安進行に起因した物価上昇の継続、不安定な国際情勢による景気下振れリスクなどを受けたほか、米国の政策動向に十分留意する必要があるなど、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況下、当社グループは、「中期経営計画-2026 Diversify into Nutrition &Health」の達成に向け、グループ全体の成長戦略「グループビジネスモデルの変革」と「経営資源の再配分」のもと、グループ内事業の最適化を図ることで、①国内砂糖事業の強靭化、②海外事業の拡大、③ライフ・エナジー事業の成長、④グループの持つ研究開発力の集積・強化、⑤持続可能な社会実現への貢献、の5つの柱を実現すべく、各種施策を推進してまいりました。
砂糖事業
海外粗糖相場は、1ポンド当たり22セント後半から始まり、一時はサトウキビ主要生産各国における生産増加見通しなどにより17セント半ばまで下落したものの、サトウキビ最大生産国ブラジルで発生した干ばつや山火事による減産懸念を材料に23セント後半まで急騰いたしました。その後、ブラジルやインドといったサトウキビ主要生産各国における不安定な天候を背景に、刻々と変化する生産見通しなどを受け上下し、18セント後半で当連結会計年度末を迎えました。また、国内市中相場は、期を通じて1キログラム当たり249円~251円で推移いたしました。
国内の精製糖販売は、家庭用需要において、原材料価格の高騰などに伴う食品値上げラッシュによる消費マインド委縮の影響を受けました。一方、業務用販売は、今夏の記録的な猛暑により飲料・冷菓などの需要が伸長し、師走以降は強い寒気の影響から、ホット飲料などの冬物商品向けが好調に推移いたしました。また、全体として、円安やエネルギー価格の高騰を受けた海上運賃、包装資材及び物流費などの高止まりを、販売単価の引き上げ浸透及び原材料の安定調達により吸収してまいりました。
国内の原料糖販売は、北海道糖業㈱(連結子会社)において、前連結会計年度における産糖量減に伴う販売減の影響を受けたものの、鹿児島県の生和糖業㈱及び沖縄県の石垣島製糖㈱(ともに連結子会社)においては生産増により損益が改善いたしました。
海外では、シンガポールのSIS’ 88 Pte Ltd(連結子会社)において、生産拠点の移転遅延などによる販売減やコスト増の影響を受けました。新生産拠点につきましては、6月にアラブ首長国連邦(UAE)、7月にベトナムにおいて、それぞれ開所が完了しております。
また、事業管理区分の見直しに伴い、当連結会計年度よりライフ・エナジー事業から移管した機能性商材では、パラチノース及びパラチニットに一部足踏みが見られたものの、さとうきび抽出物は食品用途、環境消臭用途を主として堅調に推移いたしました。
なお、2月より、DM三井製糖㈱(連結子会社)と和田製糖㈱との業務提携契約に基づき、DM三井製糖㈱は、和田製糖㈱製品の受託生産を開始いたしました。
以上の結果、砂糖事業は、売上高151,295百万円(前連結会計年度比5.0%増)、営業利益11,747百万円(前連結会計年度比317.7%増)となりました。なお、前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
期中の砂糖市況
海外粗糖相場(ニューヨーク砂糖当限、1ポンド当たり)
始値 22.65セント 高値 23.71セント 安値 17.52セント 終値 18.85セント
国内市中相場(日本経済新聞掲載、東京上白大袋キログラム当たり)
期を通じて249円~251円で推移
ライフ・エナジー事業
栄養療法食品事業や、フードテック事業における食用色素などの販売増を受け、増収増益となりました。前連結会計年度より加わった、健康やからだづくりに関心のあるアクティブ層への栄養強化食を主とした活力健康食品事業における売上も業績に寄与しております。
また、事業管理区分の見直しに伴い、当連結会計年度より、従来ライフ・エナジー事業に区分しておりました機能性商材を砂糖事業に移管しております。
以上の結果、ライフ・エナジー事業は、売上高25,071百万円(前連結会計年度比3.4%増)、営業利益1,263百万円(前連結会計年度比111.5%増)となりました。なお、前連結会計年度比につきましては、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えて比較しております。
不動産事業
岡山地区・神戸長田地区の他、国内各地に有する不動産賃貸物件は順調に稼働し、グループ収益に貢献しております。また、当社本店ビル「Mita S-Garden」(東京都港区芝)の一部賃貸開始などにより、売上高2,418百万円(前連結会計年度比1.7%増)、営業利益829百万円(前連結会計年度比1.3%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は178,785百万円(前連結会計年度比4.7%増)、営業利益は13,840百万円(前連結会計年度比225.6%増)となりました。
営業外損益においては、フィンゴリモド「FTY720」の開発権及び販売権の許諾に基づくロイヤリティーを主とする受取ロイヤリティー608百万円を計上いたしました。加えて、タイ及び中国や国内の関連会社における損益改善などを受け、持分法による投資利益240百万円(前連結会計年度は549百万円の投資損失)を計上したことにより、経常利益は14,483百万円(前連結会計年度比48.1%増)となりました。また、関門製糖㈱、鳳氷糖㈱及び日糖産業㈱(全て連結子会社)における2026年9月末日を目途とする生産終了方針の決定に伴い、各社が保有する生産設備等に係る固定資産の一部について減損損失等を計上したことを受け、親会社株主に帰属する当期純利益は6,295百万円(前連結会計年度比25.5%減)となりました。
なお、当社は、2025年4月1日付で、DM三井製糖㈱(連結子会社)を吸収合併し、当社の商号を「DM三井製糖㈱」に変更いたしました。今後とも、実効的かつ最適なグループガバナンス体制を構築し、各事業の更なる成長とともに、より効率的で収益力のある企業グループを目指してまいります。
(2)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社グループは、主力の砂糖事業において、原料となる粗糖が相場商品であること、また製品価格も競争や市場環境等により変動する場合があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このような事業環境下、当社グループでは適切な原料糖調達と適正販売価格帯の維持に努めてまいりました。
(3)経営上の目標指標に関する分析
当社グループでは、ROE(自己資本当期純利益率)7%以上を経営目標達成のための客観的な指標の一つとしております。当連結会計年度のROEは5.6%となりました。これは主として、連結子会社における生産終了方針の決定に伴い、各社が保有する生産設備等に係る固定資産の一部について、減損損失等の特別損失を計上したことによるものであります。また、将来の成長に向けて取得してきた事業・資産に伴うのれん等の償却負担が増大している財務上の特徴を踏まえ、キャッシュ創出力を表すEBITDA指標を参考として、当社グループの財務の実態把握に努めてまいります。当連結会計年度のEBITDAは20,922百万円となりました。
配当金額につきましては、引き続き株主の皆様に対する利益の還元を経営の最重要課題の一つとして位置づけ、将来の成長に向けた事業展開と、経営基盤強化のための内部留保の充実にも配慮しつつ、安定的かつ継続的な配当の実施を基本方針としております。その上で、年間配当金額は、連結配当性向が100%を超えない限り、最低配当金額として1株当たり60円の配当を実施することとし、都度の経営環境を総合的に勘案し、現金配当と機動的な資本政策を組み合わせた総還元性向50%を目処とした株主還元を行ってまいりました。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動で22,592百万円増加、投資活動で5,635百万円減少、財務活動で1,693百万円減少したことにより、前連結会計年度末に対して15,322百万円増加し、40,099百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は22,592百万円(前連結会計年度は資金の増加12,739百万円)となりました。
これは主に税金等調整前当期純利益9,942百万円、減価償却費5,942百万円、減損損失4,275百万円、売上債権の減少3,366百万円等による資金の増加があった一方で、棚卸資産の増加2,747百万円、法人税等の支払658百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は5,635百万円(前連結会計年度は資金の減少6,665百万円)となりました。
これは主に投資有価証券の取得による支出1,738百万円、工場設備等に係る有形固定資産の取得による支出3,880百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は1,693百万円(前連結会計年度は資金の減少8,990百万円)となりました。
これは主に短期借入れによる収入14,376百万円、長期借入れによる収入3,354百万円等による資金の増加があった一方で、短期借入金の返済による支出12,840百万円、長期借入金の返済による支出1,624百万円、配当金の支払4,370百万円等による資金の減少があったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原料糖の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、社債及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は48,621百万円となっております。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
128,523 |
114.2 |
|
ライフ・エナジー事業(百万円) |
12,744 |
100.6 |
|
合計(百万円) |
141,267 |
112.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、事業管理区分の見直しに伴い、「ライフ・エナジー事業」に含まれていた一部事業を、「砂糖事業」に移管しております。なお、前年同期比は変更後の区分方法に組み替えた数値に基づき算出しております。
(2)仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
26,642 |
108.6 |
|
ライフ・エナジー事業(百万円) |
4,515 |
106.4 |
|
合計(百万円) |
31,157 |
108.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、事業管理区分の見直しに伴い、「ライフ・エナジー事業」に含まれていた一部事業を、「砂糖事業」に移管しております。なお、前年同期比は変更後の区分方法に組み替えた数値に基づき算出しております。
(3)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社以下同じ)は原則として見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
砂糖事業(百万円) |
151,295 |
105.0 |
|
ライフ・エナジー事業(百万円) |
25,071 |
103.4 |
|
不動産事業(百万円) |
2,418 |
101.7 |
|
合計(百万円) |
178,785 |
104.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、事業管理区分の見直しに伴い、「ライフ・エナジー事業」に含まれていた一部事業を、「砂糖事業」に移管しております。なお、前年同期比は変更後の区分方法に組み替えた数値に基づき算出しております。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
三井物産㈱ |
39,686 |
23.2 |
28,682 |
16.0 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な判断に基づき、会計上の見積りを行っております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
(2)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末比10,768百万円増加し202,196百万円となりました。連結貸借対照表の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①流動資産
流動資産は、前連結会計年度末比14,337百万円増加し98,689百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加15,525百万円、売掛金の減少3,061百万円、商品及び製品の増加4,879百万円、原材料及び貯蔵品の減少2,247百万円、その他流動資産の減少904百万円等があったことによるものであります。
②固定資産
固定資産は、前連結会計年度末比3,568百万円減少し103,507百万円となりました。これは主として、建物及び構築物の減少1,329百万円、機械装置及び運搬具の増加748百万円、土地の減少1,801百万円、建設仮勘定の減少2,485百万円、投資有価証券の増加1,569百万円等があったことによるものであります。
③負債
負債は、前連結会計年度末比8,767百万円増加し82,855百万円となりました。これは主として、短期借入金の増加1,926百万円、未払法人税等の増加4,818百万円、長期借入金の増加1,914百万円、繰延税金負債の減少1,376百万円、事業構造改善引当金の増加1,002百万円等があったことによるものであります。
④純資産
純資産は、前連結会計年度末比2,000百万円増加し119,341百万円となりました。これは主として、資本剰余金の減少176百万円、利益剰余金の増加1,918百万円、為替換算調整勘定の増加866百万円、退職給付に係る調整累計額の減少265百万円、非支配株主持分の減少448百万円等があったことによるものであります。
(3)経営成績
当連結会計年度における経営成績の概要につきましては、「経営成績等の状況の概要(1)当連結会計年度の経営成績の分析」に記載しております。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの主な増減要因等は、次の通りであります。
①売上高
売上高は、前連結会計年度比8,010百万円増加し178,785百万円となりました。これは主として、砂糖事業の売上高の増加7,155百万円等があったことによるものであります。
②営業利益
営業利益は、前連結会計年度比9,589百万円増加し13,840百万円となりました。これは主として、砂糖事業において売値増による売上高の改善があったことによるものであります。
③経常利益
経常利益は、前連結会計年度比4,704百万円増加し14,483百万円となりました。これは主として、営業利益の増加があった一方で、受取配当金の減少等があったことによるものであります。
④親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度は減損損失の増加等を主因として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比695百万円減少し9,942百万円となりました。
法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額及び非支配株主に帰属する当期純損失を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度比2,149百万円減少し6,295百万円となりました。
(4)キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況につきましては、「経営成績等の状況の概要(4)キャッシュ・フローの状況の分析」に記載しております。
当社は、2024年10月1日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるDM三井製糖株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。
なお、概要等につきましては、財務諸表「注記事項(重要な後発事象)」に記載の通りです。
当社グループの研究開発活動は、DM三井グループ研究所と事業開発部門が連携し、「Nutrition by Life Stage」の実現に向け、当社グループのライフ・エナジー事業の更なる拡大発展と、新規事業領域への展開を目指しております。当連結会計年度に係る研究開発費用の総額は
主な内容は、次の通りであります。
ライフ・エナジー事業
DM三井製糖㈱のDM三井グループ研究所を核として、主にライフ・エナジー事業に関係するグループ4社(ニュートリー㈱、㈱タイショーテクノス、北海道糖業㈱、㈱YOUR MEAL)と連携し、研究開発及び新商品開発に取り組みました。研究開発テーマとしては、従来から行っているDM三井製糖㈱が持つパラチノースなどの既存素材、㈱タイショーテクノスが持つゲル化剤などの既存素材、ニュートリー㈱の栄養療法食品に加え、グループ各社が有する素材・知見・分析技術を組み合わせたシナジーが発揮できる新規事業領域に関連するテーマにも取り組んでおります。
DM三井製糖㈱では、パラチノースについて新たな機能性の探索に焦点を当てた研究を、大学や研究機関との共同研究として実施いたしました。特に、小腸全体で吸収することで、体中に水分をゆっくり運ぶというパラチノースの特性に着目した研究成果に基づく提案型営業を推進してまいりました。その結果、複数の企業においてパラチノースを新規採用いただくとともに、商品プロモーションの共同展開も実現し、研究開発投資を着実に事業収益へと転換しております。更に現在では本研究成果を含め、様々な研究成果に基づき、スポーツニュートリションのターゲット領域における自社商品開発を推進していることから、引き続き、新たな科学エビデンスの取得と商品開発を両輪とした取り組みを加速させてまいります。
また、味やにおいの機器分析では、官能検査ではできなかった成分面からの数値化による解析を行うなど、グループ各社の商品開発を支援いたしました。㈱タイショーテクノスでは、食感改良の機能を有する新規ゲル化剤や、プラントベースフード向けのゲル化剤・酵素・着色料の用途開発に関する研究開発を行いました。ニュートリー㈱では、嚥下障害対応食品・栄養療法食品・流動食について、それぞれ商品開発に取り組んでおり、海外展開に向けた商品開発も行いました。
グループシナジーを活用した新規事業領域の研究テーマとしては、理想的な高齢者食の開発に向け、グループ各社の素材を組み合わせたアプリケーション開発を㈱タイショーテクノスと行い、またニュートリー㈱とは商品開発との融合を目指した連携強化を進めております。また、㈱YOUR MEALとは、マーケットアプローチを重視した商品開発スキームを強化いたしました。近年注目している乳酸菌の培養・機能性に関する研究では、培養受託している北海道糖業㈱や共同開発先企業と連携した研究開発活動に取り組みました。
砂糖事業
精製糖関連の連結子会社・関連会社を活用した加工糖新商品開発と、その用途開発及び品質に関連する非定常的な依頼分析に取り組みました。特に当社グループでは、精製糖の製造拠点の再編を進め、製造移管時の品質分析及びその管理手法確立を各製造拠点と協力して行っていることから、精製糖の生産拠点の集約による収益性向上にも貢献してまいります。また、製糖工場の副産物であるサトウキビの搾りかす(バガス)を活用した機能性成分の探索、代替タンパクに関する研究を、製糖関連会社各拠点の地理的な利点を活かして実施いたしました。
その他
DM三井グループ研究所と事業開発部門が連携するプロジェクト体制を敷き、目的指向のプロジェクトと各部署の役割であるスキルを二軸とするマトリクス組織による運営を行っております。グループ各社の研究開発と連携した新規事業の探索や、グループ間の技術的課題をプロジェクトとして設定し、これまで蓄積してきた特許・ノウハウ等の知的財産権をグループ内での有効活用してまいりました。また、「Nutrition by Life Stage」を実現するためには、これまで以上にグループ内のR&D機能を連携することによる研究開発力強化が不可欠と認識し、日々の研究開発活動に加えて、グループ内の報告会等を積極的に開催いたしました。