第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

 当社グループは、「私たちは、『夢のあるたくましい会社』を目指し、健康な生活づくりに貢献します。」という企業理念のもと、株主、取引先、従業員の満足度を高め、食文化による豊かな生活づくりを通じて社会に貢献し、会社の価値を高めることを基本方針としております。

 また、社会での当社役割を考え「食を科学し世界をパワフルに!」というパーパスを制定し、持続可能な生物資源から当社ならではのフードサイエンス技術による新たな価値創造を通じ、世界の人々をパワフルに、元気にすることを目指しております。

 このパーパス実現に向けて、2040年までの長期ビジョン「NEXT VISION 2040」を策定し、精糖メーカーとしての長い歴史を大切にするとともに、フードサイエンスカンパニーへと飛躍を遂げていく所存であります。

 

(2) 中長期的な経営戦略

 長期ビジョンを達成するため、5ヶ年×3回転の中期経営計画を策定し取り組んでまいります。第1期に当たる今中期経営計画「CHANGE 2028」は、“攻めへの転換”をスローガンとし、以下5つの重点テーマを軸に2024年度よりスタートしております。

 


 

 (3) 目標とする経営指標

   当社グループは、グループ全体の成長を示す経営指標として「経常利益」に重点を置いております。また、経営の効率性を図る指標として「株主資本利益率(ROE)」、株主還元の指標として「株主資本配当率(DOE)」、財務の安定性を図る指標として「負債資本倍率(D/Eレシオ)」を重視しております。

 


 

(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 今後のわが国の経済は、米国の政権交代に伴う政策による不安定な経済環境のなか、人口減少による市場規模の縮小、少子高齢化による労働力不足、業態を超えた販売競争のほか、エネルギー価格や原材料価格の高止まりに加え、長引く円安など依然として厳しい経営環境が続くものと思われます。

 当社グループは、このような経営環境に対応するため、5ヶ年の中期経営計画「CHANGE 2028」をスタートし、実績は順調に推移しております。

①精糖

 精糖事業につきましては、インバウンド需要による菓子関係や外食関係が引き続き好調に推移する傾向にあります。一方で加糖調製品や他甘味料の浸食、少子高齢化などによる砂糖の消費減少傾向は続いております。当社グループは、引き続き営業体制強化を図り、品質管理を徹底して製品の安定供給に取り組むことで顧客満足度を高め、堅実で安定した原材料仕入れを図りながら更なるコスト削減に努めてまいります。

②機能性素材

 機能性素材事業につきましては、機能性食品素材イヌリンの国内販売において、肌機能を含めた新たな機能性による既存顧客の深耕及び新規顧客獲得による販売数量拡大、新製品(液状品など)、付加価値製品の試作、製品化を図ってまいります。海外販売においては、東南アジアでの商圏回復を目指すとともに、各国環境規制への適合に向けた対応の実行、生産設備拡張による増産体制の確立を図ってまいります。連結子会社ユニテックフーズ株式会社では、ペクチンをはじめとする既存の増粘多糖類の拡販をし、長年蓄積してきた技術力を活かして、ODM事業など、新たな付加価値の提供を目指してまいります。

③不動産

 不動産事業につきましては、引き続き、自社所有賃貸物件の維持管理による安定収益の確保に努めてまいります。

 

 また、新たに参入したキャッサバでん粉製造販売事業及びその周辺事業においては、パートナーのタイ国上場企業であるThai Wah Public Company Ltd.と連携して、付加価値商品の開発と販売を通じ、企業価値向上を目指してまいります。

  以上のとおり、当社は各事業における収益力の一層の向上を図り、安定した収益体制を構築しながら、将来の中核となる新規事業、新製品を開発する投資やM&Aを実行し、海外事業を積極的に展開することで企業の活力を高めるように努める所存であります。

 

 

<対処すべき事業上及び財務上の課題> 

 今後の課題につきましては、これまで当社グループが直面してきた原材料の高騰、エネルギーや人件費、物流費などコスト上昇に加え、ウクライナ情勢の長期化に伴う世界経済の減速等により、これまで以上に事業環境変化に対する柔軟かつ迅速な対応が重要であると認識しております。 

 当社グループは、不透明な将来に対し、盤石な財務基盤を維持しつつ、採算性の低い保有資産の売却、金融機関からの資金調達を行い、十分な運転資金を確保しつつ、成長分野への投資を図ってまいります。 

 このような状況下、精糖事業の販売数量減少に歯止めをかけ、新たに参入したタピオカ周辺事業等を含む非砂糖分野の拡大を目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)ガバナンス

当社グループはサステナビリティ経営の実践において中心的な役割を担う「サステナビリティ委員会」を設置しております。責任者は代表取締役社長とし、組織横断的にメンバーを構成することで、全社的な活動の推進、啓蒙・教育、各事業部での取組みの運用状況のモニタリング等を行っております。

なお、活動内容については、適宜取締役会に報告することで、機動的な運用とその監視体制を構築しております。また、必要に応じてステークホルダーの皆様との双方向コミュニケーションも取り入れながら、実効性の高い取組みを進めてまいります。

 

(サステナビリティ推進体制図)

 


 

(2)戦略

当社グループは事業リスクの低減と持続可能な経営を目指し、「予測される気候変動のリスクを緩和し事業機会を獲得する」及び「人間尊重を基本とした企業文化の形成」、「実効性のある高いレベルのコーポレートガバナンス」を中期経営計画においてESG戦略の重要課題としております。サステナビリティ経営の取組実績としまして、さとうきび由来の再生可能エネルギーを活用すべく、日本自然エネルギー㈱が発行する「グリーン電力証書」を取得し、当社の東京本社及び清水工場にて電力会社から購入する年間購入電力量の全量を「グリーン電力」に変換しております。さらには、昨今、企業活動の環境に対する影響がクローズアップされる中、国際非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)が運営する中小企業版の質問書に回答し、気候変動分野で最高ランクに相当する「B」評価を取得する結果となりました。今後も、サステナビリティ経営の取組みについて、適宜情報開示の充実に努めてまいります。

当社グループは人材の多様性確保を含め、以下のとおり方針を掲げております。

<人材育成方針及び社内環境整備に関する方針>

当社グループの競争力の源泉は「人材」であり、人材の「材」は「財」であるという認識のもと、人材育成を行ってまいります。それに対応できる社内環境整備として、多様な人材が意欲をもって活躍する活力のある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するための環境を整備しております。会社の発展と共に社員が成長する企業文化の形成を目指し、持続的成長に不可欠な次世代人材の輩出のため、以下のテーマを掲げ、取り組んでまいります。

 

その取組み内容は以下のとおりであります。

1 組織改革

・経営戦略に沿った組織構築

・バランスの取れた人員構成の実現

・適材適所の人員配置

 2 人的資本経営

・女性管理職比率の向上

・従業員エンゲージメントの向上

・積極的なグローバル人材育成

3 グループ経営推進

・経営プラットフォームの確立による経営合理化

・グループ経営人材の育成

・グループ会社の最適資本政策

4 DX推進

・ITシステムの再構築

・デジタル人材の育成

・業務環境のオンライン化

 

(3)リスク管理

リスク及び機会については、各事業組織・グループ会社ごとにステークホルダーとの対話を通じてサステナビリティ関連の情報等を収集し、当社グループ各事業への影響の有無の識別・影響度の評価を行っております。事業組織ごとに識別評価された個別のリスク及び機会は、組織横断的に選抜されたサステナビリティ委員を介してサステナビリティ委員会に集約され、当委員会で分析・協議後、事業影響度の大きいものについては取締役会に付議し、取締役会承認を得て、事業方針及び経営計画に盛り込むこととしております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、「予測される気候変動のリスクを緩和し事業機会を獲得する」、「人間尊重を基本とした企業文化の形成」、及び「実効性のある高いレベルのコーポレートガバナンス」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標は、次のとおりであります。

テーマ

主な取組み

目標

温室効果ガスの排出量削減

(SCOPE1+2)

グリーン電力の活用継続

太陽光発電の検討

増産を考慮した目標設定を第1次中計の中で行う

サステナビリティ関連事業投資

アップサイクル事業への投資

事業投資1件

ダイバーシティ&インクルージョン

多様な社員と働き方

2028年に女性管理職比率20%(連結)

健康経営

有給休暇の取得推進

有給休暇取得率70%

(取得日数÷支給日数)

人的資本投資

福利厚生費・研修費などの人的投資増加

給与総額の4%

(福利厚生費+研修費)

働き方改革による従業員満足度向上

従業員エンゲージメント調査の実施と活用

コンプライアンスの徹底

コンプライアンス研修の実施と参加

受講率100%維持

透明性の高い企業統治

社外取締役の役割強化

社外取締役比率50%

取締役会の機能強化

取締役会の実効性評価

年1回以上

 

(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の概況  5  従業員の状況  (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載のとおりであります。

 

3 【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。
 なお、文中における将来に関する事項は、原則として当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)農業制度の影響

 当社グループの主力の精糖事業は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」など法令に基づいて事業を行っており、政府の国内農業政策の変更や各国の貿易政策の変更により業績に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、業界団体に加盟することにより、必要な情報を的確に収集するとともに、法令制度などの理解力向上及び情報共有のための勉強会を定期的に社内で行っております。

(2)国内市場での消費環境の変化

 当社グループは、国内で食料品の製造販売を中心に事業活動をしております。日本国内における少子高齢化の進行、食への志向の変化に伴う消費者への購買行動の変化など、国内市場が想定外の規模で変化した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)新型感染症等の異常事態

 当社グループは、タイ国含む複数の事業拠点、生産拠点等で事業運営をしているため、感染症の拡大により事業運営に支障が生じた場合、当社グループの財政状態や経営成績に大きな影響を与える可能性があります。

 当社グループは、事業復旧の早期化を図るため、テレワーク勤務環境の整備、事業運営機能の分散化、多様化を推進しております。

 また有事の際にはテレワーク勤務、時差出勤など、危機管理委員会の指示によるBCP策定や事業リスクの最小化に向けた施策を実行しております。

(4)生産拠点の集約

 当社の精製糖生産は、他の精製糖製造会社に生産委託しており、生産委託先において、技術的もしくは規制上の問題、または火災等の人災及び地震等の自然災害により、操業停止等の混乱が発生した場合、当該製品の供給が停止し、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 当社は、主要な生産委託先に取締役を兼任させており、定期的に工場の稼働状況や人事関係、設備の更新状況などの運営上の重要な事項の報告を受けております。

(5)製造物責任

 製品の研究、開発、製造及び販売につきまして、潜在的な製造物責任を負う可能性があります。当社グループは、賠償責任保険に加入しておりますが、これらの保険の補償範囲を超えた請求が認められた場合、業績に影響を与える可能性があります。

(6)原糖価格の変動

 精糖事業においては、原料糖の仕入の大半を海外からの輸入によりまかなっております。そのため、原糖市況、海上運賃、為替相場、エタノールの需要等の影響により、原料糖仕入価格が変動し、業績に対して影響を与える可能性があります。

(7)株式相場の変動

 当社グループは、当連結会計年度末で時価のあるその他有価証券を5,145百万円保有しており、株式相場の変動が、業績に対して影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、リスク管理基本方針を策定し、その運用状況についての報告を実行する体制を構築してリスクの低減を図っております。

(8)「固定資産の減損に係る会計基準」の適用

 当社グループは、2006年3月期より「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。地価下落及び各事業の収益悪化によって減損損失が発生し、業績に対して影響を与える可能性があります。

(9)在庫の評価 

 異常気象や天候不順、海外の法改正を含めたマーケットの急激な環境変化等により、急激な需要の変動があった場合、在庫が滞留し、当社グループの財政状態や経営成績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、海外を含めマーケット環境を考慮したマーチャンダイジング、仕入先との連携強化による生産リードタイムの短縮等の対策を推進しております。

 

(10)海外事業の展開

  海外での事業活動は、為替変動リスクに加え、予期せぬ法律や規制の変更、政治や経済の情勢悪化等のカン 

 トリーリスクが潜在しており、それらが顕在化した場合、業績に対して影響を与える可能性があります。

  当社グループでは、海外現地法人を設立し、その海外拠点と連携強化を図り、生産管理・販売等を行うこと  

 により、リスクの最小化に努めております。また、為替の変動リスクを低減するために為替予約によるヘッジ

 を行っております。

(11)ITセキュリティ及び情報管理

  当社グループは、業務上で各種ITシステムを利用しているため、システムの不備やコンピュータウイルスな

 どの外的要因により、業務が停滞する可能性があります。また、個人情報を含め多くの情報を保有しており、

 不測の事故等によりその情報が社外に流出し、社会的信用の低下等が発生した場合、業績に対して影響を与え

 る可能性があります。

  当社グループでは、データのバックアップ、システムのクラウド化を含め、不測の事態による事業停止から 

 の早期復旧に関して対策を講じております。

(12)人材の確保・育成

  当社グループの継続的な成長は、各事業における優秀な人材の確保・育成していくことが重要であります。 

  しかしながら、雇用環境の多角化が急速に進むなかで、有能な人材の流出防止や新たな人材の確保・育成が

 できない場合、業績に対して影響を与える可能性があります。

  当社グループでは、人事制度改革を進め、職務の専門性向上、若手人材の登用活性化、働き方の多様性拡大

 など、全体として生産性の高いスマートな組織となることを目指します。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要、生産、受注及び販売の状況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、賃上げをはじめとした雇用や所得環境は改善し、インバウンド需要の増加などにより景気は緩やかに回復しているものの、米国の政権交代に伴う政策動向、不安定な国際情勢や中国経済の低迷、エネルギー価格や原材料価格の高止まりに加え、長引く円安による物価上昇や金融市場の変動など依然として先行きの不透明な状況が続いております。

このような環境下、当社グループでは、長期ビジョン「NEXT VISION 2040」における第1次中期経営計画として2024年4月に「CHANGE 2028」を策定し、1.東南アジアでの事業拡大、2.フードサイエンス領域の事業創出、3.M&Aを軸とした成長投資、4.ビジョン実現に向けた強い組織づくり、5.IRの強化と株主還元の5つの重点テーマを掲げ、計画推進のスタートを切りました。

 当連結会計年度の業績は、売上高28,209百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益3,232百万円(同48.7%増)、経常利益3,651百万円(同14.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,845百万円(同20.1%増)の増収増益となりました。

 セグメントの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントを従来の「精糖」、「機能性素材」、「不動産」、「その他食品」の4区分から、「精糖」、「機能性素材」、「不動産」の3区分に変更しております。セグメントごとの比較情報については、上記セグメント変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較しております。報告セグメントの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)1 報告セグメントの概要」に記載のとおりであります。

 

(精糖事業)

海外原糖市況は、¢22.65(1ポンド当たり)で始まり、ブラジルの2024/25年砂糖生産の好調なことを受けて下落し、5月には¢17.95を付けましたが、8月末にはブラジルでの降雨不足と大規模な災害発生により砂糖生産量が下方修正されたことを受け、相場は急反発し9月には¢23.71を付けました。その後、ドル高・レアル安が進んだことによる売り圧力の強まりから¢20を割り込み、さらに1月にインドが100万トンの砂糖輸出を許可したことで¢17半ばまで下落しました。3月にはブラジル・インドの砂糖生産量減少の予測から相場は一時¢20まで上昇しましたが、ブラジルでの乾燥懸念が緩和されたことで¢18.86で期末を迎えました。

一方、国内製品市況は、期初東京現物相場(日本経済新聞掲載)249円~251円(上白大袋1キログラム当たり)で始まり、日経相場の変動なく推移し期末を迎えました。製品の動きとしましては春の行楽需要より5月までは土産物中心に好調に推移しましたが、その後の天候不順や価格高騰による買い控えがみられたこともあり上期の販売は前年同期比減となりました。下期はインバウンド需要による菓子関係や外食関係が好調に推移し前年同期比増となりましたが、通期では前年同期比減の販売で終了しました。しかしながら、営業体制の強化を図り、品質管理を徹底して製品の安定供給に取り組むことで顧客満足度を高め、堅実で安定した原料調達を図り、コスト削減に努めました。

 以上の結果、売上高は13,807百万円(前年同期比4.2%増)、営業利益2,530百万円(同43.0%増)の増収増益となりました。

(機能性素材事業)
 機能性食品素材「イヌリン」は、様々なコストの上昇が続くなか、国内販売では機能性表示食品など付加価値商品への採用増により、販売数量は前年同期比増となりました。海外販売では生産拠点のあるタイにおいて、大手ユーザーを中心に安定的な販売を続けたことに加え、東南アジア向けの販売が好調に推移したことで販売数量が大きく増加し、前年同期比で増収増益となりました。
 連結子会社ユニテックフーズ株式会社は、主力商品であるペクチン、ゼラチン、コラーゲンの天然添加物素材の販売が好調に推移し、ODM事業が伸長した結果、増収増益となりました。

  以上の結果、機能性素材事業全体で売上高13,478百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益1,286百万円(同54.9%増)の増収増益となりました。

(不動産事業)

不動産事業は、2023年9月旧本社跡地に「東横INN茅場町駅」を建設し、賃貸を開始し収益貢献したこと、その他物件も安定稼働した結果、売上高651百万円(前年同期比5.0%増)、営業利益579百万円(同4.9%増)の増収増益となり、引き続き安定収益確保に貢献しました。なお、資本効率向上の一環として、東京都、神奈川県、長野県所在の3物件を売却処分しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,369百万円増加し、6,644百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
 (営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は、3,323百万円(前年同期比252.7%増)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益の計上などによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、1,546百万円(前年同期比199.1%増)となりました。これは主として投資有価証券の売却及び償還、有形固定資産の売却による収入があったものの、投資有価証券の取得による支出などによるものであります。

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は、376百万円(前年同期比438.3%増)となりました。これは主として長期借入れによる収入があったものの、短期借入金の純増減額、自己株式の取得及び配当金の支払による支出などによるものであります。
 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しているため、前期比については変更後のセグメント区分の数値と比較しております。報告セグメントの変更の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

(A) 生産実績

当連結会計年度における生産実績及び商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(a) 生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度(千円)

前年同期比(%)

精糖

12,424,207

101.9

機能性素材

3,895,529

109.9

 その他

258,341

95.8

合計

16,578,078

103.5

 

(注) 上記の金額は、販売価格によっております。

 

(b) 商品仕入実績 

セグメントの名称

当連結会計年度(千円)

前年同期比(%)

精糖

160,454

41.5

機能性素材

7,295,808

104.7

 その他

2,475

324.8

合計

7,458,738

101.4

 

(注)1 精糖事業において仕入実績に著しい変動がありました。これは液糖商品の出荷が減少したことにより、仕入実績が減少したことによるものであります。

  2 その他において仕入実績に著しい変動がありました。これは仕入商品の販売実績が増加したことによるものであります。

 

(B) 受注実績

当社グループは受注生産を行っておりません。

 

(C) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度(千円)

前年同期比(%)

精糖

13,807,117

104.2

機能性素材

13,478,539

114.8

不動産

651,875

105.0

その他

272,095

98.9

合計

28,209,627

109.0

 

(注) 1  上記の金額は、セグメント間取引を相殺消去しております。

     2  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

 

双日食料㈱

10,725,807

41.4

11,046,045

39.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度は、中期経営計画において成長を目指した基盤固めと新規事業の更なる育成を重点課題として位置づけ、以下の戦略を掲げ、事業活動を推進してまいりました。

(A)収益力の向上

精糖事業においては、減少する消費のなか、営業体制を強化し、顧客との関係強化を図り、商権の維持に取り組むこととし、また、原料糖の効率的な仕入や生産の集約などで採算性の改善に努めてまいりました。

また、機能性食品素材イヌリンの安定生産を実現し、日本国内だけでなく海外での販路開拓も推進いたしました。

(B)事業の多角化の展開

当社グループにおいて、新しい顧客ニーズを吸い上げ、それに伴った新たな販路を開拓し、事業拡大を図ってまいりました。機能性食品素材イヌリンは、整腸作用・血糖値の上昇抑制効果・血中中性脂肪の低減効果の機能性表示だけでなく、更なる機能性を訴求し、販売活動を行ってまいりました。

(C)海外展開への更なる挑戦

当社グループは、日本国内のみならず、海外での事業活動を積極的に展開してまいりました。タイにおいては機能性食品素材イヌリンの拡販を図り、その他における製パン事業会社 DAY PLUS (THAILAND) Co.,Ltd.の採算性の向上を目指し、海外での積極的な事業拡大を図ってまいりました。

(a)経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ2,320百万円増加し、28,209百万円(前年同期比9.0%増)となりました。これは主に精製糖製品の営業強化と安定供給、機能性素材「イヌリン」の国内外における、販売数量増加及び連結子会社ユニテックフーズ株式会社の主力商品である天然添加物素材の販売が好調に推移したことによるものであります。報告別セグメントの売上高の連結売上高に占める割合は、精糖事業48.9%、機能性素材事業47.8%、不動産事業2.3%となりました。

(売上総利益)

当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ1,328百万円増加し、7,604百万円(前年同期比21.2%増)となりました。売上高売上総利益率は、前連結会計年度に比べ2.7%増加し、27.0%となりました。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、上記の結果、前連結会計年度に比べ1,059百万円増加し、3,232百万円(前年同期比48.7%増)となりました。売上高営業利益率は、前連結会計年度に比べ3.1%増加し、11.5%となりました。

(経常利益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ591百万円減少し、479百万円(前年同期比55.3%減)となりました。営業外費用は、前連結会計年度に比べ19百万円増加し、60百万円(前年同期比46.2%増)となりました。

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度に比べ448百万円増加し、3,651百万円(前年同期比14.0%増)となりました。売上高経常利益率は、前連結会計年度に比べ0.6%増加し、12.9%となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、前連結会計年度に比べ467百万円増加し、468百万円(前年同期は0百万円の特別利益)となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ264百万円増加し、401百万円(前年同期比193.7%増)となりました。法人税等合計は、前連結会計年度に比べ173百万円増加し、907百万円(前年同期比23.6%増)となりました。さらに非支配株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度に比べ1百万円減少し、△35百万円(前年同期比4.8%減)となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ475百万円増加し、2,845百万円(前年同期比20.1%増)となりました。売上高に対する親会社株主に帰属する当期純利益率は、前連結会計年度と比べ0.9%増加し、10.1%となりました。

 

(b)財政状態の分析
(資産)

当連結会計年度における資産は、流動資産で前連結会計年度末に比べ4.6%増加し、17,696百万円となりました。これは主として商品及び製品は減少したものの、現金及び預金が増加したことなどによるものであります。

また、固定資産では、前連結会計年度末に比べ3.7%増加し、16,065百万円となりました。これは主として、中期経営計画の下、資本効率向上の一環として賃貸等不動産の売却などを進める一方、成長投資としてキャッサバでん粉製造販売事業及びその周辺事業への参入の為、タイ国にてThai Wah Fuji Nihon Company Ltd.社の株式を取得したことなどによるものであります。

(負債)

当連結会計年度における負債は、流動負債で前連結会計年度末に比べ10.8%減少し、5,795百万円となりました。これは主として、1年内返済予定の長期借入金及び未払法人税等は増加したものの、買掛金及び短期借入金が減少したことなどによるものであります。

また、固定負債では、前連結会計年度末に比べ97.8%増加し、4,092百万円となりました。これは主として繰延税金負債は減少したものの、成長投資の為の長期借入金が増加したことなどによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度における純資産は、前連結会計年度末に比べ0.1%増加し、23,874百万円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金は減少したものの、自己株式が減少したことなどによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(A)キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(B)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料及び商品の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資などであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを重点事項と考えております。

短期運転資金、設備投資や長期運転資金の調達は、ともに自己資金とし、不足が発生した場合には金融機関からの借入をすることを基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は4,818百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,644百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。当該連結財務諸表の作成について、一部見積りや仮定によることがあります。採用する見積りや仮定は、連結決算日において、入手可能な情報を総合的に勘案し、合理的であると考えられるものを継続的に使用しております。連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。

(A)繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

(B)固定資産の減損処理

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(C)棚卸資産の評価

当社グループの保有している棚卸資産は、設定されている賞味期限内での予定販売数量を用いて販売可能性を評価しております。用いている予定販売数量は、取締役会にて承認された計画でありますが、市場環境の変化などにより、予定販売数量の見込みに変更が生じた場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

 

5 【重要な契約等】

(1) 精製糖の生産委託に関する契約

当社は、太平洋製糖株式会社及びDM三井製糖株式会社と下記のとおり精製糖の製造委託契約を締結しております。

 

契約会社名

相手方の名称

契約の内容

契約年月日

契約期間

フジ日本㈱

太平洋製糖㈱
(持分法適用関連会社)

精製糖の製造委託
契約

2001年9月21日

当社からの申し出がない限り、太平洋製糖㈱が存続する間。

フジ日本㈱

DM三井製糖㈱

精製糖の製造委託
契約

2004年2月1日

2024年4月1日~
2025年3月31日
(ただし、期間満了3ヶ月前までに双方から申し出がない場合1ヶ年延長される。以後も同様。)

 

 

(2) 事業用土地・建物に関する賃貸借契約

当社及びフジ日本商事株式会社(連結子会社)は、コーナン商事株式会社、株式会社東横インと下記のとおり事業用土地・建物に関する賃貸借契約を締結しております。

 

契約会社名

相手方の名称

契約の内容

契約年月日

契約期間

フジ日本㈱

コーナン商事㈱

当社の所有する土地の賃貸

2015年10月1日

20年

フジ日本㈱

フジ日本商事㈱

㈱東横イン

当社の所有する土地・建物の賃貸

2023年9月1日

39年

 

 

(3) 技術援助契約

 ユニテックフーズ株式会社(連結子会社)は、下記のとおり技術援助に関する契約を締結しております。

 

契約会社名

相手先
の名称

相手先の
所在地

契約品目

契約
締結日

契約期間

契約内容

ユニテックフーズ㈱

上海唯霓食品有限公司

(持分法適用関連会社)

中華人民共和国

ブレンド製品

2023年
7月1日

10年間。(ただし、期間満了3ヶ月前までにいずれの当事者からも書面による終了の意思表示がない場合1年間延長される。以後も同様。)

技術知識、情報及びノウハウの提供

 

(注) 対価として一定料率のロイヤリティーを受け取る契約をしております。

 

6 【研究開発活動】

当社は、全社的研究開発機関である研究開発室(全社(共通))において、新素材の生産技術開発及び加工技術開発等の基礎的研究を行っております。
 なお、当連結会計年度の研究開発費等に係る会計基準による研究開発費の総額は93百万円であります。