文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、取り巻く経営環境が大きく変化する中、持続的な成長を目指すべく、2021年に新たに企業理念を策定いたしました。企業理念は、わたしたちの使命(パーパス)、わたしたちが目指す未来(ビジョン)、わたしたちが大切にする想い(バリュー)と、これらを一言で表した『コーポレートメッセージ』(おいしく たのしく すこやかに)で構成しております。この企業理念を当社グループにおける全ての活動の拠り所として、ステークホルダーの皆様と社会の期待に応えることで持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値向上を図ってまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
① 経営環境
日本国内の人口動態の変化、気候変動や資源不足、デジタル技術の発展、生活環境の変化など、今後予測される経営環境の変化は安定的な事業活動にとって脅威であるとともに、市場のニーズに迅速に対応していくことで大きな機会になり得ると捉えております。

② 2030経営計画
当社グループは、企業理念のもと、持続可能な社会の実現に貢献しつつ中長期的な成長を遂げ、企業価値を高めていくため、2030年に向けた長期経営計画「2030経営計画」を推進しております。
2030ビジョン

当社グループは、2030年の目指す姿として2030ビジョン『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』を定めております。「ウェルネス」とは、「いきいきとした心・体・環境を基盤にして、豊かで輝く人生を追求・実現している状態」と定義し、顧客・従業員・社会に、心の健康、体の健康、環境の健康の3つの価値を提供し続ける企業になることを目指してまいります。120余年の歴史で培った信頼と技術を進化させ、あらゆる世代のウェルネスライフをサポートしてまいります。

基本方針
方針1)事業ポートフォリオの転換と構造改革による収益力の向上
<重点領域への経営資源集中>
高い収益性、成長性が見込める事業として、「inゼリー」など「in」ブランドを中心とするin事業、通販事業、米国事業、冷菓事業を選定し、これらを重点領域と定めました。重点領域への経営資源集中によって当社グループの成長を牽引してまいります。
<基盤領域による安定的なキャッシュ創出>
菓子事業、食品事業など着実な売上高拡大と収益力向上を目指す事業を基盤領域と定め、重点領域への投資原資の安定的な創出に取り組んでまいります。
<探索・研究領域の取組み>
新たなビジネスモデルの創造、グローバルにおけるウェルネス商品開発など、新たな取組みを総称して探索・研究領域と定め、次世代成長を担う新事業の育成を目指してまいります。
<機能部門を中心とした構造改革による収益力の向上>
重点領域への投資原資を創出するとともに、様々な経営リスクに備えるべく、調達、製造、物流、販売など機能部門を中心に、全社的に構造改革を実行していくことで、収益力のさらなる底上げに取り組んでまいります。
方針2)事業戦略と連動した経営基盤の構築
「2030経営計画」の達成に向けた事業戦略と連動し、「人」「技術」「キャッシュ」そして「デジタル」という経営に不可欠なリソースを最大限活かすことで経営基盤をより強固なものにしてまいります。併せてコーポレート・ガバナンスの改革を推し進め、経営の透明性向上を図ってまいります。
方針3)ダイバーシティの推進
「一人ひとりの個を活かす」という考えのもと、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、多様な人材が活躍できる環境・風土をベースに社会課題の解決につながる新しい価値(イノベーション)を創出できる環境の整備を推し進めてまいります。
経営目標
「2030経営計画」における経営目標・指標は以下のとおりであります。
2030経営計画全体像

③ サステナブル経営
パーパスに基づくサステナブル経営を推進
現在、グローバル社会では、気候変動問題をはじめとする社会課題の深刻化やデジタル化の急速な進展など、企業活動に大きな影響を及ぼす環境変化が今までにないスピードで起き、将来の見通しに関する不確実性も高まっております。そのような中、パーパス・2030ビジョンを実現するには、ありたい姿に向けた課題を明確化したうえで、長期視点を持ち、全社グループを挙げて取り組んでいくことが必要であります。
当社グループは、創業時より社会への貢献を強く意識して事業を行ってまいりましたが、新たな企業理念の策定を機に、グローバル社会の一員としてSDGsの達成を含めた持続可能な社会の実現に向けた取組みを、これまで以上に積極的に進めていくことといたしました。このような取組みの積み重ねが、当社グループのビジネスをよりサステナブルなものとし、持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。
当社グループのマテリアリティを特定
当社グループでは2020年7月からパーパス・2030ビジョンの実現に向けた重要課題の検討を開始し、取締役会での承認を経て、財務・非財務両面からなる5つの重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。今後は、マテリアリティへの対応を通じて、社会価値の創造とレジリエントな経営基盤づくりを着実に進め、持続的成長を実現してまいります。
<当社グループのマテリアリティ特定プロセス>
マテリアリティの特定に向けて、2020年7月にサステナビリティ、消費者課題、資本市場・ESG投資などの分野の有識者へヒアリングを行い、取り組むべき課題について意見を伺いました。その後、経営・事業面の重要課題、SDGsやグローバル・コンパクトなどの国際的規範・イニシアティブ、お客様・お取引先・NGOなどのステークホルダーから寄せられた期待・要請、調査機関などからのCSR・ESG・サステナビリティ関連調査項目、その他当社グループや食品業界を取り巻く外部環境動向を踏まえ、「パーパス・2030ビジョンの実現に向けた30の重要課題候補」を整理いたしました。これらの重要課題候補について、「当社グループの持続的成長へのインパクト」「社会の持続可能な発展へのインパクト」の2軸による重要性評価を、社外ステークホルダー11名(投資家3名、取引先4名、NGO1名、社外役員3名)と社内のキーメンバー10名で行いました。その結果、21の課題が重要と評価され、うち7課題が最重要と評価されました。この結果を元に、役員で議論を重ね、当社グループのマネジメントや業務とのつながりを総合的に考慮して統合し、5つのマテリアリティを特定いたしました。

④ 2021中期経営計画(2021-2023)
前連結会計年度を初年度とする「2021中期経営計画」では、「2030経営計画」の達成に向けた1stステージと位置付け、「飛躍に向けた新たな基盤づくり」をテーマに事業活動を推進しております。長期トレンドとして原材料費高騰など厳しい経営環境の継続が見込まれますが、重点領域の成長、経営基盤の構築に向けて積極的な投資を図るとともに基盤領域及び機能部門を中心とした構造改革により、収益力のさらなる向上の実現を目指しております。

⑤ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
重点領域による成長の牽引
「inゼリー」を中心としたin事業や「おいしいコラーゲンドリンク」など通販事業の拡大、米国事業における「HI-CHEW」ブランドの拡充、冷菓事業の成長に向けた高収益体制の構築などの重点領域に経営資源を集中してまいります。
2024年3月期は、in事業において、コロナ禍による影響からのV字回復を遂げ好調を維持する「inゼリー」のさらなる売上高拡大に向けて、引き続き消費行動の変化に機動的に対応するマーケティングを展開し幅広い需要の獲得に取り組んでまいります。通販事業においては、定期顧客獲得に継続的に取り組むと同時に、通販システムの刷新によるLTV(Life Time Value:1人の顧客から得られる売上高の総額)の向上を目指し事業基盤の盤石化に取り組んでまいります。米国事業においては、「HI-CHEW」事業のさらなる成長に向け、米国全土での販売店率の拡大と認知率及びブランドロイヤリティの向上を図りながら、高まる健康志向ニーズに応える商品や多様なシーンやニーズに対応した商品などラインナップも拡充してまいります。また、2022年2月に自社ECサイトから発売を開始した「Chargel」のマーケティングを深耕し、米国におけるゼリー飲料市場の創造に取り組んでまいります。冷菓事業においては、主力品「チョコモナカジャンボ」の品質及び鮮度マーケティングの進化を筆頭に、菓子製造技術を活かした独自価値を有する商品群の持続的イノベーションを図り、需要拡大に取り組んでまいります。
基盤領域の収益力向上
菓子食品事業においては、高収益基盤の構築に向けて「ハイチュウ」「森永ビスケット」「カレ・ド・ショコラ」など主力ブランドへの集中による売上高拡大及び効率性と収益性向上に取り組むことで、重点領域への投資原資の安定的な創出を目指してまいります。
2024年3月期は、カテゴリーが多岐に渡る事業においてブランド・商品それぞれに価格改定後の影響を見定めながら、売上高及び収益性の向上に向け機動的な打ち手を講じてまいります。相対的に収益性が優れるカテゴリーであるキャンディとビスケットでは引き続き積極的な商品・販促を展開、チョコレートでは「ダース」「カレ・ド・ショコラ」のブランド強化に取り組み、収益拡大を図ってまいります。また、菓子食品事業においても高まる健康ニーズへ対応した機能性訴求商品など、ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりに貢献する高付加価値商品を展開し収益性向上を目指してまいります。
機能部門の構造改革
製造部門のスマートファクトリー化や販売部門の組織最適化により生産性を高めるとともに、デジタル技術を活用した全社的な効率化により収益力の向上を図ってまいります。
2024年3月期は、スマートファクトリー化の取組み進展と物流部門における効率的な輸配送体制へのシフトにより収益性向上を図るとともに、変化への対応力を高めてまいります。
経営基盤の構築
価値創造や業務の効率化・高度化を図るための取組みを推進いたします。
2024年3月期は、R&D戦略では、2022年に新設した「森永製菓R&Dセンター」を起点に、ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりに向けた様々な価値創造に取り組んでまいります。DX戦略では、基盤業務領域における全社DXを推進し業務の効率化・高度化を図ります。人事戦略では、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人材育成・組織風土づくり」「健康経営の推進」の取組みを進め、多様性と活力のある組織と働きがいのある職場づくりを進めてまいります。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「2021中期経営計画」における最終年度2024年3月期の経営目標・指標は以下のとおりであります。
(注)「2018中期経営計画」の重点領域売上高比率期間平均値と比べ、5ポイント以上の増加を目標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組の状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関するリスクと機会の分析、目標設定、進捗モニタリングについては、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について取締役会が監督しております。ESGの取組みは、役員報酬の一部と連動しております。
また、サステナブル経営の質的向上を図るために、「ESG委員会」の諮問機関として、サステナビリティ・アドバイザリーボードを設置しております。社外有識者3名に参画いただくことで、急激に変化する外部環境や多様化するステークホルダーのニーズを適切に把握し、対応を図っております。
多岐に渡るサステナビリティ活動を適切に推進するために、「ESG委員会」傘下には、取締役を委員長とした5つの分科会を設置し、個々のテーマについて、管理・推進に取り組んでおります。

「ESG委員会」は2022年度、8回開催し、持続可能な原材料調達や、気候変動問題への対応など、全21議題を扱いました。「ESG委員会」での審議事項は、経営に関する様々な意思決定において考慮されております。
② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。サステナビリティに関して特に重要とされるリスクについても、同委員会にて適切に管理しております。また、サステナビリティに関するリスク全般については、「ESG委員会」にて管理し、対応策の進捗モニタリングを実施しております。
両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
(2) 重要な戦略並びに指標及び目標
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセス
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセスについては、
マテリアリティに対する主なアクション
特定した5つのマテリアリティと、マテリアリティに含まれる主な課題に対して、リスクと機会を分析したうえで、2030年に向けたアクションを設定し、取組みを進めております。
マテリアリティ1.世界の人々のすこやかな生活への貢献
マテリアリティ2.多様な人材の活躍
(人的資本に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(3) 人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)並びに指標及び目標」をご参照ください。)
マテリアリティ3.持続可能なバリューチェーンの実現
マテリアリティ4.地球環境の保全
(気候変動に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(4) 気候変動」をご参照ください。)
マテリアリティ5.経営基盤の強化
② 指標及び目標
特定したマテリアリティについて、2030年に向けた長期目標を設定しており、各目標に向けた進捗管理を実施しております。
(注)1 対象:当社が定義する<心の健康を深掘り><体の健康を加速><心の健康から体の健康へ進
化>した商品。人口割合はインテージ社SCI年間購入率(対象:全国15才~79才消費者)より
算出。今後、グローバルでのありたい姿の設定を検討
2 グループ連結。紙は製品の包材が対象
3 グループ連結
4 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、
2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化等、食資源循環に戻すものを除き、
焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
5 グループ連結
6 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
7 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
(3) 人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する
方針)並びに指標及び目標
① 戦略
<人的資本経営の取組み>
当社グループは、2021年に策定した企業理念においてパーパスを掲げ、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的成長に向けて企業活動を推進しております。そのうえで「2030経営計画」においては、「2030ビジョン」を定め、顧客・従業員・社会に対して「心・体・環境の健康」を提供し続けることを目指しております。これらを実現する原動力は「人」であると考えており、「人」の持つ力、すなわち人的資本の価値を最大化すべく人的資本経営を推進しております。
具体的には、「2030経営計画」と連動した人事戦略を推進し、人的資本投資を実行します。「2030経営計画」の達成において、ダイバーシティ&インクルージョン(以降D&I)の実践は、経営戦略の方針3に位置付けており、必須の取組みと考えております。一人ひとりの「個」を活かし、それらが集まった多様な「個」から、知の多様性を生み出しかけ合わせることで、変化への対応力=レジリエンスを高めるとともに、新たな価値=イノベーション創出を促進します。それと同時に、従業員が自身の強みや希望に合わせて能力を磨き、キャリアを切り拓いていく「キャリア自律」を推進し、多様な人材の活躍を推進いたします。
また、人材育成については、「2030経営計画」において事業ポートフォリオの転換や収益力向上に向けた構造改革、経営基盤の強化等を計画しており、様々な業務の進化や変革を実行できる人材の育成が必要と考えております。そのような進化や変革を牽引するリーダーの育成や、各戦略を実行する人材の育成に向けて、積極的に人的資本投資に取り組みます。
さらに「2030ビジョン」においては、従業員に対して「心と体の健康」を提供していくことを掲げており、重要な取組みと考えております。従業員それぞれが自身の持つ能力を最大限発揮できる職場環境を実現すべく、健康経営を推進いたします。
以上の取組みにより、人的資本の価値を最大化し、中長期的な価値創造を実現することで、持続可能な社会への貢献と当社グループの持続的な企業価値向上を図ります。
<重要戦略への取組み>
a. D&I
当社グループは、2012年に人事部にダイバーシティ推進担当を設置し、2020年4月にはさらなる「D&I」推進の加速に向けて、ダイバーシティ推進室を新設いたしました。全ての従業員が当社グループのダイバーシティポリシー及び5つの指針を体現するため、D&Iの「理解の促進」と「行動具体化の促進」の取組みを進めております。「理解の促進」としては、ダイバーシティポリシー浸透研修、D&Iに重要なインプットの場づくり等、「行動具体化」としては、浸透研修後の職場分科会の実施、職場分科会アンケート分析後の部門別フォロー等を実施しております。
また、従業員が自身の強みや希望に合わせて能力を磨き、キャリアを切り拓いていく「キャリア自律」の推進に向けて、「キャリア自律」の考え方の浸透と、従業員のキャリア構築を支援する仕組みづくりを実施しております。
さらに、人材の多様化を促進すべく、新卒のコース別採用や、キャリア採用を進めるとともに、属性別の活躍に向けて「女性活躍推進」「シニア活躍推進」といった施策も並行して実施しております。
Ⅰ.D&Iに対する理解の促進
ⅰ.ダイバーシティポリシー浸透研修
全ての従業員の「ダイバーシティポリシー及び5つの指針」の理解促進に向けては、まず職場リーダーであるマネジメント者の理解を深めることが重要と捉え、2021年度より、部下を持つマネジメント層に対し、ダイバーシティポリシー浸透研修を実施しております。2022年度は約370名が受講し、D&I推進のために重要な情報のインプットや、自職場でのD&Iの推進状況を把握するとともに、ありたい姿に向けたアクションプランを策定いたしました。
ⅱ.D&Iに重要なインプットの場づくり
D&I推進に向けた重要な考え方の一つにアンコンシャスバイアスがあります。この考え方の理解促進を目的とし、アンコンシャスバイアス研修を実施いたしました。役員向けには外部講師による講義及びワークショップ、グループ全従業員向けにはeラーニング動画での研修を行い、気づきや行動変化のきっかけを得る機会といたしました。また、他社合同イベント(食品企業6社合同イベント)によるセミナーをはじめ、各種講演会や階層別研修、意見交換会を実施し、従業員のD&Iに関する理解促進に繋げました。
Ⅱ.D&Iに向けた行動具体化の促進
ⅰ.浸透研修後の職場分科会の実施
マネジメント層が主体となって職場ごとに課題を確認し、行動計画を立てて実践するという取組みを実施いたしました。メンバー全員を巻き込みながらアクションプランを策定することで、より職場に適したD&Ⅰの実践に繋げます。今後は、活動におけるPDCAの質的向上を目指してまいります。
ⅱ.職場分科会アンケート分析後の部門別フォロー
アンケート結果を分析し、部門ごとの課題抽出、対応策の検討・実行を行っております。2022年度は、特に人数の多い生産部門、置かれている環境が異なる海外(現地法人含む)に対するフォローに注力いたしました。
Ⅲ.キャリア自律の推進
「プロティアン・キャリア(変幻自在なキャリア)」の考え方を定め、「個人が自立的に学び、キャリアを考える」ことを推奨しております。2022年度には、「プロティアン・キャリア」に関するeラーニングを、グループ会社(一部を除く)を含む2,400名強に展開いたしました。また、経営トップからのキャリア自律に関するメッセージを添え、従業員の意識を高めていく工夫も実施いたしました。
Ⅳ.人材の多様化に向けた取組み
ⅰ.多様な人材の採用・活躍推進
新卒採用
2022年度から経理、ITの2コース、2023年度はセールススペシャリストを加え、3コースで専門人材を募集し、多様な人材の採用を進めております。
キャリア採用
2022年度のキャリア採用人数は、全採用人数の22%となっております。今後も計画的に採用を継続してまいります。
準社員から正社員への登用
2022度の登用者数は、全採用人数の10%となっております。
ⅱ.女性活躍推進
女性に特化した研修として2022年度は「LADY,GO UP!」を実施いたしました。外部講師による基調講演、開催企業内の女性管理職によるパネルディスカッション、ワークショップ等を通し前向きなキャリアビジョンを描くための場といたしました。2023年度も女性活躍推進に向けた研修を継続してまいります。
ⅲ.シニア活躍推進
アンラーニング研修
生産人口年齢延伸を踏まえ、役職定年年齢到達者を中心とした50代を対象に、現役意識の醸成やWill×Can×Mustの再考をする機会を2022年度から設けました。2022年度は43名が受講、2023年度には延べ130名の受講を予定しております。研修後も個別面談等で行動変容に向けたフォローを行っております。
シニア活躍度の見える化
56歳以上のミドル・シニアの活躍度について、各部門長の現状認識、及びミドル・シニア層を現有戦力として活かす具体策の把握を目的として、グループ会社も含めた部門長を対象にアンケートを行いました。特徴的な傾向の把握に繋がり、2023年度はさらなる活躍に向けた取組みを計画しております。
b. 人材育成
「人材育成」については、「経営計画に連動した人材育成」と「個人のキャリア開発」との両立を目指しております。「経営計画に連動した人材育成」として、サクセッションプランの策定・推進、専門人材の確保・育成を実施するとともに、「個人のキャリア開発」を支援する取組み等を充実させております。
Ⅰ.サクセッションプランの策定・推進
ⅰ.役員候補:エグゼクティブコーチング
数回に及ぶプロフェッショナルコーチとの1対1のコーチングを通して、全社リーダーとしてのあり方などのテーマで、自ら気づきを得る機会を設けております。
ⅱ.部長候補:他流試合型研修、森永レシピ研修
他流試合型研修は、会社で選抜した従業員を派遣し、他社の選抜層と共に社会課題などのテーマについてディスカッションを行い、社会を捉える視野の拡大や外部との共創力の醸成等を図ります。森永レシピ研修は、問題解決のフレームワークを学ぶワークショップで、2019年度にスタートして以降、累計で200名強の受講者がおります。
ⅲ.マネジャー候補:次世代リーダー研修
30歳代の選抜社員に対し、9ヶ月にわたって次世代リーダーに求められる要件開発に取り組む研修を実施しております。現在4期まで実施しており、累計の受講者は49名であります。一部の受講者は既に職位を担っております。
Ⅱ.専門性の高い人材の確保と育成
ⅰ.人材要件定義・要員計画
当社グループの継続的な成長のためには、各業務領域において、高い専門性を有する人材が必要と考えております。中長期的な育成及び短期的な人材確保に向けて、想定する専門性をレベル別タイプ別に定義いたしました。そのうえで、2030年まで3年毎に必要人数を設定し、人材育成及び確保に向けて取り組んでおります。なお、2022年度は重点領域のうち、DX人材、経理/CFO人材、グローバル人材を対象といたしました。
ⅱ.育成計画
育成については、2023年度から人材要件定義に基づいたエキスパート養成メニューの提供を開始いたしました。eラーニングを中心とした継続学習のほか、幅広い知見を得られるメニュー構成になっております。また、キャリア自律の考えに基づき、従業員の主体性を尊重し、受講者の一部公募も実施しております。
Ⅲ.自律的な能力開発を推進する主な取組み
ⅰ.人材育成プログラムによる育成
当社が定義する6つの能力の現状を上司と本人で把握し、さらに伸長させていくための育成メニューと連動させることで、計画的な能力開発に取り組んでおります。
ⅱ.社内公募
一部の部署について、従業員の手挙げによる公募での異動を可能とする仕組みを整備いたしました。公募された部署への異動希望者は、上司の許可を得ずに応募することを可能としております。
ⅲ.従業員の主体的な学びの支援
従業員が主体的な学びを実践できるよう、イントラネットのトップ画面に「学びのプラットフォーム」を設置いたしました。資格の種類の充実や奨励金制度の見直し等を実施し、従業員のキャリア開発を促進しております。
c. 健康経営の推進
当社グループが永続企業(サステナブルカンパニー)として、心と体をすこやかにする食を創造し、誰もが笑顔で過ごせる持続可能な社会の実現に貢献していくためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要と考えております。そして、当社グループでは2030ビジョン「ウェルネスカンパニーに生まれ変わる」を掲げており、下記のとおり、健康経営を推進しております。
Ⅰ.基本方針と推進体制
ⅰ.健康宣言
「森永製菓健康宣言」を指針に掲げ、従業員の「心と体の健康」を維持・増進する取組みを支援しております。従業員が健康でやりがいをもって働くことができる職場環境を整備することで、従業員の活力向上や生産性向上等を通した組織の活性化を実現し、当社グループの持続的な成長と社会により良い価値を提供することを目指しております。
ⅱ.推進体制
代表取締役社長直轄の「最高健康責任者(Chief Health Officer;CHO)」を人事部担当役員が担い、また人事部と森永健康保険組合の他に産業保健スタッフも参画する「健康推進委員会」を設置し、理念や方針の策定、施策の検討・実施に関する意思決定を行っております。全国の主要事業所に配置される健康管理担当者、安全衛生スタッフが具体的な施策の展開を担い、従業員や家族の健康課題に継続的に向き合い、健康増進を進めております。
Ⅱ.取組み
ⅰ.心の健康
心の健康の定義
従業員・顧客に提供する「心の健康」の達成に向けた第一歩として、心が健康な状態を6つの要素で定義した「こころく」を制定いたしました。従業員一人ひとりが「こころく」に共感して日々の業務に落とし込み、自発的に行動している状態に向けて推進することにより、従業員エンゲージメントの向上と事業活動への寄与を目指しております。
(具体的な取組み)
・「こころく」の策定
・「こころく」の理解深耕に向けた従業員向けセミナーの開催
・「こころく」の認知・浸透に向けたアイコン策定と、意識付け強化のための職場各所でのアイコ
ンの掲示
・「こころく」の事業活動への寄与に向けた商品開発業務との紐づけ

メンタルヘルス対策
自己管理能力の向上やメンタルヘルスに対する意識を高めるため、役職者研修やセルフケアセミナーでの啓発を定期的に実施しております。ストレスチェックの受検率は制度導入以降95%以上を維持しており、従業員自らが気づく機会の提供と集団分析による環境改善に活かしております。また社内外に専門的な相談窓口を設け、従業員が相談しやすい環境も整備しております。
(ストレス耐性強化策)
パルスサーベイを活用したストレス耐性強化研修では、研修前後の変化を自らが知ることで実践的な行動へ繋げる効果を期待し実施いたしました。パルスサーベイ結果では研修前と比較し、全ての項目で改善傾向が見られたことに加え、研修後の受講者アンケートも95%以上が実施内容について「満足」と回答いたしました。
ⅱ.体の健康
全社健康増進イベント「ハビット」
従業員とご家族の健康づくりと生活習慣改善を目的に、一人ひとりが健康に関する目標を立てて運動や食生活改善などを行う森永健康保険組合独自の取組み「ハビット」は、今年で21回目を迎え、参加者も今年は1,900名を超えました。
エイジフレンドリーな職場づくり
職場には、さまざまな年齢層の従業員がおります。エイジフレンドリー※な職場づくりは、年齢に関係なく、全ての従業員を尊重することを目的としております。例えば、豊富な知識と経験を持つシニア層の安全とさらなる活躍を支援するため、当社グループの工場において、シニア教育や体力測定、当社独自の転倒予防体操を展開し、全員が安全かつ健康的に長く働き続けることを目指した取組みを行っております。
※エイジフレンドリーとは「高齢者の特性を考慮した」を意味する言葉であります。
ⅲ.労働環境の整備
ヘルスリテラシーの向上
外部講師や産業医を講師に迎え、毎年「健康フォーラム」を開催しており、2022年度は「コロナ禍における運動と健康」をテーマに実施いたしました。全国各地より80名以上の従業員がオンラインで参加し、画面越しで運動を実践する試みが好評でありました。
総労働時間短縮に向けた取組み
健康を損なうリスクが高い長時間労働を発生させないため、労働時間管理の精度向上をはじめ、様々な施策を実施しております。また労働組合とともに「労働時間対策労使会議」を開催し、現状把握と対策について意見交換を行い、労働環境の改善に努めております。長時間労働が減ったことにより得られた時間は、キャリア資本※の蓄積やワーク・ライフ・バランスの実現に活かす等、より健康的な生活の促進に繋げております。
※キャリア資本とは、当社におけるキャリア自律の考え方「プロティアン・キャリア」における
「ビジネス資本」「社会関係資本」「経済資本」の三つを指します。
労働安全衛生の取組み
当社グループは、「労働安全衛生方針」に沿って企業経営の基盤である労働安全衛生活動を通じて、年齢・経験・言語・雇用関係・働く場所等の一人ひとりの違いにかかわらず、安全で働きやすい職場環境の維持・向上を目指しております。例えば従業員の安全と健康を最優先に考えた定期的な安全教育の実施や、職場の安全管理の徹底、事故や災害の予防活動に取り組んでおります。
Ⅲ.外部評価
ⅰ.「健康経営※優良法人2023(大規模法人部門)」認定
当社は「健康経営※優良法人2023(大規模法人部門)」に認定され、今回で6年連続の認定となりました。「森永ファクトリー体操」や「高齢従業員特有の健康課題に対する取組み」などが評価されました。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標であります。
ⅱ.スポーツ庁「スポーツエールカンパニー※2023」認定
全社向けの「ハビット」、工場従業員向けの「ファクトリー体操」など体の健康についての取組みの象徴として、「スポーツエールカンパニー※」の認定を取得いたしました。2023年が初めての取得となり、今後も継続的な認定取得を目指すことで、ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりを加速させてまいります。
※スポーツエールカンパニーとは、スポーツ庁が従業員の健康増進のためにスポーツの実施に向け
た積極的な取組みを行っている企業を毎年認定しているものであります。
d. 従業員との対話
重要戦略について、従業員とのエンゲージメントを高める取組みとして、経営トップと従業員との対話を大切にしております。経営トップが各事業所を訪問し、従業員と対話し、従業員の理解を深めるよう取り組んでまいりました。2021年度から2022年度にかけて、海外グループ会社を含む約1,600名の従業員とディスカッションを行うことでトップの想いを共有しております。
②指標及び目標
(注)1 対象範囲:国内グループ連結
(注)2 対象範囲:森永製菓㈱
(注)3 対象範囲:森永製菓㈱工場及び生産関係会社
度数率:100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者(不休災害による傷病者は含まず)
をもって労働災害発生の頻度を表しております。
(4) 気候変動
当社グループでは、気候変動は事業の継続や持続的な成長に影響を及ぼす重要な課題と認識しております。金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に2022年4月に賛同し、気候変動シナリオ分析を行うなど、TCFD提言への対応を進めております。
(注)1 「TCFD分科会」は、2022年度「TCFD・TNFD分科会」に変更
シナリオ分析
当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。気候変動によるリスクと機会の特定及び評価、またそれらのリスクや機会が当社グループのビジネス・戦略・財務に及ぼす影響の分析にあたって、政府機関及び研究機関が開示するシナリオを参照いたしました。
※参照したシナリオ等
<当社グループの重要度の高いリスク>
(注)2 財務影響が及ぶ売上高規模と費用規模、影響が及ぶ期間等について評価し、最終的な重要度を
判定
3 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
4 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
5 紙は製品の包材が対象
<当社グループの重要度の高い機会>
(注)6 スマートファクトリー化:IoT・AI技術等を利用して、技術と製造設備のデジタルデータ
を融合し、安定稼働・生産効率を向上させる取組み
7 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、
2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化など、食資源循環に戻すものを除
き、焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義
8 「1チョコ for 1スマイル」:対象期間に対象商品1個購入につき、1円をカカオ生産国の
子どもたちへの支援活動に寄付するキャンペーン
今後、対応策の検討をさらに深めるとともに、シナリオ分析の対象範囲の拡大等についても検討してまいります。
(1) リスクマネジメント体制
当社グループは、事業活動に潜在する様々なリスクを把握し、トータルリスクマネジメントの理念のもとリスクに対し適切な対応を図るべく取り組んでおります。事業活動に潜在するリスクに対応するため、内部統制システムの一環として「トータルリスクマネジメント規程」を制定し、想定されるリスクを分類・評価して平常時における予防策を実施しております。またトータルリスクマネジメントを組織横断的に検討・主管・実施する組織として、取締役が参加する「トータルリスクマネジメント委員会」を設置し、協議内容を取締役会に報告しております。
(2) リスクの把握と管理
当社グループは、「トータルリスクマネジメント規程」に基づき、想定リスクの把握とリスクの影響度・発生頻度の評価を行い「トータルリスクマップ」を作成し、リスク対応の優先順位を見直し・決定をしております。優先的に対応すべきリスクは、リスク対応策の立案部門と実施部門を明確にし、立案部門はリスク対応策の立案と実施状況のモニタリング、改善策の策定を行い「トータルリスクマネジメント委員会」に報告する、一連のPDCAを回しております。また災害発生時においても、事業継続を確実に行うために、主要商品について事業継続マネジメント(BCM)の円滑な運用が図れるよう定期的に見直しを行い、その結果を「トータルリスクマネジメント委員会」に報告しております。
◆リスクマネジメント体制図

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、業績及び財政状態等に影響を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には、次のようなものがあります。
なお、本事項の文中に将来に関する事項が含まれており、有価証券報告書提出日(2023年6月29日)現在において判断したものであります。
(3) 短期・中期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
(4) 中期・長期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
① 人材の確保・育成
人材の確保・育成に関するリスクの内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3) 人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)並びに指標及び目標」をご参照ください。
② 気候変動
気候変動に関するリスクの内容については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (4) 気候変動」をご参照ください。
なお、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある要素は、上記だけに限定されるものではありません。
当連結会計年度の期首より、食料品製造セグメントに関する顧客との契約から生じる収益を分解した情報の区分を変更したことに伴い、以下の比較分析における食料品製造セグメントの区分を変更し、区分変更後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
■2023年3月期実績

(注)1 特別利益と法人税等のNET
2 EBITDAは簡易版を使用→営業利益+減価償却費
3 2023年2月10日発表値
4 在外子会社換算レートは、1米ドル=131円
■2023年3月期実績:セグメント情報

② 財政状態の状況
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,013億7千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ106億9千6百万円減少しております。これは主に、商品及び製品が26億8千5百万円、原材料及び貯蔵品が50億2千5百万円、未収還付法人税等が31億7千1百万円増加した一方で、現金及び預金が202億9千万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,038億5千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億2千2百万円増加しております。これは主に、機械装置及び運搬具(純額)が7億5千1百万円、土地が5億8千4百万円減少した一方で、建設仮勘定が21億3千2百万円、無形固定資産のその他に含まれているソフトウエア仮勘定が4億5千2百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、512億9千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ188億5千万円減少しております。これは主に、支払手形及び買掛金が24億6百万円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が100億円、未払法人税等が96億1千4百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、280億7千2百万円となり、前連結会計年度末に比べ150億9千4百万円増加しております。これは主に、退職給付に係る負債が45億9千1百万円減少した一方で、社債が90億円、長期借入金が100億円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、1,258億5千6百万円で、前連結会計年度末に比べ53億1千8百万円減少しております。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益100億5千9百万円の計上により増加した一方で、株主還元の強化により、配当金の支払い44億9千7百万円や自己株式の取得111億7千3百万円により減少したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、60.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、主に前連結会計年度の政策保有株式売却に伴う特別利益に係る法人税等の支払いが生じたこと及び株主還元強化等の資本効率の更なる向上を図るための財務施策を進めた結果、前連結会計年度末に比べ240億6千8百万円減少し、360億7千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は29億6千6百万円となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益138億8千4百万円、減価償却費100億8千7百万円といった資金増加の一方で、退職給付信託への資金拠出などに伴う退職給付に係る負債の減少額47億6千万円、棚卸資産の増加額71億3千8百万円、法人税等の支払額152億9千万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は142億9百万円となりました。主な内容は、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は73億4千8百万円となりました。主な内容は、社債の発行による収入89億4千8百万円、及び自己株式の取得による支出112億5千万円、配当金の支払額44億9千7百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格(内部取引価格を含む)によっております。
2 「食料卸売」、「不動産及びサービス」及び「その他」のセグメントについては、該当事項はありません。
3 従来、食料品製造セグメントに関する生産実績は、「菓子食品」「冷菓」「健康」に区分しておりましたが、「2030経営計画」「2021中期経営計画」に沿った当社グループの経営管理の実態を明瞭に表示するため、当連結会計年度より、「菓子食品事業」「冷菓事業」「in事業」「通販事業」「事業子会社等」「米国事業」「中国・台湾・輸出等」の区分に変更しております。なお、前期比については、区分変更後の数値で比較を行っております。
主要製品の受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。
3 従来、食料品製造セグメントに関する販売実績は、「菓子食品」「冷菓」「健康」に区分しておりましたが、「2030経営計画」「2021中期経営計画」に沿った当社グループの経営管理の実態を明瞭に表示するため、当連結会計年度より、「菓子食品事業」「冷菓事業」「in事業」「通販事業」「事業子会社等」「米国事業」「中国・台湾・輸出等」の区分に変更しております。なお、前期比については、区分変更後の数値で比較を行っております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のわが国経済は、原材料及びエネルギー価格高騰の影響により物価上昇が続くなど、国内景気は依然として先行き不透明な状況が続いておりますが、期末にかけては新型コロナウイルス感染者数の落ち着きや規制の緩和に伴い、アフターコロナに向けて消費行動に変化が見え始めております。欧米においては、原材料及びエネルギー価格高騰に伴う物価高や、金融引き締めの影響から、経済成長の減速が懸念され不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く食品業界におきましては、食の安全・安心の徹底やライフスタイルの変化により簡便性や健康ニーズが高まる中、購買行動の変化とその兆しを捉えた、より付加価値の高い商品作りが求められ、競争環境はいっそう厳しさを増しております。
このような経営環境のもと、当社グループは長期経営計画「2030経営計画」達成に向けた1stステージである「2021中期経営計画」の2期目として、引き続き飛躍に向けた新たな基盤づくりを実現すべく、事業活動に取り組んでまいりました。
売上高は、「2030経営計画」で定めた重点領域の各事業が大きな成長を遂げたことにより、全体では1,943億7千3百万円と前年実績に比べ131億2千2百万円(7.2%)の増収となりました。
損益は、増収効果及び価格改定効果がありましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰や中長期の成長に向けた戦略的な広告投資などにより、営業利益は前年実績に比べ24億5千万円(13.9%)減益の152億3千5百万円、経常利益も前年実績に比べ24億9千万円(13.6%)減益の157億5千7百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に政策保有株式の売却に伴う特別利益を計上したことも影響し、前年実績に比べ177億1千4百万円(63.8%)減益の100億5千9百万円となりました。
■営業利益増減分析

(注)当連結会計年度の実績調達レートは1米ドル=128円、前連結会計年度は同109円
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>
菓子食品事業
ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は第1四半期に実施した生産ライン増設工事による一時的な商品供給制約の影響がありましたが、第3四半期以降「ムーンライト」の積極的なプロモーションと新商品の発売、「マリー」100周年の取組みも既存品の売上拡大に寄与し、前年実績を上回りました。
キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、食感を訴求する商品及びプロモーション展開の強化により、スティック・パウチ・袋の全ての商品形態で好調を維持し、前年実績を大きく上回りました。また、「森永ラムネ」は、受験生に向けた商品及びプロモーション展開が奏功し、ブランド全体で過去最高の売上高を記録しました。
チョコレートカテゴリーでは、市場が伸び悩む中、「カレ・ド・ショコラ」は上質チョコレートブランドとして価値強化に取り組みましたが、前年実績を下回りました。「ダース」は品質リニューアルに合わせたプロモーション展開や新商品の発売により、前年実績並みとなりました。「チョコボール」は、発売55周年を記念するプロモーション展開や新商品の発売が寄与し、前年実績を上回りました。
食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、引き続き機能価値を訴求するプロモーションに取り組みましたが、前年実績を下回りました。
なお、原材料及びエネルギー価格高騰に対する収益改善策として、各カテゴリーにおいて、当連結会計年度に価格改定を実施しております。
これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は743億8百万円と前年実績に比べ18億6千5百万円(2.6%)増となりました。
損益は、価格改定により収益性の改善に取り組みましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰の影響が大きく、営業利益は前年実績に比べ17億2千2百万円(52.8%)減益の15億4千1百万円となりました。
冷菓事業
「ジャンボ」グループは、発売50周年を迎えた「チョコモナカジャンボ」と「バニラモナカジャンボ」において、冬季限定品の発売や品質リニューアルに取り組むとともに、パリパリ食感を訴求するプロモーション展開が奏功し、前年実績を上回りました。通年発売3年目となる「板チョコアイス」は、品質特徴を活かしたプロモーション展開により購入率拡大に取り組みましたが、前年実績を下回りました。「ザ・クレープ」は当期より通年発売へ変更しております。「アイスボックス」は、喫食シーン訴求などのターゲット別のプロモーション展開により、最需要期の購入率拡大に加えて、秋冬期の需要も獲得し、年間を通して好調に推移しました。
なお、原材料及びエネルギー価格高騰に対する収益改善策として、主力品について、当連結会計年度に価格改定を実施しております。
これらの結果、冷菓事業全体の売上高は405億3千3百万円と前年実績に比べ3億3千6百万円(0.8%)増となりました。
損益は、価格改定により収益性の改善に取り組みましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰、減価償却費の増加により、営業利益は前年実績に比べ14億7百万円(29.0%)減益の34億4千5百万円となりました。
in事業
「inゼリー」は、コロナ禍における生活スタイルの変化に対応し、間食や仕事・勉強中などの飲用シーンの他、体調不良時の栄養補給や健康維持ニーズを引き続き獲得するなど、12月に実施した価格改定以降も好調に推移しました。「inバー」は、新商品を発売するなど商品ラインナップの見直しを行いましたが、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化が続き、前年実績を下回りました。
これらの結果、in事業全体の売上高は306億2百万円と前年実績に比べ25億6千8百万円(9.2%)増となりました。
損益は、原材料価格の高騰や、積極的な広告投資の影響もありましたが、売上高が好調に推移したことにより、営業利益は前年実績に比べ2億1千4百万円(3.1%)増益の70億2千万円となりました。
通販事業
「おいしいコラーゲンドリンク」は、2月に実施した価格改定により一時的に解約が発生しましたが、売上高は二桁成長を維持しました。通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」は、着実に定期顧客数を増やし売上高を拡大しております。
これらの結果、通販事業全体の売上高は102億8千5百万円と前年実績に比べ11億5千万円(12.6%)増となりました。
損益は、順調な定期顧客獲得を背景とした積極的な広告投資の継続、原材料価格高騰の影響もありましたが、売上高が好調に推移したことに加え、価格改定効果により、営業利益は前年実績に比べ3億1千8百万円(93.4%)増益の6億5千9百万円となりました。
事業子会社
㈱アントステラは、全国の直営店において催事向けのギフト商品や、品揃えを強化した量り売りの販売が好調に推移しました。また、大手量販店の銘店コーナーでの販売好調も寄与し、売上高は前年実績を上回りました。森永市場開発㈱は、新型コロナウイルス感染症に起因する行動制限の緩和により、テーマパーク及びアンテナショップにおける販売が好調に推移し、売上高は前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、事業子会社全体の売上高は81億9千8百万円と前年実績に比べ16億6千6百万円(25.5%)増となりました。
営業利益は前年実績に比べ3億2千8百万円(109.8%)増益の6億2千6百万円となりました。
[国内における主な商品の前年同期比 (単位:%)]
※表中の数値は国内販売実績にて算出
米国事業
「HI-CHEW」は、ブランド認知及びロイヤリティ向上に向けて、サンプリングなどのマーケティング活動を積極的に展開し、2022年2月及び11月に実施した価格改定以降も店頭回転は好調に推移しました。また、全米各地において引き続き販売店率が拡大したことも寄与し、売上高は前年実績を大きく上回りました。米国事業の第2の柱として本格的な取組みをスタートしたゼリー飲料「Chargel」は、スポーツイベントでのサンプリング活動をはじめ、広告やPR活動を強化し、スポーツシーンにおけるブランド認知向上に向けてターゲットへの接点拡大の取組みを積極的に進めております。
これらの結果、米国事業全体の売上高は146億5千4百万円と前年実績に比べ41億2百万円(38.9%)増となりました。
損益は、増収及び価格改定効果がありましたが、原材料価格や海上運賃の高騰、人件費の増加や「Chargel」への先行的なマーケティング投資により、営業利益は前年実績に比べ3百万円(0.2%)減益の14億7千6百万円となりました。
中国・台湾・輸出等
中国では新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンの影響もありましたが、「HI-CHEW」の販売は好調に推移しました。台湾では、前年の新型コロナウイルス感染拡大による売上苦戦の反動もあり、「HI-CHEW」、キャラメル、「inゼリー」いずれも前年実績を大きく上回りました。
これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は68億8百万円と前年実績に比べ10億2千万円(17.6%)増となりました。
営業利益は前年実績に比べ2億3千3百万円(69.3%)増益の5億6千9百万円となりました。
これらの結果、<食料品製造>の売上高は1,854億9千1百万円と前年実績に比べ7.4%増となりました。セグメント利益は148億2千8百万円と前年実績に比べ26億1千1百万円の減益となりました。
<食料卸売>
売上高は、62億7千7百万円と前年実績に比べ5.8%増となりました。セグメント利益は2億7千4百万円と前年実績に比べ7千2百万円の減益となりました。
<不動産及びサービス>
売上高は、19億2千4百万円と前年実績に比べ0.4%増となりました。セグメント利益は8億4千7百万円と前年実績に比べ2千6百万円の減益となりました。
<その他>
売上高6億7千9百万円、セグメント利益1億3百万円であります。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
2021年5月に発表いたしました「2021中期経営計画」では、最終年度となる2024年3月期の経営目標を売上高1,900億円、営業利益215億円としております。また、重要経営指標として売上高営業利益率11%以上、海外売上高比率9%以上、重点領域売上高比率+5ポイント以上(「2018中期経営計画」の期間平均値比)、ROE10%以上を目標としております。
「2021中期経営計画」2年目となる当連結会計年度の売上高は、コロナ禍における生活スタイルやニーズの変化に対応し需要を獲得できたこと、「2030経営計画」で定めた重点領域の各事業が大きな成長を遂げたことにより、前年実績比7.2%増の1,943億7千3百万円となりました。「2021中期経営計画」経営目標の達成に向けて、順調な進捗となっております。
売上高成長に関する重要経営指標である海外売上高比率について、米国事業の飛躍的な成長等により当連結会計年度は前年実績比2.1ポイント増の11.2%となりました。また、重点領域売上高比率は、重点領域に属する4事業全てで成長を遂げたことで、「2018中期経営計画」の期間平均値に対して当連結会計年度は7.8ポイント増の49.8%となりました。これら2つの指標は、「2021中期経営計画」の目標を前年時点で達成し、引き続き伸長しております。
営業利益は、価格改定による収益性改善や増収による増益効果がありましたが、原材料及びエネルギー価格の高騰や今後の成長に向けた戦略的な広告投資、R&Dなどの無形投資の増加等により、前年実績比13.9%減の152億3千5百万円となりました。収益性に関する重要経営指標である売上高営業利益率について、当連結会計年度は前年実績比2.0ポイント減の7.8%となりましたが、当連結会計年度に実施した無形投資は、当社の安定的な中長期成長を実現するための投資であり、将来的な収益貢献に向けて着実に経営基盤は整いつつあります。
資本収益性を示す重要経営指標であるROEについて、前連結会計年度の政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除くと当連結会計年度は前年実績比2.2ポイント減の7.9%となりましたが、資本コストを意識した財務戦略の実践を通じて改善を図ってまいります。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から社会・経済活動が回復に向かう一方、不安定な国際情勢による地政学的なリスクへの警戒感から、原材料及びエネルギー価格高騰が続くなど、当社グループを取り巻く経営環境においては先行き不透明な状態が続くと想定されます。また、中長期的な経営環境につきましては、日本国内の構造的な人口減少と世界的な人口増加、デジタル技術の発展によるビジネスモデルの変革、世界的な健康志向の一層の高まりも予想されます。
このような経営環境を踏まえ、当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、2030経営計画達成に向けて中長期的な成長を果たすべく、高い収益性、成長性が見込める事業へ経営資源を集中することで事業ポートフォリオの転換を図り、事業規模の拡大と収益性の向上に取り組んでまいります。また、投資原資を安定的に創出するべく、一層の経営効率化と財務戦略に基づく諸施策を着実に実行することで、中期経営計画のROE目標である10%水準までの回復を目指します。



<森永製菓グループの財務課題>
企業価値を資本市場の視点で評価する指標の一つとして、「株価純資産倍率(PBR)」がありますが、当社グループのPBRの中長期的推移を見ると、2018年度以降下落傾向が継続し、直近(2022年度末)においては約1.5倍の水準となっております。当社グループの成長性について、資本市場から十分な評価をいただけていないと認識しております。
一方、資本収益性について、その指標であります「株主資本利益率(ROE)」をみると、2021年度までは10%以上で推移しておりましたが、2020年度以降は新型コロナウイルスによる影響や原材料価格等の高騰といった急激な外部環境の変化もあり、ROEは低下傾向となっております。当社グループの場合、PBRとROEの相関は比較的強く、今後、企業価値評価を高めるためには、ROEの改善が重要と考えております。
ROEの改善に向けては、①資本収益性の改善、②資本コストの最適化、の両者を推進する必要があると考えております。前者については、ROICマネジメントのもと、事業ポートフォリオの最適化、事業の収益性の改善、投下資本の効率化などが課題となります。また、後者については、財務安全性を確保した上で、有利子負債の活用拡大によって、最適資本構成に向けて、「加重平均資本コスト(WACC)」を6%程度の水準まで調整いたします。
これらの課題解決に向けた取組みを通じて、企業価値の向上を図り、継続的かつ安定的な株主還元を実現してまいります。


(注)1 政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除いております。
2 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等をFY21の期首から適用しており、FY20について
は、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっております。
3 有利子負債残高は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象として
おります。
<財務戦略骨子>
当社グループは、積極的な成長投資と安定した財務基盤を維持することにより、持続的な企業価値向上と継続的かつ安定的な株主還元を実現していくことを基本方針としております。「2030経営計画」の達成に向けて、「資本コストを意識した経営」を実践し、企業価値を最大化することですべてのステークホルダーに貢献することを目指してまいります。そのために、以下の3つの主要財務戦略を実行し、財務マネジメントを強化いたします。
・ROIC経営の実践による事業成長力と資本収益性の改善
・財務安全性の確保と最適資本構成による資本コストの適正化
・株主還元の強化

<ROIC経営の実践による事業成長力と資本収益性の改善>
当社グループは、a.コーポレートの視点、b.事業オペレーションの視点、c.個別投資案件管理の視点の3つの視点でROICマネジメントを実践する体制を強化しております。3つの視点に共通する点は、「資本コストを上回るリターンを実現できるか」であり、財務的評価を基本に非財務の要素を加えて、経営判断を行うとともに、PDCAを回して成長力と資本収益性を高めてまいります。

a. コーポレートの視点
「コーポレートの視点」としてのROICマネジメントについては、全社及び各事業のROICとその構成要素を分析するとともに、資本コスト(WACC)を上回っているかを点検いたします。その上で、各事業、各系列の「成長性」「資本収益性」の強化ポイントを確認し、事業ポートフォリオにおけるミッション、変革ポイント、経営資源の最適配分などについて検討してまいります。
2022年度においては、業務執行会議などで「2030経営計画」で重点領域と定めた4事業を中心に成長に向けた事業戦略の議論を進めました。また、投下資本の規模が相対的に大きい菓子食品事業については、投下資本効率の改善に向けた戦略、施策についての検討を進めております。

b. 事業オペレーションの視点
「事業オペレーションの視点」としてのROICマネジメントについては、事業毎にROICツリーを活用して、経営層と事業責任部門で資本収益性の改善につながる課題領域を抽出するとともに、課題解決に向けた戦略及び施策の検討を行います。2023年度予算編成より、ROICツリーに基づく予算水準の点検を開始しており、今後PDCAによる継続的な改善活動につなげてまいります。また、ROICマネジメントを現場レベルまで浸透すべく、全従業員を対象に、独自の動画教材などを用いてROICマネジメントの概念と現場活動との関連性等について理解の促進を図っております。

c. 個別投資案件管理の視点
「個別投資案件管理の視点」については、2022年度に投資マネジメント体制について、投資案件評価方法、意思決定プロセス、投資レビュープロセスなどを刷新し、「資本コストを意識した経営」の基盤強化を進めております。
<財務安全性の確保と最適資本構成による資本コストの適正化>
当社グループは、マクロ環境の変化、事業環境の不透明性及び経営リスク増大に備え、一定水準の財務安全性を確保することを基本方針としております。なお、財務安全性の基準としましては、株式会社日本格付研究所における「A」以上を維持することを原則としております。
その上で、資金需要を満たすための資金調達にあたっては財務ガイダンスを参照し、適切な手元資金の水準、資金コストの水準、調達条件などを総合的に勘案した上で、最適な資本構成を目指してまいります。
2022年度には、過大な手元流動性が資本収益性低下の要因の一つとなっていましたので、財務安全性を考慮しつつ、ネットキャッシュ残高を大幅に圧縮いたしました (前期末466億円から当期末173億円)。今後も最適資本構成に向けた調整によって資本コストを適正化してまいります。

<株主還元の強化>
当社グループは、株主の皆様への利益還元について、経営基盤の盤石化のもとに、継続的かつ安定的な株主還元を実現していくことを基本方針としております。
株主還元にあたっては、健全なバランスシートを維持することを前提に、配当性向の水準、フリーキャッシュ・フローを考慮しつつ、資本政策の指標である「純資産配当率(DOE)」の水準を中長期的に引き上げていくことを目指してまいります。また、総還元性向を意識して、必要に応じ自己株式の取得を機動的に実施することも検討してまいります。
2022年度においては、期末配当47億円に加え、自己株式の取得枠111億円の自己株式取得と合わせて、158億円の過去最高の株主還元を実施いたしました。2021中期経営計画期間 (2021-2023)では、計画を大幅に上回る318億円以上の株主還元を実現できる見通しであります。


(注)1 当該会計期間中の取得金額(FY23は2023年5月16日までの取得分)
2 当該会計期間に係る剰余金処分
3 2023年5月16日取得分まで記載
<財務戦略を踏まえたキャッシュ創出とキャッシュアロケーションの考え方>
2021中期経営計画期間(2021-2023)においては、比較的安定的にEBITDAを創出できたことに加え、サステナビリティボンドの起債、政策保有株式の大幅な縮減等多様な手段で資金を調達いたしました。
一方、退職給付信託への追加資金の拠出、重点領域及び経営基盤づくりのための投資を優先とした設備投資、無形投資の実行、計画を大幅に上回る株主還元の実行等キャッシュアロケーションを見直し、それらの結果、資本収益性の改善に向けて、ネットキャッシュポジションを大幅に調整いたしました。
今後に向けては、次期2024中期経営計画期間(2024-2026)において、ROICマネジメントと資本コストの適正化を進めるとともに、成長投資と株主還元の更なる強化を検討してまいります。

(注)1 営業キャッシュ・フローから退職給付信託拠出による影響を除いた数値
2 2022年3月期及び2023年3月期実績の合計
3 2021年4月~2024年3月における配当金支払額及び自己株式取得額(2023年5月16日までの取得分)の合計
業務提携
当社グループにおける研究開発活動は、「世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぐこと」を使命とし、私たちが目指すビジョンに沿って、お客様に満足していただける商品・サービス・情報を提供すべく、「食」に関連する様々な技術分野において研究を進めております。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
「2021中期経営計画」の2年目である当連結会計年度は、2030年の目指す姿「中長期的な企業価値向上を果たす事業戦略を支える強固な経営基盤の構築」に向けての1stステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を創造する」という基本方針のもと、全社戦略・事業戦略と連動しながら、中長期視点での研究開発力の強化・共創による価値創出の加速に向けた取組みを引き続き実施いたしました。
(1)重要技術のアップデート
<ゼリー飲料技術>
「inゼリー」ブランド初の機能性表示食品として、脂肪消費や肌のうるおい、むくみといった女性の悩みの解決が期待でき、手軽においしく間食やデザートとして楽しめる「inゼリークリア<ゆずレモン味>、<パッションフルーツ味>」の2品を発売いたしました。
また、当社が保有するゼリーの食感をコントロールする技術を駆使し、メロンの特徴である種の周りのふわふわとしたやわらかい果肉の食感とジューシーな果汁感を再現することで、まるでメロンそのものを食べているような品質に仕上げた「inゼリー フルーツ食感<メロン>」を発売いたしました。
<冷凍下での菓子技術>
当社グループの菓子技術を活かした冷菓商品の開発を継続しております。
パリッとしたチョコレート食感を維持し、かつクリームの滑らかさを強化した「板チョコアイス<バニラ>」、期間限定商品として、クッキークランチ入りのザクザク食感でホワイトチョコレートの味わいとほんのり塩を加えた後切れが良い品質が特徴の「白い板チョコアイス」、冷凍下でもしっとり・もちもち食感のクレープ生地が特徴の上質で大人の味わいに仕上げたちょっと贅沢なデザート「ザ・クレープ<ほろにがプリン味>、<ティラミス味>」、チョコチップと氷の異なる食感が心地よいフローズンデザートとして、コメダ珈琲とコラボレーションした「いちごオーレフロート」を発売いたしました。
<ソフトキャンディ技術>
主力ブランドの「ハイチュウ」に関する技術伸長に注力して研究開発を進めてまいりました。心地よいチューイング性とジューシー感が特長の「ハイチュウ」はチューイング性を維持しながらソフトな食感に改良することで、より一層フルーツの香りとジューシー感を楽しめる品質となり好評をいただいております。
従来の「ハイチュウ」に対してさらに噛み応えのある独自食感の商品として「むにむにグーハイチュウ」を開発し、手軽に日常のワクワク感の提供を実現いたしました。
また、独自のもちもち食感と果汁感が特徴である「ハイチュウプレミアム<北海道メロン>、<みかん>」の発売や、グミとグラニュー糖の組み合わせによって1粒でぷにぷに食感とシャリシャリ食感の2つの食感が楽しめる「ぷにしゃりハイチュウアソート」等の商品を開発いたしました。
(2)基盤研究強化
<健康科学研究>
健康科学の研究としては、コラーゲン、パセノール™、カカオなどの素材が人々の健康に与える影響について研究を行っております。
コラーゲンについては皮膚の粘弾性に着目し、“コラーゲンペプチド10gを含む飲料の摂取は皮膚の粘弾性を改善すること”をヒト試験で見出し、学術論文で発表いたしました。
カカオについては覚醒度に着目し、“カカオフラバノール30mgを含むチョコレートの摂取は覚醒度を維持すること”をヒト試験で見出し、こちらも学術論文で発表いたしました。
パセノール™については、“パッションフルーツ種子抽出物に関する機能”について、スチルベン類(例としてピセアタンノールが挙げられる)を豊富に含むパッションフルーツ種子からの抽出物に、抗酸化作用や肌の状態改善作用や脂肪燃焼促進作用や血糖値降下作用等があることを総説として学術論文で発表いたしました。
<量産化技術>
「チョコモナカジャンボ」でモナカのパリパリ食感をできるだけ長持ちさせるために新しい製造技術である“チョコの壁”を導入し、品質を向上いたしました。
また、高崎森永㈱では「森永ビスケット」シリーズの新ライン、森永デザート㈱では「板チョコアイス」の新ラインを稼働し、更なる成長に向けた基盤を整備いたしました。
(3)成長戦略の強化
<ウェルネス>
・体の健康
タンパク質摂取の目的が多様化する中、「inバー」ブランドでは、いつでもどこでも手軽にタンパク質が摂取できることとチョコのおいしさにこだわった「inバープロテイン <クランチチョコ>」の発売や、活発な運動習慣を持っている方々をターゲットに、20gのタンパク質が摂取できつつ具材のおいしさを楽しむことができる「inバープロテインGOLD<オレンジピール&2種のナッツ>、<クランベリー&ストロベリー>」を発売し、「体の健康」戦略の推進に寄与いたしました。
また、酒粕・米麹のW発酵素材を活用した甘酒では、糖質が気になる方にも美味しく飲んでいただけるよう、全国発売品として初めての糖質オフタイプ「甘酒<糖質30%オフ>」を開発いたしました。
機能性表示食品としましても、体調管理への意識が高まり食生活に気を遣う方が増えている中、カカオポリフェノール(フラバノールとして)による"血流改善""腸活"が期待できるダブルヘルスクレームのハイビターココア「カカオの力<CACAO70>」シリーズ、パッションフルーツ種子由来ピセアタンノールによる"肌のうるおい""脂肪の消費"が期待できるダブルヘルスクレームの「パッションフルーツLabo」シリーズ3品を発売いたしました。
さらに、新型コロナウイルス感染症拡大によって健康意識が変化し体脂肪を気にする方が増える中、使用している油脂の一部をMCT(中鎖脂肪酸)オイルに置き換えることで、脂質の“質”にこだわった新しいビスケットやチョコレート、「MCTスタイル」シリーズを開発いたしました。
・心の健康(感性研究)
喫食時の生体計測・主観評価など、感性の見える化に向け、大学等との共創による多角的解析を進行しております。「食感研究」と「感性研究」の融合による「心地よい食感」の研究成果を商品開発やコミュニケーションに活かしながら、「心の健康」戦略の推進にも寄与してまいります。
<グローバル>
・海外開発案件
米国市場のソフトキャンディユーザーに対して、健康志向や嗜好性(食感・フレーバー)を調査し、「HI-CHEW」ブランドとしてより付加価値の高い製品を提供すべく、新製品の開発を進めてまいりました。
「HI-CHEW bites」では、気泡の量、状態をコントロールすることにより、Chewyな食感を保ちながら保型性を有するソフトキャンディを開発することで、糖衣(コーティング)無しでも脱個包装(ピローレス)可能な品質を実現いたしました。
(4)未来に向けた価値創造
<新技術開発>
人々の健康やサステナブルな社会の実現への貢献を目指し、プラントベースミートの研究開発を進め、大豆たんぱくと小麦たんぱくを主原料とし、食感・ジューシー感にこだわった「SAI MEAT(サイ ミート)」を開発いたしました。
また、独自の加工によるカカオエキスを開発、及び特許による権利化を行い、チョコレートアイスやビスケットなどにおけるカカオ感の向上を実現し、「パキシエル」を始めチョコレートを使用したアイス全製品、及び「inバー」や菓子などへ活用することにより、対象製品のカカオの使用量を約15%削減いたしました。
さらに、進化する冷凍食品市場においては、スポンジ部の気泡数と、それを取り囲む気泡膜の厚みの最適な比率を構築し特許による権利化を行い、冷凍庫から出してすぐに喫食できる「冷凍ホットケーキ」を開発いたしました。
<サステナビリティ>
カカオ豆研究において、アジアのカカオ豆生産者と協同でカカオの発酵工程にて独自の酵母を選別、添加することで品質改良を進め、希少価値が高いといわれるフレーバービーンズの代替として、「カレ・ド・ショコラ<カカオ70>、<カカオ88>」に活用いたしました。
プラントベースフードの開発を促進するため、乳のおいしさを植物原料で実現する技術開発を進め、アイスクリームのおいしさを植物由来原料で強化し、「チョコモナカジャンボ」へ活用いたしました。また、気候変動により高騰化したアイス用の安定剤に関して、原料や工程を見直すことで、保存安定性を保ったまま安定供給可能な代替原料への置き換えを実現いたしました。
<R&Dセンター>
当社グループの価値創造を担う中核拠点として「森永製菓R&Dセンター」を2022年春に開設いたしました。研究開発機能の強化と共創環境の拡充を目的とし、当社が保有する幅広い食品カテゴリーの知見・技術融合を図るとともに、多彩な社内外のパートナーとの外部共創エリアを備え、ラボレベルからパイロットプラントレベルまでの共同研究を可能としております。研究員自らがいきいきと働きながら、共創により新たな価値創出にチャレンジできる場・風土づくりに取り組んでおります。コンセプト、構築プロセス並びに開設後の共創の取り組みが評価され、第34回日経ニューオフィス賞にて、ニューオフィス推進賞を受賞いたしました。