文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、取り巻く経営環境が大きく変化する中、持続的な成長を目指すべく、2021年に新たに企業理念を策定いたしました。企業理念は、わたしたちの使命(パーパス)、わたしたちが目指す未来(ビジョン)、わたしたちが大切にする想い(バリュー)と、これらを一言で表した『コーポレートメッセージ』(おいしく たのしく すこやかに)で構成しております。この企業理念を当社グループにおける全ての活動の拠り所として、ステークホルダーの皆様と社会の期待に応えることで持続可能な社会の実現に貢献し、長期的な企業価値向上を図ってまいります。

(2) 中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
① 経営環境
世界的な不確実性の高まり、気候変動や資源不足、デジタル技術の発展、日本国内の人口動態の変化、生活環境の変化など、今後予測される経営環境の変化は安定的な事業活動にとって脅威であるとともに、変化への迅速な対応により新たな需要を創造することは大きな機会になり得ると捉えております。

② 2030経営計画
当社グループは、企業理念のもと、持続可能な社会の実現に貢献しつつ中長期的な成長を遂げ、企業価値を高めていくため、2030年に向けた長期経営計画「2030経営計画」を推進しております。
2030ビジョン
当社グループは、2030年の目指す姿として2030ビジョン『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』を定めております。「ウェルネス」とは、「いきいきとした心・体・環境を基盤にして、豊かで輝く人生を追求・実現している状態」と定義し、顧客・従業員・社会に、心の健康、体の健康、環境の健康の3つの価値を提供し続ける企業になることを目指してまいります。120余年の歴史で培った信頼と技術を進化させ、あらゆる世代のウェルネスライフをサポートしてまいります。

基本方針
方針1)事業ポートフォリオの転換と構造改革による収益力の向上
<重点領域への経営資源集中>
高い収益性、成長性が見込める事業として、「inゼリー」など「in」ブランドを中心とするin事業、冷菓事業、通販事業、米国事業を選定し、これらを重点領域と定めました。重点領域への経営資源集中によって当社グループの成長を牽引してまいります。
<基盤領域による安定的なキャッシュ創出>
菓子食品事業など着実な売上高拡大と収益力向上を目指す事業を基盤領域と定め、重点領域への投資原資の安定的な創出に取り組んでまいります。
<探索・研究領域の取組み>
ウェルネスを基軸とした国内外におけるビジネスモデルの創造や商品開発など、新たな取組みを総称して探索・研究領域と定め、次世代成長を担う新事業の育成を目指してまいります。
<機能部門を中心とした構造改革による収益力の向上>
重点領域への投資原資を創出するとともに、様々な経営リスクに備えるべく、生産、物流、販売など機能部門を中心に、全社的に構造改革を実行していくことで、収益力のさらなる底上げに取り組んでまいります。
方針2)事業戦略と連動した経営基盤の構築
「2030経営計画」の達成に向けた事業戦略と連動し、「人」「技術」「キャッシュ」そして「デジタル」という経営に不可欠なリソースを最大限活かすことで経営基盤をより強固なものにしてまいります。併せてコーポレート・ガバナンスの改革を推し進め、経営の透明性向上を図ってまいります。
方針3)ダイバーシティ&インクルージョンの推進
「一人ひとりの個を活かす」という考えのもと、ダイバーシティ&インクルージョンを推進することで、多様な人材が活躍できる環境・風土をベースに社会課題の解決につながる新しい価値(イノベーション)を創出できる環境の整備を推し進めてまいります。
経営目標
「2030経営計画」における経営目標・指標は以下のとおりであります。
(注)貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)
2030経営計画全体像

③ サステナブル経営
パーパスに基づくサステナブル経営を推進
現在、グローバル社会では、気候変動問題をはじめとする社会課題の深刻化やデジタル化の急速な進展など、企業活動に大きな影響を及ぼす環境変化が今までにないスピードで起き、将来の見通しに関する不確実性も高まっております。そのような中、パーパス・2030ビジョンを実現するには、ありたい姿に向けた課題を明確化したうえで、長期視点を持ち、全社グループを挙げて取り組んでいくことが必要であります。
当社グループは、創業時より社会への貢献を強く意識して事業を行ってまいりましたが、新たな企業理念の策定を機に、グローバル社会の一員としてSDGsの達成を含めた持続可能な社会の実現に向けた取組みを、これまで以上に積極的に進めていくことといたしました。このような取組みの積み重ねが、当社グループのビジネスをよりサステナブルなものとし、持続的成長と中長期的な企業価値の向上につながると考えております。
当社グループのマテリアリティを特定
当社グループでは2024中期経営計画策定に当たり、経営を取り巻く外部環境変化を踏まえて、マテリアリティの見直しを行いました。マテリアリティへの対応を通じて、社会価値の創造とレジリエントな経営基盤づくりを着実に進め、持続的成長を実現してまいります。
<当社グループのマテリアリティ特定プロセス>
外部環境変化を踏まえ、新たに抽出・整理した取り組むべき課題について、社外ステークホルダー16名(投資家3名、取引先5社、NGO1名、アドバイザリーボードメンバー3名、社外役員4名)と社内のキーメンバー11名で重要性評価を行いました。その結果を基に役員で議論を重ね、当社グループのマネジメントや業務とのつながりを総合的に考慮して統合し、社内決議及び取締役会報告を経て、5つのマテリアリティを特定いたしました。



④ 2024中期経営計画(2024-2026)
2025年3月期を初年度とする「2024中期経営計画」では、2030経営計画達成をより確実なものにするための2ndステージと位置づけ、キーメッセージを「飛躍に向けた成長軌道の確立」と定めております。
成長し続ける永続企業を目指して、重点領域の成長、経営基盤の強化に向け積極的な投資を継続するとともに、基盤領域及び機能部門を中心とした構造改革を推し進めております。ROICマネジメントの実践を通して、これらの戦略をスピードをもって引き続き実行することにより、成長性と資本収益性の好循環を生み出し、2030年に向けた成長軌道を確かなものにしてまいります。

⑤ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
重点領域による成長の牽引
「inゼリー」を中心としたin事業や「チョコモナカジャンボ」をはじめとした冷菓事業、「おいしいコラーゲンドリンク」などの通販事業の拡大、米国事業では「HI-CHEW」を中心としたブランド育成と事業基盤の強化など重点領域に経営資源を集中してまいります。
in事業においては、ゼリー飲料のトップランナーとして「inゼリー」のさらなるシーンとターゲットの拡大を進めるとともに次世代成長ドライバーを育成いたします。冷菓事業は独自価値を有する商品群の技術深耕により、強いものをより強くするとともに、価値提供領域を拡大していく「芽の創造」にも取り組むことで事業成長を実現してまいります。通販事業はこれまで蓄積してきた顧客データを活用し、1to1マーケティングの実践と顧客ニーズに応える商品・サービスの提供によって定期顧客の育成を図るとともに、DtoCの仕組みを構築し新たな事業領域への進出を目指します。米国事業においては、「HI-CHEW」のさらなる拡大と「Chargel」をはじめとした次世代成長ドライバーの育成を図るとともに、事業成長を支える基盤強化を着実に進めてまいります。
基盤領域の資本収益性向上
菓子食品事業においては、「ハイチュウ」「森永ビスケット」など主力ブランドへの集中によるカテゴリーポートフォリオの転換、保有資産を活かした売上高の拡大、維持更新投資の選択と集中による段階的アセットライト、コスト低減や販売費効率化、機動的な価格改定など高収益基盤の構築に向けて様々な取組みを実施してまいります。
さらなる成長に向けた取組み
ウェルネスを基軸に、国内では独自技術を活用した口腔ケア領域への挑戦や当社独自の素材であるパセノール™ビジネスの育成、海外では、ゼリー飲料やコラーゲンドリンクにおける市場創造の深耕に加え、MyMo Holdco, Inc.買収による米国冷菓市場への挑戦をスタートし、当社ブランドと技術によるシナジー発現での事業拡大に取り組んでまいります。また「HI-CHEW」においても、将来の新市場開拓として欧州での取組みを加速させてまいります。
機能部門の構造改革
製造部門のスマートファクトリー化のさらなる進化や市場変化を見据えた販売部門の組織最適化による生産性の向上、物流体制の変革により全社的な資本収益性の向上を図ってまいります。構造改革を支える人材育成の強化や職場環境のさらなる改善等、従業員のエンゲージメントを高める取組みを推進してまいります。
経営基盤の構築
成長軌道の確立に向け事業戦略を横断的に支える経営基盤を構築してまいります。
人事戦略では、「ダイバーシティ&インクルージョン」「人材育成・組織風土づくり」「健康経営の推進」の取組みを進め、人的資本経営を実践してまいります。また、R&D戦略ではグローバル視点の「既存技術深化」「新規技術探索」による価値の創出、DX戦略においてはデジタル経営基盤の拡張とAI技術等による業務高度化・効率化、経理財務戦略ではROICマネジメントの全社推進を行ってまいります。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「2024中期経営計画」における最終年度2027年3月期の経営目標・指標は以下のとおりであります。
(注)貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みの状況は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関する事項
① ガバナンス
当社グループのサステナビリティに関するリスクと機会の分析、目標設定、進捗モニタリングについては、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について取締役会が監督しております。サステナビリティへの取組みは、役員報酬の一部と連動しております。
多岐に渡るサステナビリティ活動を適切に推進するために、「サステナビリティ委員会」傘下には、各担当役員を委員長とした4つの部会を設置し、個々のテーマについて、管理・推進に取り組んでおります。

「サステナビリティ委員会」は2025年度に6回開催し、持続可能な原材料調達や、気候変動問題への対応など、全12議題を扱いました。「サステナビリティ委員会」での審議事項は、経営に関する様々な意思決定において考慮されております。
2025年度サステナビリティ委員会の開催実績と主な討議内容
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセス
パーパスに基づくサステナブル経営及びマテリアリティ特定プロセスについては、
マテリアリティに対する主なアクション
特定した5つのマテリアリティと、マテリアリティに含まれる主な課題に対して、リスクと機会を分析したうえで、2030年に向けたアクションを設定し、取組みを進めております。
マテリアリティ1.世界の人々のすこやかな生活への貢献
マテリアリティ2.多様な人材の活躍
(人的資本に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(2) 人的資本に関する事項(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)」をご参照ください。)
マテリアリティ3.持続可能なバリューチェーンの実現
マテリアリティ4.地球環境の保全
(気候変動に関する戦略並びに指標及び目標の詳細については、「(3) 気候変動に関する事項」をご参照ください。)
マテリアリティ5.サステナビリティガバナンスの強化
③ リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。サステナビリティに関して特に重要とされるリスクについても、同委員会にて適切に管理しております。また、サステナビリティに関するリスク全般については、「サステナビリティ委員会」にて管理し、対応策の進捗モニタリングを実施しております。
両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
④ 指標及び目標
特定したマテリアリティについて、2030年に向けた長期目標を設定しており、各目標に向けた進捗管理を実施しております。
(注)1 対象:当社が定義する<心の健康を深掘り><体の健康を加速><心の健康から体の健康へ進
化>した商品。人口割合はインテージ社SCI年間購入率(対象:全国15才~79才消費者)より
算出。今後、グローバルでのありたい姿の設定を検討。
2 当社調べ
3 FSSC22000、SQF Codes edition 9、JFS-B規格等
4 ISO10002
5 対象:グループ連結(一部非正規従業員を含む)
6 食料卸売を除くグループ連結。紙は製品の包材が対象。
7 対象:国内の森永製菓㈱製品。紙は製品の包材が対象。
8 グループ連結
9 対象:国内森永製菓㈱単体
10 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、
2019年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化等、食資源循環に戻すものを除き、
焼却・埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義。
11 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
12 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチック
への置換を含む)
(2) 人的資本に関する事項(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)
① ガバナンス
当社グループの人的資本に関するリスクと機会の分析、目標設定、進捗モニタリングについては、役員の人事やガバナンスに関しては、社外取締役を委員長とし、構成メンバーは社外取締役と代表取締役とする「役員人事報酬諮問委員会」、従業員の人事やガバナンスに関しては、代表取締役社長を委員長とする「人事委員会」にて審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について監督しております。
② 戦略
<人的資本経営の取組み>
当社グループは企業理念のもと2030ビジョンを掲げ、成長し続ける永続企業(サステナブルカンパニー)を目指しております。これを実現する原動力は「人」そしてその力を最大限に引き出すために、ダイバーシティ&インクルージョン(以降D&I)の推進を、経営戦略の中核に位置づけております。
多様な人材が尊重され、それぞれの違いが価値として活かされる環境こそが、多様化する顧客ニーズに対応し、将来的な価値創出につながる基盤であると捉え、「一人ひとりの個を活かす」というD&Iの根幹となる考え方を基に、2030経営計画と連動した形で、人的資本の価値を最大化するための投資を継続的に行ってまいります。
このように、当社グループが上記の経営戦略を推進するにあたっては、他の経営資本と同等又はそれ以上の割合で、人的資本に依存しております。したがって、以下に記載するような各種取組みは、当社グループにおける人的資本をさらに充実させ、持続可能にする上で、人的資本に一定程度の影響を与えるものと引き続き認識しております。
その上で、当社グループにおける人的資本にかかる機会としては、あらゆる企業活動の根底にある企業理念の存在、従業員の帰属意識やエンゲージメントの相対的な高さ、挑戦を促す人事制度の導入による新たな基盤の構築などが挙げられます。一方で、リスクとしては、労働市場における雇用の流動化や今後予測されるデジタル化の一層の進展による、従業員への能力開発の遅延などが挙げられます。こうした機会やリスクを体系的に認識した上で、当社グループとしては、以下の全体像をもとにして経営戦略と連動した人事戦略を着実に推進してまいります。
人事戦略においては、会社と従業員の相互信頼を基盤に、従業員の幸せを実現するとともに、エンゲージメントを高め、生産性を向上することで、社会に対して持続的な価値を提供し続けることを目指しております。そのために、D&Iの考え方を基軸にして、重要戦略である「人材育成」及び「健康経営の推進」に取り組むことで、従業員の自律的な成長を促し、能力をいかんなく発揮できる環境を整備してまいります。これらの戦略を遂行することで、従業員の「働きがい」と「働きやすさ」の両立を追求するとともに、多様な人材が活躍し、組織としての創造性と競争力を高める「人的資本経営」の実践に取り組んでまいります。

<重要戦略への取組み>
取組み1)人材育成
当社グループは全員活躍を掲げ、従業員一人ひとりが活躍できるような風土醸成を目指しております。2022年度より「プロティアン・キャリア(主体的かつ変幻自在なキャリア)」の考え方を中心に据え、従業員のキャリア自律を推進しつつ、「女性」「シニア」といった属性別の活躍に向けた施策も並行して実施しております。また、多様な人材の採用に積極的に取り組んでおります。
こうした考えのもと、「人材育成」については、「経営計画に連動した人材育成」と「個人のキャリア開発」との両立を目指しております。「経営計画に連動した人材育成」として、サクセッションプランの策定・推進、専門人材の確保・育成を実施するとともに、「個人のキャリア開発」を支援する取組み等を充実させております。
a.サクセッションプランの策定・推進
各階層候補者の継続的な育成に向けて、中長期的な視点で取組みを実施しております。
・役員候補
候補者を選抜し、8ヶ月間に及ぶプロフェッショナルコーチとの1対1のコーチングを通して、全社リーダーとしてのあり方などのテーマで、自ら気づきを得る機会を設けております。また、別の候補者を選抜し、グローバルスタンダードの経営哲学や価値観の習得を学ぶ外部研修に1年間派遣しております。それらにより、経営人材要件を備えた人材の継続的な育成に取り組んでおります。
・部長候補
他流試合型研修では、当社で選抜した従業員を派遣し、他社の選抜層とともに社会課題等をテーマにディスカッションを行っております。これにより、社会を捉える視野の拡大や、外部との共創力の醸成を図ってまいります。また、森永レシピ研修は、問題解決のフレームワークを学ぶワークショップで、2019年度にスタートして以降継続して実施しており、累計で約350名の受講者がおります。2026年度も継続して実施してまいります。
・マネジャー候補
30代の選抜社員に対し、9ヶ月にわたって次世代リーダーに求められる要件開発に取り組む研修を実施しております。現在5期まで実施しており、累計の受講者は62名であります。2026年度は5期メンバーのフォロー研修を実施いたします。また、次世代リーダー研修修了者の希望者を対象に、当社に勤務しながら、ベンチャー企業でのプロジェクト業務に副業として短期間参画し、越境体験の中で変化対応力を身に付ける機会を設けております。
b.専門性の高い人材の確保と育成
各業務領域において専門性の高い人材の確保、並びに重点分野を中心に高度な戦略を実行可能な人材の育成に取り組んでおります。2025年度は職務記述書と連動したグローバル人材定義マップによる計画的な育成を開始いたしました。DX人材、経理財務CFO人材についても高度な戦略実行が可能な人材の要件を再確認し、新たな育成プログラムを追加導入しております。2026年度は新たにR&D人材を対象に加え、各重点分野の人材要件に基づきながら全社視点で専門性の高い人材の育成を実施してまいります。
c.自律的な能力開発を推進する主な取組み
・人材育成プログラムによる育成
当社が定義する6つの能力の現状を上司と本人で把握し、さらに伸長させていくための育成メニューと連動させることで、計画的な能力開発に取り組んでおります。具体的には、年に1回、上司と本人が自身の能力に関するアセスメントを実施し、現状把握と能力開発に向けた対話の場を設けております。2025年度からは海外の現地法人など対象を拡大して実施しており、2026年度も継続して実施してまいります。
・従業員のキャリア自律の推進と主体的な学びの支援
従業員のWill・Can・Mustの重なりが増えることがキャリア自律を実現できている状態と捉え、さまざまな施策を組み合わせることでその支援を行っております。その上で、若手・中堅の従業員が自己理解の解像度を高め、変化に対応しようという意欲を持つことが重要と考え、2025年度は全社で約160名を対象に「30代向け対話型キャリアワークショップ」を実施いたしました。実施後のアンケートでは、『目指す姿と周囲からの期待・評価を客観的に捉え直すことができ、新たな気づきを得た』という感想が寄せられるなど、前向きな反応が見られました。

また、自己啓発用社内プラットフォーム「CO-MORI CAMPUS」では、集中的にキャリアに関するイベントや情報発信を実施する「MORINAGA CAREER MONTH」を試行し、参加者のさらなる増加につなげております。一例として、若手社員が目指したい部署で活躍する先輩社員と繋がり、疑問や不安を解消することを目的とした座談会型イベントを実施し、他部署理解の向上を促進しております。2026年度はさらなる活用促進に向けて、プラットフォームでの情報発信や周知強化に取り組んでまいります。

・社内公募
従業員の手挙げによる異動を可能とする仕組みを整備し、一部の部署を対象に運用しております。2025年度は、マーケティング本部や新規事業開発部などを中心に、7つの職種で社内公募を実施いたしました。2026年度も継続して実施してまいります。
d.多様な人材の活躍
・新卒採用
2025年度から品質保証コースを加え、事務系総合職4コース(マルチタレント・セールススペシャリスト・経理・IT)、技術系総合職4コース(研究開発・生産マネジメント・製造エキスパート・品質保証)計8コースにて、個人のキャリア意向や適性を踏まえた人材の採用につながるよう取り組んでおります。
・キャリア採用
2025年度のキャリア採用人数(登用者含む)は、全採用人数の28.9%となっております。今後も計画的に採用を継続してまいります。
・女性活躍推進
2025年度は、社外の女性経営者の基調講演や他社・管理職層との対話から自身のキャリアモデルとなる要素を見つけ、キャリアの軸となる重要な価値観等を再発見することを目的とした女性に特化した研修を実施いたしました。また、営業部門の女性に焦点を当て、彼女たちがより働きやすくなるための環境整備を目的としたプロジェクトにも継続的に取り組んだとともに、変革を実現できるリーダーを育成することを目的とした、外部研修プログラムへ女性従業員を派遣いたしました。さらに、2023年6月よりキャリア相談室を常設化し、育児と仕事の両立も含めた支援も継続しております。当社グループは女性だけでなく様々な背景を持つ多様な人材がより活躍できる労働環境の実現を図るため、D&Iポリシーに基づいた取組みを推進しておりますが、引き続き、女性活躍推進に向けた取組みも継続してまいります。
・ジェンダー平等の推進
多様な人材が意思決定に参画し、能力を発揮することが持続的成長に不可欠であるとの考えのもと、ジェンダー平等の推進に取り組んでおります。社内調査で明らかになったジェンダーに起因する意識や機会のギャップを課題とし、2025年度より全社プログラム「Gempower PROGRAM」を開始いたしました。本プログラムは、GenderとGenerationの視点を取り入れ、意識改革と機会創出の両面から、主体的にキャリアを描き挑戦できる環境づくりを目的としております。
2025年度は、女性管理職のキャリアを紹介するリレーインタビューや国際女性デーに合わせた啓発施策を通じ、理解促進と行動変容を推進いたしました。これまでも女性向け研修や外部研修への派遣、営業部門の働きやすさ向上施策、キャリア相談室の設置などにより支援体制を強化しております。今後もこれらの取組みを通じ、多様な人材の参画を促進し、意思決定の質と事業価値の向上を目指してまいります。
・多様な性の在り方に関する取組み
D&Iポリシーに基づき、LGBTQ+をはじめとする性的マイノリティを重要な多様性の一つと捉え、理解促進と環境整備の両面から取組みを推進しております。これまでに、就業規則における同性パートナーの配偶者認定や、トランスジェンダーに関する医療対応への休暇制度、オールジェンダートイレの設置など、誰もが安心して働ける職場環境の整備を進めてまいりました。
2025年度は、LGBTQ+に特化した外部相談サービスの導入に加え、プライド月間にあわせた社内映画上映会やニュースレター配信、アライワークショップの実施、アライガイドブックの整備、企業横断のアライプロジェクトへの参画など、理解の深化とアライの創出に重点を置いた施策を展開いたしました。これらの継続的な取組みが評価され、「PRIDE指標2025」において最高評価であるゴールドに初認定されました。今後も、性的指向や性自認にかかわらず、すべての従業員が自分らしく力を発揮できる職場環境の実現を目指してまいります。
e.シニア活躍推進
2022年度より50代従業員にキャリア自律の研修を実施しております。この内、Will×Can×Mustを自ら考え直すアンラーニング研修は4年間で累計328名が受講いたしました。また、アンラーニング研修の次ステップとして、自身の強みを市場性×希少性×再現性の観点で明確化する「自分の武器」探索ワークショップも試行し、多角的にキャリアを考え、その実現に向け前進するための施策を実施しております。自己研鑽の取組み事例増に加え、50代以上の従業員に関する社内アンケートでも貢献度が毎年向上しており、役職定年廃止などの人事制度改定を追い風とし、全社的なエイジズム解消に向けた取組みを継続的に実施いたします。
f.要員構成の最適化推進
中長期的視点で重点領域への人材配置のウェートを高めております。また、進捗のモニタリングを強化することで、実効性を担保し、会社としての生産性の向上を図っております。
g.職位者のマネジメント力・育成力の強化
2024年4月に、新たに職位を担うことになった従業員に対して実施する「新任職位者研修」の内容について、「目標達成責任」「人材育成責任」「労務管理責任」を網羅したカリキュラムへと変更いたしました。また、評価を含めた人材育成責任に関するインプットも強化することで、新任職位者のマネジメント力全般の底上げに取り組みました。
また各部門並びに職場において、D&Iの理解と行動を促進するため、さまざまな具体的施策を実施しております。2021年度からは、全社的な取組みとして、マネジメント層を対象にD&Iポリシー浸透研修を継続して実施しており、あわせて、D&Iにおいて重要な要素であるアンコンシャスバイアスに関する研修も行っております。さらに、多様性への理解を深めるためのセミナーやインプットの機会も提供しております。
2025年度にはROICマネジメントを現場に浸透させるため、職位者を対象にした研修を実施いたしました。
取組み2)健康経営の推進
当社グループが永続企業(サステナブルカンパニー)として、心と体をすこやかにする食を創造し、誰もが笑顔で過ごせる持続可能な社会の実現に貢献していくためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康であることが重要と考えております。そして、当社グループでは2030ビジョン「ウェルネスカンパニーへ生まれ変わる」を掲げており、下記のとおり、健康経営を推進しております。
a.基本方針と推進体制
・健康宣言
「森永製菓健康宣言」を指針に掲げ、従業員の「心と体の健康」を維持・増進する取組みを支援しております。従業員が健康でやりがいをもって働くことができる職場環境を整備することで、従業員の活力向上や生産性向上等を通した組織の活性化を実現し、当社グループの持続的な成長と社会により良い価値を提供することを目指しております。
・推進体制
代表取締役社長を委員長とする人事委員会の傘下に「健康推進部会」を設置し、「健康管理最高責任者(Chief Health Officer:CHO)」、人事部、森永健康保険組合、統括産業医及び産業保健スタッフで、理念や方針の策定、施策の検討・実施に関する意思決定を行っております。全国の主要事業所に配置される健康管理担当者、安全衛生スタッフが具体的な施策の展開を担い、従業員や家族の健康課題に継続的に向き合い、健康増進を進めております。

b.健康経営を推進する主な取組み
心の健康
・「こころく」
2023年度に従業員・顧客に「心の健康」を提供することを目指し、心が健康な状態を6つの要素で定義した「こころく」を策定いたしました。この「こころく」に基づき、従業員一人ひとりが日々の業務に落とし込み、自発的に行動している状態を推進することで、従業員エンゲージメントの向上と事業活動への貢献を目指しております。これまで、全社的な意識浸透を中心とした取組みを実施してまいりましたが、一定の浸透が図られたことから、現在は、D&I関連の研修において各マネジメント者が策定するアクションプランと「こころく」を連動させ、日々のマネジメントや業務における具体的な行動として実践する取組みへと移行しております。あわせて、経営トップによるメッセージ発信を継続し、当社グループ全従業員に対して、「心の健康」の推進と達成に向けた取組みを進めております。

・メンタルヘルス対策
「こころく」の理解・推進に向けた従業員向けセミナー等を開催しております。自己管理能力の向上やメンタルヘルスに対する意識を高めるため、職位者研修やセルフケアセミナーでの啓発を定期的に実施しております。また、ストレスチェックの受検率は制度導入以降95%以上を維持しており、従業員自らがストレスに気づく機会の提供と集団分析による環境改善に活かしております。さらに、社内外に専門的な相談窓口を設け、従業員が相談しやすい環境も整備しております。
体の健康
・全社健康増進イベント「ハビット」
従業員とご家族の健康づくりと生活習慣改善を目的に、一人ひとりが健康に関する目標を立てて運動や食生活改善などを行う森永健康保険組合独自の取組み「ハビット」は、今年で24回目を迎え、2025年度の参加者も昨年に引き続き2,200名を超えました。
・エイジフレンドリーな職場づくり
職場には様々な年齢層の従業員がおりますが、年齢に関係なく、すべての従業員が活躍するエイジフレンドリーな職場づくりに力を入れております。たとえば、豊富な知識と経験を持つ55歳以上の従業員の安全とさらなる活躍を支援するため、当社グループの工場において教育や体力測定、当社独自の転倒予防体操を展開し、全員が安全かつ健康的に長く働き続けることを目指した取組みを行っております。
労働環境の整備
・ヘルスリテラシーの向上
外部機関などからも講師を迎え、毎年「健康フォーラム」を開催しており、2025年度は「熱中症対策」「依存症に負けない脳の守り方」をテーマに実施いたしました。全国各地より110名以上の従業員がオンラインで参加したほか、2023年度からはお取引先様も招待し開催しております。
・総労働時間短縮に向けた取組み
健康を損ないかねない長時間労働を発生させないため、労働時間管理の精度向上をはじめ様々な施策を実施しております。また労働組合とともに「労働時間対策労使会議」を開催し、現状把握と対策について意見交換を行い、労働環境の改善に努めております。2024年度からは管理職も労働時間管理の対象に含め、取組み範囲を拡大しております。
・労働安全衛生の取組み
企業経営の基盤である労働安全衛生活動を「労働安全衛生方針」に沿って行っております。年齢・経験・言語・雇用関係・働く場所等の一人ひとりの違いにかかわらず、安全で働きやすい職場環境の維持・向上を目指しております。具体的には、従業員の安全と健康を最優先に考えた定期的な安全教育の実施や、職場の安全管理の徹底、事故や災害の予防活動等に取り組んでおります。
取組み3)外部評価
・「健康経営※優良法人2026(大規模法人部門)」認定
当社は「健康経営※優良法人2026(大規模法人部門)」に認定され、今回で9年連続の認定となり上位500法人である「ホワイト500」企業としての認定も受けました。
※健康経営は、NPO法人健康経営研究会の登録商標であります。
・「東京都スポーツ推進企業」認定
2023年度より引き続き、2025年度も「東京都スポーツ推進企業※」の認定を取得いたしました。ウェルネスカンパニーへの生まれ変わりを加速させるためにも、今後も継続的な認定取得を目指してまいります。
※始業時の体操や、ウォーキングイベントなど、従業員が行う運動や健康増進に向けて1つ以上取り組んでいる都内企業等が 認定の対象となるものであります。
取組み4)従業員との対話
従業員のエンゲージメントを高める取組みとして、経営トップと従業員との対話を大切にしております。経営トップが各事業所を訪問し、従業員と対話し、従業員の理解を深めるよう取り組んでまいりました。さらに、CEO・COOの新体制がスタートしたことを受けて、2025年度からは新たにCOOが中心となり、従業員との対話の取組みを継続しております。結果として、2021年度から2025年度にかけて、海外グループ会社を含む約2,700名、計185回にわたり、従業員とのディスカッションを開催し、トップの想いを幅広く共有しております。とりわけ、2023年度から取り組んでまいりました少人数での対話を重視しながら、今後も重要取組みとして従業員との対話を継続してまいります。
③ リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策立案と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。人的資本に関して特に重要とされるリスクについても、同委員会にて適切に管理しております。また、人的資本に関するリスク全般については「人事委員会」にて管理し、対応策の進捗モニタリングを実施しております。両委員会で審議された内容は取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
④指標及び目標
(注)1 対象範囲:国内グループ連結
(注)2 対象範囲:森永製菓㈱単体
(注)3 対象範囲:森永製菓㈱工場及び国内生産グループ会社
度数率:100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者(不休災害による傷病者は含まず)
をもって労働災害発生の頻度を表しております。
(3) 気候変動に関する事項
当社グループでは、気候変動と自然資本・生物多様性を事業の継続や持続的な成長に影響を及ぼす重要な課題と認識しております。また当社グループは、多くの自然資本に依存して事業を行っており、自然資本・生物多様性の維持と保全も重要な取組みテーマであります。
気候変動については、金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に2022年4月に賛同し、気候変動シナリオ分析を行うなど、TCFD提言への対応を進めております。自然関連については、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言を参照し、LEAPアプローチなどにより自然資本への依存と影響、及びリスクと機会を整理しております。
気候変動と自然資本・生物多様性の問題は密接に関わっているため、それらを統合的に捉えて対応を進めております。
① ガバナンス
気候変動・自然資本・生物多様性に関する検討については、サステナビリティ委員会の部会である「TCFD・TNFD部会」にて実施しております。TCFD・TNFDの各提言に沿って、依存と影響やリスクと機会の分析、対応策の検討等を実施しております。同部会は、サステナブル経営推進部の担当役員である上席執行役員が委員長を務めております。検討結果については、サステナビリティ委員会で審議され、取締役会はその報告を受けるとともに、活動状況について監督しております。

② 戦略
気候変動に関する分析
当社の国内食料品製造事業について、4℃シナリオ、2℃シナリオ及び1.5℃シナリオを設定し、2030年及び2050年の影響を分析いたしました。気候変動によるリスクと機会の特定及び評価、またそれらのリスクや機会が当社グループのビジネス・戦略・財務に及ぼす影響の分析にあたって、政府機関及び研究機関が開示するシナリオを参照いたしました。
※参照したシナリオ等
<当社グループの重要度の高いリスク>
(注)財務影響が及ぶ売上高規模と費用規模、影響が及ぶ期間等について評価し、最終的な重要度を判定
<当社グループの重要度の高い機会>
(注)1 財務影響が及ぶ売上高規模と費用規模、影響が及ぶ期間等について評価し、最終的な重要度を判定
2 スマートファクトリー化:IoT・AI技術等を利用して、技術と製造設備のデジタルデータを融合
し、安定稼働・生産効率を向上させる取組み
3 「1チョコ for 1スマイル」:対象商品の売上高の一部でカカオ生産国の子どもたちの教育環境改善
やカカオ農家の収入向上等を支援する活動
自然資本に関する分析
TNFDフレームワークとTNFDが提唱するLEAPアプローチを参考とし、当社グループの自然資本への依存と影響、リスク・機会の分析等を実施しております。
当社グループの主な事業である食品の製造に関する依存と影響と、当社グループの主要な原材料のうち、カカオ、パーム、木材(紙)の生産について依存と影響を確認いたしました。外部ツールを利用して、依存16項目と影響9項目の計25項目を評価し、依存度・影響度が大きい、やや大きいと評価された19項目の結果が下図であります。食品の製造については、特に水の供給に依存しております。カカオやパーム、木材(紙)の生産においては、良質な土壌や水、気候の調整等の多くの自然資本に依存し、また、農地の拡大や森林破壊等によって生物多様性に影響を及ぼす可能性があることをあらためて理解いたしました。

③ リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。気候変動と自然資本・生物多様性に関するリスクについても、同委員会にて、経営リスクとして適切に管理し、対応を推進しております。また、TCFD・TNFDの各提言に沿った検討については、「TCFD・TNFD部会」において実施し、その結果を「サステナビリティ委員会」にて審議しております。両委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っております。
④ 指標及び目標
当社グループでは、気候変動リスクの緩和と自然資本への影響低減に向けて、以下目標に取り組んでまいります。
●2050年度 GHG排出量 実質ゼロ(注)1
●2030年度 CO₂排出量 30%以上削減(注)2
●2030年度「inゼリー」のプラスチック使用量 25%以上削減(注)3
●2030年度 フードロス 70%以上削減(注)4
●2030年度 持続可能な原材料調達:カカオ豆、パーム油、紙において100%(注)5
(注)1 グループ連結
(注)2 Scope1+2(国内グループ連結、2018年度比)
(注)3 対象:包装材料におけるプラスチック使用量(原単位、2019年度比、バイオマスプラスチックへの置
換を含む)
(注)4 対象:原料受け入れから納品(流通)までに発生するフードロス(国内グループ連結、原単位、2019
年度比)。発生した食品廃棄物のうち、飼料化・肥料化など、食資源循環に戻すものを除き、焼却・
埋め立て等により処理・処分されたものを「フードロス」と定義。
(注)5 食料卸売を除くグループ連結。紙は製品の包材が対象。
(4) 人権の尊重に関する事項
当社グループでは、事業を行う過程で直接又は間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識しており、ビジネスに関わるすべての人々の人権を尊重する責任を果たすために、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「森永製菓グループ人権方針」を2023年に取締役会決議により改定し、本方針に基づいて人権尊重に取り組んでおります。
① ガバナンス
人権の尊重に関する取組みについて、「コンプライアンス委員会」と「サステナビリティ委員会」にて対応を議論する体制としております。当社グループ内で懸念が生じた場合及び匿名報告が可能なヘルプラインに情報が届いた場合はコンプライアンス委員会へ報告し、社外で発生した場合はサステナブル経営推進部が情報を取りまとめてサステナビリティ委員会に報告いたします。取締役会は、両委員会から報告を受けるとともに、活動状況について監督しております。
「サステナビリティ委員会」の傘下に「人権部会」を設置しており、「人権部会」は、サステナブル経営推進部の担当役員である上席執行役員が委員長を務めております。

② リスク管理
当社グループでは、代表取締役社長を委員長とする「トータルリスクマネジメント委員会」において、リスクの洗出しやレベル評価、リスクへの対応策検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。人権に関するリスクについても、同委員会にて、経営リスクとして適切に管理し、対応を推進しております。また、従業員に対しては、コンプライアンス・アンケートを実施し、リスクの把握に努めております。人権デューディリジェンスの評価結果については、「サステナビリティ委員会」にて審議しております。以上の委員会で審議された内容は、取締役会へ報告され、取締役会はリスクの管理状況について監督しております。
以上により、全社のリスクを経営で適切に管理し、事業運営を行っております。
③ 人権尊重に向けた取組み
当社グループでは、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、人権方針の策定、人権デューディリジェンスの実施、救済メカニズムの構築を推進しております。
<人権マネジメントの強化に向けたロードマップ>
a.人権方針改定
2023年に、有識者・専門家にご意見を伺いながら、「森永製菓グループ人権方針」を改定し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際的な枠組みと規範を尊重することを宣言いたしました。その中で、差別・ハラスメント・児童労働・強制労働・人身取引の排除に加え、生活賃金を満たす賃金の実現に努めること、採用と処遇におけるジェンダーをはじめとする差別の排除、子どもに負の影響を及ぼす広告を実施しないこと等を明示しております。また、2025年に、当社が「子どもの権利条約」と「子どもの権利とビジネス原則」を尊重することを明示する改定を行っております。
b.人権デューディリジェンスの実施
2022年に、当社グループの事業が及ぼす人権への負の影響について机上評価を実施いたしました。現時点では、当社グループの内外での製造過程において、労働安全衛生や外国人労働者の権利への配慮等がこれまで以上に求められていることや、原材料においては、カカオ生産地での児童労働以外にも賃金や労働時間に関連した様々な課題が潜在することを、改めて認識いたしました。2024年度は、グループ内の工場においてCSRセルフアセスメントを実施、2024年度・2025年度は原材料サプライヤーの皆様にCSR調達アンケートを実施し、人権・環境等への取組み状況の把握を行いました。また、2025年度は、当社グループで働くベトナムからの特定技能外国人に向けて、ベトナム語版のコンプライアンス研修を実施いたしました。実際に工場の労働現場の確認を行うとともに、外国人労働者と対話を実施し、人権リスクの抽出・是正に努めております。
また、企業活動における人権リスクを防止・軽減するため、2022年度は役員、2024年度は従業員を対象に「ビジネスと人権」の研修を実施いたしました。引き続き、机上評価にて特定された負の影響への対応等に取り組んでおります。
c. 救済メカニズムの構築
2022年に設立された一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に発足時メンバーの一員として加入し、その苦情通報の仕組みと専門家の助言の活用を開始しております。JaCERが提供する、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した「対話救済プラットフォーム」を通して、既存のヘルプラインに加えて社外や海外からも通報を受け付けることが可能になりました。通報者に対しては、専門家の助言を受けながら適切な対応に努め、ビジネスと人権の課題解決に向けて取り組んでおります。
(1) リスクマネジメント体制
当社グループは、事業活動に潜在する様々なリスクを把握し、トータルリスクマネジメントの理念のもとリスクに対し適切な対応を図るべく取り組んでおります。事業活動に潜在するリスクに対応するため、内部統制システムの一環として「トータルリスクマネジメント規程」を制定し、想定されるリスクを分類・評価して平常時における予防策を実施しております。またトータルリスクマネジメントを組織横断的に検討・主管・実施する組織として、取締役が参加する「トータルリスクマネジメント委員会」を設置し、協議内容を取締役会に報告しております。
(2) リスクの把握と管理
当社グループは、「トータルリスクマネジメント規程」に基づき、想定リスクの把握とリスクの影響度・発生頻度の評価を行い「トータルリスクマップ」を作成し、リスク対応の優先順位を見直し・決定をしております。優先的に対応すべきリスクは、リスク対応策の立案部門と実施部門を明確にし、立案部門はリスク対応策の立案と実施状況のモニタリング、改善策の策定を行い「トータルリスクマネジメント委員会」に報告する、一連のPDCAを回しております。また災害発生時においても、事業継続を確実に行うために、主要商品について事業継続マネジメント(BCM)の円滑な運用が図れるよう定期的に見直しを行い、その結果を「トータルリスクマネジメント委員会」に報告しております。
◆リスクマネジメント体制図

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、業績及び財政状態等に影響を与え、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスク事項には、次のようなものがあります。
なお、本事項の文中に将来に関する事項が含まれており、有価証券報告書提出日(2026年6月25日)現在において判断したものであります。
(3) 短期・中期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
(4) 中期・長期の視点から事業、業績及び財政状態等に影響を与える可能性のある重要なリスク
なお、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある要素は、上記だけに限定されるものではありません。
(重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
■2026年3月期実績

(注)1 EBITDAは簡易版を使用→営業利益+減価償却費
2 2025年11月発表値
3 在外子会社換算レートは、1米ドル=150.77円。前同は151.58円。
■2026年3月期実績:セグメント情報

※連結子会社の決算日統一に伴い、以下のとおり前期比較は月ずれが生じております。
事業子会社等に包含しているアントステラ(前期 3-2月、当期 4-3月)、海外子会社(前期 1-12月、当期 4-3月)
(注)1 inブランドを冠したキャンディ、チョコレート等の商品は菓子食品事業に含む。
2 中国・台湾の米国向け輸出に係る利益を含む。
3 現地通貨ベースの売上高前期比は97.0%
② 財政状態の状況
財政状態は次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,058億2千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億6千万円増加しております。これは主に、現金及び預金が米国第2工場の建設に係る支出並びに配当等の支払や自己株式取得等により46億4千3百万円減少した一方で、増収に伴う受取手形及び売掛金が11億8百万円、原材料及び貯蔵品が14億4千2百万円、原材料の有償支給に係る未収金を含む流動資産のその他が22億5千9百万円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、1,200億9千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ147億7千5百万円増加しております。これは主に、建物及び構築物(純額)が14億8千2百万円、機械装置及び運搬具(純額)が29億5千4百万円減少した一方で、建設仮勘定が148億3千3百万円、数理計算上の差異により退職給付に係る資産が63億2千8百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、575億8千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ56億9千6百万円増加しております。これは主に、借り換えに伴い短期借入金が30億円、未払金が15億8千4百万円、未払法人税等が25億8千6百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、246億4千万円となり、前連結会計年度末に比べ10億6千3百万円減少しております。これは主に、繰延税金負債が21億2千5百万円増加した一方で、借り換えにより長期借入金が30億円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、1,436億9千6百万円で、前連結会計年度末に比べ113億3百万円増加しております。これは主に、株主還元の強化により、配当金の支払い78億9千3百万円や自己株式の取得48億8千6百万円により減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益177億6千5百万円の計上による増加や数理計算上の差異により退職給付に係る調整累計額が41億3千5百万円増加したこと等によるものであります。
以上により自己資本比率は、62.8%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ51億1千9百万円減少し、257億2千6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は236億3千7百万円となりました。主な内容は、棚卸資産の増加額22億2千9百万円、法人税等の支払額50億4千9百万円といった資金減少の一方、税金等調整前当期純利益253億2千7百万円、減価償却費101億6千万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は142億8千9百万円となりました。主な内容は、有形固定資産の取得による支出169億8千6百万円、投資有価証券の売却による収入36億5千8百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は132億3千6百万円となりました。主な内容は、自己株式の取得による支出47億5千4百万円、配当金の支払額78億9千3百万円によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 金額は、販売価格(内部取引価格を含む)によっております。
2 「食料卸売」及び「不動産及びサービス」のセグメントについては、該当事項はありません。
主要製品の受注生産は、行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注)前連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、連結子会社の決算日を3月31日に統一しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)3 連結子会社の事業年度等に関する事項」をご覧ください。
当連結会計年度の我が国の経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の堅調な推移を背景に、内需を中心として緩やかな回復基調で推移しました。一方で、期中を通じて継続した物価上昇の影響により、消費者マインドには慎重さが残り、個人消費は底堅さを維持しつつも、伸び悩む推移となりました。また、各国の通商政策や不安定な国際情勢による世界経済の先行き不透明感が続く中、事業活動を取り巻く環境には引き続き不確実性が残る状況です。
このような中、当社グループは「2030経営計画」の達成に向けて、その道筋をつくる2ndステージである「2024中期経営計画」の2期目として、引き続き飛躍に向けた成長軌道の確立に向けて成長性と資本収益性の好循環を生み出すべく、各事業の強化を図ってまいりました。
その結果、売上高は、主に好調な菓子食品事業、冷菓事業が牽引し、2,366億7千2百万円と前年実績に比べ77億1千5百万円(3.4%)の増収となりました。
損益については、原材料価格の高騰や物流費の増加、経営基盤の強化に向けたDXや人的資本への投資などがありましたが、増収及び価格改定・コストダウンを中心とした打ち返しにより、営業利益は前年実績に比べ11億2千8百万円(5.3%)増益の223億9千4百万円、経常利益も前年実績に比べ3億5千5百万円(1.6%)増益の226億5千9百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前年実績に比べ5千5百万円(0.3%)増益の177億6千5百万円となりました。
■営業利益増減分析

(注)1 FY25の実績調達レートは 1米ドル=150.18円、FY24は同150.55円
2 売上原価計上分のみ
セグメントの業績は、次のとおりであります。
<食料品製造>
菓子食品事業
ビスケットカテゴリーでは、「森永ビスケット」は9月に実施した価格改定による一時的な影響もありましたが、着実に需要を回復し、前年実績を上回りました。
キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」は、発売50周年を切り口としたプロモーションなどにより需要喚起に取り組みました。食感訴求を強化した「ハイチュウミニ」が好調を継続した一方、「ハイチュウプレミアム」の販売が伸び悩み、ブランド全体で前年実績をわずかに下回りました。「森永ラムネ」は、受験生に向けたプロモーションと店頭露出の強化により、パウチ形態の「大粒ラムネ」、ボトル形態いずれも好調が継続したほか、「生ラムネ玉」の販売好調も寄与し、前年実績を大きく上回りました。
チョコレートカテゴリーでは、「カレ・ド・ショコラ」は、6月に実施した価格改定以降もハイカカオの健康需要拡大による「カカオ70」の好調が継続したほか、1月の期間限定品の販売好調も寄与し、前年実績を上回りました。「ダース」は、高単価商品が苦戦しましたが、基幹品の「ダース<ミルク>」「白いダース」は9月の価格改定以降も堅調に推移し、前年実績並みとなりました。「チョコボール」は、“おもちゃのカンヅメ”のプロモーション刷新など、断続的な話題喚起により基幹品の好調が継続し、前年実績を上回りました。
食品カテゴリーでは、「森永ココア」は、引き続き健康ブランドとして需要喚起に取り組み、9月の価格改定以降も「純ココア」を中心に好調に推移し、前年実績を大きく上回りました。「森永甘酒」は、前年実績を下回りました。
なお、原材料等のコストアップへの対応として、昨年2月・3月にチョコレートカテゴリー及びココアの一部商品、6月に「カレ・ド・ショコラ」、9月にチョコレート及びビスケットカテゴリー、ココアなど食品カテゴリーの一部商品において価格改定・内容量の減量を実施しました。さらに、一部商品では商品規格を見直す等の対策も講じております。これらの取組みの結果、収益性は着実に改善しております。
これらの結果、菓子食品事業全体の売上高は889億5千7百万円と前年実績に比べ45億2千1百万円(5.4%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰を増収及び価格改定・コストダウン等の取組みで打ち返し、営業利益は前年実績に比べ42億4千6百万円(108.4%)増益の81億6千3百万円となりました。
冷菓事業
「ジャンボ」グループは、TVCMやポップアップショップを通じた「バニラモナカジャンボ」の認知拡大も奏功し、9月の価格改定以降も販売は好調に推移しました。その結果、グループ全体で前年実績を上回りました。「板チョコアイス」は、基幹品の好調な推移に加え、新商品「板チョコアイス マカダミア」の発売も寄与し、前年実績を上回りました。「ザ・クレープ」は、期間限定品の発売や消費者キャンペーンの展開など、顧客接点拡大に取り組んだ結果、9月の価格改定以降も好調が継続し、前年実績を大きく上回りました。「アイスボックス」は、割材としての活用を訴求するプロモーションなど、秋冬の需要喚起と店頭での取り扱い拡大に取り組み、引き続き好調に推移しました。
なお、原材料等のコストアップに対する収益改善策として、主力品について、9月に価格改定・内容量の減量を実施しております。
これらの結果、冷菓事業全体の売上高は535億2千8百万円と前年実績に比べ41億6千8百万円(8.4%)増となりました。
損益については、原材料価格の高騰や物流費の増加を増収及び価格改定効果で打ち返し、営業利益は前年実績に比べ7億5百万円(16.5%)増益の49億6千3百万円となりました。
in事業
「inゼリー」は、日常生活における飲用シーンの訴求に取り組む中で、「エネルギーブドウ糖」は堅調に推移しましたが、「エネルギー」を中心とする基幹品の苦戦により、前年実績を下回りました。「inバー」は、直近ではメインフレーバーの好調に加え、プロテインバーから栄養バランス食品へと領域を拡大した新商品の発売によりターゲット層の拡大を図っておりますが、通期としては前年実績を下回りました。
これらの結果、in事業全体の売上高は299億5千5百万円と前年実績に比べ13億8千4百万円(4.4%)減となりました。
損益については、減収や物流費の増加により、営業利益は前年実績に比べ14億1千2百万円(19.3%)減益の58億8千8百万円となりました。
通販事業
「おいしいコラーゲンドリンク」は、節約志向の高まりや昨年4月に実施した価格改定による解約等の影響が残る中で、顧客獲得効率を踏まえた広告投下により、顧客基盤の拡大に取り組みましたが、ブランド全体で前年実績を下回りました。「おいしい青汁」は、前年実績を下回りました。
これらの結果、通販事業全体の売上高は107億4千8百万円と前年実績に比べ4億3千6百万円(3.9%)減となりました。
損益については、価格改定効果に加え、顧客獲得効率の状況に応じて広告投資を抑制したことにより、営業利益は前年実績に比べ2億3千6百万円(49.4%)増益の7億1千4百万円となりました。
事業子会社等
㈱アントステラは、原材料や人件費等のコストアップに対する収益改善策として10月に価格改定を実施しました。販売については、大手量販店の銘店コーナーへの出店拡大などに取り組みましたが、前年実績を下回りました。森永市場開発㈱は、テーマパークにおける販売が好調に推移したほか、アンテナショップにおける販売も好調を継続し、前年実績を上回りました。
これらの結果、事業子会社等全体の売上高は112億7千6百万円と前年実績に比べ3千5百万円(0.3%)増となりました。
損益については、営業利益は前年実績に比べ3億7千1百万円(106.9%)増益の7億1千8百万円となりました。
[国内における主な商品の前年比 (単位:%)]
※表中の数値は国内販売実績にて算出
米国事業
「HI-CHEW」は、食品スーパーチャネルにおける取り扱いSKU数の拡大や新規チャネルの開拓、季節催事における販売促進に取り組みました。一方で、インフレに伴う消費低迷によりコンビニチャネルにおける販売が引き続き伸び悩んだことや、カカオ高騰を背景に大手菓子メーカーがキャンディカテゴリーへの注力を強めたことで、競争環境が一層激化したことの影響などもあり、ブランド全体で前年実績を下回りました。ゼリー飲料「Chargel」は、サンプリング活動やタグラインの刷新などを通じて、商品理解の促進や日常的なシーンにおける需要獲得に向けた取組みを進めております。
なお、原材料や人件費、物流費等のコストアップに対する収益改善策として、11月に一部商品において価格改定を実施しております。
これらの結果、米国事業全体の売上高は202億1千4百万円と前年実績に比べ7億4千2百万円(3.5%)減となりました。
損益については、減収や原材料価格の高騰に加え、米国の関税政策による影響、並びに競争環境激化への対応として店頭での販促を強化したことによる販売促進費の増加により、営業利益は前年実績に比べ17億5千4百万円(57.3%)減益の13億1千万円となりました。
中国・台湾・輸出等
中国では、「HI-CHEW」が店舗・ネット販売ともに伸長し、好調に推移しました。台湾では、「inゼリー」の販売が好調を継続したほか、「HI-CHEW」も堅調に推移しました。探索・研究領域である東アジア・東南アジア・オセアニア地区や欧州においても、「HI-CHEW」のグローバルブランドとしてのさらなる拡大に向けて、取組みを進めております。
これらの結果、中国・台湾・輸出等全体の売上高は104億8千6百万円と前年実績に比べ14億2千6百万円(15.7%)増となりました。
営業利益は前年実績に比べ7千3百万円(14.7%)増益の5億6千9百万円となりました。
以上の結果、<食料品製造>の売上高は2,251億6千7百万円と前年実績に比べ75億8千9百万円(3.5%)増となりました。セグメント利益は223億2千7百万円と前年実績に比べ24億6千5百万円(12.4%)の増益となりました。
<食料卸売>
売上高は87億9千8百万円と前年実績に比べ1億8百万円(1.2%)増となりました。セグメント利益は前年実績に比べ7億5千1百万円(52.1%)減益の6億9千万円となりました。
<不動産及びサービス>
売上高は、18億9千7百万円と前年実績に比べ2千7百万円(1.4%)増となりました。セグメント利益は8億8千万円と前年実績に比べ7千9百万円(9.8%)の増益となりました。
<その他>
売上高8億9百万円、セグメント利益1億4千5百万円であります。
② 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
<2024中期経営計画の進捗>
当社グループは「2030経営計画」の達成に向けて、その道筋をつくる2ndステージとして「2024中期経営計画」を策定し、飛躍に向けた成長軌道の確立に向けて成長性と資本収益性の好循環を生み出すべく、各事業の強化を図っております。その2期目にあたる2025年度の売上高は、前年同期実績に比べ3.4%の増収となり5期連続で過去最高を達成し、営業利益も過去最高を更新いたしました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期実績並みとなりました。原材料価格の高騰や物流費の増加、経営基盤の強化に向けたDXや人的資本への投資等がありましたが、増収及び価格改定・コストダウンを中心とした打ち返しにより、増収増益及び売上高営業利益率を改善いたしました。
基盤領域では菓子食品事業、重点領域では冷菓事業がそれぞれ増収を牽引し、特に菓子食品事業においては価格改定・コストダウン等により収益性を大幅に改善いたしました。一方、重点領域であるin事業、米国事業は環境変化の中で苦戦いたしました。その結果、重点領域売上高比率及び海外売上高比率は前期と比較してやや低下いたしました。事業ポートフォリオ転換を見据える中で、重点領域売上高比率の低下は課題であり、収益性の高いin事業、グローバル戦略の要である米国事業を中心に、改めて成長軌道を確立していく必要があると認識しております。
また、2025年度のROEは、株主還元の強化や政策保有株式等の非事業資産の売却等により13.0%となりました。株主総利回り(TSR)は、株価水準の切り上がりと、2014年度から2025年度にかけて11期連続での増配により、前年に引き続き100%を超える水準(150.5%)となりました。

(注) 貸方アプローチで算出 計算式:NOPAT÷投下資本(有利子負債+株主資本)

(注)2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値
2018・2019年度は当該会計基準等を遡って適用したと仮定した概算値

(注)2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」 (注)2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」
(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用 (企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値 2020年度以前に係る数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値

(注)1 2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施
2022年度以前の数値は当該株式分割を遡って適用した後の数値
(注)2 TSR (各事業年度末日の株価+各事業年度の4事業年度前から各事業年度までの1株当たり配当額の累計額)
÷各事業年度の5事業年度前の末日の株価
<森永製菓グループの財務課題>
企業価値向上を資本市場の視点で評価する指標の一つである株価純資産倍率(PBR)は、2018年度より下降傾向でしたが、2022年度を底に株価上昇と資本収益性の回復を受けて上昇に転じ、2025年度末には約1.6倍となりました。今後も持続的な企業価値向上は当社グループにとって最も重要な財務課題として取り組んでまいります。
次にPBRの構成要素であるROEとPERについてですが、ROEは、相対的に収益性の高い冷菓事業やin事業等の成長を促進し、概ね2桁水準を維持しております。新型コロナウイルス感染症の拡大や原材料価格等の高騰といった急激な外部環境の変化もあり、2022年度には7.9%まで低下いたしました。しかし、増収及び価格改定効果等によって事業収益性の維持・改善を図ると同時に、株主還元策の強化並びに政策保有株の縮減や保有不動産の売却等を通じて、手元流動性水準の調整や非事業資産の圧縮を進めたことによる総資産回転率の上昇により、2025年度のROEは13.0%となりました。引き続き、当社グループの株主資本コスト(7~8%と推測)を中長期にわたり安定的に上回ることができる事業基盤の構築を目指してまいります。
PERについては、前年より改善し12.8倍となりました。さらなるPER改善に向けて、将来の事業成長に対する資本市場の期待をさらに高めること、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築やサステナブル経営の徹底による長期事業リスクの低減を図ることが重要と認識しております。

(注)政策保有株式売却に伴う特別利益を除いた場合は10.1%

(注)1 2021年度の期初より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月)等を適用
2020年度に係る各数値については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値
2018・2019年度は当該会計基準等を遡って適用したと仮定した概算値
(注)2 売上高当期純利益率は、政策保有株式売却に伴う特別利益の影響を除いた数値(含む場合15.3%)
<財務戦略骨子>
当社グループの基本方針は、積極的な成長投資と安定した財務基盤を維持することにより、持続的な企業価値向上と継続的かつ安定的な株主還元を実現していくことであります。引き続き、2030経営計画の達成に向けて、「資本コストや株価を意識した経営」を実践し、企業価値を最大化することですべてのステークホルダーに貢献することを目指してまいります。
当社グループでは、企業価値(株主価値)を示す代表指標の一つであるPBRに着目し、その構成要素であるROEの向上とPERの上昇を狙いとして、以下に挙げる3つの主要財務戦略を実行いたします。

<戦略① ROICマネジメントの実践による成長力と資本収益性の向上>
当社グループは、中長期的な企業価値向上を図るために、ROICマネジメントを実践し、最適な事業ポートフォリオを形成することで「成長軌道の確立」に向けた成長性と資本収益性の好循環を生み出してまいります。そのため「成長性」と「資本収益性」の2軸で事業を分析し、各事業の中長期的な戦略・施策を決定いたします。成長を加速する事業、資本収益性を改善する事業を見定め、投資先・投資規模を含めて、経営資源の最適な配分を行ってまいります。
主に2030経営計画で定める重点領域に対して、事業提携やM&A等のインオーガニック成長や当社グループのマテリアリティへの対応による新たな事業機会の創出を含めて、戦略的な成長投資を最優先に実施し、飛躍的な成長を促してまいります。一方、相対的にROIC水準が低い基盤領域等の事業においては、主に収益性や投下資本効率の改善を通じて「資本収益性」の改善に取り組んでまいります。具体的には、保有資産を活かした売上高拡大を志向しつつ、維持更新投資の選択と集中により、段階的なアセットライトを推進してまいります。同時に、コスト低減、機動的な価格改定等の収益性改善施策を展開いたします。
こうした取組みを全社一丸となって進めるため、2025年度においては、経営層から管理職を対象として、それぞれの役割に応じたROICマネジメントの深化に向けた研修を実施いたしました。従業員の会計リテラシー向上に加え、ROICツリーと実務の結びつきを正確に把握することで、取組みの加速を図ってまいります。
これらを通じて、2024中期経営計画における各事業のミッションや具体的な取組みの考え方を明確化するとともに、成長性と資本収益性の中期目標を事業毎に定めました。同中期経営計画期間においては、重点領域は成長軌道の確立に向けて成長投資を先行して行ってまいります。一方、基盤領域である菓子食品事業については資本収益性の改善を重視し、現状6~7%程度と推計される全社WACC(加重平均資本コスト)を上回る8%以上を目指して取り組んでまいります。
また、個別の投資の実行にあたっては、投資決定基準に基づき案件評価を厳格に行い、投資回収状況を継続的にフォローしながら、資本コストを意識した投資管理を行ってまいります。


(注)1 連結ROICは貸方アプローチ、事業別ROICは借方アプローチ(現預金・投資有価証券等の非事業用資産は投下資本に含まない)で算出
(注)2 米国事業の売上高CAGRは現地通貨ベース
(注)3 2023年度から2026年度のCAGR
<戦略② 財務安全性の確保と資本コストの低減>
当社グループは、外的経営環境の急変や戦略的大型投資案件(M&A等)の発現に備え、一定水準の財務安全性と投資余力を確保することを基本方針としております。財務安全性の基準としては、㈱日本格付研究所(JCR)における長期発行体格付「A」以上を維持することを原則としております。また、手元流動性、ネットD/Eレシオ、有利子負債/EBITDA倍率といった財務指標をモニタリングして財務安全性を確保してまいります。そのうえで、投資資金需要を満たすための資金調達にあたっては、適切な手元資金の水準、資金調達コストの水準等の調達条件、財務安全性指標やROE・ROICといった財務指標への影響等を総合的に勘案し決定いたします。


また、当社グループは、企業価値の向上に向けて資本コストの低減に取り組んでまいります。現状のネットキャッシュの状況に対し、財務安全性や投資資金需要を見極めたうえで、有利子負債の構成を高め、財務レバレッジを活用することで、現状6~7%程度と推計されるWACC(加重平均資本コスト)の低減を図ってまいります。
株主資本コストは7~8%程度と推計されますが、その低減にあたっては、環境変化に強い事業ポートフォリオの構築やサステナブル経営の推進による長期事業リスクの低減が重要と認識しております。そのため、当社グループのマテリアリティへの対応を進めるとともに、無形投資(広告・R&D・DX・人材等)を強化し、持続的な事業成長力を高めてまいります。
また、政策保有株式のさらなる縮減、非事業不動産等の売却・処分推進等のアセットライトにより、投下資本の圧縮と成長投資資金の確保を図るとともに、資産価値変動リスクを低減いたします。そのうち政策保有株式については、2024中期経営計画期間終了までに2024年度末より半減させることを掲げており、2025年度は時価総額で36億円の売却を実施いたしました。引き続きアセットライトを進めてまいります。さらに、財務・非財務情報の開示や株主・投資家との対話を強化し、中長期的事業成長への取組み、事業リスク等への対応状況等をご理解いただき、適正な株価形成によって株価ボラティリティを抑制してまいります。


(注)みなし保有株式は含まない
<戦略③ 株主還元の強化>
当社グループは、戦略的かつ重要な事業投資を優先することを原則としつつ、株主の皆様への利益還元について、経営基盤の盤石化を進めながら、継続的かつ安定的な株主還元を実施することを基本方針としております。
株主還元にあたっては、健全なバランスシートを維持することを前提に、配当性向の水準、フリーキャッシュ・フローを考慮しながら、資本政策の指標である純資産配当率(DOE)の水準を中長期的に引き上げていくことを目指してまいります。また、総還元性向を意識して、投資資金需要を考慮しつつ、必要に応じ自己株式の取得を機動的に実施することも検討してまいります。
2024中期経営計画期間においては、3年間で360億円以上(注5)の株主還元の実現を目標として掲げております。2024中期経営計画2年目である2025年度においては、剰余金の配当54億円、自己株式取得47億円(所在不明株主の株式買取り分を除く)の計102億円(キャッシュアウトベースでは2025年度より中間配当を実施したため126億円)を実施し、2024中期経営計画期間における総還元額は2024年度から累計で278億円となりました(キャッシュアウトベースでは300億円)。
2014年度から2026年度までに12年連続の増配予想で、今後とも継続的かつ安定的な配当を目指してまいります。加えて、2025年度より中間配当を実施し、株主の皆様への利益還元の機会を増やしました。さらに、機動的な資本政策の遂行を図るため、今後も必要に応じ自己株式の取得を検討してまいります。


(注)1 当該会計期間中の取得金額を記載(2026年5月11日までの取得分。なお2025年度の金額は所在不明株主の株式買取り分を除いたもの)
(注)2 2026年5月11日における2027年3月期業績予想数値
(注)3 当該会計期間に係る剰余金処分の額を記載
(注)4 2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施。2022年度以前の数値は株式分割を遡及適用した数値
(注)5 2024中期経営計画期間におけるキャッシュアウトベースの金額
<キャッシュアロケーションの考え方>
当社グループは、2030経営計画達成のための道筋をつくるため、2024中期経営計画では「飛躍に向けた成長軌道の確立」をテーマと定め、重点領域を中心とした事業成長投資、事業戦略と連動した経営基盤強化投資、無形資産投資を実行し、サステナビリティを強化してまいります。特に「HI-CHEW」のグローバルにおけるブランド成長に向けた生産体制構築のための戦略的投資、DX投資をはじめとした経営基盤強化のための戦略投資、重点領域への積極的なM&A探索を含め、2024中期経営計画期間の3年間で総額約600億円(注1)の投資を計画しております。
2025年度においては、米国での「HI-CHEW」の現地生産拡張のため、森永アメリカフーズ㈱の第2工場の建設を進めてまいりました。また、2026年4月1日付で米国最大手のモチアイス製造企業であるThe Mochi Ice Cream Company, LLCの全持分を間接的に保有するMyMo Holdco, Inc.の全株式を取得し、子会社化いたしました。DX投資についてはグローバルレベルでの業務・システムの標準化、業務の効率化・高度化の実現を目的とした基幹システムの刷新及び高度化等に伴い、約10億円の投資を実施いたしました。一方、株主還元については、事業からのキャッシュ創出力を引き続き強化し、2024中期経営計画期間で360億円以上(注2)の還元を目指す方針であります。

(注)1 中計期間における計上ベースの金額 (注)2 中計期間におけるキャッシュアウトベースの金額
<株主・投資家の皆様との対話について>
当社グループは、中長期的な企業価値向上を目指し、長期経営計画である「2030経営計画」の達成に向けて、「資本コストや株価を意識した経営の実践」を重要な経営課題の一つと位置づけております。この方針のもと、株主・投資家の皆様との建設的な対話の促進及びその内容の経営への反映に注力し、IR活動を継続的に深化してまいりました。四半期毎の決算説明会や個別IR面談に加え、海外IRやカンファレンス、資本市場の関心事項を踏まえたIR Dayやスモールミーティングを通じて、特に中長期視点での対話の拡充を図っております。また、個人投資家向けの説明会も継続し、幅広い投資家層とのコミュニケーションを推進しております。
開示情報の拡充にも引き続き取り組んでおり、当社ホームページのIRサイトにおいては、投資判断に資する情報を分かりやすく提供することに努めてきた結果、継続的に外部機関から高い評価をいただいております。
対話の実施状況や内容については、四半期毎に開催されるIR委員会や取締役会に報告し、取組方針等を検討・議論するとともに、年間を通じて適宜関連部門にもフィードバックを行い、資本市場の視点を踏まえた経営判断や施策検討に繋げております。


(注)個別IR面談、IR Day、スモールミーティング、カンファレンス、海外IRにて投資家・アナリストとの接点を得た回数(カウントの単位は「社」、同一四半期において複数回の接点があった場合も「1」とカウントし、四半期毎の合算で集計)

対話においては、事業戦略や成長性に加え、資本効率に対する関心が引き続き高いことを踏まえ、2024中期経営計画において開示した主要事業別のROIC実績及び目標並びに資本コストの推計値を共通の議論基盤として用いております。投資家・アナリストの皆様のご意見や評価を社内での検証に活かし、資本効率改善に向けた検討を継続するとともに、資本の有効活用及び企業価値向上の観点から、手元流動性水準や政策保有株式の保有意義を定期的に検証した上で、縮減を含む対応を進めております。
引き続き、建設的な対話の促進に努め、得られた示唆を経営活動に活かす好循環を通じて、持続的な企業価値向上を目指してまいります。
業務提携
取得による企業結合
当社は、2026年3月6日開催の取締役会において、米国最大手のモチアイス製造企業であるThe Mochi Ice Cream Company, LLCの全持分を間接的に保有するMyMo Holdco, Inc.の全株式を取得し、子会社化することについて決議し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。また、2026年4月1日付で株式を取得したことにより子会社化しました。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)(取得による企業結合)」に記載のとおりであります。
多額な資金の借入
当社は、「取得による企業結合」に記載したMyMo Holdco, Inc.の株式取得のため、2026年4月1日付で金融機関から資金の借入を実施しております。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 ⑴ 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)(多額な資金の借入)」に記載のとおりであります。
当社グループにおける研究開発活動は、「世代を超えて愛されるすこやかな食を創造し続け、世界の人々の笑顔を未来につなぐこと」を使命とし、私たちが目指すビジョンに沿って、お客様に満足していただける商品・サービス・情報を提供すべく、「食」に関連する様々な技術分野において研究を進めております。
なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
「2024中期経営計画」の2年目となる当連結会計年度は、2030ビジョン『森永製菓グループは、2030年にウェルネスカンパニーへ生まれ変わります。』実現に向けた2ndステージとして、「技術を基軸に、未来に向けて新たな顧客価値を生み出す研究所」という基本方針のもと、全社戦略・事業戦略と連動しながら、中長期視点での研究開発力の強化・共創による価値創出の加速に向けた取組みを引き続き実施いたしました。
(1)既存技術-3大技術の深化-
<ソフトキャンディ技術>
当社は主力ブランド「ハイチュウ」に関する技術の深化に引き続き注力し、感性研究と連動した「幸せ食感」の訴求を通じて、心の健康にも寄与する商品開発を進めております。
昨年度に引き続き、「ハイチュウ<南国ミックス>」を含む、1粒で3種のフレーバーを味わえる商品のラインアップを継続するとともに、新たに食感に特徴を持たせた「ハイチュウ<つぶつぶベリーミックス>」 を投入し、噛みごたえや粒感といった食感差別化により一層の付加価値を付与いたしました。
また「ハイチュウプレミアム」では、もちもちとしたセンター食感と糖衣部のキャンディチップの粒感でカリじゅわ食感を付加した「すッパイチュウプレミアム<レモン>」を発売し、新たな体験を提供しております。パリッとしたハード食感の「ハイチュウミニ」と併せて、食感軸を切り口にお客様の多様なニーズへ応える商品展開を図っております。
これらの取組みにより、当社独自の加工技術で今後も“食感価値”の強化を進めてまいります。
<冷凍下での菓子技術>
当社の“複数素材を組み合わせる技術”を活かしたコンビネーションアイスを多数発売いたしました。プレミアム市場への参入商品として、「ザ・クレープ<キャラメルマカダミア>」及び「板チョコアイス<マカダミア>」の2品を発売いたしました。「ザ・クレープ<キャラメルマカダミア>」では、通常商品よりもサイズが大きく厚みのあるクレープシートを用い、バニラとキャラメルの2色クリーム、チョコ、トッピングの各パーツで一口目から最後まで食感と風味が次々と変化する品質となっております。「板チョコアイス<マカダミア>」では、初めて大きな具材(マカダミアナッツ)を配合し、板チョコアイスの特長である「パキどけ」食感を進化、より満足感が得られる品質となっております。
アイスクリーム規格のリッチなクリームをビスケットでサンドした「ビスケットサンドアイス」では、ココアを練りこんだ黒いビスケットシートにエクアドル産カカオを用いた濃厚な香り高いチョコクリームをサンドした「ビスケットサンドアイス<エクアドルカカオ>」を発売いたしました。
これらの取組みにより、今後も差別性のあるコンビネーションアイスを強化してまいります。
<ゼリー飲料技術>
少量のデータから効率的に最適条件を探索するAIアルゴリズム「ベイズ最適化」と、表情に基づく心理評価手法である「フェイススケール法」を組み合わせて開発し、当社従来品と比較して運動時にやる気を向上させる食感を実現した「inゼリー エネルギーアミノ酸」を発売いたしました。
また、持久系スポーツのパフォーマンスを高めたい方に向けて運動の最中でも手軽に飲めるゼリー飲料として、「inゼリー エネルギーディープ」を発売いたしました。当社の保有するゼリー食感のコントロール技術により、高糖度でも心地よいゼリー食感を実現することで小容量化し、運動中でも美味しく飲みやすい品質に仕上げております。
今後も多様な食感の創出により、様々なシーンに向けた商品の開発を進めてまいります。
(2)新規技術開発-未来に向けたウェルネス新価値創出-
<感性科学研究(心の健康)>
「カレ・ド・ショコラ」における情緒的価値の深化を目指し、パッケージ視認、開封、喫食の各段階における体験価値を、生体指標並びに主観指標により多角的に評価いたしました。その結果、パッケージを眺めてゆっくり開封する瞬間から高い体験価値を感じられていることが示唆されました(日本感性工学会にて発表、優秀発表賞を受賞)。また、森永ラムネを大事な本番前に食べる習慣が心理面に及ぼす効果を検証することを目的に、脳波計測と主観調査を実施いたしました。その結果、森永ラムネ習慣群は非習慣群と比較して課題中の集中力や情報処理力が上昇し、グミと比べて注意力や安心感が高まり、「ゾーン」に近い状態(過度な興奮や緊張がなく集中できており、冷静な判断ができる状態)に成りうる可能性が示唆されました(日本心理学会で発表)。さらに、製品へのこだわりや感性研究の普及を目的に、親子向け科学体験イベント「いこーよフェスタ2025」にて、「森永製菓のおやつの音」を出展いたしました。本イベントでは、食感や音のアプローチから、新しいおやつの体験機会を創出し、多くのお客様にご好評をいただきました。今後もR&D部門を中心に、五感や感性に着目した研究を通じて、「心の健康」への貢献を推進してまいります。
<健康科学研究(体の健康)>
健康科学の研究としては、ピセアタンノールやぶどう糖などの素材が人々の健康に与える影響について研究を行っております。
ポリフェノールの一種であるピセアタンノールについては、長寿遺伝子として知られるサーチュイン(SIRT1)に関する共同研究を徳島大学と推進し、ピセアタンノールがSIRT1を活性化するだけでなく、SIRT1活性に関与するNAD代謝経路も活性化することを明らかにしました。さらに、ピセアタンノールによる骨格筋のエネルギー代謝活性化において、SIRT1が中心的な役割を担うことを示しました。また、上記共同研究とは別に、筋肉組織のように三次元に培養された特殊な骨格筋細胞を用いて、ピセアタンノールが筋収縮力を向上させる可能性があることを明らかにしました。これらの結果は、複数の海外学術雑誌に論文として発表しております。
加えて、Well-beingな地域社会モデルの実現に向けた取組みである文部科学省・国立研究開発法人科学技術振興機構のプログラム「弘前大学COI-NEXT」へ参画し、共同研究講座『ウェルネスフードイノベーション講座(おいしくたのしくすこやかに研究)』を開設いたしました。サーチュイン研究をさらに加速してまいります。
ぶどう糖については、認知機能への影響に関する研究を深耕し、スマートフォン使用後のぶどう糖含有ラムネ菓子摂取により、スマートフォン使用による集中力低下を抑制する可能性があることをヒト試験で見出し、海外学術雑誌に論文発表を実施いたしました。
また、災害時の体と心の健康への貢献のため、自治医科大学と連携した取組みを行っております。令和7年度自治医科大学栃木県災害医学寄附講座シンポジウムにおいては、製造後5年間保存が可能な「inゼリー エネルギーロングライフ」などの商品紹介とともに、食品及びお菓子が災害時に果たす役割について講演いたしました。
体の健康に関わる商品としては、「inバー」ブランドにおいて、日々の忙しい中、立ち止まらずパフォーマンスを発揮し続けることを求める方へ向け、1本で動き続けるためのエネルギーがチャージできる「inバーエネルギー<サツマイモ>」を発売いたしました。パラチノース®を配合することで、持続的にエネルギーを供給することが特徴となっております。
またプロテインバー以外にも、おいしい栄養バランス食品を摂取したい方に向けて、「inバーマルチミネラル<ココア>」を発売いたしました。5種類のミネラルが配合されており、特に鉄分は1日分の摂取目安量を補給できるよう設計されております。
ゼリー・飲料カテゴリーでは、「inゼリージュニアエネルギー<サイダー>」の発売、及び「inゼリージュニアエネルギー<ぶどう>」の品質改良を実施いたしました。スポーツや学習に取り組む前に、エネルギーや成長期にうれしい栄養を手軽においしく補給し小腹満たしもできる、成長期の子どもを応援する「inゼリー」です。
<サステナブル研究(環境の健康)>
「地球環境の保全」に向けて、容器・包装の環境配慮に取り組んでおります。紙原料の木質資源は、乱伐・違法伐採により世界的に減少が続いており、持続可能な調達が求められております。「おっとっと」のカップ入り形態では、化粧箱から新たに開発したホルダー型集積包装に変更いたしました。手作業で容易に組み立てることが可能で生産性を維持したまま、紙の使用量を重量比で約59%削減いたしました。
今後、世界人口の増加に伴い、タンパク質の不足が懸念されており、サステナブルでおいしく、加工特性の優れたタンパク原料の調達が課題となっております。そのため、植物性タンパク質の物性や風味の改良研究と並行し、バイオマス発酵で作られたタンパク質などの一部原料開発を継続して実施しております。
<R&Dセンター>
当社グループの価値創造を担う中核拠点として2022年春に開設した「森永製菓R&Dセンター」で当社が保有する幅広い食品カテゴリーの知見・技術融合を図るとともに、多彩な社内外のパートナーとの共創を実施いたしました。
2025年度の共創の取組みとしては、多くの企業と共創開発・研究を実施しております。また例年実施しておりますCSRイベント(横浜市立下末吉小学校・横浜市立入船小学校との小枝教室、横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校とのチョコレート学習プログラム)の他、お客様との共創による商品開発検討のための試食会や意見交換会を複数開催いたしました。R&Dセンターを舞台とし、国内外を問わずメディアの見学誘致やお取引先様・同業/異業種企業との意見交換を実施し、外部へ開かれた研究開発活動を推進することで新たな価値共創を目指してまいります。