文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「おいしい!の笑顔をつくる」のミッションのもと、お客さまに満足いただける商品・サービスを提供し、継続・進化することで社会から「よい会社」として信頼される企業グループを目指して活動しております。
井村屋グループ理念として
M(ミッション)おいしい!の笑顔をつくる
V(ビジョン) Be always for Customers!
P(パッション)イノベーション(革新)
を掲げ、「不易流行」の考え方のもと、「特色経営」を磨き、独創的な楽しい商品とすぐれたサービスの提供を通じて、社会から必要とされるグループ企業を目指します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、SDGsのゴールでもある2030年を見据えた成長戦略の実行と経営基盤の強化を図るため中期経営計画「Value Innovation 2026(新価値創造)」の実行に取り組んでおります。
当社グループは、売上高、営業利益、売上高営業利益率、海外事業売上高比率を重要な経営指標としております。当該指標を採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解するうえで重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や企業価値の的確な把握が可能であると判断するためであります。
井村屋グループ中期経営計画 最終年度(2026年度)の数値目標
<財務指標>
売上高 550億円
営業利益 33億円(売上高営業利益率 6.0%)
海外事業売上高比率 8.8%
<非財務指標>
温室効果ガス排出削減 2023年度比30%削減(原単位)
国内事業廃棄物量削減 2023年度比30%削減(原単位)
女性管理職比率 30%以上
(3)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略
今後の経済動向につきましては、緩やかな回復が期待される一方、米国の関税政策による世界経済への影響や長期化する不安定な世界情勢など、先行き不透明な状況が予想されます。菓子・食品業界におきましても、消費者の節約志向や原材料価格・エネルギー価格の上昇が予測され、経営環境は引き続き厳しいものと想定されます。
このような状況のもと当社グループは、SDGsのゴールでもある2030年を見据えた成長戦略の実行と経営基盤の強化を図るため策定した中期経営計画「Value Innovation 2026(新価値創造)」の2年目にあたり、パーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」ために、顧客志向を追求し、特色ある価値創造企業として、社会から共感される企業を目指してまいります。
2025年度は「不易流行」を活動指針として、変えてはいけない根本を大切にしながら、目まぐるしく変化する外部環境に対して俊敏に対応する事業経営に取り組んでまいります。
流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社においては、過去最高の売上本数を記録した「あずきバー」シリーズの販売を更に強化するとともに本社敷地内に冷菓事業の新工場の建設を予定しております。新工場の建設により更に生産性を高めてお客様の需要に対応し、安定した商品の供給を行うとともに付加価値の高い商品開発に取り組んでまいります。菓子カテゴリーの新機軸である冷凍和菓子では、独自の冷凍技術を活かし2024年度に売上が大きく伸長した「井村屋謹製たい焼き」を中心に育成カテゴリーとして更に市場拡大を目指します。着実に販売ルートが拡大している業務用市場では、成長戦略の柱として新規販売ルートの開拓を図ります。スイーツカテゴリーにおいても「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」「アンナミラーズ」のブランド活用を推進し、業務用ルートなどの新しい売場の創造に取り組んでまいります。本年4月に開幕した2025年大阪・関西万博会場内外の公式ストアでは、オリジナル商品を発売し、同時に量販店やコンビニエンスストアでは万博記念デザインの商品を発売することで、商品のグローバルな認知度向上に向けた活動に注力します。また、2025年3月に竣工したアップサイクルセンターを計画に沿って稼働し、ゼロエミッションや新たな価値提供に向けての活動を進めてまいります。
井村屋フーズ株式会社のBtoB事業では、調味料事業の粉末加工拡大に向け、独自技術を活かした新規商材の提案を行い、事業の強みを活かした市場開拓を進めていきます。食品加工事業では、成長が期待されるスパウチ市場の開拓を継続するとともに、新規OEM商品の受託を進め、お客様に信頼される企業として活動を強化してまいります。
海外事業では、アメリカのIMURAYA USA, INC.において、井村屋ブランド商品の輸入総代理店機能を更に推進するとともに現地で生産するアイスクリーム商品の新規開拓に取り組み販売活動を強化してまいります。中国事業では、井村屋(北京)食品有限公司(IBF)が焼菓子・包子の新商品を開発するとともに日本からの輸入商品の販路拡大を目指します。調味料事業を展開する北京京日井村屋食品有限公司(JIF)、井村屋(大連)食品有限公司(IDF)においては、中国国内において業務用ルートの新規開拓を進め、海外市場に向けては台湾、EU市場などの販路開拓に取り組みます。マレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.において、「AZUKI BAR」「Mochi Mochi」のマレーシア国内市場の販路拡大を進めるとともにASEAN市場へのゲートウエイとして準備を進めてきた輸出拡大を目指します。
コスト面では、生産性を高める設備投資を継続し、ウェルビーイングの向上や環境負荷低減も図ります。生成AIを活用したDXを推進し、コスト削減のためのイノベーション活動に取り組みます。
以上の状況を踏まえ、次期の連結業績見通しにつきましては、売上高525億円、営業利益30億50百万円、経常利益32億円、親会社株主に帰属する当期純利益22億50百万円を想定しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、サステナビリティに関するリスクマネジメントの実効性を高めるため、取締役会の事前審議機関として代表取締役社長を議長とする経営戦略会議を設置しております。その中で、事業リスクを伴う重要な業務執行について検討することによりリスク及び機会の監視、統制を行っております。
経営戦略会議においては、上記のような個別議案の審議を通じたリスクマネジメントだけではなく、グループ全体のリスクについて総括的に議論するために設置されているBCP活動推進委員会の活動内容についても毎月報告がなされ、必要に応じて同委員会に対して指示が出されております。
こうした全社的な活動に加えて、内部統制部門である経営品質・ガバナンス室による内部監査を通じて各部署におけるサステナビリティに関するリスク及び機会への対応について監視、統制を実施しており、その結果についても経営戦略会議にて報告されております。
当社グループの人的資本に関する戦略(方針)について、当社グループでは、ダイバーシティを推進し、多様な働き方に柔軟に対応し、「人材の人財化」を進めております。外国人採用、キャリア(中途)採用、定年退職者の再雇用、障がい者雇用など国籍・性別等に関係なく人材の採用を行っており、中期計画におけるKPIとして2026年度の女性管理職比率を設定し、女性の活躍できる職場環境づくりを進めるとともに、外国人・中途採用者においても、海外での事業展開や必要な職務に応じて、積極的に採用を行い、管理職として登用しております。
人材育成方針については、“私たち一人ひとりが挑み、成長し続け、ステークホルダーの皆さまと共に「笑顔をつくる人」を目指そう”という「井村屋グループクレド」人財ビジョンと10(Ten)action(行動指針)に従い、個人・企業の着実な成長に向けた環境づくりに取り組み、機能別研修・新人研修・通信教育等、多様な教育制度で、従業員一人ひとりの成長をサポートして企業全体の向上を図っております。
当社グループにおきましては、サステナビリティ関連のリスクを含む個々の事業リスクへの対応策や予防策の検討は、パーパス及び最高経営責任者から発信される経営方針に基づき、各部署が年間目標の一環として取り組むことを基本としております。その取り組み内容については、毎月のレビューを通じて各事業会社内にて報告、確認、審議されることとなっており、重要案件に係る内容につきましては、事業会社社長報告会、経営戦略会議での審議を経て、取締役会に付議されることとなっております。
個々のリスク管理に加え、当社グループのサステナビリティに大きな影響を与える自然災害のような全社的なリスクについては、BCP活動推進委員会が中心となって年度活動方針、計画を定めてリスク管理に取り組んでおります。また、製品の安心安全性や労働安全衛生といった複数の部門に渡るリスクについても、各事業会社において専門の委員会を設置して管理が行われ、それらの活動状況は各事業会社において報告、確認されております。重要案件につきましては経営戦略会議をはじめとする上位会議に付議されております。
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備の方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。
(注)当社グループにおいては、上記人材の多様性を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備の方針に基づき活動しておりますが、指標及び目標、並びに実績については、国内で事業を営む連結子会社を対象として記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
前記の中で、当社グループが特に注目している主な事業等のリスクは以下のとおりです。
・財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動
1.経営成績等と気象状況及び原材料価格との関連に係るもの
当社グループの流通事業における製品は季節商品の占める割合が高く、販売期間における異常気象あるいは異常気温の影響を受けることがあります。
また、製品に使用する原材料においても、主要原料であります小豆・砂糖をはじめとする農作物由来の原料等に関しましては特に市況の影響を受けます。
2.キャッシュ・フローの状況の変動に係るもの
当社グループのキャッシュ・フローは、当連結会計年度において、借入金を計画通り返済しております。しかし、今後とも資金の効率的配分を行い来期以降のキャッシュ・フロー計画を立案しておりますものの、かつてのオイルショック時の原材料仕入に関しての支払サイトの短縮等を余儀なくされたような、現在の収支状況が崩れる場合が生じた際は、全事業セグメントにおいて、営業活動によるキャッシュ・フローの状況等にも影響を及ぼす可能性があります。
3.保有資産の評価に係るもの
当社グループが保有する土地や投資有価証券等の資産価値が時価等に基づき下落する場合には、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
4.退職給付費用及び債務に係るもの
当社グループの従業員に係る退職給付費用及び債務は、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。従って割引率の低下や運用利回りの悪化は、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
・特定の取引先・製品・技術等への依存
1.特定の販売先への高い依存度に係るもの
加温製品の「肉まん・あんまん」の主要販売先はコンビニエンスストアであり当社グループも大手数社に対して販売しておりますが、販売先の事業方針、営業施策等に変更があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.特定の製品への高い依存度に係るもの
菓子・食品の製品については、元来その成分および製造方法について、業界自体が特許権のハードルが低く、比較的容易に新規参入や類似商品の販売が予想され加えて競合先との価格競争激化の可能性があります。
また、当社の販売商品には「水ようかん」「ゆであずき」「肉まん・あんまん」「あずきバー」等ロングセラー商品が多くあり販売ウエイトも高いものですが、商品サイクルが短期化している業界にあって、市場のニーズに適合する新商品の開発も必要となっております。
・特定の法的規制・取引慣行・経営方針
1.事業の今後の展開に係るもの
中国、アメリカ及びマレーシアで展開しております海外での事業につきましては、現地の消費動向等により、計画通りの販売ができない場合は、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
2.業界関連等の法的規制等に係るもの
当社は食品等の製造や販売等事業の展開において、現時点の規制に従いまた規制上のリスクを伴って業務を遂行しております。
将来における輸入制限、独占禁止、特許、消費者、使用原料、租税、環境・リサイクル関連等の法規制や規則、政策、業務慣行、解釈、財政及びその他の政策の変更ならびにそれによって発生する事態は当社の業務遂行や業績等へ影響を及ぼす可能性があります。しかしそれらの内容・程度等の予測は困難であり、また当社が制御できるものではありません。
・その他
1.食の安全性に係るもの
当社グループは「おいしい!の笑顔をつくる」の社会的使命のもと、食を提供するものとし、お客様に高品質で安全な商品・サービスを提供し、より多くのお客様のご満足をいただけることを第一義として使用原料の検査体制の充実や生産履歴の明確化(トレーサビリティ)等に努めてまいりました。2014年度には井村屋フーズ株式会社七根工場、2015年度には井村屋株式会社全工場で「食品安全管理システム認証22000」(FSSC22000)を取得し、より一層の食の安全性の追求と品質保証体制の確立を図ってまいります。また、新商品の開発におきましても、「安全・安心・安定」を基本指針としておりさらなる改善を目指しております。
製品等の安全性と商品開発、生産、流通販売の各段階を通じた品質管理体制については最大限の努力を払っております。しかし、偶発的な事由によるものを含めて製品事故が発生した場合や当社グループの取り組みの範囲を超える事態が発生した場合には、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
2.自然災害に係るもの
当社グループは、地震や台風等の自然災害に対して社内体制を整備し、緊急時の対応に備えておりますが、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた天変地異の場合には、業績及び財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
3.情報システムに係るもの
当社グループでは、生産、販売、管理等の情報をコンピューターにより管理しています。また、ルートセールスや通信販売等の営業取引や消費者キャンペーンを含む販売促進活動等を通じて、お客様情報を保有しております。これらの情報システムの運用については、コンピューターウイルス感染によるシステム障害や、ハッキングによる被害及び外部への社内情報の漏洩が生じないよう万全の対策を講じています。しかしながら、今後これらの情報が外部に流出するような事態が起きた場合、当社グループの信用低下を招き、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善により、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、エネルギー価格や原材料価格の高騰が続く中、物価上昇による消費者の節約志向の高まりや世界情勢の緊迫化など、依然として先行き不透明な市場環境が続いております。
このような状況のもと、当社グループはパーパスである「おいしい!の笑顔をつくる」を更に高めるため2024年度を初年度とする中期経営計画「Value Innovation 2026(新価値創造)」に沿って活動しました。その変革課題を「2030年を見据えた成長戦略の実行と経営基盤の強化」と定め、2030年へ向かってステークホルダーの皆さまと共に持続的な成長を志し、特色ある価値創造企業として社会から共感いただける井村屋グループを目指しております。
2024年度は活動方針を「先義後利 そして備えよ常に!」として、長期的な視点で、社会貢献を重視する企業経営に取り組みました。
三重県大台山系有数の渓谷である「香肌峡」にあるミネラルウォーター「めぐるる」の採水地を2023年5月に取得し、整備を行い2024年9月にグランドオープンした採水場「めぐるるの郷」は、衛生管理重視のため飲食店営業許可を取得し、遠方から来場される方もおられるなど、多くのお客様から好評いただいております。日本では稀有な硬水の採水地であり、貴重な水資源の更なる活用を進めてまいります。
環境保全・環境負荷低減に向けた活動では、井村屋グループは温室効果ガス削減活動の一環としてカーボンフットプリントの算定に向けた取り組みを進め、2024年8月に冷菓の主力商品「BOXあずきバー」シリーズ3品において一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)のSuMPO環境ラベルプログラムに基づく環境製品宣言「SuMPO EPD」を取得しました。「BOXあずきバー」シリーズのパッケージには「SuMPO EPD」のロゴを掲載しており、この活動を通じて環境にやさしい商品づくりを目指し、更にCO2排出削減対策を進めてまいります。また、自社内の製造工程で副産物として発生する食品残渣を原料化し商品加工する「アップサイクルセンター」を井村屋株式会社津工場内に設立し、計画に沿って2025年3月に竣工し稼働しました。豆腐製造で発生する水分率の高い「生おから」やあずきあん製造にて発生する「あずき副産物」をパウダー化し自社製品に活用するなど、ゼロエミッションを推進いたします。
当社グループの売上高については、井村屋株式会社の菓子カテゴリーや冷菓カテゴリーを中心に売上が増加しました。また、井村屋フーズ株式会社におけるOEM商品の受注が順調に推移しました。
利益面では、原材料価格、物流費用が上昇する中、一部商品の価格改定を行うとともに継続した生産性向上活動によりコスト削減を図ったことで営業利益率が向上しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は、511億21百万円(前期比6.0%増)となりました。営業利益は30億5百万円(前期比18.5%増)、経常利益は31億69百万円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億98百万円(同13.9%増)となり、売上高、各利益ともに過去最高の業績となりました。
各セグメントの概況は次のとおりであります。
① 流通事業
流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では菓子・食品・デイリーチルド・冷菓の各カテゴリーで売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、受託加工商品の売上が順調に推移しました。
以上の結果、流通事業の売上高は464億73百万円(前期比6.2%増)となり、セグメント利益は42億14百万円(同16.2%増)となりました。
流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。
(菓子カテゴリー)
防災対策への関心が高まる中、長期保存が可能な防災備蓄用商品「えいようかん」、「チョコえいようかん」は、平常時と災害時というフェーズ(状況)の区分けを無くし、日常的に利用している商品を災害時にも利用できるようにするフェーズフリーの考え方が進む中において、それに適応する商品として支持され売上が大きく伸長しました。「片手で食べられる小さなようかん」シリーズでは、期間限定で発売した「片手で食べられる小さなようかん さつま芋」や、新商品「片手で食べられる小さなようかん 塩」も好評をいただいております。独自の冷凍技術を活かし和菓子のおいしさをそのまま提供する冷凍和菓子では、「井村屋謹製 たい焼き(つぶあん)」が好調に推移し売上増加に貢献しました。「カステラ」や「どら焼き」は前年同期の鶏卵不足が解消したことから販売数量が回復し、日本国内の売上が増加するとともに米国への「カステラ」の輸出も伸長しました。また、みっちり詰まった新しい食感の新商品スイーツ「ミッチル ショコラ」、「ミッチル チーズ」も売上が順調に推移しました。
以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は90億32百万円(前期比25.3%増)となりました。
(食品カテゴリー)
「ごはんの素」シリーズでは、炊飯器で炊くだけで簡単に調理ができる「お赤飯の素」の売上が増加し、季節限定の新商品「栗入りさつまいもごはんの素」を発売し好評をいただきました。また、野菜を切って商品の袋に入れてレンジ調理するだけで手軽に副菜が作れる「レンジで煮物」シリーズでは、新商品「具材を選べる レンジで煮物 和風だしあんかけ」、「具材を選べる レンジで煮物 甘辛そぼろ煮」の2品を発売し、売上は順調に推移しました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業では、屋外活動向けのスパウチ商品の受託加工が順調に増加しました。
以上の結果、食品カテゴリーの売上高は85億40百万円(前期比2.8%増)となりました。
(デイリーチルドカテゴリー)
豆腐類では「4個入り 美し豆腐 LONG SHELF LIFE 180」や「大豆屋和蔵 大豆ッ子」の売上が順調に推移し、その他業務用商品も売上が伸長しました。また、家庭内食向けの「チルドパックまん」の売上が増加しました。
以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は22億58百万円(前期比4.4%増)となりました。
(冷菓カテゴリー)
主力商品の「あずきバー」シリーズが好調に推移し、過去最高の売上本数3億29百万本を記録しました。微細氷入りの「SHALILI」シリーズでは「SHALILI クリームブリュレアイス」の売上が順調に推移し、季節限定で発売した新商品「やわもちアイス 栗づくし」、「やわもちアイス 生八ッ橋味」、「KASANEL いちごタルトアイス」が売上増加に貢献しました。海外ではマレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.においても、新鮮なドリアンの香りと濃厚な味をお楽しみいただける新商品「MOCHI MOCHI MUSANG KING DURIAN&DURIAN」を発売し、マレーシア国内市場拡大に取り組みました。
以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は167億72百万円(前期比7.6%増)となりました。
(点心・デリカテゴリー)
点心・デリカテゴリーは、「肉まんあんまん」発売60周年を迎え、感謝の気持ちを込めた記念キャンペーンを展開しました。付加価値が高い商品が評価され好評いただきましたが、年間を通じて気温が平年より高かったこともあり売上は前年を下回りました。
以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は93億1百万円(前期比6.3%減)となりました。
(スイーツカテゴリー)
スイーツカテゴリーでは、「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」の店舗においてギフト商品の販売を強化し、広尾店、京都祇園店、京都伊勢丹店の売上が前年同期を上回りました。催事販売として株式会社JR東日本クロスステーションが店舗展開する「コレもう食べた?」(JR高円寺駅)に期間限定で出店し、好評いただきました。「アンナミラーズ」においても、上記「コレもう食べた?」(JR西船橋駅)に期間限定で出店し多くのお客様にご来店いただきました。また、アンナミラーズブランドから新商品として業務用アイスを発売しました。1973年から1981年にかけてアンナミラーズで販売していたアイスのレシピをベースにしつつ、現在の嗜好に合わせて原料・製法・配合に更にこだわったラグジュアリーアイスであり、新たなブランド活用に取り組んでおります。
以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は4億36百万円(前期比3.4%増)となりました。
(VISON(ヴィソン)カテゴリー)
VISON(ヴィソン)カテゴリーでは、三重県の水と酒米、酵母を使用し、テロワールに根差した日本酒の製造・販売を行う「福和蔵」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設VISON内にて運営しております。「福和蔵」については、仕込み水に香肌峡で採水したカルシウムなどのミネラルを多く含む希少でまろやかな硬水を使用して徹底した品質管理の四季醸造を行い、発売以来、様々な品評会で受賞しております。2024年5月には令和5酒造年度全国新酒鑑評会において「福和蔵 純米大吟醸」が初の金賞を受賞し、8月には全国燗酒コンテスト2024(プレミアムぬる燗部門)において「福和蔵 純米酒」が最高金賞を受賞しました。更に、2月には「ワイングラスでおいしい日本酒アワード 2025」(プレミアム大吟醸部門)にて「福和蔵 純米大吟醸」が最高金賞を受賞するなど高い評価をいただきました。「菓子舗井村屋」においては、「酒々(ささ)まんじゅう 芳醸菓」や特色のある季節限定商品を販売し、好評を得ております。
以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は1億31百万円(前期比7.7%増)となりました。
② 調味料事業
国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業が秋口より最盛期を迎え、食品メーカーへ供給する自社粉末素材の生産強化と機能性素材の受託加工に対応し売上が増加しました。2023年に竣工した新工場スプレードライヤー6号機はフル稼働体制に入り、品質安定・生産性向上・環境負荷低減等に効果を発揮し、お客様からの需要に応えるとともに利益確保に繋がりました。
中国での調味料事業は、中国経済の低迷の影響もあり中国国内の売上が伸び悩みました。
以上の結果、調味料事業の売上高は44億14百万円(前期比3.9%増)となりました。セグメント利益は6億35百万円(同4.1%増)となりました。
③ その他事業
イムラ株式会社においてSDGsの一環として井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、地域のお客様に好評をいただいており、売上も増加しました。また、イオンスタイル津南に出店しておりました「ソフトアイスクリーム&スイーツ店WaiWai(ワイワイ)」は2月28日をもって閉店いたしました。長らくご愛顧いただき感謝申し上げます。
以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は2億33百万円(前期比2.3%増)となりました。セグメント利益は61百万円(同10.4%増)となりました。
2)財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は366億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億12百万円の減少となりました。流動資産は、売掛金の減少などにより、14億53百万円減の129億73百万円となりました。固定資産は、投資有価証券の時価評価額の増加などにより、41百万円増の237億4百万円となりました。
負債は145億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億30百万円の減少となりました。流動負債は、短期借入金の返済などにより、24億2百万円減の119億99百万円となりました。固定負債は、長期リース債務の減少などにより、1億27百万円減の25億54百万円となりました。
純資産は利益剰余金の増加などにより、11億17百万円増の221億23百万円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は60億68百万円となり、前年同期と比べ、収入は33億97百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加や売上債権が減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は18億33百万円となり、前年同期と比べ、支出は17億11百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は40億83百万円となり、前年同期と比べ、支出は45億40百万円の増加となりました。この減少の主な要因は、短期借入金の返済や自己株式の取得による支出によるものであります。
4)生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産等の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、製造原価によっております。
2.その他事業における生産実績はありません。
(注) 1.金額は、仕入原価によっております。
2.調味料事業、その他事業における製品仕入はありません。
(注) 1.金額は、仕入原価によっております。
2.調味料事業における商品仕入はありません。
当社グループでは、流通事業及び調味料事業において一部受注生産を行っております。なお、金額は僅少のため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の検討における重要な項目について当社及び連結子会社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローは、「第2〔事業の状況〕3〔事業等のリスク〕」に述べる各項目の影響を受けますが 、当連結会計年度末において当社グループの経営者は、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの動向を検討する上で、以下の項目、指標が有用であると考えます。
① 売上高
売上高は、国内事業会社において菓子カテゴリーや冷菓カテゴリーを中心に伸長するとともに、OEM商品の受注が順調に推移しました。その結果、連結売上高は511億21百万円となりました。売上高等の詳細については「第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりですが、さらに前連結会計年度と比較した連結会計年度の事業別売上高実績を示すと下記のとおりであります。
② 売上原価及び営業利益
営業利益については、前期比4億68百万円(18.5%)増の30億5百万円となりました。その要因として、一部商品の価格改定を行うとともに、継続した生産性向上活動の効果によりコストの削減が図られ、売上原価率は65.2%となり、前年より1.0%減少しております。
販売費及び一般管理費については、前期比10億22百万円(7.4%)増の147億90百万円となりました。主な要因としては、物流費や人件費が増加したことによります。
③ 経常利益
経常利益については、前期比2億65百万円(9.1%)増の31億69百万円となりました。その結果、経常利益率は6.2%となり、前年より0.2%増加しております。
④ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は前期比2億67百万円(13.9%)増の21億98百万円となりました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2〔事業の状況〕1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕(3)会社の対処すべき課題及び中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては「第2〔事業の状況〕3〔事業等のリスク〕」に記載のとおりであります。
2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
当事業年度における各キャッシュ・フローの詳しい状況につきましては、「第2〔事業の状況〕4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、製商品仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。株主還元策につきましては、「第4〔提出会社の状況〕3〔配当政策〕」に記載のとおりであります。
また、当社グループは、資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的としてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行い、グループ全体の資金効率化を進めております。
当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。
なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は15億16百万円、有利子負債の残高は19億49百万円となっております。
3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
重要な判断を要する会計上の見積り及び当該見積りとは、会社の財政状態や経営成績に重要な影響を及ぼす会計上の見積りであり、かつ本質的に不確実な事柄に関する経営者の重要な、或いは主観的な判断を反映させることを要するものです。
以下の各項目は、その認識及び測定にあたり、経営者の重要な判断及び会計上の見積りを必要とするものです。
① 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価格を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失が必要となる可能性があります。
② 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産に計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
③ 確定給付費用及び確定給付制度債務
従業員の確定給付費用及び確定給付制度債務は、割引率、退職率及び死亡率等年金数理計算上の基礎率に基づき見積られております。実績と見積りとの差はその他の包括利益として、認識されております。経営者は、この数理計算上の仮定を適切であると考えておりますが、実績との差異や仮定の変動は将来の確定給付費用及び確定給付制度債務に影響します。
当社及び連結子会社の割引率は、各年度の測定日における日本の長期国債の利回りに基づき決定しております。各測定日に決定した割引率は、測定日現在の確定給付制度債務及び翌年度の純期間費用を計算するために使用されます。
確定給付費用及び確定給付制度債務に関する見積りや前提条件については「第5〔経理の状況〕1〔連結財務諸表等〕〔注記事項〕(退職給付関係)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、「おいしい!の笑顔をつくる」の社会的使命のもと、高い技術と新鮮な時代感覚をもち、夢のある商品とすぐれたサービスを通じて豊かな生活を提供できるよう、菓子及び食品とその関連分野における活動を行っております。
すなわち、基礎研究や外部研究機関との共同研究の継続及び事業展開上急務な研究課題に取り組み、お客様の食の安全と安心を提供できるよう、新素材の開発とその応用、製品の改善・改良・品質の向上、生産技術・生産設備の開発などに努めております。
現在の研究開発は、各事業会社の商品開発部門及び研究・開発部門などにより推進されております。なお、研究開発活動を担当している期中平均人員は72名であり、当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は
各セグメントの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
(1) 流通事業
(基礎研究)
井村屋のコア原料である「あずき」に関する基礎研究を大学とも連携しながら取り組んでおります。具体的には小豆からGABAを多く生成する条件など小豆の機能性についての研究や、小豆を炊く技術の研究など、商品開発につながるテーマについて仮説検証を行い、開発のサポートとなるよう活動しております。
また新たにスタートしたアップサイクル事業についても生産過程で発生する副産物(おから、あずき由来副産物など)の有効活用の研究にも取り組んでおります。
(菓子商品)
ようかんの伝統的なおいしさはそのままに、長期保存が可能な賞味期間5年6か月の「えいようかん」シリーズは、発売開始から約16年が経過しました。不安が高まる地震などへの防災備蓄用商品として、需要が年々増加しております。子供でも食べやすいチョコ味の「チョコえいようかん」は、アレルゲンフリーや点字入り、暗所でも探しやすいホログラム入りなど、有事の際に誰もが安心して使えるような商品設計はそのままに、ビターな味わいからスウィートな味わいへと変更し、より幅広いお客様に喜んでいただけるように改良いたしました。また、ギフト用化粧箱の省資源化によるCO2排出量の削減や、フードロス削減につながる賞味期間の延長にも積極的に取り組んでおります。カステラを中心とした輸出も好調に推移しており、2024年8月には小麦粉不使用の「米粉カステラ」をカナダ向けに新発売し、販売エリアの拡大を続けております。これからも和洋菓子の魅力ある付加価値や可能性を引き出し、特色ある商品開発を行ってまいります。
(食品商品)
近年、地震や台風などの自然災害の頻発・激甚化から、防災備蓄用商品への関心が高まっています。そのような背景の中「ゆであずき」シリーズから長期保存が可能な賞味期間5年6か月の「備蓄用ゆであずき85g」を発売いたしました。この商品は、カンパンやパンなどに合わせてもおいしくお召し上がりいただけます。また、野菜を1種類用意し、電子レンジで調理するだけで手軽に煮物ができる「レンジで煮物」シリーズから「レンジで煮物 大根の肉みそ煮」を発売いたしました。井村屋独自の特許製法で作った「あずき味噌」を使用し、コク深い味わいに仕上げております。引き続き「おいしい!の笑顔をつくる」と同時に、お客様のニーズや利便性を意識した特色ある商品づくりを行ってまいります。
(デイリーチルド商品)
新たにリニューアルした「4個入り美し豆腐」「美し豆腐 LONG SHELF LIFE 180」および「高カロリー豆腐 LONG SHELF LIFE 180」は、国内外の市場で順調に売上が推移しており、業務用ルートを含めた多岐にわたる展開が続いております。「大豆屋和蔵大豆ッ子」シリーズは、独自製法による美味しさと長期保存が可能なロングライフ商品として、引き続きご好評いただいております。さらに「井村屋雪花菜(きらず)冷凍おから5kg」は、SDGsの観点から副産物であるおからを有効活用した商品として、ますます高い評価を得ております。今後も、消費者のニーズに応えるため、更なる付加価値のある商品開発に取り組んでまいります。
(冷菓商品)
主力商品「あずきバー」は2024年度シリーズ累計、過去最高売上本数3億29百万本を達成し、国内外問わず多くのお客様にご愛顧いただきました。前年度に上市した新和風アイス「こしあんバー」を含め、更なる拡売に向けて様々な施策を打っております。「やわもちアイス」は、より美味しく付加価値を高めた品質にポリッシュアップし、ご好評いただきました。また、2025年度の大阪・関西万博の開催を機に、過去のレシピを現代風にアレンジした業務用ラグジュアリーアイス「アンナミラーズアイス」を上市しました。ラグジュアリーアイスとして、今後の販路拡大を目指してまいります。引き続き更なる拡売を目指すとともに、和風を中心とした特色や付加価値のある商品開発に取り組んでまいります。
(点心・デリ商品)
点心・デリ商品はCVSを中心に商品提案および供給を行っております。原材料価格高騰の中、価値と価格の整合性のある商品作りを目指しリニューアルを行いました。「肉まんあんまん」は2024年度に60周年を迎えました。復刻商品として「イカスミまん」「プリンまん」、60周年記念商品として三重県の原料を使用した「伊勢海老肉まん」「松阪牛すきまん」を発売し、メディアでも取り上げられ話題となりました。また、環境負荷軽減活動として、2022年度にノートレー化した「ゴールドまん」シリーズに続き、2024年度には「4コ入パックまん」シリーズのノートレー化を実現いたしました。今後も更なる市場拡大に向けて取り組んでまいります。
(冷凍菓子商品)
業務用商品の「12コ入冷凍和菓子」シリーズは、利便性向上を目的としたリニューアルを行いました。必要な分だけを簡易に解凍できるミシン目付きのトレーや、シーンに合わせた3種類の解凍方法が選べる仕様変更により、フードロス削減や人手不足の解消に貢献いたします。1粒あたりのボリュームを小さくすることで、従来よりも幅広い食シーンに提案が可能となり、新たな業務用販路への拡売を目指してアプローチを続けております。今後も国内のみならず輸出を含めた事業拡大を目指し、お客様の「おいしい!の笑顔」や、お役立ちにつながる更なる付加価値のある冷凍和菓子商品の開発に取り組んでまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(2) 調味料事業
井村屋フーズ七根サイトにおきましては、2023年度に更新した新たな大型設備(スプレードライヤ―)が本格稼働し、その能力を評価いただいた顧客のOEMテーマを具現化しております。また、原材料や動燃費の高騰に対し、価格改定が困難な商品においては、配合処方や生産工程の見直しを行いました。より効率化した生産を行うことで、品質を落とさず、コストアップを回避することができました。
新規素材開発として、アップサイクルの観点から地元の鰻加工会社と共同し、加工工程の中で廃棄されている鰻原料を使った「鰻エキス」の開発を行い、顧客への提案を開始いたしました。また、2023年度から提案を続けている当社豆乳パウダーをベースとした「植物性ミルクパウダー」を更に改良し、顧客がより使いやすいよう溶解性アップや沈降し難い処方への見直しを行い、再度顧客への提案を行いました。また中原サイトのカップレトルト設備を活用したシーズニングソースの開発を行いました。
引き続き当社の強みを生かした自社品開発や提案商品開発(ODM)を継続し、新顧客および新市場の創出を進めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の金額は
(3) その他事業
特記事項はありません。