第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

なお、重要事象等は存在しておりません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

  文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド消費の増加などにより緩やかな回復基調が見られました。一方、米国の関税政策の影響や中国経済の低迷に加え、エネルギー価格や原材料価格は高止まりしており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような状況のもと、2025年度は当社グループの中期経営計画「Value Innovation 2026(新価値創造)」の2年目を迎え、目標達成に向けた重要な年度となります。今期の活動指針を「不易流行」とし、収益構造の強化にグループ全体で取り組んでおります。

当中間連結会計期間における当社グループの売上高については、井村屋株式会社の冷菓カテゴリー、菓子カテゴリー、点心・デリカテゴリーを中心に売上が増加しました。また、井村屋フーズ株式会社におけるOEM商品の受注が順調に推移しました。

損益面では、原材料価格が高止まりし、物流コストも上昇しておりますが、一部商品の価格改定を実施するとともに、継続的な生産性向上活動によるコスト低減にて利益確保に努め、営業利益が増加しました。

以上の結果、連結売上高は262億37百万円(前年同期比7.6%増)となりました。営業利益は19億72百万円(前年同期比37.6%増)、経常利益は20億41百万円(同44.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は14億52百万円(同37.3%増)となり、売上高及び各利益ともに中間連結会計期間として過去最高の業績となりました。

 

各セグメントの概況は次のとおりであります。

 

① 流通事業

流通事業(BtoC事業)の中心となる井村屋株式会社では、菓子、食品、デイリーチルド、冷菓、点心・デリカテゴリーの各カテゴリーで売上が増加しました。BtoB事業の井村屋フーズ株式会社では、スパウチ商品の受注が増加しました。
 以上の結果、流通事業の売上高は239億14百万円(前年同期比7.9%増)となり、セグメント利益は24億61百万円(同20.9%増)となりました。

 流通事業におけるカテゴリー別の概況につきましては以下のとおりです。

 

(菓子カテゴリー)

防災対策への関心が高まる中、長期保存が可能な防災備蓄用商品「えいようかん」、「チョコえいようかん」は、引き続き好調に推移しました。また、「片手で食べられる小さなようかん」シリーズも好評をいただき、売上が伸長しました。さらに、独自の冷凍技術を活かし和菓子のおいしさをそのまま提供する冷凍和菓子では、「井村屋謹製 たい焼き(つぶあん)」や新商品「井村屋謹製 たい焼き(白つぶあん)」が好評を博し、売上が増加しました。
 以上の結果、菓子カテゴリーの売上高は50億99百万円(前年同期比8.8%増)となりました。

 

(食品カテゴリー)

「レンジで煮物」シリーズは、野菜を切って商品の袋に入れるだけで調理できる簡便性とおいしさが評価を受け売上が伸長しました。冷凍食品では新商品「mini PIZZAベーコン&チーズ」も売上増加に貢献しました。井村屋フーズ株式会社の食品加工事業においては、スパウチ商品の受託加工が伸長しました。
 以上の結果、食品カテゴリーの売上高は30億84百万円(前年同期比5.0%増)となりました。

 

(デイリーチルドカテゴリー)

「豆腐類」では「大豆屋和蔵 大豆ッ子」の売上が順調に推移しましたが、家庭内食向けの「チルドパックまん」は、残暑による天候要因もあり売上が減少しました。

以上の結果、デイリーチルドカテゴリーの売上高は7億39百万円(前年同期比1.0%減)となりました。

 

(冷菓カテゴリー)

主力商品の「あずきバー」シリーズが順調に推移し、上期において過去最高の売上本数2億72百万本を記録し、売上が増加しました。アメリカのIMURAYA USA, INC.においては、現地生産商品の売上が伸長しました。また、マレーシアのIMURAYA MALAYSIA SDN. BHD.においても、マレーシア国内市場拡大に積極的に取り組んでおります。
 以上の結果、冷菓カテゴリーの売上高は127億67百万円(前年同期比7.9%増)となりました。

 

(点心・デリカテゴリー)

「肉まん・あんまん」などの点心・デリカテゴリーは、高付加価値商品が好調に推移するとともに、新発売商品の効果もあり、コンビニエンスストアでの売上が増加しました。
 以上の結果、点心・デリカテゴリーの売上高は19億81百万円(前年同期比16.6%増)となりました。

 

(スイーツカテゴリー)

スイーツカテゴリーでは、「La maison JOUVAUD(ラ・メゾン・ジュヴォー)」の売上が、広尾店、虎ノ門ヒルズ店、KITTE名古屋店において前年同期を上回りました。しかし、EC販売や催事販売を含む特別販売においては、催事販売の回数が減少したため、売上が前年同期を下回りました。
 以上の結果、スイーツカテゴリーの売上高は1億83百万円(前年同期比9.3%減)となりました。

なお、今期中に3年ぶりとなる新規出店「アンナミラーズ 南青山店」をオープンする予定であり、お客様満足の向上に努めてまいります。

 

(VISON(ヴィソン)カテゴリー)

VISON(ヴィソン)カテゴリーでは、日本酒の製造・販売を行う「福和蔵」と、和菓子を販売する「菓子舗井村屋」の2店舗を三重県多気町の大型商業リゾート施設VISON内にて運営しております。しかし、施設の来場者数が伸び悩んだこともあり、両店舗とも売上は減少しました。
 以上の結果、VISON(ヴィソン)カテゴリーの売上高は58百万円(前年同期比7.5%減)となりました。

 

② 調味料事業

中国の調味料事業は、中国経済の低迷が続く影響を受け、中国国内の売上が伸び悩みました。国内では井村屋フーズ株式会社のシーズニング事業において、機能性素材を用いたOEM商品の販売が伸長しました。
 以上の結果、調味料事業の売上高は22億9百万円(前年同期比4.8%増)となり、セグメント利益は3億93百万円(同40.3%増)となりました。

 

③ その他事業

イムラ株式会社においてSDGsの取り組みの一環として井村屋商品のアウトレット販売を行っている「MOTTAINAI屋」は、引き続き地域のお客様に好評いただいており、来客数及び売上ともに増加しました。
 以上の結果、井村屋グループ株式会社の賃貸事業を加えた、その他事業の売上高は1億14百万円(前年同期比3.9%増)となり、セグメント利益は28百万円(同49.3%増)となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

当中間連結会計期間の財政状態は以下のとおりであります。
 総資産は404億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億80百万円の増加となりました。流動資産は、夏物商品の販売に伴う売掛金の増加などにより、23億56百万円増の153億29百万円となりました。固定資産は、新工場の建設に伴う建設仮勘定の増加などにより、14億23百万円増の251億28百万円となりました。
 負債は170億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億40百万円の増加となりました。流動負債は、冬物商品の生産に連動した買掛金や短期借入金の増加などにより、24億18百万円増の144億17百万円となりました。固定負債は、その他に含まれる繰延税金負債の増加などにより、1億22百万円増の26億77百万円となりました。
 純資産は利益剰余金の増加などにより、12億39百万円増の233億62百万円となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、16億28百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億12百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間における営業活動による資金の増加は16億19百万円となり、前年同期に比べ、収入は16億4百万円の減少となりました。この減少の主な要因は、売上債権が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は21億92百万円となり、前年同期に比べ、支出は13億13百万円の増加となりました。この増加の主な要因は、有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 当中間連結会計期間における財務活動による資金の増加は6億97百万円(前年同期は25億55百万円の減少)となりました。この増加の主な要因は、短期借入金の増加によるものであります。

 

(4)  優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

第3四半期に向けて、下期の主力商品となる点心・デリ商品類の売上増加など、順調に推移する見込みではありますが、原材料価格や物流コストの上昇に加え、消費動向も依然として先行き不透明な状況が続いている事を慎重に考慮し、2025年5月9日付の「2025年3月期決算短信」において公表いたしました業績予想につきましては現時点では変更はありません。
 ただし、今後の業績推移等によって通期業績予想の見直しが必要と判断した場合には、速やかに開示いたします。

 

(5) 研究開発活動

 当中間連結会計期間の研究開発費の総額は2億74百万円であります。
  なお、当中間連結会計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
 

 

3 【重要な契約等】

当社は、2025年6月20日開催の取締役会において、当社の連結子会社である井村屋株式会社のフードサービス事業を会社分割(新設分割)によって新設会社に承継させるとともに、新設会社を当社の100%子会社とすることを決議いたしました。

 

(1) 会社分割の目的

井村屋株式会社におけるフードサービス事業は、東京南青山にアンナミラーズ新店の出店を予定するなど、新たな事業展開を進めております。今後、ジュヴォーブランド、アンナミラーズブランドの更なる活用を図り、お客様ニーズに応えるとともに新しい付加価値の提供により、フードサービス事業の成長戦略を展開するため、井村屋株式会社の流通事業からフードサービス事業を独立し、自主、自立した専門的な事業体制を構築することを目的といたします。また、井村屋株式会社は流通事業における各カテゴリーの事業戦略の強化、業務用・新規事業の成長戦略を更に推進します。この目的に沿ってグループ経営として、特色発揮に向けた事業活動を行います。

 

(2) 会社分割の日程

取締役会決議日           2025年6月20日

井村屋株式会社株主総会決議日    2025年8月29日

会社分割の効力発生日(新設設立日) 2025年10月1日

 

(3) 会社分割の方式

井村屋株式会社を分割会社とし、そのフードサービス事業を新設会社に承継する分割型新設分割です。

 

(4) 会社分割に係る割当ての内容

新設会社は、本件会社分割に際して普通株式200株を発行し、そのすべてを分割会社である井村屋株式会社に割当交付いたします。同時に井村屋株式会社は、自らに割当てられた全株式を、剰余金の配当として、完全親会社である当社に対して交付いたします。

 

(5) 会社分割にともなう新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

該当事項はありません。

 

(6) 会社分割により減資する資本金

本件会社分割による井村屋株式会社の資本金の減少はありません。

 

(7) 新設会社が承継する権利義務

新設会社は、効力発生日に新設分割計画書に定める範囲において、分割会社である井村屋株式会社の本件会社分割の対象となる事業に属する資産、負債(債務)、労働契約、契約上の地位その他権利義務を承継します。

 

(8) 債務履行の見込み

新設会社は、本件会社分割において負担すべき債務について、履行の見込みがあるものと判断しております。

 

 

(9) 本会社分割の当事会社の概要

 

分割会社

(2025年6月20日現在)

新設会社

(2025年10月1日現在)

商号

井村屋株式会社

井村屋フードサービス株式会社

本店所在地

三重県津市高茶屋七丁目1番1号

三重県津市高茶屋七丁目1番1号

代表者の役職・氏名

代表取締役社長 岩本 康

代表取締役社長 中島 伸子

事業内容

菓子、食品などの製造・販売及びそれに付帯する事業、レストラン事業、酒事業

アンナミラーズ、ジュヴォー、菓子舗井村屋などのブランド活用によるフードサービス事業

資本金

310百万円

10百万円

設立年月日

2010年10月1日

2025年10月1日

発行済株式数

6,200株

200株

決算期

3月31日

3月31日

株主構成

井村屋グループ㈱ 100%

井村屋グループ㈱ 100%

 

 

(10) 分割する資産・負債の状況(2025年10月1日現在)

資産

金額(百万円)

負債

金額(百万円)

流動資産

97

流動負債

62

固定資産

228

固定負債

25

資産合計

326

負債合計

88