当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「事業を通じて社会に貢献し、より多くの人々の健康な毎日を実現することを追求し続ける」ことを「創業の精神」に掲げ、未病・予防の領域に着目し、科学的根拠に基づいて子供から大人まで、誰もが栄養を摂取しやすい食品を開発してまいりました。現長期経営構想において、企業の存在意義(パーパス)を「すこやかな毎日、ゆたかな人生」、ありたい会社の姿(ビジョン)を「Glicoグループは人々の良質なくらしのため、高品質な素材を創意工夫することにより、『おいしさと健康』を価値として提供し続けます」と定めました。子供から大人までを対象に「習慣的に喫食いただけるような日常必需品」を開発することでお客様にとっての新しい価値を創出し、売上・利益の継続的な向上に取り組んでおります。
当社グループは、創業時から変わることのない健康への想いを更に進化させ、お客様、取引先、従業員、株主、地域社会、将来世代等の多様なステークホルダーとともに持続的な成長発展を期し、皆様のご期待に応える経営成績形成に努めております。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、利益と資金を継続的に増加させながら成長加速に向けた投資を実行し、国内外における売上高及び営業利益の向上を継続的に目指すことを目標としております。具体的な数値目標は以下のとおりであります。
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<2022‐2024年度> |
<2025‐2027年度> |
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位置付け |
基盤フェーズ |
加速フェーズ |
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売上高 |
+3~5%(年平均成長率) |
+5~10%(年率) |
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営業利益 |
+5~10%(年平均成長率) |
+10~15%(年率) |
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ROE |
- |
6~8% |
(3)経営環境
企業を取り巻く経営環境は、不安定な国際情勢、エネルギー・原材料価格の高騰、急激な為替変動、デジタル・AI活用の加速度的拡大、気候変動など不確実性が増しております。その他にも、世界的な社会的要請への対応、脱炭素・脱プラスチックなど地球環境・将来世代に負の財産を残さない企業活動など、企業が取り組むべき課題も多様化しております。
このような経営環境の中で、お客様や生活者との接点強化による「おいしさと健康」の価値提供、並びに中国・東南アジア・北米における事業成長は、当社グループにとっての事業拡大・強化の機会と捉えております。今後も国内外における経済状況や業界・市場動向などの変化、持続可能な企業活動の要請に柔軟に対応しながら、企業価値の向上に努めてまいります。
(4)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題
当社グループは、存在意義(パーパス)・ありたい会社の姿(ビジョン)を実現するために、中期経営計画として、①事業戦略②研究戦略③人財戦略を定めるとともに、これらの戦略を実現するための基盤である、組織・人財の実行力の向上、デジタル・AI技術の事業変革への活用、持続可能な企業活動の推進により、対処すべき課題に対する具体的な事業活動を行ってまいります。
①事業戦略
お客様起点での価値創造を加速させるとともに、デジタル・AIを有効活用したビジネスモデルの進化に取り組みます。また、中国・東南アジアを中心とした既存進出国でのブランド成長、次なる成長基盤として北米での事業基盤構築強化、さらに新規成長国への進出機会を探索し、参入に取り組みます。
②研究戦略
重点5領域における研究を起点とする価値創造を加速させ、パーパスの実現を通した社会への貢献、事業活動の成長を牽引します。その実現に向けて、研究ポートフォリオの再構築、研究部門全体での推進力強化に取り組みます。
③人財戦略
多様なバックグラウンドを持つ人財が、個々の違いを受け入れ、互いに認め合いながら適材適所で活躍し、意欲的に成果をあげることで、当社グループの持続的成長を支える組織文化の形成に取り組みます。また、戦略の実行に必要な人財を、能力開発および外部採用により獲得することで、価値創造を加速させます。
なお、当社では、お客様への継続的な価値創出を可能にするバリューチェーン構築と経営の迅速な意思決定を目的に、調達・生産・物流・ファイナンスなどの情報を統合する基幹システムを構築し、2024年4月にそのシステムへの全面的な移行を実施しました。しかし、基幹システムを切り替えた際に発生したシステム障害により、チルド商品において、全国の物流センターでの出荷業務に遅滞が生じ、お取引先様に遅配や欠配が発生しました。システム復旧により、6月より段階的に出荷を進め、当連結会計年度中に全品の出荷を再開しております。また、今回のシステム障害については、客観的な立場の法律事務所等の協力の下、原因究明の調査を行っており、その結果を今後に生かしてまいる所存です。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
当社グループは、中長期的な企業価値の向上の観点から、サステナビリティに対する取組みを重要な経営課題と認識しております。また、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」という存在意義(パーパス)を設定し、生活者自身がそれぞれの「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を送れるよう、創意工夫により「おいしさと健康」を価値として提供し続けることを目指して事業運営を行っております。
多様なステークホルダーの皆様とともに存在意義(パーパス)の実現を通して、地球環境、サプライチェーン上の人権問題、心身の健康等の社会課題の解決に取り組み、企業の持続的成長とともに持続可能な社会の実現を図ってまいります。
①ガバナンス
当社グループは、長期的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指し、代表取締役社長を委員長とするCSR委員会を設置し、グループ全体でCSR活動を通じてサステナビリティに対する取組みを推進する体制を敷いております。
CSR委員会は、環境、地域貢献、人財等のテーマ別の5つの分科会で構成され、中長期的な環境(E)・社会(S)と企業経営双方の持続可能性の観点から、当社グループのCSR推進の方向性の策定や各部門でのCSR活動の進捗状況の確認、活動内容の審議等を行っております。また、その活動状況について、取締役会等にて報告を行い、CSRを経営に反映させながらグループ一体となって推進しております。
②リスク管理
当社グループでは、リスクの洗い出しやレベル評価、リスクへの対応検討と進捗モニタリングを行い、リスクの適切な管理・対応を実施しております。
(2)気候変動
気候変動は生活者の健康や生活の質に重大な影響を及ぼす環境問題であると認識しております。
当社グループでは、気候変動への取組として、環境負荷削減や省エネルギー活動の推進、再生可能エネルギー利用の推進等、気候変動関連の施策を充実化するとともに、TCFD提言に沿った情報開示を段階的に拡充し、企業価値の向上に努めてまいります。
①ガバナンス
当社グループは、気候変動をはじめとする社会課題の解決に向けた取組みを強化しており、中長期視点で「事業を通じて社会に貢献する」経営に取り組んでおります。気候変動に関しては、CSR委員会が中心となり、グループ全体でCSRを推進する体制を構築しております。
②戦略
気候変動シナリオの分析では、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やTCFD提言を踏まえ、①4℃シナリオ、②2℃シナリオ、③1.5℃シナリオの3つのシナリオとともに、時期として①中期(2030年)、②長期(2050年)における当社グループに及ぼす影響を分析しました。その結果、2℃シナリオと1.5℃シナリオでは脱炭素に向けた取組みが加速し始め、炭素税対応コストの増加等の移行リスクが増大する一方、消費者の意識変化に伴う新たな事業機会が顕在化することが分かりました。また、4℃シナリオでは原料の調達コストが増加するとともに、水リスクなどの物理リスクによる影響が大きくなることが判明しました。これら分析結果を踏まえ、当社では温室効果ガス削減を迅速に対応しつつ、その他の重要と評価されたリスク・機会への対応も進めてまいります。
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シナリオ |
リスクまたは機会 |
リスク項目 |
時期 ※1 |
事業インパクト ※2 |
リスク対応策(検討含む) |
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1.5℃ ※3 |
脱炭素に向けた取組みが加速し始め、主に移行リスクが肥大化する一方、消費者の意識変化に伴う新たな事業機会が顕在化する |
炭素税対応コストの増加 |
中期 |
大 |
・再生可能エネルギーへの切り替え ・コージェネレーションシステムによる効率化、冷凍機の更新等 |
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長期 |
大 |
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包材調達コストの増加 |
中期 |
小 |
・バイオマス包材の採用 ・リサイクルしやすいモノマテリアル包材の活用 |
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長期 |
中 |
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主要原材料調達コストの増加 |
中期 |
小 |
・気候変動に対応する主要原料の新品種などの開拓 ・原料生産への支援による優位調達の実現 |
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長期 |
中 |
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4℃ |
1.5℃シナリオと比べると物理リスクが肥大化するため、それらに適応するための対応コストが拡大する |
主要原材料調達コストの増加 |
中期 |
小 |
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長期 |
中 |
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水リスクによる操業停止に伴う売上減少 |
中期 |
- |
- |
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長期 |
中 |
・サプライチェーン全体でのレジリエンスを強化 ・BCPの見直し |
※1 時期・・・中期:2030年 長期:2050年
※2 事業インパクト・・・大 :40億円以上 中: 20~40億円 小: 20億円以下
※3 1.5℃シナリオと2℃シナリオの事業インパクトに大きな差異が無いため、1.5℃シナリオのみ記載しております。
③リスク管理
当社グループでは、事業に対して影響を及ぼすリスクに的確に対処するため、社長室及びクライシスマネジメント委員会が主体となり、グループ全体でリスクマネジメントを推進しております。また、リスク分析及び評価を定期的に実施し、事業に及ぼす重大なリスクを特定し、必要な対策を関連部門とともに推進しております。この中で気候変動に関しては、CSR委員会が中心となり、温室効果ガスの削減策について議論しながら、経営に反映しております。
④指標及び目標
当社グループでは、以下の目標の達成に向けて取組み、持続可能な社会に貢献することを目指して活動しております。
1)企業活動で使用する電気、ガス等の使用量を管理し、CO2の排出量を削減している他、工場等で新しい設備を導入する際には、省エネルギーやノンフロン等環境面に十分に配慮した設備への切り替えを進めております。2050年までに、再生可能エネルギーへの切り替えやコージェネレーションシステムによる効率化、冷凍機の更新等を通じ、温室効果ガス(CO2やフロンガス等)を100%削減することを目指します。
2)一部の工場において、排水を冷凍設備の冷却に再利用する等、水資源の使用量削減に取り組んでおります。2050年までに、空冷式システムの採用や水処理技術の向上等を通じ、水の使用量原単位を20%削減及び水質汚染ゼロ化を目指します。
3)容器・包装の機能を追求するとともに、減量化による環境負荷の低減にも取り組んでおります。2050年までに、生産技術向上及び規格見直しによる減量化やバイオマス素材への転換等を通じ、プラスチックをリサイクル原料に、紙を森林認証紙にそれぞれ100%切り替えることを目指します。
4)製造工程での廃棄物の削減に注力するとともに、需給予測精度の向上による過剰在庫を持たない仕組みを通じて、食品廃棄物の削減に取り組んでおります。2050年までに、サプライチェーンの効率化や需給予測精度の向上等、廃棄が発生しない取組みに注力する他、商品の微細な欠け等、品質に問題がない商品を不揃い品としてアウトレット販売を行う等により、食品廃棄物を95%削減することを目指します。
(3)人的資本及び多様性
①戦略
1)人事に関する基本的方針
当社グループは、企業発展の源泉となる最大の資本は「人」であり、個々人の能力開発・育成を図り、意欲にあふれる人財が束となって変革を推し進めること、またそうした変革を推進する人財が次々と育つ企業風土を醸成することが重要であると考えております。さらに、多種多様な社会課題の解決のために、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)にも真摯に取り組み、様々な個性を持つ社員一人ひとりが、適切な配置や機会の提供を受けることで自身の能力や経験を生かして活躍できると考えております。こうした考え方に基づいて、社会から支持、信頼、尊敬される企業であることを通じ、当社グループの持続的な発展と社員の幸福の実現を目指しております。
2)当社グループにおける人的資本に関する取組みの全体像
当社グループでは、長期経営構想の制定に際して経営理念体系を見直し、存在意義(パーパス)「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を最上位に位置付けるとともに、ありたい会社の姿(ビジョン)として「Glicoグループは人々の良質なくらしのため、高品質な素材を創意工夫することにより『おいしさと健康』を価値として提供し続けます」と定めました。
これらパーパスやビジョンを実現し、当社グループが持続的に成長するために重点項目「9クリティカルズ」を定義し、全ての部門ミッションと連動させて、全社を挙げて取り組んでいます。
■9クリティカルズ
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パーパスの追求 |
事業を通じて、生活者に対してどのように貢献するのか、パーパスに込めた不変の創業精神を追求する。 |
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価値の創出 |
価値はお客様が判断する。当社グループのあらゆる部門が一体となり、お客様に価値をお届けする活動に注力する。 |
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人財強化 |
価値創出力を高めるために必須となるスキルを定義し、当社グループ全体で人財開発に取り組む。 |
|
組織開発 |
主体的に組織連携を図ることのできる強い組織(One Glico)を実現し、脱サイロ化を図る。 |
|
俊敏な組織 |
変化をいち早く捉え、それをビジネスチャンスに変えて、アウトプットを出す俊敏性の高い組織づくりに取り組む。 |
|
グローバル展開 |
グローバル展開を加速させて事業成長に結びつける。 |
|
積極投資 |
人財開発や研究開発、グローバルでの事業成長を加速させるための基盤整備や能力向上に、積極的に投資を行う。 |
|
D&I |
バックグラウンドの異なる人財が、個々の違いを受け入れて、互いに認め合いながら適材適所で活躍できるD&Iを戦略的に推進する。 |
|
サステナビリティ |
持続的な成長を果たすために必要な要素、それらに影響を与える長期的な変化を捉える。 |
さらにこの9クリティカルズに基づいた各部門のミッションの達成のために、組織のあるべき姿を「顧客起点で価値を共創するイノベーターズ」と定めました。ここで示す「イノベーター」とは、「内発的動機を力に前例にとらわれず、成果に向けてチャレンジする人財」と定義しました。また、あるべき人財像としては、当社グループにおける不変の行動指針である「七訓」を基盤としつつ、「オーナーシップマインド」、「顧客志向」、「グロースマインドセット」、「変化対応力」、「グローバルマインドセット」の5つの要素を兼ね備えた人財と定めました。
■5つの要素
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オーナーシップ マインド |
社員全員が創業者マインドを持ち、自立して行動する。 |
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顧客志向 |
社員全員が常にお客様起点の発想と、新たな価値を創造・実現できるスキルを持つ。 |
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グロース マインドセット |
社員全員が協同一致で「One Glico」を実践するマインドを持つ。 |
|
変化対応力 |
市場や環境の変化に常にアンテナを張り、現場、現物、現実を正確に把握しながら迅速に対応を図る。 |
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グローバル マインドセット |
社員全員がグローバル目線で事業構想を考えることができ、また異なる意見や価値観を異質とせず受容することができる。 |
■人的資本ストーリー
現行の中期経営計画では、2025年から2027年を長期経営構想の実現に向けた加速のフェーズとし、人的資本に対する取組みを主要戦略の一つと位置付けました。この人財戦略を事業戦略、研究戦略と連動させることで長期経営構想を実現し、その先に見据えるグローバル10億人のウェルビーイングへの貢献を目指します。そのための取組みとして、かねてより注力してきた能力開発・育成への取組みに加え、社員一人ひとりの「内発的動機」を原動力として、その力を成果へと結び付ける仕組みの構築に取り組みます。具体的には、担当業務の内容や目標、学びの内容を自律的に選択できる機会を拡充します。また、チャレンジ行動や成功体験を増やすことで自己効力感を高めます。さらに、部門間の協力関係や個々の強みを生かし合うインクルーシブアクションの強化に繋がる施策を進める計画です。
また、長期経営構想を実現するための必要人財やケイパビリティの定義設定、採用・育成・配置等に関する人財計画の策定を進めます。さらに、これらの施策の実行力を高めるために、組織マネジメント力の強化や人事組織の体制の見直しを進めてまいります。
こうした人財戦略の進捗を測る指標として、「パーパス行動の体現度合い」を重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)に設定し、その水準を継続的にモニタリングすることで、組織力の向上を図ります。
当社グループは、パーパスに共感・共鳴した社員が、その「内発的動機」をもとに個々の強みを生かし合いながら期待される行動を体現し、これを組織の力として転換することで新たな価値の創造・創出や生産性の向上に結びつけることが必要と考えております。なお、「パーパスを実現するために行動していると回答した者の割合」については年々上昇しており、2024年時点において60%に達しましたが、「パーパスを理解していると回答した者の割合」に対して相対的に低い状態にあり、これを継続して高めていくことが当社グループの今後の成長の大きな鍵になると考えております。
■2024年10月実施・社員アンケート結果
※当社及び国内主要子会社にてアンケートを実施
3)人財育成方針及び社内環境整備について
当社グループは、全ての社員が備えるべき5つの要素(人財のあるべき姿)を開発するための教育投資を行うとともに、培った能力を十分に発揮できるような社内環境整備への積極的な投資を実行し、課題に沿った各種アクションを実行、加速してまいります。
a.オーナーシップマインド:社員全員が創業者マインドを持ち、自立して行動する。
当社グループのパーパス実現のために、全ての社員が、「創業者マインド」をもち、それぞれの「内発的動機」をもとにお客様の「すこやかな毎日、ゆたかな人生」に貢献することを追求していきます。全ての社員が主体的に新しい挑戦に取り組めるよう、以下の取組みを進めております。
・次世代イノベーター育成研修
起業家マインドとグローバルに通じるイノベーション創出力の強化を目的に2019年より開始しました。今後もこうした起業家精神を育む機会を強化してまいります。
・選抜リーダーシップ研修
3つの層からメンバーを選抜して実施しております。
ⅰ.CLC(Change Leader’s Camp)研修:2014年に部門長及び部門長候補を対象に経営リテラシーやリーダーシップの獲得を主目的として開始しました。4年目以降はACLC(Advanced Change Leader’s Camp)研修を実施しております。
ⅱ.LDC(Leadership Development Camp)研修:係長クラスから経営職を目指すメンバーを対象とした研修です。
ⅲ.LLC(Leadership Learning Camp)研修:主任クラスから係長クラスを目指すメンバーを対象とした研修です。
・社内公募制度
社員個々の自律的キャリア形成の促進とキャリアニーズに応えることを目的に2010年より導入しております。
・JICA民間ボランティア制度への派遣
国際感覚を備えた人財の育成と同時に、異なる文化や環境の中で自ら課題を設定し、1年という限られた期間の中で持続性のある解決策を仕組み化して生み出す体験として、2016年以降、独立行政法人国際協力機構JICA(Japan International Cooperation Agency)の民間連携ボランティア制度を活用し、これまでに社内公募により海外8カ国8地域へ社員を派遣しております。
・smile.box(社内提案制度)
社員なら誰でも業務改善につながるアイデアを直接会社に提案できる制度を2016年より導入しております。提案されたアイデアは社長、役員、関係部門によって検討され、社員に返答される仕組みになっております。
b.顧客志向:社員全員が常にお客様起点の発想と、新たな価値を創造・実現できるスキルを持つ。
現状の商品(モノ)、ブランド起点から、お客様起点の価値創造に事業を変革するにあたり、その能力の開発は一層重要度を増しており、以下の取組みを実施しております。
・デザイン思考ワークショップ
お客様起点での課題設定力、問題解決力の向上を目的に2019年より実施しております。
・デジタルスキル学習
デジタルリテラシーの強化、デジタルを活用した新たな価値創出や業務変革等における職務遂行能力の獲得・向上を目的に2022年から当社及び国内連結子会社の全社員を対象に順次開始しており、これまでに当社正社員(社外への出向者含む)の71.7%、1,188名の受講が完了しました。
c.グロースマインドセット:社員全員が協同一致で「One Glico」を実践するマインドを持つ。
個人及び組織で求められるアウトプットに対するコミットメントのレベルや、主体的に学ぶ意識を高めることで「個」を超えた価値を提供することを伸びしろと捉え、社員全員がパーパス、ビジョンを理解・共鳴した上で、学び続け、グループ全体が一丸となり結果を出し切れる組織文化を目指して取組みを進めております。
・役割等級制度
管理職は2018年から、一般社員は2022年から、従来の職能資格制度を廃止し、役割の大きさを基準に等級を設定する役割等級制度へ移行しました。
・自律的な能力開発とキャリア形成
各等級あるいは営業や商品開発などの職種別に求められるスキル、知識を定義しました。各等級に求められるスキル、知識を社員に明示することで、上司の支援のもと、社員一人ひとりが主体的かつ計画的に自身の能力開発に取り組むと同時に、キャリア申告を通じて、自身のキャリア意向や経験・スキルについて定期的に棚卸し、自律的なキャリアの実現を促進しております。
・キャリア採用
経営戦略上必要な、専門性、経験、知見、チームで課題を解決する能力等の強化施策として外部からの人財獲得を推進しております。2024年度は当社及び国内連結子会社合計で、キャリア入社者が全採用者の82.5%を占めました。新卒採用で優秀なポテンシャル人財を採用すると共に、多様なスキルや価値観を持つキャリア採用を積極的に行うことで、新たな視点を取り入れた商品開発やマーケティング、営業、生産活動を推進してまいります。
d.変化対応力:市場や環境の変化に常にアンテナを張り、現場、現物、現実を正確に把握しながら迅速な対応を図る。
企業が成長するためには、社会の動向を見定め素早く動く「俊敏な組織」でなければなりません。社員一人ひとりが、日常生活の中でニーズの変化や技術の動向を敏感に察知し、ビジネスチャンスに変えてアウトプットを生み出す判断力を鍛えます。当社グループ全体での俊敏性と判断力を高めるために、データドリブンな意思決定ができる環境整備や組織体制を整えていきます。
・各部門目標の設定
各部門の目標に社会環境の変化や最新の技術トレンドを獲得するための観点を加えることで、会社全体の変化対応力の向上を図ります。
・能力開発
個々の能力開発機会として、戦略策定のトレーニングや実践の機会を設けております。
e.グローバルマインドセット:社員全員がグローバル目線で事業構想を考えることができ、また異なる意見や価値観を異質とせず受容することができる。
意思決定の質を高めるためには、異文化理解の素養を高め、日常的な意思決定のプロセスにおいて当事者をインクルーシブすることが必要不可欠です。人財獲得への努力と同時に多様な人財の育成や活躍しやすい環境整備を推進しております。
・日本国外での新卒採用
異文化理解の素養が高く、インクルージョンを力にすることができるリーダーに育成するために、当社では2007年より日本国外での採用活動を開始し、日本国外で開催される採用イベントや、キャンパスリクルーティングへ参加しており、これまでに45名を採用しています。
・グローバルブランドマネジメント体制の導入
長期経営構想、中期経営計画に基づいたグローバルブランドの成長戦略・方針を策定し、その実行をリードする専門組織を設置いたしました。
・ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)
D&Iへの取組みはイノベーションを創出するとともに、組織運営においても意思決定のレベルを引き上げ、組織マネジメント力を向上させるものと捉えております。国籍や性別、キャリア、障がいの有無などにかかわらず、多様な人財が適材適所で一体となって目標に向かっていける環境づくりが非常に重要であると考え、以下の取組みを実施しております。
ⅰ.社員一人ひとりがD&Iを深く理解し、インクルーシブな言葉や行動を選択して実践するスキルを学び、具体的な行動を促すことを目的とした、当社グループの全社員が参加する“D&Iイベント”を2021年から毎年開催しています。2024年は「社会に向けたインクルーシブアクション」をテーマに、様々な社会課題への理解を当社事業に結び付ける機会として開催いたしました。2024年度実施の社員アンケートでは、86.8%の社員が自職場をインクルーシブな職場環境であると回答しております。
ⅱ.イニシアチブにおけるジェンダー平等推進の観点から、女性社員のキャリア開発研修や上司を対象としたダイバーシティマネジメント研修等を実施し、当連結会計年度の当社及び国内連結子会社合計の女性管理職比率は6.7%です。
ⅲ.子どものココロとカラダの成長を育む世の中にしていきたいという想いから2019年に「Co育て(こそだて)PROJECT」を発足しました。当社では法制化に先駆けて、「Co育てMonth」(子どもの出生後6ヵ月以内に1ヵ月の有給休暇の取得を必須とする制度)に代表する子育て支援に関する各種制度の充実に取り組みました。男性育児休業取得率は当社及び国内連結子会社合計で86.1%に達しています。
ⅳ.障がいのある人がその障がいの種類にかかわらず活躍できる職場として、本社敷地内に「スマイルファクトリー」を設置し、輸出商品のラベル貼り等、従来外部委託してきた業務の内製化を図っております。障がい者雇用率は、当社及び国内連結子会社合計で法定雇用率を超える3.3%を実現しております。
4)人財育成&健康経営の基盤
・人財育成投資
人財育成への投資を積極的に進めており、当社及び国内連結子会社における2024年の研修費用総額は、172百万円、一人あたり48千円となりました。
・健康経営
当社グループが持続的に成長・発展し、事業を通して社会に貢献し続けるためには、当社グループで働く社員自身が、心身ともに健康であり、働きがいをもっていきいきと働き続けられることが欠かせないと考えております。当社グループでは社員の健康維持・増進を重要な経営課題と位置づけ、社員自身の主体的な健康づくりを積極的に支援しております。また、産業医及び保健師を採用し、産業保健体制を充実させることで、社員の健康と安全の確保に繋げています。社外からの評価として、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人ホワイト500」に認定されました。また、2020年11月、総務省が主催する「テレワーク先駆者百選」において、最高位となる「総務大臣賞」を受賞しました。
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総合健康リスク(注) |
92 |
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年間一人当たり総労働時間 |
2,084時間 |
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平均有給取得率 |
73.2% |
(注)厚生労働省ストレスチェックプログラムに基づく指標。全国平均100に対して、低い方が良好値を示す。
②指標及び目標
当社グループは、パーパスとビジョンの実現を目指すべく上述した人財戦略を踏まえ、その進捗を測る指標として、「パーパス行動の体現度合い」を重要業績評価指標(KPI)に位置付けました。この指標について、2025年の間に指標・目標の定義を精緻に設定する計画としています。なお、「パーパスを実現するために行動していると回答した者の割合」については年々上昇しており、2024年時点において60%に達しましたが、「パーパスを理解していると回答した者の割合」に対して相対的に低い状態にあり、これを継続して高めていく計画です。
当社及び国内連結子会社では子育て支援に関する各種制度の充実に取り組んでおります。男性労働者の育児参画をさらに推進するとともに、対象者の休暇取得をきっかけにして、職場のメンバー全員が働き方についての意識と行動を見直し、生産性の向上を実現することを目指しております。当社及び国内連結子会社では男性育児休業取得率については100%を目標としており、当連結会計年度において86.1%に至っております。
また当社グループは、障がいのある人がその障がいにかかわらず活躍できる職場を目指し、「スマイルファクトリー」を開設し、「やりがいを感じる」「必要とされていることを実感できる」体制づくりを進めるとともに、作業場はもちろん休憩スペースにも障がいの種類にかかわらず働きやすい環境を整えております。今後は障がいがハンデとならない職務の開発や、長期雇用を支援する体制と仕組みづくりにも取り組んでまいります。障がい者雇用について、当社では3%以上の雇用率を目標としており、当連結会計年度において3.4%に至っております。
当社グループは、生活者の皆さまがそれぞれの「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を送れるよう、高品質な素材を創意工夫することにより「おいしさと健康」を価値として提供し続けていくために、取り組むべきマテリアリティ(最重要領域)を特定し、長期的な視点から経営環境に対する課題への対応を図るように努めております。また、当社グループにおけるリスクを把握し、リスクの顕在化による危機的状況の発生を未然に防ぎ、万が一発生した場合に生じる負の影響を最小限に抑えるための策を講じ、当該危機的状況からの早期の回復を図るよう努めております。
経営環境、経営成績、財務状況等(株価含む)に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスクを脅威とみなすだけでなく、創意工夫による適切な対応を通じ、持続的な成長の機会としてとらえております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
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開示 |
マテリアリティ |
リスク |
影響度 |
発生 |
機会 |
リスクへの対応 |
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1 |
食の安全に関するリスク |
安心・安全な商品・サービスの提供 情報開示と対話の推進 |
・製品回収による多額のコスト発生リスク ・顧客の流出等による売上低迷のリスク ・Glicoブランド棄損のリスク |
高 |
低 |
・適切な情報開示(品質管理ポリシー、原材料調達)を通じたGlicoブランドの信頼獲得による売上高拡大 |
・国際的な食品安全システムの導入の取組み(ISO、FSSC22000の取得) ・取引先の監査等を含むサプライチェーンでの品質保証体制の構築と運用 ・アレルゲンの適切な表示 ・お客様の声の反映 |
|
2 |
原材料の調達のリスク |
- |
・原材料の需給動向や原油価格、海上コンテナの変動などによる調達価格変動のリスク |
中 |
高 |
・デジタル技術の活用による原材料発注のサプライチェーンマネジメントの強化 ・調達地、調達先の多様化によるレジリエンスの獲得 |
・長期生産計画と調達需給の連動オペレーション ・「Glicoグループ調達方針」を公開し 「サプライチェーンの環境社会配慮」との連動とグローバルイニシアティブ(国連グローバル・コンパクト、SDGs等)への対応を推進 |
|
サプライチェーンの環境社会配慮 |
・地域の環境法や児童労働等の国際社会要請に合致しないサプライヤーからの調達による原材料調達取引停止のリスク ・Glicoブランド棄損のリスク |
中 |
低 |
・調達トレーサビリティ導入・強化による信頼性の高い調達先の選定 |
|||
|
3 |
研究開発のリスク |
共創とイノベーションの推進 人々の健康への貢献 |
・新製品開発、現行製品の改良、コストダウン、基礎研究分野における開発が成功しないリスク ・市場の変化をとらえきれず市場ニーズに乖離し、受け入れられないリスク |
高 |
中 |
・注力領域への経営資源投入及びオープンイノベーションによる開発の加速 ・製品開発へのデジタル技術活用 |
・健康機能の科学的評価の仕組みを構築し、多様なお客様の健康に寄与できる安全な製品の開発 ・デジタル人財開発による販売データ、お客様の声の分析高度化 ・外部の研究機関、スタートアップ企業との協働による開発の加速 |
|
4 |
法的規制等に関するリスク |
コーポレート・ガバナンス 人権尊重のマネジメント 公正で誠実なマーケティング 企業倫理の実践と腐敗防止 |
・法令違反によるコンプライアンスリスク ・処罰、訴訟提起のリスク ・Glicoブランド棄損のリスク |
中 |
低 |
・適切な情報開示を通じたGlicoブランドの信頼獲得 |
・役職員を対象にしたコンプライアンス教育の実施 ・ホットラインの設置 |
|
|
開示 |
マテリアリティ |
リスク |
影響度 |
発生 |
機会 |
リスクへの対応 |
|
5 |
天変地異や社会的な制度等に関するリスク |
安全・安心な商品・サービスの提供 労働安全衛生 |
・パンデミック、地震、洪水等の天変地異の発生及びテロ、紛争等の発生による社会的混乱が生じた場合のリスク ・サプライチェーン分断のリスクや事業停止のリスク ・役職員や事業資産が損害を被るリスク |
中 |
低 |
・BCP(事業継続計画)推進による通常業務効率化 ・DX取組みによるリモートワークの充実 ・調達地、調達先の多様化によるレジリエンスの獲得 |
・マネジメント層に対するリスク対応トレーニングの実施 ・生産部門での非常時の対応方針・事業継続計画を策定し、訓練等の実施 ・国際情勢等の情報収集 ・リモートワークの充実に向けたIT環境整備 |
|
6 |
長期的な事業継続に関するリスク |
人財の育成 ダイバーシティ&インクルージョン |
・多様な人財を確保できないことによる企業活動の生産性低下による業績悪化のリスク |
中 |
低 |
・多様性に富む人財確保・育成によるイノベーションの創出 ・従業員の働きがいの向上による会社の成長、企業理念の達成 |
・サクセッションプラン、人財育成プログラムの推進 ・多様な人財の人的資本価値を高め、その力を最大限引き出すことを通じて、より活躍できる環境整備 ・健康経営の推進 |
|
商品サービスのライフサイクル全体での環境社会配慮 気候変動の緩和と適用 資源循環と廃棄物削減 サプライチェーンの環境社会配慮 水資源の管理 |
・温暖化や地球環境の変化、また、それらへの対応のため、企業活動全体に及ぼす影響が顕在化するリスク ・気候変動による原材料調達不全リスク ・対応遅れによる調達コスト、製造コスト、税コストの上昇リスク ・社会要請への対応遅れによるGlicoブランド毀損リスク |
高 |
中 |
・調達先・事業展開先の地理的分散化 ・消費エネルギー低減取組、再生可能エネルギー導入や脱炭素技術導入などの施策の推進 ・包材の脱プラスチック、リサイクル対応の推進 ・情報開示を通じたGlicoブランドの信頼獲得 ・アイスクリームなど特定製品の需要増加 |
・「Glicoグループ環境ビジョン2050」の策定と実行 ・各拠点における食品ロス削減 ・TCFDの枠組みのもと、気温上昇に伴うリスクの理解とそのリスクへの対応等を検討 |
||
|
7 |
情報システムの障害等に関するリスク |
消費者のプライバシーの保護 情報開示と対話の推進 |
・外部からのサイバー攻撃、コンピュータウイルス感染による深刻なシステム障害、個人情報などの重要データの流出、破損による事業中断のリスク |
高 |
低 |
- |
・Glicoセキュリティポリシーのもと、情報セキュリティ体制の構築と運用 ・リスクアセスメントに基づき、役職員を対象とした情報セキュリティ教育や訓練の実施 |
|
8 |
取引先の経営破綻等に関するリスク |
コーポレート・ガバナンス |
・取引先の経営破綻による債権が回収できないリスク |
低 |
低 |
- |
・調査機関等の活用による情報収集や与信管理、債権保全の実施 |
|
9 |
資産の減損等に関するリスク |
コーポレート・ガバナンス |
・資産の価値の下落あるいは将来キャッシュ・フローによる減損損失計上のリスク ・新規事業の出資先株式、のれんの減損リスク |
低 |
高 |
- |
・経済、金融動向の注視と、投資規模に応じた社内審議、手続きに基づく投資の実行 ・出資先に対する事業計画達成のための継続的なフォローアップ及びモニタリングの実施 |
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなか、各種政策の効果もあり緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、物価上昇、不安定な世界情勢、欧米における金利高止まり等による海外景気の下振れリスク等により依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中で、当社グループは、存在意義(パーパス)である「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現に向け価値創造を強化し、①健康価値の提供・お客様起点のバリューチェーンの構築、②注力領域への研究投資の集中、③海外事業の拡大に向け取り組みました。
一方、バリューチェーン構築と経営の迅速な意思決定を目的に、当社の基幹システムの切り替えを実施しましたが、システム障害が発生したためチルド商品(冷蔵品)の出荷業務を一時停止しておりました。なお、システム復旧により、段階的に出荷を進め、当連結会計年度中に全品の出荷を再開しております。
その結果、売上面では、海外事業等で前年同期を上回ったものの、システム障害に伴うチルド商品出荷停止の影響により、乳業事業で大きく前年同期を下回ったこと等により、当連結会計年度の売上高は331,129百万円となり、前年同期(332,590百万円)に比べ0.4%の減収となりました。
利益面では、売上原価率は、海外事業における中国、ASEAN、米国で低下したこと等により前年同期に比べ1.4ポイント低下しました。販売費及び一般管理費は、広告宣伝費、給与及び手当、減価償却費等が増加しました。
その結果、営業利益は11,065百万円となり、前年同期(18,622百万円)に比べ7,556百万円の減益となりました。経常利益は営業利益段階での減益や為替差損等により、13,348百万円となり、前年同期(21,285百万円)に比べ7,937百万円の減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益はシステム障害対応費用等により8,113百万円となり、前年同期(14,133百万円)に比べ6,019百万円の減益となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
<健康・食品事業>
売上面では、“パピコ”“アイスの実”等は前年同期を上回りましたが、チルド商品出荷停止の影響により“アーモンド効果”“幼児のみもの”等が前年同期を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は46,682百万円となり、前年同期(50,499百万円)に比べ7.6%の減収となりました。
利益面では、減収に伴う売上総利益の減少等により、営業損失は167百万円となり、前年同期(2,064百万円)に比べ2,232百万円の減益となりました。
<乳業事業>
売上面では、“ジャイアントコーン”“セブンティーンアイス”等は前年同期を上回りましたが、チルド商品出荷停止の影響により“カフェオーレ”“BifiXヨーグルト”等が前年同期を下回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は56,077百万円となり、前年同期(69,675百万円)に比べ19.5%の減収となりました。
利益面では、減収に伴う売上総利益の減少等により、営業損失は6,368百万円となり、前年同期(529百万円)に比べ6,897百万円の減益となりました。
<栄養菓子事業>
売上面では、チルド商品出荷停止の影響により“とろ~りクリームon”等は前年同期を下回りましたが、“ポッキー”“ビスコ”等が前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は64,737百万円となり、前年同期(61,890百万円)に比べ4.6%の増収となりました。
利益面では、一般管理費の増加等により、営業利益は5,199百万円となり、前年同期(6,525百万円)に比べ1,326百万円の減益となりました。
<食品原料事業>
売上面では、「小麦たん白」「ファインケミカル」等が前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は13,934百万円となり、前年同期(13,348百万円)に比べ4.4%の増収となりました。
利益面では、売上原価率の上昇等により、営業利益は2,090百万円となり、前年同期(2,427百万円)に比べ337百万円の減益となりました。
<国内その他事業>
売上面では、チルド商品出荷停止の影響によりキリンビバレッジ株式会社の受託販売等が前年同期を下回りましたが、当連結会計年度において株式会社Greenspoonを連結子会社化したことによる売上高純増のほか、卸売販売子会社の売上高及び「オフィスグリコ」等が前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は67,381百万円となり、前年同期(65,962百万円)に比べ2.2%の増収となりました。
利益面では、広告宣伝費の増加等により、営業損失は2百万円となり、前年同期(2,047百万円)に比べ2,050百万円の減益となりました。
<海外事業>
売上面では、地域別において、中国、ASEAN等で前年同期を上回りました。その結果、当連結会計年度の売上高は82,316百万円となり、前年同期(71,214百万円)に比べ15.6%の増収となりました。
利益面では、増収及び売上原価率の低下等により、営業利益は8,388百万円となり、前年同期(4,165百万円)に比べ4,222百万円の増益となりました。
財政状態については、次のとおりであります。
資産
当連結会計年度末における流動資産は165,424百万円となり、前連結会計年度末に比べ23,040百万円減少しました。主な要因は、商品及び製品が3,791百万円増加しましたが、現金及び預金が36,955百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は212,347百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,068百万円増加しました。主な要因は、ソフトウエア、機械装置及び運搬具等が増加したことによるものであります。この結果、総資産は377,771百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,971百万円減少しました。
負債
当連結会計年度末における流動負債は86,612百万円となり、前連結会計年度末に比べ29,378百万円減少しました。固定負債は18,560百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,925百万円増加しました。主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債等が減少したことによるものであります。この結果、負債合計は105,173百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,453百万円減少しました。
純資産
当連結会計年度末の純資産合計は272,598百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,482百万円増加しました。主な要因は、剰余金の配当により5,405百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益を8,113百万円計上したこと及び為替換算調整勘定が7,734百万円増加したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は72.0%(前連結会計年度末比5.7ポイント増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
|
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額(△は減) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
28,063 |
1,812 |
△26,251 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△8,613 |
△10,255 |
△1,641 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
(百万円) |
△6,179 |
△39,246 |
△33,067 |
|
現金及び現金同等物期首残高 |
(百万円) |
79,917 |
94,691 |
14,774 |
|
現金及び現金同等物期末残高 |
(百万円) |
94,691 |
56,610 |
△38,080 |
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、投資活動及び財務活動による支出が営業活動による収入を上回ったため、前連結会計年度末に比べ38,080百万円減少し、当連結会計年度末には56,610百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,812百万円となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益12,212百万円、減価償却費16,754百万円があったものの、棚卸資産の増加△6,621百万円、仕入債務の減少△960百万円、返金負債の減少△1,128百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは△10,255百万円となりました。主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入7,134百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出△10,624百万円、無形固定資産の取得による支出△6,851百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは△39,246百万円となりました。主な要因は、転換社債の償還による支出△30,000百万円、配当金の支払額△5,405百万円があったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
対前年同期増減率 (%) |
|
|
健康・食品事業 |
(百万円) |
36,621 |
△6.6 |
|
乳業事業 |
(百万円) |
43,990 |
△18.7 |
|
栄養菓子事業 |
(百万円) |
50,784 |
5.7 |
|
食品原料事業 |
(百万円) |
10,831 |
8.3 |
|
国内その他事業 |
(百万円) |
12,752 |
△21.7 |
|
海外事業 |
(百万円) |
53,864 |
25.6 |
|
合計 |
(百万円) |
208,844 |
△0.8 |
(注)金額は、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
対前年同期増減率 (%) |
|
|
健康・食品事業 |
(百万円) |
46,682 |
△7.6 |
|
乳業事業 |
(百万円) |
56,077 |
△19.5 |
|
栄養菓子事業 |
(百万円) |
64,737 |
4.6 |
|
食品原料事業 |
(百万円) |
13,934 |
4.4 |
|
国内その他事業 |
(百万円) |
67,381 |
2.2 |
|
海外事業 |
(百万円) |
82,316 |
15.6 |
|
合計 |
(百万円) |
331,129 |
△0.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま
す。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態及び経営成績の分析
当連結会計年度末の財政状態及び経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績につきまして、当連結会計年度の計画達成状況は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
|
|
(参考) 当連結会計年度 当初計画 |
当連結会計年度 修正後計画 |
当連結会計年度 実績 |
対修正後計画 増減額 |
|
売上高 |
351,000 |
330,000 |
331,129 |
1,129 |
|
健康・食品事業 |
53,500 |
47,500 |
46,682 |
△817 |
|
乳業事業 |
72,500 |
56,500 |
56,077 |
△422 |
|
栄養菓子事業 |
63,700 |
63,200 |
64,737 |
1,537 |
|
食品原料事業 |
13,700 |
13,700 |
13,934 |
234 |
|
国内その他事業 |
66,600 |
65,600 |
67,381 |
1,781 |
|
海外事業 |
81,000 |
83,500 |
82,316 |
△1,183 |
|
営業利益 |
19,000 |
14,000 |
11,065 |
△2,934 |
|
経常利益 |
21,500 |
16,000 |
13,348 |
△2,651 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
15,000 |
11,000 |
8,113 |
△2,886 |
当連結会計年度において、当社基幹システム切り替え時にシステム障害が発生し、チルド商品(冷蔵品)の出荷業務を一時停止しました。この影響で、主に乳業事業で売上高が想定を下回る見込みであったことから、当初計画の見直しを行いました。修正後計画と比較して、当連結会計年度の経営成績は、売上高は修正後計画を1,129百万円上回りましたが、営業利益は修正後計画を2,934百万円下回る結果となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備の増設・更新等の設備投資によるものであります。
当社グループは事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを重点事項と考えております。
運転資金は内部資金または銀行借入を活用し、設備投資資金等の中長期的な資金は、投資計画及びその他の長期的資金需要に照らして、内部資金の活用、銀行借入、または社債発行等により必要な資金を調達する方針であります。また当社及び主要な国内連結子会社における余剰資金の一元管理による資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、TMS(トレジャリーマネジメントシステム)を導入しております。
③経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「すこやかな毎日、ゆたかな人生」を存在意義(パーパス)として制定しました。存在意義(パーパス)を実現すべく、中期経営計画(2022年12月期~2024年12月期)を策定し、①健康価値の提供・お客様起点のバリューチェーンの構築、②注力領域への研究投資の集中、③海外事業の拡大に取り組むとともに、利益と資金を継続的に増加させながら成長加速に向けた投資を実行し、国内外における売上高及び営業利益の向上を継続的に目指すことを目標に活動を進めました。
当連結会計年度の結果としては、売上高の対前年増減率は△0.4%、営業利益の対前年増減率は△40.6%(売上高の3か年平均成長率は4.2%、営業利益の3か年平均成長率は△17.0%)となりました。
|
|
当連結会計年度 |
目標とする経営指標 |
|
売上高成長率 |
(対前年増減率)△0.4% (3か年平均成長率)+4.2% |
年平均成長率+3~5% |
|
営業利益成長率 |
(対前年増減率)△40.6% (3か年平均成長率)△17.0% |
年平均成長率+5~10% |
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
また、この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見積額を計上しております。取引先の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しております。繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
c.退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社グループは、退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待運用収益率等が含まれます。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
d.有価証券の減損
当社グループは、投資有価証券を保有しており、市場価格のない株式等以外のものについては時価法を、市場価格のない株式等については原価法を採用しております。また、市場価格のない株式等以外のものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合にはすべて減損処理を行い、30%から50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。他方、市場価格のない株式等については、実質価額が取得価額と比べて50%以上下落したものについては「著しく下落した」ものとし、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。
当社グループは、投資有価証券について必要な減損処理をこれまで行ってきておりますが、将来の市況悪化や投資先の業績不振等により、現状の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が生じ、減損処理が必要となる可能性があります。
e.返金負債
「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
合弁契約
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契約先 |
国名 |
合弁契約の内容 |
契約の発効日 |
契約期間 |
|
ジェネラルビスケット社 |
フランス |
社名:Generale Biscuit Glico France S.A. 目的:各種菓子、食料品類の製造販売 資本金:1,525千EUR 当社出資額:762千EUR(出資比率50%) 設立:1982年3月19日 :1986年5月9日 5百万フランスフラン増資(新資本金10百万フランスフラン) :1987年2月18日 ジェネラルビスケット社は、ビー・エス・エヌ社(現ダノングループ)と合併しました。 :2007年11月30日 ジェネラルビスケット社は、株式譲渡によりクラフトフーズ社の傘下となりました。 :2012年10月1日 クラフトフーズ社は、モンデリーズインターナショナル社に社名を変更しました。 |
1981年10月27日
2008年5月28日
|
契約の発効日より10年間。 以降5年ごとに更新しております。 クラフトフーズ社と合弁契約の改定契約を実施しました。 |
|
PT. Mitorajaya Ekaprana
|
インドネシア
|
社名:PT. Glico-Wings 目的:アイスクリームの製造販売 資本金:1,457,600百万IDR 当社出資額:598,800百万IDR(出資比率41.1%) 設立:2013年9月27日 :2017年3月29日 120,000百万IDR増資 :2018年12月21日 30,000百万IDR増資 :2019年4月26日 650,000百万IDR増資 :2021年3月1日 47,600百万IDR増資 :2023年7月13日 260,000百万IDR増資 |
2013年7月30日 |
設定なし |
厳しい経済環境が続くなか、企業の成長に不可欠である新製品の開発は、当社グループの企業戦略における最重要課題のひとつであります。当社グループでは、エビデンスに基づいた「おいしさと健康」の実現を図るべく、研究・開発体制(イノベーション)の強化に取り組んでおります。
当連結会計年度に支出した研究開発費は総額
当連結会計年度の主な研究の概要とその成果
(1)基礎研究、応用研究分野
基礎研究、応用研究では、独創的かつ健康価値の高い商品を開発するために、技術・素材・エビデンスに裏付けられた「おいしさと健康」の具現化に向けた研究を進めております。具体的には、注力5領域(発育・栄養の最適化、成長の支援、運動能力の強化、脳機能の向上、ヘルシーエイジング)でお客様の健康増進に貢献すべく研究を行っております。さらに、当社グループで重要な素材であるアーモンドに関しても、健康機能の研究を行い、お客様の健康課題の解決を実現すべく取り組んでおります。
(2)新製品開発分野
<健康・食品事業>
アーモンド飲料の“アーモンド効果”は、砂糖不使用ですっきりとした飲みやすさに仕上げた「アーモンド効果アーモンドミルクラテ砂糖不使用」を発売しました。また、1本で約12粒分のアーモンドを使用し濃厚でなめらかな飲み口の「アーモンド効果濃厚砂糖不使用125ml」を発売しました。さらに、「アーモンド効果3種のナッツ砂糖不使用」の1000mlサイズ、「アーモンド効果オリジナル」の125mlサイズ、「アーモンド効果砂糖不使用」の125mlサイズを新たに発売し、ラインナップの拡充を行いました。適正糖質ブランド“SUNAO”では、高品質なアイスとしてSUNAOスペシャル3品(バニラ、ラムレーズン、バニラ&クランチ)を発売しました。また、食品カテゴリーにおいては、電子レンジで温めて即食できる商品として、具材にこだわった冷凍パスタ6品(アラビアータ、ジェノベーゼ、チーズクリーム、ポモドーロ、ボロネーゼ、海老のビスクソース)を発売しました。“パワープロダクション”は、エキストラアミノアシッドをはじめとする複数の製品でアンチドーピングのための情報公開(SSR:スポーツ・サプリメント・リファレンス)の実施を継続しました。また、アスリートコンディションチェック(アプリ)によるアスリート向けサポートの充実を図りました。さらに、「湘南国際マラソン」のオフィシャルドリンクとして「エキストラハイポトニックドリンクCCD」を提供することを通じて、ランナーの皆様をスポーツ栄養学の力でゴールまでサポートしました。“パピコ”は、「チョココーヒー」における乳と生チョコとコーヒーのバランスを見直してコク深い味わいとし、独自のなめらかな食感を強化することで、おいしさ向上を図りました。また、夏には「大人の抹茶生チョコラテ」、「大人の濃厚ジェラート ピスタチオ」を発売し、更に濃厚な味わいを楽しめる秋冬向けの「濃密仕立て ストロベリーチーズケーキ」を新たに発売しました。“アイスの実”では、1袋で2つの味を楽しめる「完熟ぶどう&芳醇マスカット」を全国発売し、また「白桃黄桃」のテストセールを実施しました。“ZEPPIN”“プレミアム熟”“クレアおばさんのシチュールウ”“LEE”の全ラインナップにおいて、健康価値とおいしさ価値の向上として、食塩相当量の調整と風味改良に取り組みました。また、具だくさんの炊き込みご飯を簡単に作ることができる“炊き込み御膳”では、主要具材の増量により満足感とおいしさ向上に取り組みました。さらに、2022年から開始したオフィス向け適正糖質ランチのデリバリー事業である「SUNAOデリバリー」において、今年もメニューのラインナップ強化に取り組みました。
<乳業事業>
“ジャイアントコーン”はコーンのサクサク感を実感いただける「できたて企画」を昨年に引き続き行い、おいしさの価値伝達に取り組みました。冬には以前好評を得た「生キャラメル」を発売し、また、「大人シリーズ」では「アーモンドショコラ」に加え、「ショコラベリー」、「濃厚ホワイトショコラ」を発売し、ブランド全体の活性化を図りました。“牧場しぼり”は国産生乳を中心に食品添加物を使用せずに食品素材だけで設計し、素材本来のおいしさにこだわった「ミルク」、「ミルクカカオ」、「北海道産生クリーム仕立て生キャラメル」の3品の拡販活動を引き続き行い、間口拡大と購買頻度の向上を図りました。“パナップ”は昨年末から一部の店舗で先行販売していた、素材のおいしさにこだわった「濃厚ぶどう」、「濃厚いちご」を全国展開しました。アイスは乳原料の選定によりミルク感をアップさせ、ソースは原料と配合技術により果汁・果実の味わいを高めました。ソースの入れ方も工夫し、従来以上にアイスとソースの組み合わせを楽しんでいただけるように価値強化を図りました。“セブンティーンアイス”は気分転換ニーズにこたえるため山形県産の黄金桃ピューレと白桃果汁を使用し、ジューシーなおいしさと桃らしいねっとりした食感にこだわった「黄金桃&白桃」を秋より発売し、商品露出強化、購買喚起を図りました。“BifiXヨーグルト”は、昨年に引き続きタンサ(短鎖)脂肪酸を生み出す訴求を行うことでブランド価値向上を図りました。また、ビフィズス菌BifiXのタンサ脂肪酸による健康機能「基礎代謝の向上」を明らかにした論文を発表しました。これらの論文発表やタンサ脂肪酸PR活動を継続的に実施し、BifiXの健康機能の認知やブランド価値の強化を図りました。
"カフェオーレ"は、昨年に引き続き「オリジナル」において生乳を50%配合し素材のやさしい味わいを引き出すことで、慌ただしい朝の時間をおだやかに過ごしたい層の需要獲得に取り組みました。“アイクレオ”は、乳幼児用粉ミルク全品種について、最新設備を備えた製造工場で製造を開始し、さらなる高品質化を図りました。原料の調合方法から粉体化製造方法までの各工程を設計段階から見直し、より溶けやすくダマになりにくい粉ミルクを提供することでお客様の利便性向上を進めました。これにより、忙しい育児をサポートする高品質なミルクとしてブランドの認知向上や価値の強化を図りました。
<栄養菓子事業>
“ポッキー”は2000年に発売して好評を得た「ムースポッキー」をベースとして現代版に進化させた「ポッキー2層仕立て<バニラ香るホワイト>」を発売し、ポッキーブランド全体の顧客層の拡大を図りました。“カプリコ”はイチゴ果肉や生クリーム素材を新しく配合することでおいしさを高め、チョコレートの増量によりお子様の満足感の向上を図りました。また、従来品に含まれる卵アレルゲンを抜き、1日不足分のカルシウムを添加することでお子様のすこやかな成長を応援する菓子としての価値を強化しました。