独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書

 

2025年3月25日

江崎グリコ株式会社

 

 

 

 

取締役会 御中

 

 

 

EY新日本有限責任監査法人

 

 

大阪事務所

 

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

松 浦   大

 

 

指定有限責任社員

業務執行社員

 

公認会計士

美 和 一 馬

 

<連結財務諸表監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている江崎グリコ株式会社の2024年1月1日から2024年12月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益及び包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。

 当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、江崎グリコ株式会社及び連結子会社の2024年12月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

強調事項

 注記事項(会計上の見積りの変更と区別することが困難な会計方針の変更)に記載されているとおり、会社及び国内連結子会社は、有形固定資産(リース資産を除く)の減価償却方法について主に定率法を採用していたが、当連結会計年度より定額法に変更している。

 当該事項は、当監査法人の意見に影響を及ぼすものではない。

 

監査上の主要な検討事項

 監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。

 

返金負債の見積り

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 江崎グリコ株式会社(以下「会社」という。)及び連結子会社は、製品の販売に当たり販売促進を目的として販売先に対して販売奨励金を支払っている。【注記事項】(重要な会計上の見積り)に記載のとおり、会社及び連結子会社は、契約において顧客と約束した対価のうち、顧客に返金すると見込んでいる額を、契約条件や過去の実績等に基づいて算定し、返金負債として計上している。契約において顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分である変動対価について、当連結会計年度末において支払義務が確定していないものを返金負債として連結貸借対照表に4,722百万円計上しており、このうち会社において2,932百万円を計上している。

 会社の変動対価のうち販売奨励金については、一定期間において一定の支払率で支払うもの、一定期間の販売実績に応じて変動する支払率で支払うもの、随時の契約に応じた条件により支払うもの等の形態が存在し、販売から一定期間後に支払額が確定する。会社は当連結会計年度末において、各販売先との契約により販売促進期間中の販売見込金額や過去の実績に基づいた料率を見積りにおける主要な仮定として、返金負債を計上している。これらの見積りは不確実性を伴うことから、当監査法人は返金負債の見積りを監査上の主要な検討事項に該当するものと判断した。

 

当監査法人は、会社の返金負債の見積りを検討するに当たり、主として以下の監査手続を実施した。

・返金負債の見積りについて、見積りの対象となる得意先への売上金額の集計の正確性、割戻率及び支出額の見積りに係る計算過程及び結果の検証に関する内部統制の整備状況及び運用状況を評価した。

・返金負債の算定に当たり使用された主要な仮定の根拠について経営者に質問し、当該主要な仮定を評価した。

・見積計上資料の正確性及び網羅性について、関連するデータ間の整合性について検証した。また、サンプルベースで関連証憑と照合するとともに再計算を実施した。

・会社が主要な仮定として使用した販売促進期間中の販売見込金額について評価するため、販売金額の達成に応じて支払われる販売奨励金で計算対象期間が未到来の得意先について当年度の販売実績を入手し、サンプルベースで関連証憑と照合するとともに、過年度の販売実績と比較し契約条件の達成の可能性を検証した。

・会社が主要な仮定として使用した過去の実績に基づいた料率を評価するため、売上高及び売上高控除額(変動対価及び顧客に支払われる対価)の月次推移及び比率を分析し、過去の実績との比較を実施した。

・過年度における返金負債の見積額と実績額とを比較することにより、見積りの精度を評価した。

 

 

 

 

新基幹システムの移行等に関する検討

監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由

監査上の対応

 会社は、当連結会計年度において、お客様への継続的な価値創出を可能にするバリューチェーン構築と経営の迅速な意思決定を目的に、調達・生産・物流・ファイナンスなどの情報を統合する基幹システムを構築し、そのシステム(以下「新システム」という。)への全面的な移行を実施している。新システムは、調達・生産・物流・ファイナンスといった主要な業務を対象としており、新システムへの移行に伴い、データの移行や関連する業務プロセスに係る内部統制を変更しているが、データが適切に移行されない場合や、新システム稼働後のIT業務処理統制や業務プロセスに係る内部統制が適切に整備及び運用されない場合には連結財務諸表の関連する勘定科目及び開示に重要な誤謬が発生する可能性がある。

 また、新システムに切り替えた際に発生したシステム障害により、チルド商品について、物流センターでの出荷に関するデータの不整合等が発生したほか、想定を超える受注品目数に対し処理が間に合わず、出荷業務を一時的に停止しており、当該障害からの復旧状況は慎重に検証する必要がある。

 以上のことから、新システム移行に関連する内部統制の評価、データ移行の正確性及び網羅性の検証、及び稼働後の新システムに関連する内部統制の評価並びにチルド商品の出荷再開に際してのシステム障害からの復旧状況については、当連結会計年度における重要な検討事項であり、当監査法人は当該事項が監査上の主要な検討事項に該当すると判断した。

 当監査法人は、新システム移行に関連する内部統制の評価、データ移行の正確性及び網羅性の検証、及び稼働後の新システムに関連する内部統制の評価並びにチルド商品の出荷再開に際してのシステム障害からの復旧状況を検証するに当たり、内部のIT専門家と共に、主として以下の監査手続を実施した。

(1)新システム移行時の内部統制の評価、データ移行の正確性及び網羅性の検証

・会社の移行計画書やデータ移行の結果資料及び社内会議議事録の閲覧等により、新システムへのデータ移行に関する内部統制の整備及び運用状況の有効性を検証した。

・新システム移行時の内部統制の評価及び旧システムから新システムへのデータ移行に関する問題の発生有無についてシステム移行の推進責任者に質問するとともに、新システム稼働開始時の各勘定科目の金額が新旧システムで一致しているか検証した。

(2)新システム稼働後の内部統制の評価

・新システムに関して、変更管理、運用管理、アクセス管理等に関するIT全般統制の整備及び運用状況の有効性を検証した。

・IT業務処理統制や業務プロセスに係る内部統制が誤謬の発生するリスクを十分に低減できるものになっているかを、ITや業務プロセスの担当者への質問、新システムの仕様書や出力証憑の閲覧、管理者による承認証跡の閲覧等により検証した。

・IT業務処理統制や業務プロセスに係る内部統制が期中を通じて有効に運用されているかを、抽出したサンプルに関する新システムからの出力証憑の閲覧、管理者による承認証跡の閲覧等により検証した。

(3)チルド商品の出荷再開に際してのシステム障害からの復旧状況

・システム障害で起きたデータの不整合を適切に復旧したかについて、対応策の理解にあたり、経営者及びシステム移行の推進責任者に対する質問、データの復旧に関する資料の閲覧等により検証した。

・システム障害に関する問題点の整理及び対応策の実行状況の理解にあたり、経営者及びシステム移行の推進責任者に対する質問、対応策の実行状況に関する関連資料の閲覧を実施した。

 

その他の記載内容

 その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。

 連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。

 

 当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。

 その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。

 

連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。

 連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。

 

連結財務諸表監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。

・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。

・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。

・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。

・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。

・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。

 

<内部統制監査>

監査意見

 当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、江崎グリコ株式会社の2024年12月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。

 当監査法人は、江崎グリコ株式会社が2024年12月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。

 

監査意見の根拠

 当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。

 

内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任

 経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。

 監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。

 なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。

 

内部統制監査における監査人の責任

 監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。

 監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。

・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。

・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。

 監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。

 

<報酬関連情報>

 当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれるコーポレート・ガバナンスの状況等(3)【監査の状況】に記載されている。

 

利害関係

 会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。

 

以 上

 

(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しております。

2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。

 

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