第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の一般経済環境は、景気の緩やかな回復基調が続き、個人消費は雇用・所得環境の持ち直しを背景に総じて底堅く推移しました。
  パン・菓子業界にありましては、お客様の節約志向が根強い市場環境の下で販売競争が激化するとともに、円安による輸入原材料価格の上昇により収益が圧迫される厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストア業界にありましては、大手チェーンの出店攻勢により店舗間の競争が激化しました。
  このような情勢下にありまして、当社グループは、品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、「厳撰100品」を中心とした主力製品の拡販につとめるとともに、高品質・高付加価値戦略を推進するなど、営業・生産が一体となった部門別製品戦略・営業戦略を推進してまいりました。また、製品アイテム数を適切な水準に管理して生産面の効率化や物流費の抑制をはかるとともに、品質訴求によって販売促進費を削減しつつ売上向上をめざしました。
当社は、期央に実施された業務用小麦粉の値上げに対応して、原料費の上昇を吸収し高品質で安全・安心な製品を提供するため、7月から一部製品を値上げするとともに、規格改定を実施し品質訴求によって市場への浸透をはかりました。これらの努力によって販売単価のアップがはかられるとともに、販売数量の維持拡大がなされ順調な売上を達成することができました。
  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、当社グループの総力を挙げて「ヤマザキベストセレクション」を中心に価値ある製品の提供につとめ、また、米飯、調理パン、麺類の品質向上をはかるとともに、工場エリアごとに再編成したリージョンと当社の各工場が一体となって店舗運営の改善に取り組み、既存店の活性化をめざしました。
  当連結会計年度の業績につきましては、連結売上高は1兆271億99百万円(対前連結会計年度比103.2%)、連結営業利益は270億1百万円(対前連結会計年度比129.3%)、連結経常利益は283億3百万円(対前連結会計年度比124.3%)、連結当期純利益は110億95百万円(対前連結会計年度比92.1%)となり、お蔭様で当社グループの大きな経営目標でありましたグループ売上高1兆円の事業規模を達成することができました。また、平成14年から取り組んでまいりました、すべての仕事を種蒔きの仕事から開始する生命の道の教えに導かれる部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」の経営手法が軌道に乗り、営業・生産が一体となった部門別製品戦略・営業戦略の推進による業績向上を実現することができました。なお、連結当期純利益につきましては、前連結会計年度に厚生年金基金代行返上益を特別利益に計上したことや、税制改正に伴う繰延税金資産の取崩による影響で税負担が増加したこともあり、前連結会計年度を下回りました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。
 
〔食品事業〕
①食パン部門(売上高920億31百万円、対前連結会計年度比100.3%)
  食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」の売場づくりを推進し、品質とおいしさの訴求をもって拡販につとめるとともに、「ダブルソフト」の品質を向上して価格の見直しを行い取扱拡大をはかりましたところ、7月の価格改定による販売単価の上昇もあり、前連結会計年度の売上を上回ることができました。 
②菓子パン部門(売上高3,517億8百万円、対前連結会計年度比103.8%)
  菓子パンは、「厳撰100品」を中心に主力製品の品質向上をはかるとともに、高品質・高付加価値の「おいしい菓子パン」シリーズに新製品を投入して取扱拡大をはかりました。また、「ホワイトデニッシュショコラ」、「アップルパイ」などのペストリーや、コンビニエンスストア向けのドーナツが伸長し、大幅な売上増となりました。

③和菓子部門(売上高699億22百万円、対前連結会計年度比101.5%)
  和菓子は、主力の串団子やまんじゅうが伸長したことに加え、良質な原料と独自の製法で丁寧に仕上げた「山崎謹製」シリーズの寄与もあり和生菓子が堅調に推移するとともに、「北海道チーズ蒸しケーキ」など蒸しパンが好調に推移し、売上増となりました。

 

④洋菓子部門(売上高1,338億83百万円、対前連結会計年度比104.1%)
  洋菓子は、厳選した素材を使って丁寧に作りあげた「プレミアムスイーツ」が新製品投入の効果もあり大きく伸長するとともに、品質を向上した「まるごとバナナ」の売上が倍増し、2個入り生ケーキが大きく伸長するなど、大幅な売上増となりました。

⑤調理パン・米飯類部門(売上高1,414億49百万円、対前連結会計年度比105.6%)
  調理パン・米飯類は、㈱サンデリカが最新鋭の炊飯設備を導入するなど米飯類の品質向上につとめ、コンビニエンスストアチェーンとの取引が拡大し、売上増となりました。

⑥製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,646億13百万円、対前連結会計年度比103.0%)
  製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の中国事業が伸長するとともに、ヤマザキ・ナビスコ㈱の「チップスター」や「エアリアル」などのスナックが大きく伸長したこともあり、売上増となりました。
  以上の結果、食品事業の売上高は9,536億10百万円(対前連結会計年度比103.4%)、営業利益は268億47百万円(対前連結会計年度比126.1%)となりました。

 

〔流通事業〕
  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、当社グループの総力を挙げて「ヤマザキベストセレクション」を中心にパン、和洋菓子、米飯、サンドイッチ、調理麺の品質向上と製品開発に取り組むとともに、店舗での品揃えの充実をはかり、「春のパンまつり」などのキャンペーンを活用して来店客数と店舗売上の増加をめざしました。デイリーヤマザキ独自の店内調理システムであるデイリーホットにつきましては、「塩バターパン」のヒットもあり売上が伸長しました。また、直営店の中から重点管理店を選定し、デイリーヤマザキのリージョンと当社の各工場が一体となって店舗運営の改善を推進するとともに、店舗改装に取り組み既存店の売上向上をはかりました。
  当連結会計年度末の店舗数は、「デイリーヤマザキ」1,283店(103店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」230店(94店増)、「ヤマザキデイリーストアー」48店(16店減)、総店舗数1,561店(25店減)となりました。
  以上の結果、流通事業の売上高は639億18百万円(対前連結会計年度比100.5%)で、「デイリーヤマザキ」加盟店の減少によりロイヤリティ収入が減少しましたが、直営店売上が増加し前連結会計年度の売上を上回りました。一方では、直営店のコスト増もありましたが、各工場と一体となった取組みにより収益の改善をはかり、営業損失は13億95百万円(前連結会計年度は23億3百万円の営業損失)となりました。
 
〔その他事業〕
  その他事業につきましては、売上高は96億71百万円(対前連結会計年度比101.1%)、営業利益は11億65百万円(対前連結会計年度比87.9%)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,087億16百万円となり、前連結会計年度に対しては34億65百万円の減少となりました。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益255億88百万円に加え、減価償却費369億68百万円などにより554億16百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては法人税等の支払額の増加などにより93億41百万円収入が減少しました。
  (投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより346億69百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に対しては27億14百万円支出が増加しました。
  (財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、配当金の支払などにより242億65百万円のマイナスとなり、前連結会計年度に対しては新規借入の減少などにより243億27百万円減少しました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成27年1月1日

至  平成27年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

848,181

102.2

その他

97

100.1

合計

848,278

102.2

 

  (注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成27年1月1日

至  平成27年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

35,209

105.8

流通事業

31,007

102.3

合計

66,217

104.1

 

  (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

       2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注状況

当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。

 

(4) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自  平成27年1月1日

至  平成27年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

食パン

92,031

100.3

 

菓子パン

351,708

103.8

 

和菓子

69,922

101.5

 

洋菓子

133,883

104.1

 

調理パン・米飯類

141,449

105.6

 

製菓・米菓・その他商品類

164,613

103.0

 

食品事業計

953,610

103.4

流通事業

 

63,918

100.5

その他事業

 

9,671

101.1

合計

1,027,199

103.2

 

  (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

       2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

今後の見通しといたしましては、わが国経済は景気の回復基調が続き個人消費が持ち直すことが期待されますが、中国経済の減速の影響が懸念されるなど、景気の先行きは予断を許しません。

パン・菓子業界におきましては、お客様の根強い節約志向が続く市場環境の下で販売競争が激化するとともに、油脂、乳製品などの原料価格の高止まりもあり、厳しい経営環境が続くことが予測されます。また、コンビニエンスストア業界におきましては、大手チェーンの出店攻勢が加速し、店舗間の競争が一段と激しさを増すものと予測されます。

このような状況下にありまして、当社グループは、引き続き品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、「厳撰100品」を中心とした主力製品の取扱拡大をはかるとともに、高品質・高付加価値戦略を推進するなど、営業・生産が一体となった部門別製品戦略・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進してまいります。さらに、当社グループ一丸となって管理職のあるべき姿に焦点をあてた内部管理体制の充実と業務の効率化をはかり、新しい価値と新しい需要を創造して使命達成に邁進してまいります。
  食パンは、主力の「ロイヤルブレッド」の専用コーナーづくりを推進し拡販につとめてまいります。また、本年2月から、従来の「芳醇」、「超芳醇」を統一して新ブランドの「超芳醇」をリニューアル発売し、当社独自の技術を活用した湯捏食パンとして、「春のパンまつり」を活用しブランドの浸透をはかってまいります。さらに「ダブルソフト」の使用小麦粉をグレードアップして大幅な品質向上をはかります。「ロイヤルブレッド」、「超芳醇」、「ダブルソフト」を食パンの3大ブランドとして育成し、品質訴求と売場づくりによって取扱拡大をはかってまいります。
  菓子パンは、新規技術を活用して既存製品の品質向上に取り組むとともに、積極的な製品開発を行い、売上拡大をめざしてまいります。「厳撰100品」を中心とする売上上位品の取扱拡大を強化するとともに、新規技術と高品質原料を活用して「おいしい菓子パン」シリーズの製品開発を推進してまいります。「ランチパック」は、食材食パンの品質向上をはかり、幅広い価格帯に対応した積極的な製品開発を行い売上回復をめざしてまいります。
  和菓子は、「山崎謹製」シリーズの風味向上と品質の安定向上に取り組み、新製品を投入して売場の拡大をはかるとともに、「生どら焼」をはじめチルド和菓子の開発に取り組むなど、「やまざき」和菓子ブランドの確立をめざしてまいります。中華まんにつきましては、「具たっぷり」シリーズを中心に品質向上をはかるとともに、新たに「特撰中華まん」を投入し、売上回復をめざしてまいります。
  洋菓子は、「まるごとバナナ」や2個入り生ケーキなど主力製品の拡販につとめるとともに、「プレミアムスイーツ」に季節製品を投入してラインアップを充実し、新たに「シフォンケーキ」などチルド温度帯のスナックケーキの開発にも取り組み、売上拡大をめざしてまいります。
  調理パン・米飯類は、㈱サンデリカの事業所への最新鋭の炊飯設備の導入を推進し、品質の安定向上をはかってまいります。また、マーケティングを強化し、季節感ある製品提案と重点製品の育成に取り組むとともに、コンビニエンスストアチェーンとの取引拡大をはかってまいります。
  製菓・米菓・その他商品類は、グループ各社の特徴のある製品群を活用したカテゴリー別のブランド戦略を力強く推進するとともに、新製品の積極的開発によって、新しい価値の創造をめざしてまいります。
  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、当社グループの総力を結集して、ヤマザキ独自のチェーン展開をめざしてまいります。当社グループの強みを最大限活用し、「ヤマザキベストセレクション」を中心にお客様に喜ばれる製品提供につとめるとともに、リージョンと各工場が一体となって、重点管理店を中心とした諸施策を実践、実行、実証し、店舗競争力の強化をはかり業績の改善をめざしてまいります。また、店舗開発にも重点を置いて取り組み、チェーン店舗数の拡大を期してまいります。

本年12月には、当社の創業の地である千葉県市川市の市川工場跡地にヤマザキパン中央研究所兼研修所ならびに飯島藤十郎社主記念ホール(仮称)が竣工し、グランドオープニングを迎えます。これらの施設は、21世紀のヤマザキの前進基地として「山崎製パン総合クリエイションセンター(仮称)」と総称し、当社グループの技術革新のための研究開発拠点として、最新鋭の設備を備えた中央研究所を新設するとともに、ヤマザキの精神と当社グループでこれまで培ってきた技術・ノウハウを体得する研修所を併設し、当社グループの将来を担う人材の育成および管理職をはじめ従業員のあるべき姿を追求し教育する研修の場として最大限活用し、力強く更なる前進を期すための体制づくりをめざすものであります。また、飯島藤十郎社主記念ホール(仮称)は、会社の諸業務だけでなく、学術団体の会合や地域社会の文化事業にも広く活用し、社会貢献をめざしてまいります。 

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 食品安全衛生

近年、食品業界におきましては、原材料や製品の消費または賞味期限管理の問題、製品の規格や農畜水産物の産地の偽装、輸入食品の安全対策等、食品の品質、安全性に関わる問題が発生しております。当社グループは、製品の安全性確保と今後発生が予見されるリスクへの予防措置を講ずる目的から、当社本社内に食品安全衛生管理本部を設置し、下部組織として食品衛生管理センター(微生物、表示業務)、食品品質管理部(異物混入防止業務)、お客様相談室を設け、更に各工場において食品衛生管理センター分室(微生物、表示業務)、食品品質管理センター分室(異物混入防止業務)を設置するとともに、工場長を委員長とする食品衛生委員会を設け、日々の管理の万全を期しております。また、微生物に関する安全性確保の手段として、当社グループの各工場において日々の細菌検査による工程管理を実施するとともに、本社食品衛生管理センターによる市場買付による細菌検査を実施しております。さらに、異物混入防止対策としてAIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」による指導・監査システムを導入し、関係会社を含む全工場に管理を徹底するとともに順次監査を実施しております。また、表示に関しましては、当社及びグループ各社が発売する製品について、食品衛生管理センターの表示確認決定システムにより管理を徹底しております。さらに、中央検査室において、食品衛生事故の防止のための研究をいたしておりますが、社会全般にわたる品質問題等、上記の取組みの範囲を超えた事象が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料の調達及び価格高騰

当社グループの食品事業の主要原料は、小麦粉、砂糖、油脂等農産物の一次加工品であり、卵、レーズン、苺等の農産物も原料として多量に使用しております。これらは生産地域の異常気象等による収穫量の減少や消費量の急激な増加のために需給が逼迫することがあり、また、投機資金の流入によって穀物等の国際相場が攪乱されることがあります。特に、輸入原料の場合は紛争発生や感染性疾病の流行により特定地域からの輸入が停止される可能性があります。また、原油価格の上昇等により、軽油、重油等の燃料や石油製品である包装材料、容器類の価格上昇が生じる可能性があります。

当社グループでは、調達先の多様化によるリスク分散や市場原理に沿った様々な対応策を講じておりますが、突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合、または仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 自然災害

当社グループは、生産拠点として国内外に多数の工場を有しておりますが、地震や台風等の自然災害が発生し、重大な被害を受けた工場が操業停止となった場合、他工場から緊急の製品供給体制をとり対応いたします。しかし、首都圏等当社グループの工場が集中している地域で大規模災害が発生し、複数の工場が被災するなど、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた天変地異の場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、パン並びに米飯・調理パンは地震や洪水等の災害時における緊急食糧として最適であり、必要不可欠です。被災地における緊急食糧供給及びその後の安定的な食糧供給を行うことは製パン業界及び当社グループの使命であると考えております。したがいまして、災害発生時には地域自治体と連携し、製パン業界及び当社グループの力を総動員して対応できる体制を備えております。

 

 

(4) 取引先の経営破綻

当社グループは、各社が連携して調査機関や業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、当社グループの主要な得意先である広域営業の量販店、コンビニエンスストアチェーンにつきましては、取引金額が多額であることもあり、万一、経営破綻が発生し売掛債権が回収不能になった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 退職給付費用及び債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算定されておりますが、前提条件が変更され数理計算差異が発生した場合や企業年金基金の運用成績が著しく悪化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 海外事業

当社グループは、海外9ヶ国・地域において現地法人16社を有し、13ヶ所の製パン等の工場を運営するとともに、当社独自の冷凍生地技術を活用して247店のベーカリーを展開しております。海外事業のリスクとしては、次のような事業展開地域の政治、経済、社会情勢の変化等に起因する事業上の不利益要因が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

①予期しない法的規制・制度の変更(外資規制、営業許可制度、関税・輸出入規制等)

②他社による類似商標、看板の使用等、知的財産権の侵害

③自然災害、紛争、テロの発生

④為替・金利変動

なお、為替変動のリスクについては、海外子会社の資金調達における金利負担軽減のため、親会社である当社から直接貸付を行う場合があり、為替の変動によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術受入契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

山崎製パン㈱

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社

仏国

パン用ミックス粉の製造技術

技術情報の提供
(注)1

平成18年7月1日から
平成28年6月30日まで

山崎製パン㈱

デリフランス・エス・エイ社

仏国

冷凍製品の製造技術

技術情報の提供
(注)1

平成18年7月1日から
平成28年6月30日まで

ヤマザキ・ナビスコ㈱

(注)3

インターコンチネンタル・グレート・ブランズ・エルエルシー社

米国

菓子製造技術ライセンス及び商標ライセンス

技術情報及び商標使用権の提供
(注)2

平成27年12月1日から
平成28年8月31日まで

(注)3

㈱ヴィ・ド・フランス

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社
デリフランス・エス・エイ社

仏国

店舗、製品商標及び店舗運営ノウハウ

商標使用権及び運営ノウハウの提供
(注)2

平成22年6月25日から
平成29年6月24日まで

 

(注)  1  対価として一定額のロイヤルティを支払っております。
2  対価として一定料率のロイヤルティを支払っております。

3  ヤマザキ・ナビスコ株式会社は、平成28年2月12日開催の取締役会決議により、平成28年8月31日の契約満了日をもってライセンス契約を終了させることを決定しております。また、これに伴い、ヤマザキ・ナビスコ株式会社は、平成28年9月1日をもって商号をヤマザキビスケット株式会社に変更いたします。

 

(2) 業務資本提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

出資額

契約内容

契約日

山崎製パン㈱

㈱不二家

日本

25,156百万円

1.当社及び㈱不二家が一体となって諸施策を実施し、㈱不二家の事業再生及び企業価値の向上をはかるための業務提携

(1)全社的経営管理体制の強化

(2)洋菓子事業、菓子事業、食品事業における共同製品開発、OEM相互商品供給、共同原材料調達、生産設備の整備・相互活用等

2.㈱不二家の第三者割当増資引受に関する資本提携

平成20年11月7日

山崎製パン㈱

日糧製パン㈱

日本

556百万円

1.製品の品質・売上向上に関する具体策の実施、物流の効率化等に関する業務提携

2.日糧製パン㈱発行済株式総数の28.4%譲受けに関する資本提携

平成21年8月3日

山崎製パン㈱

ミヨシ油脂㈱、
日清オイリオグループ㈱

日本

1,473百万円

  (注)

1.3社による製品開発、用途開発に関する業務提携

2.ミヨシ油脂㈱の第三者割当増資引受に関する資本提携

平成21年10月26日

 

(注)  出資額は、当社のミヨシ油脂㈱に対する出資額であります。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「最高の品質と最善のサービス(今日到達しうるベストクオリティ・ベストサービスの実践、実行、実証)の提供」、「知恵と知識によって新しい価値と新しい需要を創造し、品質と製品をもって世に問う」というヤマザキの精神に則り、社会の変化に対応し先取りする真に価値ある製品とサービスの提供を目指し、基礎研究、製品開発、品質の安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は74億44百万円であります。

 

セグメントごとの主な研究内容は、次のとおりであります。

(食品事業)

食品事業では、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類、製菓・米菓の各部門別に、主要原材料に関する基礎的分析・研究の更なる充実をはかり、食の安全・安心という社会的要請に科学的に対処するとともに、原料選別、配合・工程の改善研究を中心とした製品の品質向上に積極的に取り組んでまいりました。また、多様化する市場ニーズに的確に対応した製品の開発を精力的に行いました。

パン部門においては、「ロイヤルブレッド」に付与した技術を更に発展させ、食パン基幹技術に関する研究を進めることにより、サンドイッチ用食パン、ランチパック用食パン等の改良を行うとともに、LLパン・ドーナツ製品の品質向上、国産小麦を利用した製品開発を行いました。また、「芳醇」シリーズに使用されている湯捏生地の品質の安定化・向上に取り組みました。

和菓子部門においては、工程改善による餡の風味向上に関する研究や和生・蒸しパン・中華まん製品の更なる品質向上を進めました。

洋菓子部門では、新規技術により性能向上をはかった主要原料を用いた洋菓子スポンジ及びホイップクリームの冷凍耐性向上に関する取り組みを進めました。

調理パン・米飯類部門においては、デイリーヤマザキ向け調理麺の品質向上に関する研究を精力的に行いました。

製菓部門においては、個食化や健康志向等消費動向の変化に対応した製品開発を進めるとともに、安定した品質を得るための製造設備の開発、研究に取り組んでまいりました。また、糯米・粳米の加工適性に関する研究や揚菓子の品質向上に関する取り組みを行い、更に新たに開始された機能性表示食品制度に対応してデザート・茶飲料製品の開発を進め、消費者庁へ申請を行いました。

また、食品安全衛生に関しては、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく管理手法の工場への順次指導の継続実施を中心として、微生物関係食品事故防止体制の強化をはかるとともに、最新鋭分析機器の導入を積極的に進め、原材料選定における添加物や残留農薬などの確実なチェックを行い、また、異物混入問題に的確かつ迅速に対応するための体制整備を行いました。

以上の結果、食品事業の研究開発費は69億97百万円となりました。

 

(流通事業)

コンビニエンスストア事業では、主力商品である米飯・調理パン・調理麺などについて、消費者に支持される「ベストセレクション」シリーズを中心にオリジナル商品の開発に努めました。さらに、店内調理機能の「デイリーホット」につきましては、焼きたてパンに代表されるオリジナル商品の開発に取り組んでまいりました。

以上の結果、流通事業の研究開発費は2億88百万円となりました。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グル-プの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グル-プが判断したものであり、実際の結果と異なる可能性があります。

①貸倒引当金
  当社グル-プは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

②投資有価証券の減損処理
  当社グル-プは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。

③繰延税金資産
  当社グル-プは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩または追加計上により純利益が変動する可能性があります。

④退職給付費用及び債務
  退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
  実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グル-プの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆271億99百万円(前連結会計年度比3.2%増) で、当社に加え、連結子会社も堅調に推移したこともあり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は270億1百万円(前連結会計年度比29.3%増)、経常利益は283億3百万円(前連結会計度比24.3%増)で、原料の単価アップはありましたが、増収と販売促進費用の低減効果もあり、営業利益、経常利益ともに増益となりました。当期純利益は、前期に一部子会社で厚生年金基金代行返上益を計上した裏返しもあり、110億95百万円(前連結会計年度比7.9%減)で、前連結会計年度を下回りました。

①売上高

売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は菓子パン、洋菓子、調理パン・米飯類部門を始め、全部門順調に推移し、9,536億10百万円(前連結会計年度比3.4%増)、流通事業はロイヤリティ収入など営業収入の減少はありましたが、直営店売上の増加によりまして639億18百万円(前連結会計年度比0.5%増)、その他事業は、96億71百万円(前連結会計年度比1.1%増)でした。

なお、売上高の詳細については、「第2  事業の状況」「1  業績等の概要」(1)業績に記載の通りです。

 

 

②営業利益

  売上総利益率は、食品事業の原料面で、卵や雑穀及びバナナ等の輸入原料の単価アップはありましたが、内部管理の充実強化もあり、35.9%で前連結会計年度を0.1%上回りました。
  販売費及び一般管理費は、3,415億59百万円、売上高に対する比率は33.3%で、広告販促費比率の減少もあり、前連結会計年度を0.4%下回りました。
  以上の結果、営業利益は270億1百万円(前連結会計年度比29.3%増)となりました。

③経常利益

  営業外収益面で、持分法による投資利益の減少はありましたが、経常利益は283億3百万円(前連結会計年度比24.3%増)となりました。

④当期純利益

  前期に一部子会社で、厚生年金基金の代行分返上益を96億14百万円特別利益に計上した裏返しもあり、税金等調整前当期純利益は255億88百万円(前連結会計年度比0.4%減)、当期純利益は110億95百万円で、税制改正に伴う繰延税金資産の取崩による影響で税負担が増加したこともあり、前連結会計年度に比べ7.9%の減益でした。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は50円56銭で、前連結会計年度に比べ4円34銭減少しました。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は7,009億97百万円で、前連結会計年度末に対し10億52百万円減少いたしました。
  主な要因は、流動資産が2,576億69百万円で、現金及び預金が借入金の返済で27億6百万円減少したこと等により、前連結会計年度末に対し19億65百万円減少し、また、固定資産で無形固定資産が償却が進んだことにより、前連結会計年度末に対し27億44百万円減少いたしましたが、投資その他の資産が投資有価証券の増加などにより、前連結会計年度末に対し31億42百万円増加したこともあり、前連結会計年度末より9億12百万円増加したことによるものです。
  負債は4,053億82百万円で、借入金の返済や退職給付会計基準等の改正に伴う退職給付に係る負債の減少等もあり、前連結会計年度末に対し283億48百万円減少いたしました。
  純資産は2,956億14百万円で、利益剰余金が119億24百万円、その他有価証券評価差額金が116億41百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に対し272億95百万円増加いたしました。なお、自己資本比率は38.8%で前連結会計年度に比べ3.8%の増、1株当たり純資産は1,240円76銭で前連結会計年度に比べ120円75銭の増となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性について

当連結会計年度の資金の状況は、営業活動によるキャッシュ・フロ-がプラスの554億16百万円で、前連結会計年度に比べ93億41百万円の減少、投資活動によるキャッシュ・フロ-がマイナスの346億69百万円で、前連結会計年度に比べ27億14百万円の支出増、財務活動によるキャッシュ・フロ-がマイナスの242億65百万円で、前連結会計年度に比べ243億27百万円減少し、換算差額を考慮した現金及び現金同等物は1,087億16百万円となり、前連結会計年度に比べ34億65百万円減少しました。
  当社グル-プは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フロ-は会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フロ-の有効活用に努めております。