第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国の一般経済環境は、海外経済の回復を背景に、企業収益が改善し設備投資が増加するなど景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、可処分所得の伸び悩みもあり個人消費は盛り上がりに欠けました。
  パン・菓子業界にありましては、お客様の節約志向が根強い市場環境の下で販売競争が激化するとともに、人手不足を背景とした人件費や物流コストの上昇により収益が圧迫される厳しい経営環境となりました。また、コンビニエンスストア業界にありましては、大手チェーンによる事業統合や加盟店支援などの戦略的投資が拡大する中で、業態を超えた販売競争もあり厳しい経営環境となりました。
  このような情勢下にありまして、当社グループは、品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、「厳撰100品」を中心とした主力製品の取扱拡大につとめるとともに、高品質・高付加価値製品を開発する一方で値頃感のある製品を投入し消費の二極化への対応をはかるなど、営業・生産が一体となった部門別製品戦略・営業戦略を推進してまいりました。また、製品のアイテム数を適切な水準に管理して効率的な生産・販売・物流体制の構築につとめ、品質訴求による効果的な販売活動を推進し、売上向上をめざしました。
  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、当社グループの総力を挙げて「ヤマザキベストセレクション」を中心にパン、和洋菓子、米飯、サンドイッチ、調理麺の品質向上と新製品開発に取り組むとともに、焼き立てパンや手づくりの弁当・おにぎりの品揃えを充実し、店舗売上の増加をめざしました。また、デイリーヤマザキのリージョンと各工場が一体となって店舗運営の改善を推進し、店内加工機能の導入などの店舗改装に取り組みました。
  当連結会計年度の業績につきましては、売上高は1兆531億64百万円(対前連結会計年度比101.1%)となりましたが、一部の子会社の業績の伸び悩みに加え人件費や物流費の増加もあり、営業利益は300億87百万円(対前連結会計年度比85.6%)、経常利益は321億43百万円(対前連結会計年度比87.1%)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、㈱不二家の固定資産売却益の計上により251億6百万円(対前連結会計年度比138.1%)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。
 
〔食品事業〕
①食パン部門(売上高964億93百万円、対前連結会計年度比102.5%)
  食パンは、「ロイヤルブレッド」、「超芳醇」、「ダブルソフト」の3大ブランドを中心に拡販につとめました。また、「レーズンゴールド」などのゴールドシリーズが大きく伸長し、数量・販売単価ともに上昇したことに加え、品質を向上させたサンドイッチ用食パンの売上が拡大し、食パン全体で好調な売上となりました。
②菓子パン部門(売上高3,595億71百万円、対前連結会計年度比100.9%)
  菓子パンは、ランチパックに新製品を投入して売場づくりを推進するとともに、ヤマザキ菓子パンや「ミニスナックゴールド」、「ケーキドーナツ」など主力製品の品質を向上して拡販をはかり、新規格のコッペパンや当社独自のルヴァン種を活用したハードロールの「パン・オ・ルヴァン」シリーズの寄与もあり、菓子パンの売上は堅調でした。

③和菓子部門(売上高709億91百万円、対前連結会計年度比99.7%)
  和菓子は、主力の串団子や大福、まんじゅうが好調に推移するとともに、生地と具材を見直し品質を向上させた中華まんの「具たっぷり」シリーズが伸長しましたが、蒸しパンや焼菓子の低迷もあり前連結会計年度の売上を下回りました。

 

④洋菓子部門(売上高1,349億7百万円、対前連結会計年度比100.7%)
  洋菓子は、ケーキスポンジの品質向上をはかった2個入り生ケーキや主力の「まるごとバナナ」が伸長しチルドケーキが順調に推移するとともに、スペシャルシリーズなどのスナックケーキが好調に推移し、堅調な売上となりました。

⑤調理パン・米飯類部門(売上高1,552億98百万円、対前連結会計年度比104.7%)
  調理パン・米飯類は、食パンの品質を向上させたサンドイッチが好調に推移するとともに、㈱サンデリカにおいて大手量販店やコンビニエンスストアチェーンとの取引が拡大し、好調な売上となりました。

⑥製菓・米菓・その他商品類部門(売上高1,648億54百万円、対前連結会計年度比99.3%)
  製菓・米菓・その他商品類は、㈱不二家の「ルック」などのチョコレートや㈱東ハトの「ポテコ」などのスナックが好調に推移しました。ヤマザキビスケット㈱は、ビスケットやクラッカーの一部に売上逸失がありましたが、主力の「チップスター」、「エアリアル」などのスナックや「ルヴァン」、「YBCスタンドパック」の拡販につとめるとともに、12月には新製品「ノアール」や「ルヴァンプライムスナック」、「ルヴァンクラシカル」を発売して取扱の拡大をはかりました。
  以上の結果、食品事業の売上高は9,821億16百万円(対前連結会計年度比101.3%)、営業利益は292億9百万円(対前連結会計年度比85.4%)となりました。

 

〔流通事業〕
  デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業につきましては、当社グループの総力を挙げて「ヤマザキベストセレクション」を中心に品質向上と新商品開発に取り組み、「塩バターパン」などの焼き立てパンや手づくりの弁当・おにぎりなど魅力ある商品の品揃えを充実して、店舗売上の増加をめざしました。また、11月には主力のおにぎりの規格を大幅に見直して関東地区で先行発売し、お客様の好評を得ることができました。
  当連結会計年度末の店舗数は「デイリーヤマザキ」1,187店(45店減)、「ニューヤマザキデイリーストア」333店(33店増)、「ヤマザキデイリーストアー」33店(6店減)、総店舗数1,553店(18店減)となりました。
  以上の結果、流通事業の売上高は直営店の減少もあり604億1百万円(対前連結会計年度比97.5%)、営業損失は8億49百万円(前連結会計年度は8億52百万円の営業損失)となりました。
 
〔その他事業〕
  その他事業につきましては、売上高は106億46百万円(対前連結会計年度比105.9%)、営業利益は12億55百万円(対前連結会計年度比87.8%)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,292億53百万円となり、前連結会計年度に対しては249億9百万円の増加となりました。

  (営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益413億74百万円に加え、減価償却費366億82百万円などにより566億63百万円のプラスとなりました。前連結会計年度に対しては61億円収入が減少しました。
  (投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより339億80百万円のマイナスとなりましたが、前連結会計年度に対しては有形固定資産の売却による収入などにより88億13百万円収入が増加しました。
  (財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済、配当金の支払などがありましたが、新規借入により21億42百万円のプラスとなり、前連結会計年度に対しては263億67百万円収入が増加しました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成29年1月1日

至  平成29年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

863,709

100.8

その他

105

101.1

合計

863,815

100.8

 

  (注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  平成29年1月1日

至  平成29年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

34,967

111.2

流通事業

36,611

96.5

合計

71,579

103.2

 

  (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

       2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(3) 受注状況

当社グループの食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先からの日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残はありません。

 

(4) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

区分

当連結会計年度

(自  平成29年1月1日

至  平成29年12月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

食品事業

食パン

96,493

102.5

 

菓子パン

359,571

100.9

 

和菓子

70,991

99.7

 

洋菓子

134,907

100.7

 

調理パン・米飯類

155,298

104.7

 

製菓・米菓・その他商品類

164,854

99.3

 

食品事業計

982,116

101.3

流通事業

 

60,401

97.5

その他事業

 

10,646

105.9

合計

1,053,164

101.1

 

  (注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

       2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来一貫して、良品廉価・顧客本位、製品をもって世に問うというヤマザキの精神を具現化すべく、今日到達しうるベストクオリティー・ベストサービスを追求することをめざし、パン、和・洋菓子、製菓類、調理パン・米飯類の製造販売事業に携わり、常に積極果敢に技術革新に取り組み、高品質な製品を全国各地に安定的に供給することを通じて社会の負託に応え、業績の向上につとめてまいりました。
  また、当社グループは、西暦2000年以来、特に「食の安全・安心」を社会の要請と積極的に受けとめ、徹底した食品安全衛生管理体制の確立をはかり、さらに、食品安全衛生管理体制の上に築き上げる事業経営手法として、部門別製品施策、営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を取り上げ、積極的に部門別製品開発、技術開発に取り組み、お客様に喜ばれる製品とサービスの提供に万全を期してまいりました。
  今般、当社は、21世紀の事業環境と社会の変化に対応するため、「企業経営を通じて社会の進展と文化の向上に寄与することを使命とし、自主独立の協力体制を作り、もって使命達成に邁進する」という山崎製パン株式会社の「経営基本方針(綱領および具体方針)」を改めて高く掲げると同時に、これを補完するものとして、「日々、お取引先からご注文いただいた品は、どんな試練や困難に出会うことがあっても、良品廉価、顧客本位の精神でその品を製造し、お取引先を通してお客様に提供する」というヤマザキの精神に導かれ、科学的根拠の上に立った食品安全衛生管理体制の上に築き上げる科学的・合理的・効率的な事業経営手法として、生命の道の教えに従ったすべての仕事を種蒔きの仕事から開始する部門別製品施策・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を実践、実行、実証することで、新しい価値と新しい需要を創造し、社会の負託に応え社業を前進させることを21世紀のヤマザキの経営方針といたします。
  事業経営の具体的遂行に当たっては、経営陣、管理職は、本物の5S・全員参加の5Sとピーター・ドラッカーの5つの質問を連動させる「2本立ての5S」を行うとともに、生命の道の教えに従った部門別製品施策・営業戦略をピーター・ドラッカーの5つの質問と連動させ、「私たちの使命は何ですか」(What is our mission?)と問うだけでなく「私の使命は何ですか」(What is my mission? )と問い、生産部門・営業部門一体となった業務を推進するとともに、内部管理体制を充実・強化して、各部門毎の自主独立の協力体制を構築いたします。また、「良品廉価・顧客本位の精神で品質と製品、サービスをもって世に問う」というヤマザキの精神と「知恵と知識によって変化に挑戦し、新しい価値と新しい需要を創造する」という生命の道を導く言葉によって日々の仕事の実践、実行、実証に励み、業績の着実な向上を期してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、積極的な設備投資を継続するとともに、財務基盤の安定、収益性の改善、資本効率の向上に取り組んでまいります。具体的には、連結売上高経常利益率3%以上の達成を経営目標とするとともに、連結ROEを重要な経営指標として位置づけ、最低限5%達成を経営指標として効率的な事業経営に取り組んでまいります。また、株主還元に関しましては、連結配当性向25%を目標に安定した配当を継続することを基本方針とし、今後も業績と連動した増配をめざしてまいります。

 

(3)食品安全衛生管理体制の強化

当社グループは、従来から全社的組織で取り組んでおります細菌面における食品衛生管理システム、表示の適正管理システムに加え、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく教育指導・監査システムを活用し、異物混入防止対策を含む科学的根拠の上に立った総合的な食品安全衛生管理体制を整備しております。当社グループは、一般社団法人日本パン技術研究所によるAIBフードセーフティ監査を受けるとともに、自主監査によって各工場の食品安全衛生管理体制の充実強化をはかっております。また、当社の食品衛生管理センターが要注意製品群を定め、定期的な製品の市場買付による細菌検査を通じて安全性の検証を行うとともに、当社の食品安全衛生管理本部の食品衛生管理課が専任の部署として、製品表示のチェックシステムにより原材料の成分管理やアレルゲン表示管理を含め製品表示の管理徹底をはかっております。食品表示基準の制定に伴う対応(猶予期間平成32年3月末迄)及び平成29年9月に義務化された新しい原料原産地表示に伴う対応(猶予期間平成34年3月末迄)につきまして、今後実施してまいります。

今後、なお一層、食品安全衛生管理体制の強化につとめてまいる所存でございます。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

今後の見通しといたしましては、わが国経済は緩やかな回復基調が持続していくことが期待されますが、個人消費は先行き不透明な状況が続くものと思われます。

パン・菓子業界におきましては、お客様の節約志向が根強く販売競争が激化する中で、物流・生産面でのコストの上昇が見込まれ、厳しい経営環境が続くことが予測されます。また、コンビニエンスストア業界におきましては、ドラッグストアやネットショップ等との業態を超えた販売競争が一段と激化し、経営環境が厳しさを増すものと思われます。

このような状況下にありまして、当社グループは、引き続き品質向上と新製品開発に積極的に取り組み、「厳撰100品」を中心とした主力製品の拡販につとめるとともに、高品質・高付加価値製品を開発する一方で値頃感のある製品を投入して消費の二極化への対応をはかってまいります。加えて、新たな需要の創造に向け、お客様の健康志向に沿った製品開発を推進するなど、営業・生産が一体となった部門別製品戦略・営業戦略、小委員会による「なぜなぜ改善」を推進してまいります。さらに、当社グループ一丸となって内部管理体制の充実と業務の効率化をはかり、新しい価値と新しい需要を創造して使命達成に邁進してまいります。
  食パンは、3大ブランドの「ロイヤルブレッド」、「超芳醇」、「ダブルソフト」を中心に、品質訴求と売場づくりを推進し売上拡大につとめてまいります。ゴールドシリーズにつきましては、本年1月にチーズを増量し品質を向上させた「チーズゴールド」の取扱拡大をはかり、ゴールドシリーズ専用の売場づくりにより売上向上をはかってまいります。また、本年1月に発売の食物繊維や葉酸を配合した健康志向の新製品「ダブルソフト全粒粉」に続き、“おいしい健康志向”への取組みを推進し、新しい需要の創造をめざしてまいります。
  菓子パンは、引き続き「厳撰100品」を中心に主力製品の品質向上と品質訴求による売上拡大をはかるとともに、低単価でボリュームのある製品を開発する一方で、具材を充実させた高付加価値製品の開発を推進するなど、市場のニーズに合った製品を計画的に投入し売上向上をめざしてまいります。また、当社独自の技術を活用したルヴァン種を使用した高品質なハードロールを積極的に開発し需要拡大に取り組むとともに、全粒粉入り食パンを使用したランチパックを開発するなど、“おいしい健康志向”への取組みを推進してまいります。
  和菓子は、主力の串団子、大福、まんじゅうの売場づくりを推進するとともに、品質を向上させた「三角蒸しぱん」や「ブッセ」の取扱拡大をはかり、売上拡大をめざしてまいります。また、季節感のある和生菓子を積極的に開発し、売上向上につなげてまいります。
  洋菓子は、引き続き2個入り生ケーキや主力の「まるごとバナナ」を中心にチルドケーキを拡販するとともに、「プレミアムスイーツ」については主力品の取扱拡大や季節感のある製品の積極的な投入により量販店での売場を拡大し、売上向上をめざしてまいります。
  調理パン・米飯類は、㈱サンデリカの最新鋭の炊飯設備を活用した米飯の品質の安定向上とサンドイッチ用食パンの品質向上による新製品開発に積極的に取り組み、コンビニエンスストアチェーンとの取引拡大や関西地区での新規販路の拡大をはかり、売上向上をめざしてまいります。
  製菓・米菓・その他商品類は、グループ各社の特徴のある製品群を活用したカテゴリー別のブランド戦略を推進し売上向上をめざすとともに、ヤマザキビスケット㈱につきましては、当社グループの総力を挙げて新製品の「ノアール」や「ルヴァンプライムスナック」、「ルヴァンクラシカル」の取扱拡大を更に進め、売上向上とブランドの育成をめざしてまいります。

本年2月、兵庫県神戸市西区の西神工業団地において神戸工場を稼働いたしました。神戸工場は、最新鋭の製パン機械設備の導入により、最高品質の製品を生産するとともに、省人・省力・省エネルギーなどコスト削減効果を追求した効率の良い工場をめざします。また、関西地区のヤマザキの母体となった工場である大阪第一工場の生産を移管して神戸工場の稼働をめざすものでありますが、関西地区のみならず、岡山・広島工場、名古屋・安城工場など、名古屋以西の全工場の努力を結集して神戸工場を早期に軌道に乗せるとともに、お客様のニーズに即した競争力のある製品開発を積極的に行い、効率の良い生産・販売・物流体制を構築し、売上拡大につなげてまいります。

 

デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業において、下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)に違反する行為が認められたとして、平成29年5月10日付けで公正取引委員会から勧告を受け、再発防止と法令遵守の徹底につとめてまいりました。
  このたび勧告を受けるに至った原因は、デイリーヤマザキ事業の商品本部における業務遂行上の不備にありました。このため、当社は、管理体制を整備すると同時に、デイリーヤマザキ事業の商品本部の中に、商品企画開発部を設置し、デイリーヤマザキ事業の仕事の種蒔きである積極果敢な商品開発、適正収益を確保する商品仕入れ体制の充実強化に取り組んでおります。今後、当社グループの知恵と知識を駆使した商品開発を推進するとともに、商品仕入れ機構を整備して競争力のある商品づくりを推進し、種蒔きの仕事を強化して、業績向上をめざしてまいります。
  次期はまず、米飯類の主力商品であるおにぎりにおいて、当社グループの総力を挙げて原材料から品質と規格を見直した手巻おにぎりを本年2月から全国展開し、米飯部門の底上げをはかってまいります。また、新設の神戸工場稼働に伴い関西地区を重点エリアに設定し、リージョンと各工場が一体となって店舗開発を推進してまいります。 

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 食品安全衛生

近年、食品業界におきましては、原材料や製品の消費または賞味期限管理の問題、製品の規格や農畜水産物の産地の偽装、輸入食品の安全対策等、食品の品質、安全性に関わる問題が発生しております。当社グループは、製品の安全性確保と今後発生が予見されるリスクへの予防措置を講ずる目的から、当社本社内に食品安全衛生管理本部を設置し、下部組織として食品衛生管理センター(微生物、表示業務)、食品品質管理部(異物混入防止業務)、お客様相談室を設け、更に各工場において食品衛生管理センター分室(微生物、表示業務)、食品品質管理センター分室(異物混入防止業務)を設置するとともに、工場長を委員長とする食品衛生委員会を設け、日々の管理の万全を期しております。また、微生物に関する安全性確保の手段として、当社グループの各工場において日々の細菌検査による工程管理を実施するとともに、本社食品衛生管理センターによる市場買付による細菌検査を実施しております。さらに、異物混入防止対策としてAIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」による指導・監査システムを導入し、関係会社を含む全工場に管理を徹底するとともに順次監査を実施しております。また、表示に関しましては、当社及びグループ各社が発売する製品について、食品衛生管理センターの表示確認決定システムにより管理を徹底しております。さらに、中央検査室において、食品衛生事故の防止のための研究をいたしておりますが、社会全般にわたる品質問題等、上記の取組みの範囲を超えた事象が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 原材料の調達及び価格高騰

当社グループの食品事業の主要原料は、小麦粉、砂糖、油脂等農産物の一次加工品であり、卵、レーズン、苺等の農産物も原料として多量に使用しております。これらは生産地域の異常気象等による収穫量の減少や消費量の急激な増加のために需給が逼迫することがあり、また、投機資金の流入によって穀物等の国際相場が攪乱されることがあります。特に、輸入原料の場合は紛争発生や感染性疾病の流行により特定地域からの輸入が停止される可能性があります。また、原油価格の上昇等により、軽油、重油等の燃料や石油製品である包装材料、容器類の価格上昇が生じる可能性があります。

当社グループでは、調達先の多様化によるリスク分散や市場原理に沿った様々な対応策を講じておりますが、突発的事情により原材料の安定的調達ができなくなった場合、または仕入価格が高騰した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 自然災害

当社グループは、生産拠点として国内外に多数の工場を有しておりますが、地震や台風等の自然災害が発生し、重大な被害を受けた工場が操業停止となった場合、他工場から緊急の製品供給体制をとり対応いたします。しかし、首都圏等当社グループの工場が集中している地域で大規模災害が発生し、複数の工場が被災するなど、当社グループの危機管理対策の想定範囲を超えた天変地異の場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、パン並びに米飯・調理パンは地震や洪水等の災害時における緊急食糧として最適であり、必要不可欠です。被災地における緊急食糧供給及びその後の安定的な食糧供給を行うことは製パン業界及び当社グループの使命であると考えております。従いまして、災害発生時には地域自治体と連携し、製パン業界及び当社グループの力を総動員して対応できる体制を備えております。

 

 

(4) 取引先の経営破綻

当社グループは、各社が連携して調査機関や業界からの情報収集に基づき取引先の与信管理を徹底し、債権保全に万全を期しておりますが、当社グループの主要な得意先である広域営業の量販店、コンビニエンスストアチェーンにつきましては、取引金額が多額であることもあり、万一、経営破綻が発生し売掛債権が回収不能になった場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 退職給付費用及び債務

当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算定されておりますが、前提条件が変更され数理計算差異が発生した場合や企業年金基金の運用成績が著しく悪化した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 海外事業

当社グループは、海外10ヶ国・地域において現地法人18社を有し、15ヶ所の製パン等の工場を運営するとともに、当社独自の冷凍生地技術を活用して276店のベーカリーを展開しております。海外事業のリスクとしては、次のような事業展開地域の政治、経済、社会情勢の変化等に起因する事業上の不利益要因が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

①予期しない法的規制・制度の変更(外資規制、営業許可制度、関税・輸出入規制等)

②他社による類似商標、看板の使用等、知的財産権の侵害

③自然災害、紛争、テロの発生

④為替・金利変動

なお、為替変動のリスクについては、海外子会社の資金調達における金利負担軽減のため、親会社である当社から直接貸付を行う場合があり、為替の変動によって業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 技術受入契約

契約会社名

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

山崎製パン㈱

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社

仏国

パン用ミックス粉の製造技術

技術情報の提供
(注)1

平成28年7月1日から
平成38年6月30日まで

山崎製パン㈱

デリフランス・エス・エイ社

仏国

冷凍製品の製造技術

技術情報の提供
(注)1

平成28年7月1日から
平成38年6月30日まで

㈱ヴィ・ド・フランス

グラン・ムーラン・ド・パリ・エス・エイ社
デリフランス・エス・エイ社

仏国

店舗、製品商標及び店舗運営ノウハウ

商標使用権及び運営ノウハウの提供
(注)2

平成22年6月25日から
平成29年6月24日まで
最長平成31年6月24日
まで2年間延長      

 

(注)  1  対価として一定額のロイヤルティを支払っております。
2  対価として一定料率のロイヤルティを支払っております。

 

(2) 業務資本提携契約

契約会社名

相手方の名称

国名

出資額

契約内容

契約日

山崎製パン㈱

㈱不二家

日本

25,189百万円

1.当社及び㈱不二家が一体となって諸施策を実施し、㈱不二家の事業再生及び企業価値の向上をはかるための業務提携

(1)全社的経営管理体制の強化

(2)洋菓子事業、菓子事業、食品事業における共同製品開発、OEM相互商品供給、共同原材料調達、生産設備の整備・相互活用等

2.㈱不二家の第三者割当増資引受に関する資本提携

平成20年11月7日

山崎製パン㈱

日糧製パン㈱

日本

556百万円

1.製品の品質・売上向上に関する具体策の実施、物流の効率化等に関する業務提携

2.日糧製パン㈱発行済株式総数の28.4%譲受けに関する資本提携

平成21年8月3日

山崎製パン㈱

ミヨシ油脂㈱、
日清オイリオグループ㈱

日本

1,473百万円

  (注)

1.3社による製品開発、用途開発に関する業務提携

2.ミヨシ油脂㈱の第三者割当増資引受に関する資本提携

平成21年10月26日

 

(注)  出資額は、当社のミヨシ油脂㈱に対する出資額であります。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「最高の品質と最善のサービス(今日到達しうるベストクオリティ・ベストサービスの実践、実行、実証)の提供」、「知恵と知識によって新しい価値と新しい需要を創造し、品質と製品をもって世に問う」というヤマザキの精神に則り、社会の変化に対応し先取りする真に価値ある製品とサービスの提供を目指し、基礎研究、製品開発、品質の安定・向上に関する研究等に積極的に取り組んでおります。一昨年12月には当社創業の地市川に、21世紀のヤマザキの前進基地として山崎製パン総合クリエイションセンターが完成し、それにより研究・開発・研修機能の大幅な充実・強化をはかりました。なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は79億30百万円であります。

 

セグメントごとの主な研究内容は、次のとおりであります。

(食品事業)

食品事業では、パン、和・洋菓子、調理パン・米飯類、調理麺、製菓・米菓の各部門別に、主要原材料に関する基礎的分析・研究の更なる充実をはかり、食の安全・安心という社会的要請に科学的に対処するとともに、原料選別、配合・工程の改善研究を中心とした製品の品質向上に積極的に取り組んでまいりました。また、多様化する市場ニーズに的確に対応した製品の開発を精力的に行いました。

パン部門においては、食パン基幹技術に関する研究をさらに進め、サンドイッチ用食パンの改良を行うとともに、健康志向製品として全粒小麦粉を用いた製品の開発、ミックス粉や冷凍生地製品の品質向上等の取り組みを行いました。

和菓子部門においては、和生・蒸しパン・中華まん製品の更なる品質向上を進めるとともに、健康志向に対応した製品開発を行いました。

洋菓子部門では、洋菓子スポンジ及びホイップクリームの新規技術による品質向上の取り組みを進めました。

調理パン・米飯類部門においては、新規導入された設備の特性を活かしたデイリーヤマザキ向け調理麺の品質向上の研究を精力的に行いました。

製菓部門においては、個食化や健康志向等消費動向の変化に対応した製品開発を進めるとともに、安定した品質を得るための製造設備の開発、研究に取り組んでまいりました。また、米菓製品の品質向上のため、糯米・粳米の加工適性に関する研究を進め、更にグループ各社に対する機能性表示食品開発の技術的支援を行いました。

また、食品安全衛生に関しては、AIB(American Institute of Baking)の「国際検査統合基準」に基づく管理手法の工場への順次指導の継続実施を中心として、微生物関係食品事故防止体制の強化をはかるとともに、最新鋭分析機器の導入を積極的に進め、原材料や製品中の微量成分などの確実なチェックを行い、また、クレーム問題に的確かつ迅速に対応するための体制整備を行いました。

以上の結果、食品事業の研究開発費は74億63百万円となりました。

 

(流通事業)

コンビニエンスストア事業では、「ヤマザキベストセレクション」を中心に品質向上と新製品開発を推進し、店内調理機能のベーカリーにおいては、製造工程表を活用した焼きたてパンの品揃えを充実強化しました。さらに、米飯、サンドイッチ、調理麺のファストフード部門につきましては、商品企画開発部を新設し、原材料から見直した商品の開発を進めてまいりました。

以上の結果、流通事業の研究開発費は3億12百万円となりました。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果と異なる可能性があります。

①貸倒引当金
  当社グループは、貸倒懸念債権等特定の債権について個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しておりますが、将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合は、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

②投資有価証券の減損処理
  当社グループは、投資有価証券を所有しておりますが、その価値が50%以上下落した場合及び2ヶ年以上継続して30%から50%下落している場合は、減損処理を実施しております。将来の市況悪化や投資先の業績不振等によっては、更に減損処理が必要となる可能性があります。

③繰延税金資産
  当社グループは、繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び税務計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、既に計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行なっておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩または追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。

④退職給付費用及び債務
  退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社及び国内子会社の年金制度においては、割引率は優良社債の利回りに基づき、長期期待運用収益率については年金資産の過去の運用実績等に基づき決定しております。
  実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来の期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は1兆531億64百万円(前連結会計年度比1.1%増) で、当社に加え、連結子会社も堅調に推移したこともあり、前連結会計年度を上回りました。営業利益は300億87百万円(前連結会計年度比14.4%減)、経常利益は321億43百万円(前連結会計年度比12.9%減)で、一部の子会社の業績の伸び悩みに加え人件費や物流費の増加もあり、営業利益、経常利益ともに減益となりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は、㈱不二家の固定資産売却益の計上により、251億6百万円(前連結会計年度比38.1%増)で、前連結会計年度を上回りました。 

①売上高

売上高を事業の種類別に見ますと、食品事業は和菓子、製菓・米菓・その他商品類が前連結会計年度を下回りましたが、食パン、菓子パン、洋菓子、調理パン・米飯類部門が順調に推移したこともあり、9,821億16百万円(前連結会計年度比1.3%増)、流通事業は直営店の店舗数の減少もあり、604億1百万円(前連結会計年度比2.5%減)、その他事業は、106億46百万円(前連結会計年度比5.9%増)でした。

なお、売上高の詳細については、「第2  事業の状況」「1  業績等の概要」(1)業績に記載の通りです。

 

②営業利益

  売上総利益率は、食品事業の原料面で、粉価は上期での単価ダウンが下期のアップ分をカバーすると共に、レーズン等の価格ダウンにより減少しましたが、人件費や光熱費等の増加があり、36.1%で前連結会計年度を0.4%下回りました。
  販売費及び一般管理費は、3,504億19百万円、売上高に対する比率は33.3%で、物流費や事業税外形標準課税額の増加もあり、前連結会計年度を0.2%上回りました。
  以上の結果、営業利益は300億87百万円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。

③経常利益

  営業外収益面で、金融収支の改善はありましたが、経常利益は321億43百万円(前連結会計年度比12.9%減)となりました。

④親会社株主に帰属する当期純利益

  固定資産売却益124億64百万円を特別利益に計上したこともあり、税金等調整前当期純利益は413億74百万円(前連結会計年度比26.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は251億6百万円で、前連結会計年度に比べ、38.1%の増益となりました。当連結会計年度の1株当たり当期純利益は114円41銭で、前連結会計年度に比べ31円59銭増加しました。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態の分析

当連結会計年度末の資産合計は7,473億22百万円で、前連結会計年度末に対し434億36百万円増加いたしました。
  主な要因は、流動資産が2,840億9百万円で、現金及び預金が新規借入金や固定資産の売却等により255億22百万円、受取手形及び売掛金が50億71百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に対し329億63百万円増加したことと、固定資産が4,633億13百万円で、投資その他の資産が投資有価証券の増加により87億85百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に対し104億73百万円増加したことによるものです。
  負債は4,015億80百万円で、退職給付に係る負債の減少はありましたが、新規借入による借入金の増加等により、前連結会計年度末に対し6億16百万円増加いたしました。
  純資産は3,457億42百万円で、利益剰余金が217億89百万円、その他有価証券評価差額金が84億91百万円それぞれ増加したこと等により、前連結会計年度末に対し428億20百万円増加いたしました。なお、自己資本比率は42.31%で前連結会計年度に比べ2.70%の増、1株当たり純資産は1,440円77銭で前連結会計年度に比べ170円37銭の増となりました。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性について

当連結会計年度の資金の状況は、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスの566億63百万円で、前連結会計年度に比べ61億円収入が減少、投資活動によるキャッシュ・フローがマイナスの339億80百万円で、前連結会計年度に比べ88億13百万円収入が増加、財務活動によるキャッシュ・フローがプラスの21億42百万円で、前連結会計年度に比べ263億67百万円収入が増加し、換算差額を考慮した現金及び現金同等物は1,292億53百万円となり、前連結会計年度に比べ249億9百万円増加しました。
  当社グループは、第1に、手元流動性を極力最小限に抑える。第2に営業活動によるキャッシュ・フローは会社の維持発展に必要な設備投資に充当する。第3に余剰資金は金利負担の軽減をはかるため適宜借入金の返済に充当する。以上の3項目を目標にしてキャッシュ・フローの有効活用に努めております。